JP2008166470A - 電子部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 抵抗値(ESR)が高く、抵抗値(ESR)を任意に制御することが可能な電子部品及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 卑金属を含む内部電極層22とセラミック絶縁層21とを有し、内部電極層22の端面が露出したセラミック積層体2を形成するセラミック積層体形成工程と、セラミック積層体2の内部電極層22の露出面に、内部電極層22の端面の一部を被覆するように貴金属を含む端子電極層3を形成する端子電極層形成工程と、酸化雰囲気中で酸化処理することにより、内部電極層22の端面のうち端子電極層3により被覆されていない領域を酸化し、酸化物絶縁領域22aとする酸化物絶縁領域形成工程とを有する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、卑金属を含む内部電極層及びセラミック絶縁層を有するセラミック積層体を有する電子部品及びその製造方法に関する。
例えばDC−DCコンバータやスイッチング電源等の2次側回路では、平滑回路の等価直列抵抗(ESR)が帰還ループの位相特性に大きな影響を与え、特にESRが極端に低くなると問題が生ずることがある。すなわち、平滑コンデンサとしてESRの低い積層セラミックコンデンサを使用すると、2次側平滑回路が等価的にLとC成分のみで構成されてしまい、回路内に存在する位相成分が±90°及び0°のみとなり、位相の余裕がなくなり容易に発振してしまう。同様な現象は3端子レギュレータを用いた電源回路においても負荷変動時の発振現象として現れる。あるいは、CR回路等においても、低電流化に伴って周波数によってインピーダンスが変化し、電圧変動が生ずることが課題となっている。例えば、近年のCPUのデュアルコア化等に伴い、数kHz〜100MHzの周期で電流変動が生じ、電源のインピーダンスによって電圧変動が生じている。そこで、これらの不都合に対処するために、積層セラミックコンデンサの端子電極に抵抗層を形成し、これを抵抗として機能させることによりESRをある程度高めるようにしたCR複合部品等の電子部品が提案されている(例えば特許文献1等を参照)。
特許文献1には、内部電極が形成された積層セラミックコンデンサ素体と、該コンデンサ素体の内部電極が表出する端面に、該内部電極と導通するように設けられた下地電極層と、該下地電極層上に設けられた抵抗層と、該抵抗層上に設けられ、該下地電極層に対して非接触となっている端子電極層とを備えてなるCR素子が開示されている。このようなCR素子を用い、抵抗層の抵抗値を適正に制御することで、周波数に関わらず電圧変動を抑えることが可能である。
一方、積層セラミックコンデンサにヒューズ機能を付与する技術も知られている。例えば特許文献2には、誘電体と内部電極とが積層され、前記各内部電極がコンデンサの両端部に設けられた外部電極に交互に接続され、前記両外部電極の少なくとも一方とこれに接続される前記各内部電極との間に、前記各内部電極よりも幅が狭いヒューズ部が介装されたヒューズ内蔵積層セラミックチップコンデンサが提案されている。
特開平10−303066号公報 特開2000−228326号公報
ところで、特許文献1に記載されるように、下地電極層と端子電極層との間に抵抗体層を設けることで積層セラミックコンデンサの抵抗値をある程度大きな値とすることは可能であるものの、抵抗値を制御する技術には何ら言及されていない。例えば抵抗体層の膜厚によって抵抗値を制御することが考えられるが、膜厚の制御は難しく、抵抗値のばらつきが大きくなるおそれがある。
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、抵抗値(ESR)が高く、抵抗値(ESR)を任意に制御することが可能な電子部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明に係る電子部品は、卑金属を含む内部電極層及びセラミック絶縁層を有し、前記内部電極層の端面が露出したセラミック積層体と、前記セラミック積層体の前記内部電極層の露出面に形成され貴金属を含む端子電極層とを有する電子部品であって、前記内部電極層の端面の一部を被覆するように前記端子電極層が形成されており、前記内部電極層の端面のうち前記端子電極層により被覆されていない領域が酸化されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子部品の製造方法は、卑金属を含む内部電極層とセラミック絶縁層とを有し、前記内部電極層の端面が露出したセラミック積層体を形成するセラミック積層体形成工程と、前記セラミック積層体の前記内部電極層の露出面に、前記内部電極層の端面の一部を被覆するように貴金属を含む端子電極層を形成する端子電極層形成工程と、酸化雰囲気中で酸化処理することにより、前記内部電極層の端面のうち前記端子電極層により被覆されていない領域を酸化し、酸化物絶縁領域とする酸化物絶縁領域形成工程とを有することを特徴とする。
本発明においては、先ず、セラミック積層体の内部電極層露出面に端子電極層を形成するが、このとき、内部電極層の端面の一部を被覆するような形状に端子電極層を形成する。この端子電極層は、セラミック積層体側への酸素の侵入を防止する機能を果たす。このため、酸化物絶縁領域形成工程においてセラミック積層体を酸化雰囲気中で酸化処理すると、内部電極層の端面のうち端子電極層により被覆された領域においては、卑金属が酸化されないため、端子電極層との電気的導通が確保される。これに対し、内部電極層の端面のうち端子電極層により被覆されていない領域においては、卑金属が酸化され、酸化物絶縁領域が形成される。この酸化物絶縁領域は、露出した内部電極層の端面が酸化してなるものであるから、内部電極層のセラミック積層体外部への露出面積を狭める役割を果たす。例えばセラミック積層体の内部電極層露出面に外部電極層を形成する場合には、この外部電極層と内部電極層のうち実質的に機能する部分との接触面積を狭める役割を果たす。したがって、得られる電子部品においては、酸化物絶縁領域の存在により各内部電極層の電流経路が一部狭くなるので、酸化物絶縁領域が存在しない場合に比べて抵抗値が高くなる。また、端子電極層の面積を制御することにより、各内部電極層の端面における酸化物絶縁領域と導電領域との面積比を制御できるので、抵抗値の制御が容易に実現される。
なお、前述の特許文献2には、内部電極の面積により抵抗値を高める技術が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載される技術は、セラミックグリーンシートに金属ペーストを塗布する際に幅を狭めることにより内部電極層の一部をヒューズ部とするものであり、端子電極層の面積によって抵抗値を制御する本発明とは根本的に異なる技術である。
本発明によれば、高い抵抗値を有し、また、抵抗値を任意の値に制御することが可能な電子部品を提供することができる。
以下、本発明を適用した電子部品及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係る電子部品であるCR複合部品1を、端子電極層3を含むように積層方向に沿って切断したときの断面図であり、図2は内部電極層22を含むように内部電極層22の主面に平行にCR複合部品1を切断したときの断面図であり、図3は外部電極層4を除いた状態のCR複合部品1の側面図である。CR複合部品1は、セラミック積層体である積層セラミックコンデンサ2を素子本体とし、内部電極層22が露出した露出面に、下地電極層として機能する端子電極層3、さらには外部電極層4をこの順に積層することにより構成されている。
図1に示すように、前記積層セラミックコンデンサ2においては、複数の誘電体セラミック層21と内部電極層22とが交互に積層されている。内部電極層22は、素子本体の対向する露出面に各側端面が交互に露出するように積層されている。素子本体の形状は特に制限されるものではないが、通常は直方体形状である。その寸法も特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法に設定すればよい。
内部電極層22は、導電性材料としてNi、Cu、Ni合金又はCu合金等の卑金属を含んでいる。内部電極層22に卑金属を用いることで、貴金属を用いた場合に比べて製造コストを削減することが可能であるが、酸化防止に留意する必要がある。内部電極層22の厚みは、用途等に応じて適宜決定すればよく、例えば0.5μm〜5μm程度であり、好ましくは1.5μm以下である。
誘電体セラミック層21は、誘電体磁器組成物により構成され、誘電体磁器組成物の粉末(セラミック粉末)を焼結することにより形成される。前記誘電体磁器組成物は、例えば組成式ABO(式中、Aサイトは、Sr、Ca及びBaから選ばれる少なくとも1種の元素で構成される。Bサイトは、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素で構成される。)で表されるペロブスカイト型結晶構造を持つ誘電体酸化物を主成分として含有するもの等を挙げることができる。前記誘電体酸化物の中でも、Aサイト元素をBaとし、Bサイト元素をTiとしたチタン酸バリウム等が好ましい。誘電体磁器組成物中には、主成分の他、各種副成分が含まれていてもよい。副成分としては、Sr、Zr、Y、Gd、Tb、Dy、V、Mo、Zn、Cd、Ti、Sn、W、Ba、Ca、Mn、Mg、Cr、Si及びPの酸化物から選ばれる少なくとも1種が例示される。副成分を添加することにより、例えば主成分の誘電特性を劣化させることなく低温焼成が可能となる。また、誘電体セラミック層21を薄層化した場合の不良の発生が低減され、長寿命化が可能となる。
前記誘電体セラミック層21の積層数や厚み等の諸条件は、要求される特性や用途等に応じ適宜決定すればよい。誘電体セラミック層21の厚みについては、1μm〜50μm程度であり、通常は5μm〜20μm程度であるが、5μm以下とすることも可能である。例えば、積層セラミックコンデンサ2の小型化、大容量化を図る観点では、誘電体セラミック層21の厚さは3μm以下とすることが好ましい。誘電体セラミック層2の積層数は、2層〜300層程度であるが、特性を考慮すると150層以上とすることが好ましい。
積層セラミックコンデンサ2の内部電極層22の露出面には、一対の端子電極層3がこれら内部電極層22と導通されるように形成されている。端子電極層3に含まれる導電金属材料としては、電気的導通が可能なものであれば如何なる金属材料であってもよいが、耐酸化性に優れ緻密な端子電極層3の形成が可能で、且つ内部電極層22の保護機能に優れる貴金属材料が好適である。具体的には、Ag、Pd、Au、Pt、あるいはこれらの合金を挙げることができる。端子電極層3は、内部電極層22と外部電極層4との導通を確保する機能の他、後述する酸化物絶縁領域形成工程において、積層セラミックコンデンサ2内部への酸素の侵入を防止する機能を果たす。
端子電極層3は、積層セラミックコンデンサ2の端面に露出した内部電極層22の端面の全部を被覆しているわけではなく、図2及び図3に示すように、内部電極層22の端面の一部を被覆するように形成されている。本実施形態に係るCR複合部品1においては、内部電極層22より幅の狭い長方形状の端子電極層3が、内部電極層22の幅方向略中央に配置され、各内部電極層22との導通を確保している。なお、端子電極層3の面積、形状及び位置等は、所望の抵抗値を得られるのであれば任意に設定することができる。例えば、図4に示すように、長方形状の端子電極層3を複数配置してもよいし、図5に示すように積層方向に対して端子電極層3を斜めに配置してもよい。
本発明のCR複合部品1においては、内部電極層22の端面のうち端子電極層3によって被覆されていない領域が酸化され、酸化物絶縁領域22aとされている。CR複合部品1においては、内部電極層22の端面の一部が酸化物絶縁領域22aとされることにより電流経路が一部狭くなるため、酸化物絶縁領域が存在せず内部電極層の端面全部と外部電極層とが接触するような構造に比べて、高い抵抗値が得られる。
外部電極層4は、少なくとも端子電極層3を被覆し、CR複合部品1の外部電極端子として機能する。外部電極層4に含まれる導電金属材料としては、耐酸化性に優れる貴金属材料が好適である。具体的には、Ag、Pd、Au、Pt、あるいはこれらの合金を挙げることができる。外部電極層4の外側には、めっき膜が形成されていてもよい。
以下、前述のCR複合部品1の製造方法について、図6を参照しながら説明する。
先ず、図6(a)に示すように、セラミック積層体形成工程において、公知の方法によりセラミック積層体である積層セラミックコンデンサ2を形成する。
次に、図6(b)に示すように、端子電極層形成工程において、積層セラミックコンデンサ2の内部電極層22の露出面に、内部電極層22の端面の一部を被覆するように端子電極層3を形成する。端子電極層3を形成するためには、先ず、積層セラミックコンデンサ2に所定の形状の端子電極前駆体層を形成する。端子電極前駆体層は、前述の導電金属材料及びガラス成分を含む導電ペーストをディッピングや印刷法等の手法を用いて積層セラミックコンデンサ2の端面に塗布することにより形成する。
次に、前記端子電極前駆体層を還元焼成して端子電極層3とするが、有機ビヒクル等の有機物を含有しているので、当該還元焼成に際しては、先ず端子電極前駆体層に含まれる有機物を分解除去する脱バインダ工程を行う。脱バインダ工程は、大気中、例えば400℃程度の温度で行えばよい。
前記脱バインダ工程の後、還元処理工程において端子電極前駆体層を還元処理する。還元処理は、水素等の還元性ガスを含む雰囲気中で所定の還元温度まで加熱することにより行う。通常、前記還元処理工程において、水素還元処理を施す場合、室温にて試料を雰囲気焼成可能な反応炉にセットし、密封する。炉内の雰囲気を水素含有雰囲気、例えば95%N−5%H混合ガス(N−5%H)に置換し、所定温度まで昇温し、一定時間経た後、降温する。水素濃度としては、0.1%〜10%程度に設定すればよい。先の脱バインダ工程により卑金属により形成された内部電極層22が酸化されるが、この還元処理工程を行うことにより還元され、内部電極層22本来の機能を回復する。
なお、前記還元処理工程における還元温度は、250℃〜500℃とすることが好ましい。前記還元温度が250℃未満であると、十分に内部電極層22の還元が進まなくなるおそれがある。逆に、還元温度が500℃を越えると、積層セラミックコンデンサ2を構成する誘電体セラミック層21が還元されて特性が劣化するおそれがある。
前記還元処理工程の後、焼き付け工程を行う。この焼き付け工程は、前記端子電極前駆体層を積層セラミックコンデンサ2に焼き付け、端子電極層3とするための工程である。焼き付け工程は、窒素雰囲気やArガス雰囲気等、不活性ガス雰囲気中で行う。また、その温度は、焼き付けに必要な温度とすればよく、形成される端子電極層3を緻密なものとするためには、例えば850℃以上に設定することが好ましい。
端子電極層3形成のための還元焼成工程は、以上の脱バインダ工程、還元処理工程、及び焼き付け工程の3つの工程により構成され、これら工程により、内部電極層中の卑金属の酸化を防ぎつつ端子電極層3が形成される。端子電極層形成工程の後、酸化雰囲気中で酸化処理することにより、内部電極層22の端面のうち端子電極層3によって被覆されていない領域の卑金属を酸化し、内部電極層22の端面の一部を酸化物絶縁領域22aとする。本実施形態においては、端子電極層形成工程の後、外部電極前駆体層形成工程、及び酸化物絶縁領域形成工程をこの順に行う。
外部電極前駆体層形成工程では、図6(c)に示すように、積層セラミックコンデンサ2の内部電極層22の露出面に形成された端子電極層3を少なくとも被覆するように、外部電極前駆体層41を形成する。外部電極前駆体層41は、前述の導電金属材料及びガラス成分を含む導電ペーストをディッピングや印刷法等の手法を用いて積層セラミックコンデンサ2の端面に塗布することにより形成する。
次に、酸化物絶縁領域形成工程では、酸化雰囲気中で焼成処理する。焼成処理は、例えば大気中で熱処理すればよい。これにより、図6(d)に示すように、外部電極前駆体層41を外部電極層4とする。この時、焼成雰囲気中の酸素が外部電極前駆体層41(外部電極層4)を透過してくるが、積層セラミックコンデンサ2の内部電極層22の露出面に形成された端子電極層3は酸素透過防止膜として機能するため、内部電極層22の端面のうち端子電極層3によって被覆された領域は酸化することなく、端子電極層3との導通が確保される。一方、内部電極層22の端面のうち端子電極層3が形成されていない領域においては、端面から内部に向かって卑金属の酸化が進行する。これにより、内部電極層22の端面のうち端子電極層3により被覆されていない領域が酸化物絶縁領域22aとなる。酸化物絶縁領域22aの内部電極層22端面からの深さ、すなわち、酸化物絶縁領域22aの厚みは、焼成温度及び焼成時間で制御することができる。以上の各工程を経ることにより、CR複合部品1が得られる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る電子部品について説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と重複する箇所については、説明を省略する。
図7は本実施形態に係るCR複合部品101を、端子電極層3を含むように積層方向に沿って切断したときの断面図であり、図8は内部電極層22を含むように内部電極層22の主面に平行にCR複合部品101を切断したときの断面図である。本実施形態のCR複合部品101は、端子電極層3と外部電極層4との間に抵抗体層5が形成されている点で、第1の実施形態のCR複合部品1と相違している。すなわち、CR複合部品101は、セラミック積層体である積層セラミックコンデンサ2を素子本体とし、その内部電極層22の露出面に、下地電極層として機能する端子電極層3、抵抗体層5、さらには外部電極層4をこの順に積層することにより構成されている。
抵抗体層5は、少なくとも端子電極層3を被覆するように形成される。抵抗体層5に用いられる抵抗材料は任意であり、例えばガラス成分とRuOやPbRu等のRu酸化物との混合物(いわゆるメタルグレーズ)を用いることが好ましい。ガラス成分は任意である。導電材料としてRu酸化物を含むメタルグレーズは、湿度等の影響を受け難く、適正な等価直列抵抗(ESR)を実現することが可能である。
以下、前述のCR複合部品101の製造方法について、図9を参照しながら説明する。
先ず、図9(a)に示すように、セラミック積層体形成工程において、公知の方法によりセラミック積層体である積層セラミックコンデンサ2を形成し、次に、図9(b)に示すように、端子電極層形成工程において、積層セラミックコンデンサ2の内部電極層22の露出面に、内部電極層22の端面の一部を被覆するように端子電極層3を形成する。ここまでは前述の第1の実施形態と同様である。
次に、酸化雰囲気中で酸化処理することにより、内部電極層22の端面のうち端子電極層3によって被覆されていない領域の卑金属を酸化し、酸化物絶縁領域22aとする。本実施形態においては、端子電極層形成工程の後、抵抗体前駆体層形成工程、酸化物絶縁領域形成工程、及び外部電極層形成工程をこの順に行う。
抵抗体前駆体層形成工程では、図9(c)に示すように、端子電極層3を被覆するように、抵抗体前駆体層51を形成する。抵抗体前駆体層51は、前述の抵抗体材料及びガラス成分を含む抵抗体ペーストをディッピングや印刷法等の手法を用いて積層セラミックコンデンサ2の端面に塗布することにより形成する。
次に、酸化物絶縁領域形成工程では、酸化雰囲気中で焼成処理する。焼成処理は、例えば大気中で熱処理すればよい。これにより、図9(d)に示すように、抵抗体前駆体層51を抵抗体層5とする。この時、焼成雰囲気中の酸素が抵抗体前駆体層51(抵抗体層5)を透過してくるが、積層セラミックコンデンサ2の内部電極層22の露出面に形成された端子電極層3は酸素透過防止膜として機能するため、内部電極層22の端面のうち端子電極層3によって被覆された領域は酸化することなく、端子電極層3との導通が確保される。一方、内部電極層22の端面のうち端子電極層3が形成されていない領域においては、端面から内部に向かって卑金属の酸化が進行する。これにより、内部電極層22の端面のうち端子電極層3により被覆されていない領域が酸化物絶縁領域22aとなる。酸化物絶縁領域22aの内部電極層22端面からの深さ、すなわち、酸化物絶縁領域22aの厚みは、焼成温度及び焼成時間で制御することができる。
次に、外部電極層形成工程では、図9(e)に示すように、抵抗体層5上に外部電極層4を形成する。外部電極層4を形成するに際しては、先ず、抵抗体層5を被覆するように外部電極前駆体層を形成し、次に、酸化雰囲気中で焼成処理し、外部電極前駆体層を外部電極層4とする。以上の各工程を経ることにより、CR複合部品101が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、前述の実施形態では、電子部品としてCR複合部品を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば、圧電セラミック電子部品や、通常の積層セラミックコンデンサ等の電子部品に適用することが可能である。また、端子電極層の面積制御により内部電極層の抵抗値を適切に設計することで、電子部品にヒューズ機能を付与し、例えばヒューズ機能内蔵CR複合部品とすることもできる。
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
(実験1)
実験1では、第1の実施形態に対応する構造の電子部品を作製した。
卑金属であるNi内部電極層を有するチップコンデンサ(容量1μF±20%)の端子電極層形成部分に、AgPd合金(Pd30質量%含有)を導電金属材料とする導電ぺーストを図3に示すような長方形状に印刷し、大気中350℃で脱バインダを行った。さらに、320℃で水素還元処理を行い、窒素中、950℃で焼き付けを行って端子電極層を形成した。導電ペーストに含まれるガラス成分の割合は10質量%とした。次に、端子電極層を被覆するようにAgペーストを塗布し、大気中で焼成することにより外部電極層を形成し、サンプル1〜サンプル6の電子部品を得た。
サンプル1〜サンプル6において、端子電極層の形状は、チップコンデンサの縦方向(積層方向)の寸法を固定し、横方向(内部電極の幅方向)の寸法を0〜1.0mmの範囲で可変とした。端子電極層の横方向の寸法が1mmであるサンプル1においては、露出した内部電極層の端面の全部が端子電極層によって被覆されている。表1中、本発明の範囲外であるサンプルには*印を付与した。これら各サンプルについて、等価直列抵抗(ESR)及び容量(C)を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2008166470
表1から明らかなように、内部電極層の端面の一部を端子電極層で被覆したサンプル2〜サンプル5においては、内部電極層の端面の全部を端子電極層で被覆したサンプル1に比べて高いESRが得られた。また、端子電極層の面積に応じてESRを制御できた。なお、端子電極層を形成しなかったサンプル6は、コンデンサとして機能しなかった。
(実験2)
実験2では、第2の実施形態に対応する構造の電子部品を作製した。
卑金属であるNi内部電極層を有するチップコンデンサ(容量1μF±20%)の端子電極層形成部分に、AgPd合金(Pd30質量%含有)を導電金属材料とする導電ぺーストを図3に示すような長方形状に印刷し、大気中350℃で脱バインダを行った。さらに、320℃で水素還元処理を行い、窒素中、950℃で焼き付けを行って端子電極層を形成した。導電ペーストに含まれるガラス成分の割合は10質量%とした。
次に、端子電極層を被覆するように、RuO系メタルグレーズペーストを印刷し、抵抗体前駆体層を形成した。これを大気中、850℃で焼成することにより、抵抗体層(10Ω/□)を形成した。
次に、抵抗体層を被覆するようにAgペーストを塗布し、大気中で焼成することにより外部電極層を形成し、サンプル7〜サンプル12の電子部品を得た。
サンプル7〜サンプル12の端子電極層の形状は、実験1と同様に、チップコンデンサの縦方向(積層方向)の寸法を固定し、横方向(内部電極の幅方向)の寸法を0〜1.0mmの範囲で可変とした。端子電極層の横方向の寸法が1mmであるサンプル7においては、露出した内部電極層の端面の全部が端子電極層によって被覆されている。表2中、本発明の範囲外であるサンプルには*印を付与した。これら各サンプルについて、等価直列抵抗(ESR)及び容量(C)を調べた。結果を表2に示す。
Figure 2008166470
表2から明らかなように、端子電極層と外部電極層との間に抵抗体層を介在させた場合も、実験1と同様に、内部電極層の端面の一部を被覆するように端子電極層を形成することで高いESRが得られた。また、端子電極層の面積に応じてESRを制御できた。さらに、端子電極層と外部電極層との間に抵抗体層を介在させることで、抵抗体層を持たない構造の電子部品に比較してより高いESRを得ることができた。
本発明の第1の実施形態に係る電子部品を積層方向に沿って切断したときの要部概略断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る電子部品を内部電極層の主面に平行に切断したときの断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る電子部品の外部電極層を除いた状態の側面図である。 端子電極層の変形例を示す図であり、電子部品の外部電極層を除いた状態の側面図である。 端子電極層の変形例を示す図であり、電子部品の外部電極層を除いた状態の側面図である。 本発明の第1の実施形態に係る電子部品の製造方法を説明するための図であり、左列は外部電極層を除いた状態の側面図、右列は内部電極層の主面に平行に切断したときの断面図である。(a)はセラミック積層体形成工程、(b)は端子電極層形成工程、(c)は外部電極前駆体層形成工程、(d)は酸化物絶縁領域形成工程を示す。 本発明の第2の実施形態に係る電子部品を積層方向に沿って切断したときの要部概略断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る電子部品を内部電極層の主面に平行に切断したときの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る電子部品の製造方法を説明するための図であり、左列は外部電極層を除いた状態の側面図、右列は内部電極層の主面に平行に切断したときの断面図である。(a)はセラミック積層体形成工程、(b)は端子電極層形成工程、(c)は抵抗体前駆体層形成工程、(d)は酸化物絶縁領域形成工程、(e)は外部電極層形成工程を示す。
符号の説明
1 CR複合部品、2 積層セラミックコンデンサ、3 端子電極層、4 外部電極層、5 抵抗体層、21 誘電体セラミック層、22 内部電極層、41 外部電極前駆体層、51 抵抗体前駆体層、101 CR複合部品

Claims (5)

  1. 卑金属を含む内部電極層及びセラミック絶縁層を有し、前記内部電極層の端面が露出したセラミック積層体と、前記セラミック積層体の前記内部電極層の露出面に形成され貴金属を含む端子電極層とを有する電子部品であって、
    前記内部電極層の端面の一部を被覆するように前記端子電極層が形成されており、前記内部電極層の端面のうち前記端子電極層により被覆されていない領域が酸化されていることを特徴とする電子部品。
  2. 前記端子電極層を被覆する抵抗体層と、前記抵抗体層を被覆する外部電極層とを有することを特徴とする請求項1記載の電子部品。
  3. 卑金属を含む内部電極層とセラミック絶縁層とを有し、前記内部電極層の端面が露出したセラミック積層体を形成するセラミック積層体形成工程と、
    前記セラミック積層体の前記内部電極層の露出面に、前記内部電極層の端面の一部を被覆するように貴金属を含む端子電極層を形成する端子電極層形成工程と、
    酸化雰囲気中で酸化処理することにより、前記内部電極層の端面のうち前記端子電極層により被覆されていない領域を酸化し、酸化物絶縁領域とする酸化物絶縁領域形成工程とを有することを特徴とする電子部品の製造方法。
  4. 前記端子電極層形成工程の後、前記端子電極層を被覆するように外部電極前駆体層を形成する外部電極前駆体層形成工程を行い、
    前記酸化物絶縁領域形成工程において、酸化雰囲気中で焼成処理することにより、前記内部電極層の端面のうち前記端子電極層により被覆されていない領域を酸化するとともに、前記外部電極前駆体層を外部電極層とすることを特徴とする請求項3記載の電子部品の製造方法。
  5. 前記端子電極層形成工程の後、前記端子電極層を被覆するように抵抗体前駆体層を形成する抵抗体前駆体層形成工程を行い、
    前記酸化物絶縁領域形成工程において、酸化雰囲気中で焼成処理することにより、前記内部電極層の端面のうち前記端子電極層により被覆されていない領域を酸化するとともに、前記抵抗体前駆体層を抵抗体層とすることを特徴とする請求項3記載の電子部品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009088420A (ja) * 2007-10-03 2009-04-23 Taiyo Yuden Co Ltd 積層セラミックコンデンサ
JP2013187537A (ja) * 2012-03-05 2013-09-19 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 積層セラミック電子部品及びその製造方法
JP2013197503A (ja) * 2012-03-22 2013-09-30 Taiyo Yuden Co Ltd 積層コンデンサ及びその製造方法
JP2016012730A (ja) * 2015-09-04 2016-01-21 太陽誘電株式会社 積層コンデンサ

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