以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の移植機の一例として玉葱苗を移植する移植機10を示す側面図であり、図2は、移植機10の平面図である。
なお、以下の説明では、操縦ハンドル47を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
本実施の形態の移植機10は、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル47と、圃場に苗を植え付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
走行車体40は、エンジン41と、エンジン41の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の駆動車輪である後輪44と、後輪44の前方に転動自在に支持した左右一対の前輪45とを備えている。
エンジン41の後側には、ミッションケース39が配置されている。ミッションケース39は、その左側部からエンジン41の左側方に延びるケース部分を有しており、このケース部分がエンジン41の左側部と連結している。このケース部分にエンジン41の出力軸が入り込んでミッションケース39内の伝動機構に動力が伝達する構成となっている。
ミッションケース39の左右両側部には、前後に長い走行用伝動ケース38の前部が回動自在に取り付けられている。具体的には、走行用伝動ケース38の前部の機体内側部に、走行用伝動ケース38と一体回転可能に回転するアクスルケース11を設け、このアクスルケース11をミッションケース39の左右両側部に回動自在に取付けて、走行用伝動ケース38をミッションケース39の左右両側部に対応して回動自在に取付けている。そして、この走行用伝動ケース38の後部側方に突出させた後輪車軸12に後輪44を装着している。
走行用伝動ケース38の前部の回動軸心位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行用伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行用伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行用伝動ケース38の後端車軸12に伝動し、後輪44が駆動回転する構成としている。
なお、ミッションケース39内に設けた左右それぞれのサイドクラッチ(図示せず)により、左右の各後輪44の駆動を断つことが出来る構成になっている。従って、機体を旋回させるときには、サイドクラッチにより旋回内側となる左右一方の後輪44を非駆動状態にしてスムーズに旋回出来る構成としている。
また、走行用伝動ケース38には、走行用伝動ケース38の前部側を回動支点として後輪44を上下させる、上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、走行用伝動ケース38のミッションケース39への取付部には、上方に延びるアーム13が一体的に取り付けられており、アーム13がミッションケース39に固定された昇降用油圧シリンダーのピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、連結ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右水平制御用油圧シリンダーで連結している。
昇降用油圧シリンダーが作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム13は後方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダーのピストンロッドが機体前方に移動してシリンダー内に引っ込むと、左右のアーム13は前方に回動し、これに伴い走行用伝動ケース38が上方に回動して、機体が下降する。
この昇降用油圧シリンダーは、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作するセンサー14によって作動する。センサー14の動作は機体の位置を基準とした畝上面高さを検出する動作となり、そのセンサー14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対応して設定高さになる構成で昇降用油圧シリンダーが作動する構成としている。
また、左右水平制御用油圧シリンダーが伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダーと連結する左側のアーム13が回動して、左側の後輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダーは、左右水平を基準として機体の左右傾斜を検出するセンサーの検出結果に基づいて作動して、機体を左右水平にする構成としている。
エンジン41下方の左右中央位置で前後方向の軸心回りに回動自在に取り付けた横フレーム16の左右両側部に、上下に長い縦フレーム17が取付けられており、左右前輪45は、縦フレーム17の下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング動自在となっている。また、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム17が上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
前記操縦ハンドル47は、機体後部に設けられており、後輪44の後輪車軸12より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。
操縦ハンドル47は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル47のグリップ部としている。
なお、図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル47の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付具と、植付具の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具を上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付具の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付具の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付具を開閉する開閉機構とを備える。
本実施の形態の植付装置42は、第1植付具20aと第2植付具20bを左右に並べて配備した、二条植の構成としている。これらの第1植付具20a及び第2植付具20bは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に各々装着されている。なお、伝動ケース26は、機体フレーム19に下部を固定した取付部材の上部に固着されている。
上下動機構21は、伝動ケース26を基準として前部が上下回動自在に装着され、後部の左右両側に植付具が連結した昇降リンクを備えている。そして、別途設けた駆動機構により伝動ケース26内からの動力で昇降リンクを上下動させ、昇降リンクの左右に連結した、第1植付具20a及び第2植付具20bが上下動する構成となっている。
この上下動の上昇位置では左右の植付具20a、20bの下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では左右の植付具20a、20bの下端部が圃場面より下方に位置する。
左右の植付具20a、20bの開閉機構は、伝動ケース26内からの動力で作動し、上下動機構21の作動に連動して、左右の植付具20a、20bが下降して下端位置に達するとその植付具20a、20bの下部側を左右に開いて下方に開放状態とし、左右の植付具20a、20bが上昇して上端位置に達するとその植付具20a、20bの下部側を閉じて閉塞状態とする構成である。
左右の上下動機構21は、180度位相を異ならせて作動する構成となっており、左右一方の第1植付具20aと、左右他方の第2植付具20bとが、それぞれ圃場において同じ前後位置に苗を植え付ける構成としている。
苗供給装置43は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数の苗収容体22と、苗収容体22を、第1植付具20a及び第2植付具20bの上方を通過させて周回移動させる移動機構23と、第1植付具20a及び第2植付具20bの上方位置で苗収容体22の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて、第1植付具20a及び第2植付具20bに苗を供給させる苗落下機構とを備える。
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し、互いにループ状に連結している。
移動機構23は、連結した各苗収容体22が左右の植付具20a、20bの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる。
苗落下機構は、苗収容体22の底蓋を、その苗収容体22に対応する、第1植付具20aまたは第2植付具20bの上方位置で開放する。
本実施の形態では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する係合部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から左右の植付具20a、20bに苗を供給する個所で、苗収容体22の左右の植付具20a、20bを基準とした位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
苗供給装置43の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側または後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の後輪44より機体内側に配置されている。
また、左右の植付具20a、20bは、後輪車軸12の位置よりも後側に配置している。
苗供給装置43は、左右の第1植付具20a及び第2植付具20bに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
図 に示すとおり、第1植付具20a及び第2植付具20bは、それぞれ第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bで、苗収容体22から苗が落下供給される。
そして、左右の植付具20a、20bに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けており、苗収容体22が対応する左右の植付具20a、20bの上方にきたときのみ底蓋が開き、対応しない左右の植付具20a、20bの上方では底蓋が開かない構成としている。
すなわち、第1植付具20aに対応する苗収容体22は第1落下供給位置31aにきたときのみ、第2植付具20bに対応する苗収容体22は第2落下供給位置31bにきたときのみ、それぞれの底蓋が開いて対応する植付具20a、20bに苗が供給される構成となっている。
移動機構23の作動周期は、上下動機構21の作動周期に同期する設定にされており、左右の植付具20a、20bに対応する苗収容体22を合わせて1つの苗収容体ユニットとして、その苗収容体ユニットを複数連結した構成とすることにより、苗収容体22が左右の落下供給位置31a、31bを直列的に通過しながら、左右の植付具20a、20bに対応して苗供給漏れが生じることなく苗を供給でき、且つ左右の落下供給位置31a、31bを通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じなくすべく、余すことなく左右の植付具20a、20bに対応して苗を供給出来る構成としている。
本実施の形態の移植機10は、左右の植付具20a、20bが植え付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を左右の植付具20a、20bの苗植え付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。
また、苗供給装置43に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業を行うべく、作業者が座る作業者用座席46を設けている。具体的には、苗供給装置43の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業者用座席46を配置している。作業者用座席46に座る作業者は、苗供給装置43の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置43の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対応して苗補給作業を行う。
作業者用座席46の左右両側で機体側面視で後輪44の後輪車軸12の上方位置に、苗供給装置43に補給する苗を収容可能な予備苗枠50を設けている。
前記左右の植付具20a、20bは、上下動機構21によって各々昇降し、走行車体40の前進走行に伴い、所定の前後間隔、即ち所定の株間を空けて苗を圃場に植え付けるものである。
苗の株間は、前記走行車体40上から操作可能に設けられる変速レバー60の操作により切替設定される車速伝動と、ミッションケース39の後部に設けられる株間切替ギアケース100内に設けられる、大きく株間を切り替える第1株間ギア機構110と、小さく株間を切り替える第2株間ギア機構120の各々の切替設定により変更することができる。
なお、第1株間ギア機構110による、大きい株間の切り替えとは、一例として3〜6cmの株間の増減を示し、第2株間ギア機構120による、小さい株間の切替とは、一例として1〜2cmの株間の増減を示す。但し、切り替えられる株間の増減は使用するギアの径により変動するものであり、上記の数字に限定されるものではない。
上記の株間の切替機構について、詳細に説明する。
図 に示すとおり、ミッションケース39の左側後部には、株間切替ケース100が装着される。図3から図6に示すとおり、前記ミッションケース39から株間切替ケース100には、伝動軸101を介して駆動力が入力され、該伝動軸101の後部側、即ち株間伝動ケース100の内部に位置する側には、植付伝動の入切を切り替える植付クラッチ102を、伝動軸101上で入切切替可能に設ける。また、該伝動軸101の後端側には、伝動軸101と共に回転する伝動ギア103を装着する。
前記伝動軸101の機体後部側の外周、及び前記植付クラッチ102と伝動ギア103の軸着部には各々スプライン加工を施し、滑りを抑える構成とする。
なお、前記伝動軸101、植付クラッチ102及び伝動ギア103は、株間伝動ケース100の機体内側(機体左右中央部側)で且つ機体下部側に配置されている。
前記伝動軸101よりも機体外側で且つ機体上側には、前記第1株間ギア機構110が配置される。この第1株間ギア機構110は、第1株間伝動軸111と、該第1株間伝動軸111の機体後部側に設けられ、前記伝動ギア103と噛み合う第1株間入力ギア112と、各々径の異なる複数(本例では三つ)のギアからなる第1株間出力ギアユニット113と、該第1株間出力ギアユニット113を構成する複数のギアのうち、駆動力を伝動するギアを選択する第1株間シフタ114で構成される。
前記第1株間出力ギアユニット113は、機体後部寄りに配置される、最も小径であり第1株間の中では一番小さい株間を選択する第1株間小径ギア113aと、機体前部寄りに配置される、最も大径であり第1株間の中では一番大きい株間を選択する第1株間大径ギア113cと、第1株間小径ギア113aと第1株間大径ギア113cの前後間に配置される第1株間中径ギア113bで構成される。
また、前記第1株間シフタ114は、前記伝動軸101の上方に配置され、機体前後方向に摺動可能な第1シフタロッド115と、該第1シフタロッド115の機体前部側に設けられる第1切替アーム116と、該第1切替アーム116により前記第1株間伝動軸111の前後方向に摺動して、第1株間小径ギア113a、第1株間中径ギア113b、第1株間大径ギア113cのうち、伝動方向下手側に伝動するものを選択する第1キー117で構成する。
なお、前記第1シフタロッド115のうち、図10(a)で示すとおり、機体後部側には複数(本例では三ケ所)の第1シフタ溝115a,115b,115cが形成されており、該第1シフタ溝115a,115b,115cのいずれかに第1シフタロッド115が作業者の操作によらず前後摺動することを防止する第1摺動ストッパ118を接触させ、苗の植付株間が突然変化することを防止する。
図11に示すとおり、該第1摺動ストッパ118は、第1シフタ溝115a,115b,115cに接触する第1ストッパボール118aと、該第1ストッパボール118を第1シフタ溝115a,115b,115cに押し付ける第1スプリング118bと、第1スプリング118bを受ける第1ストッパボルト118cで構成される。
図3及び図4に示すとおり、前記第1株間ギア機構110の第1株間伝動軸111の機体上側で且つ機体内側には、第1株間小径ギア113aと噛み合う大径カウンタギア131aと、第1株間中径ギア113bと噛み合う中径カウンタギア131bと、第1株間大径ギア113cと噛み合う小径カウンタギア131cで構成される、カウンタギアユニット131を装着したカウンタ伝動軸130を回転自在に設ける。該カウンタ伝動軸130は、前記第1キー117で伝動状態を選択した第1株間ギアユニット113のギアと噛み合うカウンタギアユニット131のギアを介して伝動方向下手側に伝動する。
そして、前記カウンタギアユニット131のカウンタ伝動軸130の機体上側で且つ機体外側には、前記第2株間ギア機構120が配置される。この第2株間ギア機構120は、第2株間伝動軸121と、各々径の異なる複数(本例では三つ)のギアからなる第2株間出力ギアユニット123と、該第2株間出力ギアユニット123を構成する複数のギアのうち、駆動力を伝動するギアを選択する第2株間シフタ124と、前記第2株間伝動軸121の機体後部側に設けられる第1株間出力ギア122で構成する。なお、第2株間伝動軸121の機体後部側の外周、及び第1株間出力ギア122の軸着部にはスプライン加工を施し、滑りを抑えると共に、第2株間伝動軸121からの着脱が容易な構成とする。
前記第2株間出力ギアユニット123は、前記大径カウンタギア131aと噛み合う、最も小径であり第2株間の中では一番小さい株間を選択する第2株間小径ギア123aと、前記小径カウンタギア131cと噛み合う、最も大径であり第2株間の中では一番大きい株間を選択する第2株間大径ギア123cと、第2株間小径ギア123aと第2株間大径ギア123cの前後間に配置される第2株間中径ギア123bで構成される。
また、前記第2株間シフタ124は、前記カウンタ伝動軸130の下方で且つ機体外側に配置され、機体前後方向に摺動可能な第2シフタロッド125と、該第2シフタロッド125の機体前部側に設けられる第2切替アーム126と、該第2切替アーム126により前記第2株間伝動軸121の前後方向に摺動して、第2株間小径ギア123a、第2株間中径ギア123b、第2株間大径ギア123cのうち、伝動方向下手側に伝動するものを選択する第2キー127で構成する。
なお、前記第2シフタロッド125のうち、図10(b)に示すとおり、機体後部側には複数(本例では三ケ所)の第2シフタ溝125a,125b,125cが形成されており、該第2シフタ溝125a,125b,125cのいずれかに第2シフタロッド125が作業者の操作によらず前後摺動することを防止する第2摺動ストッパ128を接触させ、苗の植付株間が突然変化することを防止する。
図11に示すとおり、該第2摺動ストッパ128は、第2シフタ溝125a,125b,125cに接触する第2ストッパボール128aと、該第2ストッパボール128を第2シフタ溝125a,125b,125cに押し付ける第2スプリング128bと、第2スプリング128bを受ける第2ストッパボルト128cで構成される。
図3及び図4に示すとおり、前記第2株間ギア機構120の第2株間伝動軸121の上部には、中継伝動軸140を配置し、該中継伝動軸140の機体後部側には、前記第1株間出力ギア122と噛み合う、第1株間出力ギア122よりも大径の中継入力ギア141を設ける。また、該中継伝動軸140の前後中央部付近には、第2株間出力ギア142を一体回転可能に装着する。
なお、中継伝動軸140の機体後部側の外周、及び中継入力ギア141の軸着部にはスプライン加工を施し、滑りを抑えると共に、中継伝動軸140からの着脱が容易な構成とする。
そして、中継伝動軸140よりも機体下側で且つ機体内側、及び第2株間伝動軸121よりも機体上側で且つ機体内側に、駆動力を機体後部に設ける植付装置42及び苗供給装置43に伝動するPTO軸150を構成する、植付出力軸151を配置する。該PTO軸150は、株間切替ギアケース100内に配置される該植付出力軸151と、機体後方に向かう伝動シャフト152と、植付出力軸151に伝動シャフト152を上下方向や左右方向に回動可能に連結するユニバーサルジョイント153で構成する。
前記植付出力軸151の前後中央部付近には、前記第2株間出力ギア142と噛み合う、第2株間出力ギア142よりも大径の第2株間入力ギア154を一体回転可能に装着する。
上記の複数のギア機構、及び複数の伝動軸は、図7から図9に示すとおり、前記株間伝動ケース100を構成する、前側ケースカバー100Fと後側ケースカバー100Rで覆われる。該前側ケースカバー100Fと後側ケースカバー100Rには複数のネジ孔(図示省略)を形成し、これらのネジ孔に機体前側及び後側からボルト160…を各々差し込むことで連結するものとする。前記ボルト160…を外すと、前側ケースカバー100Fと後側ケースカバー100Rの連結を解除し、内部のメンテナンス作業等が可能な状態とする。
前記前側ケースカバー100Fの上部で、中継伝動軸140の配置位置よりも機体内側寄りの位置には、株間伝動ケース100内にオイルやグリスなどの潤滑剤を注入する注入作業用の開口部(図示省略)を形成し、この開口部に、オイルキャップ161を着脱自在に配置する。
前記後側ケースカバー100Rのうち、前記第2株間伝動軸121と中継伝動軸140の機体後部側、即ちスプライン加工が施され、第1株間出力ギア122及び中継入力ギア141が設けられる側には、図9に示すとおり、後側開口部100Raを形成し、該後側開口部100Raには、後側開口部100Raと略同一の形状で、且つ後側開口部100Raよりも大きい被覆プレート162を、図8に示すとおり、複数のボルト160…を介して着脱可能に装着する。
該被覆プレート162を外して後側開口部100Raを開放状態にすると、第1株間出力ギア122及び中継入力ギア141が露出し、第2株間伝動軸121と中継伝動軸140に沿って機体後側に移動させて取り外しが可能な状態になる。
これにより、第1株間出力ギア122及び中継入力ギア141のメンテナンス作業が容易に行える。
また、第1株間出力ギア122及び中継入力ギア141を異なる径のギアに変更することにより、苗の植付株間の設定変更が可能になる。なお、ここで言う植付株間の設定変更は、植付作業中の株間の設定変更ではなく、本願の想定する玉葱以外の栽培条件の異なる作物に合わせて適切な植付株間に設定することを意味する。
一部のギアの交換で別の作物の植付作業に対応可能になることにより、別の作物の専用の移植機を別途用意する必要が無く、農作業コストの大幅な低減が図られる。
図3から図9に示すとおり、前記株間伝動ケース100には、第1株間ギア機構110及び第2株間ギア機構120の切替を行う、一本の株間切替レバー170を設ける。該株間切替レバー170は、上部側が機体前方に向かって曲げられ、この上側屈曲部170aより上側に位置する上端部に操作グリップ171をはめ込んで設けられる。また、上側屈曲部170aよりも下側は、機体下側ほど機体内側に位置する傾斜姿勢であると共に、機体下部側には下側屈曲部170bを形成し、背面視において、下側屈曲部170bの機体内側は機体外側よりも緩やかな角度で傾斜する構成とする。
そして、前記株間切替レバー170の下端部(機体内側端部)付近には、前記第1シフタロッド115を前後摺動させて第1株間ギア機構110を切り替える第1レバーアーム172を、側面視において株間切替レバー170と共に前後回動可能に装着する。該第1レバーアーム172の下部には、前記第1シフタロッド115の機体後部側に設ける第1連結ピン119を挟み込む切替凹部172aが形成される。
前記被覆プレート162の機体下側で且つ後側には、左右方向の保持プレート174がボルト160…を介して装着し、該保持プレート174の機体内側は、機体後方に向けて曲げ、保持屈曲部174aを形成する。この保持屈曲部174aよりも機体後側には、前記株間切替レバー170の下端部が通過する第1軸開口部175と、前記第1連結ピン119が通過する凹部176が形成される。これにより、株間切替レバー170は、図3、図4及び図7に示すとおり、側面視で前後回動方向(第1操作方向)Xに回動可能に保持される。
また、前記第2シフタロッド125の機体後端部には、屈曲部177aを形成した第2レバーアーム177を連結ボルト173で連結し、側面視で屈曲部177aよりも機体前側には、株間切替レバー170が通過する第2軸開口部178が形成されている。
前記第1軸開口部175と第2軸開口部178の内周部には、ゴム等の弾性の有る軟質のリング状部材(図示省略)を設け、株間切替レバー170の前後回動方向Xの操作、及び前後揺動方向Yの操作時に、支点部を捻じって操作可能とし、第1シフタロッド115及び第2シフタロッド125を十分に前後移動操作可能に構成するとよい。
第2シフタロッド125が第2切替アーム及び第2レバーアーム177と連結されていることにより、株間切替レバー170を前後揺動方向(第2操作方向)Yに操作すると、第2シフタロッド125が前後に移動する構成となる。
なお、株間切替レバー170の操作グリップ171を設ける一側端部から、前後回動方向Xの回動操作時に支点となる他端部側までの長さは、一例として、少なくとも15cm以上、他の部材や作業者の足との接触しにくさを考慮しつつできるだけ長いものとする。
これにより、前後回動方向Xの回動操作時の株間切替レバー170の操作量が大きくなるので、大幅に株間を切り替えていることを作業者が把握しやすく、小幅に株間を切り替える操作と区別しやすくなり、誤操作の発生が防止される。
また、株間切替レバー170の前後回動方向Xの回動支点が第1シフタロッド115の近傍であることにより、第2シフタロッド125を前後移動させるべく株間切替レバー170を前後揺動方向Yに操作する際、第1シフタロッド115が前後移動して第1株間ギア機構110が切り替えられ、異なる株間が設定されることが防止される。
前記株間切替レバー170の操作グリップ171を設ける側は、走行車体40の左右一側であり、作業者用座席46の下方空間部に設けられる。また、前記変速レバー60は、作業者用座席46の下方空間部において、株間切替レバー170よりも機体内側に配置される。
変速レバー60は、機体前後方向に長手方向を有し、前端部を回動支点として左右方向に回転操作することにより、「低速」、「中速」または「高速」のいずれかに切り替える。最も機体外側方向に変速レバー60を操作しても、変速レバー60と株間切替レバー170は干渉し合わない配置とする。これは、株間切替レバー170の操作位置を問わない。
これにより、作業者は走行車体40の左右の同じ側で株間の設定作業を行うことができるので、株間切替作業時に移動する頻度が抑えられ、作業時間の短縮や労力の軽減が図られる。
なお、機体内側に操作すると「低速」、機体外側に操作すると「高速」となる構成とする。
次に、車速伝動の切り替えと、第1株間ギア機構110及び第2株間ギア機構120を切り替えによる、苗の植付株間の変更について、表1に基づき説明する。なお、表1と同様のラベルを作成し、株間切替レバー170を操作する作業者の視認可能な範囲内に張り付けておくと、株間切替レバー170の操作方向が株間の広くなる側か狭くなる側かを把握しやすくなる。
まず、変速レバー60は、前述のとおり、ミッションケース39に内装する変速ギア機構の切替により、走行車体40の走行速度を「低速」、「中速」及び「高速」の三段階に切り替えるものである。走行速度が速いほど、植付装置42が上昇及び下降動作を一回行う間に前進する距離は長くなるので、車速の設定により圃場に苗を植え付ける前後間隔(株間)が変更される。
次に、前記株間切替レバー170を前後回動方向Xに操作すると、第1シフタロッド115が前後方向に揺動して第1キー117の前後位置が変更され、第1株間伝動軸111からカウンタ伝動軸130に伝動する第1株間出力ギアユニット113のギアが変更される。
第1株間伝動軸111の機体後部側には、第1株間ギア機構110で最も株間を狭く設定する第1株間小径ギア113aが設けられ、機体前部側には、第1株間ギア機構110で最も株間を広く設定する第1株間大径ギア113cが設けられていることにより、図3、図4及び図7に示すとおり、前記株間切替レバー170を前側回動方向XFに回動操作すると株間が大幅に広くなり、後側回動方向XRに回動操作すると株間が大幅に狭くなる。
上記の大幅な株間の変更は、車速の設定にもよるが、「低速」では約3cmごと、「中速」では3〜5cmごと、「高速」では5cmまたは6cmごとに切り替えられる。
なお、車速の切替については、最低でも10cm、最大で17cm株間が増減するものであり、第1株間ギア機構110による株間の切替に比べて、より大幅に株間が切り替えられるものである。
次に、前記株間切替レバー170を前後揺動方向Yに操作すると、第2シフタロッド125が前後方向に揺動して第2キー127の前後位置が変更され、カウンタ伝動軸130から第2株間伝動軸121への駆動力を受ける第2株間出力ギアユニット123のギアが変更される。
第2株間伝動軸121の機体後部側には、第2株間ギア機構120で最も株間を狭く設定する第2株間小径ギア123aが設けられ、機体前部側には、第2株間ギア機構120で最も株間を広く設定する第2株間大径ギア123cが設けられていることにより、図3、図4及び図7に示すとおり、前記株間切替レバー170を前側揺動方向YFに揺動操作すると株間が小幅に広くなり、後側揺動方向YRに揺動操作すると株間が小幅に狭くなる。
即ち、第1株間ギア機構110と第2株間ギア機構のいずれも、株間を広くするときは、株間切替レバー170を機体前側に回動、または揺動操作するものであると共に、株間を狭くするときは、株間切替レバー170を機体後側に回動、または揺動操作するものである。株間の増減するときに株間切替レバー170の操作方向を統一することにより、作業者が株間の増減操作を間違えることが防止されやすくなる。
上記の小幅な株間の変更は、車速の設定にもよるが、「低速」では約1cmごと、「中速」及び「高速」では1cmまたは2cmごとに切り替えられる。
なお、前記カウンタ伝動軸130に装着される大径カウンタギア131a、中径カウンタギア131b、小径カウンタギア131cは、第1株間小径ギア113a、第1株間中径ギア113b、第1株間大径ギア113c、及び第2株間小径ギア123a、第2株間中径ギア123b、第2株間大径ギア123cと各々噛み合うが、第1キー117及び第2キー127により選択されたギア同士のみが噛合回転して駆動力を伝動することが可能であり、選択されていない他のギアについては、空転して駆動力の伝動に影響を与えない構成である。
上記構成において、例えば株間を37cmとしたいときは、変速レバー60を操作して車速を「中速」に設定し、株間切替レバー170を操作して、第1株間伝動軸111からカウンタ伝動軸130への伝動が第1株間中径ギア113bと中径カウンタギア131bの噛み合いにより行われる設定とすると共に、カウンタ伝動軸130から第2株間伝動軸121への伝動が大径カウンタギア131aと第2株間小径ギア123aの噛み合いにより行われる設定とする。
また、例えば株間を60cmとしたいときは、変速レバー60を操作して車速を「高速」に設定し、株間切替レバー170を操作して、第1株間伝動軸111からカウンタ伝動軸130への伝動が第1株間大径ギア113cと小径カウンタギア131aの噛み合いにより行われる設定とすると共に、カウンタ伝動軸130から第2株間伝動軸121への伝動が小径カウンタギア131cと第2株間大径ギア123cの噛み合いにより行われる設定とする。
上記により、本構成の苗移植機は、車速、第1株間ギア機構110及び第2株間ギア機構120が各々三段階に切替可能であるので、二七段階に株間を切り替えられ、地域や栽培方法の違いにより株間を変更させる必要があっても、柔軟に対応が可能である。
また、一本の株間切替レバー170を異なる方向に操作することで第1株間ギア機構110と第2株間ギア機構120の切替操作を可能としたことにより、部品数が削減され、機体の軽量化や構成の簡略化が図られる。
特に、第1株間ギア機構110と第2株間ギア機構120を別々の操作部材で操作するものに比べて、操作を忘れて株間の設定が作業者の想定と異なるものになることを防止しやすく、誤った株間での苗の植付が防止され、植付作業のやり直しの必要がなくなる。
また、第1株間ギア機構110と第2株間ギア機構120の切替操作を、前後回動方向Xと前後揺動方向Yとしたことにより、操作時の動作によりどちらを切り替えているかを作業者が把握しやすくなるので、誤操作により誤った株間が設定されることが防止される。
これに加えて、株間切替レバー170の前側回動操作XFと前側揺動操作YFが共に株間を広くし、後側回動操作XRと後側揺動操作YRが共に株間を狭くすることにより、株間を広げているか狭めているかを把握しやすくなるので、誤った株間が設定されることがさらに防止される。
また、図5及び図6に示すとおり、正面視または背面視において、伝動軸101、第1株間伝動軸111、カウンタ伝動軸130、第2株間伝動軸121、植付出力軸151及び中継伝動軸140が上下方向に千鳥状に配置されることにより、株間切替ギアケース100の左右幅を狭く構成できるので、ミッションケース39の機体後側の左右一側に配置するスペースが抑えられる。
なお、株間切替ギアケース100は上下方向には多少長くなるものの、上下方向の千鳥状配置により、上下長さも抑えられるので、いっそう配置スペースが抑えられる。
前記予備苗枠50は、走行車体40の機体外側に突出する苗載支柱51の上部に支持ステー52を設け、該支持ステー52に回動状態と非回動状態を切替可能な苗載回動アーム53を設け、該苗載回動アーム53には上下方向の苗枠フレーム54,54を間隔を開けて配置すると共に、該苗枠フレーム54,54の同じ面に、補充用の苗を収容する苗箱や苗トレイ等の容器を載置する載置台55の一側端部を装着して構成する。
該載置台55は、上下方向に一つだけ設けてもよいが、容器の取り出しに支障の無い上下方向の間隔を空けて複数配置してもよい。図 では上下方向に載置台55を三つ設けている。
上記構成の予備苗枠50は、走行車体40の左右両側に各々設け、状況に合わせて支持ステー52上で苗載回動アーム53を回動させる。
例えば、苗の植付作業時には、載置台55の長手方向を機体前後方向に向けることで、載置台55から苗の容器を取り出したり、空になった容器を戻しやすくすることで、作業能率を向上させることができる。
また、この位置では載置台55が走行車体40の左右両側に位置するので、作業者が走行車体40の搭乗可能な部分の端部を把握しやすくなり、走行車体40上から足がはみ出し、姿勢を崩すことが防止される。
また、走行車体40に作業者が乗り降りするときには、苗載回動アーム53を約90度回動させる。
これにより、走行車体40の左右両側に乗り降りの空間部が形成される。
また、作業者は走行車体40の機体前側からも乗り降りすることができるが、苗載回動アーム53を回動させて苗枠フレーム54,54が機体前側に位置し、載置台55が機体後側に位置する状態とすると、作業者は苗枠フレーム54,54を手摺りとして用いることができるので、走行車体40の乗り降りを円滑に行うことができる。
また、載置台55に苗の容器を積載、あるいは取り出す際、機体後側からであれば容器の積載、取り出しを妨げる部材が無いので、作業能率が向上する。
前記作業者用座席46の走行車体40への取付は、正面視または背面視においてコの字形状であり、エンジン41等の上方を覆う機体カバー48を跨ぐ座席フレーム49のうち、機体左右方向となる部分の上部に装着する。該座席フレーム49の左右両側の下端部は、左右の走行用伝動ケース38,38を左右方向に移動させて、左右の後輪44,44の左右間隔を変更するスライド部のフレーム(図示省略)に連結する。
これにより、座席フレーム49がスライド部の構成部材を兼ねるので、スライド部の強度の向上が図られる。