JP2019192591A - 電極搬送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】上流側のコンベアから下流側のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができ、下流側のコンベアに対する電極の吸着位置の変動を抑制できる電極搬送装置を提供する。【解決手段】気体供給部110は、領域E1にて、コンベア48Aの上面48Aa側の電極20Aに下方から上方へ向けて気体を供給する。電極20Aは、気体供給部110から供給された気体の圧力によって上側へ浮き上がり、吸着コンベア46Aに近付く。そして、電極20Aは、吸着コンベア46Aに吸着されることで、吸着コンベア46Aへ移し替えられる。これにより、吸着コンベア46Aに対する電極20Aの吸着位置をコントロールすることができる。【選択図】図5
Description
本発明は、電極搬送装置に関する。
従来、電極を搬送する電極搬送装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この電極搬送装置は、搬送方向における上流側のコンベアで電極を搬送し、下流側のコンベアに電極を移し替える。下流側のコンベアは、上流側のコンベアと直交する方向へ、電極を搬送する。下流側のコンベアが上流側のコンベアから電極を受け取る箇所には、電極を下流側のコンベアの搬送方向へスムーズに移動させるために、湾曲したガイドレールが設けられている。
ここで、特許文献1の電極搬送装置では、上流側のコンベアから下流側のコンベアへ電極を移し替える時に、電極が互いに直交する方向への力を受ける。このような力が作用することで、電極の姿勢が乱れやすくなる場合がある。このような問題を解決するために、下流側のコンベアが、上流側のコンベアの電極を吸着して受け取る構成を採用することができる。しかしながら、下流側のコンベアの吸着力は、電極の仕様の違いや、下流側のコンベアに吸着されている電極の枚数によって変動する場合がある。従って、このような構成では、吸着力の変動によって、電極の下流側のコンベアへの吸着位置が変動してしまう。
本発明は、上流側のコンベアから下流側のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができ、下流側のコンベアに対する電極の吸着位置の変動を抑制できる電極搬送装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る電極搬送装置は、金属箔の少なくとも片面に活物質層を有する電極を搬送する電極搬送装置であって、上面側に電極を配置させて搬送する第1のコンベアと、第1のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、下面側で電極を吸着して搬送する第2のコンベアと、第1のコンベアの上面側の電極に気体を供給する気体供給部と、を備え、第2のコンベアは、第1のコンベアと交差する方向へ電極を搬送し、気体供給部は、上下方向から見て第1のコンベアと第2のコンベアとが重なる領域にて、第1のコンベアの上面側の電極に下方から上方へ向けて気体を供給する。
この電極搬送装置は、上面側に電極を配置させて搬送する第1のコンベアと、第1のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、下面側で電極を吸着して搬送する第2のコンベアと、を備える。第2のコンベアは、第1のコンベアと交差する方向へ電極を搬送する。このような構成により、第1のコンベアの上面側で搬送されている電極は、上下方向から見て第1のコンベアと第2のコンベアとが重なる領域にて、第2のコンベアの下面側に吸着される。これにより、電極は第1のコンベアから第2のコンベアへ移し替えられ、第1のコンベアと交差する方向へ搬送される。ここで、気体供給部は、上下方向から見て第1のコンベアと第2のコンベアとが重なる領域にて、第1のコンベアの上面側の電極に下方から上方へ向けて気体を供給する。電極は、気体供給部から供給された気体の圧力によって上側へ浮き上がり、第2のコンベアに近付く。そして、電極は、第2のコンベアに吸着されることで、第2コンベアへ移し替えられる。これにより、第2のコンベアに対する電極の吸着位置をコントロールすることができる。以上により、上流側の第1のコンベアから下流側の第2のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができ、下流側の第2のコンベアに対する電極の吸着位置の変動を抑制できる。
電極搬送装置において、第1のコンベアの幅方向における中央側に第1のコンベアの搬送方向に延びるスリットが形成され、気体供給部はスリットに気体を供給可能な位置に配置され、第1のコンベアの搬送方向に沿って気体の供給位置の位置調整が可能であってよい。この場合、気体供給部が電極に気体を供給する位置を搬送方向において調整することができる。従って、気体供給部は、電極の仕様などに合わせて、適切な位置で気体を供給することができる。
電極搬送装置において、第1のコンベアは一対設けられ、一方の第1のコンベアで搬送された電極と、他方の第1のコンベアで搬送された電極は、合流部で合流し、合流部は、一対の第1のコンベアに対してそれぞれ設けられた一対の第2のコンベアによって構成されてよい。例えば、合流部が一つの第2のコンベアで構成されている場合、二つの第1のコンベアからの電極を吸着する。従って、吸着する電極の枚数の変動が大きくなるため、吸着力の変動が大きくなる。それに対し、合流部が、一対の第1のコンベアに対してそれぞれ設けられた一対の第2のコンベアによって構成されることで、一つ当たりの第2のコンベアに吸着される電極の枚数の変動を抑制することができる。これにより、吸着力の変動を抑制できる。
電極搬送装置において、第1のコンベアと第2のコンベアとの間の上下方向のギャップの大きさは、第2のコンベアの吸着力のみでは、第1のコンベア上の電極を吸着できない大きさに設定されてよい。これにより、第2のコンベアの吸着力のみによって電極が移し替えられることで、電極の第2のコンベアに対する吸着位置が変動することを抑制できる。
本発明によれば、上流側のコンベアから下流側のコンベアへ電極を適切な状態にて移し替えることができ、下流側のコンベアに対する電極の吸着位置の変動を抑制できる電極搬送装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る電極搬送装置が採用された電極製造装置を適用して製造される電極を用いた蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。また、電極組立体3の積層方向において、電極組立体3のガタツキを低減するために、電極組立体3とケース2との間の隙間に、数枚のスペーサが配置されている。スペーサの枚数は、電極組立体3の厚みに応じて適宜調整される。
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まず、帯状の金属箔に活物質層(正しくは活物質層前駆体)が形成されたシート部材を製作する。次に、シート部材を所定の形状に切断し、セパレータ付き正極11及び負極9を製作する。セパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を形成する。この積層体を加圧することでセパレータ付き正極11及び負極9を密着させた後、セパレータ付き正極11及び負極9をテープ等で固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
次に、図3を参照して、本発明の実施形態に係る電極搬送装置50を備えた電極製造装置100について説明する。図3は、電極製造装置100の構成を示す平面図である。電極製造装置100は、金属箔の少なくとも片面に活物質層を有する電極20を製造する装置である。電極製造装置100は、電極20の材料となる部材を搬送方向へ搬送しながら、電極20を製造する。なお、電極製造装置100が製造する電極20は正極8及び負極9のいずれであってもよい。また、電極20は、後述のプレス部でプレスされることによって完成するものである。ただし、ここでは説明を容易とするために、プレスされる前の部材であっても、切断部で電極20の形状に形成されたものは「電極20」と称するものとする。
図3に示すように、電極製造装置100は、搬送方向における上流側から順に、切断部21と、分岐部22と、を備える。また、電極製造装置100は、分岐部22から分岐した一方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、搬送路23Aと、プレス部24Aと、搬送路26Aと、を備える。電極製造装置100は、分岐部22から分岐した他方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、搬送路23Bと、プレス部24Bと、搬送路26Bと、を備える。また、電極製造装置100は、搬送路26Aと搬送路26Bとを合流させる合流部27を備える。
切断部21は、例えば、一対のローラを備えたロータリーダイカット方式の切断装置として構成されている。帯状のシート部材30は、当該シート部材30の長手方向に、切断部21の一対のローラ間を通過するように搬送される。一対のローラにはシート部材30を所望の形状に切断する刃部が形成されている。従って、一対のローラは、シート部材30を挟み込んで、当該シート部材30を切断する。切断部21は、帯状のシート部材30を切断することで、電極20を形成する。切断部21は、シート部材30を切断し、当該シート部材30の長手方向、すなわちローラの回転軸が延びる方向と直交する送出方向へ送出することで、電極20を形成する。ただし、切断部21は電極20を形成できる限り、ロータリーダイカット方式以外の構造を有していてもよい。
切断部21は、送出方向と直交する方向に配列された電極20A及び電極20Bを形成する。すなわち、切断部21は、帯状のシート部材30から、短手方向に二枚分の電極20を切り出す、いわゆる「二条取り」の切断を行う。切断部21は、帯状のシート部材30を短手方向において電極20の二枚分の大きさ及び形状に切断する。また、切断部21は、帯状のシート部材30を長手方向において電極20の一枚分のピッチ毎に切断する。
なお、水平方向における一の方向に対して「X軸」を設定し、水平方向においてX軸と直交する方向に対して「Y軸」を設定する。シート部材30が送られる方向がX軸方向に対応し、シート部材30の送り方向における上流側がX軸方向の正側に対応する。X軸方向と直交する方向がY軸方向に対応し、当該Y軸方向の一方がY軸方向の正側に対応する。以降の説明においては、「X軸」、「Y軸」を用いて説明を行う場合がある。
ここで、図4を参照して、電極20について説明する。図4に示すように、電極20は、短手方向に互いに対向する縁部20a,20bと、長手方向に対向する縁部20c,20dと、を備える矩形状の形状を有する。縁部20a,20bと縁部20c,20dとは互いに直交する。電極20の縁部20a側には金属箔が露出する活物質層20gの未塗工部が形成される。未塗工部は、縁部20aから突出するタブ20fを有する。なお、電極20の形状については、短手方向と長手方向が逆であってもよい。また、未塗工部はタブ20fのみならず、縁部20a側の一部が未塗工部となっていてもよい。
図3に戻り、切断部21から送出された直後の状態では、電極20Bは、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する姿勢である。また、電極20Aは、電極20BのY軸方向の負側に配置されており、且つ、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。
分岐部22は、切断部21から送出された電極20A及び電極20Bを搬送路23A及び搬送路23Bへ分岐させる。分岐部22は、下面で電極20A,20Bを吸着した状態で搬送する吸着コンベア31によって構成される。吸着コンベア31は、電極20A,20Bを二列に配列されたままの状態でX軸方向へ搬送するように、X軸方向へ延びる。
吸着コンベア31は、搬送方向における一部において、搬送路23Aと重なっている。すなわち、吸着コンベア31の下方に搬送路23Aの一部が配置される。搬送路23Aは、吸着コンベア31の幅方向(Y軸方向)の縁部のうち、電極20Aが配置される側のY軸方向の負側の縁部31bまで延びている。吸着コンベア31は、切断部21から搬送した電極20Aを搬送路23Aの位置で落下させることで、当該搬送路23Aに電極20Aを移し替える。吸着コンベア31は、搬送方向における一部であって、搬送路23Aと搬送方向において異なる位置において、搬送路23Bと重なっている。すなわち、吸着コンベア31の下方に搬送路23Bの一部が配置される。搬送路23Bは、吸着コンベア31の幅方向(Y軸方向)の縁部のうち、電極20Bが配置される側のY軸方向の正側の縁部31aまで延びている。吸着コンベア31は、切断部21から搬送した電極20Bを搬送路23Bの位置で落下させることで、当該搬送路23Bに電極20Bを移し替える。
搬送路23Aは、分岐部22からプレス部24Aへ電極20Aを搬送する経路である。搬送路23Aは、搬送部32Aと、搬送部36Aと、方向転換部39Aと、を備える。搬送部32Aは、分岐部22からY軸方向の正側へ向かって延びる。搬送部36Aは、搬送部32Aの下流側の端部からプレス部24Aへ向かってX軸方向の負側へ向かって延びる。方向転換部39Aは、搬送部32Aと搬送部36Aとの間で電極20Aの方向転換を行う。
搬送部32Aは、搬送方向の上流側から順に、位置決め部33Aと、コンベア34Aと、を備える。分岐部22から電極20Aを受け取る部分には、位置決め部33Aが設けられている。なお、搬送部32Aでは、電極20Aは、Y軸方向の負側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
位置決め部33Aは、搬送方向と直交する方向に対する電極20Aの位置決めを行う。位置決め部33Aは、X軸方向の電極20Aの位置決めを行った後、Y軸方向の正側へ電極20Aを搬送し、コンベア34Aへ送る。本実施形態では、位置決め部33Aは、複数の搬送ローラ33aと、規制部33bと、を備える。
複数の搬送ローラ33aは、電極20Aを搬送方向へ搬送するものであり、搬送方向へ並べられている。搬送ローラ33aは、当該搬送ローラ33aを回転させるための駆動部(不図示)が設けられている。複数の搬送ローラ33aの一部は、X軸方向における正側の端部が、搬送方向における上流側へ位置するように、X軸方向に対して傾斜する。上流側に配置された搬送ローラ33aの傾斜が大きく、下流側に配置される搬送ローラ33aほど傾斜が小さくなっている。このような構成により、搬送ローラ33a上の電極20Aは、搬送方向に搬送されながら、X軸方向の正側へ寄せられる。
規制部33bは、搬送ローラ33aに対して、X軸方向における正側に配置され、電極20AのX軸方向における正側への移動を規制する。これにより、搬送ローラ33aによってX軸方向の正側へ寄せられた電極20Aは、規制部33bによってX軸方向への移動を規制される。規制部33bは、搬送ローラ33aから上方へ立ち上がるように設けられる。これにより、電極20Aの縁部が規制部33bに当接し、当該縁部がY軸方向に平行に位置決めされる。なお、規制部33bは、少なくとも搬送ローラ33aがX軸方向に対して傾斜している領域に設けられていればよい。
搬送部36Aは、搬送方向の上流側から順に、コンベア37Aと、位置決め部38Aと、を備える。位置決め部38Aは、X軸方向の負側へ電極20Aを搬送し、Y軸方向の正側で電極20Aを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部36Aでは、電極20Aは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
方向転換部39Aは、搬送方向の方向転換を行うことで、プレス部24Aに対する電極20Aの向きを変更する。方向転換部39Aは、Y軸方向に搬送される電極20Aの搬送方向を、X軸方向へ転換する。方向転換部39Aは、90°の円弧を描くように湾曲する搬送路を形成する。方向転換部39Aは、湾曲する搬送路に対する電極20Aの角度を略一定に保ちながら、電極20Aを搬送する。従って、電極20Aのプレス部24Aの回転軸方向に対する角度は、方向転換部39Aに搬送されるに従って徐々に変化し、方向転換部39Aの前後で約90°変化する。これにより、方向転換部39Aは、当該方向転換部39Aの通過前後において、プレス部24Aに対する電極20Aの向きを変更することができる。方向転換部39Aの構成は特に限定されない。例えば、方向転換部39Aは、90°の円弧を描く軌道を有するカーブコンベアによって構成されてよい。
方向転換部39Aは、コンベア34AによりY軸方向の正側へ搬送される電極20Aの搬送方向を、X軸方向の負側へ転換し、コンベア37Aへ受け渡す。電極20Aは、方向転換部39Aの上流側では、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。電極20Aは、方向転換部39Aの下流側では、タブ20fがX軸方向の正側へ突出する姿勢である。
プレス部24Aは、電極20Aをプレスする。プレス部24Aは、一対のプレスローラと、プレスローラを駆動する駆動装置と、を備える。プレス部24Aは、電極20Aを一対のプレスローラでプレスする。一対のプレスローラは、電極20Aの搬送経路上に配置され、互いに平行な状態で上下方向に配置されている。また、一対のプレスローラの回転軸は、Y軸方向に平行に延びている。電極20Aは、一対のプレスローラ間を通過することにより、プレスされる。また、駆動装置は、プレスローラの軸心の延長線上で、電極20Aの搬送経路より外れる位置に配置される。
搬送路26Aは、プレス部24Aから合流部27へ電極20Aを搬送する経路である。搬送路26Aは、搬送部41Aと、搬送部42Aと、方向転換部43Aと、を備える。搬送部41Aは、プレス部24AからX軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部41Aは、コンベア47Aによって構成される。搬送部42Aは、搬送部41Aの下流側の端部から合流部27へ向かってY軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部42Aは、コンベア(第1のコンベア)48Aによって構成される。方向転換部43Aは、搬送部41Aと搬送部42Aとの間で電極20Aの方向転換を行う。方向転換部43Aは、搬送方向以外は、前述の方向転換部39Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部41Aでは、電極20Aは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。搬送部42Aでは、電極20Aは、Y軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
搬送路23Bは、分岐部22からプレス部24Bへ電極20Bを搬送する経路である。搬送路23Bは、搬送部32Bと、搬送部36Bと、方向転換部39Bと、を備える。搬送部32Bは、分岐部22からY軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部36Bは、搬送部32Bの下流側の端部からプレス部24Bへ向かってX軸方向の負側へ向かって延びる。方向転換部39Bは、搬送部32Bと搬送部36Bとの間で電極20Bの方向転換を行う。
搬送部32Bは、搬送方向の上流側から順に、位置決め部33Bと、コンベア34Bと、を備える。分岐部22から電極20Bを受け取る部分には、位置決め部33Bが設けられている。位置決め部33Bは、Y軸方向の負側へ電極20Bを搬送し、X軸方向の正側で電極20Bを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部32Bでは、電極20Bは、Y軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
搬送部36Bは、搬送方向の上流側から順に、コンベア37Bと、位置決め部38Bと、を備える。位置決め部38Bは、X軸方向の負側へ電極20Bを搬送し、Y軸方向の負側で電極20Bを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部36Bでは、電極20Bは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
プレス部24Bは、電極20Bをプレスする。プレス部24Bは、一対のプレスローラを備える。プレス部24Bは、プレス部24Aと同趣旨の構成を有する。
搬送路26Bは、プレス部24Bから合流部27へ電極20Bを搬送する経路である。搬送路26Bは、搬送部41Bと、搬送部42Bと、方向転換部43Bと、を備える。搬送部41Bは、プレス部24BからX軸方向の負側へ向かって延びる。搬送部41Bは、コンベア47Bによって構成される。搬送部42Bは、搬送部41Bの下流側の端部から合流部27へ向かってY軸方向の正側へ向かって延びる。搬送部42Bは、コンベア(第1のコンベア)48Bによって構成される。方向転換部43Bは、搬送部41Bと搬送部42Bとの間で電極20Bの方向転換を行う。方向転換部43Bは、搬送方向以外は、前述の方向転換部39Aと同趣旨の構成を有する。なお、搬送部41Bでは、電極20Bは、X軸方向の正側へタブ20fが突出した状態で搬送される。搬送部42Bでは、電極20Bは、Y軸方向の負側へタブ20fが突出した状態で搬送される。
合流部27は、搬送路26Aと搬送路26Bとが合流する部分である。合流部27は、搬送路26Aで搬送された電極20A及び搬送路26Bで搬送された電極20Bを合流させる。合流部27は、下面で電極20A,20Bを吸着した状態で搬送する一対の吸着コンベア(第2のコンベア)46A,46Bによって構成される。吸着コンベア46A,46Bは、Y軸方向に並べられた状態で、電極20A,20BをX軸方向の負側へ搬送するように、X軸方向へ延びる。吸着コンベア46AがY軸方向の正側に配置され、吸着コンベア46BがY軸方向の負側に配置される。
吸着コンベア46Aは、X軸方向の正側の端部付近において、Y軸方向の正側の縁部46Aaの下方から潜り込んできた搬送路26Aと重なっている。すなわち、吸着コンベア46Aの下方に搬送路26Aの一部が配置される。吸着コンベア46Aは、搬送路26A上の電極20Aを下面で吸着することで、吸着コンベア46Aへ電極20Aを移し替える。吸着コンベア46Bは、X軸方向の正側の端部付近であって、Y軸方向の負側の縁部46Baの下方から潜り込んできた搬送路26Bと重なっている。すなわち、吸着コンベア46Bの下方に搬送路26Bの一部が配置される。吸着コンベア46Bは、搬送路26B上の電極20Bを下面で吸着することで、吸着コンベア46Bへ電極20Bを移し替える。
吸着コンベア46A,46Bは、吸着した電極20A,20BをX軸方向の負側へ搬送する。このとき、電極20Aは、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する姿勢である。電極20Bは、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。吸着コンベア46A,46Bに搬送された電極20A,20Bは、吸着コンベア46A,46Bの下流側に配置された位置決め部49A,49Bに移し替えられる。位置決め部49Aは、X軸方向の負側へ電極20Aを搬送し、Y軸方向の負側で電極20Aを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。位置決め部49Bは、X軸方向の負側へ電極20Bを搬送し、Y軸方向の正側で電極20Bを規制する点を除き、位置決め部33Aと同趣旨の構成を有する。
次に、図4〜図6を参照して、本実施形態に係る電極搬送装置50について詳細に説明する。図4は、電極搬送装置50を示す概略平面図である。図5は、電極搬送装置50を示す概略側面図である。図5は、図4に示す電極搬送装置50の一部をY軸方向の負側から正側へ向かって見た様子を示す。図6は、コンベア48Aの拡大平面図である。図6では、吸着コンベア46Aが省略されている。電極搬送装置50は、前述の搬送路26A,26Bの搬送部42A,42Bと、合流部27と、位置決め部49A,49Bと、を備えている。なお、説明を容易とするため、図4〜図6では、合流部27のうち、電極20Aを搬送する吸着コンベア46Aのみを示し、コンベア48A及び位置決め部49Aのみを示している。ただし、電極搬送装置50は、コンベア48B側においても、コンベア48A側と同趣旨の構成が設けられており、同趣旨の作用・効果を得ることができる。
搬送部42Aのコンベア48Aは、上面48Aa側に電極20Aを配置させて搬送する。コンベア48Aは、搬送方向(Y軸方向)における両端側に配置される少なくとも一対のローラと、当該ローラに架け渡される無端のベルト105,106と、を備えている。コンベア48Aは、一対のローラの上端部間に架け渡される部分のベルト105,106の上面48Aaに、電極20Aを配置させる。コンベア48Aは、吸着コンベア46Aの縁部46Aaから、当該吸着コンベア46Aの下面側に潜り込んでいる。
これにより、上下方向から見て、吸着コンベア46Aには、コンベア48Aと重なる領域E1が形成される。縁部46Aaとコンベア48Aの搬送方向の下流側(Y軸方向の負側)の端部48Abとの間の大きさ、すなわち領域E1のY軸方向における大きさは、電極20Aの縁部20bとタブ20f先端との間の寸法よりも大きい。領域E1のX軸方向における大きさは、コンベア48Aの幅方向の大きさと等しい。
図5に示すように、吸着コンベア46Aは、搬送方向(X軸方向)における両端側に配置される少なくとも一対のローラ51と、当該ローラ51に架け渡される無端のベルト52と、を備えている。ベルト52は、一対のローラ51の上端部側に架け渡される架渡し部分52aと、一対のローラ51の下端部側に架け渡される架渡し部分52bと、を有する。吸着コンベア46Aは、ベルト52の下端側の架渡し部分52bの下面46Adに、電極20Aを吸着させる。ベルト52は、ローラ51の回転駆動に伴って循環する。ローラ51は、ベルト52の下端側の架渡し部分52bが搬送方向へ移動するように駆動する。これにより、ベルト52の下面46Adに吸着された電極20Aは、ベルトの下端側の架渡し部分52bの移動に伴って、搬送方向へ搬送される。
ここで、吸着コンベア46Aは、ベルト52の上端側の架渡し部分52aと下端側の架渡し部分52bとの間に、吸引ボックス53を備える。吸引ボックス53は、下面側に開口53aを備える。吸引ボックス53は、別途外部に配置された真空ポンプ又はブロワと管路で接続されることで、開口53aよりエアを吸引する。一方、ベルト52には、略全面にわたって複数の貫通孔が形成されている。従って、吸着コンベア46Aの下面46Adは、吸引ボックス53によるエアの吸引により、複数の貫通孔を介して吸着力を発生する。吸着コンベア46Aは、少なくとも電極20Aが通過し得る箇所に対して設けられる。
コンベア48Aと吸着コンベア46Aとの間の上下方向のギャップGPの大きさは、吸着コンベア46Aの吸着力のみでは、コンベア48A上の電極20Aを吸着できない大きさに設定されている。このときの吸着力は、電極20Aの一部ではなく、全面に対して作用しているものとする。ギャップGPの大きさは、コンベア48Aの上面48Aaと、吸着コンベア46Aの下面46Adとの間の上下方向における寸法である。
図4及び図5に示すように、吸着コンベア46Aは、上下方向から見てコンベア48Aと重なる領域E1の一部に、電極20Aの吸着が抑制又は停止された非吸着部56を有する。非吸着部56は、吸着面である下面46Adの吸着力が他の部分に比して低い、又は吸着力が発生していない領域である。非吸着部56は、例えば、当該非吸着部56に対応する位置において、吸引ボックス53の開口53aを遮断部材57で塞ぐ事によって構成されてよい。吸引ボックス53の開口53aが遮断部材57で塞がれることで、当該塞がれた部分では、吸引ボックス53によるエアの吸引が行われない。従って、当該部分における下面46Adでは、吸引ボックス53の吸引に伴う吸着力が発生しない。
なお、非吸着部56を構成するための方法は特に限定されない。例えば、吸着コンベア46Aに対して複数個に分割された吸引ボックス53が設けられている場合、対応部分における吸引ボックス53を省略することによって、非吸着部56を構成してもよい。これにより、非吸着部56では、吸引ボックス53による吸引が行われないため、下面46Adでの吸着力が発生しない。なお、遮断部材57に開口53aより開口面積の小さな貫通孔が形成されることで、非吸着部56での吸引ボックス53の吸引力を低減してもよい。この場合、非吸着部56の下面46Adでの吸着力が、遮断部材57が設けられていない箇所での吸着力に比して低い。
本実施形態では、非吸着部56は、電極20Aのタブ20fに対応する位置に形成される。電極20Aは、Y軸方向の正側から領域E1へ移動してくるため、タブ20fは、縁部46Aaを通過して、当該縁部46AaからY軸方向の負側へ所定距離だけ離間した位置まで移動する。従って、非吸着部56は、Y軸方向において、縁部46Aaから吸着コンベア46Aの略中央位置あたりまで延びている。非吸着部56は、少なくともタブ20fが通過する位置には形成されている。タブ20fは一部分だけ突出した小片であるため、吸着コンベア46Aの吸着力によって、先発して上側へ屈曲してしまい易い部分である。従って、タブ20fが通過する部分に非吸着部56を設けることで、タブ20fが屈曲してしまうことを抑制できる。非吸着部56は、X軸方向においては、コンベア48Aの幅方向の中央位置付近よりもX軸方向の正側の領域に形成されている。なお、吸着コンベア46Aに対する非吸着部56の範囲は特に限定されず、例えばX軸方向に更に狭くしてもよい。また、非吸着部56は、吸着コンベア46Aから省略されてもよい。
図5及び図6に示すように、コンベア48Aの幅方向(ここではX軸方向)における中央側にコンベア48Aの搬送方向(ここではY軸方向)に延びるスリットSTが形成される。スリットSTの形成方法は特に限定されない。例えば、コンベア48Aが一対のベルト105,106を備え、各ベルト105,106をコンベア48Aの幅方向に互いに離間するように配置する。これにより、ベルト105,106間にスリットSTが形成される。なお、ベルト105,106の搬送方向における両端部は、共通のローラで支持されていてもよく、互いに同期して回転する個別のローラでそれぞれ支持されてもよい。なお、図5では、スリットST内の様子を示すために、ローラは、ベルト105,106をそれぞれ個別に支持するものとする。
電極搬送装置50は、コンベア48Aの上面48a側の電極20Aに気体を供給する気体供給部110を備える。気体供給部110は、領域E1にて、コンベア48Aの上面48aの電極20Aに下方から上方へ向けて気体を供給する。気体供給部110は、電極20Aの下面(上面48aに載置される面)に対して気体を吹き付けることによって、電極20Aに対して上側へ向かう圧力を付与する。これにより、電極20Aは上側へ浮き上がり、吸着コンベア46Aに吸着される。
気体供給部110は、先端から気体を噴出するノズルによって構成される。気体供給部110のノズルには、図示されない気体輸送管が接続されている。気体供給部110は、気体としてエアを吹き付けるが、気体の種類は特に限定されず、他の不活性ガスなどを吹き付けてもよい。気体供給部110は、スリットSTの位置に配置される。スリットSTは、コンベア48Aの幅方向(X軸方向)の中央位置に形成されているため、気体供給部110は、電極20Aの中央位置付近に気体を吹き付けることができる。従って、電極20Aは、バランスの良い姿勢で上側へ浮き上がることができる。気体供給部110の先端は、スリットSTの中において、上面48Aaから下方へ離間した位置に配置される。なお、気体供給部110の先端は、スリットSTの外であって、コンベア48の下面よりも下方に配置されていてもよい。この場合、気体供給部110と電極20Aの距離が離れるため、気体供給部110の気体の圧力を高くする。
気体供給部110は、コンベア48Aの搬送方向(Y軸方向)に沿って位置調整が可能である。気体供給部110は、当該気体供給部110をY軸方向へ移動させる移動機構111に接続されている。移動機構111は、気体供給部110をY軸方向へスライド移動させるスライダ機構や、気体供給部110を往復移動させるピストン機構などによって構成されてよい。これにより、電極20Aの仕様に合わせて、気体供給部110のY軸方向の位置を調整することができる。なお、気体供給部110は、電極20に対し、気体が作用する位置を、搬送方向、すなわち本実施形態においてはスリットSTに沿った方向で調整可能であればよい。従って、例えば、気体供給部110のノズルの角度を調整可能とし、ノズルの位置をコンベア48Aの搬送面より低く配置することで、ノズルの角度により調整可能としてもよい。また、ノズルは、Y軸方向の位置とノズルの角度との両方が、調整可能であってもよい。
図4に示すように、気体供給部110のY軸方向における位置は、電極20Aが吸着コンベア46Aに対する吸着目標位置に到達したときに、当該電極20Aに対して気体を供給することができる位置に設定される。吸着目標位置とは、コンベア48A上の電極20Aを吸着コンベア46Aに吸着させるための目標となる位置である。なお、図4において、領域E1内の電極20Aが配置されている位置が、吸着目標位置である。気体供給部110は、吸着目標位置に到達した電極20Aに対して、縁部20b付近に気体を供給する。縁部20bは、コンベア48Aの搬送方向の下流側(Y軸方向の負側)の縁部に該当する。このときの気体供給部110は、非吸着部56の外側で気体を供給する。
仮に、気体供給部110が搬送方向の上流側(Y軸方向の正側)の縁部20a付近に気体を供給する位置に配置された場合、縁部20b付近の部分は、吸着目標位置に到達する前に気体供給部110から気体を供給される。この場合、気体の圧力を良好に調整しなくては、電極20Aが吸着目標位置に到達する前に吸着コンベア46Aに吸着される。それに対し、気体供給部110が縁部20b付近に気体を供給する場合、電極20Aは吸着目標位置付近に到達した時点で初めて気体の圧力を付与される。従って、電極20Aを正確に吸着目標位置に吸着させることができる。この際、気体供給部110は、演算の負荷を低減するために、電極20Aの搬送のタイミングなどにはよらず、電極搬送装置50の運転中は、常時気体を噴出している。なお、気体供給部110は、電極20Aが吸着目標位置に到達したタイミングを検知して、当該タイミングで気体を噴出してもよい。この場合、気体供給部110のY軸方向の配置はどのように設定してもよく、吸着目標位置の電極20Aの中央位置に気体を供給してもよく、縁部20a付近に供給してもよい。
次に、本実施形態に係る電極搬送装置50の作用・効果について説明する。
まず、図9を参照して、比較例に係る電極搬送装置について説明する。図9に示す比較例に係る電極搬送装置250は、コンベア48Aの下流側に、当該コンベア48Aと直交する方向へ延びるコンベア227を有している。コンベア227は、コンベア48Aと同様に、上面側に電極20Aを配置して搬送する。この電極搬送装置250においては、電極20Aがコンベア48Aからコンベア227へ移し替えられるときに、各コンベア48A,227から互いに異なる方向へ向かう力を付与される。これによって、電極20Aが平面内で回転することで、電極20Aの姿勢が乱れるという問題が生じ得る。
更なる比較例として、図4に示す電極搬送装置50から気体供給部110を取り除いたものについて説明する。この場合、電極20Aがコンベア48Aから吸着コンベア46Aへ移し替えられるときに、電極20Aは吸着コンベア46Aの吸着力のみによって、上側へ浮き上がり、吸着される。ここで、上述のように、吸着コンベア46Aの下面46Adは、吸引ボックス53によるエアの吸引により、複数の貫通孔を介して吸着力を発生する(図5参照)。従って、電極20Aの大きさなどによって、吸着コンベア46Aから受ける吸着力は変動する。また、吸着コンベア46Aに吸着されている電極20Aの枚数が多くなると、一部の貫通孔が塞がれることとなるため、他の部分の貫通孔の吸着力が高くなる。このように、吸着コンベア46Aに吸着されている電極20Aの枚数により、吸着コンベア46Aの吸着力が変動する。従って、比較例に係る電極搬送装置では、電極20Aの仕様の違いや、下流側の吸着コンベア46Aに吸着されている電極20Aの枚数によって下流側の吸着コンベア46Aの吸着力が変動することなどにより、電極20Aの吸着コンベア46Aへの吸着位置が変動してしまう。例えば、吸着力が大きいときは、電極20Aは、吸着コンベア46Aに潜り込んでから速やかに吸着され、吸着力が小さいときは、電極20Aが吸着されるタイミングが遅くなる。
これに対し、電極搬送装置50は、上面48Aa側に電極20Aを配置させて搬送するコンベア48Aと、コンベア48Aの搬送方向における下流側(Y軸方向の負側)に設けられ、下面46Ad側で電極20Aを吸着して搬送する吸着コンベア46Aと、を備える。吸着コンベア46Aは、コンベア48Aと直交する方向へ電極20Aを搬送する。このような構成により、コンベア48Aの上面48a側で搬送されている電極20Aは、上下方向から見てコンベア48Aと吸着コンベア46Aとが重なる領域E1にて、吸着コンベア46Aの下面46Ad側に吸着される。これにより、電極20Aはコンベア48Aから吸着コンベア46Aへ移し替えられ、コンベア48Aと直交する方向(X軸方向の負側)へ搬送される。ここで、気体供給部110は、領域E1にて、コンベア48Aの上面48Aa側の電極20Aに下方から上方へ向けて気体を供給する。電極20Aは、気体供給部110から供給された気体の圧力によって上側へ浮き上がり、吸着コンベア46Aに近付く。この際、電極20Aは、気体を吹き付けられるため、表面の活物質層にダメージが与えられることなく、浮き上がることができる。そして、電極20Aは、吸着コンベア46Aに吸着されることで、吸着コンベア46Aへ移し替えられる。これにより、吸着コンベア46Aに対する電極20Aの吸着位置をコントロールすることができる。以上により、上流側のコンベア48Aから下流側の吸着コンベア46Aへ電極20Aを適切な状態にて移し替えることができ、下流側の吸着コンベア46Aに対する電極20Aの吸着位置の変動を抑制できる。
電極搬送装置50において、コンベア48Aの幅方向(X軸方向)における中央側にコンベア48Aの搬送方向(Y軸方向)に延びるスリットSTが形成され、気体供給部110はスリットSTに気体を供給可能な位置に配置され、コンベア48Aの搬送方向に沿って気体の供給位置の位置調整が可能である。この場合、気体供給部110が電極20Aに気体を供給する位置を搬送方向において調整することができる。従って、気体供給部110は、電極20Aの仕様などに合わせて、適切な位置で気体を供給することができる。
電極搬送装置50において、一対のコンベア48A,48Bが設けられ、一方のコンベア48Aで搬送された電極20Aと、他方のコンベア48Bで搬送された電極20Bは、合流部27で合流し、合流部27は、一対のコンベア48A,48Bに対してそれぞれ設けられた一対の吸着コンベア46A,46Bによって構成されている。例えば、合流部27が一つの吸着コンベアで構成されている場合、二つのコンベア48A,48Bからの電極20A,20Bを吸着する。従って、吸着する電極20A,20Bの枚数の変動が大きくなるため、吸着力の変動が大きくなる。それに対し、合流部27が、一対のコンベア48A,48Bに対してそれぞれ設けられた一対の吸着コンベア46A,46Bによって構成されることで、一つ当たりの吸着コンベアに吸着される電極20の枚数の変動を抑制することができる。これにより、吸着力の変動を抑制できる。
電極搬送装置50において、コンベア48Aと吸着コンベア46Aとの間の上下方向のギャップGPの大きさは、吸着コンベア46Aの吸着力のみでは、コンベア48A上の電極20Aを吸着できない大きさに設定される。これにより、吸着コンベア46Aの吸着力のみによって電極20Aが移し替えられることで、電極20Aの吸着コンベア46Aに対する吸着位置が変動することを抑制できる。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態又は上記変形例に限定されない。
例えば、上述の実施形態では、一つの気体供給部110が設けられていたが、複数の気体供給部110が設けられてもよい。
例えば、図7に示すような電極搬送装置50を採用してもよい。図7に示す電極搬送装置50では、吸着コンベア46Aが、吸着目標到達位置に到達するまでの間にタブ20fが通過する位置と重なっていない。これにより、図4に示すような非吸着部56を設けなくとも、タブ20fに対するダメージを抑制できる。
また、図8に示すように、吸着コンベア46Aに対してタブ20f側から先に潜り込む場合であっても、タブ20fへのダメージを抑制できる構造を採用してよい。図8(a)では、タブ20fが通過する位置に非吸着部56を設けている。図8(b)では、タブ20fが通過する位置に、吸着コンベア46Aが重ならないように配置されている。図8(c)のように、タブ20fがベルト105側に配置された状態で吸着コンベア46Aに潜り込む場合、ベルト105に対応する位置に非吸着部56を設ける。
合流部27は、一対の吸着コンベア46A、46Bで構成されていたが、吸着コンベア46A,46Bを一体化したような幅広の一つの吸着コンベアによって構成してもよい。
電極製造装置の各構成要素のレイアウトは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。
例えば、上述の実施形態では、合流部27の吸着コンベア46に対して、コンベア48A,48Bが直交していた。これに代えて、吸着コンベア46に対してコンベア48A,48Bが傾斜して重なり合う構成を採用してもよい。
なお、上述の実施形態及び変形例では、シート部材から短手方向に二枚分の電極を形成する「二条取り」の装置を例示した。これに代えて、電極製造装置が、シート部材から短手方向に三枚以上の電極を形成する構成であってもよい。また、電極製造装置がシート部材から短手方向に一枚分の電極を形成してもよい。
20,20A,20B…電極、46A,46B…吸着コンベア(第2のコンベア)、48A,48B…コンベア(第1のコンベア)、50…電極搬送装置、110…気体供給部、ST…スリット、E1・・領域、GP…ギャップ。
Claims (4)
- 金属箔の少なくとも片面に活物質層を有する電極を搬送する電極搬送装置であって、
上面側に前記電極を配置させて搬送する第1のコンベアと、
前記第1のコンベアの搬送方向における下流側に設けられ、下面側で前記電極を吸着して搬送する第2のコンベアと、
前記第1のコンベアの前記上面側の前記電極に気体を供給する気体供給部と、を備え、
前記第2のコンベアは、前記第1のコンベアと交差する方向へ前記電極を搬送し、
前記気体供給部は、上下方向から見て前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとが重なる領域にて、前記第1のコンベアの前記上面側の前記電極に下方から上方へ向けて気体を供給する、電極搬送装置。 - 前記第1のコンベアの幅方向における中央側に前記第1のコンベアの前記搬送方向に延びるスリットが形成され、
前記気体供給部は前記スリットに気体を供給可能な位置に配置され、前記第1のコンベアの前記搬送方向に沿って気体の供給位置の位置調整が可能である、請求項1に記載の電極搬送装置。 - 前記第1のコンベアは一対設けられ、一方の前記第1のコンベアで搬送された前記電極と、他方の前記第1のコンベアで搬送された前記電極は、合流部で合流し、
前記合流部は、一対の前記第1のコンベアに対してそれぞれ設けられた一対の前記第2のコンベアによって構成される、請求項1又は2に記載の電極搬送装置。 - 前記第1のコンベアと前記第2のコンベアとの間の上下方向のギャップの大きさは、前記第2のコンベアの吸着力のみでは、前記第1のコンベア上の前記電極を吸着できない大きさに設定されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の電極搬送装置。
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