JP2019215045A - ダンパー装置 - Google Patents

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【課題】安定したヒステリシス特性を長期に亘って確保することができるとともに、共振の発生防止や捩れ角0付近での振動吸収を可能とするダンパー装置を提供すること。【解決手段】ダンパー装置1に設けられたヒステリシス機構9を、ハブ2のフランジ部2Aとディスクプレート3との間に介装された第1のスラストプレート10および第1の摩擦プレート11と、ハブ2のフランジ部2Aとサブディスクプレート4との間に介装された第2のスラストプレート12および第2の摩擦プレート13と、を含んで構成し、第2のスラストプレート12を所定の角度範囲内でサブディスクプレート4に対して相対回転可能且つ軸方向に摺動可能に配置し、該第2のスラストプレート12とサブディスクプレート4との間に、径方向に移動可能な遠心推力ピストン16と、該遠心推力ピストンを径方向内方に付勢するリターンスプリング17を介装する。【選択図】図4

Description

本発明は、動力伝達系におけるトルク変動を吸収するためのダンパー装置に関する。
例えば、エンジンを駆動源とする車両の動力伝達装置には、エンジンの出力トルクの変速機への伝達を断接する摩擦クラッチが多用されているが、この摩擦クラッチには、エンジンのトルク変動を吸収して変速機へと伝達するダンパー装置(ダンパーディスク)が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のダンパー装置は、従動軸である変速軸に連結されたハブに、一対のサイドプレート(第1、第2サイドプレート)を相対回転可能に支持し、ハブの外周に一体に形成されたフランジ部と一対のサイドプレートにそれぞれ形成された窓にトルク伝達用弾性部材である圧縮コイルスプリングを収容して構成されている。また、サイドプレートとハブ間に小ヒステリシスを発生させる第1のヒステリシス機構と、前記小ヒステリシスよりも大きな値の大ヒステリシスを発生させる第2のヒステリシス機構とを備えている。第1のヒステリシス機構は、ハブのフランジ部に当接する位置に低摩擦部材を支持する一対のコントロールプレートを備え、当該低摩擦部材をハブ側に付勢することによって、回動が許容された回動許容区間において小ヒステリシスを発生させる。また、第2のヒステリシス機構は、サイドプレート側に介設されたスラスト部材を介してサイドプレート側に高摩擦部材を付勢することによって、大ヒステリシスを発生させる。
また、一対のコントロールプレートを連結する連結ピン(連結部材)がハブのフランジ部に形成された孔または切欠きに挿通されている。この連結ピンが孔または切欠きに当接(衝突)することによって、ハブと一対のコントロールプレートとの相対回転角度が規定される。これら連結ピンと孔または切欠きとの遊びによって、前記第1のヒステリシス機構の回動許容区間が設定されている。
以上のように構成されたダンパー装置において、例えばエンジンの出力トルクは、駆動軸であるフライホイールにフェーシングを介して圧接されたサイドプレートから圧縮コイルスプリングおよびハブを経て変速軸へと伝達される。そして、サイドプレートのハブに対する相対回転によって圧縮コイルスプリングが弾性変形し、この圧縮コイルスプリングの弾性変形によってトルク変動が吸収され、トルク変動による衝撃が緩和された状態でエンジンからの出力トルクが変速軸へと伝達される。
このように、従来のダンパー装置には、ヒステリシス機構が設けられており、摩擦クラッチを断接操作したときに発生する大きなトルク変動を効果的に吸収するための大きなヒステリシスと、エンジンのトルク変動のような小さなトルク変動を効果的に吸収するための小さなヒステリシスを発生させるようにしている。
ここで、上記のような大きなヒステリシスと小さなヒステリシスとを発生させることができるヒステリシス機構の構成の一例を図7に示す。
すなわち、図7は従来のダンパー装置のヒステリシス機構の一例を示す部分断面図であり、図示のヒステリシス機構109は、ハブ102のフランジ部102Aとディスクプレート103との間に介装された第1のスラストプレート110と、この第1のスラストプレート110とハブ102のフランジ部102Aとの間に介装された高摩擦係数摩擦材板111と、第1のスラストプレート110とディスクプレート103との間に介装された第1の低摩擦係数摩擦材板113と、フランジ部102Aとサブディスクプレート104との間に介装された第2のスラストプレート112と、この第2のスラストプレート112とフランジ部102Aとの間に介装された第2の低摩擦係数摩擦材板118によって構成されている。ここで、第1のスラストプレート110に形成された爪部110aは、ディスクプレート103に形成された角孔103aに係合しているが、角孔103aの周方向幅は、爪部110aの周方向幅よりも大きく設定されており、爪部110aが角孔103a内を移動可能な角度範囲θで第1のスラストプレート110とディスクプレート103とが相対回転することができる。これに対して、第2のスラストプレート112に形成された爪部112aは、サブディスクプレート104に形成された切欠き104aに嵌合しており、これらの第2のスラストプレート112とサブディスクプレート104とは一体に回転する。
以上のように構成されたヒステリシス機構109において、トルク変動が小さく、ディスクプレート103とサブディスクプレート104がハブ102に対して所定角度θ(第1のスラストプレート110がディスクプレート103に対して相対回転可能な角度)の範囲内で相対回転するときには、第2の低摩擦係数摩擦材板118がサブディスクプレート104と共に一体回転する第2のスラストプレート112およびハブ102のフランジ部102Aと摺擦すると同時に、第1の低摩擦係数摩擦材板113が第1のスラストプレート110とディスクプレート103と摺擦するため、図8のトルク−捩れ角特性に示すように、小さなヒステリシスHが発生する。
そして、トルク変動が大きく、ディスクプレート103とサブディスクプレート104がハブ102に対して所定角度θの範囲を超えて相対回転するときには、第2の低摩擦係数摩擦材板118とサブディスクプレート104と共に一体回転する第2のスラストプレート112とハブ102のフランジ部102Aと摺擦すると同時に、高摩擦係数摩擦材板111が第1のスラストプレート110とハブ102のフランジ部102Aと摺擦するため、図8に示す大きなヒステリシスHが発生する。
特許第4747875号公報
しかしながら、図7に示すヒステリシス機構109においては、第2のスラストプレート112を低摩擦係数摩擦材板118に押圧するためのバネ部材として皿バネ114が用いられていたため、皿バネ114や第2の低摩擦係数摩擦材板118が摩耗あるいは変形すると、第2のスラストプレート112による第2の低摩擦係数摩擦材板118への押圧荷重が経時的に下がり、ヒステリシス特性を長期に亘って一定に保つことができないという問題がある。
また、図7に示すヒステリシス機構109の減衰系には、速度に依存する粘性減衰成分(c・dx/dt:cは粘性減衰定数、xは変位、tは時間)が存在しないため、共振を抑えることができない領域が存在するという問題もある。
さらに、図7に示すヒステリシス機構109においては、図8に示すように、捩れ角が0付近での正逆転トルク段差が比較的大きいために振動を吸収することができない領域が存在するという問題もある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、安定したヒステリシス特性を長期に亘って確保することができるとともに、共振の発生防止や捩れ角0付近での振動吸収を可能とするダンパー装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、従動軸(20)に連結されたハブ(2)と、駆動軸(30)に対して着脱され、前記ハブ(2)の外周に一体に形成されたフランジ部(2A)の一側において前記ハブ(2)に相対回転可能に支持されたディスクプレート(3)と、前記ハブ(2)のフランジ部(2A)の他側において前記ハブ(2)に相対回転可能に支持され、前記ディスクプレート(3)に連結されたサブディスクプレート(4)と、前記ハブ(2)のフランジ部(2A)と前記ディスクプレート(3)および前記サブディスクプレート(4)にそれぞれ形成された窓(3a,4a,2b)に収容されたトルク伝達用弾性部材(5)と、軸方向において前記ハブ(2)のフランジ部(2A)と前記ディスクプレート(3)および前記サブディスクプレート(4)との間に介装されたヒステリシス機構(9)と、を備えたダンパー装置(1)において、前記ヒステリシス機構(9)を、前記ハブ(2)のフランジ部(2A)と前記ディスクプレート(3)との間に介装された第1のスラストプレート(10)および第1の摩擦プレート(11)と、前記ハブ(2)のフランジ部(2A)と前記サブディスクプレート(4)との間に介装された第2のスラストプレート(12)および第2の摩擦プレート(13)と、を含んで構成し、前記第2のスラストプレート(12)を所定の角度(θ)範囲内で前記サブディスクプレート(4)に対して相対回転可能且つ軸方向に摺動可能に配置し、該第2のスラストプレート(12)と前記サブディスクプレート(4)との間に、遠心力によって前記第2のスラストプレート(12)を前記第2の摩擦ブレート(13)に押圧する推力を発生する径方向に移動可能な遠心推力ピストン(16)と、該遠心推力ピストン(16)を径方向内方に付勢する付勢手段(17)を介装したことを特徴とする。
本発明にかかるダンパー装置によれば、例えば、第2の摩擦プレートの摩耗などによって第2のスラストプレートとハブのフランジ部との間の軸方向距離が小さくなった場合には、遠心力によって遠心推力ピストンが径方向外方へと移動するため、楔作用によって推力を受ける第2のスラストプレートは、第2の摩擦プレート側に摺動して第2の摩擦プレートを推力によって押圧する。このように、遠心推力ピストンから推力を受ける第2のスラストプレートは、第2の摩擦プレートの摩耗などが発生しても、これに応じて軸方向に摺動して第2の摩擦プレートを常に一定の力で押圧するため、安定したヒステリシス特性が長期に亘って確保される。
また、本発明にかかるダンパー装置によれば、遠心推力ピストンに作用する遠心力とこの遠心推力ピストンから第2のスラストプレートに作用する推力の大きさは、第2のスラストプレートの回転速度に比例するため、ヒステリシス機構の減衰系には、速度に依存する粘性減衰成分が存在することとなり、この速度成分によって共振の発生を抑えることができる。
さらに、本発明にかかるダンパー装置によれば、捩れ角が0付近において当該ダンパー装置に振動が発生しても、低回転時のヒステリシスはほぼ0であるため、捩れ角が0付近でもトルク伝達用弾性部材が機能して振動を吸収することができる。
また、本発明では、前記第2のスラストプレート(12)と前記サブディスクプレート(4)との間に、径方向外方に向かって幅が狭くなる空間(S)を形成し、この空間(S)に前記遠心推力ピストン(16)と前記付勢手段(17)を収容してもよい。
また、本発明では、前記ハブ(2)のフランジ部(2A)と前記第2の摩擦プレート(13)との間に、前記第2の摩擦プレート(13)を前記第2のスラストプレート(12)方向に付勢するバネ部材(14)を介装してもよい。
また、本発明では、前記第2のスラストプレート(12)に係合突起(12a)を突設するとともに、前記サブディスクプレート(4)に前記係合突起(12a)の周方向幅よりも大きな周方向幅を有する係合孔(4b)を形成し、該係合孔(4b)に前記係合突起(12a)を係合させてもよい。
また、本発明では、前記付勢手段(17)をリターンスプリングで構成してもよい。
本発明によれば、安定したヒステリシス特性を長期に亘って確保することができるとともに、共振の発生を防ぎ、捩れ角0付近での振動を吸収することができる。
本発明にかかるダンパー装置の正面図である。 図1のA−A線断面図である。 図2のB−B線断面図である。 図2のC部拡大詳細図である。 図4の矢視D方向の一部を破断して示す図である。 本発明にかかるダンパー装置のトルク−捩れ角特性図である。 従来のダンパー装置のヒステリシス機構の一例を示す部分断面図である。 従来のダンパー装置のトルク−捩れ角特性図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[ダンパー装置の構成]
まず、本発明にかかるダンパー装置の構成を図1〜図3に基づいて以下に説明する。
なお、図1は本発明にかかるダンパー装置の正面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のB−B線断面である。
図示のダンパー装置1は、不図示のエンジンの出力トルクの不図示の変速機への伝達を断接する摩擦クラッチに設けられるものであって、摩擦クラッチの断接操作時のトルク変動とエンジンの出力トルクの変動を吸収する機能を果たすものであり、以下のように構成されている。
すなわち、ダンパー装置1は、変速機の従動軸としての変速軸20にスプライン嵌合によって連結されたハブ2と、該ハブ2の外周に一体に形成されたフランジ部2Aの一側(図2の右側)においてハブ2に相対回転可能に支持されたリング状のディスクプレート3と、ハブ2のフランジ部2Aの他側(図2の左側)においてハブ2に相対回転可能に支持されたリング状のサブディスクプレート4と、これらのハブ2とディスクプレート3およびサブディスクプレート4に収容されたトルク伝達用弾性部材である4つのトーションスプリング(圧縮コイルスプリング)5(図1参照)を備えている。
上記ディスクプレート3の外周の両面には、摩擦材からなるリング状のフェーシング6が複数のリベット7によって取り付けられており、このフェーシング6がエンジンの出力軸であるフライホイール30に対して接離することによって、エンジンの出力トルクのディスクプレート3への伝達が断接される。
前記ディスクプレート3とサブディスクプレート4とは、複数(図示例では、4つ)の連結ピン8によって連結されて一体化されており、両者は一体となってハブ2に対して所定の角度範囲で相対回転することができる。ここで、図3に示すように、ハブ2のフランジ部2Aの外周4箇所(図3には1箇所のみ図示)には、略矩形の切欠き2aが等角度ピッチ(90°ピッチ)で形成されており、各切欠き2aに連結ピン8がそれぞれ挿通している。したがって、ディスクプレート3とサブディスクプレート4は、各連結ピン8が切欠き2aにおいて移動し得る角度範囲でハブ2に対して相対回転することができる。つまり、各連結ピン8は、ハブ2のフランジ部2Aに形成された切欠き2aの左右の端面に当接(衝突)することによって、ディスクプレート3とサブディスクプレート4のハブ2に対する相対回転角度を規定する機能を果たす。
また、図1及び図2に示すように、ハブ2のフランジ部2Aとディスクプレート3及びサブディスクプレート4の周方向4箇所には、略矩形の窓2b,3a,4aが周方向に等角度ピッチ(90°ピッチ)でそれぞれ形成されており、各窓2b,3a,4aには前記トーションスプリング5がそれぞれ縮装されている。
ところで、本実施の形態にかかるダンパー装置1においては、図2に示すように、ハブ2とディスクプレート3およびサブディスクプレート4の各内周側部分には、ヒステリシス機構9が設けられている。ここで、ヒステリシス機構9の構成の詳細を図4および図5に基づいて以下に説明する。
すなわち、図4は図2のC部拡大詳細図、図5は図4の矢視D方向の一部を破断して示す図であり、ヒステリシス機構9は、図4に示すように、軸方向(図4の左右方向)においてハブ2のフランジ部2Aとディスクプレート3との間にリング状の第1のスラストプレート10と第1の摩擦プレート11を介装するとともに、ハブ2のフランジ部2Aとサブディスクプレート4との間にリング状の第2のスラストプレート12と第2の摩擦プレート13、該第2の摩擦プレート13を第1のスラストプレート10側(図4の右側)に押圧する皿バネ14および該皿バネ14を受けるバネ受け15を介装することによって構成されている。
上記第1のスラストプレート10は、その内周部に形成された複数(図4には1つのみ図示)の突起10aをディスクプレート3の内周部に形成された複数(突起10aと同数)の嵌合孔3bに嵌合させることによってディスクプレート3に対して周方向に連結されており、この第1のスラストプレート10とディスクプレート3とは一体に回転する。
また、第2のスラストプレート12は、ハブ2に沿って軸方向に摺動可能に支持されており、その内周部に一体に突設された複数(本実施の形態では6つ)の係合突起12aがサブディスクプレート4の内周部に形成された複数(係合突起12aと同数)の係合孔4bに係合することによって所定の角度θの範囲でサブディスクプレート4に対して相対回転することができる。すなわち、図5に示すように、サブディスクプレート4に形成された各係合孔4bの周方向の幅は、第2のスラストプレート12に突設された各係合突起12aの周方向の幅よりも大きく設定されているため、第2のスラストプレート12は、これに突設された各係合突起12aが各係合孔4b内を移動し得る角度θ(図5に示すように、係合突起12aが中立位置にあるときに片側(θ/2)ずつ)の範囲内においてサブディスクプレート4に対して相対回転することができる。したがって、第2のスラストプレート12は、サブディスクプレート4がθ未満の小さな角度範囲において相対回転する場合には、サブディスクプレート4に対して静止している。
そして、軸方向において第2のスラストプレート12とサブディスクプレート4との間に形成される空間Sには、矩形ブロック状の遠心推力ピストン16が径方向(図4および図5の上下方向)に移動可能に収容されている。ここで、空間Sは、図4に示すように、その軸方向幅が径方向外方(図4の上方)に向って小さくなるように設定されている。具体的には、第2のスラストプレート12の遠心推力ピストン16が嵌合する面は、径方向外方に向ってサブディスクプレート4側(図4の左側)に傾斜するテーパ面とされており、このテーパ面に嵌合する遠心推力ピストン16の嵌合面も同様のテーパ面とされており、該遠心推力ピストン16の軸方向幅は、径方向内方(図4の下方)に向かって広くなっている。
また、前記空間Sには、遠心推力ピストン16を径方向内方(図4および図5の下方)に向って付勢する付勢手段として左右2つのリターンスプリング17が収容されている。
ところで、前記バネ受け15は、その内周側に突設された複数の係合突起15a(図4には1つのみ図示)が第2の摩擦プレート13の内周部に形成された複数(係合突起15aと同数)に形成された係合孔13aに係合することによって、第2のスラストプレート12と同様に、第2の摩擦プレート13に対して角度θの範囲内で相対回転することができる。そして、このバネ受け15に受けられた前記皿バネ14は、第2の摩擦プレート13を第2のスラストプレート12に所定の力で押圧している。
[ダンパー装置の作用]
次に、以上のように構成されたダンパー装置1の作用について説明する。
摩擦クラッチが接続状態となって、ダンパー装置1のディスクプレート3の外周に取り付けられたフェーシング6がエンジンのフライホイール30に圧接されると、両者間に発生する摩擦抵抗によってエンジンの出力トルクがディスクプレート3とこれに連結されたサブディスクプレート4に伝達され、これらのディスクプレート3とサブディスクプレート4が、各連結ピン8がハブ2のフランジ部2Aに形成された各切欠き2a(図3参照)内で移動可能な角度範囲で、ハブ2に対して相対回転する。そして、これらのディスクプレート3とサブディスクプレート4のハブ2に対する相対回転によって4つのトーションスプリング5が弾性変形するため、これらのトーションスプリング5の弾性変形によってトルク変動が吸収され、変動が吸収されたトルクは、トーションスプリング5を経てハブ2へと伝達され、ハブ2から不図示の変速機の変速軸20へと伝達される。
ところで、本実施の形態にかかるダンパー装置1にはヒステリシス機構9が設けられているため、このヒステリシス機構9によって、摩擦クラッチを断接操作したときに発生する大きなトルク変動を効果的に吸収するための大きなヒステリシスと、エンジンのトルク変動のような小さなトルク変動を効果的に吸収するための小さなヒステリシスが発生する。
すなわち、トルク変動が小さく、ディスクプレート3とサブディスクプレート4がハブ2に対して角度θの範囲内で相対回転するときには、第2のスラストプレート12は、サブディスクプレート4に対して相対回転しないため、第1の摩擦プレート11がディスクプレート3と共に一体に回転する第1のスラストプレート10に摺擦するため、図6のトルク−捩れ角特性に示すように、小さなヒステリシスHが発生する。
そして、トルク変動が大きく、ディスクプレート3とサブディスクプレート4がハブ2に対して所定角度θの範囲を超えて相対回転するときには、第2のスラストプレート12がサブディスクプレート4と共に一体に回転するため、第1の摩擦プレート11が第1のスラストプレート10とハブ2のフランジ部2Aと摺擦すると同時に、第2の摩擦プレート13が第2のスラストプレート12と摺擦するため、図6に示す大きなヒステリシスHが発生する。このため、図6に示す振幅幅のトルク変動は、大きなヒステリシスHによって吸収される。
ところで、第2のスラストプレート12は、サブディスクプレート4に対する相対回転角度がθを超えるとディスクプレート3およびサブディスクプレート4と共に回転するが、これとサブディスクプレート4との間に形成された空間Sに収容された遠心推力ピストン16も第2のスラストプレート12と共に回転するため、図4に示すように、該遠心推力ピストン16には径方向外方(図4の上方)に向う遠心力が作用する。このため、第2のスラストプレート12のテーパ面に嵌合する遠心推力ピストン16からは第2のスラストプレート12に対して推力が作用し、この推力によって第2のスラストプレート12は、遠心推力ピストン16によって第2の摩擦プレート13側(図4の右方)へと押圧される。
したがって、例えば、第2の摩擦プレート13の摩耗や皿バネ14の変形などによって第2のスラストプレート12とハブ2のフランジ部2Aとの間の軸方向距離が小さくなった場合には、図4に破線にて示すように、遠心力によって遠心推力ピストン16が径方向外方(図4の上方)へと移動するため、楔作用によって推力を受ける第2のスラストプレート12は、第2の摩擦プレート13側(図4の右側)に摺動して第2の摩擦プレート13を推力によって押圧する。このように、遠心推力ピストン16から推力を受ける第2のスラストプレート12は、第2の摩擦プレート13の摩耗や皿バネ14の変形などが発生しても、これに応じて軸方向に摺動して第2の摩擦プレート13を常に一定の力で押圧するため、安定したヒステリシス特性が長期に亘って確保される。
また、遠心推力ピストン16に作用する遠心力とこの遠心推力ピストン16から第2のスラストプレート12に作用する推力の大きさは、第2のスラストプレート12の回転速度に比例するため、ヒステリシス機構9の減衰系には、速度に依存する粘性減衰成分(c・dx/dt:cは粘性減衰定数、xは変位、tは時間)が存在することとなり、この速度成分によって共振の発生を抑えることができる。
また、図6に示すトルク−捩れ角特性から明らかなように、捩れ角が0付近においてダンパー装置1に振動が発生しても、低回転時のヒステリシスHはほぼ0であるため、捩れ角が0付近でもトーションスプリング5が機能して振動を吸収することができる。
以上のように、本実施の形態にかかるダンパー装置1によれば、安定したヒステリシス特性を長期に亘って確保することができるとともに、共振の発生を防ぎ、捩れ角0付近での振動を吸収することができるという効果が得られる。なお、図6において、鎖線にて示す折れ線Tは、トーションスプリング5の特性を示すものである。
なお、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
1 ダンパー装置
2 ハブ
2A ハブのフランジ部
2a ハブの切欠き
2b ハブの窓
3 ディスクプレート
3a ディスクプレートの窓
3b ディスクプレートの嵌合孔
4 サブディスクプレート
4a サブディスクプレートの窓
4b サブディスクプレートの係合孔
5 トーションスプリング(トルク伝達用弾性部材)
6 フェーシング
7 リベット
8 連結ピン
9 ヒステリシス機構
10 第1のスラストプレート
11 第1の摩擦プレート
12 第2のスラストプレート
13 第2の摩擦プレート
14 皿バネ(バネ部材)
15 バネ受け
16 遠心推力ピストン
17 リターンスプリング(付勢手段)
20 変速軸(従動軸)
30 フライホイール(駆動軸)
S 空間

Claims (5)

  1. 従動軸に連結されたハブと、
    駆動軸に対して着脱され、前記ハブの外周に一体に形成されたフランジ部の一側において前記ハブに相対回転可能に支持されたディスクプレートと、
    前記ハブのフランジ部の他側において前記ハブに相対回転可能に支持され、前記ディスクプレートに連結されたサブディスクプレートと、
    前記ハブのフランジ部と前記ディスクプレートおよび前記サブディスクプレートにそれぞれ形成された窓に収容されたトルク伝達用弾性部材と、
    軸方向において前記ハブのフランジ部と前記ディスクプレートおよび前記サブディスクプレートとの間に介装されたヒステリシス機構と、
    を備えたダンパー装置において、
    前記ヒステリシス機構を、
    前記ハブのフランジ部と前記ディスクプレートとの間に介装された第1のスラストプレートおよび第1の摩擦プレートと、
    前記ハブのフランジ部と前記サブディスクプレートとの間に介装された第2のスラストプレートおよび第2の摩擦プレートと、
    を含んで構成し、
    前記第2のスラストプレートを所定の角度範囲内で前記サブディスクプレートに対して相対回転可能且つ軸方向に摺動可能に配置し、該第2のスラストプレートと前記サブディスクプレートとの間に、遠心力によって前記第2のスラストプレートを前記第2の摩擦ブレートに押圧する推力を発生する径方向に移動可能な遠心推力ピストンと、該遠心推力ピストンを径方向内方に付勢する付勢手段を介装した
    ことを特徴とするダンパー装置。
  2. 前記第2のスラストプレートと前記サブディスクプレートとの間に、径方向外方に向かって幅が狭くなる空間を形成し、この空間に前記遠心推力ピストンと前記付勢手段を収容したことを特徴とする請求項1に記載のダンパー装置。
  3. 前記ハブのフランジ部と前記第2の摩擦プレートとの間に、前記第2の摩擦プレートを前記第2のスラストプレート方向に付勢するバネ部材を介装したことを特徴とする請求項1または2に記載のダンパー装置。
  4. 前記第2のスラストプレートに係合突起を突設するとともに、前記サブディスクプレートに前記係合突起の周方向幅よりも大きな周方向幅を有する係合孔を形成し、該係合孔に前記係合突起を係合させたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のダンパー装置。
  5. 前記付勢手段をリターンスプリングで構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のダンパー装置。
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