JP2019502260A - 巻回型コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

巻回型コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、並列に配置された複数の円筒部であって、該円筒部は、上部電極層、下部電極層および誘電体層を少なくとも含む積層体が、前記上部電極層と前記下部電極層との間に少なくとも前記誘電体層をはさんで巻回されたものであり、前記上部電極層は、前記円筒部の一方の端部に引き出されており、前記下部電極層は、前記円筒部の他方の端部に引き出されている、円筒部と、前記複数の円筒部の一方の端部に配置され、該複数の円筒部の上部電極層と電気的に接続する第1外部電極と、前記複数の円筒部の他方の端部に配置され、該複数の円筒部の下部電極層と電気的に接続する第2外部電極とを含む巻回型コンデンサであって、前記積層体の巻回方向に対して平行な方向における寸法を長さLとし、前記積層体の積層方向および巻回方向に対して垂直な方向の寸法を幅Wとすると、前記積層体の幅Wに対する長さLの割合L/Wが4以上であるとき、前記巻回型コンデンサは2以上の前記円筒部を含み、L/Wが3以上4未満であるとき、前記巻回型コンデンサは3以上の前記円筒部を含み、L/Wが2以上3未満であるとき、前記巻回型コンデンサは4以上の前記円筒部を含み、L/Wが1以上2未満であるとき、前記巻回型コンデンサは8以上の前記円筒部を含む、巻回型コンデンサを提供する。

Description

本発明は、巻回型コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年、電子機器の高密度実装化に伴って、より高い静電容量を有し、かつより小型のコンデンサが求められている。このようなコンデンサの製造方法として、例えば、特許文献1には、基板上に積層を作製する工程であって、該積層が少なくとも2つの電気伝導層と、該2つの電気伝導層間に配置されている少なくとも1つの電気絶縁層とを有する、工程と、第1電気伝導層の露出領域上に第1金属接点を載置する工程と、第2電気伝導層の露出領域上に第2金属接点を載置する工程と、前記積層の第1部分をその当初位置から離して移動させる工程であって、前記第1部分が前記積層の縁部分を有する、工程と、前記第1部分を後方へ前記積層の第2部分に向かって曲成する工程とを包含する、コンデンサを製造する方法が開示されている。
非特許文献は、電気的に並列に接続された自己巻回型ダブルチューブ型コンデンサを開示している。
欧州特許出願公開第2023357号明細書
R. Sharma et al., Advanced Energy Materials 4, 1301631 (2014)
特許文献1に記載の巻回型コンデンサは、外部の電気要素に接続するための電極端子が、巻回した第1電気伝導層および第2電気伝導層(以下、まとめて「電気伝導層」とも言う)の終端部に形成されている。特許文献1に記載の巻回型コンデンサにおいては、電気伝導層の巻回方向に電荷が引き出されるため、等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)が高くなり、100kHzを超える高周波領域まで静電容量を得ることが困難であるという問題がある。
非特許文献1に記載のダブルチューブコンデンサは、静電容量を大きくすることができる。しかしながら、このコンデンサは、ESRが大きくなりやすい。
本発明者は、下部電極層、誘電体層および上部電極層を含む積層体を巻回することにより得られる円筒部の両端に、他の電気要素に接続するための一対の外部電極を設置することにより、ESRが小さく、高周波数領域であっても好適に使用することができる巻回型コンデンサが得られることを見出した。しかし、電子機器の小型化および高性能化に伴い、小型で且つより一層ESRが低減したコンデンサが求められている。
本発明の目的は、ESRが小さく、高周波数領域であっても好適に使用することができる巻回型コンデンサおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上述の問題を解消すべく鋭意検討した結果、下部電極層、誘電体層および上部電極層を含む積層体を巻回することにより得られる複数の円筒部を並列に配置し、これら複数の円筒部の両端に一対の外部電極を設置し、更に積層体の寸法と円筒部の個数とを特定の値にすることによりコンデンサのESRを低減し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の第1の要旨によれば、並列に配置された複数の円筒部であって、円筒部は、上部電極層、下部電極層および誘電体層を少なくとも含む積層体が、上部電極層と下部電極層との間に少なくとも誘電体層をはさんで巻回されたものであり、上部電極層は、円筒部の一方の端部に引き出されており、下部電極層は、円筒部の他方の端部に引き出されている、円筒部と、
複数の円筒部の一方の端部に配置され、複数の円筒部の上部電極層と電気的に接続する第1外部電極と、
複数の円筒部の他方の端部に配置され、複数の円筒部の下部電極層と電気的に接続する第2外部電極と
を含む巻回型コンデンサであって、
積層体の巻回方向に対して平行な方向における寸法を長さLとし、積層体の積層方向および巻回方向に対して垂直な方向の寸法を幅Wとすると、
積層体の幅Wに対する長さLの割合L/Wが4以上であるとき、巻回型コンデンサは2以上の円筒部を含み、
L/Wが3以上4未満であるとき、巻回型コンデンサは3以上の円筒部を含み、
L/Wが2以上3未満であるとき、巻回型コンデンサは4以上の円筒部を含み、
L/Wが1以上2未満であるとき、巻回型コンデンサは8以上の円筒部を含む、巻回型コンデンサが提供される。
本発明の第2の要旨によれば、基板上に犠牲層を形成する工程と、
複数の円筒部を形成する工程であって、
・犠牲層の上に、下部電極層、上部電極層、および下部電極層と上部電極層との間にはさまれる誘電体層を少なくとも含む積層体を形成する工程と、
・犠牲層を除去することにより積層体を巻回させて円筒部を得る工程と
を含む、工程と、
複数の円筒部を並列に配置する工程と、
複数の円筒部の上部電極層と電気的に接続する第1外部電極を複数の円筒部の一方の端部に形成し、複数の円筒部の下部電極層と電気的に接続する第2外部電極を複数の円筒部の他方の端部に形成する工程と
を含む、巻回型コンデンサの製造方法であって、
積層体の巻回方向に対して平行な方向における寸法を長さLとし、積層体の積層方向および巻回方向に対して垂直な方向の寸法を幅Wとすると、
積層体の幅Wに対する長さLの割合L/Wが4以上であるとき、巻回型コンデンサは2以上の円筒部を含み、
L/Wが3以上4未満であるとき、巻回型コンデンサは3以上の円筒部を含み、
L/Wが2以上3未満であるとき、巻回型コンデンサは4以上の円筒部を含み、
L/Wが1以上2未満であるとき、巻回型コンデンサは8以上の円筒部を含む、方法が提供される。
本発明に係る巻回型コンデンサは、上記構成を有することにより、ESRが小さく、高周波数領域であっても好適に使用することができる。また、本発明に係る巻回型コンデンサの製造方法は、上記構成を有することにより、ESRが小さく、高周波数領域であっても好適に使用することができる巻回型コンデンサを製造することができる。
図1は、本発明の一の実施形態に係る巻回型コンデンサの、円筒部の中心軸に沿った概略断面図を示す。 図2は、巻回型コンデンサの円筒部を構成する積層体の概略断面図であって、巻回方向に対して垂直な断面図を示す。 図3は、巻回型コンデンサの円筒部を構成する積層体の第1の変形例の概略断面図であって、巻回方向に対して垂直な断面図を示す。 図4は、巻回型コンデンサの円筒部を構成する積層体の第2の変形例の概略断面図であって、巻回方向に対して垂直な断面図を示す。 図5は、巻回型コンデンサの円筒部を構成する積層体の第3の変形例の概略断面図であって、巻回方向に対して垂直な断面図を示す。 図6は、巻回型コンデンサの円筒部を構成する積層体の第4の変形例の概略断面図であって、巻回方向に対して垂直な断面図を示す。 図7は、巻回型コンデンサの円筒部を構成する積層体の第5の変形例の概略断面図であって、巻回方向に対して垂直な断面図を示す。 図8(a)〜(f)は、例5の巻回型コンデンサの製造方法を説明する図である。 図9は、犠牲層の上に積層された例5における積層体の概略断面図であって、巻回方向に対して垂直な断面図を示す。 図10(a)〜(d)は、例5の巻回型コンデンサの製造方法を説明する図である。 図11は、例1の巻回型コンデンサの、円筒部の中心軸に沿った概略断面図を示す。 図12は、例1の巻回型コンデンサについて静電容量の周波数特性を測定した結果を示すグラフである。 図13は、例1の巻回型コンデンサについてインピーダンスの周波数特性を測定した結果を示すグラフである。 図14は、例5の巻回型コンデンサについて静電容量の周波数特性を測定した結果を示すグラフである。 図15は、例5の巻回型コンデンサについてインピーダンスの周波数特性を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の一の実施形態に係る巻回型コンデンサおよびその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明に係る巻回型コンデンサならびに各構成要素の形状および配置等は、以下に説明する実施形態および図示される構成に限定されるものではない。
本発明の一の実施形態に係る巻回型コンデンサ1は、概略的には、図1に示すように、並列に配置された複数の円筒部2と、複数の円筒部2の一方の端部に配置される第1外部電極4と、複数の円筒部2の他方の端部に配置される第2外部電極6とを含む。第1外部電極4および第2外部電極6は、円筒部2の両端において互いに対向するように位置する。なお、複数の円筒部が「並列に配置された」とは、各々の円筒部の中心軸が平行になるように2以上の円筒部が配置されていることを意味する。また、円筒部2の「端部」とは、円筒部2の中心軸と交わる端(または面)を意味する。巻回型コンデンサ1は、図1に示すように樹脂部8を含んでもよい。しかしながら、この樹脂部8は必須の構成要素ではない。この樹脂部8が存在しない場合であっても、本実施形態に係る巻回型コンデンサ1は機能し得る。図1に示す巻回型コンデンサ1において、円筒部2の両端以外の部分は樹脂部8に覆われている。
円筒部2は、下部電極層12と上部電極層16とが少なくとも誘電体層14をはさんで巻回されたものである。円筒部2は、例えば、図2に示すような断面形状を有する積層体10を巻回することにより得ることができる。図2に示す積層体10において、下部電極層12、誘電体層14および上部電極層16が順に積層されている。図2に示すように、上部電極層16の上に絶縁層18が積層されてよい。尤も、この絶縁層18は本実施形態において必須の構成要素ではなく、下部電極層12と上部電極層16とが電気的に接触する可能性がない場合には、必ずしも設置する必要はない。
図2に示すように、積層体10において、下部電極層12および上部電極層16は、一方の電極層の一端が他方の電極層と重ならないように配置される。このような積層体10を巻回することにより、下部電極層12と上部電極層16とが少なくとも誘電体層14をはさんで巻回された円筒部2を得ることができる。このような円筒部2において、第1外部電極4および第2外部電極6はそれぞれ、図2に示す積層体10の左および右に対応する位置に配置される。これにより、上部電極層16は、第1外部電極4に電気的に接続され、第2外部電極6から電気的に離隔される。同様に、下部電極層12は、第2外部電極6に電気的に接続され、第1外部電極4から電気的に離隔される。
本実施形態に係る巻回型コンデンサ1は、非常に小型にすることができ、例えば、円筒部2の厚さは、100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下であり得る。
本実施形態に係る巻回型コンデンサ1においては、電流が円筒部の中心軸に沿った方向に直線的に流れるので、電流が巻回方向に沿ってコイル状に流れる従来の巻回型コンデンサよりも高周波側に共振周波数を有し、そのため、高周波数領域での使用に適している。更に、本実施形態に係る巻回型コンデンサは、並列に配置された2以上の円筒部2を含み、この2以上の円筒部2の両端に第1外部電極4および第2外部電極6が形成されている。このように2以上の円筒部2が外部電極を介して並列接続されることにより、インダクタンスが低下し、高周波側に共振周波数を持つ。その結果、高い周波数の交流電流に対して、低いインピーダンスを示す。
巻回型コンデンサのESRは電極層の材料やその厚み等によって変化する。本実施形態に係る巻回型コンデンサが、円筒部を1つのみ含む従来の巻回型コンデンサと同じ静電容量を有する場合、本実施形態に係る巻回型コンデンサは、従来の巻回型コンデンサよりもESRを低減することができる。例えば、巻回型コンデンサに含まれる円筒部の中心軸に沿った長さの合計が同じである場合、複数の円筒部を並列に配置することにより、円筒部を1つのみ含む巻回型コンデンサと比較して、同等の静電容量を維持しつつ電流の取り出し方向の長さを短くすることができる。そのため、静電容量を低下させることなくESRおよび等価直列インダクタンス(ESL:Equivalent Series Inductance)を低減することができ、より高波長の領域まで静電容量を取得することができる。換言すれば、巻回型コンデンサに含まれる円筒部の占有体積が同じである場合、複数の円筒部を並列に配置することにより、円筒部を1つのみ含む巻回型コンデンサと比較して、同等の静電容量を維持しつつESRおよびESLを低減することができる。一方、円筒部1つあたりの長さが同じである場合、2以上の円筒部が並列に配置される本実施形態に係る巻回型コンダクタは、円筒部を1つのみ含む巻回型コンデンサと比較して、より高い静電容量を取得することができる。
積層体の巻回方向に対して平行な方向における寸法を長さLとし、積層体の積層方向および巻回方向に対して垂直な方向の寸法を幅Wとしたとき、円筒部1つ当たりのESRは、上述の長さLと幅Wとの比によって変化する。積層体の長さLが大きいほど、円筒部1つ当たりのESRは低減する。一方、積層体の幅Wが大きいほど、円筒部1つ当たりのESRは増大する。そのため、所定のESR値を有する巻回型コンデンサを得るためには、積層体の長さLと幅Wとの比に応じて、円筒部の数を設定する必要がある。本発明者の検討の結果、積層体の幅Wに対する長さLの割合L/Wの値に応じて、円筒部の個数を下記のように設定することにより、巻回型コンデンサのESRを低減することができることがわかった。すなわち、L/Wが4以上であるとき、巻回型コンデンサが2以上の円筒部を含み、L/Wが3以上4未満であるとき、巻回型コンデンサが3以上の円筒部を含み、L/Wが2以上3未満であるとき、巻回型コンデンサが4以上の円筒部を含み、L/Wが1以上2未満であるとき、巻回型コンデンサが8以上の円筒部を含むように巻回型コンデンサを構成することにより、ESRを低減することができる。ESRの値は、電極の材質やその厚み等によって変化する。例えば上部電極層および下部電極層(および存在する場合には第3の電極層)がNi層であり、誘電体層がSiO層である場合、上記構成により2.5Ω以下の低ESR値を達成することができる。
本実施形態に係る巻回型コンデンサにおいて、円筒部は、矩形状の積層体を自己巻回させて作製される。積層体の巻回方向に対して平行な方向の寸法を長さL、巻回方向および積層方向に対して垂直な方向の寸法を幅Wとすると、長さLが大きいほど(すなわち、積層体の巻回数が大きいほど)、得られる巻回型コンデンサのESRが低減すると考えられる。しかし、本発明者の検討により、積層体の長さLが大きくなると、巻回の際に欠陥が発生するおそれがあり、巻きずれが生じやすくなるおそれがあることがわかった。本発明者の検討によれば、積層体の長さLは、3mm以下であることが好ましい。長さLが3mm以下であると、欠陥の発生を顕著に抑制することが可能であり、巻ずれの発生を効果的に低減することができる。積層体の長さLは、より好ましくは0.5mm以上2.0mm以下である。
円筒部2の長さは、750μm以下であることが好ましい。円筒部2の長さが上記範囲内であると、2以上の円筒部を並列配置したコンデンサは、2.5以下のESRを示す。なお、円筒部2の長さは、積層体10の幅Wに対応する。
図1に示す巻回型コンデンサ1は2つの円筒部を含むが、本発明に係る巻回型コンデンサはかかる構成に限定されるものではなく、3以上の円筒部を含んでよい。また、円筒部の配置方法は特に限定されず、用途に応じて任意の配置を選択することができる。例えば、2以上の円筒部を水平方向に並列配置してよく、あるいは、2以上の円筒部を水平方向および高さ方向(厚み方向)に並列配置した3次元構造を有してもよい。並列に配置された円筒部間の距離は用途に応じて適宜設定してよい。
本実施形態に係る巻回型コンデンサ1の形状は特に限定されるものではなく、例えば、平板型のコンデンサであってよい。巻回型コンデンサ1の厚みは、100μm以下であることが好ましい。巻回型コンデンサの厚みが上記範囲内であると、小型化および低背化が求められる電子機器に好適に用いることができ、基板に内蔵することも可能である。また、負荷からの配線長を短くすることができるため、配線のインダクタンスによるロスを低減することが可能であるという利点を有する。
下部電極層12を構成する材料は、導電性であれば特に限定されず、例えば、Ni、Cu、Al、W、Ti、Ag、Au、Pt、Zn、Sn、Pb、Fe、Cr、Mo、Ru、Pd、Taおよびこれらの合金、例えばCuNi、AuNi、AuSn、ならびにTiN、TiAlN、TiON、TiAlON、TaN等の金属酸化物、金属酸窒化物等が挙げられる。
下部電極層12の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば10nm以上50nm以下であることが好ましい。下部電極層12の厚みをより大きくすることにより、例えば50nmとすることによりESRをより低減することができる。また、下部電極層12の厚みをより小さくすることにより、例えば10nmとすることにより、円筒部2の直径をより小さくすることができ、巻回型コンデンサ1をより小型化することが可能になる。
下部電極層12の形成方法は、特に限定されず、基板の上、または存在する場合には基板上に形成された下層(例えば、後述する犠牲層等)の上に直接形成してもよく、あるいは別途形成した下部電極層12を基板または下層に貼り付けることにより形成してもよい。基板または下部電極層の下の層上に下部電極層12を直接形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、パルスレーザー堆積法(PLD:Pulsed Laser Deposition)等が挙げられる。
誘電体層14を構成する材料は、絶縁性であれば特に限定されず、例えば、ペロブスカイト型の複合酸化物、酸化アルミニウム(AlO:例えば、Al)、酸化ケイ素(SiO:例えば、SiO)、Al−Ti複合酸化物(AlTiO)、Si−Ti複合酸化物(SiTiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(TaO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、Hf−Si複合酸化物(HfSiO)、Zr−Si複合酸化物(ZrSiO)、Ti−Zr複合酸化物(TiZrO)、Ti−Zr−W複合酸化物(TiZrWO)、酸化チタン(TiO)、Sr−Ti複合酸化物(SrTiO)、Pb−Ti複合酸化物(PbTiO)、Ba−Ti複合酸化物(BaTiO)、Ba−Sr−Ti複合酸化物(BaSrTiO)、Ba−Ca−Ti複合酸化物(BaCaTiO)、Si−Al複合酸化物(SiAlO)等の金属酸化物;窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiN)、Al−Sc複合窒化物(AlScN)等の金属窒化物;または酸窒化アルミニウム(AlO)、酸窒化ケイ素(SiO)、Hf−Si複合酸窒化物(HfSiO)、Si−C複合酸窒化物(SiC)等の金属酸窒化物が挙げられる。なお、上記の式は、単に元素の構成を表現するものであり、組成を限定するものではない。即ち、O、NおよびCに付されたx、yおよびzは任意の値であってもよく、金属元素を含む各元素の存在比率は任意である。より高い静電容量を得るために、より高い誘電率を有するものが好ましい。高い誘電率を有する材料としては、例えばABO(AおよびBは任意の金属原子)で表されるペロブスカイト型の複合酸化物が挙げられ、好ましくは、チタン(Ti)を含むペロブスカイト型の複合酸化物(以下、「チタン(Ti)系ペロブスカイト型複合酸化物」とも言う)が挙げられる。好ましいTi系ペロブスカイト型複合酸化物として、BaTiO、SrTiO、CaTiO、(BaSr)TiO、(BaCa)TiO、(SrCa)TiO、Ba(TiZr)O、Sr(TiZr)O、Ca(TiZr)O、(BaSr)(TiZr)O、(BaCa)(TiZr)O、(SrCa)(TiZr)O等が挙げられる。このようなTi系ペロブスカイト型複合酸化物は、高い比誘電率を有するので、コンデンサの静電容量を大きくできる点で有利である。
誘電体層14の厚みは、特に限定されないが、例えば10nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上50nm以下であることがより好ましい。誘電体層14の厚みを10nm以上とすることにより、絶縁性をより高めることができ、漏れ電流をより小さくすることが可能になる。また、誘電体層14の厚みを100nm以下とすることにより、より高い静電容量を得ることが可能になる。また、誘電体層14の厚みを100nm以下とすることにより、円筒部2の直径をより小さくすることができ、巻回型コンデンサ1をより小型化することが可能になる。
誘電体層14の形成方法は、特に限定されず、下部電極層12の上に直接形成してもよく、あるいは別途形成した誘電体層14を下部電極層12に貼り付けることにより形成してもよい。下部電極層12の上に誘電体層14を直接形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、ALD法、PLD法等が挙げられる。誘電体層の材料がペロブスカイト型複合酸化物である場合、誘電体層14は、好ましくはスパッタ法により形成される。
スパッタ法を用いて誘電体層14を形成する場合、500℃以上600℃以下の基板温度で製膜することが好ましい。このように高温で製膜することにより、得られる誘電体層14の結晶性が高まり、より高い比誘電率を得ることができる。このように高温で処理する場合、積層体10は、後述の拡散防止層25を有していることが好ましい。
上部電極層16を構成する材料は、導電性であれば特に限定されず、例えば、Ni、Cu、Al、W、Ti、Ag、Au、Pt、Zn、Sn、Pb、Fe、Cr、Mo、Ru、Pd、Taおよびそれらの合金、例えばCuNi、AuNi、AuSn、ならびにTiN、TiAlN、TiON、TiAlON、TaN等の金属酸化物、金属酸窒化物などが挙げられる。
上部電極層16の厚みは、特に限定されないが、例えば10nm以上50nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。上部電極層16の厚みをより大きくすることにより、例えば50nmとすることにより、ESRをより低減することができる。また、上部電極層16の厚みをより小さくすることにより、例えば30nm以下とすることにより、円筒部2の直径をより小さくすることができ、巻回型コンデンサ1をより小型化することが可能になる。
上部電極層16の形成方法は、特に限定されず、誘電体層14の上に直接形成してもよく、あるいは別途形成した上部電極層16を誘電体層14に貼り付けることにより形成してもよい。誘電体層14の上に上部電極層16を直接形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、ALD法、PLD法が挙げられる。
図2に示すように、積層体10を巻回したときに下部電極層12と上部電極層16とが電気的に接触して短絡することを防止するために、上部電極層16および誘電体層14の上に絶縁層18を設置してもよい。絶縁層18を構成する材料は、絶縁性であれば特に限定されないが、上述の誘電体層14を構成する材料として挙げたものを用いることが好ましい。誘電体層14を構成する材料として挙げたものを用いることにより、この絶縁層18の誘電体層としての機能が高くなり、より高い静電容量を有するコンデンサを得ることができる。
絶縁層18の厚みは、下部電極層12と上部電極層16との間の絶縁性が確保される限り特に限定されないが、例えば10nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上50nm以下であることがより好ましい。絶縁層18の厚みを10nm以上とすることにより、絶縁性をより高めることができ、漏れ電流をより小さくすることが可能になる。また、絶縁層18の厚みを100nm以下とすることにより、円筒部2の直径をより小さくすることができ、コンデンサをより小型化することが可能になる。
絶縁層18の形成方法は、特に限定されず、上部電極層16および誘電体層14の上に直接形成してもよく、あるいは別途形成した絶縁層18を上部電極層16および誘電体層14に貼り付けることにより形成してもよい。上部電極層16および誘電体層14の上に絶縁層18を直接形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、ALD法、PLD法等が挙げられる。絶縁層の材料が、ペロブスカイト型複合酸化物である場合、絶縁層は、好ましくはスパッタ法により形成される。
図2において、符号24で示す部分は、樹脂等の絶縁性物質で埋めることが好ましい。部分24に絶縁性物質を存在させることにより、上部電極層16と第2外部電極6との間、および下部電極層12と第1外部電極4との間の電気的な絶縁をより確実にすることができる。部分24に樹脂を存在させる方法としては、例えば、巻回後に円筒部に樹脂を含浸させる方法が挙げられる。なお、後述する変形例においても、部分24に樹脂を存在させる方法として上述の方法を用いることができる。
第1外部電極4は、2以上の円筒部の一方の端部に配置され、その2以上の円筒部の上部電極層と電気的に接続する。第2外部電極6は、2以上の円筒部の他方の端部に配置され、その2以上の円筒部の下部電極層と電気的に接続する。このように第1外部電極4および第2外部電極6を配置することにより、2以上の円筒部を並列接続することができ、その結果、巻回型コンデンサ1のESRおよびESLを低減することができる。第1外部電極4および第2外部電極6を構成する材料は、導電性であれば特に限定されないが、Ag、Cu、Pt、Ni、Al、PdおよびAu、ならびにこれらの合金、例えばモネル(Ni−Cu合金)等が挙げられる。
第1外部電極4および第2外部電極6の形成方法は、特に限定されないが、例えば、めっき、蒸着、スパッタ等の方法が挙げられる。
本実施形態に係る巻回型コンデンサ1において、円筒部2は、図1に示すように樹脂部8に包埋されてよい。この場合、円筒部2の両端以外の部分は樹脂部8に覆われている。樹脂部8は、円筒部2を保護し、取り扱いを容易にするために設置される。また、樹脂部8を形成する樹脂は、円筒部2の内部に浸透していてもよい。このように円筒部2の内部にまで樹脂を含浸させることにより、円筒部2が樹脂により固められるので、コンデンサの特性がより安定する。なお、この樹脂部8は必須ではなく、存在しない場合であっても、本実施形態に係る巻回型コンデンサ1は機能し得る。
樹脂部8を構成する材料は、絶縁性であれば特に限定されず、アクリル系樹脂、エポキシ、ポリエステル、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができる。また、樹脂部8は、強度を高めるために、フィラーとしての絶縁性物質を含んでいてもよい。
図3に、本実施形態における積層体10の第1の変形例を示す。図3に示すように、下部電極層12の下に、更に拡散防止層25が積層されてよい。拡散防止層25を設置することにより、巻回型コンデンサの製造時に、後述する犠牲層を構成する成分が下部電極層12に拡散することを抑制することができる。なお、後述する図6に示すように、下部電極層12の下に更に絶縁層18が積層される場合、拡散防止層25は、絶縁層18の下に積層されてよい。
拡散防止層25を構成する材料は、特に限定されないが、好ましくは、酸化アルミニウム(AlO:例えば、Al)、酸化ケイ素(SiO:例えば、SiO)、Al−Ti複合酸化物(AlTiO)、Si−Ti複合酸化物(SiTiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化タンタル(TaO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、Hf−Si複合酸化物(HfSiO)、Zr−Si複合酸化物(ZrSiO)、Ti−Zr複合酸化物(TiZrO)、Ti−Zr−W複合酸化物(TiZrWO)、酸化チタン(TiO)、Sr−Ti複合酸化物(SrTiO)、Pb−Ti複合酸化物(PbTiO)、Ba−Ti複合酸化物(BaTiO)、Ba−Sr−Ti複合酸化物(BaSrTiO)、Ba−Ca−Ti複合酸化物(BaCaTiO)、Si−Al複合酸化物(SiAlO)、Sr−Ru複合酸化物(SrRuO)、Sr−V複合酸化物(SrVO)等の金属酸化物;窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(SiN)、Al−Sc複合窒化物(AlScN)、窒化チタン(TiN)等の金属窒化物;または酸窒化アルミニウム(AlO)、酸窒化ケイ素(SiO)、Hf−Si複合酸窒化物(HfSiO)、Si−C複合酸窒化物(SiC)等の金属酸窒化物が挙げられ、特に、AlOおよびSiOが好ましい。なお、上記の式は、単に元素の構成を表現するものであり、組成を限定するものではない。即ち、O、NおよびCに付されたx、yおよびzは任意の値であってもよく、金属元素を含む各元素の存在比率は任意である。
拡散防止層25の厚みは、特に限定されないが、例えば5nm以上30nm以下であることが好ましく、5nm以上10nm以下であることが更に好ましい。拡散防止層25の厚みを5nm以上とすることにより、犠牲層を構成する成分の拡散をより効果的に抑制することができる。更に、拡散防止層25が絶縁性材料から形成されている場合、絶縁性を高めることができ、漏れ電流を小さくすることが可能になる。また、拡散防止層25の厚みを30nm以下、特に10nm以下とすることにより、円筒部2の直径をより小さくすることができ、コンデンサをより小型化することが可能になる。更に、より大きな静電容量を有する巻回型コンデンサを得ることが可能になる。
拡散防止層25を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、ALD法、PLD法等が挙げられるが、好ましくはALD法が用いられる。ALD法は、層を構成する原料を含む反応ガスにより原子層を一層ずつ堆積させて膜を形成するので、非常に均質で緻密な膜を形成することができる。ALD法により犠牲層上に拡散防止層25を形成することによって、犠牲層を構成する成分が他の層、例えば下部電極層12に拡散することを効果的に抑制できる。また、ALD法により形成された拡散防止層25は、非常に薄く均質で緻密であるので、拡散防止層25が絶縁性材料から形成されている場合、漏れ電流が小さく高絶縁性の膜とすることができる。なお、ALD法により形成される膜は主に非晶質であるため、その組成は化学量論比に限定されず、種々の組成比率で構成され得る。
拡散防止層25が絶縁性材料から形成される場合、積層体10の巻回により得られる円筒部2において、拡散防止層25が上部電極層16と下部電極層12との電気的接触を防止することができるので、上述の絶縁層18は設置しなくてよい。
図3に示す変形例において、符号24で示す部分は、樹脂等の絶縁性物質で埋めることが好ましい。部分24に絶縁性物質を存在させることにより、上部電極層16と第2外部電極6との間、および下部電極層12と第1外部電極層4との間の電気的な絶縁をより確実にすることができる。
図4に、本実施形態における積層体10の第2の変形例を示す。図4に示すように、拡散防止層25と下部電極層12との間に、更に密着層26が積層されてよい。密着層26は、拡散防止層25および下部電極層12に対して密着性を有し、積層体10において下部電極層12が剥離することを防止する機能を有する。なお、後述する図6に示すように、下部電極層12の下に更に絶縁層18が積層される場合、密着層26は、絶縁層18と拡散防止層25との間に積層されてよい。
密着層26を構成する材料として、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化クロム(CrO)が挙げられる。
密着層26の形成方法は、特に限定されず、その下に存在する層(例えば、犠牲層等)の上に直接形成してもよく、あるいは別途形成した密着層26を、その下に存在する層の上に貼り付けることにより形成してもよい。密着層26を、その下に存在する層の上に直接形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、ALD法、PLD法等が挙げられる。
図4に示す変形例において、符号24で示す部分は、樹脂等の絶縁性物質で埋めることが好ましい。部分24に絶縁性物質を存在させることにより、上部電極層16と第2外部電極6との間、および下部電極層12と第1外部電極層4との間の電気的な絶縁をより確実にすることができる。
図5に、本実施形態における積層体10の第3の変形例を示す。図5に示すように、誘電体層14と上部電極層16との間、および/または誘電体層14と下部電極層12との間に、更に界面層27が積層されてよい。界面層27は、ショットキー接合による漏れ電流を抑制する機能を有する。なお、後述する図6に示すように、下部電極層12の下に更に絶縁層18が積層される場合、絶縁層18と下部電極層12との間に更に界面層27が積層されてもよい。また、後述する図7に示すように、上部電極層16の上に更に第2の誘電体層21および第3の電極層22が順に積層される場合、第2の誘電体層21と上部電極層16との間、および/または第2の誘電体層21と第3の電極層22との間に界面層27が積層されてもよい。
図5に示す積層体10において、上部電極層16の上に、絶縁層18が積層されているが、この絶縁層18は本実施形態において必須の構成要素ではなく、下部電極層12と上部電極層16とが電気的に接触する可能性がない場合には、必ずしも設置する必要はない。
界面層27を構成する材料として、誘電体層の材料に応じて、適当な金属を適宜用いることができる。
界面層27の形成方法は、特に限定されず、その下に存在する層の上に直接形成してもよく、あるいは別途形成した界面層27を、その下に存在する層の上に貼り付けることにより形成してもよい。界面層27を、その下に存在する層の上に直接形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、ALD法、PLD法が挙げられる。
図5に示す変形例において、符号24で示す部分は、樹脂等の絶縁性物質で埋めることが好ましい。部分24に絶縁性物質を存在させることにより、上部電極層16と第2外部電極6との間、および下部電極層12と第1外部電極層4との間の電気的な絶縁をより確実にすることができる。
図6に、本実施形態における積層体10の第4の変形例を示す。図6に示すように、下部電極層12の下に、更に絶縁層18が積層されてよい。このように絶縁層18を積層した場合、積層体10の巻回により得られる円筒部2において、絶縁層18が上部電極層16と下部電極層12との電気的接触を防止することができるので、上部電極層16の上に絶縁層を設けなくてよい。
絶縁層18を構成する材料は、上述の誘電体層14を構成する材料として挙げたものと同様のものであってよい。また、絶縁層18を形成する方法は、上述の誘電体層14を形成する方法として挙げた方法と同様のものであってよい。
図6に示す変形例において、符号24で示す部分は、樹脂等の絶縁性物質で埋めることが好ましい。部分24に絶縁性物質を存在させることにより、上部電極層16と第2外部電極6との間、および下部電極層12と第1外部電極層4との間の電気的な絶縁をより確実にすることができる。
図7に、本実施形態における積層体10の第5の変形例を示す。図7に示すように、上部電極層16の上に、更に別の誘電体層(第2の誘電体層21とも言う)および別の電極層(第3の電極層22とも言う)が順に積層されている。なお、図7に示す積層体は、3つの電極層12、16および22ならびにその間に配置された誘電体層14および21を含むが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、4以上の電極層およびその間に配置された誘電体層を含んでもよい。第3の電極層22は、下部電極層12と同様に、上部電極層16と完全には重ならないように設置され、第2外部電極6に電気的に接続され、第1外部電極4から電気的に離隔される。このように第2の誘電体層21および第3の電極層22を積層した場合、積層体10の巻回により得られる円筒部2において、上部電極層16と下部電極層12との電気的接触を防止することができるので、上述の絶縁層18は設置しなくてよい。
第2の誘電体層21を構成する材料は、上述の誘電体層14を構成する材料として挙げたものと同様のものであってよい。また、第2の誘電体層21を形成する方法は、上述の誘電体層14を形成する方法として挙げた方法と同様のものであってよい。
第3の電極層22を構成する材料は、上述の下部電極層12を構成する材料として挙げたものと同様のものであってよい。また、第3の電極層22を形成する方法は、上述の下部電極層12を形成する方法として挙げた方法と同様のものであってよい。
図7に示す変形例において、符号24で示す部分は、樹脂等の絶縁性物質で埋めることが好ましい。部分24に絶縁性物質を存在させることにより、第3の電極層22と第1外部電極4との間、上部電極層16と第2外部電極6との間、および下部電極層12と第1外部電極層4との間の電気的な絶縁をより確実にすることができる。
本発明に係る巻回型コンデンサは、上述の実施形態に限定されるものではなく、コンデンサとしての機能を発揮し得る限り、種々の改変が可能である。例えば、同じ層を複数有していてもよく、また、更なる層を有していてもよい。
次に、本発明の一の実施形態に係る巻回型コンデンサの製造方法を以下に説明するが、本発明に係る巻回型コンデンサの製造方法は、以下に説明する方法に限定されるものではない。
本実施形態に係る巻回型コンデンサは、概略的には、基板上に犠牲層を形成する工程と、
2以上の円筒部を形成する工程であって、
・犠牲層の上に、下部電極層、上部電極層、および下部電極層と上部電極層との間にはさまれる誘電体層を少なくとも含む積層体を形成する工程と、
・犠牲層を除去することにより積層体を巻回させて円筒部を得る工程と
を含む、工程と、
2以上の円筒部を並列に配置する工程と、
2以上の円筒部の上部電極層と電気的に接続する第1外部電極を2以上の円筒部の一方の端部に形成し、2以上の円筒部の下部電極層と電気的に接続する第2外部電極を2以上の円筒部の他方の端部に形成する工程と
を含む方法により製造することができる。本実施形態に係る巻回型コンデンサは、より詳細には、以下のように製造される。
まず、基板を準備する。
基板を構成する材料は、特に限定されないが、犠牲層の成膜に悪影響を及ぼさず、犠牲層の除去に用いるエッチング液に対して安定な材料が好ましい。このような材料としては、例えば、シリコン、シリカ、マグネシア等が挙げられる。
次に基板上に犠牲層を形成する。
犠牲層を構成する材料は、下記の積層体を形成した後に、例えばエッチング処理等により除去することができる材料であれば特に限定されないが、高温においても比較的安定であることから、ゲルマニウムまたは酸化ゲルマニウムが好ましい。
犠牲層の厚みは、特に限定されないが、例えば5nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下である。
犠牲層の形成方法は、特に限定されず、直接基板上に形成してもよく、あるいは別途形成した膜を基板に貼り付けることにより形成してもよい。直接基板上に形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、PLD法等が挙げられる。
また、犠牲層は、基板上に前駆体層を形成し、これを処理することにより得てもよい。例えば、基板上に金属層を形成し、これを酸化することにより、犠牲層を形成してもよい。
次に、犠牲層の上に、下部電極層、上部電極層、および下部電極層と上部電極層との間にはさまれる誘電体層を少なくとも含む積層体を形成する。積層体を形成する工程は、下部電極層、誘電体層および上部電極層を上述の方法で順に形成することを含んでよい。なお、積層体は、1つの基板上に1つである必要はなく、1つの基板上に複数の積層体を同時に形成してもよい。また、巻回型コンデンサが、その他の層、例えば絶縁層、拡散防止層、密着層、第2の誘電体層、第3の電極層等を含む場合は、これらの層を所望の箇所に形成して積層体を製造すればよい。
具体的には、例えば、本実施形態に係る巻回型コンデンサの製造方法は、上部電極層の上に、絶縁層を形成する工程を含んでよい。また、下部電極層を形成する前に、拡散防止層を形成する工程を含んでよい。拡散防止層を形成する工程を含む場合、拡散防止層と下部電極層の間に、密着層を形成する工程を含んでよい。また、誘電体層と上部電極層との間、および/または誘電体層と下部電極層との間に、界面層を形成する工程を含んでよい。
更に、下部電極層を形成する前に、絶縁層を形成する工程を含んでよい。更に、上部電極層上に別の誘電体層(第2の誘電体層)および別の電極層(第3の電極層)を形成する工程を含んでよい。
上述の積層体は、下部電極層および上部電極層が、例えば図2に示すように、下部電極層および上部電極層の一端が他方の電極層と重ならないように形成される。このような構造を有する積層体は、例えば、メタルマスク(金属性マスク)を用いて製造することができ、あるいはフォトリソグラフィー技術を用いることにより製造することができる。
上述の積層体は、積層体全体として、下部電極層から上部電極層に向かう方向の内部応力を有する。このような内部応力は、積層体の下方の層、例えば下部電極層に引張応力を与え、および/または積層体の上方の層、例えば上部電極層に圧縮応力を与えることにより生じさせることができる。好ましくは、積層体は、下部電極層が引張応力を有し、かつ、上部電極層が圧縮応力を有するように形成される。当業者であれば、層に引張応力または圧縮応力を与えるために、層の材料および形成方法を適宜選択することができる。
積層体が下部電極層から上部電極層に向かう方向の内部応力を有することにより、基板から解放された積層体は、その応力により曲成し、自己巻回することが可能になる。
次に、上述のようにして得られた積層体を、犠牲層を除去することにより巻回する。
犠牲層の除去方法は、特に限定されないが、エッチング溶液により犠牲層をエッチングする方法が好ましい。例えば、積層体の巻回を開始する箇所の犠牲層または基板を、エッチング等により露出させ、そこからエッチング溶液を流し込み、犠牲層をエッチングすることにより、犠牲層を除去することができる。
エッチング溶液は、犠牲層および積層体を構成する層を構成する材料に応じて適宜選択することができ、例えば、犠牲層がGeまたはGeOから形成されている場合、好ましくは過酸化水素水が用いられる。
犠牲層は、積層体の一端から徐々に除去される。積層体は、犠牲層が除去された部分から順に基板から離れ、その内部応力によって曲成して巻回し、円筒部が形成される。円筒部における巻回数は特に限定されず、1回であっても、複数回であってもよく、得られる巻回型コンデンサに求められる大きさ(径)および静電容量に応じて適宜選択することができる。
次に、2以上の円筒部を並列に配置する。円筒部の数および配置は、円筒部が並列に配置されていれば特に限定されるものではなく、用途や所望の特性および寸法に応じて適宜設定することができる。
次に、並列に配置された2以上の円筒部の一方の端部に第1外部電極を形成し、他方の端部に第2外部電極を形成する。第1外部電極は2以上の円筒部のそれぞれの上部電極層と電気的に接続し、第2外部電極は2以上の円筒部のそれぞれの下部電極層と電気的に接続する。第1外部電極および第2外部電極は、上述した方法、例えばめっきにより形成することができる。このように第1外部電極および第2外部電極を形成することにより、2以上の円筒部を並列接続することができる。
本実施形態に係る巻回型コンデンサの製造方法は、更に、第1外部電極および第2電極を形成する前に、並列に配置された2以上の円筒部の樹脂固めを行う工程を含むことが好ましい。具体的には、例えば、積層体を巻回して円筒部を得た後、剥離テープ等を用いて円筒部を基板から剥離し、2以上の円筒部を並列に配置する。次いで、並列に配置された円筒部の周りにダムを形成し、ダムの内部に樹脂を流し込んで、基板上の円筒部を樹脂中に浸漬させてよい。好ましくは、浸漬は、円筒部の内部にまで樹脂が含浸するのに十分な時間行われる。
次いで、樹脂を硬化させて、所望の形状、例えば直方体状に切り出し、円筒部の両端に対応する面から、例えば研磨することにより、上部電極層および下部電極層を露出させる。次いで、上部電極層および下部電極層が露出した面にそれぞれ、第1外部電極および第2外部電極を形成することにより、2以上の円筒部が樹脂部に包埋された巻回型コンデンサを得ることができる。
このようにして、本実施形態に係る巻回型コンデンサを得ることができる。
[例1]
以下に説明する手順で例1の巻回型コンデンサを作製した。
(犠牲層パターンの形成)
まず、基板32として、直径4インチ(10.16cm)のSi単結晶基板を準備した(図8(a))。基板32上に、スパッタ法を用いて厚み50nmのGe層を犠牲層34として全面に形成した(図8(b))。この犠牲層34の上に、ポジ型のフォトレジスト36を全面に塗布し(図8(c))、次いで、所定のパターンを有するマスクを介して紫外線露光し、現像して未硬化部分を除去し、犠牲層34上に短冊状の硬化したフォトレジストパターン38を形成した(図8(d))。この基板32を、過酸化水素水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外の犠牲層34を除去した(図8(e))。次いで、アセトンを用いて硬化したフォトレジスト38を除去し、短冊状の犠牲層パターン40を形成した(図8(f))。
(積層体の形成)
犠牲層パターン40が形成された基板32上に、幅500μm、長さ1.0mmの短冊状のパターンが形成された金属製マスクを置き、犠牲層パターン40の上に、絶縁層としてSiO層をスパッタリング法により形成し、その上に、下部電極層12としてNi層を蒸着法により形成した。次いで、金属製マスクを短冊状パターンの長辺に対して垂直な方向(即ち幅方向)に50μmずらし、誘電体層14としてSiO層をスパッタリング法により形成し、その上に、上部電極層16としてNi層を蒸着法により形成した。SiO層の厚みは50nm、Ni層の厚みは25nmであった。下部電極層12と上部電極層16とは、平面視において互いに重なっていない領域が幅方向に50μmずつ存在した。このようにして、図9に示すような断面形状を有する矩形の積層体10が犠牲層パターン40の上に形成された。積層体10の長さLは1.0mmであり、幅Wは500μmであった。なお、図9に示す断面図は、積層体の巻回方向に対して垂直な断面図(即ち、積層体の長さ方向に対して垂直な断面図)である。
(円筒部の形成)
このようにして得られた積層体10を複数配列した基板32(図10(a))の全面にフォトレジスト42を塗布し(図10(b))、パターニングを行って積層体10の一方の短辺側のフォトレジスト42を除去した。次いで、フォトレジスト42を除去した箇所を、フッ酸水溶液を用いてエッチングして、積層体10の一部を除去し、犠牲層40を露出させた(図10(c))。次いで、フォトレジスト42を除去し(図10(d))、犠牲層40が露出した部分に過酸化水素水を供給し、積層体10の一方の短辺側から徐々に犠牲層40をエッチングした。犠牲層40のエッチングに従って積層体10が巻回した。このような手順により、直径が50μm、長さが500μmの複数の円筒部2(コンデンサ素体)を基板32上に作製した。
(樹脂部の形成(樹脂固め工程))
上述のように円筒部2が形成された基板32の外縁部にダムを造り、ダムの内部に樹脂を流し込んで、円筒部を樹脂で浸した。次いで、真空加熱によって樹脂中の空気を除去し、樹脂を円筒部の内部に十分に含侵させた。これを150℃のオーブンにて一昼夜保存して樹脂を熱硬化させた。その後、円筒部2および硬化された樹脂が形成された基板23を室温付近まで急冷し、基板32と樹脂の応力差によって基板32から樹脂を剥離させた。剥離した樹脂には円筒状のコンデンサが含まれていた。樹脂の剥離部に樹脂を塗布し、同様に熱硬化させて円筒部2を樹脂中に封止した。
(外部電極の形成)
上述の手順で得られた円筒部2を包埋する樹脂を、1つの円筒部2を含む単位にダイサーでカットし、次いで、円筒部2の両端にある樹脂部を研磨して、一方の端面において下部電極層を露出させ、他方の端面において上部電極層を露出させた。この端面(露出面)に、電解めっきにより第1外部電極4および第2外部電極6をそれぞれ形成して、上部電極層16と第1外部電極4とを接続し、下部電極層12と第2外部電極6とを接続した。このようにして得られた例1の巻回型コンデンサ1は1つの円筒部2およびこれらを包埋する樹脂部8を含み、図11に示すような断面形状を有した。
[例2および例20]
積層体10の長さLおよび幅Wを下記の表1に示す値に設定した以外は例1と同様の手順で、例2および例20の巻回型コンデンサを作製した。
[例3〜19および例21〜25]
(積層体の形成および円筒部の形成)
積層体10の長さLおよび幅Wを下記の表1に示す値に設定した以外は例1と同様の手順で、複数の円筒部2を基板32上に作製した。
(樹脂部の形成(樹脂固め工程))
このように形成した円筒部2を剥離テープで基板32から剥離し、複数の円筒部2を剥離テープ上に並列に配置した。並列に配置した円筒部2の数は、下記の表1に示す。剥離テープ上に、上述の複数の円筒部2を囲むようにダムを造り、ダムの内部に樹脂を流し込んで、円筒部2を樹脂で浸した。次いで、真空加熱によって樹脂中の空気を除去し、樹脂を円筒部2の内部に十分に含侵させた。これを150℃のオーブンにて一昼夜保存して樹脂を熱硬化させた。硬化させた樹脂から剥離テープを剥離した。樹脂から剥離テープを剥離した部分に樹脂を塗布し、同様に熱硬化させて円筒部2を樹脂中に封止した。
(外部電極の形成)
上述の手順で得られた、複数の円筒部2を包埋する樹脂を、円筒部2の端面に沿ってダイサーでカットし、次いで、円筒部2の両端にある樹脂部を研磨して、一方の端面において下部電極層を露出させ、他方の端面において上部電極層を露出させた。この端面(露出面)に、電解めっきにより第1外部電極4および第2外部電極6をそれぞれ形成して、上部電極層16と第1外部電極4とを接続し、下部電極層12と第2外部電極6とを接続した。このようにして得られた例3〜19および例21〜25の巻回型コンデンサ1は並列に配置された複数の円筒部2およびこれらを包埋する樹脂部8を含むものである。
(ESRの測定)
得られた円筒コンデンサについて、インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、E4990A)を用いて、温度25±2℃、電圧1Vrms、測定周波数10MHzの条件でESRを測定した。各例につき10個の測定を行い、その平均値を表1に示した。
Figure 2019502260

*印を付したものは本発明の範囲外である。
表1に示す結果より、L/Wの値が同じである場合、並列に配置された円筒部の個数が多いほど、巻回型コンデンサの抵抗値が低くなったことがわかる。表1に示すように、L/Wの値が4以上であり、かつ円筒部を2個以上含む例5、7、8、10、12、21および22の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて2.5Ω以下の低い抵抗値を示した。これに対し、L/Wの値が4.0であり、円筒部を1つのみ含む例20の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて5.0Ωの高い抵抗値を示した。また、L/Wの値が3.0であり、かつ円筒部を3個以上含む例18および19の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて2.5Ω以下の低い抵抗値を示した。これに対し、L/Wの値が3.0であり、円筒部を2個のみ含む例17の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて3.3Ωの高い抵抗値を示した。L/Wの値が2.0であり、かつ円筒部を4個以上含む例11および16の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて2.5Ω以下の低い抵抗値を示した。これに対し、L/Wの値が2.0であり、3個以下の円筒部を含む例1、3、6、9、14および15の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて3.3Ω以上の高い抵抗値を示した。L/Wの値が1.0であり、かつ円筒部を8個含む例25の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて2.5Ωの低い抵抗値を示した。これに対し、L/Wの値が1.0以上2.0未満であり、8個より少ない円筒部を含む例2、4、13、23および24の巻回型コンデンサは、周波数10MHzにおいて3.3Ω以上の高い抵抗値を示した。表1に示す結果から明らかであるように、本発明の範囲内である巻回型コンデンサによれば、ESRを十分に低減することができる。具体的には、実施例に示す構成を有する巻回型コンデンサの場合、本発明の範囲内である例5、7、8、10〜12、16、18、19、21、22および25の巻回型コンデンサは、周波数10MHzでのESRの値を2.5Ω以下に低減することができた。また、本発明の範囲内である上述の各例の巻回型コンデンサにおいて、欠陥の発生が少なかった。これは、上述の各例において、積層体の長さLが3mm以下であったからであると考えられる。
(静電容量およびインピーダンスの測定)
例1および例5の巻回型コンデンサについて、インピーダンスアナライザーを用いて静電容量およびインピーダンスカーブを取得した。例5の巻回型コンデンサの静電容量およびインピーダンスの測定結果を図12および図13に示し、例1の巻回型コンデンサの静電容量およびインピーダンスの測定結果を図14および図15に示す。
図12に示すように、L/Wの値が4.0であり、かつ並列に配置された2つの円筒部を含む例5の巻回型コンデンサは、100kHzを超える高周波領域においても約1nF以上の高い静電容量を有した。これに対し、図14に示すように、L/Wの値が2.0であり、かつ円筒部を1つのみ含む例1の巻回型コンデンサは、100kHzを超える高周波領域において、1nFよりも小さい静電容量を有した。また、図13および図15に示すように、例5の巻回型コンデンサは、例1の巻回型コンデンサよりもインダクタンスが低下し、高周波側に共振周波数を有した。その結果、例5の巻回型コンデンサは、高周波数の交流電流に対して、例1の巻回型コンデンサよりも低いインピーダンスを示した。
本発明に係るコンデンサは、小型で且つESRおよびESLが小さいので、高周波数領域であっても好適に使用することができ、小型化および高性能化が求められる種々の電子機器において好適に用いられる。
1 巻回型コンデンサ
2 円筒部
4 第1外部電極
6 第2外部電極
8 樹脂部
10 積層体
12 下部電極層
14 誘電体層
16 上部電極層
18 絶縁層
21 第2の誘電体層
22 第3の電極層
24 部分
25 拡散防止層
26 密着層
27 界面層
32 基板
34 犠牲層
36 フォトレジスト
38 フォトレジストパターン
40 犠牲層パターン
42 フォトレジスト

Claims (16)

  1. 並列に配置された複数の円筒部であって、該円筒部は、上部電極層、下部電極層および誘電体層を少なくとも含む積層体が、前記上部電極層と前記下部電極層との間に少なくとも前記誘電体層をはさんで巻回されたものであり、前記上部電極層は、前記円筒部の一方の端部に引き出されており、前記下部電極層は、前記円筒部の他方の端部に引き出されている、円筒部と、
    前記複数の円筒部の一方の端部に配置され、該複数の円筒部の上部電極層と電気的に接続する第1外部電極と、
    前記複数の円筒部の他方の端部に配置され、該複数の円筒部の下部電極層と電気的に接続する第2外部電極と
    を含む巻回型コンデンサであって、
    前記積層体の巻回方向に対して平行な方向における寸法を長さLとし、前記積層体の積層方向および巻回方向に対して垂直な方向の寸法を幅Wとすると、
    前記積層体の幅Wに対する長さLの割合L/Wが4以上であるとき、前記巻回型コンデンサは2以上の前記円筒部を含み、
    L/Wが3以上4未満であるとき、前記巻回型コンデンサは3以上の前記円筒部を含み、
    L/Wが2以上3未満であるとき、前記巻回型コンデンサは4以上の前記円筒部を含み、
    L/Wが1以上2未満であるとき、前記巻回型コンデンサは8以上の前記円筒部を含む、巻回型コンデンサ。
  2. 前記長さLが3mm以下である、請求項1に記載の巻回型コンデンサ。
  3. 前記円筒部の厚さが100μm以下である、請求項1または2に記載の巻回型コンデンサ。
  4. 前記円筒部は、下部電極層、誘電体層および上部電極層を順に積層した積層体が巻回されたものであり、
    前記積層体において、前記下部電極層の下に、更に拡散防止層が積層されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサ。
  5. 前記拡散防止層と前記下部電極層との間に、更に密着層が積層されている、請求項4に記載の巻回型コンデンサ。
  6. 前記円筒部は、下部電極層、誘電体層および上部電極層を順に積層した積層体が巻回されたものであり、
    前記積層体において、前記誘電体層と前記上部電極層との間、および/または前記誘電体層と前記下部電極層との間に、更に界面層が積層されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサ。
  7. 前記円筒部は、下部電極層、誘電体層および上部電極層を順に積層した積層体が巻回されたものであり、
    前記積層体において、前記下部電極層の下に、更に絶縁層が積層されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサ。
  8. 前記円筒部は、下部電極層、誘電体層および上部電極層を順に積層した積層体が巻回されたものであり、
    前記積層体において、前記上部電極層の上に、更に別の誘電体層および別の電極層が順に積層されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサ。
  9. 前記円筒部が樹脂部に包埋されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサ。
  10. 基板上に犠牲層を形成する工程と、
    複数の円筒部を形成する工程であって、
    ・前記犠牲層の上に、下部電極層、上部電極層、および下部電極層と上部電極層との間にはさまれる誘電体層を少なくとも含む積層体を形成する工程と、
    ・前記犠牲層を除去することにより前記積層体を巻回させて円筒部を得る工程と
    を含む、工程と、
    前記複数の円筒部を並列に配置する工程と、
    前記複数の円筒部の上部電極層と電気的に接続する第1外部電極を前記複数の円筒部の一方の端部に形成し、前記複数の円筒部の下部電極層と電気的に接続する第2外部電極を前記複数の円筒部の他方の端部に形成する工程と
    を含む、巻回型コンデンサの製造方法であって、
    前記積層体の巻回方向に対して平行な方向における寸法を長さLとし、前記積層体の積層方向および巻回方向に対して垂直な方向の寸法を幅Wとすると、
    前記積層体の幅Wに対する長さLの割合L/Wが4以上であるとき、前記巻回型コンデンサは2以上の前記円筒部を含み、
    L/Wが3以上4未満であるとき、前記巻回型コンデンサは3以上の前記円筒部を含み、
    L/Wが2以上3未満であるとき、前記巻回型コンデンサは4以上の前記円筒部を含み、
    L/Wが1以上2未満であるとき、前記巻回型コンデンサは8以上の前記円筒部を含む、方法。
  11. 前記積層体を形成する工程が、前記下部電極層、前記誘電体層および前記上部電極層を順に形成することを含み、
    更に、前記下部電極層を形成する前に、拡散防止層を形成する工程を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記積層体を形成する工程が、前記下部電極層、前記誘電体層および前記上部電極層を順に形成することを含み、
    更に、前記拡散防止層と前記下部電極層の間に、密着層を形成する工程を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記積層体を形成する工程が、前記下部電極層、前記誘電体層および前記上部電極層を順に形成することを含み、
    更に、前記誘電体層と上部電極層との間、および/または前記誘電体層と前記下部電極層との間に、界面層を形成する工程を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記積層体を形成する工程が、前記下部電極層、前記誘電体層および前記上部電極層を順に形成することを含み、
    更に、前記下部電極層を形成する前に、絶縁層を形成する工程を含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記積層体を形成する工程が、前記下部電極層、前記誘電体層および前記上部電極層を順に形成することを含み、
    更に、前記上部電極層上に別の誘電体層および別の電極層を順に形成する工程を含む、請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 更に、前記第1外部電極および前記第2電極を形成する前に、並列に配置された前記複数の円筒部の樹脂固めを行う工程を含む、請求項10〜15のいずれか1項に記載の方法。
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