JP2019200856A - 硫化物系固体電解質の製造方法および全固体型二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記前駆体を第2の溶媒中で反応させ、硫化物系固体電解質を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の溶媒は、炭素数1以上3以下のアルキル基もしくは炭素数1以上3以下のアルコキシ基により置換されたまたは無置換の環状エーテル化合物を含み、
前記第2の溶媒は、アルコキシ基置換炭化水素を含む、硫化物系固体電解質の製造方法が提供される。
これにより、Li2SとP2S5との反応を好適に進行させることができる。
これにより、第2の工程において効率よく反応が進行する。
これにより、Li2SとP2S5を含む前駆体間の原料間の反応をより一層促進させるとともに、得られる硫化物系固体電解質の結晶構造を制御することができる。
これにより、Li2SとP2S5を含む前駆体間の原料間の反応をより一層促進させるとともに、得られる硫化物系固体電解質の結晶構造を制御することができる。
これにより、前駆体の加熱とともに、第2の溶媒を除去することが可能となる。
これにより、得られる硫化物系固体電解質のイオン伝導性がより一層向上する。
(1−x)LiI・xLiBr・2Li3PS4 (1)
式中、xは、0以上1.0以下である、
で表される組成式を満足してもよい。
前記前駆体を第2の溶媒中で反応させ、硫化物系固体電解質を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の溶媒は、炭素数1以上3以下のアルキル基もしくは炭素数1以上3以下のアルコキシ基により置換されたまたは無置換の環状エーテル化合物を含み、
前記第2の溶媒は、アルコキシ基置換炭化水素を含む、全固体型二次電池の製造方法が提供される。
まず、本発明を詳細に説明するのに先立ち、本発明の着想について説明する。
本発明者らは、まず、硫化物系固体電解質のさらなるイオン伝導性の向上を目的として、硫化物系固体電解質にハロゲン成分、具体的にはLiX(Xは、Cl、BrまたはI)を添加することを着想した。さらに、本発明者らは、このようなハロゲン化硫化物系固体電解質を効率よく製造すべく、液相合成法により合成を行うことを試みた。
前記前駆体を第2の溶媒中で反応させ、硫化物系固体電解質を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の溶媒は、炭素数1以上3以下のアルキル基もしくは炭素数1以上3以下のアルコキシ基により置換されたまたは無置換の環状エーテル化合物を含み、
前記第2の溶媒は、アルコキシ基置換炭化水素を含む。
次に、本実施形態に係る硫化物系固体電解質の製造方法について説明する。
(2.1.第1の工程)
まず、第1の工程においては、第1の溶媒中で硫化物系固体電解質の原料を混合・処理し、前駆体を得る。
(1−x)LiI・xLiBr・2Li3PS4 (1)
式中、xは、0以上1.0以下である、
で表される組成式を満足するように、各材料の比率を調節することが好ましい。これにより、固相法により得られる固体電解質材料とほぼ同じ特性を、液相合成を用いて得ることが可能となる。
また、本工程において、原料の混合時には撹拌等を行ってもよい。これにより、均一な反応が可能となる。
第2の工程においては、前駆体を第2の溶媒中で反応させ、硫化物系固体電解質を得る硫化物系固体電解質を得る。
ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メトキシエトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、1,3−ジエトキシプロパン、1−メトキシ−3−エトキシプロパン、1,2−ジメトキシプロパン、1,2−ジエトキシプロパン、1−メトキシ−2−エトキシプロパン、1−エトキシ−2−メトキシプロパン、
シクロプロパチルメチルエーテル、シクロプロパチルエチルエーテル、シクロブチルメチルエーテル、シクロブチルエチルエーテル、シクロブチル−n−プロピルエーテル、シクロブチルイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチル−n−プロピルエーテル、シクロペンチルイソプロピルエーテル、シクロペンチル−n−ブチルエーテル、シクロペンチルイソブチルエーテル、シクロペンチル−sec−ブチルエーテル、シクロペンチル−tert−ブチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエチルエーテル、シクロヘキシル−n−プロピルエーテル、シクロヘキシルイソプロピルエーテル、シクロヘキシル−n−ブチルエーテル、シクロヘキシルイソブチルエーテル、シクロヘキシル−sec−ブチルエーテル、シクロヘキシル−tert−ブチルエーテル等が挙げられる。
また、本工程において、原料の混合時には撹拌等を行ってもよい。これにより、均一な反応が可能となる。
次に、上述した本実施形態に係る硫化物系固体電解質を用いて構成される、全固体型二次電池の一例について説明する。図1は、全固体型二次電池の層構成を模式的に示す断面図である。全固体型二次電池1は、電解質として固体電解質を用いた二次電池である。また、全固体型二次電池1は、リチウムイオンが正極層10、負極層20間を移動する所謂全固体型リチウムイオン二次電池である。
(正極層)
正極層10は、正極集電体11及び正極活物質層12を含む。正極集電体11としては、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)又はこれらの合金からなる板状体又は箔状体等が挙げられる。正極集電体11は省略されても良い。なお、正極集電体11は、図示せぬ端子を介して、配線に接続される。
負極層20は、負極集電体21及び負極活物質層22を含む。負極集電体21としては、例えば、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレス鋼、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)又はこれらの合金からなる板状体又は箔状体等が挙げられる。負極集電体21は省略されても良い。
なお、以上説明した負極層20は、図示せぬ端子を介して、必要に応じて配線に接続される。
固体電解質層30は、正極層10及び負極層20の間に形成され、固体電解質を含む。
固体電解質は、本実施形態に係る製造方法によって製造された硫化物系固体電解質を含むことができる。
続いて、本実施形態に係る全固体型二次電池1の製造方法について説明する。本実施形態に係る全固体型二次電池1は、まず上述した方法により硫化物系固体電解質を製造し、その後、当該硫化物系固体電解質を利用して、例えば、正極層10、負極層20、および固体電解質層30またはそれらの構成材料をそれぞれ製造した後、上記の各層を積層することにより製造することができる。
本実施形態に係る全固体型二次電池の製造方法においては、上述した硫化物系固体電解質の製造方法により硫化物系固体電解質を製造する。したがって、本実施形態に係る全固体型二次電池の製造方法は、上述した第1の工程と第2の工程とを含む。
固体電解質層30は、得られた硫化物系固体電解質を用いて作製することができる。
正極層10は、例えば次の方法で作製することができる。正極活物質、上記で作製した硫化物系固体電解質と、各種添加材とを混合し、水または有機溶媒などの溶媒に添加することでスラリー(slurry)またはペースト(paste)を形成する。続いて、得られたスラリーまたはペーストを集電体に塗布し、乾燥した後に、圧延することで、正極層10を得ることができる。または、正極層10は、硫化物系固体電解質、正極活物質および各種添加材の混合体を加圧し、圧延することで作製されてもよい。
負極層20は、正極層10と同様の方法で作製することができる。具体的には、まず、負極活物質等の負極活物質層22を構成する材料を混合し、水または有機溶媒などの溶媒に添加することでスラリーまたはペーストを形成する。さらに、得られたスラリーまたはペーストを負極集電体21に塗布し、乾燥した後に、圧延することで、負極層20を得ることができる。
あるいは、負極層20を、負極集電体31上にスッパッタリング等により負極活物質を付与し、負極活物質層22を形成することにより得てもよい。
さらに、上記の方法で作製した固体電解質層30、正極層10、および負極層20を積層することで、本実施形態に係る全固体型二次電池1を製造することができる。具体的には、固体電解質層30を挟持するように正極層10と負極層20とで積層し、加圧することにより、本実施形態に係る全固体型二次電池1を製造することができる。
Arグローブ内にて、LiI(純度99.9%、Sigma−Aldrich社製)、Li2S(純度99.9%、三津和化学薬品株式会社)、P2S5(純度99.9%、Sigma−Aldrich社製)を用いて、硫化物系固体電解質の組成式が、LI7P2S8Iとなるように粉末1.5gを調合した。
得られる硫化物系固体電解質の組成式がLi7P2S8I0.67Br0.33となるように粉末1.5gを調合した以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る硫化物系固体電解質を製造した。得られた硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして、イオン伝導度の測定、活性化エネルギーの算出および粉末X線回折を行い、材料評価を行った。
得られる硫化物系固体電解質の組成式がLi7P2S8I0.5Br0.5となるように粉末1.5gを調合した以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る硫化物系固体電解質を製造した。得られた硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして、イオン伝導度の測定、活性化エネルギーの算出および粉末X線回折を行い、材料評価を行った。
得られる硫化物系固体電解質の組成式がLi7P2S8I0.5Br0.5となるように粉末1.5gを調合し、第2の工程において第2の溶媒としてジメトキシエタンを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る硫化物系固体電解質を製造した。得られた硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして、イオン伝導度の測定、活性化エネルギーの算出および粉末X線回折を行い、材料評価を行った。
得られる硫化物系固体電解質の組成式がLi7P2S8Brとなるように粉末1.5gを調合した以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る硫化物系固体電解質を製造した。得られた硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして、イオン伝導度の測定、活性化エネルギーの算出および粉末X線回折を行い、材料評価を行った。
第2の工程において第2の溶媒としてN−ジメチルホルムアミドを用いた以外は、実施例4と同様にして、比較例2に係る硫化物系固体電解質を製造した。得られた硫化物系固体電解質について、実施例1と同様にして、イオン伝導度の測定、活性化エネルギーの算出および粉末X線回折を行い、材料評価を行った。
10 正極層
11 正極集電体
12 正極活物質層
20 負極層
21 負極集電体
22 負極活物質層
30 固体電解質層
Claims (11)
- 第1の溶媒中で少なくともLi2S、P2S5およびLiIを混合し、前駆体を得る第1の工程と、
前記前駆体を第2の溶媒中で反応させ、硫化物系固体電解質を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の溶媒は、炭素数1以上3以下のアルキル基もしくは炭素数1以上3以下のアルコキシ基により置換されたまたは無置換の環状エーテル化合物を含み、
前記第2の溶媒は、アルコキシ基置換炭化水素を含む、硫化物系固体電解質の製造方法。 - 前記第1の溶媒は、テトラヒドロフラン骨格を有する化合物を含む、請求項1に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記第2の溶媒は、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジイソプロピルエーテルおよびシクロペンチルメチルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1または2に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記第2の工程において、前記第2の溶媒中で前記前駆体を加熱する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記第2の工程における前記前駆体の加熱温度が100℃以上200℃以下であり、加熱時間が30分以上300分以下である、請求項4に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記第2の工程における前記前駆体の加熱は、減圧雰囲気下で行われる、請求項4または5に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記第1の工程において、さらにGeS2、P2S3、P2O5、SiO2、B2S3、Al2S3およびB2O3からなる群から選択される一種以上を混合する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記硫化物系固体電解質は、以下の式(1):
(1−x)LiI・xLiBr・2Li3PS4 (1)
式中、xは、0以上1.0以下である、
で表される組成式を満足する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。 - 前記第1の工程および前記第2の工程を経て得られる前記硫化物系固体電解質は、Cu−Kα線を用いたX線回折測定において、2θで19.9±0.5°、23.5±0.5°および29.3±0.5°の位置にそれぞれピークを有し、かつ、19.9±0.5°の位置のピークの回折強度をIA、17.0±0.5°の位置のピークの回折強度をIBとした際に、IB/IAが0.50未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 前記硫化物系固体電解質は、25℃において、1.0×10−5S/cm以上1.0×10−2S/cm以下のイオン伝導度を有する、請求項9に記載の硫化物系固体電解質の製造方法。
- 第1の溶媒中で少なくともLi2S、P2S5およびLiIを混合し、前駆体を得る第1の工程と、
前記前駆体を第2の溶媒中で反応させ、硫化物系固体電解質を得る第2の工程と、を有し、
前記第1の溶媒は、炭素数1以上3以下のアルキル基もしくは炭素数1以上3以下のアルコキシ基により置換されたまたは無置換の環状エーテル化合物を含み、
前記第2の溶媒は、アルコキシ基置換炭化水素を含む、全固体型二次電池の製造方法。
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