JP2019214711A - エーテル結合含有硫黄化合物及び樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 これまでにない新しい構造を有し、耐水性及び耐熱性に優れる硫黄化合物を提供する。また、このような硫黄化合物を用いた樹脂組成物を提供する。【解決手段】 下記一般式(3)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物を含むことを特徴とする接着性硬化物形成用硬化剤。【化1】式中、R1は、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。【選択図】 なし

Description

本発明は、エーテル結合含有硫黄化合物及び樹脂組成物に関する。
分子内にメルカプト基(SH)を有する硫黄化合物は、メルカプト基が有する反応性を利用して種々様々な分野で広く使用されている。従来の硫黄化合物としては数多くのものがあり、出願人は、種々のエステル結合を有する硫黄化合物を提供している(非特許文献1参照)。
「チオカルボン酸類」、SC有機化学株式会社、[online]、平成27年3月19日検索、インターネット<URL:http://www.sco-sakai-chem.com/products/products2_01.html>
上記のように硫黄化合物として数多くのものが存在しており、出願人も種々のエステル結合を有する硫黄化合物を提供している。だが、各種用途に最適な硫黄化合物の選択の幅を広げる観点から、新たな構造の硫黄化合物を開発する余地があった。例えば、従来のエステル結合を有する硫黄化合物は各種用途に非常に有用なものであるが、これよりも耐水性や耐熱性、反応性等に優れ、各種用途により一層有用な硫黄化合物を開発する余地があった。更に接着性を有する硬化物の形成に適する硬化剤を開発することも求められていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、これまでにない新しい構造を有し、耐水性及び耐熱性、反応性等に優れる硫黄化合物を提供することを目的とする。また、このような硫黄化合物を用いた樹脂組成物を提供することも目的とする。更に、接着性を有する硬化物の形成に適する硬化剤を提供することも目的とする。
本発明者らは、新規な硫黄化合物について種々検討したところ、2個以上のメルカプト基及びエーテル結合を有し、所定構造式からなる新規な硫黄化合物の製造に成功した。この化合物は、反応性が高く、耐熱性に優れるうえ、従来のエステル結合を有する硫黄化合物に比較すると、エーテル結合が加水分解しないことに起因して耐水性にも優れる。また、硫黄化合物と樹脂成分とを含む樹脂組成物が、耐水性、耐熱性、反応性、柔軟性及び耐アルカリ性に優れるうえ、低粘度も実現できることを見いだした。更に、4つのメルカプト基及びエーテル結合を有し、所定構造式からなる硫黄化合物を硬化剤として用いて硬化物を製造すると、得られる硬化物の接着強度が向上することを見いだした。このようにして上記課題を解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
なお、技術常識上、エステル化合物とエーテル化合物とは機能や特性が大きく異なるうえ、エステル結合をエーテル結合に置換することは容易でない。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物である。
式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n個のR及びm個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、これらの和(n+m)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
上記多価アルコールは、末端水酸基を2〜6個有することが好ましい。このような形態のエーテル結合含有硫黄化合物は、反応性が高く、取扱い性にも優れるため、好適である。
上記多価アルコールは、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール又はソルビタンであることが好ましい。
上記多価アルコールは、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールであることが好ましい。
上記Rが表すアルキレン基の炭素数は、2〜5であることが好ましい。
上記nは4であることが好ましい。
上記mは0であることが好ましい。
本発明はまた、上記エーテル結合含有硫黄化合物と、硬化性樹脂とを含む樹脂組成物でもある。
本発明は更に、下記一般式(3)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物を含む接着性硬化物形成用硬化剤でもある。
式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
上記Rは、同一又は異なって、炭素数2〜5のアルキレン基であることが好ましい。
本発明は更に、接着性硬化物形成用硬化剤と、硬化性樹脂とを含む樹脂組成物でもある。
本発明は更に、下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、ウェアラブル部材用途に用いられる樹脂組成物でもある。
式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n1個のR及びm1個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は2〜4の整数であり、m1は0以上の整数であり、(n1+m1)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
本発明は更に、下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、フレキシブル部材用途に用いられる樹脂組成物でもある。
式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n1個のR及びm1個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は2〜4の整数であり、m1は0以上の整数であり、(n1+m1)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
本発明は更に、下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、光学・電子部品の固定化材、保護材用途に用いられる樹脂組成物でもある。
式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n1個のR及びm1個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は2〜4の整数であり、m1は0以上の整数であり、(n1+m1)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
本発明のエーテル結合含有硫黄化合物は、これまでにない新規な化合物であり、耐水性及び耐熱性にも優れるものである。この化合物と硬化性樹脂とを含む樹脂組成物は、耐水性及び耐熱性に優れる他、反応性、柔軟性及び耐アルカリ性にも優れ、低粘度を実現できる。また、本発明の接着性硬化物形成用硬化剤は、接着性を有する硬化物の形成に好適である。このため、これらは、例えば、電気・電子分野、土木・建築分野、塗料分野、光学分野等の種々様々な分野で有用である。
図1は、実施例1、2で得た各生成物のTG及びDTA分析データである。 図2は、実施例4、5、比較例1、2及び参考例で得た組成物のTG及びDTA分析データである。 図3は、実施例5で得た組成物について煮沸吸水率試験を行った際の外観を撮影した写真である。(a)は、煮沸前の外観であり、(b)は、煮沸後の外観である。 図4は、比較例2で得た組成物について煮沸吸水率試験を行った際の外観を撮影した写真である。(a)は、煮沸前の外観であり、(b)は、煮沸後の外観である。 図5は、実施例5−2で得た硬化物の曲げ弾性率の試験直後の外観を撮影した写真である。 図6は、実施例5−2で得た硬化物の曲げ弾性率の試験から1分後の外観を撮影した写真である。 図7は、比較例2−2で得た硬化物の曲げ弾性率の試験直後の外観を撮影した写真である。 図8は、比較例2−2で得た硬化物の曲げ弾性率の試験から1分後の外観を撮影した写真である。
〔エーテル結合含有硫黄化合物〕
本発明のエーテル結合含有硫黄化合物は、上記一般式(1)で表される。
上記一般式(1)中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表す。「多価アルコールの残基」とは、多価アルコールから、末端水酸基(OH)を構成する水素原子(H)が除かれた構造を意味し、この水素原子に結合していた酸素原子、すなわち末端水酸基に由来する酸素原子が、n個のR及びm個のRと結合している。
上記Aの炭素数としては、2〜30が好ましく、より好ましくは2〜20であり、更に好ましくは2〜10であり、特に好ましくは2〜6である。
多価アルコールは、1分子中に末端水酸基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。例えば、脂肪族多価アルコール、脂環式多価アルコール、芳香環含有多価アルコール、糖類及びその誘導体等が挙げられる。中でも、脂肪族多価アルコール、脂環式多価アルコール及び/又は芳香環含有多価アルコールが好ましい。より好ましくは脂肪族多価アルコールである。
脂肪族多価アルコールとしては、炭素数2〜30のものが好ましい。より好ましくは炭素数2〜20であり、更に好ましくは炭素数2〜10であり、特に好ましくは炭素数2〜6である。
脂肪族多価アルコールとして具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカメチレングリコール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;(ポリ)グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン等の3価以上の多価アルコール;等が挙げられ、これらのアルキレンオキサイド付加物(例えば、付加モル数1〜50)であってもよい。中でも好ましくはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタンであり、より好ましくはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールであり、更に好ましくはペンタエリスリトールである。
脂環式多価アルコールとしては、例えば、炭素数3〜30のものが好ましい。具体的には、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール等が挙げられる。
芳香環含有多価アルコールとしては、炭素数6〜30のものが好ましい。具体的には、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(例えば、付加モル数2〜30)等が挙げられる。
上記多価アルコールが有する末端水酸基は、2個以上であればよいが、より好ましくは2〜10個、更に好ましくは2〜8個、特に好ましくは2〜6個である。これにより、反応性がより高く、取扱い性にも優れるエーテル結合含有硫黄化合物となる。一層好ましくは3〜6個、すなわち3価〜6価の多価アルコールであり、最も好ましくは4価のアルコールである。
上記一般式(1)中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
上記Rが表すアルキレン基の炭素数は、エーテル結合含有硫黄化合物に要求される物性に応じて適宜設定すればよい。例えば、柔軟性が求められる用途では炭素数が大きいほど好ましく、また、高屈折率が求められる用途では炭素数が小さいほど好ましい。具体的には、例えば、アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5であり、更に好ましくは2〜3である。なお、後述する好ましい製造方法にてエーテル結合含有硫黄化合物を作製する場合、Rは、ハロゲン化オレフィンの構造に由来する。
上記Rで表されるアルキレン基中、メルカプト基と結合する炭素原子は、1級炭素原子であってもよいし、2級炭素原子であってもよいし、3級炭素原子であってもよい。好ましくは1級炭素原子又は2級炭素原子である。2級炭素原子である場合、エーテル結合含有硫黄化合物は2級チオールとなるが、この場合は硬化速度が抑えられるため、これを硬化性樹脂を含む樹脂組成物に用いた場合に、当該樹脂組成物が一液安定性に優れることになる。
上記Rはまた、置換基を1又は2以上有していてもよい。置換基としては、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、リン酸基等が挙げられる。なお、Rが置換基を含まないことも好適である。
上記一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、Rを2個以上有する場合、当該Rは同一であってもよいし、異なってもよい。
上記Rがアルキル基を表す場合、その炭素数は、エーテル結合含有硫黄化合物に要求される物性に応じて適宜設定すればよい。例えば、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜5である。Rとして特に好ましくは、水素原子である。
上記Rはまた、置換基を1又は2以上有していてもよい。置換基としては、特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基、リン酸基等が挙げられる。なお、Rが置換基を含まないことも好適である。
上記一般式(1)中、nは、(R−SH)で表される構造の数を表し、2以上の整数である。mは、Rの数を表し、0以上の整数である。これらの総和(n+m)は、上記Aを与える多価アルコールが有する末端水酸基の総数である。n及びmは、好ましくはn≧m、より好ましくはn>mの関係を満たすことである。また、mは2以下が好ましく、より好ましくは1又は0であり、最も好ましくは0である。nは、2〜10が好ましく、より好ましくは2〜8であり、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2〜4であり、最も好ましくは4である。nが4であれば、エーテル結合含有硫黄化合物が耐熱性および耐湿性により優れるため、エーテル結合含有硫黄化合物を含む組成物を接着剤として用いた場合に、接着強度にも優れることとなる。
参考までに、nとmとの総和(n+m)は、例えば、Aを与える多価アルコールがトリメチロールプロパンである場合は3、ペンタエリスリトールである場合は4、ジトリメチロールプロパンである場合は4、ジペンタエリスリトールである場合は6となる。
上記エーテル結合含有硫黄化合物の分子量は、原子量換算量(炭素原子の質量数を12.01とする)として、50〜700であることが好ましい。700以下であると、粘度低減の観点で有利である。より好ましくは100〜600、更に好ましくは150〜500である。
上記エーテル結合含有硫黄化合物のSH価は、5〜50%であることが好ましい。より好ましくは10〜35%である。
本明細書中、SH価は、例えば、試料を適切な有機溶剤に溶解させ、電位差自動滴定装置(京都電子工業社製、AT−610)でヨウ素溶液を使用した酸化還元滴定法にて測定して求めることができる。
上記エーテル結合含有硫黄化合物の比重は、25℃での比重として、例えば、1.0〜1.5であることが好ましい。より好ましくは1.05〜1.3である。
本明細書中、比重は、例えば、浮ばかり法により25℃で測定して求めることができる。
上記エーテル結合含有硫黄化合物の屈折率は、25℃での屈折率として、例えば、1.1〜1.7であることが好ましい。より好ましくは1.3〜1.6である。
本明細書中、屈折率は、例えば、屈折率計(アタゴ社製、DR−A1)を用い、温度25℃、波長589nmにおける屈折率を測定して求めることができる。
上記エーテル結合含有硫黄化合物の粘度は、25℃での粘度として、例えば、1〜10000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは1〜3000mPa・s、更に好ましくは1〜500mPa・s、特に好ましくは200mPa・s以下、最も好ましくは120mPa・s以下である。このように本発明のエーテル結合含有硫黄化合物は、従来の硫黄化合物に比べて低粘度であるため、低粘度が求められる用途に好ましく適用することができる。
本明細書中、粘度は、例えば、B型粘度計(東機産業社製、TVB−10H)を用い、25℃で測定して求めることができる。
エーテル結合含有硫黄化合物として、具体的には、トリメチロールプロパンモノプロパンチオール、トリメチロールプロパンビスプロパンチオール、トリメチロールプロパントリスプロパンチオール、ペンタエリスリトールモノプロパンチオール、ペンタエリスリトールビスプロパンチオール、ペンタエリスリトールトリスプロパンチオール、ペンタエリスリトールテトラキスプロパンチオール、ジペンタエリスリトールモノプロパンチオール、ジペンタエリスリトールビスプロパンチオール、ジペンタエリスリトールトリスプロパンチオール、ジペンタエリスリトールテトラキスプロパンチオール、ジペンタエリスリトールペンタキスプロパンチオール、ジペンタエリスリトールヘキサキスプロパンチオール等が挙げられる。中でも好ましくはトリメチロールプロパンビスプロパンチオール、ペンタエリスリトールトリスプロパンチオール、ペンタエリスリトールテトラキスプロパンチオールであり、より好ましくはペンタエリスリトールテトラキスプロパンチオールである。
〔エーテル結合含有硫黄化合物の製造方法〕
本発明のエーテル結合含有硫黄化合物は、例えば、多価アルコールをハロゲン化オレフィンと反応させて末端水酸基の2個以上をエーテル化した後(反応1と称す)に、チオカルボン酸と反応させ(反応2と称す)、更にこれをアルカリ加水分解及び中和反応に供することで、製造することができる。なお、必要に応じて、反応1又は反応2の後に、残存した末端水酸基をアルコキシ化させてもよいし、また、アルカリ加水分解及び中和反応後に、精製工程(ろ過等)を行ってもよい。
上記反応1は、多価アルコールとハロゲン化オレフィンとの反応である。反応条件は特に限定されず、通常一般的な条件とすればよい。各原料は1種又は2種以上を使用することができる。
多価アルコールとしては、上述した化合物が挙げられる。
ハロゲン化オレフィンは、ハロゲン原子を有する炭素数1〜10のオレフィンであることが好適であるが、この構造に由来して、上記一般式(1)中のRが形成され得る。ハロゲン原子は特に限定されないが、入手性やコスト、反応性等の観点から、塩素原子が好ましい。オレフィンの炭素数は、目的物たるエーテル結合含有硫黄化合物に要求される物性に応じて適宜設定すればよい。例えば、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5である。ハロゲン化オレフィンとして特に好ましくは、アリルクロライドである。
上記反応1において、多価アルコールとハロゲン化オレフィンとの使用割合は、目的物たるエーテル結合含有硫黄化合物の構造や要求物性、製造効率等に応じて適宜設定すればよい。例えば、多価アルコールが有する末端水酸基1モルに対し、ハロゲン化オレフィンを2モル以上とすることが好ましく、また、20モル以下とすることが好ましい。
上記反応2は、反応1で生成したエーテル化合物とチオカルボン酸との反応である。反応条件は特に限定されないが、反応効率を高める観点からは、反応温度を30〜80℃とすることが好ましい。各原料は1種又は2種以上を使用することができる。
上記反応2では開始剤を用いてもよい。開始剤としては特に制限されないが、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスメチルブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスバレロニトリル酸、アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシカーボネート、パーオキシエステル等の熱ラジカル開始剤、アセトフェノン、アントラキノン、ベンゾフェノン等の光ラジカル開始剤等が挙げられる。
チオカルボン酸は、−C=O−SHで表される構造を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
式中、Rは、炭化水素基、水酸基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。炭化水素基としては特に限定されず、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基等が挙げられ、炭素数は1〜30が好ましく、より好ましくは1〜18である。中でも、アルキル基が好ましい。
上記チオカルボン酸として具体的には、例えば、チオ酢酸、プロパンチオ酸、チオ安息香酸等が挙げられる。中でも、入手性やコスト等の観点から、チオ酢酸及び/又はチオ安息香酸を用いることが好ましい。
上記反応2において、反応1で生成したエーテル化合物とチオカルボン酸との使用割合は、目的物たるエーテル結合含有硫黄化合物の構造や要求物性、製造効率等に応じて適宜設定すればよい。例えば、反応1で生成したエーテル化合物が有するエーテル結合1モルに対し、チオカルボン酸を2モル以上とすることが好ましく、また、20モル以下とすることが好ましい。
上記製造方法では、反応2の後、アルカリを用いて加水分解し、更に中和させることになる。アルカリとしては特に限定されず、通常使用されるアルカリを1種又は2種以上を使用することができる。アルカリ加水分解工程では、加水分解反応の効率を高める観点からは、温度を30〜80℃とすることが好ましい。また、中和工程では、通常使用される酸を1種又は2種以上を使用すればよい。
〔用途〕
本発明のエーテル結合含有硫黄化合物は、反応性が高く、耐水性及び耐熱性に優れることから、例えば、硬化剤(好ましくはエポキシ樹脂硬化剤);紫外線、電子線、X線等の活性光線による硬化モノマー;ウレタン樹脂の主剤;アクリルモノマー等の分子内に二重結合を有するモノマーの連鎖移動剤;各種ゴム加硫剤及び架橋剤;各種合成原料;還元剤;等として、電気・電子分野、土木・建築分野、塗料分野、光学分野等の種々様々な分野で有用である。
具体的には、例えば、電子デバイス接着剤(アンダーフィル、カメラモジュール接着剤、光ピックアップ用接着剤等)、LED封止剤、半導体封止剤、ソルダーレジスト、プリント基板材料、導電性ペースト材料、カラーフィルター用オーバーコート材料、コイル含浸用接着剤、異方性導電フィルム材料、切削用仮止め接着剤等の電気・電子部品材料;橋梁の耐震補強、コンクリート補強、建築物の床材、上下水道施設のライニング、排水・透水舗装、車両・航空機用接着剤、ゴルフクラブやテニスラケット等のスポーツ用品用複合材料、タイル貼付用接着剤、アスファルト改質剤等の土木・建築部品材料;船舶塗料、飲料用缶の内面塗装用塗料、防食用塗料、床用塗料、自動車用電着プライマ―、その他工業用電着塗装、パイプ内外面塗装、各種道路用塗料(路面表示用塗料、景観塗料等)等の塗料材料;等に好ましく適用できる。これらの用途では、上記エーテル結合含有硫黄化合物を硬化剤(好ましくはエポキシ樹脂硬化剤)として用いることが好ましい。
また、例えば、フィルム材料(反射防止フィルム、広視野角フィルム、偏光フィルム、拡散フィルム、プリズムシート等のフラットパネルディスプレイ用フィルム材料等)、コーティング材料(各種フィルムや樹脂、金属、筐体、化粧版、飲料缶等)、UV硬化型接着剤(光学レンズ、光ファイバー、光路結合用等光学接着剤、DVDや光ディスク貼り合せ接着剤、光ピックアップ用接着剤等)、UV硬化型インキ、感光性ソルダーレジスト、光硬化型粘接着剤、カラーレジスト、ブラックマトリックス、フォトスペーサー、各種シーリング剤(液晶封止剤等)、光学透明樹脂材料(OCR)、光造形材料、歯科材料、ポリマー電池材料、印刷版材料、マニキュア、ポッティングインク、光導波路等にも好ましく適用できる。これらの用途では、上記エーテル結合含有硫黄化合物を硬化モノマーとして用いることが好ましい。
更に、例えば、プラスチックレンズや、層間絶縁フィルムにも好ましく適用でき、この用途では、上記エーテル結合含有硫黄化合物をウレタン樹脂の主剤として用いることが好ましい。その他、光学用透明粘着シート(OCA)、アクリル系粘着テープ、壁紙インク等にも好ましく適用でき、これらの用途では、連鎖移動剤として用いることが好適である。
本発明のエーテル結合含有硫黄化合物はまた、エステル基含有硫黄化合物と併用することで、任意の曲げ弾性率を示す硬化物を与えることも可能である。エステル基含有硫黄化合物とは、メルカプト基及びエステル結合を有する化合物であればよいが、上述した非特許文献1に記載のチオカルボン酸類が好適である。このように本発明のエーテル結合含有硫黄化合物と、エステル基含有硫黄化合物とを含む組成物は、本発明の好適な実施形態に包含される。この場合の質量比(エーテル結合含有硫黄化合物/エステル基含有硫黄化合物)は特に限定されないが、例えば、1〜99/99〜1であることが好適である。
〔接着性硬化物形成用硬化剤〕
本発明は、下記一般式(3)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物を含む接着性硬化物形成用硬化剤でもある。
式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
このような特定の構造を有するエーテル結合含有硫黄化合物は、耐水性、耐アルカリ性、耐酸性に優れるため、硬化性樹脂の硬化剤として好適に用いることができる。また、得られた硬化物は、優れた接着性を発揮することができる。
上記Rのアルキレン基の炭素数として好ましくは2〜5である。
として具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基及びデシレン基が挙げられる。好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基であり、より好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基であり、更に好ましくはプロピレン基である。
〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、上述した本発明のエーテル結合含有硫黄化合物と硬化性樹脂とを含む。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
なお、硬化性樹脂とは、硬化性を有する化合物である限り特に限定されず、モノマーであってもよいし、オリゴマーであってもよいし、重合体であってもよいし、これらの混合物であってもよい。
本発明はまた、本発明の接着性硬化物形成用硬化剤と、硬化性樹脂とを含む樹脂組成物でもある。このような樹脂組成物を用いることにより、耐水性、耐薬品性、接着性に優れる硬化物を得ることができるため、上記樹脂組成物は、電気・電子分野、土木・建築分野、光学分野、塗料分野等の種々様々な分野において好適に用いることができ、これらの用途の中でも接着剤、塗料、インキ、コーティング剤、封止剤等により好適に用いることができる。
上記硬化性樹脂としては特に限定されず、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のいずれも好ましく使用できる。中でも、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基及びイソシアネート基(−N=C=O)からなる群より選択される少なくとも1種の基を有する化合物が好ましい。これらの化合物は反応性が高いため好適である。硬化性樹脂としてより好ましくは、エポキシ樹脂(好ましくはビスフェノールAエポキシ樹脂)、ウレタン樹脂(好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート)、ポリエン化合物(好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテル)、アクリル樹脂である。より好ましくはエポキシ樹脂又はアクリル樹脂である。エポキシ樹脂又はアクリル樹脂に対して接着性硬化物形成用硬化剤を用いることにより、得られる硬化物は接着性により優れることとなる。
本発明において、下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物もまた好適な実施形態の1つである。
式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n1個のR及びm1個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は2〜4の整数であり、m1は0以上の整数であり、(n1+m1)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
このような樹脂組成物の硬化物は、優れた柔軟性及び形状の復元性を発揮するため、柔軟性、形状の変化、耐衝撃性が求められる用途に好適に用いられる。
上記一般式(4)におけるR、Rの具体例及び好ましい例は上述のとおりである。
上記n1は2〜4の整数であり、好ましくは2又は3であり、より好ましくは3である。
上記m1は0以上の整数であり、好ましくは2以下であり、より好ましくは1又は0であり、最も好ましくは1である。
上記柔軟性、形状の変化、耐衝撃性が求められる用途としては、例えば、人間の身体等に着用可能なコンピュータ、人間の身体等に装着して生体信号等を測定するセンサ等のウェアラブル部材;携帯情報端末(例えば、スマートフォン、タブレット)等のタッチパネル、有機ELディスプレイ等のディスプレイ、保護フィルム、タッチパネル電極基板等のフレキシブル部材(フレキシブル性が求められる電子材料/電子部品);光学・電子部品の固定化材、保護材等の用途が挙げられる。
ウェアラブル部材、フレキシブル部材は、ウェアラブルデバイス、フレキシブルデバイス等に用いられる部材であれば特に制限されず、また、光学・電子部品の固定化材は光学・電子部品を固定し衝撃等から保護する機能を発揮するものであれば特に制限されず、光学・電子部品の保護材は、光学・電子部品を衝撃等から保護する機能を発揮するものであれば特に制限されないが、具体的には例えば、コーティング剤、保護膜、接着剤、粘着剤、アンダーフィル、封止剤、バッファー層、自己修復膜等が挙げられる。
上記接着剤は、同種材料を接着するものであっても、異種材料を接着するものであってもよい。
本発明は、上記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、ウェアラブル部材用途に用いられる樹脂組成物でもある。
更に本発明は、上記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、フレキシブル部材用途に用いられる樹脂組成物でもある。
更に本発明は、上記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、光学・電子部品の固定化材、保護材用途に用いられる樹脂組成物でもある。
上記樹脂組成物において、エーテル結合含有硫黄化合物と硬化性樹脂との含有割合は特に限定されず、例えば、硬化性樹脂/エーテル結合含有硫黄化合物(重量比)=100/0.01〜500であることが好適である。中でも100/0.01〜300であることが好ましい。より好ましくは100/0.01〜200である。例えば、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合は、更に好ましくは100/1〜150、特に好ましくは100/1〜100であり、ウレタン樹脂を用いる場合は、更に好ましくは100/1〜200、特に好ましくは100/1〜150であり、ポリエン化合物を用いる場合は、更に好ましくは100/0.01〜300、特に好ましくは100/0.01〜200である。
上記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物は、エポキシ樹脂が有するエポキシ基の数を100とした場合に、エーテル結合含有硫黄化合物が有するチオール基の数が50〜200となる割合でエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含むことが好ましい。より好ましくはチオール基の数が70〜150となる割合であり、更に好ましくは80〜120となる割合である。
以下、硬化性樹脂の好ましい具体例を説明する。
−エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては特に限定されないが、エピクロルヒドリンと、ビスフェノール類等の多価フェノール類又は多価アルコールとの縮合によって得られる化合物が好ましい。具体的には、例えば、ビスフェノールA型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、ノボラック型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、テトラフェニロールエタン型等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。その他、エピクロルヒドリンと、フタル酸誘導体や脂肪酸等のカルボン酸との縮合によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;エピクロルヒドリンと、アミン類、シアヌル酸類又はヒダントイン類との反応によって得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;更に様々な方法で変性したエポキシ樹脂;等が挙げられる。中でも、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、中でも、上述したように、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。また、エポキシ基と、アクリレート基又はメタクリレート基(これらを「(メタ)アクリレート基」と総称する)とを有する化合物も好適である。
−ウレタン樹脂−
ウレタン樹脂としては特に限定されないが、例えば、イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応によって得られる化合物が好ましい。また、本願のエーテル結合含有硫黄化合物とイソシアネート化合物との反応生成物も好ましく、この反応生成物は、本願でいう「エーテル結合含有硫黄化合物と硬化性樹脂とを含む樹脂組成物」に包含する。
イソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、メチルシクロへキサンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、シクロへキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロへキサン、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、へキサメチレンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルへキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルへキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、上述したように、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
−ポリエン化合物−
ポリエン化合物は、例えば、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基、アリルエーテル基等の不飽和基を有する化合物が好ましい。
ビニル基を有する化合物としては、例えば、ビニルシラン、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ペンタエリスリトール型テトラビニルエーテル等が挙げられる。
アクリレート基を有する化合物としては、例えば、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート 、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート等が挙げられる。
メタクリレート基を有する化合物としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート 、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、ノニルフェノキシエチルメタクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコールメタクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート等が挙げられる。
アリルエーテル基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
上記ポリエン化合物の中でも、アリルエーテル基を有する化合物が好ましい。より好ましくは、上述したように、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
−アクリル樹脂−
アクリル樹脂としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリルモノマー又は(メタ)アクリルオリゴマーの他、これらのいずれかを少なくとも用いた重合体又は共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーは、上述のアクリレート基を有する化合物やメタクリレート基を有する化合物に加えて、アクリロイル基又はメタクリロイル基を2以上有する多官能(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。
2官能の(メタ)アクリルモノマーとしては、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール系ジ(メタ)アクリレート;ビスフェノール構造等の芳香環を有する2官能の(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとして好ましくはビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート等である。
上記樹脂組成物はまた、必要に応じて、エーテル結合含有硫黄化合物及び硬化性樹脂以外の成分(「他の成分」と称す)を1種又は2種以上含んでいてもよい。
上記他の成分としては特に限定されず、例えば、重合開始剤(例えば、α−ヒドロキシアルキルフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン等のアルキルフェノン系光重合開始剤)、硬化触媒(例えば、トリエチレンテトラアミン等のアミン化合物)、硬化剤(例えば、メチルフキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物)、硬化促進剤(例えば、ブチルアシッドホスフェイト等の有機リン酸エステル)、重合禁止剤(例えば、ピロガロール等のフェノール系重合禁止剤、ヒドロキノン等のキノン系重合禁止剤、ニトロソアミン系重合禁止剤)等が挙げられる。
上記他の成分の含有量は特に限定されず、他の成分の用途や機能によって適宜設定すればよいが、例えば、樹脂組成物100重量%中、30重量%以下とすることが好ましい。
上記樹脂組成物の粘度は特に限定されず、用途等に応じて適宜設定することができるが、本発明のエーテル結合含有硫黄化合物を用いることで低粘度化を実現することもできる。
本発明の樹脂組成物の特に好適な実施形態として、次の1)〜5)の形態が挙げられる。
1)本発明のエーテル結合含有硫黄化合物、ポリエン化合物及び重合開始剤を含む樹脂組成物。これら3成分の配合質量比は、ポリエン化合物100重量部に対し、エーテル結合含有硫黄化合物が0.01〜300重量部(好ましくは0.01〜200重量部)、重合開始剤が0.1〜10重量部(好ましくは0.3〜1重量部)であることが好ましい。
2)本発明のエーテル結合含有硫黄化合物、エポキシ樹脂及び硬化触媒を含む樹脂組成物。これら3成分の配合質量比は、エポキシ樹脂100重量部に対し、エーテル結合含有硫黄化合物が1〜150重量部(好ましくは1〜100重量部)、重合開始剤が0.1〜10重量部(好ましくは0.3〜1重量部)であることが好ましい。
3)本発明のエーテル結合含有硫黄化合物、エポキシ樹脂及び酸無水物を含む樹脂組成物。これら3成分の配合質量比は、エポキシ樹脂100重量部に対し、エーテル結合含有硫黄化合物が1〜150重量部(好ましくは1〜100重量部)、酸無水物が10〜100重量部(好ましくは30〜70重量部)であることが好ましい。
4)本発明のエーテル結合含有硫黄化合物、ウレタン樹脂及び硬化促進剤を含む樹脂組成物。これら3成分の配合質量比は、ウレタン樹脂100重量部に対し、エーテル結合含有硫黄化合物が1〜200重量部(好ましくは1〜150重量部)、硬化促進剤が0.1〜10重量部(好ましくは1〜5重量部)であることが好ましい。
5)本発明のエーテル結合含有硫黄化合物、アクリル樹脂及び重合開始剤を含む樹脂組成物。これら3成分の配合質量比は、アクリル樹脂100重量部に対し、エーテル結合含有硫黄化合物が0.1〜150重量部(好ましくは0.1〜100重量部)、重合開始剤が0.1〜10重量部(好ましくは0.1〜5重量部)であることが好ましい。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り「%」は「重量%(質量%)」を意味する。
<物性の分析・評価方法>
1、エーテル結合含有硫黄化合物の分析
以下の実施例中、H−NMR及びTG−DTAは以下の方法により分析した。他の物性等の分析は、上述した方法にて行った。
(1)H−NMR
試料を重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン社製、AVANCEIII、400MHz)により測定した。
(2)TG−DTA(熱重量−示差熱)
熱重量測定−示差熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TG/DTA6300)を用いて、大気雰囲気下10℃/minの昇温条件で測定した。
2、樹脂組成物の物性評価
(1)粘度
100mLガラス瓶にエポキシ配合物又はアクリレート配合物を採取し、恒温槽を用いて25℃に調整した。下記条件の下、B型粘度計 TVB−10H(東機産業社製)を用いて、粘度測定を行った。結果を表1〜3に示す。
ローター:No.3
測定時間:1分
回転速度:粘度2000(mPa・s)以下・50rpm、粘度5000(mPa・s)以下・20rpm、粘度5000(mPa・s)以上・10rpm
(2)保存安定性(ポットライフ)
100mLガラス瓶にエポキシ配合物又はアクリレート配合物を採取し、恒温槽を用いて25℃に調整した。エポキシ配合物については、ホウ酸をjER828の質量に対して1%添加したものと、未添加のものを調製した。アクリレート配合物については、重合禁止剤(ピロガロール、キシダ化学株式会社製)を硬化剤の質量に対して0.2%添加したものと、未添加のものを調製した。これらについてB型粘度計 TVB−10H(東機産業株式会社製)を用いて、粘度測定を行い、初期粘度(mPa・s)とした。その後、組成物を25℃雰囲気下(アクリレート配合物については25℃雰囲気下の暗所)に放置し、1日ごとに再度粘度測定を行った。その時の粘度が初期粘度の2倍以上になる日数を確認した。結果を表2及び3に示す。
ローター:No.3
測定時間:1分
回転速度:粘度2000(mPa・s)以下・50rpm、粘度5000(mPa・s)以下・20rpm、粘度5000(mPa・s)以上・10rpm
(3)反応性
アクリレート配合物をカバーガラスに塗布したものを試験片とした。試験片にUVを照射しながらFT−IR(Nicolet6700FTIR、Thermo Scientific製)で測定し、UV照射前とUV照射から10秒後のC=C結合(1640cm−1)の減少度合いから、反応率を計算した。結果を表3に示す。
検出器:MCT(液体窒素冷却)(600〜4000cm−1
UV照射装置:スポットキュア(SP−9、USHIO製)
(4)表面硬化性
アクリレート配合物をスライドガラスに塗布し、UV照射機で積算光量30kJ/mを照射して硬化物を作成した。以下の評価基準により指触にて表面硬化性を確認した。結果を表3に示す。
○:硬化物表面に指紋が残らない
×:硬化物表面に指紋が残る(タックがある)
(5)DSC(示差走査熱量)
エポキシ配合物約2mgを採取し、示差走査熱量計(リガク社製、Thermo plus EVO DSC 8230)を用いて、室温から250℃まで昇温速度10℃/分の昇温条件で測定した。発熱開始温度(℃)を表1及び2に示す。
(6)ゲルタイム
80℃に熱した熱板上に、カバーガラスを置き、その上に樹脂組成物1滴を供給し、攪拌棒によって円を描くように攪拌しながら攪拌棒を持ち上げ引き離したときに、カバーガラスが持ち上がるまでの時間をゲルタイムとした。結果を表2に示す。
(7)TG−DTA(熱重量−示差熱)
熱重量測定−示差熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、TG/DTA6300)を用いて、窒素雰囲気下10℃/minの昇温条件で測定した。実施例4、5、比較例1、2及び参考例の結果を図2に示す。実施例6〜8、比較例4、5及び参考例1については、組成物の重量の1%が減少する温度、200℃及び300℃における組成物の重量減少の割合を表2に示す。
(8)TMA(熱機械分析)
熱機械分析装置(リガク社製、Thermo plus EVO TMA 8310)を用いて、エポキシ硬化物(幅3mm×長さ15mm×厚み3mm)を、窒素雰囲気で昇温速度2℃/分の昇温条件で測定した。Tgを表1及び2に示す。
(9)熱膨張率
室温の硬化物試験片(幅10mm×長さ30mm×厚み3mm)の長さをマイクロメータで測定した。次に、105℃にした乾燥機に試験片を入れ、1時間後に、長さを再度測定した。なお、この試験は、JIS K6911(2006年)に準拠した。結果を表1に示す。
(10)曲げ弾性率
卓上形精密万能試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS−X)を用いて、エポキシ硬化物(幅10mm×長さ60mm×厚み3mm)を、負荷速度1.5mm/分で三点曲げ試験を行った。結果を表1及び2に示す。
(11)復元性
上記の曲げ弾性率の試験直後と、1分後の硬化物の外観を観察し、復元性を確認した。結果を図5〜8に示す。
(12)マンドレル試験
エポキシ硬化物(幅50×長さ100mm×厚み1mm又は0.5mm)を、1mmの棒に沿って180°折り曲げた。折り曲げ後、硬化物に割れや亀裂が生じていないか目視で確認した。厚み1mmのエポキシ硬化物において割れや亀裂が生じていない場合を◎とし、厚み0.5mmのエポキシ硬化物において割れや亀裂が生じていない場合を〇とし、厚み0.5mmのエポキシ硬化物において割れや亀裂が生じた場合を×とした。結果を表2に示す。
(13)接着強度
厚さ16mm×幅25mm×長さ100mmのSPCC−SDを2枚用いて、一方に組成物を均一に広げて、もう一方に25mm×10mmの接着面積で貼り合わせて、動かない様に固定した状態で熱風乾燥炉により80℃雰囲気下で60分で組成物を硬化させてテストピースを作成した。テストピースの温度が室温に戻った後、引張強度試験器により引張方向に引張速度10mm/minでテストピースを引っ張って、最大荷重を測定した。最大荷重と接着面積から「接着強度(MPa)」を計算した。 なお、この試験は、はJIS K6850(1999年)に準拠した。結果を表2及び3に示す。
(14)耐湿性試験
上記の接着強度測定と同様にテストピースを作成し、85℃×85%RH雰囲気下に放置し、500時間後、800時間後に、上記の接着強度測定と同様に接着強度を測定した。
結果を表2に示す。
(15)煮沸吸水率
60℃に設定した乾燥機で、エポキシ硬化物(直径20mm×厚み1mm)を2時間乾燥した。処理後の試験片をデシケーター中で室温まで冷却し、精秤した。次にビーカーに蒸留水60mLと試験片を入れ、6時間煮沸した。その後、流水で30分間冷却し、表面を拭いた後、1分以内に秤量瓶に入れて吸水後の質量を精秤した。重量変化率(質量変化率)(%)を表1に示す。また、試験終了後の試験片の外観を観察した(実施例5及び比較例2の煮沸前後の外観写真を図3、4に示す)。なお、この試験は、JIS K6911(2006年)に準拠した。表1に示す。
(16)耐アルカリ性試験
60℃に設定した乾燥機で、エポキシ硬化物又はアクリレート硬化物(幅10mm×長さ30mm×厚み3mm)を2時間乾燥した。処理後の試験片をデシケーター中で室温まで冷却し、精秤した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液20mLを入れた30mLスクリュー管に浸漬し、25℃にて一定に保ち、7日間放置した。容器は24時間ごとに静かに揺り動かし、試験液を混ぜた。試験時間経過後、蒸留水ですばやく洗い、表面を拭いた後、1分以内に秤量瓶に入れて試験後の質量を精秤した。重量変化率(質量変化率)(%)を表1〜3に示す。なお、この試験は、JIS K6911(2006年)に準拠した。
(17)耐酸性試験
60℃に設定した乾燥機で、エポキシ硬化物又はアクリレート硬化物(幅10mm×長さ30mm×厚み3mm)を2時間乾燥した。処理後の試験片をデシケーター中で室温まで冷却し、精秤した。次に5%塩酸水溶液 20mLを入れた30mLスクリュー管に浸漬し、25℃にて一定に保ち、7日間放置した。容器は24時間ごとに静かに揺り動かし、試験液を混ぜた。試験時間経過後、蒸留水ですばやく洗い、表面を拭いた後、1分以内に秤量瓶に入れて試験後の質量を精秤した。重量変化率(質量変化率)(%)を表2及び3に示す。なお、この試験は、JIS K6911(2006年)に準拠した。
(18)耐溶剤性試験
60℃に設定した乾燥機で、エポキシ硬化物(幅10mm×長さ30mm×厚み3mm)を2時間乾燥した。処理後の試験片をデシケーター中で室温まで冷却し、精秤した。次に溶剤20mLを入れた30mLスクリュー管に浸漬し、25℃にて一定に保ち、14日間放置した。容器は24時間ごとに静かに揺り動かし、試験液を混ぜた。試験時間経過後、蒸留水ですばやく洗い、表面を拭いた後、1分以内に秤量瓶に入れて試験後の質量を精秤した。重量変化率(質量変化率)(%)を表2に示す。なお、この試験は、JIS K6911(2006年)に準拠した。溶剤は、MEK、MIBKをそれぞれ用いた。
<エーテル結合含有硫黄化合物の作製>
実施例1(TMPT)
丸底フラスコにトリメチロールプロパンビスアリルエーテル(350g、1.63mol)を加えた後、40℃に加熱した。チオ酢酸(274g、3.59mol)を滴下した後、混合液を40℃で4時間撹拌した。反応液に20%アンモニア水溶液 (500g)を加えた後、55℃で15時間撹拌した。分液後、有機層にトルエン(460g)と5%硫酸水溶液(315g)を加えた。分液した後、有機層に水(315g)を加えた。有機層を分離濃縮して、トリメチロールプロパン ビスプロパンチオール(440g、収率95%)(TMPTと称す)を無色透明のオイルとして得た。NMR分析結果を以下に、TG−DTA分析結果を図1に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl):
δ0.82(t,3H),δ1.31−1.37(m,4H),δ1.82−1.88(m,4H),δ2.57−2.63(m,4H),δ2.82(br,1H),δ3.35−3.42(m,4H),δ3.50(t,4H),δ3.56(s,2H)
このNMR分析結果より、実施例1で得た生成物が、下記一般式(a)で表されるトリメチロールプロパン ビスプロパンチオール(C1226)であることを確認した。
実施例1で得たTMPTの各種物性の分析結果を以下に示す。
外観 :無色透明液体
SH価 :21.7%
比重(25℃) :1.08
屈折率(25℃):1.50
粘度(25℃) :64mPa・s
実施例1’(TMPT)
丸底フラスコにトリメチロールプロパンビスアリルエーテル(350g、1.63mol)を加えた後、40℃に加熱した。チオ酢酸(274g、3.59mol)を滴下した後、混合液を40℃で4時間撹拌した。反応液に20%アンモニア水溶液 (500g)を加えた後、55℃で15時間撹拌した。分液後、有機層に5%硫酸水溶液(315g)を加えた。分液した後、有機層に水(315g)を加えた。有機層を分離濃縮して、トリメチロールプロパンビスプロパンチオール(441g、収率95%)(TMPTと称す)を無色透明のオイルとして得た。このTMPTは、上記実施例1で得たTMPTと同じ物性及び構造を有する化合物であった。
実施例2(PEPT)
丸底フラスコにペンタエリスリトールトリスアリルエーテル(350g、1.37mol)を加えた後、40℃に加熱した。チオ酢酸(343g、4.51mol)を滴下した後、混合液を40℃で4時間撹拌した。反応液に20%アンモニア水溶液(560g)を加えた後、55℃で15時間撹拌した。分液後、有機層にトルエン(490g)と5%硫酸水溶液(350g)を加えた。分液した後、有機層に水(350g)を加えた。有機層を分離濃縮して、ペンタエリスリトール トリスプロパンチオール(478g、収率98%)(PEPTと称す)を無色透明のオイルとして得た。NMR分析結果を以下に、TG−DTA分析結果を図1に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl):
δ1.35(t,3H),δ1.80−1.86(m,6H),δ2.55−2.61(m,6H),δ2.79(br,1H),δ3.40(s,6H),δ3.48(t,6H),δ3.65(s,2H)
このNMR分析結果より、実施例1の生成物が、下記一般式(b)で表されるペンタエリスリトールトリプロパンチオール(C1430)であることを確認した。
実施例2で得たPEPTの各種物性の分析結果を以下に示す。
外観 :無色透明液体
SH価 :26.6%
比重(25℃) :1.13
屈折率(25℃):1.52
粘度(25℃) :100mPa・s
実施例2’(PEPT)
丸底フラスコにペンタエリスリトールトリスアリルエーテル(350g、1.37mol)を加えた後、40℃に加熱した。チオ酢酸(343g、4.51mol)を滴下した後、混合液を40℃で4時間撹拌した。反応液に20%アンモニア水溶液(560g)を加えた後、55℃で15時間撹拌した。分液後、有機層に5%硫酸水溶液(350g)を加えた。分液した後、有機層に水(350g)を加えた。有機層を分離濃縮して、ペンタエリスリトール トリスプロパンチオール(479g、収率98%)(PEPTと称す)を無色透明のオイルとして得た。このPEPTは、上記実施例2で得たPEPTと同じ物性及び構造を有する化合物であった。
実施例3(ペンタエリスリトール テトラキスプロパンチオール)
丸底フラスコにペンタエリスリトールテトラキスアリルエーテル(350g、1.18mol)を加えた後、40℃に加熱した。チオ酢酸(405g、5.31mol)を滴下した後、混合液を40℃で2時間撹拌した。反応液に25%アンモニア水溶液(500g)を加えた後、55℃で15時間撹拌した。分液後、有機層にトルエン(460g)と5%硫酸水溶液(315g)を加えた。分液した後、有機層に水(315g)を加えた。有機層を分離濃縮して、ペンタエリスリトール テトラキスプロパンチオール(485g、収率95%)(PETTと称す)を無色透明のオイルとして得た。NMR分析結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl) :
Δ1.37(t,4H),δ1.79−1.86(m,8H),δ2.59(g,8H),δ3.33(s,8H),δ3.46(t,8H)
このNMR分析結果より、実施例3の生成物が、下記一般式(c)で表されるペンタエリスリトール テトラキスプロパンチオール(C1634)であることを確認した。
実施例3で得たPETTの各種物性の分析結果を以下に示す。
外観 :無色透明液体
SH価 :27.8%
比重(25℃) :1.12
屈折率(25℃):1.52
粘度(25℃) :150mPa・s
実施例3’(ペンタエリスリトール テトラキスプロパンチオール)
丸底フラスコにペンタエリスリトールテトラキスアリルエーテル(350g、1.18mol)を加えた後、40℃に加熱した。チオ酢酸(405g、5.31mol)を滴下した後、混合液を40℃で2時間撹拌した。反応液に25%アンモニア水溶液 (500g)を加えた後、55℃で15時間撹拌した。分液後、有機層に5%硫酸水溶液(315g)を加えた。分液した後、有機層に水(315g)を加えた。有機層を分離濃縮して、ペンタエリスリトール テトラキスプロパンチオール(485g、収率95%)を無色透明のオイルとして得た。このPETTは、上記実施例3で得たPETTと同じ物性及び構造を有する化合物であった。
図1より、実施例1、2で得たTMPT及びPEPTは、耐熱性に優れることが読み取れる。また、上記構造式から明らかなように、エステル結合ではなくエーテル結合を有するため、従来のエステル結合を有する硫黄化合物に比較すると、エーテル結合が加水分解しないことに起因して耐水性にも優れると判断できる。
<エポキシ樹脂組成物の作製>
まず、原料成分として、下記成分を準備した。
(A)成分:エポキシ樹脂
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「jER828」、三菱化学社製)
(B)成分:硬化剤
・トリメチロールプロパン ビスプロパンチオール(「TMPT」、実施例1で得た化合物)
・ペンタエリスリトール トリスプロパンチオール(「PEPT」、実施例2で得た化合物)
・ペンタエリスリトール テトラキスプロパンチオール(「PETT」、実施例3で得た化合物)
・1,4−ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)(「BDMP」、SC有機化学社製)
・トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(「TMMP」、SC有機化学社製)
・トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート(「TEMPIC」、SC有機化学社製)
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(「PEMP」 SC有機化学株式会社製)
(C)成分:硬化促進剤
・アミンアダクト系硬化促進剤(「アミキュアPN−23」、味の素ファインテクノ社製)
・酸無水物系硬化剤(「リカシッドMH−700」、新日本理化社製)
実施例4−1、5−1、比較例1、2−1、3及び参考例1、2
表1に記載の(A)成分、(B)成分及び(C)成分をディスポカップに秤量し、株式会社シンキー製の自転公転式撹拌脱泡器(「あわとり練太郎 ARE−310」)を用い、5分攪拌を行った(これを「エポキシ配合物」と称す)。得られた配合物を80℃で1時間、及び、120℃で1時間で硬化させた(これを「エポキシ硬化物」と称す)。
各例につき、エポキシ配合物及びエポキシ硬化物について、上述した方法にて物性を評価した。結果を表1及び図2に示す。
上記結果より、本願のエーテル結合含有硫黄化合物を含む樹脂組成物(実施例4、5)は、樹脂粘度が低いために取り扱い性及び作業性に優れること;発熱開始温度が低いため、反応性が高く、低温硬化が期待できること;熱膨張率が低いため、寸法安定性に優れる硬化物を与えることができること;TMAによるTgが低く、曲げ弾性率も低いため、柔軟性に優れること;耐アルカリ性に優れること;煮沸後も透明性を維持できているため(図3、4参照)、耐水性に優れること;が分かった。それゆえ、本発明のエーテル結合含有硫黄化合物を含む樹脂組成物は、種々様々な用途に有用である。
実施例4−2、5−2、6、比較例2−2、3及び参考例3、4
表2に記載の(A)成分、(B)成分及び(C)成分をディスポカップに秤量し、シンキー製の自転公転式撹拌脱泡器 あわとり練太郎 ARE−310を用い、5分攪拌を行った(これを「エポキシ配合物」と称す)。得られた配合物を80℃で1時間、及び、120℃で1時間で硬化させた(これを「エポキシ硬化物」と称す)。
各例につき、エポキシ配合物及びエポキシ硬化物について、上述した方法にて物性を評価した。結果を表2及び図5〜8に示す。
<アクリル樹脂組成物の作製>
まず、原料成分として、下記成分を準備した。
(A)成分:アクリレート
・ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(ライトアクリレートBP−4EAL 共栄社化学株式会社製)
(B)成分:硬化剤
・トリメチロールプロパン ビスプロパンチオール(「TMPT」、実施例1で得た化合物)
・ペンタエリスリトール トリスプロパンチオール(「PEPT」、実施例2で得た化合物)
・ペンタエリスリトール テトラキスプロパンチオール(「PETT」、実施例3で得た化合物)
・トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(「TMMP」、SC有機化学社製)
・ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(「PEMP」 SC有機化学株式会社製)
(C)成分:光重合開始剤
・1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン(Irgacure 184 IGM Resins B.V.製)
実施例7〜9、比較例4、5及び参考例5
表3に記載の(A)成分、(B)成分及び(C)成分をディスポカップに秤量し、シンキー製の自転公転式撹拌脱泡器 あわとり練太郎 ARE−310を用い、5分攪拌を行った(これを「アクリレート配合物」と称す)。得られた配合物にUVを照射し、完全に硬化させた(これを「アクリレート硬化物」と称す)。

各例につき、アクリレート配合物及びアクリレート硬化物について、上述した方法にて物性を評価した。結果を表3に示す。

Claims (6)

  1. 下記一般式(3)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物を含むことを特徴とする接着性硬化物形成用硬化剤。
    式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。
  2. 前記Rは、同一又は異なって、炭素数2〜5のアルキレン基であることを特徴とする請求項1に記載の接着性硬化物形成用硬化剤。
  3. 請求項1又は2に記載の接着性硬化物形成用硬化剤と、硬化性樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
  4. 下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、ウェアラブル部材用途に用いられることを特徴とする樹脂組成物。
    式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n1個のR及びm1個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は2〜4の整数であり、m1は0以上の整数であり、(n1+m1)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
  5. 下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、フレキシブル部材用途に用いられることを特徴とする樹脂組成物。
    式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n1個のR及びm1個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は2〜4の整数であり、m1は0以上の整数であり、(n1+m1)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
  6. 下記一般式(4)で表されるエーテル結合含有硫黄化合物とエポキシ樹脂とを含み、光学・電子部品の固定化材、保護材用途に用いられることを特徴とする樹脂組成物。
    式中、Aは、末端に水酸基を2個以上有する多価アルコールの残基を表し、該末端水酸基に由来する酸素原子が、n1個のR及びm1個のRと結合している。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。n1は2〜4の整数であり、m1は0以上の整数であり、(n1+m1)は、該多価アルコールが有する末端水酸基の総数に相当する。
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