JP2019217486A - 着色板材の製造方法、着色板材の製造装置および着色板材 - Google Patents

着色板材の製造方法、着色板材の製造装置および着色板材 Download PDF

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伸彦 原
池田 勝巳
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Taichi Sakakibara
太一 榊原
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Abstract

【課題】板材に不均一な着色がされた着色板材を製造できる新たな製造方法を提供する。【解決手段】板材の表面に着色塗料を塗布する塗布工程と、着色塗料が固化する前に、押し当て部材を板材の表面に接触させつつ押し当て部材と板材とを相対的に移動させることにより、着色塗料を部分的に除去する除去工程とを含む、着色板材の製造方法。ここで、除去工程においては、押し当て部材と着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、着色塗料による着色を不均一にする。【選択図】図2

Description

本発明は、着色板材の製造方法、着色板材の製造装置および着色板材に関する。
未塗装の板材に着色を施して意匠性が高い板材を得る方法や、そのための装置については、様々な検討がこれまで行われている。
例えば、特許文献1には、(1)基材に対し、液状着色塗料が内包された着色粒子を少なくとも1種以上含む多彩模様塗料を塗布し、基材上に該着色粒子を分散配置する工程、(2)塗膜の乾燥前に、押圧具を用いて該着色粒子を押圧しつつ引き伸ばす工程、(3)塗膜を乾燥させる工程、を有することを特徴とする模様面の形成方法が記載されている。
また、特許文献2および3には、塗装のためのロール(ロールコーター)が記載されている。
特開2005−131607号公報 特開2004−290844号公報 特開2000−005673号公報
最近、板材塗装において、1枚の板材の中に、色が薄い部分と色が濃い部分の両方を設ける(敢えて不均一に塗装する)ニーズがある。例えば、木材に対して、敢えて色目が不均一な塗装(例えばグラデーション塗装)をすることで、ビンテージ感や高級感が漂う着色板材とするニーズがある。このような着色板材の商品価値は高いため、板材への「不均一な塗装」は商業的に重要である。
不均一な着色板材を得る方法としては、例えば、スプレー塗装により、対象物に対して、塗料を不均一に塗装する方法がある。また、均一に着色された板材の一部を研磨して、固化した塗料の一部を除去する方法などもありうる。
しかし、スプレー塗装を行う場合、塗料が飛散するために専用ブースを設ける必要があり、また、作業者によって同一製品を複数製造することが難しい。研磨による固化した塗料の除去を行う場合には、追加の工程が必要となることや、消耗品としてヤスリが必要となることなどから、コストアップが懸念される。
上記を踏まえ、本発明は、板材に不均一な着色がされた着色板材を製造できる新たな製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させた。
本発明によれば、
板材の表面に着色塗料を塗布する塗布工程と、
前記着色塗料が固化する前に、押し当て部材を前記表面に接触させつつ前記押し当て部材と前記板材とを相対的に移動させることにより、前記着色塗料を部分的に除去する除去工程とを含み、
前記除去工程において、前記押し当て部材と前記着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、前記着色塗料による着色を不均一にする、着色板材の製造方法
が提供される。
また、本発明によれば、
板材の表面に着色塗料を塗布する塗布部と、
押し当て部材を前記表面に接触させつつ前記押し当て部材と前記板材とを相対的に移動させることにより、未固化状態の前記着色塗料を部分的に除去する除去部とを含み、
前記除去部において、前記押し当て部材と前記着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、前記着色塗料による着色を不均一にする、着色板材の製造装置
が提供される。
また、本発明によれば、
板材の表面の少なくとも一部が着色塗料により着色された着色板材であって、
前記着色板材は、基材と表層材とが貼りつけられたものであり、そして少なくとも当該表層材が着色されたものであり、
前記表層材の厚みは5mm以下であり、
前記着色板材表面には、着色が最も少ない直線状の第一部分と、前記第一部分と略平行に存在する着色が最も多い直線状の第二部分が存在し、そして当該第一部分と当該第二部分との間に、色調がグラデーション状に変化する部分が存在し、
前記第一部分のL色座標を(L ,a ,b )とし、前記第二部分のL色座標を(L ,a ,b )としたとき、以下の式(1)で定義されるΔEab の値が1.0以上であり、
式(1):{(L −L +(a −a +(b −b 1/2
前記第一部分と前記第二部分の距離をL[cm]としたとき、ΔEab /Lの値が0.1以上である着色板材
が提供される。
本発明によれば、板材に不均一な着色がされた着色板材を製造できる、新たな製造方法が提供される。
塗布工程の一例を模式的に示す図である。 除去工程の一例を模式的に示す図である。 除去工程の別の一例を模式的に示す図である。 除去工程のさらに別の一例を模式的に示す図である。 本実施形態の着色板材を模式的に示す図である。 実施例1〜6で用いられた「第一のロール」(掻き取りロール)の形状などを説明するための図である。 実施例15〜22で用いられた「補助部材」の形状などを説明するための図である。 実施例で得られた着色基材の一例を示す画像(写真)である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差や組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。例えば、「略平行」との語句は、厳密に平行である場合と、製造上の公差や組立て上のばらつき等により厳密には平行でないものの、実質的に平行として差し支えない場合の両方を含む。
本明細書中、数値範囲の説明における「a〜b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
<着色板材の製造方法>
本実施形態の着色板材の製造方法は、板材の表面に着色塗料を塗布する塗布工程(塗布工程)と、その着色塗料が固化する前に、押し当て部材を板材の表面に接触させつつ、押し当て部材と板材とを相対的に移動させることにより、着色塗料を部分的に除去する除去工程(除去工程)とを含む。
ここで、除去工程においては、押し当て部材と着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、着色塗料による着色を不均一にする。
以下、塗布工程と除去工程について説明する。
(塗布工程)
塗布工程について、図1を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、塗布工程を模式的に示した図である。図示されているように、塗布工程は、ロールコーターを用いて行うことができる。
図1では、送りロール11Aとコーティングロール11Bとが、板材1の厚さに対応して適当な間隔で離間して対向配置されている。この間隔は、板材1の厚みよりも0.50〜3.00mmほど小さいことが好ましい。このように間隔を調整することで、板材1を適度に押圧することができる。
コーティングロール11Bの周面には、ドクターロール11Cが付設されている。
これらロールは、それぞれ矢印で示されている方向に回転することができる。
送りロール11Aおよびドクターロール11Cは、通常、鉄製であり、これらの表面は滑らかに研磨されている。
コーティングロール11Bは、通常、鉄芯の表面にスポンジを巻いたものである。もちろん、スポンジ以外の素材(例えばゴムなど)であってもよい。また、送りロール11Aの表面をゴムとしてもよい。
互いに摺接するコーティングロール11Bとドクターロール11Cとの会合部には、着色塗料12が一時的に貯留されている。着色塗料12は、適当な手段(図示せず)により適時供給される。
送りロール11A、コーティングロール11Bおよびドクターロール11Cを、図1中に示されている向きに回転させる。そして、板材1を、送りロール11Aとコーティングロール11Bとで挟持しながら、図1中の矢印の方向に(左から右に)移動させる。これにより、着色塗料12が板材1の表面に塗布される。この際、送りロール11Aとコーティングロール11Bとの挟持力により、着色塗料12は押圧された状態で板材1に塗装される。
なお、ドクターロール11Cは、通常、板材1と直接接触することはない。
板材1の材質は任意のものであってよいが、典型的には木材を含む。
板材1が材質として木材を含む場合、板材1は、例えば化粧合板である。化粧合板とは、通常、基材である合板の表面(少なくとも片面)に、表層材が貼りつけられた板状の材料である。表層材は、化粧板とも呼ばれる。木材製の表層材は、製造方法により突き板、挽き板などとも呼ばれる。また、表層材(化粧板)は、後述する紙や合成樹脂シートなどの場合もありうる。
また、別の例として、板材1は、化粧合板ではない天然木材(無垢材)などでもよい。
板材1が合板である場合、表層材の下の層(基材層)は、スライスされた木材であってもよいし、木粉と接着剤とを混合して成形した素材(中質繊維板とも呼ばれる)であってもよい。なお、中質繊維板を用いて製造された合板は一般にMDF合板と呼ばれる。これらは、建材、例えばフローリング材などによく用いられる。
表層材の木材としては、例えば、ウォールナット、チェリー、オーク、バーチ、ビーチ、メープル、アッシュ、チーク、シカモア、ファルカタ、松、杉、ヒノキ、ユーカリ、オニグルミなどを挙げることができる。
表層材の厚みは、通常0.1〜12mm、好ましくは0.2〜5mmである。
特に、表層材の厚みが比較的薄い化粧合板、具体的には表層材の厚みが0.15〜0.4mmの化粧合板は、通常は高級感に乏しい汎用品・普及品と位置づけられている。表層材の厚みが薄い結果、化粧合板の表面から深部までの木材自体の杢目の違い(導管、ヤニ、ツボ、入り皮等による色差)が少なく、色目の濃淡が乏しいためである。しかし、本実施形態の着色基材の製造方法によれば、表層材の厚みが薄くても、塗装により高級感のある色目(濃淡など)をつけることができる。つまり、商品価値の高い化粧合板を製造することができる。
別の態様として、板材1の表面(表層材)は、紙または合成樹脂シートであってもよい。
例えば、板材1の表面は、いわゆるプリント紙(プリントシート、化粧板用紙、化粧シート用原紙などともいう)として知られているものや、オレフィン印刷シートなどであってもよい。プリント紙とは、例えば、木目などの印刷が施された紙のことであり、天然木やMDF合板に貼りつけて用いられることがある。
プリント紙には様々な種類があり、実質的に紙パルプのみからなるもの、原紙に樹脂が添加されたもの、抄造時または抄造後に樹脂を含浸させたもの、不透明度を高めるために酸化チタンや焼成クレー等が添加されたもの等、様々である。本実施形態においてはいずれも用いることができる。プリント紙の具体例としては、特開2003−027392号公報に記載のもの、特開2006−183218号公報に記載のもの、特開2014−159650号公報に記載のもの、特開2015−059292号公報に記載のもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
合成樹脂シートとしては、例えば、建材や壁紙等の素材として用いられる種々の合成樹脂シートを適用することができる。
なお、不均一な着色のしやすさという観点からは、板材1に対する着色塗料12の浸透性は低いことが好ましい。着色塗料12自体の浸透性にもよるが、特に板材1の表面が紙である場合、着色塗料12の過度な浸透を抑えるため、着色塗料12が浸透しにくい紙を選択することが好ましい。塗料の浸透性が小さい紙としては、原紙に樹脂が添加された紙や、抄造時または抄造後に樹脂を含浸させた紙などが挙げられる。
板材1の表面は、付与工程の前に研磨などの前処理がされていてもよい。例えば、板材1が合板または天然木材である場合、その表面はサンドペーパーで研磨されていてもよい。使用可能なサンドペーパーとしては、例えば320〜400番のサンドペーパーが挙げられる。
板材1は、板状であり、対向する一対のロールの間を通過させることができるものであれば、特に限定されない。板材1の形状は、典型的には長方形状である。
板材1自体の厚み(表層材のみの厚みではなく、全体の厚み)は、特に限定されない。ただし、後述の除去工程において、押し当て部材を板材1に押し当てたり、板材1を一時的に歪ませたりする場合があるため、板材1は、適度な剛性を有する、かつ/または、適度な変形性を有することが好ましい。
例えば板材1が木材を含む場合、適度な剛性/変形性という観点からは、板材1の厚みは、好ましくは2〜12mm、より好ましくは5〜12mmである。
着色塗料12は、所望する色目などにより適宜選択すればよい。後述の除去工程を経て不均一に着色された着色基材を得られるものであれば、特に限定されない。
本実施形態において、着色塗料12は、例えば紫外線硬化型塗料であることが好ましい。
紫外線硬化型塗料は、典型的には揮発性溶剤を実質的に含まず、また、木材等の板材1に対する浸透性が低い。そして、比較的厚膜を形成しやすい(比較的多量の塗料を板材1上に塗布しやすい)。
この性質を利用し、まず、塗布工程で比較的多量の紫外線硬化型塗料を塗布して厚膜を形成し、そしてその厚膜を部分的に除去することで、塗料を除去した部分と除去しなかった部分とで色目の「差」をつけやすい。つまり、着色塗料12として紫外線硬化型塗料を用いることで、意図する不均一模様をより得やすくなると考えられる。
紫外線硬化型塗料は、典型的には、重合性化合物と、光重合開始剤と、着色剤とを含む。以下、これら成分について説明する。
・重合性化合物
重合性化合物としては、例えば、一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を1つまたは2つ以上有する化合物を挙げることができる。より好ましくは、重合性化合物としては、一分子中に(メタ)アクリル構造を1つまたは2つ以上有する化合物を挙げることができる。
単官能モノマー(一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を1つのみ有する化合物)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、ダイアセトンアクリルアミド等を挙げることができる。
多官能モノマー(一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を2つ以上、好ましくは2〜6個有する化合物)としては、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマーを挙げることができる。
また、多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
紫外線硬化型塗料は、重合性化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとは、単数または複数のウレタン結合と、単数または複数の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物のことである。ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは複数の(メタ)アクリロイル基を有する(つまり、ウレタン(メタ)アクリレートは多官能であることが好ましい)。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイセル・オルネクス社にて、商品名「EBECRYL」シリーズの名称で販売されているものを用いることができる。その他、新中村化学工業社、東亞合成株式会社などからも入手可能である。
紫外線硬化型塗料は、重合性化合物を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
二種以上の重合性化合物を併用することで、光照射したときの硬化性や、硬化後の塗膜の柔軟性などを適切に調整することもできる。併用の観点として、例えば、多官能モノマーと単官能モノマーとを併用することが考えられる。こうすることで、塗料中の炭素−炭素二重結合の濃度が適切に調整され、硬化後の塗膜の柔軟性を適切にできると考えられる。また、別の観点として、ウレタン(メタ)アクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレートではない重合性化合物とを併用することが考えられる。ウレタン(メタ)アクリレートはウレタン結合に由来する柔軟な骨格を有するため、他の重合性化合物と併用することで、硬化後の塗膜の柔軟性を適切に制御できると考えられる。
紫外線硬化型塗料中の重合性化合物の量は、所望の硬化性などに応じて適宜変更することができる。あくまで一例であるが、紫外線硬化型塗料中の重合性化合物の量は、紫外線硬化型塗料の揮発性有機溶剤以外の全成分中、好ましくは30〜99質量%、より好ましくは40〜98質量%である。
・光重合開始剤
光重合開始剤としては、光照射(典型的には紫外線照射)により活性物質を発生し、上記の重合性化合物を重合させることが可能なものであれば特に限定されない。
光重合開始剤として具体的には、公知の光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を挙げることができ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系のもの、アシルフォスフィンオキサイド系のもの、分子内水素引き抜き型のもの、オキシムエステル系のものなどを挙げることができる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、BASF社で製造され、IRGACURE(登録商標)シリーズの名称で販売されているものを挙げることができる。その他、日本化薬株式会社やUCB社などから市販されている光開始剤も用いることができる。
紫外線硬化型塗料は、光重合開始剤を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
紫外線硬化型塗料中の光重合開始剤の量は、所望の硬化性などに応じて適宜変更することができる。あくまで一例であるが、紫外線硬化型塗料中の光重合開始剤の量は、紫外線硬化型塗料の揮発性有機溶剤以外の全成分中、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
・着色剤
着色剤としては、例えば、着色顔料を挙げることができる。具体的には、チタン白、亜鉛華、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白などの白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;ナフトールエローS、ハンザエロー、ピグメントエローL、ベンジジンエロー、パーマネントエローなどの黄色顔料;クロムオレンジ、クロムバーミリオン、パーマネントオレンジなどの橙色顔料;酸化鉄、アンバーなどの褐色顔料;ベンガラ、鉛丹、パーマネントレッド、キナクリドン系赤顔料などの赤色顔料;コバルト紫、ファストバイオレット、メチルバイオレットレーキなどの紫色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、インジゴなどの青色顔料;クロムグリーン、ピグメントグリーンB、フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などが挙げられるが、これらのみに限定されるものでもない。また、複数種の着色顔料を併用してもよい。
また、必要に応じて、着色顔料と体質顔料を併用してもよい。
体質顔料としては、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシム、石膏、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、含水珪酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、マイカ粉等を挙げることができる。
着色剤として着色顔料を用いる場合、着色顔料は、着色顔料分散体であること(つまり、分散剤により分散された顔料であること)が好ましい。着色顔料が適切に分散されることにより、着色塗料12の安定性が高まり、塗布工程の際の意図せぬ色ムラを低減できる等の効果が期待できる。
分散剤としては、公知のものを適宜用いることができる。例えば、公知のノニオン系、カチオン系またはアニオン系の分散剤などを用いることができる。
分散剤により分散された着色顔料を得る方法としては、例えば、着色顔料および分散剤を、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、セラミックボールなどと混合のうえ、分散機により混合する方法が挙げられる。
一方、あらかじめ分散剤により分散された着色顔料(着色顔料分散体)を購入して用いてもよい。
紫外線硬化型塗料は、着色剤を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。二種以上の着色剤を併用することで、例えば、市販の着色剤の単独使用では得られない様々な色目を得ることができる。
紫外線硬化型塗料中の着色剤の量は、所望する色目に応じて適宜変更することができる。あくまで一例であるが、紫外線硬化型塗料中の着色剤の量は、紫外線硬化型塗料の揮発性有機溶剤以外の全成分中、好ましくは0.2〜70質量%、より好ましくは1.0〜50質量%である。
なお、ここでの「着色剤の量」とは、着色剤そのものの量のことである。例えば、着色剤として分散剤で分散処理された着色顔料分散体を用いる場合、分散体に含まれる着色剤(顔料色素)そのものの量(分散剤を除いた量)を、着色剤の量とする。
紫外線硬化型塗料は、上記成分のほか、任意の成分を含んでもよい。例えば、紫外線硬化型塗料は消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤、ワックス類、酸化防止剤、非反応性ポリマー、微粒子無機フィラー、シランカップリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、溶剤等を含んでもよい。
もちろん、着色塗料12は、紫外線硬化型塗料に限定されない。例えば、水性着色塗料などであってもよい。水性着色塗料は、揮発成分(最終的に板材1に残らない成分)の30質量%以上が水であり(つまり、主溶剤が水であり)、かつ、何らかの色素を含む限り、任意の組成であってよい。
水性着色塗料は、通常、水および色素を必須成分として含む。また、任意成分として、有機溶剤、水性樹脂(水中に溶解又は分散した樹脂)、体質顔料、分散剤、光硬化性成分(例えば重合性化合物と光重合開始剤の組み合わせ)、増粘剤、凍結防止剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤などを含んでもよい。
着色塗料12については、市販品を適宜利用してもよい。例えば、市販の着色塗料をそのまま用いたり、市販のクリヤー塗料に任意の着色剤を混合して用いたりしてもよい。
着色塗料12の粘度は、例えば1〜50,000mPa・s、好ましくは2〜25,000mPa・sである。
着色塗料12の粘度が適当であることで、後述の除去工程で着色塗料12を除去しやすくなる。よって、意図する不均一模様をより得やすくなるというメリットがありうる。
なお、粘度については、例えば、25℃の条件下、B型粘度計を用いて、回転数6rpmで測定することができる。
(除去工程)
除去工程について説明する。
除去工程は、上述のように「着色塗料が固化する前に、押し当て部材を板材表面に接触させつつ押し当て部材と板材1とを相対的に移動させることにより、着色塗料を部分的に除去する」ものであり、そして、「押し当て部材と着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、着色塗料による着色が不均一となる」ものであれば、特に限定されない。より具体的には、除去工程は以下の第1の態様、第2の態様または第3の態様のいずれかのようにすることができる。
第1の態様、第2の態様および第3の態様についてはそれぞれ詳述するが、各態様の特徴をごく簡単に説明すると以下の通りとなる。
・第1の態様:押し当て部材として第一のロールを用いる。この第一のロールは板材1の移動方向とは相対的に逆方向または順方向に回転することができる。また、第一のロールの表面には凹凸が存在することができる。この凹凸に起因して、押し当て部材(第一のロール)と着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性が生じる。
・第2の態様:板材を一時的に歪ませることにより、押し当て部材と着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせる。ここで、板材を一時的に歪ませるため、押し当て部材(第一のロール)に対向するように第二のロールが配置され、その第二のロールの表面には突出部が設けられる。
なお、押し当て部材としては、例えば、通常のロール(表面に凹凸が存在しないロール)を用いることができる。
・第3の態様:第2の態様と同様、板材を一時的に歪ませることにより、押し当て部材と着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせる。
ただし、板材を一時的に歪ませる手段は、第2の態様と異なる。具体的には、板材1における押し当て部材(第一のロール)が接触する面とは反対側の面に、突出部を有する補助部材を、その突出部が板材1に対向する方向で配置することで、板材を一時的に歪ませる。
第3の態様においても、押し当て部材としては、例えば通常のロール(表面に凹凸が存在しないロール)を用いることができる。
第1の態様、第2の態様および第3の態様、それぞれについて具体的に説明する。
・第1の態様:図2
図2は、除去工程の一態様を模式的に示す図である。
図2では、第一のロール21と第二のロール22とが、板材1の厚さに対応して適当な間隔で離間して対向配置されている。この間隔は、板材1の厚みよりも0.25〜1.25mmほど小さいことが好ましい。なお、後述するように第一のロール21には凹凸が設けられているところ、第一のロール21と第二のロール22の最も近い部分の距離を「第一のロール21と第二のロール22との間隔」とする。
この間隔を調整したり、第一のロール21の凹凸の設け方を変えたりすることで、「接触圧の不均一性」を調整することができる。
図2では、塗布工程で着色塗料12が塗布された板材1が、第一のロール21と第二のロール22とに挟持されつつ、矢印の方向(図中の左から右方向)に移動する。換言すると、板材1は、挟持力により第一のロール21が押し当てられた状態で、第一のロール21に対して移動する。
図2において、板材1の表面の着色塗料12は、まだ固化していない状態にある。
第一のロール21は、板材1の移動方向とは相対的に逆方向または順方向に回転する(第一のロール21において、逆方向の回転を実線の矢印で、順方向の回転を破線の矢印で示している)。
また、第一のロール21の表面(胴部)には、図示されているように、凹凸が存在する。この凹凸に起因して、板材1と第一のロール21とが接触している接触領域において、接触圧に不均一性が生じる。
図2においては第一のロール21の表面の凹凸により、板材1と第一のロール21とが接触している接触領域において接触圧に不均一性が生じることにより、固化する前の着色塗料12が「部分的に」除去される。そして、着色塗料12による着色が不均一となる。
ここで、第一のロール21が板材1の移動方向と逆方向(第一のロール21に実線の矢印で示されている方向)に回転する場合、着色塗料12の除去量は比較的多くなる。つまり、着色の不均一性を大きくすることができる。一方、第一のロール21が板材1の移動方向と順方向(第一のロール21に破線の矢印で示されている方向)に回転する場合、着色塗料12の除去量は比較的少なくなる。つまり、着色の不均一性は比較的小さくなる。
第一のロール21の回転が逆方向であるか順方向であるか、第一のロール21の回転速度、等は、得ようとする着色の不均一性、塗布工程での着色塗料12の塗布量、着色塗料12の粘度(除去しやすさと相関)などに応じて適宜設定すればよい。
念のため説明しておくと、図2は、わかりやすさを優先するため、着色塗料12が部分的に除去された部分と、そうでない部分との色目が不連続に変化しているように描かれている。図2に示されるような、滑らかな凸形状が設けられた第一のロール21を用いた場合、着色塗料12が部分的に除去された部分と、そうでない部分との間で、色目は連続的に(グラデーション状に)変化する。これについては例えば後掲の図5を参照されたい。
第一のロール21について補足する。
第一のロール21には「凹凸」を設けることができるが、これは、第一のロール21が、板材1に押し当てられた状態において、でっぱり等による引っ掛かりが無く、なめらかに回転する前提でのことである。この点で、第一のロール21の胴部を輪切りにしたとき、その断面は好ましくは略真円状である。
別の言い方として、第一のロール21の胴部の形状は、好ましくは、数学的な「回転体」である。
更に別の言い方として、凹部と凸部は、好ましくは、それぞれ、第一のロール21の胴部の円周方向に略平行に(円周方向に沿って)、一定の高さまたは深さで設けられる。
第一のロール21が有する凹凸の数、深さ、間隔などは、得ようとする不均一な着色や、板材1の大きさなどに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
あくまで一例であるが、第一のロール21が有する凹部及び凸部の数は、それぞれ、1〜5個程度である。
あくまで一例であるが、凹凸の「深さ」(第一のロール21の回転軸から、胴体表面の凸部までの距離をRとし、第一のロール21の回転軸から、胴体表面の凹部までの距離をrとしたとき、R−rと表現できる)は、0.01〜1mm、好ましくは0.02〜0.8mm、より好ましくは0.05〜0.5mmである。
あくまで一例であるが、凹凸の間隔は、50〜200mm程度の間で適宜設定される。なお、複数の凹部および凸部がある場合、各凹部および凸部の間隔は均等でもよいし、不均等でもよい。
第一のロール21の形状を変更すれば、着色塗料12の除去のされ方は変わる。よって、第一のロール21の形状を適切にすることで、所望の不均一な着色を得ることができる。
なお、除去した着色塗料12を適切に処理するため、例えば、第一のロールにはドクターブレード等の塗料除去手段が当接していることが好ましい(図2には図示せず)。
第一のロール21の材質としては、鋼鉄等を挙げることができる。また、第一のロール21の表面は、耐食性の観点などで硬質クロムメッキなどが施されていることが好ましい。
第二のロール22の表面の材質は、例えばゴムとすることができる。第二のロール22の表面をゴムとすることで、板材1の移動をより確実かつスムーズに行うことができる。
・第2の態様:図3(a)および図3(b)
図3(a)は、第1の態様とは異なる、除去工程の一態様を模式的に示す図である。
図3(a)では、第一のロール21と第二のロール22とが、板材1の厚さに対応して適当な間隔で離間して対向配置されている。この間隔は、板材1の厚みよりも0.25〜1.25mmほど小さいことが好ましい。なお、後述するように第二のロール22には突出部25が設けられているところ、第一のロール21と第二のロール22の最も近い部分の距離を「第一のロール21と第二のロール22との間隔」とする。
この間隔を調整することで、「接触圧の不均一性」を調整することができる。
図3(a)では、塗布工程で着色塗料12が塗布された板材1が、第一のロール21と、突出部25が設けられた第二のロール22とに挟持されつつ、矢印の方向(図中の左から右方向)に移動する。換言すると、板材1は、挟持力により第一のロール21を押し当てられつつ、第一のロール21に対して移動する。
図3(a)において、板材1の表面の着色塗料12は、まだ固化していない状態にある。
第一のロール21は、板材1の移動方向とは相対的に逆方向または順方向に回転する。
第2の態様では、第1の態様と異なり、第一のロール21の胴部に凹凸が設けられている必要はない。第一のロール21としては、塗装分野で公知の鋼鉄製ロール等の、胴部が円筒状または円柱状のロールを適用することができる。
一方、第2の態様では、第二のロール22に突出部25が設けられている。突出部25があることにより、第一のロール21と第二のロール22に挟持された板材1は、一時的に歪む。
この、板材1が一時的に歪んだ状態を、特に図3(b)に強調して示す。図3(b)は、図3(a)を平面αで切断したときの断面図である。第一のロール21と、突出部25が設けられた第二のロール22とにより板材1を挟持することで、板材1は歪む。図3(b)では、板材1は波型に歪んでいる。
板材1が一時的に歪んだ状態で第一のロール21に接することで、押し当て部材である第一のロール21と、板材1の表面の未固化の着色塗料12とが接触している接触領域の中で、接触圧に不均一性が生じる。この「接触圧の不均一性」により、板材1が図3(a)の矢印方向に移動したとき、未固化の着色塗料12が「部分的に」除去される。そして、着色塗料12による着色が不均一となる。
ここで、第一のロール21が板材1の移動方向と逆方向(第一のロール21に実線の矢印で示されている方向)に回転する場合、着色塗料12の除去量は比較的多くなる。つまり、着色の不均一性を大きくすることができる。一方、第一のロール21が板材1の移動方向と順方向(第一のロール21に破線の矢印で示されている方向)に回転する場合、着色塗料12の除去量は比較的少なくなる。つまり、着色の不均一性は比較的小さくなる。
第一のロール21の回転が逆方向であるか順方向であるか、第一のロール21の回転速度、等は、得ようとする着色の不均一性、塗布工程での着色塗料12の塗布量、着色塗料12の粘度(除去しやすさと相関)などに応じて適宜設定すればよい。
なお、除去した着色塗料12を適切に処理するため、例えば、第一のロールにはドクターブレード等の塗料除去手段が当接していることが好ましい(図3には図示せず)。
第二のロール22や、これに設けられている突出部25について補足する。
突出部25は、基本的には、板材1の進行を妨げない(例えば、板材1に引っ掛かったりしない)ものである。この点で、突出部25を含めて第二のロール22を輪切りにしたとき、その断面は好ましくは略真円状である。別の言い方として、第二のロール22の胴部の形状は、好ましくは、数学的な「回転体」の形状である。更に別の言い方として、突出部25は、好ましくは、第二のロール22の胴部の円周方向に略平行に、一定の高さで設けられる。
第二のロール22が有する突出部25の数、高さ、間隔などは、得ようとする不均一な着色や、板材1の大きさなどに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
あくまで一例であるが、第二のロール22が有する突出部25の数は、1〜5個程度である。
あくまで一例であるが、突出部25の「高さ」は、1〜20mm、好ましくは2〜10mmである。
あくまで一例であるが、突出部25の「幅」は、5〜40mm、好ましくは10〜30mmである。
あくまで一例であるが、第二のロールが複数の突出部25を有する場合、その間隔は、50〜250mm程度の間で適宜設定される。なお、3つ以上の突出部25がある場合、各突出部25の間隔は均等でもよいし、不均等でもよい。
突出部25の数、高さ、幅、間隔などを変更すれば、着色塗料12の除去のされ方は変わる。よって、これらの数値を適切にすることで、所望の不均一な着色を得ることができる。
突出部25の材質は、任意のものであってよい。板材1の保護の観点などから、例えばゴムで突出部25を構成することが好ましい。
・第3の態様:図4(a)および図4(b)
図4(a)は、第1の態様および第2の態様とは異なる、除去工程の一態様を模式的に示す図である。
図4(a)では、第一のロール21と第二のロール22とが、板材1の厚さに対応して適当な間隔で離間して対向配置されている。この間隔は、後述の、板材1と補助部材30を重ねたものの厚みよりも0.25〜1.25mmほど小さいことが好ましい。なお、第一のロール21と第二のロール22の最も近い部分の距離を「第一のロール21と第二のロール22との間隔」とする。
この間隔を調整することで、「接触圧の不均一性」を調整することができる。
図4(a)では、上記の塗布工程で着色塗料12が塗布された板材1が、補助部材30と重ねられた状態で、第一のロール21と第二のロール22とに挟持されつつ、矢印の方向(図中の左から右方向)に移動する。換言すると、板材1は、挟持力により、上からは第一のロール21を押し当てられ、また下からは補助部材30が押し当てられた状態で、第一のロール21に対して移動する。
ここで、補助部材30は、突出部25Bを有している。この突出部25Bが板材1に対向する方向で(突出部25Bと板材1が直に接するようにして)、板材1と補助部材30は重ねられている。
図4において、板材1の表面の着色塗料12は、まだ固化していない状態にある。
第一のロール21は、板材1の移動方向とは相対的に逆方向または順方向に回転する。
第3の態様では、第1の態様と異なり、第一のロール21の胴部に凹凸が設けられている必要はない。また、第2の態様とは異なり、第二のロール22の胴部に突出部が設けられている必要はない。
第一のロール21としては、塗装分野で公知の鋼鉄製ロール等の、胴部が円筒状または円柱状のロールを適用することができる。また、第二のロール22としては、塗装分野で公知のゴムロール等の、胴部が円筒状または円柱状のロールを適用することができる。
第3の態様では、板材1における第一のロール21が接触する面とは反対側の面に、突出部25Bを有する補助部材30を、その突出部25Bが板材1に対向する方向で配置する(突出部25Bと板材1が接するように、板材1と補助部材30とを重ねる)。この、板材1と補助部材30が重ねられたものを、第一のロール21と第二のロール22に挟持すると、挟持力により、板材1は一時的に歪む。
この、板材1が一時的に歪んだ状態を、特に図4(b)に強調して示す。図4(b)は、図4(a)を平面βで切断したときの断面図である。第一のロール21と第二のロール22とにより、板材1および補助部材30を一緒に挟持することで、板材1は歪む。図4(b)では、板材1は波型に歪んでいる。
板材1が一時的に歪んだ状態で第一のロール21に接することで、押し当て部材である第一のロール21と、板材1の表面の未固化の着色塗料12とが接触している接触領域の中で、接触圧に不均一性が生じる。この「接触圧の不均一性」により、板材1が図4(a)の矢印方向に移動すると、固化する前の着色塗料12が「部分的に」除去される。そして、着色塗料12による着色が不均一となる。
ここで、第一のロール21が板材1の移動方向と逆方向(第一のロール21に実線の矢印で示されている方向)に回転する場合、着色塗料12の除去量は比較的多くなる。つまり、着色の不均一性を大きくすることができる。一方、第一のロール21が板材1の移動方向と順方向(第一のロール21に破線の矢印で示されている方向)に回転する場合、着色塗料12の除去量は比較的少なくなる。つまり、着色の不均一性は比較的小さくなる。
第一のロール21の回転が逆方向であるか順方向であるか、第一のロール21の回転速度、等は、得ようとする着色の不均一性、塗布工程での着色塗料12の塗布量、着色塗料12の粘度(除去しやすさと相関)などに応じて適宜設定すればよい。
なお、除去した着色塗料12を適切に処理するため、例えば、第一のロールにはドクターブレード等の塗料除去手段が当接していることが好ましい(図4には図示せず)。
補助部材30や、これが有する突出部25Bについて補足する。
補助部材30は板材1と重ねて用いる。よって、補助部材30の大きさは、板材1と略同じか、板材1より大きいことが好ましい。
突出部25Bは、基本的には、板材1の進行を妨げないものであることが好ましい。この点で、突出部25Bは、板材1の進行方向と 略平行に、略一定の高さで設けられていることが好ましい。
補助部材30が有する突出部25Bの数、高さ、幅、間隔などは、得ようとする不均一な着色や、板材1の剛性などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
あくまで一例であるが、補助部材30が有する突出部25Bの数は、1〜5個程度である。
あくまで一例であるが、突出部25Bの「高さ」は、1〜20mm、好ましくは2〜10mmである。
あくまで一例であるが、突出部25Bの「幅」は、5〜40mm、好ましくは10〜30mmである。
あくまで一例であるが、補助部材30が複数の突出部25Bを有する場合、その間隔は、50〜250mm程度の間で適宜設定される。なお、3つ以上の突出部25Bがある場合、各突出部25Bの間隔は均等でもよいし、不均等でもよい。
突出部25Bの数、高さ、幅、間隔などを変更すれば、着色塗料12の除去のされ方は変わる。よって、突出部25Bのこれらの数値を適切にすることで、所望の不均一な着色を得ることができる。
補助部材30および突出部25Bの材質は、例えば木とすることができる。また、補助部材30の本体(突出部25B以外の部分)を木で構成し、突出部25Bをゴム等で構成してもよい。もちろん、補助部材30および突出部25Bの材質は、最終的に不均一な着色が得られる限り、特に限定されない。
・除去工程における共通事項
本実施形態の着色板材の製造方法に共通の事項(第1の態様、第2の態様および第3の態様、さらにはその他の態様にも当てはまる事項)について説明する。
除去工程において除去する着色塗料12の量(除去率)は、特に限定されず、得ようとする不均一な着色に応じて適宜設定される。除去率は、着色塗料12の粘度、板材1の移動速度、第一のロール21の回転の方向(逆方向であるか順方向であるか)、第一のロール21の回転速度、板材1に加えられる圧力、第一のロール21と第二のロール22との間隔などを変えることで調整することができる。
あくまで一例であるが、除去工程により、塗布工程で塗布された着色塗料12の5〜40質量%、好ましくは10〜35質量%が除去される。適度な量の着色塗料12を除去することで、意匠性に優れた着色板材を得ることができる。
なお、上記の着色塗料12の除去率は、板材1全体としての着色塗料12の除去率を表す。着色塗料12の除去率や、着色塗料12の塗布量などは、例えば、工程の前後の板材1の質量を測定することで求めることができる。
塗布工程と除去工程との間の時間は、着色塗料12が固化しない限り特に限定されない。生産性などを考えると、この時間は5分以内とすることが好ましい。
(その他の工程)
塗布工程および除去工程により、不均一に着色された着色板材を得ることができるが、本実施形態の着色板材の製造方法は、その他の各種工程を含んでもよい。以下、説明する。
本実施形態の着色板材の製造方法は、好ましくは、除去工程の後、着色塗料12を固化する固化工程を含む。
固化工程は、着色塗料12の種類や板材1の耐熱性などにより、自然乾燥、加熱、常温の風を当てる、熱風を当てる、光照射(紫外線照射)などのいずれかでありうる。
特に、着色塗料12が、前述の紫外線硬化型塗料である場合には、紫外線照射を行うことが好ましい。紫外線照射は、例えば、塗料分野で公知の紫外線照射装置を用いて行うことができる。紫外線の照射量は、紫外線硬化型塗料の塗布量や紫外線硬化型塗料の硬化性(感度)にもよるが、典型的には40〜400mJ/cmの間である。
本実施形態の着色板材の製造方法は、さらに、保護層形成工程を含んでもよい。不均一に着色された板材1に対して保護層を設けることで、板材1の耐久性向上や傷つき低減の効果が得られる。
保護層は、通常、保護層形成のための塗料組成物により形成される。このような塗料組成物は、「クリヤー塗料」などとも呼ばれ、典型的には着色色素(着色顔料など)を含まない。そして、得られる塗膜は実質的に透明である。
保護層は、単層でもよいし、多層(例えば2〜3層)であってもよい。
保護層形成のための塗料組成物としては、公知の塗料を適宜用いることができる。すなわち、ラッカー系塗料、ウレタン樹脂系塗料、ポリエステル樹脂系塗料、アミノアルキド樹脂系塗料などの、クリヤー塗料として公知の塗料を用いることができる。
また、保護層形成のための塗料組成物は、光硬化性(光重合性)であってもよい。例えば、特開2006−007202号公報で説明されているクリヤー塗料などを用いてもよい。この公報で開示されているような、有機溶剤を実質的に含有しない光硬化性の塗料組成物であれば、有機溶剤を乾燥させる必要がなく、有機溶剤を排出するための排気装置も必要としないなどのメリットが期待できる。
保護層形成には、市販の保護層形成用の塗料組成物を用いてもよい。例えば、ナトコ株式会社の、商品名ラッカーウッドシーラー、ヤニ止めシーラー、ラッカーNo.1サンディング、No.1000ネオサンディング、ネオサンディング、No.5200ネオサンディング、ラッカーグランドコート、セブンマイルドサンディングNo.2速乾、セブンマイルドサンディング、セブンNo.2000サンディング、セブンサフェーサーM、クリヤーラッカー、ウッドフラット、セブンロイヤルクリヤー、セブンロイヤルフラット、セブンマイルドフラット、セブンロイヤルエナメル、セブン500Mエナメル、ウッドパテ、セブンNo.2フラット、セブンNo.20フラット等を用いてもよい。
保護層は、上述の塗布工程で説明したようなロールコーターを用いて形成してもよいし、その他の方法で形成してもよい。例えば、スプレーコーターやフローコーターを用いて形成してもよい。
保護層の厚みは、典型的には、5〜150μm程度である。
本実施形態の着色板材の製造方法は、そのほか、塗装する前に板材を加温する加温工程(これにより塗装しやすくなる)、下塗層や中塗層を設ける工程、塗装面を研磨する研磨工程(ゴミの除去や、表面に残存している泡などを消すために行われる)などを含んでもよい。
<着色板材の製造装置>
本実施形態の着色基材の製造装置は、
板材の表面に着色塗料を塗布する塗布部と、
押し当て部材を前記表面に接触させつつ前記押し当て部材と前記板材とを相対的に移動させることにより、未固化状態の前記着色塗料を部分的に除去する除去部と
を含む。
ここで、除去部においては、押し当て部材と着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、着色塗料による着色を不均一にするようになっている。
本実施形態の着色基材の製造装置の具体的態様としては、上記<着色板材の製造方法>で説明した(特に図1〜図3に言及しつつ説明した)各種ロール等を備える装置を例示することができる。
前述の説明と一部重複するが、改めて図1〜図3などに言及しつつ、本実施形態の着色基材の「製造装置」の具体的態様(第1の装置および第2の装置)について説明する。もちろん、本実施形態の着色基材の製造装置は、これら第1の装置および第2の装置のみに限定されるものではない。
・第1の装置
第1の装置において、塗布部は、図1に示されるように、送りロール11A、コーティングロール11B、ドクターロール11Cなどを備える。
これらがどのような相対位置で配置されているか、どのように動くか、それぞれが(または2つ以上の要素が協働して)どのような働きをするかなどについては、前述しているため、省略する。
第1の装置において、除去部は、図2で示されるように、第一のロール21と第二のロール22とを備える。
第一のロール21は、押し当て部材として、第一のロール21と第二のロール22の間に挟持されつつ移動する板材1の表面と接触する。また、第一のロール21は、板材1の相対的な移動方向とは逆方向に回転する。
第一のロール21の表面には、凹凸が存在する。この凹凸に起因して、第一のロール21(押し当て部材)と着色塗料12とが接触している接触領域の中で、接触圧の不均一性が生じる。この不均一性により着色塗料12が部分的に除去される。
図2における各要素の形状や大きさ、各要素がどのような相対位置で配置されているか、どのように動くか、それぞれが(または2つ以上の要素が協働して)どのような働きをするか等については、前述のとおりである。よって、改めての説明は省略する。
なお、第1の装置においては、塗布部と除去部は連結され、板材1に対する着色塗料の塗布と、その着色塗料の部分的除去とが、連続的に中断なく、一連の作業として行えるようにすることができる。
例えば、第1の装置は、板材1が搬送される1つのライン上に、塗布部と除去部とを設ける構成としてもよい。
・第2の装置
第2の装置において、塗布部は、第1の装置と同様とすることができる。
第2の装置において、除去部は、図3(a)および図3(b)で示されるように、第一のロール21と、それに対向する第二のロール22とを備えている。そして、第二のロール22の表面には、突出部25が設けられている。
第二のロール22の表面に突出部25が設けられていることにより、第一のロール21と第二のロール22の間を移動する板材1が、挟持力により一時的に歪む。この歪みにより、第一のロール21(押し当て部材)と着色塗料12とが接触している接触領域の中で、接触圧の不均一性が生じる。この不均一性により着色塗料12が部分的に除去される。
図3における各要素の形状や大きさ、各要素がどのような相対位置で配置されているか、どのように動くか、それぞれが(または2つ以上の要素が協働して)どのような働きをするか等については、前述のとおりである。よって、改めての説明は省略する。
第2の装置においても、第1の装置と同様に、塗布部と除去部は連結され、板材1に対する着色塗料の塗布と、その着色塗料の部分的除去とが、連続的に中断なく、一連の作業として行えるようにすることができる。
例えば、第1の装置は、板材1が搬送される1つのライン上に、塗布部と除去部を設ける構成としてもよい。
<着色板材>
本実施形態の着色板材は、板材表面の少なくとも一部が着色塗料により着色された着色板材である。
この着色板材は、基材と表層材とが貼りつけられたものであり、そして少なくともその表層材が着色されたものであることができる。表層材の厚みは、5mm以下であることができる。
この着色板材の表面には、着色が最も少ない直線状の第一部分と、第一部分と略平行に存在する着色が最も多い直線状の第二部分が存在することができる。そして、第一部分と第二部分との間に、色調がグラデーション状に変化する部分が存在することができる。
ここで、第一部分のL色座標を(L ,a ,b )とし、第二部分のL色座標を(L ,a ,b )としたとき、以下の式(1)で定義されるΔEab の値は1.0以上であることができる。
式(1):{(L −L +(a −a +(b −b 1/2
また、第一部分と第二部分の距離をL[cm]としたとき、ΔEab /Lの値は0.1以上であることができる。
上記における数式や数字の技術的意義については、追って補足する。
上記の着色板材は、前述の<着色板材の製造方法>で説明した方法により製造することができる。より具体的には、前述の<着色板材の製造方法>で説明した、塗布工程、および、除去工程(例えば、前述の第1の態様、第2の態様、第3の態様のいずれか)により製造することができる。
(念のため述べておくが、このことは、上述の<着色板材の製造方法>により製造される着色板材が、上記の着色板材でなければならない、ということを意味しない。例えば、着色板材は、基材と表層材とが貼りつけられたものでなくてもよい。また例えば、表層材の厚みは5mm超であってもよい。)
繰り返しとなるが、上記の着色板材は、前述の<着色板材の製造方法>で説明した方法により製造することができる。
よって、例えば、着色板材を得るための着色塗料としては、好ましくは紫外線硬化型塗料を用いることができる。また、表層材は、木、紙および合成樹脂シートからなる群より選ばれる少なくともいずれかとすることができる。
また、上述の第一部分には、典型的には、固化した塗膜を削った痕が存在しない。これは、第一部分と第二部分との着色の差を、固化した塗料をヤスリ等で研磨することでつけたのではなく、上述の<着色板材の製造方法>で説明した方法、つまり、固化前の着色塗料を部分的に除去することにより着色板材を製造したためである。
加えて、典型的には、本実施形態の着色板材の表面には、直径20〜200μmのドット状の塗装模様が実質上存在しない。これは、本実施形態の着色板材が、好ましくは、上記の<着色基材の製造方法>で説明した方法等により製造される(例えば、着色塗料が、ロールコーター等を用いて押圧されながら塗装される)ためであり、スプレー塗装などの、微小な塗料滴を基材に吹き付ける方法により製造されるものではないためである。
ここで、「ドット状の塗装模様」とは、真円状の模様だけでなく、拡大して観察したときに、常識的に円または楕円とみなせる塗装模様全般のことを意味する。ドット模様の「直径」については、ドット模様が真円または円とみなせる場合にはその直径を、ドット模様が楕円とみなせる場合には(長径+短径)/2の値を直径とする。
また、直径20〜200μmのドット状の塗装模様が「実質上存在しない」とは、着色基材の着色面における、直径20〜200μmのドット状の塗装模様の数(密度)が、典型的には30個/m以下であること、好ましくは10個/m以下であることを言う。
より好ましくは、本実施形態の着色板材は、ドット状の塗装模様を有しない。
本実施形態の着色板材について、図を参照しつつより詳しく説明する。
図5(A)は、本実施形態の着色板材1Aを模式的に示した図である。図5(B)は、図5(A)において、説明用の補助線(破線および一点鎖線)を記載したものである。
なお、図5は、表面の色が比較的明るい板材の表面に対して、比較的暗い色の着色塗料を適用した場合の模式図となる。比較的暗い色の表面の板材に対して、比較的明るい色の着色塗料を適用した場合には、図5に示されたグラデーションとは逆のグラデーションとなることは容易に想像できる。
図5(B)において、着色が最も少ない第一部分は、一点鎖線で示されているように、直線状に存在する。これは、前述の除去工程(具体的には、前述の第1の態様、第2の態様または第3の態様)において、板材1を一定方向に移動させて着色塗料12を除去しているためである。同様の理由により、白抜きの破線で示されている、着色が最も多い第二部分は、直線状に存在し、また、第一部分と略平行に存在する。典型的には、第一部分および第二部分は、長方形状の着色板材の長辺と略平行に存在する。
着色塗料が部分的に除去されていることにより、第一部分と第二部分とで色目は相違し、また、第一部分と第二部分との間で、色目はグラデーション状に変化することができる。
ここで、第一部分のL色座標を(L ,a ,b )とし、第二部分のL色座標を(L ,a ,b )としたとき、前掲の式(1)で定義されるΔEab の値が「1.0以上であること」は、「第一部分と第二部分とで色目が相違すること」を定量的に表現したものである。つまり、ΔEab の値が1.0以上であるということは、着色が少ない第一部分と、着色が多い第二部分とで、十分視認できる程度に色目が異なっていることを意味する。
また、ΔEab /Lの値は、第一部分と第二部分の間での、色目の変化の「急峻さ」を表す。この値が
が0.1以上であることは、適度な「グラデーション」が付いていることを意味する。
ΔEab の値は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.0〜15、より好ましくは1.5〜10である。
ΔEab /Lの値は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.1〜2.0、より好ましくは0.2〜1.5である。
なお、L色座標の測定については、市販の分光測色計を用いることができる。
また、別観点として、着色板材1Aにおいて、第一部分に存在する塗膜の厚みと、第二部分に存在する塗膜の厚みは、典型的には異なる。第一部分では塗布された着色塗料の多くが固化前に除去されるためである。この「厚みの異なり」は、紫外線硬化型塗料により着色板材1Aが着色された場合に特に顕著である。
定量的には、第一部分に存在する塗膜の厚みをdとし、第二部分に存在する塗膜の厚みをdとしたとき、d/dは、例えば0.9以下であり、好ましくは0.2〜0.8である。
付言するに、表層材の厚みが5mm以下、特に0.4mm以下の木材である化粧合板は、前述のとおり、通常、見た目の質感・高級感などの点で天然木材に劣る。しかし、そのような化粧合板に適当な不均一着色(グラデーション着色)を施すことにより、高級感が感じられるようになる。つまり、化粧合板の商品価値を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<各種塗料の組成>
まず、実施例で用いた各種塗料の組成を以下に示す。
以下で、ウレタンアクリレート(EBECRYL210およびEBECRYL4858)は、ダイセル・オルネクス社製のものである。また、イルガキュア1173(開始剤)は、BASF社製のものである。
以下では、これらのクリヤー塗料または顔料分散体を、そのまま、または、適宜混合して用いた。なお、以下での塗料の混合における「部」との表記は、特に断りが無い限り「質量部」を意味する。
<第1の態様(第一のロールに凹凸が存在)の実施例>
[実施例1]
木質建材(長方形状、長さ90cm×幅30cm×全厚1.2cm、厚み0.25mmのメープル材の表層材をその表面に備えた板材)を準備した。この表面に、スポンジロールコーターを用いて無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料(下塗用クリヤー塗料70部と、白色顔料分散体30部を混合したもの)を塗布した。塗布量は、33g/mとなるようにした。
その後、上記で着色塗料が塗布された木質建材を、着色塗料が固化する前に、スチールリバースロールコーターの第一のロール(掻き取りロール)と第二のロール(送りロール)との間に通すことによって、表面の着色塗料を部分的に掻き取った。このとき、第一のロールと第二のロールとの間隔は、(木質建材の板厚−0.75mm)であった。また、工程の前後での木質建材の質量を測定することで求めた、板全体として掻き取った着色剤の量は5.5g/mであった。
ここで、上記の掻き取りの際に使用したスチールリバースロールコーターの第一のロール(掻き取りロール、木質建材の移動方向とは逆方向に回転)としては、図6で示されるような、凹凸形状を有するスチール製のロールを使用した。
図6において、数値の単位は、全て「mm」である。
上記の掻き取り工程の後、着色剤が塗布された木質建材に対して照射線量100mJ/cmの紫外線を照射して、着色塗料を硬化させた。
さらに、活性エネルギー線硬化型のクリヤー塗料組成物(上塗用クリヤー塗料)を、塗布量が11g/mとなるように塗装し、照射線量300mJ/cmで紫外線を照射して硬化させた。
以上により、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例2]
無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料80部、白色顔料分散体9.6部、黒色顔料分散体0.4部、黄色顔料分散体9.6部、および赤色顔料分散体0.4部を混合したものに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例3]
表層材をオーク材に変えたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料80部、黒色顔料分散体3.5部、黄色顔料分散体14部、および赤色顔料分散体2.5部を混合したものに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例4]
表層材をチェリー材に変えたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料95部、黒色顔料分散体3.3部、および赤色顔料分散体1.7部を混合したものに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例5]
表層材をウォールナット材に変えたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料90部、黒色顔料分散体6.6部、および黄色顔料分散体3.4部を混合したものに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例6]
着色塗料の掻き取りの際に使用したスチールリバースロールコーターの第一のロールの回転方向を、木質建材の移動方向と同じ方向(順方向)にしたこと以外は、実施例1と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。なお、掻き取った着色剤の量は2.0g/mであった。
<第2の態様(第二のロールに突出部が存在)の実施例>
[実施例7]
木質建材(長方形状、長さ90cm×幅30cm×全厚1.2cm、厚み0.25mmのメープル材の表層材をその表面に備えた板材)を準備した。この表面に、スポンジロールコーターを用いて無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料(下塗用クリヤー塗料70部と、白色顔料分散体30部を混合したもの)を塗布した。塗布量は、33g/mとなるようにした。
その後、上記で着色塗料が塗布された木質建材を、着色塗料が固化する前に、スチールリバースロールコーターの第一のロール(掻き取りロール)と第二のロール(送りロール)との間に通すことによって、表面の着色塗料を部分的に掻き取った。このとき、第一のロールと第二のロールの突出部(後述)との間隔は、(木質建材の板厚−0.75mm)であった。また、工程の前後での木質建材の質量を測定することで求めた、板全体として掻き取った着色剤の量は6.0g/mであった。
実施例1〜6で用いられたスチールリバースロールコーターの送りロール(第二のロール)は、直径21.5cmで、幅46cmのゴム(ゴム硬度80°)の円柱状のロールであったが、実施例7では、図3で示されるような突出部を備えたロールを用いた。具体的には、前述の円柱状ロール(実施例1〜6で用いられたもの)の幅方向の端から15.5cmと30.5cmの部分の2箇所に、幅20mm、高さ5.5mmの凸形状(凸の断面は幅20mm、高さ5.5mmの長方形である)のゴム(ゴム硬度80°)が備えられた送りロールを使用した。
なお、実施例7において、第一のロールとしては、凹凸が設けられていない、通常のスチール製ロールを用いた。
上記の掻き取り工程の後、着色剤が塗布された木質建材に対して照射線量100mJ/cmの紫外線を照射して、着色塗料を硬化させた。
さらに、活性エネルギー線硬化型のクリヤー塗料組成物(上塗用クリヤー塗料)を、塗布量が11g/mとなるように塗装し、照射線量300mJ/cmで紫外線を照射して硬化させた。
以上により、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例8]
木質建材として表層材がオーク材の合板を用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料70部、白色顔料分散体29.5部、黒色顔料分散体0.01部、黄色顔料分散体0.29部、および赤色顔料分散体0.2部を混合したものに変えたこと以外は、実施例7と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例9]
無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料80部、白色顔料分散体9.6部、黒色顔料分散体0.4部、黄色顔料分散体9.6部、および赤色顔料分散体0.4部を混合したものに変えたこと以外は、実施例7と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例10]
木質建材として表層材がバーチ材のものを用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料80部、黒色顔料分散体0.4部、黄色顔料分散体17.8部、および赤色顔料分散体1.8部を混合したものに変えたこと以外は、実施例7と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例11]
木質建材として表層材がオーク材のものを用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料80部、黒色顔料分散体3.5部、黄色顔料分散体14部、および赤色顔料分散体2.5部を混合したものに変えたこと以外は、実施例7と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例12]
木質建材として表層材がウォールナット材のものを用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料90部、黒色顔料分散体6.5部、および赤色顔料分散体3.5部を混合したものに変えたこと以外は、実施例7と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例13]
着色塗料の掻き取りの際に使用したスチールリバースロールコーターの第一のロールの回転方向を、木質建材の移動方向と同じ方向(順方向)にしたこと以外は、実施例7と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。なお、掻き取った着色剤の量は2.0g/mであった。
[実施例14]
木質建材として、プリント紙(樹脂コーティングされたもの、厚み0.1mm)を表層材に備えたものを用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料97部、黒色顔料分散体1部、黄色顔料分散体1部、および赤色顔料分散体1部を混合したものに変えたこと以外は、実施例7と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
<第3の態様(突出部を有する補助部材を使用)の実施例>
[実施例15]
木質建材(長方形状、長さ90cm×幅30cm×全厚1.2cm、厚み0.25mmのメープル材の表層材をその表面に備えた板材)を準備した。この表面に、スポンジロールコーターを用いて無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料(下塗用クリヤー塗料70部と、白色顔料分散体30部を混合したもの)を塗布した。塗布量は、33g/mとなるようにした。
その後、上記で着色塗料が塗布された木質建材を、着色塗料が固化する前に、スチールリバースロールコーターの第一のロール(掻き取りロール)と第二のロール(送りロール)との間に通すことによって、表面の着色塗料を部分的に掻き取った。このとき、第一のロールと第二のロールとの間隔は、(木質建材と後述の補助部材とを重ねたものの厚み−0.75mm)であった。また、工程の前後での木質建材の質量を測定することで求めた、板全体として掻き取った塗料の量は6.0g/mであった。
なお、実施例15では、掻き取り工程において、実施例1〜6で使用した凹凸形状を有するスチール製のロールは使用せず、表面はなめらかなで凹凸などは設けられていない通常のスチール製ロールを使用した。また、実施例7〜14で用いられた送りロール(第二のロール)も使用せず、凸形状などは設けられていない通常の円柱状のロールを使用した。
これらの代わりとして、図7(a)に図示されるような、突出部を有する木製の補助部材を用意して、この部材上に、塗装工程後の木質建材を設置した。このとき、塗装面は上向きで、上から観察したときに、補助部材から建材がはみ出ないようにした。なお、図7(a)の補助部材を平面γで切ったときの断面図を図7(b)に示す。突出部の高さ、幅、間隔などは図7(b)中に示されている通りである。
上記の状態(補助部材上に建材が設置された状態)のまま、補助部材と建材とを一緒に、スチールリバースロールコーターの第一のロール(掻き取りロール)と第二のロール(送りロール)との間に通し、建材表面の着色塗料を部分的に掻き取った。
上記の掻き取りの後、着色剤が塗布された木質建材に対して照射線量100mJ/cmの紫外線を照射して、着色剤を硬化させた。
さらに、活性エネルギー線硬化型のクリヤー塗料組成物(上塗用クリヤー塗料)を、塗布量が11g/mとなるように塗装し(クリヤー塗装工程)、照射線量300mJ/cmで紫外線を照射して前記塗料組成物を硬化させた。
以上により、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例16]
木質建材として表層材がオーク材の合板を用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料70部、白色顔料分散体29.5部、黒色顔料分散体0.01部、黄色顔料分散体0.29部、および赤色顔料分散体0.2部を混合したものに変えたこと以外は、実施例13と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例17]
無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料80部、白色顔料分散体9.6部、黒色顔料分散体0.4部、黄色顔料分散体9.6部、および赤色顔料分散体0.4部を混合したものに変えたこと以外は、実施例15と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例18]
木質建材として表層材がバーチ材の合板を用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料80部、黒色顔料分散体0.4部、黄色顔料分散体17.8部、および赤色顔料分散体1.8部を混合したものに変えたこと以外は、実施例15同様にして、不均一に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例19]
木質建材として表層材がオーク材の合板を用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料としては、下塗用クリヤー塗料80部、黒色顔料分散体3.5部、黄色顔料分散体14部、および赤色顔料分散体2.5部を混合したものに変えたこと以外は、実施例15と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例20]
木質建材として表層材がウォールナット材の合板を用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料90部、黒色顔料分散体6.5部、および赤色顔料分散体3.5部を混合したものに変えたこと以外は、実施例15と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
[実施例21]
着色塗料の掻き取りの際に使用したスチールリバースロールコーターの第一のロールの回転方向を、木質建材の移動方向と同じ方向(順方向)にしたこと以外は、実施例15と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材を得た。なお、掻き取った塗料の量は2.0g/mであった。
[実施例22]
木質建材として、プリント紙(樹脂コーティングされたもの、厚み0.1mm)を表層材に備えたものを用いたこと、また、無溶剤型の活性エネルギー線硬化型着色塗料として、下塗用クリヤー塗料97部、黒色顔料分散体1部、黄色顔料分散体1部、および赤色顔料分散体1部を混合したものに変えたこと以外は、実施例15と同様にして、グラデーション状に着色された木質建材(着色板材)を得た。
上述のように、全ての実施例において、不均一に着色された着色板材を得ることができた。つまり、スプレー塗装や研磨による固化した塗料の除去などとは異なる新たな製造方法により、不均一に着色された着色板材を得ることができた。
なお、当然ながら、各実施例で得られた着色基材において、着色が薄い部分に、固化した塗膜をヤスリ等で削った痕は認められなかった。また、各実施例で得られた着色基材に、20〜200μmのドット状の塗装模様も認められなかった。
<着色の不均一性の定量的測定>
着色の不均一性(グラデーション)を定量的に評価するため、実施例1〜22で得られた着色板材の表面の数点のL色座標を測定した。測定装置としてはコニカミノルタ社製の分光測色計、CM−700dを用いた。
測定点については以下のようにした。
実施例1〜6では、得られた着色板材において、図6に示された第一のロールの凹部の中心に対応する箇所、すなわち、着色塗料の掻き取りの際に板材が最も圧力を受けなかった部分(板材の幅方向の端から7.5cmの部分)を、ゼロ位置(0cm)と規定した。(ここでのゼロ位置は、第二部分に相当する。)
そして、ゼロ位置から、中心に向かって1cmごとに、L、aおよびbを測定した(最大8cm)。また、第一部分に相当する部分(着色塗料の掻き取りの際に、板材が最も圧力を受けた部分)の色座標も測定するため、ゼロ位置から7.5cmの点でもL、aおよびbを測定した。
実施例7〜22では、得られた着色板材において、第二のロール(送りロール)または補助部材に設けられた突出部の中心に対応する箇所、すなわち、着色塗料の掻き取りの際に板材が最も圧力を受けた部分(板材の幅方向の端から7.5cmの部分)を、ゼロ位置(0mm)と規定した。(ここでのゼロ位置は、第一部分に相当する。)
そして、ゼロ位置から、中心に向かって1cmごとに、L、aおよびbを測定した(最大8cm)。また、第二部分に相当する部分(着色塗料の掻き取りの際に、板材が最も圧力を受けなかった部分)の色座標も測定するため、ゼロ位置から7.5cmの点でもL、aおよびbを測定した。
以上の測定結果に基づき、前掲の式(1)に従って、ΔEab の値を計算した。なお、ΔEab の計算は、第一部分に相当する部分と第二部分に相当する部分とだけで行っただけでなく、各測定におけるゼロ位置を基準として全ての測定点で行った。
また、ΔEab /Lを計算した(L=7.5[cm])。
測定結果、ΔEab の値およびΔEab /Lの値を表4〜6にまとめて示す。
表4〜6に示されるように、各実施例で得られた着色板材において、第一部分に相当する部分と第二部分に相当する部分との間で、十分な色目の差が付いていた(ΔEab の値が1.0以上であった)。また、各実施例で得られた着色板材には、十分なグラデーションが付いていた(ΔEab /Lの値が0.1以上であった)。
また、ゼロ点から1cmごとに測定したL色座標の値の変化の傾向などからも、各実施例で得られた着色板材では、第一部分に相当する部分と第二部分に相当する部分との間で、色目がおおよそ連続的に変化している(つまり、グラデーション状の塗装がされている)ことがわかる。
なお、L色座標の値は、板材そのものの色(木材であるため、色むらが存在しうる)も含めた値である。よって、L色座標の値は、必ずしも着色塗料の色目および着色の量(板材上で固化した着色塗料の量)のみにより決まらないことに留意されたい。よって、例えば、第一部分や第二部分が、必ずしも明度の極大値または極小値を示さない場合や、第一部分と第二部分との間で色目が「単調には」変化しない場合もある(表4〜6のデータでも、一部、そうなっている)。
ただし、『大きな傾向』として、どの着色板材においても、第一部分に相当する部分と第二部分に相当する部分との間で、色目がおおよそ連続的に変化している。つまり、グラデーション状の塗装がされている。
<見た目の高級感の評価>
実施例1〜22で得られた着色板材の「高級感」を、アンケート調査により評価した。具体的には以下のようにした。
まず、以下の比較例1〜22により、比較用の着色板材を得た。
[比較例1]
第一のロールによる掻き取りを行わなかったこと以外は、全て実施例1と同様の工程を経ることにより、着色板材(着色はほぼ均一であり、グラデーション状にはなっていない)を得た。
[比較例2〜22]
比較例1と同様に、第一のロールによる掻き取りを行わなかったこと以外は、それぞれ対応する番号の実施例(例えば、比較例10は実施例10に対応)と同様の工程を経ることにより、着色板材(着色はほぼ均一であり、グラデーション状にはなっていない)をそれぞれ得た。
出願人とは無関係の消費者20人に対して、実施例1〜22で得た着色板材と、比較例1〜22で得た着色板材とを、並べて対比させつつ示した(例えば、実施例1と比較例1とで対比、実施例2と比較例2とで対比、他も全て同様)。
実施例1〜22で得た着色板材が、比較例1〜22で得た着色板材と比較して高級感を感じられるかどうかにつき、以下の基準でアンケートをとった。
・高級感が感じられる
・多少高級感は感じられる
・あまり高級感は感じられない
表7に、アンケートの結果(人数)を、各実施例(および比較例)で使用した着色塗料の組成、粘度、塗布量および掻き取り量とともに示す。
なお、着色塗料の粘度は、東機産業株式会社製のB型粘度計(機種名TVB−10M)を用い、回転数6rpmで測定した値である。
表7〜9に示される通り、アンケート結果によれば、実施例1〜22で得られた着色板材は、比較例1〜22で得られた着色板材よりも、見た目に高級感が感じられた。
このことは、例えば、表層材の厚みが比較的薄い化粧合板に対し、本実施形態の着色板材の製造方法により不均一な着色を施すことで、高級感のある色目をつけることができることを示す。つまり、本実施形態の着色板材の製造方法により、例えば、商品価値の高い化粧合板を製造することができる。
<参考:着色基材の実物の画像>
参考のため、実施例14で得られた着色板材を撮影した白黒画像データを図8に示す。
画像の上下方向に2本、着色の薄い部分があることがわかる。
なお、画像右下が比較的白く(薄く)写っているのは、撮影時の照明の都合によるものである。
1 板材
1A 着色板材
11A 送りロール
11B コーティングロール
11C ドクターロール
12 着色塗料
21 第一のロール
22 第二のロール
25 突出部
25B 突出部
30 補助部材

Claims (23)

  1. 板材の表面に着色塗料を塗布する塗布工程と、
    前記着色塗料が固化する前に、押し当て部材を前記表面に接触させつつ前記押し当て部材と前記板材とを相対的に移動させることにより、前記着色塗料を部分的に除去する除去工程とを含み、
    前記除去工程において、前記押し当て部材と前記着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、前記着色塗料による着色を不均一にする、着色板材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記押し当て部材は第一のロールであり、
    前記除去工程において、前記第一のロールを前記板材の移動方向と逆方向または順方向に回転させる、着色板材の製造方法。
  3. 請求項2に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記第一のロールの表面には凹凸が存在し、当該凹凸に起因して前記接触圧の不均一性が生じる、着色板材の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記除去工程の際に前記板材を一時的に歪ませることにより、前記接触圧の不均一性を生じさせる、着色板材の製造方法。
  5. 請求項4に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記押し当て部材に対向する第二のロールが配置されており、
    前記第二のロールの表面に突出部が設けられていることにより、前記除去工程の際に前記板材を一時的に歪ませる、着色板材の製造方法。
  6. 請求項4に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記除去工程において、前記板材における前記第一のロールが接触する面とは反対側の面に、突出部を有する補助部材を、当該突出部が前記板材に対向する方向で配置することで、前記板材を一時的に歪ませる、着色板材の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記塗布工程は、前記着色塗料を押圧しながら塗装する工程である、着色板材の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記塗布工程が、ロールコーターにより行われる、着色板材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記除去工程により、前記塗布工程で塗布された着色塗料の5〜40質量%が除去される、着色板材の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記板材が、木材である、着色板材の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記板材が、化粧合板である、着色板材の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記板材が、表層材の厚みが0.1〜12mmの化粧合板である、着色板材の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の着色板材の製造方法であって、
    前記着色塗料が、紫外線硬化型塗料である、着色板材の製造方法。
  14. 板材の表面に着色塗料を塗布する塗布部と、
    押し当て部材を前記表面に接触させつつ前記押し当て部材と前記板材とを相対的に移動させることにより、未固化状態の前記着色塗料を部分的に除去する除去部とを含み、
    前記除去部において、前記押し当て部材と前記着色塗料とが接触している接触領域の中で接触圧に不均一性を持たせることにより、前記着色塗料による着色を不均一にする、着色板材の製造装置。
  15. 請求項14に記載の着色板材の製造装置であって、
    前記押し当て部材は第一のロールであり、
    前記除去部において、前記第一のロールは、前記板材の移動方向と逆方向または順方向に回転する、着色板材の製造装置。
  16. 請求項15に記載の着色板材の製造装置であって、
    前記第一のロールの表面には凹凸が存在し、当該凹凸に起因して前記接触圧の不均一性が生じる、着色板材の製造装置。
  17. 請求項15に記載の着色板材の製造装置であって、
    前記第一のロールに対向する第二のロールが設けられており、
    前記第二のロールの表面に突出部が設けられていることにより、前記板材が一時的に歪み、前記接触圧の不均一性が生じる、着色板材の製造装置。
  18. 板材の表面の少なくとも一部が着色塗料により着色された着色板材であって、
    前記着色板材は、基材と表層材とが貼りつけられたものであり、そして少なくとも当該表層材が着色されたものであり、
    前記表層材の厚みは5mm以下であり、
    前記着色板材表面には、着色が最も少ない直線状の第一部分と、前記第一部分と略平行に存在する着色が最も多い直線状の第二部分が存在し、そして当該第一部分と当該第二部分との間に、色調がグラデーション状に変化する部分が存在し、
    前記第一部分のL色座標を(L ,a ,b )とし、前記第二部分のL色座標を(L ,a ,b )としたとき、以下の式(1)で定義されるΔEab の値が1.0以上であり、
    式(1):{(L −L +(a −a +(b −b 1/2
    前記第一部分と前記第二部分の距離をL[cm]としたとき、ΔEab /Lの値が0.1以上である着色板材。
  19. 請求項18に記載の着色板材であって、
    前記第一部分には、固化した塗膜を削った痕が存在しない着色板材。
  20. 請求項18または19に記載の着色板材であって、
    前記着色塗料が、紫外線硬化型塗料である着色板材。
  21. 請求項18〜20のいずれか1項に記載の着色板材であって、
    前記着色板材表面には、直径20〜200μmのドット状の塗装模様が実質上存在しない着色板材。
  22. 請求項18〜21のいずれか1項に記載の着色板材であって、
    前記板材が長方形状の板材であり、
    前記第一部分および前記第二部分は、当該長方形状の板材の長辺と略平行に存在している着色板材。
  23. 請求項18〜22のいずれか1項に記載の着色板材であって、
    前記表層材が、木、紙および合成樹脂シートからなる群より選ばれる少なくともいずれかである着色板材。
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