JP2014212065A - 固体電解質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応時間が短く、特別な装置を必要としない固体電解質の製造方法を提供する。
【解決手段】BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上であるアルカリ金属硫化物を準備する工程、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ホウ素から選択される1又は2以上の硫黄化合物を準備する工程、及び前記アルカリ金属硫化物及び硫黄化合物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触させる工程を含む固体電解質の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上であるアルカリ金属硫化物を準備する工程、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ホウ素から選択される1又は2以上の硫黄化合物を準備する工程、及び前記アルカリ金属硫化物及び硫黄化合物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触させる工程を含む固体電解質の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、固体電解質の製造方法に関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いられる高性能リチウム二次電池等の需要が増加している。ここで、二次電池とは、充電・放電ができる電池をいう。使用される用途が広がるにつれ、二次電池のさらなる安全性の向上及び高性能化が要求されるようになっている。
従来、室温で高いリチウムイオン伝導性を示す電解質は、ほとんど有機系電解質に限られていた。しかし、従来の有機系電解質は、有機溶媒を含むため可燃性である。従って、有機溶媒を含むイオン伝導性材料を電池の電解質として用いる際には、液漏れの心配や発火の危険性がある。
また、有機系電解質は液体であるためリチウムイオンが伝導するだけでなく対アニオンが伝導するので、リチウムイオン輸率が1以下である。
また、有機系電解質は液体であるためリチウムイオンが伝導するだけでなく対アニオンが伝導するので、リチウムイオン輸率が1以下である。
一方、無機固体電解質はその性質上不燃性であり、有機系電解質と比較して安全性の高い材料である。しかしながら、有機系電解質に比べ電気化学的性能が若干劣るため、無機固体電解質の性能をさらに向上させる必要がある。無機固体電解質として硫化物系固体電解質の研究が種々行われている。
硫化物系固体電解質の製造方法として、特許文献1には、Li2SとP2S5を炭化水素中で反応させる製造方法が記載されている。特許文献2には、Li2Sを極性溶媒で微細化し、次にLi2SとP2S5を炭化水素中で反応させる製造方法が記載されている。しかし、これらの炭化水素を用いた製造方法ではスラリーを取り扱う必要があるところ、スラリーの取り扱いが困難であるという問題があった。
また、非特許文献1には、Li2SとP2S5をTHF中で反応させてナノポーラスなLi3PS4を合成する製造方法が記載されている。非特許文献1には原料Li2Sの性状に関する記載はない。
また、非特許文献1には、Li2SとP2S5をTHF中で反応させてナノポーラスなLi3PS4を合成する製造方法が記載されている。非特許文献1には原料Li2Sの性状に関する記載はない。
Anomalous High Ionic Conductivity of Nanoporous β−Li3PS4 J.Am.Chem.Soc.2013,135,975−978
非特許文献1に記載の製造方法では反応時間が長くなり、また、Li2Sが残存する可能性が高い。
また、反応時間を短くするため又はLi2Sの残存量を低減するために、Li2SとP2S5のスラリーをミルに循環させながら反応させる場合があるが、特別な装置が必要となる。
本発明の目的は、反応時間が短く、特別な装置を必要としない固体電解質の製造方法を提供することである。
また、反応時間を短くするため又はLi2Sの残存量を低減するために、Li2SとP2S5のスラリーをミルに循環させながら反応させる場合があるが、特別な装置が必要となる。
本発明の目的は、反応時間が短く、特別な装置を必要としない固体電解質の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質の製造方法が提供される。
1.BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上であるアルカリ金属硫化物を準備する工程、
硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ホウ素から選択される1又は2以上の硫黄化合物を準備する工程、及び
前記アルカリ金属硫化物及び硫黄化合物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触させる工程を含む
固体電解質の製造方法。
2.前記溶媒の沸点が65〜200℃である1に記載の固体電解質の製造方法。
3.前記溶媒がテトラヒドロフランである1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
4.前記アルカリ金属硫化物の粒径が100μm以下である1〜3のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
5.前記アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである1〜4のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
6.前記アルカリ金属硫化物のBET法で測定した比表面積が35.0m2/g以上である1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
7.前記アルカリ金属硫化物を準備する工程が、アルカリ金属硫化物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で微粒化することを含む1〜6のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
8.前記硫黄化合物が硫化りんである1〜7のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
9.前記硫黄化合物がP2S5である1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
10.前記アルカリ金属硫化物としてLi2S、前記硫黄化合物としてP2S5を用い、接触に用いるLi2SとP2S5のモル比が68:32〜80:20である1〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
11.前記Li2SとP2S5のモル比が74:26〜76:24である10に記載の固体電解質の製造方法。
1.BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上であるアルカリ金属硫化物を準備する工程、
硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ホウ素から選択される1又は2以上の硫黄化合物を準備する工程、及び
前記アルカリ金属硫化物及び硫黄化合物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触させる工程を含む
固体電解質の製造方法。
2.前記溶媒の沸点が65〜200℃である1に記載の固体電解質の製造方法。
3.前記溶媒がテトラヒドロフランである1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
4.前記アルカリ金属硫化物の粒径が100μm以下である1〜3のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
5.前記アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである1〜4のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
6.前記アルカリ金属硫化物のBET法で測定した比表面積が35.0m2/g以上である1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
7.前記アルカリ金属硫化物を準備する工程が、アルカリ金属硫化物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で微粒化することを含む1〜6のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
8.前記硫黄化合物が硫化りんである1〜7のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
9.前記硫黄化合物がP2S5である1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
10.前記アルカリ金属硫化物としてLi2S、前記硫黄化合物としてP2S5を用い、接触に用いるLi2SとP2S5のモル比が68:32〜80:20である1〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
11.前記Li2SとP2S5のモル比が74:26〜76:24である10に記載の固体電解質の製造方法。
本発明によれば、反応時間が短く、特別な装置を必要としない固体電解質の製造方法が提供できる。
本発明の固体電解質の製造方法は、BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上であるアルカリ金属硫化物を準備する工程、硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ホウ素から選択される1又は2以上の硫黄化合物を準備する工程、及びアルカリ金属硫化物及び硫黄化合物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触させる工程を含む。
本発明の製造方法によれば、固体電解質の製造時間を短縮できる。
原料中の硫化リチウムモル比が70モル%を超える場合でも、75モル%を超える場合でも、製造時間を短くすることができる。
原料中の硫化リチウムモル比が70モル%を超える場合でも、75モル%を超える場合でも、製造時間を短くすることができる。
[アルカリ金属硫化物]
原料として用いるアルカリ金属硫化物(アルカリ金属硫化物粒子)は、BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上である。これにより、原料同士が接触しやすくなり固体電解質の製造時間を短縮することができる。比表面積が10.0m2/g未満であると、接触効率が悪くなる。
比表面積は、好ましくは12.0m2/g以上であり、より好ましくは17.0m2/g以上であり、さらに好ましくは31.0m2/g以上であり、最も好ましくは35.0m2/g以上である。比表面積の上限は特に制限されないが、通常200m2/g以下である。
比表面積は、具体的には実施例に記載の方法で測定するものとする。
原料として用いるアルカリ金属硫化物(アルカリ金属硫化物粒子)は、BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上である。これにより、原料同士が接触しやすくなり固体電解質の製造時間を短縮することができる。比表面積が10.0m2/g未満であると、接触効率が悪くなる。
比表面積は、好ましくは12.0m2/g以上であり、より好ましくは17.0m2/g以上であり、さらに好ましくは31.0m2/g以上であり、最も好ましくは35.0m2/g以上である。比表面積の上限は特に制限されないが、通常200m2/g以下である。
比表面積は、具体的には実施例に記載の方法で測定するものとする。
また、原料として用いるアルカリ金属硫化物粒子の粒径は100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
アルカリ金属硫化物粒子の粒径の測定は、LASER回析法によりMALVERN社Mastersizer2000を用いて測定し、体積基準平均粒径から算出する。当該測定は、乾燥状態を経由せず、直接スラリー状態で測定することが望ましい。一旦、乾燥を行うと、乾燥時に粒子の凝集が発生し、みかけ大きな粒径となるおそれがあるためである。
アルカリ金属硫化物粒子の粒径の測定は、LASER回析法によりMALVERN社Mastersizer2000を用いて測定し、体積基準平均粒径から算出する。当該測定は、乾燥状態を経由せず、直接スラリー状態で測定することが望ましい。一旦、乾燥を行うと、乾燥時に粒子の凝集が発生し、みかけ大きな粒径となるおそれがあるためである。
また、アルカリ金属硫化物粒子は、細孔容積が0.01ml/g以上であることが好ましい。細孔容積が0.01ml/g以上であれば、アルカリ金属硫化物粒子以外の原料と反応しやすくなると共に、アルカリ金属硫化物粒子が粉砕し易くなり、より反応しやすくなる。
アルカリ金属硫化物粒子の細孔容積は、より好ましくは0.1ml/g以上であり、さらに好ましくは0.5ml/g以上である。細孔容積の上限は特に制限されないが、通常5ml/g以下である。
細孔容積は、実施例に記載の方法により測定するものとする。
アルカリ金属硫化物粒子の細孔容積は、より好ましくは0.1ml/g以上であり、さらに好ましくは0.5ml/g以上である。細孔容積の上限は特に制限されないが、通常5ml/g以下である。
細孔容積は、実施例に記載の方法により測定するものとする。
原料として用いるアルカリ金属硫化物粒子は、硫化リチウム(Li2S)粒子であることが好ましい。
以下、硫化リチウムについて説明する。
以下、硫化リチウムについて説明する。
(i)硫化リチウムの製法
硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−84438号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的には、非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化して硫化リチウムを生成できる(特開平7−330312号公報)。
また、硫化リチウムとガス状硫黄源を130℃以上445℃以下の温度で反応させることにより硫化リチウムを合成することができる(特開平9−283156号公報)。
硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−84438号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的には、非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化して硫化リチウムを生成できる(特開平7−330312号公報)。
また、硫化リチウムとガス状硫黄源を130℃以上445℃以下の温度で反応させることにより硫化リチウムを合成することができる(特開平9−283156号公報)。
また、原料である硫化リチウム(Li2S)は、例えば、水酸化リチウムと硫化水素を有機溶媒中で反応させることにより、製造することができる。具体的には、水酸化リチウムと有機溶媒からなるスラリー中に、硫化水素ガスを吹き込み、水酸化リチウムと硫化水素を反応させる。その際、この反応により生じる水を、スラリーから除去しながら反応を継続する。系内の水分が実質的に無くなった後、硫化水素の吹き込みを止め、不活性ガスを吹き込むことにより硫化リチウムを製造する(特開2010−163356号公報)。
この方法で用いられる有機溶媒は、特に制限はないが、水と共沸組成を形成する溶媒が好ましい。有機溶媒は、1種で使用してもよく、2種以上の混合溶媒を使用してもよい。具体的には、炭化水素系有機溶媒を挙げることができ、ベンゼン(沸点80℃)、トルエン(沸点111℃)、キシレン(沸点:p−体、138℃,m−体、139℃,o−体、144℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)及びドデカン(沸点215℃)から選ばれる1種又はこれらの混合物が好適に用いられる。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成することができる(特開2011−84438号公報)。
(ii)硫化リチウムの純度
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることができないおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることができないおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
(iii)硫化リチウムの精製方法
特開平7−330312号公報及び特開平9−283156号公報に記載の方法に従って製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356号公報に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに硫化物系固体電解質の製造に用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開第2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
特開平7−330312号公報及び特開平9−283156号公報に記載の方法に従って製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356号公報に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに硫化物系固体電解質の製造に用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開第2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
[微粒化処理]
アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)の比表面積、細孔容積を大きくするために、例えば、アルカリ金属硫化物を改質(微粒化)することができる。改質は、具体的にはアルカリ金属硫化物を、溶解パラメーター(溶解度パラメーター)が9.0以上の極性溶媒を含む溶媒中で撹拌処理して行うことができる。
溶解度パラメーターは、例えば、化学便覧応用編(改訂3版)丸善、接着ハンドブック(第4版)日刊工業新聞社、高分子データハンドブック(高分子学会編)を参考とした値である。
アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)の比表面積、細孔容積を大きくするために、例えば、アルカリ金属硫化物を改質(微粒化)することができる。改質は、具体的にはアルカリ金属硫化物を、溶解パラメーター(溶解度パラメーター)が9.0以上の極性溶媒を含む溶媒中で撹拌処理して行うことができる。
溶解度パラメーターは、例えば、化学便覧応用編(改訂3版)丸善、接着ハンドブック(第4版)日刊工業新聞社、高分子データハンドブック(高分子学会編)を参考とした値である。
溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(改質剤)は、水酸基、カルボキシ基、ニトリル基、アミノ基、アミド結合、ニトロ基、−C(=S)−結合、エーテル(−O−)結合、−Si−O−結合、ケトン(−C(=O)−)結合、エステル(−C(=O)−O−)結合、カーボネート(−O−C(=O)−O−)結合、−S(=O)−結合、クロロ、フロオロから選ばれる1種類以上の極性基をもつ溶媒であることが好ましい。
極性基を1種類含む極性溶媒としては、メタノール(14.5)(括弧内の数値は溶解パラメーターを示す)、エタノール(12.7)、n−プロパノール、イソプロパノール(11.5)、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコール(14.2)、蟻酸(13.5)、酢酸(12.6)、アセトニトリル(11.9)、プロピオニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、フマロニトリル、トリメチルシリル=シアニド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド(12.0)、ジメチルアセトアミド、ニトロメタン、二硫化炭素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、フェニルメチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、シクロへキシルメチルジメトキシシラン、アセトン(10.0)、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、酢酸エチル(9.0)、無水酢酸、メチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、メチレンクロライド、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、ヘキサフロオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。
極性基を2種類含む極性溶媒としては、2,2,2−トリフルオロエタノール、ヘキサフロオロイソプロパノール、2−アミノエタノール、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル、シアノ酢酸メチル、ジフルオロアセトニトリル等が挙げられる。
溶媒は、溶解パラメーターが9.0未満の溶媒を含んでもよい。溶解パラメーターが9.0未満の溶媒としては、例えば、ヘキサン(7.3)、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン(8.8)、キシレン(8.8)、エチルベンゼン、イプゾール100(出光興産製)、イプゾール150(出光興産製)、IPソルベント(出光興産製)、流動パラフィン、石油エーテル等が挙げられる。
溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒、溶解パラメーターが9.0未満の溶媒は脱水する必要はないが、水分量により副生する微粒化物中の水酸化アルカリ金属の量に影響を与えるおそれがあるため、水分量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。
溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒の全溶媒中の濃度は、好ましくは0.1wt%以上100wt%以下であり、より好ましくは0.2wt%以上であり、最も好ましくは、0.5wt%以上である。ここで、全溶媒とは、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒と溶解パラメーターが9.0未満の溶媒を足し合わせたものを示す。
溶解パラメーターが大きいほど改質効果が大きいので、添加量を少量にしてもよい。逆に溶解パラメーターが9に近いほど改質効果は小さくなるため、添加量を多くし、改質時間を長くする必要がある。
溶解パラメーターが大きいほど改質効果が大きいので、添加量を少量にしてもよい。逆に溶解パラメーターが9に近いほど改質効果は小さくなるため、添加量を多くし、改質時間を長くする必要がある。
また、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒の沸点は、常圧下で好ましくは40℃〜300℃、より好ましくは45℃〜280℃である。この範囲であると、加熱真空下の溶媒除去での乾燥容易性から好ましい。
改質の際、アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)の量は、全溶媒100体積部に対し、0.5体積部〜100体積部、好ましくは1体積部〜100体積部、より好ましくは1体積部〜50体積部とする。
改質処理温度は、使用する溶媒の沸点、凝固点により異なるが、好ましくは−100℃以上100℃以下、より好ましくは−80℃以上80℃以下である。高温での改質処理は、望ましい結果が得られないおそれがある。
改質時間は、好ましくは5分から1週間、より好ましくは1時間から5日である。
改質処理温度は、使用する溶媒の沸点、凝固点により異なるが、好ましくは−100℃以上100℃以下、より好ましくは−80℃以上80℃以下である。高温での改質処理は、望ましい結果が得られないおそれがある。
改質時間は、好ましくは5分から1週間、より好ましくは1時間から5日である。
改質処理は、連続相、バッチ相いずれにおいても可能である。バッチ反応の場合、撹拌は一般的な翼が使用可能であり、好ましくはアンカー翼、ファドラー翼、ヘリカル翼、マックスブレンド翼である。ラボスケールでは、一般的にスターラーによる撹拌子が用いられる。また、バッチ反応では、ボールミルを用いた反応槽も使用可能である。
改質処理を行った後に必要により溶媒を除去する。溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒を除去する場合、例えば真空下での加熱により、又は非極性溶媒置換により行うことができる。非極性溶媒置換は、例えば溶解パラメーターが9.0未満の溶媒に置換することができる。改質後の工程がスラリー状態を要求する場合、この溶媒置換を行った後、スラリー状態のままで保管することもできる。
改質した微粒化物は、残存溶媒を除去するため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は好ましくは窒素気流下又は真空下で行う。乾燥温度は好ましくは室温〜300℃である。
改質剤の種類によっては、改質時にアルカリ金属水酸化物が副生することがある。この水酸化物は、硫化水素ガスを微粒化物スラリー溶液へ導入することで硫化物へ再変換することができる。
改質剤の種類によっては、改質時にアルカリ金属水酸化物が副生することがある。この水酸化物は、硫化水素ガスを微粒化物スラリー溶液へ導入することで硫化物へ再変換することができる。
また、アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)の改質(微粒化)は、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒の代わりに溶解パラメーターが8.5以上のカーボネート結合を有する極性溶媒を用いても行うことができる。
ここで、溶解パラメーターが8.5以上のカーボネート結合を有する極性溶媒には、上記したもの以外にジエチルカーボネートが含まれる。
ここで、溶解パラメーターが8.5以上のカーボネート結合を有する極性溶媒には、上記したもの以外にジエチルカーボネートが含まれる。
また、他の改質方法として、アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)を機械的(物理的)に粉砕することにより比表面積、細孔容積を大きくしてもよい。機械的手段は、ジェットミル等の既知の適当な手段を用いることができる。
[硫黄化合物]
本発明に用いる硫黄化合物としては、P2S3(三硫化二リン)、P2S5(五硫化二リン)、SiS2(硫化珪素)、Al2S3(硫化アルミニウム)、GeS2(硫化ゲルマニウム)、B2S3(三硫化二砒素)等が挙げられる。好ましくはP2S5である。尚、硫黄化合物は2種以上混合して使用してもよい。
P2S5は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
本発明に用いる硫黄化合物としては、P2S3(三硫化二リン)、P2S5(五硫化二リン)、SiS2(硫化珪素)、Al2S3(硫化アルミニウム)、GeS2(硫化ゲルマニウム)、B2S3(三硫化二砒素)等が挙げられる。好ましくはP2S5である。尚、硫黄化合物は2種以上混合して使用してもよい。
P2S5は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
[他の成分]
上記2成分の他に、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。ガラス化促進剤の例としては、Li3PO4、Li4SiO4、Li4GeO4、Li3BO3、Li3AlO3、Li3CaO3、Li3InO3、Na3PO4、Na4SiO4、Na4GeO4、Na3BO3、Na3AlO3、Na3CaO3、Na3InO3等の無機化合物が挙げられる。
上記2成分の他に、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。ガラス化促進剤の例としては、Li3PO4、Li4SiO4、Li4GeO4、Li3BO3、Li3AlO3、Li3CaO3、Li3InO3、Na3PO4、Na4SiO4、Na4GeO4、Na3BO3、Na3AlO3、Na3CaO3、Na3InO3等の無機化合物が挙げられる。
また、上記成分のほか、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、LiBO2(メタホウ酸リチウム)、LiAlO3(リチウムアルミネート)、Na2S(硫化ナトリウム)、NaBO2(メタホウ酸ナトリウム)、NaAlO3(アルミン酸ナトリウム)、POCl3,POBr3等も用いることができる。
[接触工程]
次に、上記のアルカリ金属硫化物と硫黄化合物を、溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触(反応)させる。接触は、具体的には、アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)と硫黄化合物を、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒を含む溶媒中で撹拌処理して行うことができる。
溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触を行うことにより、ミル等の特別な装置を用いなくてもLi2S等の残存を抑制することができる。
次に、上記のアルカリ金属硫化物と硫黄化合物を、溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触(反応)させる。接触は、具体的には、アルカリ金属硫化物(例えば、硫化リチウム)と硫黄化合物を、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒を含む溶媒中で撹拌処理して行うことができる。
溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触を行うことにより、ミル等の特別な装置を用いなくてもLi2S等の残存を抑制することができる。
接触工程としては、具体的に下記(1)〜(4)のいずれかの方法が挙げられる。
(1)アルカリ金属硫化物と溶媒の混合物に硫黄化合物を混合する方法
(2)硫黄化合物と溶媒の混合物にアルカリ金属硫化物を混合する方法
(3)アルカリ金属硫化物と硫黄化合物の混合物に溶媒を混合する方法
(4)アルカリ金属硫化物、溶媒及び硫黄化合物を同時に混合する方法
(1)アルカリ金属硫化物と溶媒の混合物に硫黄化合物を混合する方法
(2)硫黄化合物と溶媒の混合物にアルカリ金属硫化物を混合する方法
(3)アルカリ金属硫化物と硫黄化合物の混合物に溶媒を混合する方法
(4)アルカリ金属硫化物、溶媒及び硫黄化合物を同時に混合する方法
溶解パラメーターが9以上の溶媒は上記と同じである。また、上記と同様に溶解パラメーターが9.0未満の溶媒を含んでいてもよい。
溶解パラメーターが9以上の溶媒は、微粒化処理で用いたものと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
溶解パラメーターが9以上の溶媒は、微粒化処理で用いたものと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
接触に用いる溶解パラメーターが9以上の溶媒としては、沸点が65〜200℃のものが好ましい。沸点が低いと、反応温度下での蒸気圧が高くなり、耐圧容器が必要となる場合がある。沸点が高いと、生成した固体電解質から溶媒を蒸発させる負荷が大きくなる場合がある。
溶解パラメーターが9以上の溶媒のうち、沸点が65〜200℃である溶媒としては、エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノール,イソブタノール,n−ペンタノール,エチレングルコール,ギ酸,酢酸,アセトニトリル,プロピオニトリル,マロノニトリル,フマルノニトリル,トリメチルシリルシアニド,トリエチルアミン,ピリジン,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセドアミド,ニトロメタン,ジイソプロピルエーテル,フェニルメチルエーテル,ジエトキシエタン,THF,ジオキサン,ジメチルジメトキシシラン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,メチルエチルケトン,酢酸エチル,無水酢酸,ジメチルスルホキシド,ジクロロエタン,ジクロロベンゼン,ヘキサフロオロベンゼン,トリフルオロメチルベンゼン,トリフルオロエタノール,アミノエタノール,クロロ酢酸,トリフルオロ酢酸,メトキシプロピオニトリル,エトキシプロピオニトリル,シアノ酢酸メチル,ジフルオロアセトニトリル,グライム等が挙げられ、この中でもエーテル(−O−)結合を有する溶媒が好ましく、環状エーテルがさらに好ましく、THFがより好ましい。
溶媒の使用量としては、原料であるアルカリ金属硫化物と硫黄化合物が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であればよい。溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は、通常0.001〜1kg、好ましくは0.005〜0.5kg、特に好ましくは0.01〜0.3kgである。
アルカリ金属硫化物と硫黄化合物の配合割合(モル比)は、好ましくは60:40〜90:10、より好ましくは68:32〜85:15である。
また、アルカリ金属硫化物がLi2Sであり、硫黄化合物がP2S5である場合、これらのモル比は、好ましくは68:32〜80:20、より好ましくは74:26〜76:24である。
また、アルカリ金属硫化物がLi2Sであり、硫黄化合物がP2S5である場合、これらのモル比は、好ましくは68:32〜80:20、より好ましくは74:26〜76:24である。
アルカリ金属硫化物と硫黄化合物の接触温度は、通常20〜200℃であり、好ましくは50〜150℃である。また、接触時間は、通常1〜20時間であり、好ましくは2〜15時間である。
反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、硫化物ガラスである硫化物系固体電解質が得られる。
結晶化させるとイオン伝導度が向上する場合には、結晶化させることが好ましい。例えば、Li2S:P2S5(モル比)が68:32〜72:28の原料から得られた固体電解質は、さらに、200℃以上400℃以下、より好ましくは250℃〜320℃で加熱処理することにより、イオン伝導性を向上できる。これは、上記の硫化物ガラスである硫化物系固体電解質が硫化物結晶化ガラス(ガラスセラミック)となるためである。
加熱処理の時間は、1時間〜5時間が好ましく、特に1.5時間〜3時間が好ましい。
尚、好ましい様態として、乾燥工程での加熱と結晶化工程の加熱を、別工程とするのではなく、1つの加熱工程とすることができる。
加熱処理の時間は、1時間〜5時間が好ましく、特に1.5時間〜3時間が好ましい。
尚、好ましい様態として、乾燥工程での加熱と結晶化工程の加熱を、別工程とするのではなく、1つの加熱工程とすることができる。
本発明の製造方法により得られる固体電解質は、全固体リチウム二次電池の固体電解質層や、正極合材に混合する固体電解質等として使用できる。
例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に本発明の製造方法により得られた固体電解質からなる層を形成することで、全固体リチウム二次電池となる。
例えば、正極と、負極と、正極及び負極の間に本発明の製造方法により得られた固体電解質からなる層を形成することで、全固体リチウム二次電池となる。
製造例1
[硫化リチウムの製造]
窒素気流下で非極性溶媒としてトルエン270gを600mlセパラブルフラスコに加え、水酸化リチウム(本荘ケミカル社)30gを投入し、フルゾーン撹拌翼300rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。スラリー中に硫化水素を300ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。セパラブルフラスコからは、水とトルエンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
[硫化リチウムの製造]
窒素気流下で非極性溶媒としてトルエン270gを600mlセパラブルフラスコに加え、水酸化リチウム(本荘ケミカル社)30gを投入し、フルゾーン撹拌翼300rpmで撹拌しながら、95℃に保持した。スラリー中に硫化水素を300ml/分の供給速度で吹き込みながら104℃まで昇温した。セパラブルフラスコからは、水とトルエンの共沸ガスが連続的に排出された。この共沸ガスを、系外のコンデンサで凝縮させることにより脱水した。この間、留出するトルエンと同量のトルエンを連続的に供給し、反応液レベルを一定に保持した。
凝縮液中の水分量は徐々に減少し、硫化水素導入後6時間で水の留出は認められなくなった(水分量は総量で22mlであった)。尚、反応の間は、トルエン中に固体が分散して撹拌された状態であり、トルエンから分層した水分は無かった。この後、硫化水素を窒素に切り替え300ml/分で1時間流通した。固形分をろ過・乾燥して白色粉末である硫化リチウムを得た。
得られた粉末を塩酸滴定及び硝酸銀滴定で分析したところ、硫化リチウムの純度は99.0%であった。また、X線回折測定したところ、硫化リチウムの結晶パターン以外のピークが検出されないことを確認した。平均粒径は450μm(スラリー溶液)であった。尚、硫化リチウムの平均粒子径は、MALVERN社Mastersizer2000を用いて測定した。
得られた硫化リチウムの比表面積を窒素ガスによるBET法でAUTOSORB6(シスメックス株式会社製)を用いて測定したところ、14.8m2/gであった。細孔容積は、比表面積と同じ装置で測定し、相対圧P/P0 0.99以上の測定点から、0.99に内挿して求めたところ、0.15ml/gであった。
製造例2
[微粒化処理]
製造例1で得られた硫化リチウム26gをグローブボックス内でシュレンクビンに秤量した。これに窒素雰囲気下、脱水トルエン(和光純薬製)500ml、脱水エタノール(和光純薬製)250mlをこの順に加え、室温で24時間、スターラーで撹拌した。改質処理後、バス温を120℃まで昇温して、硫化水素ガスを200ml/分で90分流通させて、処理を行った。硫化水素ガス処理後、室温窒素気流下で溶媒を留去し、さらに真空下、室温で2時間乾燥して微粒化した硫化リチウムを回収した。
[微粒化処理]
製造例1で得られた硫化リチウム26gをグローブボックス内でシュレンクビンに秤量した。これに窒素雰囲気下、脱水トルエン(和光純薬製)500ml、脱水エタノール(和光純薬製)250mlをこの順に加え、室温で24時間、スターラーで撹拌した。改質処理後、バス温を120℃まで昇温して、硫化水素ガスを200ml/分で90分流通させて、処理を行った。硫化水素ガス処理後、室温窒素気流下で溶媒を留去し、さらに真空下、室温で2時間乾燥して微粒化した硫化リチウムを回収した。
製造例1と同様にして微粒化硫化リチウムを評価した。硫化リチウムは純度97.2%、水酸化リチウム量0.3%、平均粒径9.1μm(未乾燥スラリー溶液)、比表面積43.2m2/g、細孔容積0.68ml/gであった。純度、水酸化リチウム含量は滴定法によりそれぞれ定量した。尚、分析値合計が100%とならないのは、炭酸リチウムその他のイオン塩や残存溶媒を含んでいるためである。
製造例3
[微粒化処理]
製造例1で得られた硫化リチウムをジェットミル(株式会社セイシン企業製)にて、処理量90g/hr、粉砕流体に圧力0.7MPaの窒素を用いて粉砕処理した。
製造例1と同様にして微粒化硫化リチウムを評価した。得られた微粉化硫化リチウムは、純度96.5%、平均粒径2.13μm、比表面積19.8m2/gであった。
[微粒化処理]
製造例1で得られた硫化リチウムをジェットミル(株式会社セイシン企業製)にて、処理量90g/hr、粉砕流体に圧力0.7MPaの窒素を用いて粉砕処理した。
製造例1と同様にして微粒化硫化リチウムを評価した。得られた微粉化硫化リチウムは、純度96.5%、平均粒径2.13μm、比表面積19.8m2/gであった。
実施例1
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、製造例2で得られた硫化リチウム4.21g、五硫化二りん(アルドリッチ社)6.79g、水分含有量を10ppmとした110mlのテトラヒドロフラン(THF)(和光純薬工業株式会社)を仕込み、140℃で24時間接触させた。
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、製造例2で得られた硫化リチウム4.21g、五硫化二りん(アルドリッチ社)6.79g、水分含有量を10ppmとした110mlのテトラヒドロフラン(THF)(和光純薬工業株式会社)を仕込み、140℃で24時間接触させた。
120℃で40分間真空乾燥させ、固体電解質を製造した。得られた固体電解質のイオン伝導度は2.0×10−4S/cmであった。また、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、非晶質に由来するハローパターン以外にピークが観測されず固体電解質ガラスであることを確認した。
イオン伝導度は下記方法に従い測定した。
固体電解質を錠剤成形機に充填し、10MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンと固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定を実施した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
固体電解質を錠剤成形機に充填し、10MPaの圧力を加え成形体を得た。さらに、電極としてカーボンと固体電解質を重量比1:1で混合した合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、伝導度測定用の成形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度測定を実施した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
実施例2
製造例2で得られた硫化リチウムの代わりに製造例3で得られた硫化リチウムを用いた以外は、実施例1と同様にして固体電解質を製造し、イオン伝導度を測定した。
得られた固体電解質のイオン伝導度は1.9×10−4S/cmであった。また、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、非晶質に由来するハローパターン以外にピークが観測されず固体電解質ガラスであることを確認した。
製造例2で得られた硫化リチウムの代わりに製造例3で得られた硫化リチウムを用いた以外は、実施例1と同様にして固体電解質を製造し、イオン伝導度を測定した。
得られた固体電解質のイオン伝導度は1.9×10−4S/cmであった。また、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果、非晶質に由来するハローパターン以外にピークが観測されず固体電解質ガラスであることを確認した。
本発明の製造方法で得られた固体電解質は、リチウム二次電池等に使用できる。
Claims (11)
- BET法で測定した比表面積が10.0m2/g以上であるアルカリ金属硫化物を準備する工程、
硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ホウ素から選択される1又は2以上の硫黄化合物を準備する工程、及び
前記アルカリ金属硫化物及び硫黄化合物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で接触させる工程を含む
固体電解質の製造方法。 - 前記溶媒の沸点が65〜200℃である請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記溶媒がテトラヒドロフランである請求項1又は2に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記アルカリ金属硫化物の粒径が100μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記アルカリ金属硫化物が硫化リチウムである請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記アルカリ金属硫化物のBET法で測定した比表面積が35.0m2/g以上である請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記アルカリ金属硫化物を準備する工程が、アルカリ金属硫化物を溶解パラメーターが9以上の溶媒中で微粒化することを含む請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記硫黄化合物が硫化りんである請求項1〜7のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記硫黄化合物がP2S5である請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記アルカリ金属硫化物としてLi2S、前記硫黄化合物としてP2S5を用い、接触に用いるLi2SとP2S5のモル比が68:32〜80:20である請求項1〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記Li2SとP2S5のモル比が74:26〜76:24である請求項10に記載の固体電解質の製造方法。
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