JP2019207361A - マスクブランク、位相シフトマスクおよび半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、遮光膜と表面及び裏面反射防止膜とを備えるバイナリーマスクブランクが開示されている。この特許文献1では、遮光帯からの反射に起因する、隣接ショットへ影響するフレア(Flare)や、パターンエリア内での露光量超過エラー(Dose Error)を抑制するために、遮光膜の下に接して形成され、珪素、遷移金属、酸素及び窒素を含み、膜の屈折率n2が1.0〜3.5、膜の消衰係数k2が2.5以下、膜厚t2が5〜40nmである裏面反射防止膜を備えている。そして、透明基板側からの光の入射に対する反射率(以下、裏面反射率という。)が約30%以下であり、具体的には、その実施例に示されるように、約29%や約23%となるバイナリーマスクブランクを実現している。
(構成1)
透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、
前記位相シフト膜は、前記透光性基板側から第1層および第2層の順に積層した構造を含み、
前記第1層は、前記透光性基板の表面に接して設けられ、
前記第1層および前記第2層のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率をそれぞれn1、n2としたとき、n1<n2の関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の前記露光光の波長における消衰係数をそれぞれk1、k2としたとき、k1<k2の関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の膜厚をそれぞれd1、d2としたとき、d1<d2の関係を満たすことを特徴とするマスクブランク。
前記第1層の屈折率n1は1.8以上であり、前記第1層の消衰係数k1は0.15以下であることを特徴とする構成1記載のマスクブランク。
(構成3)
前記第2層の屈折率n2は2.2以上であり、前記第2層の消衰係数k2は0.2以上であることを特徴とする構成1または2に記載のマスクブランク。
前記透光性基板の前記露光光の波長における屈折率をnSとしたとき、nS<n1<n2の関係を満たし、
前記透光性基板の前記露光光の波長における消衰係数をkSとしたとき、kS<k1<k2の関係を満たすことを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成5)
前記透光性基板の屈折率nSは1.6以下であり、前記透光性基板の消衰係数kSは0.01以下であることを特徴とする構成4記載のマスクブランク。
前記位相シフト膜は、前記露光光を15%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上200度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成7)
前記第1層は、ケイ素と窒素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素と酸素とからなる材料で形成され、
前記第2層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のマスクブランク。
前記第2層の窒素の含有量は、前記第1層の窒素の含有量よりも多いことを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成9)
前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3層を備え、
前記第3層の前記露光光の波長における屈折率をn3としたとき、n3<n1<n2の関係を満たし、
前記第3層の前記露光光の波長における消衰係数をk3としたとき、k1<k2<k3の関係を満たすことを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
前記第3層の膜厚をd3としたとき、d3<d1<d2の関係を満たすことを特徴とする構成9記載のマスクブランク。
(構成11)
前記第3層の屈折率n3は1.8未満であり、前記第3層の消衰係数k3は1.0以上であることを特徴とする構成9または10に記載のマスクブランク。
前記第3層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成9から11のいずれかに記載のマスクブランク。
前記位相シフト膜は、前記第3層の上に第4層を備え、
前記第4層の前記露光光の波長における屈折率をn4としたとき、n4<n1<n2の関係を満たし、
前記第4層の前記露光光の波長における消衰係数をk4としたとき、k4<k1<k2の関係を満たすことを特徴とする構成9から12のいずれかに記載のマスクブランク。
前記第4層の屈折率n4は1.7以下であり、前記第4層の消衰係数k4は0.02以下であることを特徴とする構成13記載のマスクブランク。
(構成15)
前記第4層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成13または14に記載のマスクブランク。
前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3A層を備え、
前記第3A層の前記露光光の波長における屈折率をn3Aとしたとき、n3A<n1<n2の関係を満たし、
前記第3A層の前記露光光の波長における消衰係数をk3Aとしたとき、k3A<k1<k2の関係を満たすことを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のマスクブランク。
前記第3A層の屈折率n3Aは1.7以下であり、前記第3A層の消衰係数k3Aは0.02以下であることを特徴とする構成16記載のマスクブランク。
前記第3A層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする構成16または17に記載のマスクブランク。
構成1から18のいずれかに記載のマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンが設けられていることを特徴とする位相シフトマスク。
(構成20)
構成19記載の位相シフトマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
従来の位相シフト膜を形成する材料は、屈折率nができる限り大きく、かつ消衰係数kが大き過ぎず小さ過ぎない範囲内にあるものが好ましいとされている。従来の位相シフト膜は、主に位相シフト膜の内部でArFエキシマレーザーの露光光を吸収することで所定の透過率でArFエキシマレーザーの露光光を透過させつつ、その透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の位相差を生じさせる設計思想となっているためである。単層構造の位相シフト膜では、位相シフト膜に求められる機能(位相シフト膜内を透過するArFエキシマレーザーの露光光に対して所定の透過率と位相差を生じさせる機能)を有しつつ、9%以下の裏面反射率を実現することが難しい。そこで、本発明者は、位相シフト膜を複数の層で構成して、これらの層全体において、ArFエキシマレーザーの露光光を所定の透過率で透過する機能と所定の位相差を生じさせる機能を兼ね備えつつ、9%以下の裏面反射率を実現することを検討した。ArFエキシマレーザーの露光光に対する位相シフト膜の裏面反射率を低減するには、透光性基板と位相シフト膜との界面での反射光と、位相シフト膜を構成する層間の界面での反射光との干渉効果も利用することが必要となる。
透光性基板1は、合成石英ガラスのほか、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO2−TiO2ガラス等)などで形成することができる。これらの中でも、合成石英ガラスは、ArFエキシマレーザー光に対する透過率が高く、マスクブランクの透光性基板1を形成する材料として特に好ましい。
透光性基板1の屈折率nSは、1.6以下であることが好ましく、1.59以下であるとより好ましく、1.58以下であるとさらに好ましい。一方、透光性基板1の屈折率nSは、1.5以上であることが好ましく、1.52以上であるとより好ましく、1.54以上であるとさらに好ましい。また、透光性基板1の消衰係数kSは、0.01以下であることが好ましい。なお、透光性基板1の消衰係数k3の下限値は0.00である。
その上で、第1層21の屈折率n1は、1.8以上であると好ましく、1.85以上であるとより好ましい。また、第1層21の屈折率n1は、2.2未満であると好ましく、2.15以下であるとより好ましい。第1層21の消衰係数k1は、0.15以下であることが好ましく、0.14以下であるとより好ましい。また、第1層21の消衰係数k1は、0.05以上であると好ましく、0.06以上であるとより好ましい。なお、第1層21の屈折率n1および消衰係数k1は、第1層21の全体を光学的に均一な1つの層とみなして導出された数値である。
さらに、透光性基板1の屈折率nS、第1層21の屈折率n1、第2層22の屈折率n2がnS<n1<n2の関係を満たし、透光性基板1の消衰係数kS、第1層21の消衰係数k1、第2層22の消衰係数k2がkS<k1<k2の関係を満たすことが好ましい。
第1層21の屈折率n1、第2層22の屈折率n2、第3層23の屈折率n3は、n3<n1<n2の関係を満たすことが好ましい。また、第1層21の消衰係数k1、第2層22の消衰係数k2、第3層23の消衰係数k3は、k1<k2<k3の関係を満たすことが好ましい。その上で、第3層23の屈折率n3は、1.8未満であることが好ましく、1.75以下であるとより好ましい。また、第3層23の屈折率n3は、1.0以上であることが好ましく、1.2以上であるとより好ましい。第3層23の消衰係数k3は、1.0以上であることが好ましく、1.2以上であるとより好ましい。また、第3層23の消衰係数k3は、2.0以下であることが好ましく、1.8以下であるとより好ましい。
本実施形態におけるマスクブランク110は、上述のような構成とすることにより、略180度の位相差を生じさせることができるとともに、第1実施形態のマスクブランク100に比して、裏面反射率のさらなる低減が可能となる。
また、第1層21の屈折率n1、第2層22の屈折率n2、第3層23の屈折率n3、第4層24の屈折率n4は、n3<n1<n2の関係とn4<n1<n2の関係を同時に満たすことが好ましい。また、第1層21の消衰係数k1、第2層22の消衰係数k2、第3層23の消衰係数k3、第4層24の消衰係数をk4は、k1<k2<k3の関係とk4<k1<k2の関係を同時に満たすことが好ましい。その上で、第4層24の屈折率n4は、1.7以下であることが好ましく、1.65以下であるとより好ましい。また、第4層24の屈折率n4は、1.50以上であることが好ましく、1.52以上であるとより好ましい。また、第4層24の消衰係数k4は、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であるとより好ましい。また、第4層24の消衰係数k4は、0.00以上であることが好ましい。
第4層24の酸素の含有量は、第1層21の酸素の含有量よりも多いことが好ましい。第4層24の酸素の含有量は、50原子%以上であることが好ましく、55原子%以下であることがより好ましい。
第1層21の屈折率n1、第2層22の屈折率n2、第3A層25の屈折率n3Aは、n3A<n1<n2の関係を満たすことが好ましい。また、第1層21の消衰係数k1、第2層22の消衰係数k2、第3A層25の消衰係数k3Aは、k3A<k1<k2の関係を満たすことが好ましい。その上で、第3A層25の屈折率n3Aは、1.7以下であることが好ましく、1.65以下であるとより好ましい。また、第3A層25の屈折率n3Aは、1.50以上であることが好ましく、1.52以上であるとより好ましい。また、第3A層25の消衰係数k3Aは、0.02以下であることが好ましく、0.01以下であるとより好ましい。また、第3A層25の消衰係数k3Aは、0.00以上であることが好ましい。
第3A層25の酸素の含有量は、第1層21の酸素の含有量よりも多いことが好ましい。第3A層25の酸素の含有量は、50原子%以上であることが好ましく、55原子%以下であることがより好ましい。
図5(g)に示されているように、位相シフトマスク200、210、220、230は、マスクブランク100、110、120、130の位相シフト膜2に転写パターンである位相シフトパターン2aが形成され、遮光膜3に遮光パターン3bが形成されていることを特徴としている。マスクブランク100、110、120、130にハードマスク膜4が設けられている構成の場合、この位相シフトマスク200、210、220、230の作成途上でハードマスク膜4は除去される。
(実施例1)
[マスクブランクの製造]
主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスからなる透光性基板1を準備した。この透光性基板1は、端面及び主表面を所定の表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものである。この透光性基板1の光学特性を測定したところ、屈折率nSが1.556、消衰係数kSが0.00であった。
次に、この実施例1のマスクブランク100を用い、以下の手順で実施例1の位相シフトマスク200を作製した。最初に、ハードマスク膜4の表面にHMDS処理を施した。続いて、スピン塗布法によって、ハードマスク膜4の表面に接して、電子線描画用化学増幅型レジストからなるレジスト膜を膜厚80nmで形成した。次に、このレジスト膜に対して、位相シフト膜2に形成すべき位相シフトパターンである第1のパターンを電子線描画し、所定の現像処理および洗浄処理を行い、第1のパターンを有する第1のレジストパターン5aを形成した(図5(a)参照)。このとき、第1のレジストパターン5aには、パターン形成領域外において、バーコードやアライメントマークに対応する形状のパターンも併せて形成した。
[マスクブランクの製造]
実施例2のマスクブランク110は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例2の位相シフト膜2は、第2層22の上に第3層23を形成している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を29.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を41.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第3層23(Si:N=68原子%:32原子%)を3nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3層23が積層した位相シフト膜2を74nmの厚さで形成した。
次に、この実施例2のマスクブランク110を用い、実施例1と同様の手順で、実施例2の位相シフトマスク210を作製した。
[マスクブランクの製造]
実施例3のマスクブランク120は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例3の位相シフト膜2は、第3層23の上に第4層24を形成している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を29.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を41.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第3層23(Si:N=68原子%:32原子%)を3nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および酸素(O2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第3層23上に、ケイ素および酸素からなる位相シフト膜2の第4層24(SiO膜 Si:O=33原子%:67原子%)を3nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3層23、第4層24が積層した位相シフト膜2を77nmの厚さで形成した。
次に、この実施例3のマスクブランク120を用い、実施例1と同様の手順で、実施例3の位相シフトマスク220を作製した。
[マスクブランクの製造]
実施例4のマスクブランク130は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例4の位相シフト膜2は、第2層22の上に、第3層23と組成の異なる第3A層25を形成している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を29.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を41.5nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および酸素(O2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および酸素からなる位相シフト膜2の第3A層25(SiO膜 Si:O=33原子%:67原子%)を3nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3A層25が積層した位相シフト膜2を74nmの厚さで形成した。
次に、この実施例4のマスクブランク130を用い、実施例1と同様の手順で、実施例4の位相シフトマスク230を作製した。
[マスクブランクの製造]
実施例5のマスクブランク130は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例5の位相シフト膜2は、第1層21、第2層22、第3A層25のそれぞれの膜厚を実施例4のものから変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を31nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を38nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および酸素(O2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素および酸素からなる位相シフト膜2の第3A層25(SiO膜 Si:O=33原子%:67原子%)を20nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3A層25が積層した位相シフト膜2を89nmの厚さで形成した。
次に、この実施例5のマスクブランク130を用い、実施例1と同様の手順で、実施例5の位相シフトマスク230を作製した。
[マスクブランクの製造]
実施例6のマスクブランク110は、位相シフト膜2以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この実施例6の位相シフト膜2は、第1層21、第2層22の膜厚を実施例2のものから変更し、さらに、第3層23の組成および膜厚を実施例2のものから変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板1を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとするRFスパッタリングにより、透光性基板1の表面に接してケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第1層21(SiON膜 Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を31nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第1層21上に、ケイ素および窒素からなる位相シフト膜2の第2層22(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を35nmの厚さで形成した。続いて、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)、酸素(O2)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、第2層22上に、ケイ素、酸素および窒素からなる位相シフト膜2の第3層23(Si:O:N=40原子%:35原子%:25原子%)を17nmの厚さで形成した。以上の手順により、透光性基板1の表面に接して第1層21、第2層22、第3層23が積層した位相シフト膜2を83nmの厚さで形成した。
次に、この実施例6のマスクブランク110を用い、実施例1と同様の手順で、実施例6の位相シフトマスク210を作製した。
[マスクブランクの製造]
参考例1のマスクブランクは、別の発明のマスクブランクに係る参考例である。この参考例1のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この参考例1の位相シフト膜2は、透光性基板側から第1B層、第2B層、第3B層および第4B層が順に積層した構造を備える。第1B層は、実施例1の第1層21と同じ材料を用いているが、膜厚を31nmに変更している。第2B層は、実施例1の第2層22と同じ材料を用いているが、膜厚を30nmに変更している。第3B層は、実施例1の第1層21と同じ材料を用いているが、膜厚を15nmに変更している。第4B層は、実施例3の第4層24と同じ材料を用いており、膜厚も3nmと同じとしている。以上の手順により、透光性基板の表面に接して第1B層、第2B層、第3B層および第4B層が積層した位相シフト膜を79nmの厚さで形成した。
次に、この参考例1のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、参考例1の位相シフトマスクを作製した。
[マスクブランクの製造]
この比較例1のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この比較例1の位相シフト膜は、単層構造に変更している。具体的には、枚葉式RFスパッタ装置内に透光性基板を設置し、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(RFスパッタリング)により、透光性基板の表面に接してケイ素および窒素からなる位相シフト膜(SiN膜 Si:N=43原子%:57原子%)を60nmの厚さで形成した。
次に、この比較例1のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例1の位相シフトマスクを作製した。
[マスクブランクの製造]
この比較例2のマスクブランクは、位相シフト膜以外については、実施例1と同様の手順で製造した。この比較例2の位相シフト膜は、第1層、第2層、第3層の膜厚を、40.0nm、35.5nm、3.5nmにそれぞれ変更している。この位相シフト膜2は、第2層の厚さが第1層の厚さよりも小さくなっている。なお、位相シフト膜2の第1層、第2層、第3層のそれぞれの屈折率、消衰係数は実施例1と同一である。
次に、この比較例2のマスクブランクを用い、実施例1と同様の手順で、比較例2の位相シフトマスクを作製した。
2 位相シフト膜
21 第1層
22 第2層
23 第3層
24 第4層
25 第3A層
2a 位相シフトパターン
3 遮光膜
3a,3b 遮光パターン
4 ハードマスク膜
4a ハードマスクパターン
5a 第1のレジストパターン
6b 第2のレジストパターン
100、110、120、130 マスクブランク
200、210、220、230 位相シフトマスク
Claims (20)
- 透光性基板上に、位相シフト膜を備えたマスクブランクであって、
前記位相シフト膜は、前記透光性基板側から第1層および第2層の順に積層した構造を含み、
前記第1層は、前記透光性基板の表面に接して設けられ、
前記第1層および前記第2層のArFエキシマレーザーの露光光の波長における屈折率をそれぞれn1、n2としたとき、n1<n2の関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の前記露光光の波長における消衰係数をそれぞれk1、k2としたとき、k1<k2の関係を満たし、
前記第1層および前記第2層の膜厚をそれぞれd1、d2としたとき、d1<d2の関係を満たすことを特徴とするマスクブランク。 - 前記第1層の屈折率n1は1.8以上であり、前記第1層の消衰係数k1は0.15以下であることを特徴とする請求項1記載のマスクブランク。
- 前記第2層の屈折率n2は2.2以上であり、前記第2層の消衰係数k2は0.2以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のマスクブランク。
- 前記透光性基板の前記露光光の波長における屈折率をnSとしたとき、nS<n1<n2の関係を満たし、
前記透光性基板の前記露光光の波長における消衰係数をkSとしたとき、kS<k1<k2の関係を満たすことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のマスクブランク。 - 前記透光性基板の屈折率nSは1.6以下であり、前記透光性基板の消衰係数kSは0.01以下であることを特徴とする請求項4記載のマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、前記露光光を15%以上の透過率で透過させる機能と、前記位相シフト膜を透過した前記露光光に対して前記位相シフト膜の厚さと同じ距離だけ空気中を通過した前記露光光との間で150度以上200度以下の位相差を生じさせる機能とを有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記第1層は、ケイ素と窒素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素と酸素とからなる材料で形成され、
前記第2層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のマスクブランク。 - 前記第2層の窒素の含有量は、前記第1層の窒素の含有量よりも多いことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3層を備え、
前記第3層の前記露光光の波長における屈折率をn3としたとき、n3<n1<n2の関係を満たし、
前記第3層の前記露光光の波長における消衰係数をk3としたとき、k1<k2<k3の関係を満たすことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のマスクブランク。 - 前記第3層の膜厚をd3としたとき、d3<d1<d2の関係を満たすことを特徴とする請求項9記載のマスクブランク。
- 前記第3層の屈折率n3は1.8未満であり、前記第3層の消衰係数k3は1.0以上であることを特徴とする請求項9または10に記載のマスクブランク。
- 前記第3層は、ケイ素と窒素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と窒素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載のマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、前記第3層の上に第4層を備え、
前記第4層の前記露光光の波長における屈折率をn4としたとき、n4<n1<n2の関係を満たし、
前記第4層の前記露光光の波長における消衰係数をk4としたとき、k4<k1<k2の関係を満たすことを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載のマスクブランク。 - 前記第4層の屈折率n4は1.7以下であり、前記第4層の消衰係数k4は0.02以下であることを特徴とする請求項13記載のマスクブランク。
- 前記第4層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項13または14に記載のマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、前記第2層の上に第3A層を備え、
前記第3A層の前記露光光の波長における屈折率をn3Aとしたとき、n3A<n1<n2の関係を満たし、
前記第3A層の前記露光光の波長における消衰係数をk3Aとしたとき、k3A<k1<k2の関係を満たすことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のマスクブランク。 - 前記第3A層の屈折率n3Aは1.7以下であり、前記第3A層の消衰係数k3Aは0.02以下であることを特徴とする請求項16記載のマスクブランク。
- 前記第3A層は、ケイ素と酸素とからなる材料、または半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素とケイ素と酸素とからなる材料で形成されていることを特徴とする請求項16または17に記載のマスクブランク。
- 請求項1から18のいずれかに記載のマスクブランクの前記位相シフト膜に転写パターンが設けられていることを特徴とする位相シフトマスク。
- 請求項19記載の位相シフトマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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