JP2016213006A - 多硫化物複合体及び硫化リチウム複合体の製造方法、正極合材、並びに全固体電池 - Google Patents

多硫化物複合体及び硫化リチウム複合体の製造方法、正極合材、並びに全固体電池 Download PDF

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Abstract

【課題】製造時の安全性を確保しつつ、硫化リチウム複合体の量産が可能な硫化リチウム複合体の製造方法を提供する。【解決手段】硫化リチウム及び硫黄を含む混合物を、有機溶媒中で導電助剤と混合させた後、前記有機溶媒を留去することを含む多硫化物複合体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、多硫化物、硫化リチウム正極合材の製造方法及びそれを用いた全固体電池に関する。
電気自動車や定置エネルギー貯蔵向けに高容量な電池の開発が求められている。そのためには高容量電極の開発が必要である。
高容量な正極活物質として硫黄があるが、Liを含まないので、対極にLiを含む物質を使用するか、Li箔を設けなければならない等の制約があり、硫化リチウム正極が望まれている。
硫化リチウムは、溶媒に溶け難く、高融点であり、導電助剤等との複合化が難しく、さらなる改良開発が要望されている。
特許文献2には、に硫黄と導電助剤(炭素材料)との複合体に金属Liを混合して、硫化リチウム複合体化する技術があるが、安全性を考えると量産化に課題がある。
特許文献1には、硫化リチウム(LiS)とアセチレンブラック(硫化リチウム:アセチレンブラック(重量比)=2:1)を、非酸化性雰囲気下において、該混合物を加圧した状態で直流パルス電流を通電する通電焼結法によって原料混合物を焼結させて硫化リチウム−炭素複合体を製造する方法が記載されている。この方法には、特殊な通電焼結による高温熱処理工程が必要であり量産性に劣るという欠点がある。
特許文献3には、硫化リチウム及び硫黄を含む混合物を溶媒中で1又は2以上の硫黄化合物と接触させて硫化物固体電解質を製造する方法が記載されている。炭素材料等の導電助剤との複合化については何ら示唆する記載がない。
特許5419020号公報 WO2014/162693 特開2014−220051号公報
本発明の目的は、製造時の安全性を確保しつつ、硫化リチウム複合体の量産が可能な硫化リチウム複合体の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の多硫化複合体の製造方法、硫化リチウム複合体の製造方法等が提供される。
1.硫化リチウム及び硫黄を含む混合物を、有機溶媒中で導電助剤と混合させた後、前記有機溶媒を留去することを含む多硫化物複合体の製造方法。
2.前記導電助剤が、活性炭、カーボンブラック、メソポーラス炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、及びこれらの複合材からなる群から選択される1種以上の炭素材料である1に記載の多硫化物複合体の製造方法。
3.前記硫化リチウムに含まれる硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下である1又は2に記載の多硫化物複合体の製造方法。
4.前記硫化リチウムに含まれるN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下である1〜3のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
5.前記硫化リチウムの粒径が100μm以下である1〜4のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
6.前記硫黄の純度が95%以上である1〜5のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
7.前記硫化リチウムと硫黄のモル比が40:60〜5:95の範囲内である1〜6のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
8.前記有機溶媒が、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒である1〜7のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
9.前記溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒が、水酸基、カルボキシ基、ニトリル基、アミノ基、アミド結合、ニトロ基、−C(=S)−結合、エーテル(−O−)結合、−Si−O−結合、ケトン(−C(=O)−)結合、エステル(−C(=O)−O−)結合、カーボネート(−O−C(=O)−O−)結合、−S(=O)−結合、クロロ基及びフロオロ基から選ばれる1種類以上の極性基を有する溶媒である8に記載の多硫化物複合体の製造方法。
10.前記有機溶媒の沸点が65〜200℃である1〜9のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
11.前記有機溶媒1リットルに対する、前記硫化リチウム及び硫黄を含む混合物の添加量が、0.001〜1kgである1〜10のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
12.前記有機溶媒の留去を真空熱処理により50〜200℃の温度で1〜4時間で行う1〜11のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
13.1〜12のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法で製造された多硫化物複合体から硫黄を除去することを含む硫化リチウム複合体の製造方法。
14.前記多硫化物複合体を、真空熱処理により、150〜500℃の温度で2〜10時間処理する13に記載の硫化リチウム複合体の製造方法。
15.1〜12のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法で製造された多硫化物複合体と硫化物固体電解質とからなる正極合材。
16.13又は14に記載の硫化リチウム複合体の製造方法で製造された硫化リチウム複合体と硫化物固体電解質とからなる正極合材。
17.前記硫化物固体電解質が、Li、P及びSを含む硫化物固体電解質である15又は16に記載の正極合材。
18.前記硫化物固体電解質が、少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質である17に記載の正極合材。
19.前記硫化物固体電解質の原料として用いるLiSとPのモル比がLiS:P=60:40〜82:18の範囲内である18に記載の正極合材。
20.前記多硫化リチウム複合体又は硫化リチウム複合体、前記導電助剤及び前記硫化物固体電解質の重量比が、10〜80:10〜50:10〜80の範囲内である15〜19のいずれかに記載の正極合材。
21.15〜20のいずれかに記載の正極合材からなる正極合材層と硫化物固体電解質からなる電解質層を含む全固体電池。
本発明によれば、製造時の安全性を確保しつつ、硫化リチウムと導電助剤からなる硫化リチウム複合体を量産することができる。
本発明によれば、正極活物質として有用な硫化リチウムを提供することができる。
LiのTHFへの溶解度を示すグラフである。 LiのTHF溶液の80℃真空熱処理後のXRDパターンを示すチャートである。 LiのTHF溶液の300℃真空熱処理後のXRDパターンを示すチャートである。 CとLiS/CのC重量当たりの細孔分布を示すグラフである。
1.多硫化物複合体
本発明の多硫化物複合体の製造方法は、硫化リチウム及び硫黄を含む混合物を、有機溶媒中で導電助剤と混合させた後、前記有機溶媒を留去することを含むことを特徴とする。
ここで、「多硫化物」とは、Liにおいて、xが1を超える化合物(多硫化リチウム)をいう。xの範囲は1<x≦8、好ましくは2≦x≦8、より好ましくは4≦x≦6である。「硫化リチウム」とは、Liにおいて、x=1の化合物をいい、「LiS」と表される。また、多硫化物は、xが単一の数値で表される1種類の化合物からなっていてもよいし、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
前記導電助剤は、活性炭、カーボンブラック、メソポーラス炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、及びこれらの複合材からなる群から選択される1種以上の炭素材料であることが好ましく、中でも活性炭、メソポーラス炭素がより好ましい。
硫化リチウム(以下、LiSと表記することがある)と硫黄(以下、Sと表記することがある)を有機溶媒に溶解させ、導電助剤、好ましくは炭素材料(以下、Cと表記することがある)からなる導電助剤に含浸した後に有機溶媒を除去することで多硫化物複合体(Li/C複合体)が得られる。溶媒の除去方法は特に限定されないが、真空熱処理が好ましい。
LiSと共にSも有機溶媒に溶解させることにより、多硫化物が形成され、有機溶媒への溶解度が向上するため、LiSを単独で溶解させた溶液を用いる場合に比べて、活物質比率の高いLiS/C複合体が合成できると考えられる。
本発明に用いる各原料について、以下説明する。
<硫化リチウム>
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−084438号公報、特開2011−136899号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356号公報)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2011−084438号公報)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、硫化物ガラスとなる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を超えると、得られる電解質は、最初から硫化物ガラスセラミックスとなるおそれがある。
ここで、「硫化物固体電解質」とは一般に、硫黄元素を含み、室温で固体であり、イオン伝導性を有する物質と定義される。本発明においては、硫化物固体電解質は、リチウム元素、硫黄元素、及びリン元素を含む硫化物固体電解質であることが好ましい。
また、硫化物固体電解質の状態を表す「硫化物ガラス」及び「硫化物ガラスセラミックス」は、次のように定義される。
即ち、「硫化物ガラス」とは、X線回折測定においてX線回折パターンが実質的に固体電解質原料由来のピーク以外のピークを示さないハローパターンである硫化物固体電解質をいう。尚、固体電解質原料由来のピークの有無は問わないものとする。
「硫化物ガラスセラミックス」とは、硫化物固体電解質由来のピークが観測される硫化物固体電解質をいう。尚、固体電解質原料由来のピークの有無は問わないものとする。即ち、硫化物ガラスセラミックスは、硫化物固体電解質由来の結晶構造を含み、一部が硫化物固体電解質由来の結晶構造であってもよいし、全部が硫化物固体電解質由来の結晶構造であってもよい。硫化物ガラスセラミックスは、例えば、硫化物ガラスを結晶化して得ることができる。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号公報及び特開平9−283156号公報に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356号公報に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開第2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
また、特開2011−136899号公報に記載の硫化リチウムを用いるのが好ましい。極性溶媒を含む溶媒を用いて硫化リチウムを改質することで、比表面積が大きい硫化リチウムを調整することができる。
また、硫化リチウムの粒径は100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
硫化リチウムの粒径の測定は、LASER回析法によりMALVERN社Mastersizer2000を用いて測定し、体積基準平均粒径から算出する。当該測定は、乾燥状態を経由せず、直接スラリー状態で測定することが望ましい。一旦、乾燥を行うと、乾燥時に粒子の凝集が発生し、みかけ大きな粒径となるおそれがあるためである。
[微粒化処理]
硫化リチウムの比表面積、細孔容積を大きくするために、例えば、硫化リチウムを改質(微粒化)することができる。改質は、具体的には硫化リチウムを、後述する溶解パラメーター(溶解度パラメーター)が9.0以上の極性溶媒を含む溶媒中で撹拌処理することで行うことができる。
溶解度パラメーターは、例えば、化学便覧応用編(改訂3版)丸善、接着ハンドブック(第4版)日刊工業新聞社、高分子データハンドブック(高分子学会編)を参考とした値である。
<硫黄>
硫黄は、純度が高いものが好ましい。具体的には、純度は95%以上が好ましく、96%以上がより好ましく、97%以上がさらに好ましい。純度が低いと二次電池に使用した際に不可逆容量の原因となる。
硫黄の結晶系としては、α硫黄(斜方晶系)、β(単斜晶系)、γ(単斜晶系)、無定形硫黄等が挙げられ、いずれも用いることができる。また、これらは単独又は2種以上で併用してもよい。
<硫化リチウムと硫黄の配合比>
硫化リチウム(A)と硫黄(B)の使用量は、通常(A):(B)=50:50〜1:99(モル比)であり、好ましくは(A):(B)=40:60〜5:95(モル比)であり、より好ましくは(A):(B)=30:70〜7.5:92.5(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=25:75〜10:90(モル比)である。
<有機溶媒と配合比等>
有機溶媒としては、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒が好ましい。また、有機溶媒は、1種又は2種以上で用いることができる。
溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒としては、水酸基、カルボキシ基、ニトリル基、アミノ基、アミド結合、ニトロ基、−C(=S)−結合、エーテル(−O−)結合、−Si−O−結合、ケトン(−C(=O)−)結合、エステル(−C(=O)−O−)結合、カーボネート(−O−C(=O)−O−)結合、−S(=O)−結合、クロロ基、フロオロ基から選ばれる1種類以上の極性基を有する溶媒であることが好ましい。この中でも、エーテル(−O−)結合を含むものが好ましく、環状エーテルが特に好ましい。
極性基を1種類含む極性溶媒としては、メタノール(14.5)(括弧内の数値は溶解パラメーターを示す)、エタノール(12.7)、n−プロパノール、イソプロパノール(11.5)、n−ブタノール、イソブタノール、n−ペンタノール、エチレングリコール(14.2)、蟻酸(13.5)、酢酸(12.6)、アセトニトリル(11.9)、プロピオニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、フマロニトリル、トリメチルシリル=シアニド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド(12.0)、ジメチルアセトアミド、ニトロメタン、二硫化炭素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、フェニルメチルエーテル、ジメトキシメタン、ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、シクロへキシルメチルジメトキシシラン、アセトン(10.0)、メチルエチルケトン、アセトアルデヒド、酢酸エチル(9.0)、無水酢酸、メチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、メチレンクロライド、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、ヘキサフロオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。
極性基を2種類含む極性溶媒としては、2,2,2−トリフルオロエタノール、ヘキサフロオロイソプロパノール、2−アミノエタノール、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル、シアノ酢酸メチル、ジフルオロアセトニトリル、スルホラン、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルプロピルスルホン等が挙げられる。
有機溶媒は、溶解パラメーターが9.0未満の溶媒を含んでもよい。溶解パラメーターが9.0未満の溶媒としては、例えば、ヘキサン(7.3)、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン(8.8)、キシレン(8.8)、エチルベンゼン、イプゾール100(出光興産製)、イプゾール150(出光興産製)、IPソルベント(出光興産製)、流動パラフィン、石油エーテル等が挙げられる。
上記の溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒、溶解パラメーターが9.0未満の溶媒は脱水する必要はないが、水分量により副生する微粒化物中の水酸化アルカリ金属の量に影響を与えるおそれがあるため、好ましくは水分量は50ppm以下、より好ましくは30ppm以下である。
また、溶媒としては、沸点が65〜200℃のものが好ましい。沸点が低いと反応温度下での蒸気圧が高く、耐圧容器が必要となる場合がある。反対に沸点が高いと、生成した固体電解質から溶媒を蒸発させる負荷が大きくなる場合がある。
通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001〜1kgであり、好ましくは0.005〜0.5kg、特に好ましくは0.01〜0.3kgである。従って、このような割合となるように適宜溶媒量を調整すればよい。
<導電助剤>
導電助剤は、複数の細孔を有する電子伝導性のある材料であればよいが、炭素材料が好ましい。
導電助剤のBET比表面積は、好ましくは0.1m/g以上5000m/g以下であり、より好ましくは1m/g以上4000m/g以下であり、さらに好ましくは1m/g以上3000m/g以下であり、最も好ましくは10m/g以上3000m/g以下である。
0.1m/g未満であると硫化リチウムと複合化しにくくなる恐れがあり、5000m/gを超えると嵩高くて取り扱いが難しくなる恐れがある。
導電助剤の細孔は、平均直径が好ましくは1nm以上40nm以下、より好ましくは1nm以上20nm以下である。このようにすることで、得られた複合材料を電極に用いた場合に充放電容量を高めることができる。
BET比表面積及び細孔の平均直径は、複合材料を液体窒素下において、複合材料に窒素ガスを吸着させて得られる窒素吸着等温線を用いて測定することができる。具体的には、BET法によりBET比表面積、BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法により細孔の平均直径を求めることができる。
上記のBET比表面積と細孔を満足する炭素材料としては、特に限定されないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、メソポーラス炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、活性炭等が挙げられる。また、これらの複合材を用いることもできる。
メソポーラス炭素は、例えば以下の文献に記載の製法で得られる二次元又は三次元的に細孔を有する炭素材料である:例えば、S.J.Sang,S.H.Joo,R.Ryoo,et.,J.Am.Chem.Soc.,122(2000)10712−10713、及びT.Yokoi,Y.Sakamoto,O.Terasaki,et.,J.Am.Chem.Soc.,128(2006)13664−13665
<硫化リチウムと炭素材料の複合方法>
LiSとSをLi(1<x≦8)の比率で有機溶媒に溶解させた後、細孔を有する導電助剤に含浸する。その後、有機溶媒を除去し多硫化物Liと導電助剤の複合体を合成する。混合・含浸はフラスコ中で行い、混合・含浸時の温度は25℃〜150℃で行う。有機溶媒の種類に特に制限はないが、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、ヘキサン、キシレン、二硫化炭素等が挙げられ、THFが好ましい。
<溶媒の除去の方法、条件>
真空熱処理により50〜200℃、好ましくは80〜100℃の温度で、通常1〜4時間、好ましくは1〜2時間処理することで有機溶媒を除去する。
2.硫化リチウム複合体
本発明の硫化リチウム複合体の製造方法は、上記本発明の多硫化物複合体の製造方法で製造された多硫化物複合体から硫黄を除去することを含むことを特徴とする。
<硫黄の除去の方法、条件>
上記本発明の方法で得られた多硫化物複合体(Li(1<x≦8)/C)を、真空熱処理により、150〜500℃、好ましくは200〜300℃の温度で、通常2〜10時間、好ましくは4〜8時間、特に好ましくは6時間処理することで有機溶媒と共に硫黄を除去する。これにより、硫化リチウム複合体(LiS/C)が得られる。
尚、上記本発明の多硫化物複合体の製造方法における、有機溶媒を留去する工程を、上記有機溶媒及び硫黄を除去する工程と置き換えることで、多硫化物複合体の製造から硫化リチウム複合体の製造までを連続して行うことができる。
硫黄及び有機溶媒が除去されたことはXRD分析によって確認できる。
上記本発明の多硫化物複合体(Li(1<x≦8)/C)の製造方法及び硫化リチウム複合体(LiS/C)の製造方法は、金属リチウムを用いておらず、製造が安全に行えると同時に、活物質である硫黄の溶解・析出という簡便かつ大規模に実施可能な操作によってLiS/C複合体が得られる利点を有する。即ち、本発明の多硫化物複合体の製造方法によれば、安全にLiS/C複合体を量産することが可能になる。
3.正極合材
本発明の正極合材は、上記本発明の多硫化物複合体の製造方法で製造された多硫化物複合体と硫化物固体電解質とからなる、又は上記本発明の硫化リチウム複合体の製造方法で製造された硫化リチウム複合体と硫化物固体電解質とからなることを特徴とする。
多硫化物複合体及び硫化リチウム複合体から製造された正極合材を、合わせて「合材」又は「正極合材」ということがある。
<硫化物固体電解質>
硫化物固体電解質としては、Li、P及びSを含む硫化物固体電解質が好ましい。Li、P及びSを含む硫化物固体電解質としては、少なくともLiSを原料とする硫化物固体電解質がさらに好ましい。LiSを原料とする硫化物固体電解質としては、LiSとその他硫化物を原料とする硫化物固体電解質がより好ましい。LiSとその他硫化物を原料とする硫化物固体電解質としては、LiSとその他硫化物のモル比が、50:50〜95:5であるものが特に好ましい。
また、LiSとその他硫化物を原料とする硫化物固体電解質としては、少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質が好ましい。
少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質としては、原料として用いるLiSとPのモル比がLiS:P=60:40〜82:18となる硫化物固体電解質が好ましく、LiS:P=60:40〜80:20となる硫化物固体電解質がより好ましく、さらにより好ましくは、LiSとPのモル比がLiS:P=65:35〜78:22である硫化物固体電解質である。
また、少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質としては、LiSとPを原料とする硫化物固体電解質が好ましい。
LiSとPを原料とする硫化物固体電解質としては、原料として用いるLiSとPのモル比がLiS:P=60:40〜80:20となる硫化物固体電解質が好ましく、より好ましくは、LiSとPのモル比がLiS:P=65:35〜78:22である。即ち、硫化物固体電解質に含まれるLi、P及びSを、LiSとPの比に換算した場合に、モル比がLiS:P=60:40〜80:20となる硫化物固体電解質が好ましく、より好ましくは、LiSとPのモル比がLiS:P=65:35〜78:22である硫化物固体電解質である。
固体電解質には、LiSとPの他、さらにハロゲン化物を添加してもよい。ハロゲン化物としてはLiI、LiBr、LiCl等が挙げられる。ハロゲン化物を添加した固体電解質として、具体的には、Li、P、S及びIを含む硫化物固体電解質、Li、P、S及びBrを含む硫化物固体電解質、Li、P、S及びClを含む硫化物固体電解質が挙げられる。
LiS及びPのモル量の合計に対するハロゲン化物のモル量の比は、好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=50:50〜99:1であり、より好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=60:40〜98:2であり、さらに好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=70:30〜98:2であり、特に好ましくは[LiS+P]:ハロゲン化物=80:20〜98:2である。
硫化物固体電解質としては、具体的にはLiS−P,LiI−LiS−P,LiBr−LiS−P,LiPO−LiS−SiS等が挙げられる。
固体電解質は、MM(メカニカルミリング)法、溶融法他による製造方法で得られた硫化物ガラス状態ものでも、加熱処理により得られた硫化物ガラスセラミックス状態のものでもあってもよい。硫化物ガラスセラミックス状態の固体電解質の具体例としては、Li11結晶構造をとる固体電解質が挙げられる。その他の具体例としては、LiPS結晶構造、Li結晶構造、LiPS結晶構造、Li4−xGe1−x系チオリシコンII型の結晶構造(Kannoら、Journal of The Electrochemical Society,148(7)A742−746(2001)参照)が挙げられる。
固体電解質の形状、サイズ等は特に限定されないが、一次粒子径が0.1μm以上100μm以下であるものが好ましく、0.1μm以上20μm以下のものがより好ましい。
<配合比、方法>
多硫化物複合体(Li/C複合体)又は硫化リチウム複合体(LiS/C複合体)(多硫化物複合体と硫化リチウム複合体を合わせて、単に「複合体」という)と固体電解質との複合化方法としては、複合体と固体電解質を遊星型ボールミルで混合し複合化し、合材とする方法が挙げられる。上記の方法で作製した複合体と固体電解質の合材は、合材100重量部に対して多硫化リチウム又は硫化リチウムが10〜80重量部、導電助剤が10〜50重量部、固体電解質が10〜80重量部となるように用いることが好ましい。
上記方法で得られた合材は、電極として用いることができ、高容量な正極合材として特に有用である。
4.全固体電池
本発明の全固体電池は、上記本発明の正極合材からなる正極合材層と硫化物固体電解質からなる電解質層を含むことを特徴とする。
多硫化リチウム(Li)と導電助剤の複合体を正極に用いる場合は、負極にLiを含有するSi等を用いることで、正極中のSも活物質として利用できる利点がある。
<正極合材層>
正極合材層は、上記本発明の正極合材を通常の方法でプレス成形して、シート状の電極とする方法等により製造することができる。
本発明の正極合材を電極として用いる場合、層厚みは電池設計に応じて適宜に選定すればよい。
また、本発明の正極合材を含む電極材料を集電体上に膜状に形成して電極とする方法が挙げられる。製膜方法としては、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等が挙げられる。さらに、溶媒に分散又は一部を溶解させてスラリー状にして塗布する方法が挙げられる。必要に応じてバインダーを混合してもよい。
上記の集電体としては、ステンレス鋼、金、白金、銅、亜鉛、ニッケル、スズ、アルミニウム又はこれらの合金等からなる板状体、箔状体、網目状体等が使用できる。
上記の電極は、リチウムイオン電池の正極層として用いることができる。この場合、リチウムイオン電池の他の構成は本技術分野にて公知のものが使用でき、負極活物質にリチウムイオンを含まない負極層を選択でき、負極層の材料の幅が広がる利点がある。
<負極合材層>
負極は、通常の電池に使用できるものであれば、特に制限されない。負極活物質と固体電解質を混合した負極合材からなるものでもよい。
負極活物質としては、市販されているものを使用できる。例えば、炭素材料、Sn金属、In金属、Si金属、これらの金属の合金等を使用できる。具体的には、天然黒鉛や各種グラファイト、Si,Sn,Al,Sb,Zn,Bi等の金属粉、SiAl,SnCu,SnCo,SnFe等の金属合金、その他アモルファス合金やメッキ合金が挙げられる。
また、上記の物質のLi含有物を用いることもできる。粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が、例えば1μm〜80μmのもの、2μm〜70μmのものを好適に使用できる。
固体電解質は特に制限はなく、公知のものが使用できる。例えば、酸化物系固体電解質、硫化物固体電解質、ポリマー系電解質が好ましく、イオン伝導度の観点から硫化物固体電解質がより好ましい。この硫化物固体電解質は上記の本発明の正極合材に使用するものが好ましい。粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が0.1μm〜100μmのもの、例えば0.5μm〜80μmのもの、1μm〜60μmのものを好適に使用できる。また平均粒径は、実施例に記載の測定方法で測定することができる。
<層構成他>
リチウム電池の製造方法は、特に制限されない。例えば、正極集電体上に本発明の正極合材を含む電極からなる正極層を形成したシート(正極合材層)上に固体電解質層を形成し、予め形成した負極集電体上に負極層を形成したシートを積層し、プレスする方法等が挙げられる。
上記固体電解質層は、固体電解質を含む。固体電解質は特に制限はなく、上記の負極合材に使用するものを使用できる。固体電解質の粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が0.1μm〜100μmのもの、例えば0.5μm〜80μmのもの、1μm〜60μmのものを好適に使用できる。また平均粒径は、実施例に記載の測定方法で測定することができる。
実験1
多硫化物の溶解度測定
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、LiSとS(Aldrich製)をLi(x=0,2,4,6)の量論比で混合したものをTHF(和光純薬製)に過剰量加え、溶質が残存した飽和溶液を作製した。ICP分析にてこの溶液の上澄み中のLiイオンを定量したところ、xの値とLi(LiS)の溶解度は比例関係にあることが明らかとなり、x=6の量論比のときのLiSのTHFへの溶解度は5.9mg/gであった(図1)。
これは、THF100mlにLiが2.36g溶解することを意味する。
実験2
多硫化物の乾燥処理後のXRD分析
窒素雰囲気下のグローブボックス中でLiS 0.50gとS 1.75g(量論比でLi)をフラスコ中に量り取り、THF100mLを加えて栓をした後、グローブボックスから取り出した。このフラスコをオイルバスで50℃で2時間加熱して溶質を完全に溶解させた。得られた溶液をオイルバスにて80℃で2時間真空熱処理を行い固化させた。得られた粉末のXRD分析を行ったところ、一部S8結晶を含むが大部分が非晶質であることが明らかとなった(図2)。この粉末をチューブヒーターを用いてさらに300℃で6時間真空熱処理を行い、残留したTHFとSを除去することでLiS粉末を得た。最終的に得られた粉末のXRD分析を行ったところ、THFやSが除去され、主成分としてLiSが得られたことが確認された(図3)。
実験3
多硫化物の溶解・析出によるLiS/C複合体の合成
窒素雰囲気下のグローブボックス中でLiS 0.50gとS 1.75gをフラスコ中に量り取り、THF100mLを加えて栓をした後、グローブボックスから取り出した。このフラスコをオイルバスで50℃で2時間加熱して溶質を完全に溶解させた。得られた溶液を全量、あらかじめ別のフラスコに量り取っておいた0.14gの活性炭(MSC30(関西熱化学);導電助剤)に含浸させた後にオイルバスにて80℃で2時間真空熱処理を行い、THFを留去して固化させて多硫化物複合体(Li/C複合体)を得た。この粉末(多硫化物複合体)を、チューブヒーターを用いてさらに300℃で6時間真空熱処理を行い、残留したTHFとSを除去することで硫化リチウム複合体(LiS/C複合体)を得た。反応はすべて窒素雰囲気下で行った。また、得られた硫化リチウム複合体のBET測定を行ったところC細孔がLiSによって一部埋められていることが示唆される結果が得られた(図4)。
<固体電解質の製造>
後記する実験4及び5で用いた固体電解質A及びBは次のように製造した。
製造例1[固体電解質Bの製造]
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)、チオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
(3)固体電解質の製造
上記で製造した平均粒径30μm程度の精製LiS 2.54gと平均粒径50μm程度のP(アルドリッチ社製)67.46gを10mmφアルミナボール175個が入った500mLアルミナ製容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去して使用した。
この密閉したアルミナ容器を、遊星ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、36時間メカニカルミリング処理することで白黄色の硫化物ガラス粒子を得た。このときの回収率は78%であった。
得られた硫化物ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、硫化物ガラスに起因するハローパターンであった。
得られた硫化物ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、300℃2時間の加熱処理を施し、硫化物ガラスセラミックス粒子(平均粒径14.52μm;70LiS−30P)を得た。
尚、平均粒径は、粒度分布測定装置(Mastersizer2000(Malvern社製))を用い、測定範囲0.02μm〜2000μmで測定した。
得られた硫化物ガラスセラミックス粒子について、X線回折測定を実施したところ、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。このことから、得られた硫化物ガラスセラミックス粒子中には、Li11結晶ができていることが分かる。
また、この硫化物ガラスセラミックス粒子の伝導度を評価したところ、伝導度は1.3×10−3S/cmであった。
製造例2[固体電解質Aの製造]
製造例1(2)で作製した平均粒径30μm程度のLiS 3.90gと平均粒径50μm程度のP(アルドリッチ社製)6.10gを、直径10mmアルミナボール600gが入った500mLのアルミナ製容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。
この密閉したアルミナ容器を、遊星ボールミル(伊藤製作所製LP−4)にて室温下、20時間メカニカルミリング処理することで白黄色の硫化物ガラス粒子(75LiS−25P)を得た。このときの回収率は65%であった。
この硫化物ガラスセラミックス粒子の伝導度は、0.2×10−3S/cmであった。
実験4
正極合材の作製
実験3で得たLiS/Cと固体電解質A(以下、SEと表記する;75LiS−25P)をLiS/C/SE=50/13.6/36.4の重量比で混合し、メカニカルミリング処理することで正極合材を作製した。処理装置には、遊星型ボールミルであるFritsch社製Pulverisette P−7を使用した。ポット及びボールは酸化ジルコニウム製であり、45mLのポット内で直径10mmのボールを10個使用した。試料量は1gとし、370rpmで20時間処理した。
実験5
全固体電池の作製と評価
実験4で作製したLiS/C/SE複合体11.5mgをプレス(370MPa)することで直径10mmのペレット状の正極を得た。また、固体電解質B(70LiS−30Pを300℃で2時間熱処理した複合化物)をプレス(185MPa)することで直径10mmのペレット状の固体電解質層を得た。負極にはIn箔とLi箔を貼り合せたものを使用した。上記の正極、電解質及び負極を積層し、ステンレススチール製集電体で挟み、プレス(74MPa)することで全固体リチウム二次電池を得た。作製した電池を25℃下、0.134mA/cmで充放電した際の放電容量は約220mAh/g−Sであった。この結果から、多硫化物の溶解・析出という金属リチウムを用いない量産可能な合成法で作製したLiS正極で、電池が作動することが確認できた。
評価方法
イオン伝導度(σ)の評価は以下の方法で実施した。
粉体の場合、試料を断面10mmφ(断面積S=0.785cm)、高さ(L)0.1〜0.3cmの形状に成形する。
試料片の上下から電極端子を取る。交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
尚、リードの距離を約60cmとして測定した。
X線回折測定(XRD)は、以下で測定した。
X線源:CuKα(λ=1.5418Å)
装置:リガクSmartlab
本発明によれば、硫化リチウム複合体を安全に量産可能となり、電気自動車や定置エネルギー貯蔵向けの高容量な電池の製造原料として有用である。

Claims (21)

  1. 硫化リチウム及び硫黄を含む混合物を、有機溶媒中で導電助剤と混合させた後、前記有機溶媒を留去することを含む多硫化物複合体の製造方法。
  2. 前記導電助剤が、活性炭、カーボンブラック、メソポーラス炭素、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、及びこれらの複合材からなる群から選択される1種以上の炭素材料である請求項1に記載の多硫化物複合体の製造方法。
  3. 前記硫化リチウムに含まれる硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下である請求項1又は2に記載の多硫化物複合体の製造方法。
  4. 前記硫化リチウムに含まれるN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  5. 前記硫化リチウムの粒径が100μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  6. 前記硫黄の純度が95%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  7. 前記硫化リチウムと硫黄のモル比が40:60〜5:95の範囲内である請求項1〜6のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  8. 前記有機溶媒が、溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒である請求項1〜7のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  9. 前記溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒が、水酸基、カルボキシ基、ニトリル基、アミノ基、アミド結合、ニトロ基、−C(=S)−結合、エーテル(−O−)結合、−Si−O−結合、ケトン(−C(=O)−)結合、エステル(−C(=O)−O−)結合、カーボネート(−O−C(=O)−O−)結合、−S(=O)−結合、クロロ基及びフロオロ基から選ばれる1種類以上の極性基を有する溶媒である請求項8に記載の多硫化物複合体の製造方法。
  10. 前記有機溶媒の沸点が65〜200℃である請求項1〜9のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  11. 前記有機溶媒1リットルに対する、前記硫化リチウム及び硫黄を含む混合物の添加量が、0.001〜1kgである請求項1〜10のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  12. 前記有機溶媒の留去を真空熱処理により50〜200℃の温度で1〜4時間で行う請求項1〜11のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法で製造された多硫化物複合体から硫黄を除去することを含む硫化リチウム複合体の製造方法。
  14. 前記多硫化物複合体を、真空熱処理により、150〜500℃の温度で2〜10時間処理する請求項13に記載の硫化リチウム複合体の製造方法。
  15. 請求項1〜12のいずれかに記載の多硫化物複合体の製造方法で製造された多硫化物複合体と硫化物固体電解質とからなる正極合材。
  16. 請求項13又は14に記載の硫化リチウム複合体の製造方法で製造された硫化リチウム複合体と硫化物固体電解質とからなる正極合材。
  17. 前記硫化物固体電解質が、Li、P及びSを含む硫化物固体電解質である請求項15又は16に記載の正極合材。
  18. 前記硫化物固体電解質が、少なくともLiSとPを原料とする硫化物固体電解質である請求項17に記載の正極合材。
  19. 前記硫化物固体電解質の原料として用いるLiSとPのモル比がLiS:P=60:40〜82:18の範囲内である請求項18に記載の正極合材。
  20. 前記多硫化リチウム複合体又は硫化リチウム複合体、前記導電助剤及び前記硫化物固体電解質の重量比が、10〜80:10〜50:10〜80の範囲内である請求項15〜19のいずれかに記載の正極合材。
  21. 請求項15〜20のいずれかに記載の正極合材からなる正極合材層と硫化物固体電解質からなる電解質層を含む全固体電池。
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