JP2019204876A - 巻回型コンデンサの製造方法及び巻回型コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】巻きずれが生じ難い巻回型コンデンサの製造方法を提供する。【解決手段】巻回型コンデンサの製造方法は、基板上に犠牲層を形成する工程と、犠牲層上に、第1金属層4、誘電体層5及び第2金属層6を形成して積層体101を得る工程と、犠牲層を除去することにより積層体を巻回させて円筒体を得る工程と、円筒体を切断して、第1金属層が第1電極及び第1ダミー電極を含み、第2金属層が第2電極及び第2ダミー電極を含む、2つ以上の円筒部を得る工程と、円筒部の端面に第1外部電極及び第2外部電極を形成する工程と、を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、巻回型コンデンサの製造方法及び該方法により製造される巻回型コンデンサに関する。
近年、電子機器の高密度実装化に伴って、より大きな静電容量を有し、より小さなコンデンサが求められている。このようなコンデンサとして、例えば、巻回型コンデンサが挙げられ、中でもより小さなコンデンサとして自己巻回型コンデンサが知られている。自己巻回型コンデンサは、一般的に、次のように製造されている。まず、基板上に犠牲層を形成し、犠牲層の上に第1金属層(下部電極層)、誘電体層及び第2金属層(上部電極層)を順に形成して積層体を得る。次いで、積層体の巻回を開始する側からエッチング液等を供給して、犠牲層を徐々に除去することにより、積層体が基材から剥がれ、巻回して円筒体が得られる。その後、第1金属層及び第2金属層の終端部に電極端子が接続されることにより、電気的に接続され、自己巻回型コンデンサが製造される。
このような自己巻回型コンデンサの製造方法において、特許文献1には、他の電気要素に接続するための一対の外部電極を、第1金属層(下部電極層)、誘電体層及び第2金属層(上部電極層)を含んでなる積層体が巻回して得られる円筒部の両端に設置することにより、等価直列抵抗(ESR)が小さく、高周波数領域であっても良好に使用することができる巻回型コンデンサが提供される旨が記載されている。
前述のような自己巻回型コンデンサは、第1金属層、誘電体層及び第2金属層等を含んでなる積層体が、積層体全体として、第1金属層から第2金属層に向かう方向の内部応力を有する。このような内部応力は、例えば積層体の下方の層である第1金属層に引張応力を与え、積層体の上方の層である第2金属層に圧縮応力を与えることにより生じさせることができる。自己巻回型コンデンサの製造工程では、積層体が第1金属層から第2金属層に向かう方向の内部応力を有することにより、基板から解放された積層体は、その応力により曲成し、自己巻回することが可能になる。
しかしながら、このような自己巻回型コンデンサは、巻回される積層体における各金属層の配置箇所及び層を形成する材料の差異等の様々な要因によって、巻回力に差が生じることが分かった。巻回力に差が生じると、形成される巻回型コンデンサにおいて巻きずれが生じ得る。巻回型コンデンサは一般的に極めて小さいサイズであるため、巻きずれのような構造上の欠陥を有すると、耐久性の低下及びコンデンサとしての機能上の不備等を与えてしまう可能性がある。
例えば、特許文献1に記載の巻回型コンデンサは、積層体を巻回させて得られた円筒部の一端において第2金属層(上部電極層)が電気的に接続され、円筒部の他端において第1金属層(下部電極層)が電気的に接続されるように、第2金属層(上部電極層)と第1金属層(下部電極層)との配置にずれを生じさせている。そのため、巻回された積層体、即ち形成された巻回型コンデンサにおいて、巻きずれが生じ得る。
そこで、本開示は、巻回構造において巻きずれが生じ難い巻回型コンデンサの製造方法及び該方法により製造される巻回型コンデンサを提供することを目的とする。
本開示の第1の要旨によれば、巻回型コンデンサの製造方法であって、
基板上に犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層上に、第1金属層、誘電体層及び第2金属層を形成して積層体を得る工程と、
前記犠牲層を除去することにより前記積層体を巻回させて円筒体を得る工程と、
前記円筒体を切断して、前記第1金属層が第1電極及び第1ダミー電極を含み、前記第2金属層が第2電極及び第2ダミー電極を含む、2つ以上の円筒部を得る工程と、
前記円筒部の端面に第1外部電極及び第2外部電極を形成する工程と、を含み、
前記第1金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の第1溝により、第1電極部及び第1ダミー電極部に分断されており、前記第1溝、前記第1電極部及び前記第1ダミー電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記第2金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の第2溝により、第2電極部及び第2ダミー電極部に分断されており、前記第2溝、前記第2電極部及び前記第2ダミー電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記第1溝及び前記第2溝は、平面視において異なる箇所に配置されており、
前記円筒部の一方の端面には前記第1電極が露出し、前記円筒部の他方の端面には前記第2電極が露出し、前記他方の端面と前記第1電極との間に前記第1ダミー電極が位置し、前記一方の端面と前記第2電極との間に前記第2ダミー電極が位置し、
前記第1外部電極は、前記第1電極と電気的に接続され、前記第2外部電極は、前記第2電極と電気的に接続されている、
巻回型コンデンサの製造方法が提供される。
基板上に犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層上に、第1金属層、誘電体層及び第2金属層を形成して積層体を得る工程と、
前記犠牲層を除去することにより前記積層体を巻回させて円筒体を得る工程と、
前記円筒体を切断して、前記第1金属層が第1電極及び第1ダミー電極を含み、前記第2金属層が第2電極及び第2ダミー電極を含む、2つ以上の円筒部を得る工程と、
前記円筒部の端面に第1外部電極及び第2外部電極を形成する工程と、を含み、
前記第1金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の第1溝により、第1電極部及び第1ダミー電極部に分断されており、前記第1溝、前記第1電極部及び前記第1ダミー電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記第2金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の第2溝により、第2電極部及び第2ダミー電極部に分断されており、前記第2溝、前記第2電極部及び前記第2ダミー電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記第1溝及び前記第2溝は、平面視において異なる箇所に配置されており、
前記円筒部の一方の端面には前記第1電極が露出し、前記円筒部の他方の端面には前記第2電極が露出し、前記他方の端面と前記第1電極との間に前記第1ダミー電極が位置し、前記一方の端面と前記第2電極との間に前記第2ダミー電極が位置し、
前記第1外部電極は、前記第1電極と電気的に接続され、前記第2外部電極は、前記第2電極と電気的に接続されている、
巻回型コンデンサの製造方法が提供される。
本開示の第1の要旨の1つの態様において、前記円筒部の前記一方の端面には前記第1電極及び前記第2ダミー電極が露出し、前記円筒部の前記他方の端面には前記第1ダミー電極及び前記第2電極が露出し得る。
本開示の第1の要旨の1つの態様において、前記円筒部を得る工程では、偶数個の円筒部を得てもよい。
本開示の第1の要旨の1つの態様において、前記積層体を得る工程では、更に、前記第2金属層上に、1以上の別の誘電体層及び1以上の別の金属層を形成し、
前記円筒部を得る工程では、前記別の金属層が別の金属層の電極及び別の金属層のダミー電極を更に含む円筒部を得て、
前記別の金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の別の金属層の溝により、別の金属層の電極部及び別の金属層のダミー電極部に分断されており、前記別の金属層の溝、前記別の金属層のダミー電極部及び前記別の金属層の電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記円筒部の前記一方の端面及び前記他方の端面のいずれかには、前記別の金属層の電極が露出し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれかは、前記別の金属層の電極と電気的に接続され得る。
前記円筒部を得る工程では、前記別の金属層が別の金属層の電極及び別の金属層のダミー電極を更に含む円筒部を得て、
前記別の金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の別の金属層の溝により、別の金属層の電極部及び別の金属層のダミー電極部に分断されており、前記別の金属層の溝、前記別の金属層のダミー電極部及び前記別の金属層の電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記円筒部の前記一方の端面及び前記他方の端面のいずれかには、前記別の金属層の電極が露出し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれかは、前記別の金属層の電極と電気的に接続され得る。
本開示の第1の要旨の1つの態様において、前記積層体を得る工程では、更に、前記犠牲層上に、巻回補助層を形成し得る。
本開示の第1の要旨の1つの態様において、前記積層体を得る工程では、更に、最上層として保護層を形成し得る。
本開示の第2の要旨によれば、第1金属層、誘電体層及び第2金属層の順に積層された積層体が前記第2金属層を内側にして巻回された円筒部と、第1外部電極及び第2外部電極と、を備え、
前記第1金属層は、巻回方向に沿って形成された第1溝の両側にそれぞれ位置する、第1電極及び第1ダミー電極を含み、
前記第2金属層は、巻回方向に沿って形成された第2溝の両側にそれぞれ位置する、第2ダミー電極及び第2電極を含み、
前記第1電極と前記第2電極とは、少なくとも一部が対向して位置し、
前記円筒部の一方の端面には前記第1電極が露出し、前記円筒部の他方の端面には前記第2電極が露出し、前記他方の端面と前記第1電極との間に前記第1ダミー電極が位置し、前記一方の端面と前記第2電極との間に前記第2ダミー電極が位置し、
前記第1外部電極は、前記第1電極と電気的に接続され、前記第2外部電極は、前記第2電極と電気的に接続されている、
巻回型コンデンサが提供される。
前記第1金属層は、巻回方向に沿って形成された第1溝の両側にそれぞれ位置する、第1電極及び第1ダミー電極を含み、
前記第2金属層は、巻回方向に沿って形成された第2溝の両側にそれぞれ位置する、第2ダミー電極及び第2電極を含み、
前記第1電極と前記第2電極とは、少なくとも一部が対向して位置し、
前記円筒部の一方の端面には前記第1電極が露出し、前記円筒部の他方の端面には前記第2電極が露出し、前記他方の端面と前記第1電極との間に前記第1ダミー電極が位置し、前記一方の端面と前記第2電極との間に前記第2ダミー電極が位置し、
前記第1外部電極は、前記第1電極と電気的に接続され、前記第2外部電極は、前記第2電極と電気的に接続されている、
巻回型コンデンサが提供される。
本開示の第2の要旨の1つの態様において、前記円筒部の前記一方の端面には前記第1電極及び前記第2ダミー電極が露出し、前記円筒部の前記他方の端面には前記第1ダミー電極及び前記第2電極が露出し得る。
本開示の第2の要旨の1つの態様において、前記円筒部は、更に、前記第2金属層上に、1以上の別の誘電体層及び1以上の別の金属層が積層され、前記1以上の別の金属層を内側にして巻回されており、
前記別の金属層は、巻回方向に沿って形成された別の金属層の溝の両側にそれぞれ位置する、別の金属層の電極及び別の金属層のダミー電極を含み、
前記円筒部の前記一方の端面及び前記他方の端面のいずれかには、前記別の金属層の電極が露出し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれかは、前記別の金属層の電極と電気的に接続され得る。
前記別の金属層は、巻回方向に沿って形成された別の金属層の溝の両側にそれぞれ位置する、別の金属層の電極及び別の金属層のダミー電極を含み、
前記円筒部の前記一方の端面及び前記他方の端面のいずれかには、前記別の金属層の電極が露出し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれかは、前記別の金属層の電極と電気的に接続され得る。
本開示の第2の要旨の1つの態様において、前記円筒部は、更に、前記第1金属層下に、巻回補助層が積層され、巻回され得る。
本開示の第2の要旨の1つの態様において、前記円筒部は、更に、最上層として保護層が積層され、前記保護層を内側にして巻回され得る。
本開示の巻回型コンデンサの製造方法によると、巻回構造において巻きずれを有し難く、且つ耐久性に優れた潰れ難い巻回型コンデンサを提供することができる。
以下、図面を用いて本開示の1つの実施形態について詳述するが、本発明はかかる実施形態に限定されない。
図1A〜図1C、図1E、図1F、図1H、図1I、図1K及び図1Lは、巻回型コンデンサの製造過程における積層体の巻回方向に垂直な断面を示す。図1D、図1G及び図1Jは、各々、図1Cの第1金属層、図1Fの第2金属層及び図1Iの第3金属層のパターンの真上(即ち、基板と反対側)からの平面視における概略を示す。図1Mは、巻回型コンデンサの製造途中における円筒体の概略を示す。図2は、製造された巻回型コンデンサの概略を示す。図3は、製造された巻回型コンデンサを構成する積層体の巻回方向に垂直な断面を示す。以下、これらの図面を用いて、本開示の1つの実施形態における巻回型コンデンサの製造方法及び製造された巻回型コンデンサについて、詳細に説明する。
本実施形態における巻回型コンデンサ104は、図2及び3に示すように、巻回補助層3、第1金属層4(第1電極4b’及び第1ダミー電極4c’を含む)、第1誘電体層5、第2金属層6(第2電極6b’及び第2ダミー電極6c’を含む)、第2誘電体層7、第3金属層8(第3電極8b’及び第1ダミー電極8c’を含む)及び保護層9の順に積層された積層体101が保護層9を内側にして巻回された円筒部103と、第1外部電極10a及び第2外部電極10bとを備える。図3に示すように、第1電極4b’と第2電極6b’とが一部分において対向して位置しており、更に、第2電極6b’と第3電極8b’とが一部分において対向して位置している。このように電極同士が対向して位置している部分が巻回型コンデンサ104の静電容量形成部として機能する。
上述の巻回型コンデンサ104は、次のように製造される。
第1に、図1Aに示すように、基板1上に犠牲層2を形成する。基板1は、主基板1a上に熱酸化膜1bが形成されて構成されている。
主基板1a及び熱酸化膜1bを形成する材料は、特に限定されない。しかし、犠牲層2の成膜に悪影響を及ぼさず、後に記載するエッチング液に対して安定な材料が好ましい。このような主基板1aの材料としては、例えば、シリコン、シリカ、マグネシア等が挙げられる。主基板1aの大きさは、特に限定されないが、例えばSEMI規格で4インチ以上8インチ以下程度のものを用いることができる。熱酸化膜1bは、これらの材料を酸化させた膜である。熱酸化膜1bを形成することにより、基板としての機能を向上させることができ、更に、例えば主基板1aが導電性を有する場合、基板1とその上に形成される層からなる素子等とをその特性上分離させる機能を果たす。
犠牲層2を形成する材料は、後述する積層体を形成した後に、例えばエッチング処理等により除去することができる材料であれば特に限定されない。好ましくは、高温においても比較的安定な材料である。例えば、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。
犠牲層2の厚みは、特に限定されない。例えば、5nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上70nm以下、より好ましくは30nm以上60nm以下、更に好ましくは40nm以上50nm以下である。
犠牲層2の形成方法は、特に限定されない。直接基板1上に形成してもよい。或いは別途形成した犠牲層2の膜を基板1に貼り付けることにより形成してもよい。直接基板1上に形成する方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、化学蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法等が挙げられる。更に、後に積層される種々の層について好適な土台となるように、フォトリソグラフィー技術を用いることによって適切なパターンを形成してもよい。
或いは、犠牲層2は、基板1上に前駆体層を形成し、これを処理することにより得てもよい。例えば、基板1上に金属層を形成し、これを酸化することにより、犠牲層2を形成してもよい。
第2に、図1Bに示すように、犠牲層2の上に、巻回補助層3を形成する。犠牲層2の上に巻回補助層3を形成しておくことにより、巻回型コンデンサの製造時に、犠牲層2が上に形成される金属層に拡散することを抑制することができる。
巻回補助層3を形成する材料は、特に限定されない。例えば、次に述べる金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム(AlOx:例えばAl2O3)、酸化ケイ素(SiOx:例えばSiO2)、Al−Ti複合酸化物(AlTiOx)、Si−Ti複合酸化物(SiTiOx)、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化タンタル(TaOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、Hf−Si複合酸化物(HfSiOx)、Zr−Si複合酸化物(ZrSiOx)、Ti−Zr複合酸化物(TiZrOx)、Ti−Zr−W複合酸化物(TiZrWOx)、酸化チタン(TiOx)、Sr−Ti複合酸化物(SrTiOx)、Pb−Ti複合酸化物(PbTiOx)、Ba−Ti複合酸化物(BaTiOx)、Ba−Sr−Ti複合酸化物(BaSrTiOx)、Ba−Ca−Ti複合酸化物(BaCaTiOx)、Si−Al複合酸化物(SiAlOx)、Sr−Ru複合酸化物(SrRuOx)、Sr−V複合酸化物(SrVOx)等が挙げられる。金属窒化物としては、窒化アルミニウム(AlNy)、窒化ケイ素(SiNy)、Al−Sc複合窒化物(AlScNy)、窒化チタン(TiNy)等が挙げられる。金属酸窒化物としては、酸窒化アルミニウム(AlOxNy)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)、Hf−Si複合酸窒化物(HfSiOxNy)、Si−C複合酸窒化物(SiCzOxNy)等が挙げられる。これらのうち、特に、AlOx又はSiOxが好ましい。なお、前述の式は、単に元素の構成を表現するものであり、組成を限定するものではない。即ち、O、N及びCに付されたx、y及びzは任意の値であってもよく、金属元素を含む各元素の存在比率は任意である。
巻回補助層3の厚みは、特に限定されない。例えば、5nm以上50nm以下、好ましくは10nm以上30nm以下である。巻回補助層3の厚みを5nm以上とすることにより、犠牲層2を構成する成分の拡散を確実に抑制することができる。更に、巻回補助層3が絶縁性材料から形成されている場合、絶縁性を高めることができ、漏れ電流を小さくすることが可能になる。更に、層の厚みを50nm以下、特に30nm以下とすることにより、巻回径を小さくしてコンデンサの小型化を可能にしつつ、且つコンデンサの静電容量をできる限り大きくすることができる。また、巻回補助層3は巻回時に不要に(例えば所望しないレベルで)犠牲層2をエッチングしないための保護層としても機能する。
巻回補助層3を形成する方法としては、例えば、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、PLD法等が挙げられる。これらのうち、特にALD法が用いられる。ALD法は、層を構成する原料を含む反応ガスにより原子層を一層ずつ堆積させて膜を形成するので、非常に均質で緻密な膜を形成することができる。ALD法により犠牲層2上に巻回補助層3を形成することによって、犠牲層2を構成する成分が他の層、例えば上に形成される金属層に拡散することを効果的に抑制できる。更に、ALD法により形成された巻回補助層3は、非常に薄く均質で緻密であるので、巻回補助層3が絶縁性材料から形成されている場合、漏れ電流が小さく高絶縁性の膜とすることができる。ALD法により形成される膜は主に非晶質であるため、その組成は化学量論比に限定されず、種々の組成比率で構成され得る。
第3に、図1C及び図1Dに示すように、巻回補助層3の上に、第1金属層4を形成する。図1C及び図1D、特に図1Dに示すように、第1金属層4は、巻回方向に沿って、換言すれば巻回方向と平行に形成された2つの第1溝4aにより、第1電極部4b及び第1ダミー電極部4cに分断されている。第1溝4a、第1電極部4b及び第1ダミー電極部4cは、平面視において巻回方向(図1Dにおいて、図面上下方向)に沿った中心線αに対して対称に配置されている。なお、本明細書において、「平面視」とは、積層体のパターンを真上から見る視点(パターンが積層される方向から見る視点)を言う。
本明細書において、「ダミー電極部」とは、金属層として電極部と同様に形成されるが、最終的に巻回型コンデンサが製造された際に、「ダミー電極」を構成し、コンデンサ内部における電極としての機能を実質的に発揮しない部分を言う。
第1金属層4を形成する材料は、導電性の金属であれば特に限定されない。例えば、Ni、Cr、Cu、Al、W、Ti、Ag、Au、Pt、Zn、Sn、Pb、Fe、Mo、Ru、Pd、Ta及びこれらの合金等が挙げられる。或いは、これらの金属からなる膜を2以上重ねて1つの金属層を形成していてもよい。
第1金属層4の厚みは、特に限定されないが、例えば10nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下、より好ましくは20nm以上60nm以下、更に好ましくは30nm以上70nm以下である。
第1金属層4の形成方法は、特に限定されない。その下に存在する層上に直接形成してもよく、或いは別途形成した膜をその下に存在する層に貼り付けることにより形成してもよい。その下に存在する層上に直接形成する方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、化学蒸着法、ALD法、PLD法等が挙げられる。
第1溝4aの幅は、第1電極部4bと第1ダミー電極部4cが短絡しない距離であれば特に限定されないが、例えば、0.1μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下であり得る。ここで、第1溝4aの幅とは、1つの溝において、第1電極部4bと第1ダミー電極部4cと間の距離が最も小さい場所の幅を意味する。
2つの第1溝4aは、好ましくは、例えば図1Dに示すように、第1金属層4において、できる限り第1電極部4bの幅をより大きく、且つ第1ダミー電極部4cの幅をより小さくするような位置に形成される。このような位置に第1溝4aを形成することによって、後に形成される誘電体層を挟んだ上の層の電極部と対向する領域を広げることができ、最終的に製造される巻回型コンデンサの静電容量をより大きくすることができる。
2つの第1溝4aは、当業者に公知の技術を用いて形成することができる。例えば、フォトリソグラフィー技術を用いることにより形成することができる。
第4に、図1Eにおいて示すように、第1金属層4の上に、第1誘電体層5(本明細書において単に「誘電体層」とも言う)を形成する。
第1誘電体層5を形成する材料は、絶縁性であれば特に限定されない。例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム(AlOx:例えばAl2O3)、酸化ケイ素(SiOx:例えばSiO2)、Al−Ti複合酸化物(AlTiOx)、Si−Ti複合酸化物(SiTiOx)、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化タンタル(TaOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、Hf−Si複合酸化物(HfSiOx)、Zr−Si複合酸化物(ZrSiOx)、Ti−Zr複合酸化物(TiZrOx)、Ti−Zr−W複合酸化物(TiZrWOx)、酸化チタン(TiOx)、Sr−Ti複合酸化物(SrTiOx)、Pb−Ti複合酸化物(PbTiOx)、Ba−Ti複合酸化物(BaTiOx)、Ba−Sr−Ti複合酸化物(BaSrTiOx)、Ba−Ca−Ti複合酸化物(BaCaTiOx)、Si−Al複合酸化物(SiAlOx)等が挙げられる。金属窒化物としては、窒化アルミニウム(AlNy)、窒化ケイ素(SiNy)、Al−Sc複合窒化物(AlScNy)等が挙げられる。金属酸窒化物としては、酸窒化アルミニウム(AlOxNy)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)、Hf−Si複合酸窒化物(HfSiOxNy)、Si−C複合酸窒化物(SiCzOxNy)等が挙げられる。なお、上記の式は、単に元素の構成を表現するものであり、組成を限定するものではない。即ち、O、N及びCに付されたx、y及びzは任意の値であってもよく、金属元素を含む各元素の存在比率は任意である。
第1誘電体層5の厚みは、特に限定されない。例えば、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上15nm以下、更に好ましくは5nm以上10nm以下である。層の厚みを3nm以上とすることにより、絶縁性を高めることができ、漏れ電流を小さくすることが可能になる。更に、層の厚みを100nm以下とすることにより、巻回径を小さくしてコンデンサの小型化を可能にしつつ、且つコンデンサの静電容量をできる限り大きくすることができる。
第1誘電体層5の形成方法は、特に限定されない。その下に存在する金属層上に直接形成してもよく、或いは別途形成した誘電体層の膜をその下に存在する金属層に貼り付けることにより形成してもよい。その下に存在する金属層上に直接形成する方法としては、例えば、ALD法、スパッタ法、真空蒸着法、化学蒸着法、PLD法等が挙げられる。特に、ALD法が好ましい。
第5に、図1F及び図1Gに示すように、第1誘電体層5の上に、第2金属層6を形成する。図1F及び図1G、特に図1Gに示すように、第2金属層6は、巻回方向に沿って、換言すれば巻回方向と平行に形成された2つの第2溝6aにより、第2電極部6b及び第2ダミー電極部6cに分断されている。第2溝6a、第2電極部6b及び第2ダミー電極部6cは、平面視において巻回方向(図1Gにおいて、図面上下方向)に沿った中心線αに対して対称に配置されている。
第2金属層6を形成する材料、その厚み、形成方法並びに第2溝6aの幅、形成される大凡の位置及び形成方法については、前述の第1金属層4と同様である。但し、図1Fにおいて示すように、第1金属層4の第1溝4a及び第2金属層6の第2溝6aは、平面視において異なる箇所に配置される。このように第1溝4aと第2溝6aを平面視において異なる箇所に形成することにより、最終的に製造されるコンデンサにおいて、一方の端面から連続して延在する第1電極と、他方の端面から連続して延在する第2電極とを、(少なくとも一部において)対向して存在させることができる。かかる第1電極と第2電極が対向する部分が、静電容量形成部として機能する。
第6に、図1Hに示すように、第2金属層6の上に、第2誘電体層7(本明細書において「別の誘電体層」とも言う)を形成する。
第2誘電体層7を形成する材料、その厚み及び形成方法については、前述の第1誘電体層5と同様である。
第7に、図1I及び図1Jに示すように、第2誘電体層7の上に、第3金属層8(本明細書において「別の金属層」とも言う)を形成する。図1I及び図1J、特に図1Jに示すように、第3金属層8は、巻回方向に沿って、換言すれば巻回方向と平行に形成された2つの第3溝8a(本明細書において「別の金属層の溝」とも言う)により、第3電極部8b(本明細書において「別の金属層の電極部」とも言う)及び第3ダミー電極部8c(本明細書において「別の金属層のダミー電極部」とも言う)に分断されている。第3溝8a、第3電極部8b及び第3ダミー電極部8cは、平面視において巻回方向に沿った中心線αに対して対称に配置されている。第2金属層6の上に、更に第2誘電体層7及び第3金属層8を順に形成することによって、より大きい静電容量を有するコンデンサを得ることができる。
第3金属層8を形成する材料、その厚み、形成方法並びに第3溝8aの幅、形成される大凡の位置及び形成方法については、前述の第1金属層4と同様である。但し、好ましくは、第3金属層8の第3溝8aは、巻回後切断され円筒部が形成された際に、第2金属層6の第2溝6aよりも、第1金属層4の第1溝4aが存在する側に存在するように形成される。即ち、円筒部において、第1溝4aと第3溝8aは、第2溝6aを基準として同じ端面側(本実施形態では他方の端面)に存在する。このような構成とすることにより、かかる第2電極と第3電極が対向する部分が、静電容量形成部として機能し、更に、第1電極と第2電極が構成する静電容量形成部と、第2電極と第3電極が構成する静電容量形成部が、並列に配置され、静電容量が大きいコンデンサを得ることができる。
第8に、図1Kにおいて示すように、最上層として保護層9を形成する。
保護層9は、形成された積層体を巻回する場合に、金属層同士が電気的に接触してショートすることを防止するために形成される。従って、保護層9を形成する材料は、絶縁性であれば特に限定されない。例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、樹脂等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化アルミニウム(AlOx:例えばAl2O3)、酸化ケイ素(SiOx:例えばSiO2)、Al−Ti複合酸化物(AlTiOx)、Si−Ti複合酸化物(SiTiOx)、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化タンタル(TaOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、Hf−Si複合酸化物(HfSiOx)、Zr−Si複合酸化物(ZrSiOx)、Ti−Zr複合酸化物(TiZrOx)、Ti−Zr−W複合酸化物(TiZrWOx)、酸化チタン(TiOx)、Sr−Ti複合酸化物(SrTiOx)、Pb−Ti複合酸化物(PbTiOx)、Ba−Ti複合酸化物(BaTiOx)、Ba−Sr−Ti複合酸化物(BaSrTiOx)、Ba−Ca−Ti複合酸化物(BaCaTiOx)、Si−Al複合酸化物(SiAlOx)等が挙げられる。金属窒化物としては、窒化アルミニウム(AlNy)、窒化ケイ素(SiNy)、Al−Sc複合窒化物(AlScNy)等が挙げられる。金属酸窒化物としては、酸窒化アルミニウム(AlOxNy)、酸窒化ケイ素(SiOxNy)、Hf−Si複合酸窒化物(HfSiOxNy)、Si−C複合酸窒化物(SiCzOxNy)等が挙げられる。なお、上記の式は、単に元素の構成を表現するものであり、組成を限定するものではない。即ち、O、N及びCに付されたx、y及びzは任意の値であってもよく、金属元素を含む各元素の存在比率は任意である。樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ、ポリエステル、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
保護層9を形成する材料として、特に、誘電体層として機能する材料を用いることにより、より大きい静電容量を有するコンデンサを得ることができる。
保護層9の厚みは、特に限定されない。例えば、3nm以上100nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上15nm以下、更に好ましくは5nm以上10nm以下である。層の厚みを3nm以上とすることにより、絶縁性を高めることができ、漏れ電流を小さくすることが可能になる。更に、層の厚みを100nm以下とし、保護層9を誘電体層として機能する材料を用いることにより、巻回径を小さくしてコンデンサの小型化を可能にしつつ、且つコンデンサの静電容量をできる限り大きくすることができる。
保護層9の形成方法は、特に限定されない。その下に存在する金属層上に直接形成してもよく、或いは別途形成した誘電体層の膜をその下に存在する金属層に貼り付けることにより形成してもよい。その下に存在する金属層上に直接形成する方法としては、例えば、ALD法、スパッタ法、真空蒸着法、化学蒸着法、PLD法等が挙げられる。特に、ALD法が好ましい。
図1Kにおいて示されるように、本実施形態では、巻回補助層3、第1金属層4、第1誘電体層5、第2金属層6、第2誘電体層7(別の誘電体層)、第3金属層8(別の金属層)及び保護層9が順に形成され、積層体101が得られる。
このように形成される積層体101は、第1金属層4から第3金属層8に向かう方向の内部応力を有する。かかる内部応力は、積層体101の下方の層に引張応力を与え、及び/又は積層体101の上方の層に圧縮応力を与えることにより生じさせることができる。好ましくは、積層体101は、第1金属層4が引張応力を有し、且つ第3金属層8が圧縮応力を有するように形成される。より好ましくは、第2金属層6の引張応力が第1金属層4よりも小さく第3金属層8よりも大きくなるように形成される。更に好ましくは、第2金属層6の圧縮応力が第1金属層4よりも大きく第3金属層8よりも小さくなるように形成される。当業者であれば、前述したような金属層の材料、厚み及び形成方法を適宜選択することにより、各金属層に好適な引張応力を与えることが可能である。更に、各金属層の成膜後の処理(熱処理等)によっても引張応力を与えて、適宜調整することが可能である。積層体101が第1金属層4から第3金属層8に向かう方向の内部応力を有することにより、後述する工程において基板1及び犠牲層2から解放された積層体101がその応力により曲成し、自己巻回することが可能になる。
第9に、図1L及び図1Mに示すように、犠牲層2を除去することにより積層体101を巻回させて円筒体102を得る。
図1Lは、図1Kに示す一点鎖線の部分で積層体101のパターンを切断して、犠牲層2を完全に除去した後の積層体101の巻回方向に垂直な断面を示す。切断の際、積層体101のパターンについて、前述した各金属層における中心線αに対する対称性が失われないように、且つ切断された両方の端面において第1電極部4b、第2ダミー電極部6c及び第3電極部8bが露出するように切断する。これらの端面は、巻回後の円筒体102の両方の端面となり、更に後の製造工程での円筒部103の一方の端面となる。
なお、本明細書において、円筒体の端面又は円筒部の端面(一方の端面及び他方の端面)とは、円筒体又は円筒部の中心軸と交わる端面を意味する。
犠牲層2を完全に除去した後、図1Mに示すように、保護層9を最も内側にし、巻回補助層3を最も外側にして積層体101は巻回し、2つのコンデンサの単位、即ち2つの円筒部103からなる円筒体102が形成される。
犠牲層2の除去方法は、特に限定されない。例えば、エッチング液を用いて犠牲層2がエッチングされる。具体的には、例えば、積層体101の巻回を開始する箇所の犠牲層2(又は基板1)を、エッチング等により露出させ、そこからエッチング液を流し込み、犠牲層2をエッチングすることにより、犠牲層2を除去することができる。
エッチング液は、犠牲層2及び積層体101を構成する層を形成する材料に応じて適宜選択することができる。例えば、犠牲層2が酸化亜鉛から形成されている場合、好ましくは炭酸水が用いられる。例えば、犠牲層2が酸化ゲルマニウムから形成されている場合、好ましくは過酸化水素水が用いられる。
犠牲層2は、例えば、積層体101の一端から徐々に除去される。積層体101は、犠牲層2が除去された部分から順に基板1から離れ、その内部応力によって曲成して巻回し、円筒体102が形成される。
ここで、前述したように、巻回前の各金属層における溝、電極部及びダミー電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線αに対して対称に配置されており、各金属層の配置箇所等に起因する巻回力の差が生じ難いため、それに伴い、巻回して形成された円筒体102についても巻きずれが起こり難くなっている。
円筒体102における巻回数は特に限定されず、1回であっても、複数回であってもよく、得られる巻回型コンデンサに求められる大きさ(巻回径)及び静電容量に応じて適宜選択することができる。
第10に、円筒体102を切断して、2つの円筒部103を得る。1つの円筒部103は、1つのコンデンサを構成する単位となる。円筒体102の切断方法は、ダイシング等の当業者に公知の任意の方法を用いればよい。
この際、それぞれの円筒部103の一方の端面には、第1電極4b’、第2ダミー電極6c’及び第3電極8b’が露出し、他方の端面には、第1ダミー電極4c’、第2電極6b’及び第3ダミー電極8c’が露出するように切断する。更に詳細には、一方の端面から連続して延在する第1電極4b’と、他方の端面から連続して延在する第2電極6b’とが対向し、一方の端面から連続して延在する第3電極8b’と、他方の端面から連続して延在する第2電極6b’とが対向するような位置で切断する。
前述したように、本実施形態では、犠牲層2を除去する前に、積層体101のパターンの両方の端面において、第1電極部4b、第2ダミー電極部6c及び第3電極部8bが露出するように切断されている。従って、更に、円筒体102の図1L及び図1Mに示す一点鎖線の箇所(各金属層の平面視における中心線αと一致する箇所)のみを切断することによって、それぞれの円筒部103の一方の端面に、第1電極4b’、第2ダミー電極6c’及び第3電極8b’を露出させ、他方の端面に、第1ダミー電極4c’、第2電極6b’及び第3ダミー電極8c’を露出させることができる。
円筒部103の長軸方向の長さ及び巻回径は、所望する大きさに設計すればよく、限定されない。例えば、長軸方向の長さは、100μm以上900μm以下、好ましくは200μm以上800μm以下、より好ましくは300μm以上600μm以下、更に好ましくは300μm以上500μm以下である。例えば、巻回径は、5μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下、より好ましくは15μm以上80μm以下、更に好ましくは15μm以上50μm以下、より更に好ましくは20μm以上40μm以下である。
最後に、図2に示すように、円筒部103の一方の端面に第1外部電極10aを形成し、他方の端面に第2外部電極10bを形成することにより、巻回型コンデンサ104を得る。当業者であれば、これらの外部電極の材料及び形成方法は、各金属層の材料及び形状に応じて、適宜選択することができる。例えば、第1外部電極10a及び第2外部電極10bを形成する材料は、導電性であれば特に限定されないが、Ag、Cu、Pt、Ni、Al、Pd及びAu並びにこれらの合金等が挙げられる。例えば、第1外部電極10a及び第2外部電極10bの形成方法は、特に限定されないが、メッキ法、蒸着法、スパッタ法等が挙げられる。
上述のようにして、本実施形態の巻回型コンデンサ104が製造される。巻回型コンデンサ104は、図3に示すように、第1金属層4は巻回方向に沿って形成された第1溝4aの両側にそれぞれ位置する第1電極4b’及び第1ダミー電極4c’を含み、第2金属層6は巻回方向に沿って形成された第2溝6aの両側にそれぞれ位置する第2ダミー電極6c’及び第2電極6b’を含み、第3金属層8は巻回方向に沿って形成された第3溝8aの両側にそれぞれ位置する第3電極8b’及び第3ダミー電極8c’を含む。前述したように、第1溝4aと第2溝6aは平面視において異なる箇所に配置されており、且つ第3溝8aは第2溝6aよりも第1溝4aが存在する側に存在するように形成されているため、巻回型コンデンサ104の静電容量は大きいものとなっている。
円筒部103の一方の端面には第1電極4b’、第2ダミー電極6c’及び第3電極8b’が露出し、他方の端面には第1ダミー電極4c’、第2電極6b’及び第3ダミー電極8c’が露出しているため、第1外部電極10aは第1電極4b’及び第3電極8b’と電気的に接続され、第2外部電極10bは第2電極6b’と電気的に接続されている。
上述してきた本実施形態の方法で製造された巻回型コンデンサ104は、巻回構造において巻きずれを有し難くなっている。これは、前述したとおり、巻回前の各金属層における溝、電極部及びダミー電極部が、平面視において巻回方向に沿った中心線αに対して対称に配置されており、各金属層の配置箇所等に起因する巻回力の差が生じ難く、巻回後の円筒体102の構造において巻きずれが起こり難いためである。このような構造の円筒体102を切断して、最終的に同様にほとんど巻きずれが生じていない巻回型コンデンサ104を得ることができる。
更に、本実施形態の方法を用いてコンデンサを製造することによって、一度の巻回で多数の巻回型コンデンサ104を同時に製造することが可能となる。また、本実施形態の巻回型コンデンサ104は、各金属層のダミー電極が実際に外部電極に接続される各金属層の電極と同じように円筒部103の一方の端面及び他方の端面のいずれかに露出して配置されているため、耐久性に優れた潰れ難い構造となっている。
なお、他の実施形態では、巻回型コンデンサ104は、各金属層の電極(第1電極4b’、第2電極6b’及び第3電極8b’(別の金属層の電極))が一方の端面及び他方の端面のいずれかに露出していればよく、各金属層のダミー電極(第1ダミー電極4c’、第2ダミー電極6c’及び第3ダミー電極8c’(別の金属層のダミー電極))は、一方の端面及び他方の端面のいずれかに必ずしも露出している必要はない。詳細には、円筒部103の他方の端面と第1電極4b’との間に第1ダミー電極4c’が位置し、一方の端面と第2電極6b’との間に第2ダミー電極6c’が位置し、他方の端面(他方の端面及び一方の端面のいずれか)と第3電極8b’(別の金属層の電極)との間に第3ダミー電極8c’(別の金属層のダミー電極)が位置していれば、一方の端面及び他方の端面のいずれかに各ダミー電極が露出していなくても構わない(以下、このような形態を、端面において金属層の電極(及びダミー電極)が適宜露出する(円筒体102の場合は、端面において金属層の電極部(及びダミー電極部)が適宜露出する)、とも言う。)。例えば、いずれかの端面と各ダミー電極との間に間隙が存在し、該間隙は各誘電体層の材料等で埋められていてもよい。このような円筒部103の構造であっても、各金属層においてダミー電極が電極と同じように積層されていることには変わりはないため、巻回型コンデンサに巻きずれが生じ難く、耐久性に優れた潰れ難い構造となる。
別の実施形態では、第2金属層6の上に、第2誘電体層7(別の誘電体層)及び第3金属層8(別の金属層)を形成しなくてもよい。例えば、図4は、本開示のかかる別の実施形態における巻回型コンデンサを構成する積層体を示す図であり、積層体の巻回方向に垂直な断面を示す。図4に示すように、積層体201は、巻回補助層3、第1金属層4、誘電体層5及び第2金属層6の順に積層されている。このような積層体201が巻回された円筒部103を備える巻回型コンデンサ104を製造する場合、第1金属層4及び第2金属層6の材料、厚み及び形成方法を適宜選択して、第1金属層4から第2金属層6に向かう方向の内部応力を持たせることにより、自己巻回させることが可能となる。更に、巻回した円筒体102を切断する際、円筒部103の一方の端面には第1電極4b’及び第2ダミー電極6c’が露出し、他方の端面には第1ダミー電極4c’及び第2電極6b’が露出するように切断すればよい。或いは、前述の他の実施形態と組み合わせて、円筒部103の一方の端面に第1電極4b’のみが露出し、他方の端面には第2電極6b’のみが露出するように切断してもよい。円筒部103の端面に2つの外部電極を形成する際には、第1外部電極10aは第1電極4b’と電気的に接続され、第2外部電極10bは第2電極6b’と電気的に接続される。
他の実施形態では、前述の実施形態の基板1を主基板1aのみで構成させても構わない。
別の実施形態では、金属層が巻回方向に沿って形成された溝により電極部及びダミー電極部に分断されており、各溝、電極部及びダミー電極部が平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置され、且つ第1溝4a及び第2溝6aが平面視において異なる箇所に配置されているという条件さえ満たせば、金属層の溝、電極部及びダミー電極部の数や形状は限定されない。但し、各金属層の溝は、2つ以上である。
或いは、別の実施形態では、更により大きい静電容量を有するコンデンサを得るため、第2金属層6上に、2以上の別の誘電体層及び2以上の別の金属層を同様の構造及び配置(金属層は巻回方向に沿って形成された金属層の溝により金属層の電極部及び金属層のダミー電極部に分断されており、金属層の溝、金属層のダミー電極部及び金属層の電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置される)において形成してもよい。かかる別の実施形態では、巻回した円筒体102を切断する際、それぞれの円筒部103の端面において2以上の別の金属層の電極(及びダミー電極)が適宜露出するように切断すればよい。第1外部電極10a及び第2外部電極10bとの接続は、コンデンサとして適切に機能するように、各金属層の電極と適切に電気的に接続されていればよい。
他の実施形態では、各誘電体層と金属層との間に界面層を形成してもよい。界面層を形成する材料は、例えばNi、Pdが挙げられる。界面層の形成方法は、特に限定されない。直接その下層の上に形成してもよく、又は別途形成した膜をその下層の上に貼り付けることにより形成してもよい。直接その下層の上に形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、化学蒸着法、スパッタ法、ALD法、PLD法が挙げられる。
別の実施形態では、積層体101を巻回させて円筒体102を得た後、円筒体102を樹脂中に浸漬させてもよい。樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ、ポリエステル、シリコン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等を用いることができる。浸漬は、円筒体102の内部にまで樹脂が含浸するのに十分な時間行われ得る。次いで、樹脂を硬化させて所望の形状に切り出し、円筒体102の端面において金属層の電極部(及びダミー電極部)が適宜露出するように、例えば研磨する。その後、樹脂固めされた円筒体102を、円筒部103の端面において金属層の電極(及びダミー電極)が適宜露出するように切断する。このように巻回後の円筒体102を樹脂固めすることによって、円筒体102及び切断後の円筒部103が保護され、取り扱いが容易となり、コンデンサの特性を安定化させることができる。
別の実施形態では、金属層同士(第1金属層4並びに第2金属層6(及び1以上の別の金属層))が電気的に接触する可能性がない場合等には、巻回補助層3、第2誘電体層7及び保護層9のうちの1以上は必ずしも形成する必要はない。或いは、これら全ての層を形成しなくても、本開示の巻回型コンデンサを製造することができる。この場合、好ましくは、例えば、何らかの他の構成要素等を更に備える(例えば、樹脂等を最上層に備える等)等によって、絶縁性を有し得る。
前述の実施形態では犠牲層2を除去する前に積層体101のパターンを切断しているが、別の実施形態では、後の円筒体102の切断工程において、円筒部103の端面において金属層の電極(及びダミー電極)が適宜露出するように、一方の端面及び他方の端面となる箇所をまとめて切断してもよい。
別の実施形態では、円筒体102は2以上の円筒部103、特に、偶数個の円筒部103を含んでもよい。例えば、図5は、本開示のかかる別の実施形態における巻回型コンデンサの製造方法の工程を示す図であり、積層体の巻回方向に垂直な断面を示す。図5に示すように、かかる別の実施形態では、積層体301を巻回させて円筒体102を得て、該円筒体102を切断すると、4つの円筒部103が得られる。
以下に本開示の実施例を示す。下記の本開示の実施例の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。
・犠牲層パターン形成
Si基板(4インチ基板、厚み525μm(SEMI規格))を準備し、N2/O2雰囲気下、150℃の温度で酸化させることにより、全面に厚み1.0μmのSiO2の熱酸化膜を形成した。更に、その上にスパッタ装置を用いて、全面に厚み50nmのZnO層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含むマスクを介して露光し、現像して、犠牲層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外の犠牲層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の積層体形成箇所の土台となるZnOからなる犠牲層パターン(3200μm×1500μm)を形成した。
Si基板(4インチ基板、厚み525μm(SEMI規格))を準備し、N2/O2雰囲気下、150℃の温度で酸化させることにより、全面に厚み1.0μmのSiO2の熱酸化膜を形成した。更に、その上にスパッタ装置を用いて、全面に厚み50nmのZnO層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含むマスクを介して露光し、現像して、犠牲層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外の犠牲層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の積層体形成箇所の土台となるZnOからなる犠牲層パターン(3200μm×1500μm)を形成した。
・巻回補助層パターン形成
犠牲層パターンを形成した後、基板全面に、巻回補助層として、厚み30nmのAl2O3層を、ALD装置(JSW−AFTY社製、基板温度:250℃)を用いて形成した。
犠牲層パターンを形成した後、基板全面に、巻回補助層として、厚み30nmのAl2O3層を、ALD装置(JSW−AFTY社製、基板温度:250℃)を用いて形成した。
・第1金属層パターン形成
巻回補助層パターン形成後の基板上に、スパッタ装置(ULVAC社製のCS−200)を用いて、全面に厚み30nmのNi層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含む所定のマスクを介して露光し、現像して、Ni層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外のNi層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の厚み30nmの所定のNiパターン(金属層の溝、電極部及びダミー電極部が平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置される)からなる第1金属層パターンを形成した。
巻回補助層パターン形成後の基板上に、スパッタ装置(ULVAC社製のCS−200)を用いて、全面に厚み30nmのNi層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含む所定のマスクを介して露光し、現像して、Ni層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外のNi層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の厚み30nmの所定のNiパターン(金属層の溝、電極部及びダミー電極部が平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置される)からなる第1金属層パターンを形成した。
・第1誘電体層パターン形成
第1金属層パターンを形成した後、基板全面に、第1誘電体層として、厚み10nmのAl2O3層を、ALD装置(JSW−AFTY社製、基板温度:250℃)を用いて形成した。
第1金属層パターンを形成した後、基板全面に、第1誘電体層として、厚み10nmのAl2O3層を、ALD装置(JSW−AFTY社製、基板温度:250℃)を用いて形成した。
・第2金属層パターン形成
第1誘電体層パターン形成後の基板上に、スパッタ装置(ULVAC社製のCS−200)を用いて、全面に厚み30nmのNi層を成膜した。更に、Ni層の上に、蒸着装置を用いて、全面に厚み20nmのCr層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含む所定のマスクを介して露光し、現像して、Cr層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外のNi及びCr層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の厚み30nmのNi及び厚み20nmのCrの所定の上層Cr/下層Niパターンからなる第2金属層パターン(金属層の溝、電極部及びダミー電極部が平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置される)を形成した。第2金属層パターンの溝は、第1金属層パターンの溝と平面視において異なる箇所に配置した。
第1誘電体層パターン形成後の基板上に、スパッタ装置(ULVAC社製のCS−200)を用いて、全面に厚み30nmのNi層を成膜した。更に、Ni層の上に、蒸着装置を用いて、全面に厚み20nmのCr層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含む所定のマスクを介して露光し、現像して、Cr層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外のNi及びCr層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の厚み30nmのNi及び厚み20nmのCrの所定の上層Cr/下層Niパターンからなる第2金属層パターン(金属層の溝、電極部及びダミー電極部が平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置される)を形成した。第2金属層パターンの溝は、第1金属層パターンの溝と平面視において異なる箇所に配置した。
・第2誘電体層パターン形成
第2金属層パターンを形成した後、基板全面に、第2誘電体層として、厚み10nmのAl2O3層を、ALD装置(JSW−AFTY社製、基板温度:250℃)を用いて形成した。
第2金属層パターンを形成した後、基板全面に、第2誘電体層として、厚み10nmのAl2O3層を、ALD装置(JSW−AFTY社製、基板温度:250℃)を用いて形成した。
・第3金属層パターン形成
第2誘電体層パターン形成後の基板上に、スパッタ装置(ULVAC社製のCS−200)を用いて、全面に厚み30nmのNi層を成膜した。更に、Ni層の上に、蒸着装置を用いて、全面に厚み40nmのCr層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含む所定のマスクを介して露光し、現像して、Cr層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外のNi及びCr層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の厚み30nmのNi及び厚み40nmのCrの所定の上層Cr/下層Niパターンからなる第3金属層パターン(金属層の溝、電極部及びダミー電極部が平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置される)を形成した。
第2誘電体層パターン形成後の基板上に、スパッタ装置(ULVAC社製のCS−200)を用いて、全面に厚み30nmのNi層を成膜した。更に、Ni層の上に、蒸着装置を用いて、全面に厚み40nmのCr層を成膜した。この上にポジ型のフォトレジストを全面に塗布し、次いで、4つのコンデンサの単位のパターンを含む所定のマスクを介して露光し、現像して、Cr層上に硬化したフォトレジストを作製した。この基板を、炭酸水を含むエッチング液に浸漬し、硬化したフォトレジスト部以外のNi及びCr層を除去した。次いで、有機溶剤を用いて硬化したフォトレジストを除去し、4つのコンデンサの単位の厚み30nmのNi及び厚み40nmのCrの所定の上層Cr/下層Niパターンからなる第3金属層パターン(金属層の溝、電極部及びダミー電極部が平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置される)を形成した。
・保護層パターン形成
第3金属層パターンを形成した後、基板全面に、保護層として、厚み10nmのHfO2層を、ALD装置(Ultratech社製のsavannah、基板温度:350℃)を用いて形成した。
第3金属層パターンを形成した後、基板全面に、保護層として、厚み10nmのHfO2層を、ALD装置(Ultratech社製のsavannah、基板温度:350℃)を用いて形成した。
上記のようにして、基板上に矩形の積層体(幅3200μm、長さ500μm、高さ1.26μmのパターン)を形成した。
・円筒体の形成(巻回工程)
作製した積層体のパターンの一端から炭酸水を供給し、ZnOの犠牲層を徐々にエッチングした。ZnOの犠牲層がエッチングされるに従って、積層体が巻回し、巻回径80μm、長さ3200μmの4つのコンデンサの単位を含む円筒体を得た。この円筒体の形成の際において、レーザー顕微鏡(キーエンス社製のレーザー顕微鏡装置)の測定機能を利用して巻きずれを調べたが、巻きずれは確認できなかった。
作製した積層体のパターンの一端から炭酸水を供給し、ZnOの犠牲層を徐々にエッチングした。ZnOの犠牲層がエッチングされるに従って、積層体が巻回し、巻回径80μm、長さ3200μmの4つのコンデンサの単位を含む円筒体を得た。この円筒体の形成の際において、レーザー顕微鏡(キーエンス社製のレーザー顕微鏡装置)の測定機能を利用して巻きずれを調べたが、巻きずれは確認できなかった。
・巻回型コンデンサの作製(切断及び外部電極形成工程)
形成された円筒体をダイサーで切断して、巻回径80μm、長さ500μmの4つの円筒部を得た。これらの円筒部は、一方の端面において第1金属層の電極、第2金属層のダミー電極及び第3金属層の電極を露出させ、他方の端面において第1金属層のダミー電極、第2金属層の電極及び第3金属層のダミー電極を露出させた。この両方の端面の露出面に15分間電解メッキして、2μm以上3μm以下の厚みの外部電極を形成し、巻回型コンデンサを作製した。
形成された円筒体をダイサーで切断して、巻回径80μm、長さ500μmの4つの円筒部を得た。これらの円筒部は、一方の端面において第1金属層の電極、第2金属層のダミー電極及び第3金属層の電極を露出させ、他方の端面において第1金属層のダミー電極、第2金属層の電極及び第3金属層のダミー電極を露出させた。この両方の端面の露出面に15分間電解メッキして、2μm以上3μm以下の厚みの外部電極を形成し、巻回型コンデンサを作製した。
本開示の巻回型コンデンサの製造方法によると、巻回構造において巻きずれが生じておらず、且つ耐久性に優れた潰れ難い巻回型コンデンサを一度の巻回工程にて同時に多数製造することができる。
1 基板
1a 主基板
1b 熱酸化膜
2 犠牲層
3 巻回補助層
4 第1金属層
4a 第1溝
4b 第1電極部
4b’ 第1電極
4c 第1ダミー電極部
4c’ 第1ダミー電極
5 第1誘電体層(又は誘電体層)
6 第2金属層
6a 第2溝
6b 第2電極部
6b’ 第2電極
6c 第2ダミー電極部
6c’ 第2ダミー電極
7 第2誘電体層(又は別の誘電体層)
8 第3金属層(又は別の金属層)
8a 第3溝(又は別の金属層の溝)
8b 第3電極部(又は別の金属層の電極部)
8b’ 第3電極(又は別の金属層の電極)
8c 第3ダミー電極部(又は別の金属層のダミー電極部)
8c’ 第3ダミー電極(又は別の金属層のダミー電極)
9 保護層
10a 第1外部電極
10b 第2外部電極
101、201、301 積層体
102 円筒体
103 円筒部
104 巻回型コンデンサ
1a 主基板
1b 熱酸化膜
2 犠牲層
3 巻回補助層
4 第1金属層
4a 第1溝
4b 第1電極部
4b’ 第1電極
4c 第1ダミー電極部
4c’ 第1ダミー電極
5 第1誘電体層(又は誘電体層)
6 第2金属層
6a 第2溝
6b 第2電極部
6b’ 第2電極
6c 第2ダミー電極部
6c’ 第2ダミー電極
7 第2誘電体層(又は別の誘電体層)
8 第3金属層(又は別の金属層)
8a 第3溝(又は別の金属層の溝)
8b 第3電極部(又は別の金属層の電極部)
8b’ 第3電極(又は別の金属層の電極)
8c 第3ダミー電極部(又は別の金属層のダミー電極部)
8c’ 第3ダミー電極(又は別の金属層のダミー電極)
9 保護層
10a 第1外部電極
10b 第2外部電極
101、201、301 積層体
102 円筒体
103 円筒部
104 巻回型コンデンサ
Claims (11)
- 巻回型コンデンサの製造方法であって、
基板上に犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層上に、第1金属層、誘電体層及び第2金属層を形成して積層体を得る工程と、
前記犠牲層を除去することにより前記積層体を巻回させて円筒体を得る工程と、
前記円筒体を切断して、前記第1金属層が第1電極及び第1ダミー電極を含み、前記第2金属層が第2電極及び第2ダミー電極を含む、2つ以上の円筒部を得る工程と、
前記円筒部の端面に第1外部電極及び第2外部電極を形成する工程と、を含み、
前記第1金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の第1溝により、第1電極部及び第1ダミー電極部に分断されており、前記第1溝、前記第1電極部及び前記第1ダミー電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記第2金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の第2溝により、第2電極部及び第2ダミー電極部に分断されており、前記第2溝、前記第2電極部及び前記第2ダミー電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記第1溝及び前記第2溝は、平面視において異なる箇所に配置されており、
前記円筒部の一方の端面には前記第1電極が露出し、前記円筒部の他方の端面には前記第2電極が露出し、前記他方の端面と前記第1電極との間に前記第1ダミー電極が位置し、前記一方の端面と前記第2電極との間に前記第2ダミー電極が位置し、
前記第1外部電極は、前記第1電極と電気的に接続され、前記第2外部電極は、前記第2電極と電気的に接続されている、
巻回型コンデンサの製造方法。 - 前記円筒部の前記一方の端面には前記第1電極及び前記第2ダミー電極が露出し、前記円筒部の前記他方の端面には前記第1ダミー電極及び前記第2電極が露出している、請求項1に記載の巻回型コンデンサの製造方法。
- 前記円筒部を得る工程では、偶数個の円筒部を得る、請求項1又は2に記載の巻回型コンデンサの製造方法。
- 前記積層体を得る工程では、更に、前記第2金属層上に、1以上の別の誘電体層及び1以上の別の金属層を形成し、
前記円筒部を得る工程では、前記別の金属層が別の金属層の電極及び別の金属層のダミー電極を更に含む円筒部を得て、
前記別の金属層は、巻回方向に沿って形成された2つ以上の別の金属層の溝により、別の金属層の電極部及び別の金属層のダミー電極部に分断されており、前記別の金属層の溝、前記別の金属層のダミー電極部及び前記別の金属層の電極部は、平面視において巻回方向に沿った中心線に対して対称に配置されており、
前記円筒部の前記一方の端面及び前記他方の端面のいずれかには、前記別の金属層の電極が露出し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれかは、前記別の金属層の電極と電気的に接続されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサの製造方法。 - 前記積層体を得る工程では、更に、前記犠牲層上に、巻回補助層を形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサの製造方法。
- 前記積層体を得る工程では、更に、最上層として保護層を形成する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサの製造方法。
- 第1金属層、誘電体層及び第2金属層の順に積層された積層体が前記第2金属層を内側にして巻回された円筒部と、第1外部電極及び第2外部電極と、を備え、
前記第1金属層は、巻回方向に沿って形成された第1溝の両側にそれぞれ位置する、第1電極及び第1ダミー電極を含み、
前記第2金属層は、巻回方向に沿って形成された第2溝の両側にそれぞれ位置する、第2ダミー電極及び第2電極を含み、
前記第1電極と前記第2電極とは、少なくとも一部が対向して位置し、
前記円筒部の一方の端面には前記第1電極が露出し、前記円筒部の他方の端面には前記第2電極が露出し、前記他方の端面と前記第1電極との間に前記第1ダミー電極が位置し、前記一方の端面と前記第2電極との間に前記第2ダミー電極が位置し、
前記第1外部電極は、前記第1電極と電気的に接続され、前記第2外部電極は、前記第2電極と電気的に接続されている、
巻回型コンデンサ。 - 前記円筒部の前記一方の端面には前記第1電極及び前記第2ダミー電極が露出し、前記円筒部の前記他方の端面には前記第1ダミー電極及び前記第2電極が露出している、請求項7に記載の巻回型コンデンサ。
- 前記円筒部は、更に、前記第2金属層上に、1以上の別の誘電体層及び1以上の別の金属層が積層され、前記1以上の別の金属層を内側にして巻回されており、
前記別の金属層は、巻回方向に沿って形成された別の金属層の溝の両側にそれぞれ位置する、別の金属層の電極及び別の金属層のダミー電極を含み、
前記円筒部の前記一方の端面及び前記他方の端面のいずれかには、前記別の金属層の電極が露出し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極のいずれかは、前記別の金属層の電極と電気的に接続されている、
請求項7又は8に記載の巻回型コンデンサ。 - 前記円筒部は、更に、前記第1金属層下に、巻回補助層が積層され、巻回されている、請求項7〜9のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサ。
- 前記円筒部は、更に、最上層として保護層が積層され、前記保護層を内側にして巻回されている、請求項7〜10のいずれか1項に記載の巻回型コンデンサ。
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JP2018099053A JP2019204876A (ja) | 2018-05-23 | 2018-05-23 | 巻回型コンデンサの製造方法及び巻回型コンデンサ |
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