以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る電極検査装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線断面図である。図1及び図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まずセパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。例えば、セパレータ付き正極11の製作工程では、より具体的には、活物質層を備えた帯状の電極母材の製造が行われ、その電極母材をカットすることで、正極8の製造が行われる。製造された正極8をセパレータで包むことで、セパレータ付き正極11が製造される。
次に、図3を用いて、本発明の実施形態に係る電極振り分け装置150を備えた電極検査装置100について説明する。図3は、電極検査装置100を示す概略側面図である。なお、以降の説明においては、搬送対象となる対象物は、正極8であっても負極9であってもよい。従って、両極をいずれも含みうるものとして、搬送の対象物を電極20と称して説明する。電極20の長手方向の寸法は100〜200mmであり、短手方向の寸法は100〜200mmであり、厚さは10〜200μmとしてよい。
電極検査装置100は、電極20のカット後に、当該カット後の電極20に対して検査を行い、検査結果に基づいて振り分けを行う装置である。また、電極検査装置100で検査を終えた電極20は、搬送コンベア70で搬送されて、所定の処理装置80へ供給される。搬送コンベア70は、ベルトに所定ピッチで設けられた桟71を備えており、当該桟71で電極20を位置決めした状態で、当該電極20を処理装置80へ搬送する。電極20が正極8である場合、処理装置80は、正極8をセパレータ10で包む処理を行う装置となる。
電極検査装置100は、整列コンベア30と、吸着コンベア40と、検査部45と、吸着コンベア50と、検査部55と、吸着コンベア60と、振り分け部90と、を備える。なお、以降の説明においては、電極検査装置100が電極20を搬送する方向を「搬送方向D1」と称する。
整列コンベア30は、電極20を搬送すると共に、電極20の姿勢を調整する。整列コンベア30は、ローラ31と、規制部32と、を備える。ローラ31は、回転することによって電極20を搬送方向D1へ搬送する。また、ローラ31は、取付角度が傾斜することで、電極20を幅方向における一方側へ寄せることができる。ここでは、ローラ31は、幅方向のうち、規制部32が設けられている方向へ、電極20を寄せる。規制部32は、例えば、整列コンベア30の幅方向における一方側において、ローラ31よりも上方へ向かって立ち上がっている平面を有する側壁である。これにより、電極20は、ローラ31によって搬送方向D1へ搬送されながら幅方向の一方側へ寄せられ、規制部32と接触することによって、当該規制部32によって幅方向の位置と姿勢が調整される。なお、規制部32は、電極20が接触する平面が搬送方向に移動するベルトであってもよい。
吸着コンベア40は、電極20を上側から吸着し、当該電極20を搬送する。吸着コンベア40は、整列コンベア30の下流側の端部と対向する位置から搬送方向D1に沿って延びている。吸着コンベア40は、整列コンベア30で搬送された電極20を下面40aに吸着する。吸着コンベア40は、下面40aの裏側から吸引装置で吸引することにより、下面40aに接触した電極20を吸着することができる。吸着コンベア40は、電極20を下面40aに吸着させた状態で搬送方向D1へ向かって搬送する。
検査部45は、吸着コンベア40で搬送される電極20を下側から検査する。検査部45は、吸着コンベア40の下面40aに対して下側で対向する位置に配置されている。検査部45は、吸着コンベア40の下面40aに吸着された電極20を下方から撮像する撮像装置によって構成されてよい。検査部45は、撮像により取得したデータを不図示の制御装置に伝送する。不図示の制御装置では、撮像データを画像処理し、電極20の姿勢、形状、活物質の剥がれ、穴等の不良状態の有無を検査する。なお、検査部45の検査方法は特に限定されず、撮像に限られず、例えばX線検査などが採用されてもよい。
吸着コンベア50は、電極20を下側から上面50aで吸着し、当該電極20を搬送する。吸着コンベア50は、吸着コンベア40の下流側の端部と対向する位置から搬送方向D1に沿って延びている。吸着コンベア50は、吸着コンベア40よりも下側に設けられる。吸着コンベア50の上面50aは、吸着コンベア40の下面40aよりも下側に配置される。吸着コンベア50は、カットされた電極20を上面50aの上に載置させる。また、吸着コンベア50は、上面50aの裏側から吸引装置で吸引することにより、上面50aに接触した電極20を吸着することができる。吸着コンベア50は、電極20を上面50aに吸着させた状態で搬送方向D1へ向かって搬送する。
なお、吸着コンベア50の上流側の端部付近の上面50aと吸着コンベア40の下流側の端部付近の下面40aとは、上下方向に対向している。このような対向部分では、吸着コンベア50の上面50aと吸着コンベア40の下面40aとは、電極20が入り込める隙間をあけて互いに離間している。これにより、吸着コンベア40の下流側の端部付近まで搬送された電極20は、吸着コンベア50の上流側の端部付近の上面50aと接触する。当該対向部分では、吸着コンベア40の下面40aでの吸着が解除され、吸着コンベア50の上面50aでの吸着が行われる。従って、電極20は、吸着コンベア40から吸着コンベア50へ受け渡される。
検査部55は、吸着コンベア50で搬送される電極20を上側から検査する。検査部55は、吸着コンベア50の上面50aに対して上側で対向する位置に配置されている。検査部55は、吸着コンベア50の上面50aに載置された電極20を下方から撮像する撮像装置によって構成されてよい。検査部55は、撮像により取得したデータを不図示の制御装置に伝送する。不図示の制御装置では、撮像データを画像処理し、電極20の姿勢、形状、活物質の剥がれ、穴等の不良状態の有無を検査する。なお、検査部55の検査方法は特に限定されず、撮像に限られず、例えばX線検査などが採用されてもよい。
吸着コンベア60は、電極20を上側から下面60aで吸着し、当該電極20を搬送する。吸着コンベア40は、吸着コンベア50の下流側の端部付近の位置から搬送方向D1に沿って延びている。吸着コンベア60は、吸着コンベア50よりも上側に設けられる。吸着コンベア60の下面60aは、吸着コンベア50の上面50aよりも上側に配置される。上面50aと下面60aとの間の上下方向の寸法は、少なくとも電極20の一枚分の厚みよりも大きく設定される。吸着コンベア60は、振り分け部90にて合格品として振り分けられた電極20を下面60aに吸着する。吸着コンベア60は、下面60aの裏側から吸引装置で吸引することにより、下面60aに接触した電極20を吸着することができる。吸着コンベア60は、電極20を下面60aに吸着させた状態で搬送方向D1へ向かって搬送する。吸着コンベア60は、電極20を搬送コンベア70に受け渡す。
振り分け部90は、吸着コンベア50と吸着コンベア60との間に形成され、電極20を振り分ける。本実施形態では、振り分け部90は、電極20を合格品と不合格品とに振り分ける。振り分け部90は、合格品に係る電極20を吸着コンベア60へ振り分け、不合格品に係る電極20を落下させて回収箱93に振り分ける。振り分け部90は、合格品が落下することを防止するための下支え部92と、不合格品を落下させる排出部91と、を備える。下支え部92は、例えば、電極20の搬送経路に対し、幅方向の両側の下方に一対のノズルが配置され、振り分け部90において、電極20へ下側からエアを吹き付ける。これにより、下支え部92は、電極20が吸着コンベア50から吸着コンベア60へ乗り移る際に、電極20をエアの圧力で下側から支えることで、電極20が落下することを防止する。排出部91は、不合格品に係る電極20にエアを情報から吹き付けることによって、電極20を落下させる。
排出部91及び下支え部92は、図示されない制御部によって制御されてよい。制御部は、検査部45,55の検査結果に基づいて、検査対象に係る電極20の合格・不合格を判定する。制御部は、判定結果に基づいて、排出部91及び下支え部92を制御する。例えば、制御部は、電極検査装置100の稼働中は下支え部92からのエアを常時吹き付け、不合格品が振り分け部90に来たときだけ排出部91からのエアを吹き付けるように制御してよい。この場合、排出部91のエアの圧力は、下支え部92のエアの圧力よりも大きい。あるいは、制御部は、合格品が振り分け部に来たときに下支え部92からのエアを吹き付け、不合格品が振り分け部90に来たときに下支え部92のエアを停止して排出部91からのエアを吹き付けるように制御してよい。
次に、図4を参照して、本実施形態に係る電極振り分け装置150の詳細な構成について説明する。電極振り分け装置150は、上述の吸着コンベア50と、吸着コンベア60と、振り分け部90と、によって構成される。
吸着コンベア50の構成について詳細に説明する。吸着コンベア50は、搬送方向D1における両端側に配置されるローラ52と、当該ローラ52に架け渡される無端のベルト51と、を備えている。本実施形態では、吸着コンベア50の各端部には、一対のローラ52が上下方向に並べられる。ベルト51は、搬送方向の両端側の上側のローラ52の上端部側に架け渡される部分51aと、搬送方向の両端側の下側のローラ52の下端部側に架け渡される部分51bと、を有する。また、ベルト51は、搬送方向の両端側の上側のローラ52と下側のローラ52との間に架け渡される部分51cを有する。部分51cは上下方向に延びている。また、吸着コンベア50の搬送方向D1の下流側の端部50bは、部分51cの外周面によって規定される。吸着コンベア50は、ベルト51の上端側の部分51aの上面50aに、電極20を吸着させる。ベルト51は、ローラ52の回転駆動に伴って循環する。ローラ52は、ベルト51の上端側の部分51aが搬送方向D1へ移動するように駆動する。これにより、ベルト51の上面50aに吸着された電極20は、ベルト51の上端側の部分51aの移動に伴って、搬送方向D1へ搬送される。
ここで、吸着コンベア50は、ベルト51の上端側の部分51aと下端側の部分51bとの間に、吸引ボックス56を備える。吸引ボックス56は、上面側に開口56aを備える。吸引ボックス56は、別途外部に配置された真空ポンプ又はブロワと管路で接続されることで、開口よりエアを吸引する。一方、ベルト51には、略全面にわたって複数の貫通孔が形成されている。従って、吸着コンベア50の上面50aは、吸引ボックス56によるエアの吸引により、複数の貫通孔を介して吸着力を発生する。吸引ボックス56は、少なくとも電極20が通過し得る箇所に対して設けられる。また、吸引ボックス56の搬送方向D1における下流側の端部56bには、搬送方向D1へ延びる支持部54が上下一対設けられる。支持部54は、回転軸53を介して上下のローラ52をそれぞれ回転可能に支持する。
吸着コンベア50の上面50aのうち、ローラ52及び支持部54に対応する領域は、吸引力が発生しない非吸着領域である。また、吸着コンベア50の上面50aのうち、吸引ボックス56の下流側の端部に配置された側壁部56cの肉厚に対応する領域は、吸引力が発生しない非吸着領域である。従って、吸着コンベア50の搬送方向D1における下流側の端部50b付近には、電極20の吸着が行われない非吸着部58が形成される。図4では、非吸着部58は、端部50bから搬送方向D1の上流側へ向かって寸法L1の範囲に形成されている。なお、非吸着部58の上流側の端部の位置に、基準線CL3を設定する。
なお、吸着コンベア60は、下面60aが吸着面である点を除いては、吸着コンベア50と同趣旨の構成を有している。すなわち、吸着コンベア60は、ローラ62と、循環ベルト61と、吸引ボックス66と、を備えている。また、循環ベルト61は、上端側の部分61aと、下端側の部分61bと、搬送方向D1における上流側の部分61cと、を有する。吸着コンベア60の搬送方向D1の上流側の端部60bは、部分61cの外周面によって規定される。吸引ボックス66は、下面側に開口66aを有する。従って、吸着コンベア60は、循環ベルト61の下端側の部分61bの下面60aにて、電極20を吸着する。
吸着コンベア60の下面60aのうち、ローラ62及び支持部64に対応する領域は、吸引力が発生しない非吸着領域である。また、吸着コンベア60の下面60aのうち、吸引ボックス66の下流側の端部に配置された側壁部66cの肉厚に対応する領域は、吸引力が発生しない非吸着領域である。従って、吸着コンベア60の搬送方向D1における上流側の端部60b付近には、電極20の吸着が行われない非吸着部68が形成される。図4では、非吸着部68は、端部60bから搬送方向D1の下流側へ向かって寸法L2の範囲に形成されている。なお、非吸着部68の下流側の端部の位置に、基準線CL4を設定する。吸着コンベア60の非吸着部68の寸法は、吸着コンベア50の非吸着部58の寸法と等しくなっているが、異なっていてもよい。
少なくとも振り分け部90付近の領域においては、吸着コンベア50及び吸着コンベア60は、上面50aと下面60aとが互いに平行となるように配置される。上面50a及び下面60aは、水平に広がる平面をなす。上面50aと下面60aとの間の上下方向の隙間の寸法は、電極20の一枚分の厚みより大きく、且つ、合格品に係る電極20を吸着コンベア60が下面60aで吸着できる寸法であれば、特に限定されない。
振り分け部90には、吸着コンベア50の下流側の端部50bと吸着コンベア60の上流側の端部60bとの間に境界部95が形成される。境界部95は、端部50bに対して上下方向に延ばした基準線CL1と、端部60bに対して上下方向に延ばした基準線CL2との間に挟まれる領域によって、定義される。本実施形態では、端部50bと端部60bとが水平方向において互いに離間することで、境界部95には、端部50bと端部60bとの間に隙間GP1が形成される。隙間GP1が、境界部95として規定されている。なお、図4に示す寸法L3は、吸着コンベア60の非吸着部68の寸法L2と隙間GP1の寸法とを足し合わせた寸法を示す。従って、隙間GP1の水平方向の寸法は、「寸法L3−寸法L2」で示される。
ここで、電極20が、吸着コンベア50から吸着コンベア60に移し替えられる場合について説明する。電極20の搬送方向D1における下流側の端部20aが境界部95又は非吸着部68に配置されている状態では、上方へ向かって吸引する力は、電極20には作用しない。電極20が搬送方向D1へ搬送され、端部20aが非吸着部68よりも搬送方向D1における下流側の位置(基準線CL4よりも下流側の位置)まで到達すると、上方へ向かって吸引する力が電極20に作用する。ここで、電極20は、少なくとも端部20aが基準線CL4に到達するまで、吸着コンベア50に支持される。電極20の上流側の端部20b付近の部分が、吸着コンベア50の上面50aに支持される。従って、吸着コンベア60の非吸着部68の寸法L2と隙間GP1の寸法とを足し合わせた寸法L3は、少なくとも電極20の搬送方向D1に沿った寸法よりも小さく設定される。電極20の端部20b付近の部分のうち、吸着コンベア60に吸着される直前時において、吸着コンベア50に支持される部分の寸法は、「電極20の寸法−寸法L3」で示される。なお、当該寸法を「下支え寸法」と称する場合がある。また、「下支え寸法」が電極20の全長に対して占める割合は、「(下支え寸法電極/電極20の寸法)× 100 (%)」で示される。当該割合は、少なくとも0%以上であればよい。また、当該割合の好ましい範囲は、電極20のサイズ、重量、厚み、剛性等によって適宜変更される。例えば、前述したような数値範囲の電極20を採用する場合、割合は、30%以上であることが好ましく、60%以上であることが更に好ましい。
なお、搬送方向D1に沿った電極20の寸法は、搬送時における電極20の向きによって適宜変化してよい。例えば、電極20が図1に示すように長方形状をなしているとき、電極20の長手方向の寸法が搬送方向D1に沿った寸法であってもよく、電極20の短手方向の寸法が搬送方向D1に沿った寸法であってもよい。
振り分け部90は、境界部95へエアを吹き付け、電極20を落下させる排出部91を有する。排出部91は、隙間GP1へエアを吹き付ける。排出部91は、隙間GP1に対して、鉛直方向における下側へ向けてエアを吹き付ける。排出部91は、水平方向において、境界部95の隙間GP1と対応する位置であって、上面50a及び下面60aよりも高い位置に配置されている。なお、排出部91は、少なくとも隙間GP1の位置に電極20の何れかの部分が配置されるタイミングでエアを噴出する。排出部91は、吸着コンベア50で電極20が下支えされている状態であっても、エアの圧力によって電極20を落下させることが出来る位置に電極20が配置されるタイミングで、エアを噴出する。なお、排出部91は、電極20の一部が下面60aで吸着されている状態であっても、落下可能である限り、エアを噴出してよい。
次に、本実施形態に係る電極振り分け装置150の作用・効果について説明する。
まず、比較例に係る電極振り分け装置について説明する。比較例に係る電極振り分け装置として、図4に示す吸着コンベア50を吸着コンベア60と同じ高さに配置し、当該吸着コンベア50の下面で電極を吸着・搬送するものを例示する。ここで、上述のように、吸着コンベア50,60には非吸着部58,68が形成される。従って、下支え部は、電極20が落下しないように、電極20に対するエアの圧力を高く設定する必要がある。従って、下支え部のエアによって微少な異物等が下から巻き上げられ、電極に付着する可能性があった。
これに対し、本実施形態に電極振り分け装置150は、吸着コンベア(第1の吸着コンベア)50と吸着コンベア(第2の吸着コンベア)60との間に形成され、電極20を振り分ける振り分け部90を備える。この振り分け部90には、吸着コンベア50の下流側の端部(第1の端部)50bと吸着コンベア60の上流側の端部(第2の端部)60bとの間に境界部95が形成される。また、振り分け部90は、境界部95へエアを吹き付け、電極20を落下させる排出部91を有する。従って、電極振り分け装置150は、吸着コンベア50から振り分け部90を通過して吸着コンベア60へ移し替える合格品に係る電極20と、境界部95にて電極20に排出部91のエアを吹き付けることで落下させる不合格品に係る電極20と、で振り分けを行うことができる。下流側の吸着コンベア60は、下面60a側で電極を吸着する。すなわち、当該下面60aの下方側には、電極20を支持するものがない。これにより、排出部91のエアを電極20に吹き付けた時に、電極20は端部20a付近で湾曲するように折れ曲がり(図4中の仮想線を参照)、振り分け部90から落下することができる。一方、上流側の吸着コンベア50は、上面50a側で電極20を吸着する。従って、電極20が吸着コンベア50から吸着コンベア60へ移し替えられるとき、電極20の上流側の端部50b付近の部分が、吸着コンベア50に支持される。このように、吸着コンベア50が電極20の一部を支持することができるため、境界部95において電極20を下側から支持する下支え用のエア(図3の下支え部92からのエア)の量を減少させることができる。なお、電極20のサイズや吸着コンベア50,60の位置関係次第では、下支え部92を省略し、下支え用のエアを無くすこともできる。以上により、電極20を下側から支持する下支え用のエアを減少、又は無くすことができる。
電極振り分け装置150において、端部50bと端部60bとが水平方向において互いに離間することで、境界部95には、端部50bと端部60bとの間に隙間GP1が形成され、排出部91は、隙間GP1へエアを吹き付けてよい。隙間GP1では、電極20に対して、吸着コンベア60の吸着力は作用せず、吸着コンベア50による下支え力も作用しない。排出部91が、このような隙間GP1の位置にて電極20にエアを吹き付けることで、容易に電極20を落下させることができる。
電極振り分け装置150において、排出部91は、隙間GP1に対して、鉛直方向における下側へ向けてエアを吹き付けてよい。これにより、排出部91から噴出したエアは、隙間GP1を鉛直方向に抜けて直接的に電極20に吹き付けられる。従って、排出部91は、容易に電極20を落下させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、図5及び図6に示す変形例に係る電極振り分け装置250を採用してもよい。電極振り分け装置250は、振り分け部190と、排出部191と、を備える。
電極振り分け装置250において、境界部195では、吸着コンベア50と吸着コンベア60とが上下方向において一部重なっている。吸着コンベア50の下流側の端部50bは、吸着コンベア60の上流側の端部60bよりも下流側に配置され、基準線CL4よりも上流側に配置される。吸着コンベア60の上流側の端部60bは、吸着コンベア50の下流側の端部50bよりも上流側に配置され、基準線CL3よりも上流側に配置される。
排出部191は、境界部195に対して斜め方向からエアを吹き付ける。排出部191のエアの噴出方向は、下方へ向かって搬送方向D1の下流側へ向かうように傾斜する。排出部191は、吸着コンベア60の端部60bよりも搬送方向D1の上流側に配置される。排出部191は、吸着コンベア60の端部60bと、吸着コンベア50の上面50aとの間の角部付近へエアを吹き付ける。エアは、吸着コンベア60の下面60aと吸着コンベア50の上面50aとの間の上下方向の隙間GP2へ入り込む。
以上により、吸着コンベア50は、吸着コンベア60と重なる位置においても、電極20を下支えすることができる。この場合、吸着コンベア50の端部50bから基準線CL4までの寸法L4は、図4の寸法L3よりも小さくなる。すなわち、振り分け部190では、電極20は、図4の振り分け部90よりも、速やかに下面60aに吸着される。これにより、電極20を下側から支持する下支え用のエアを無くすことができる。あるいは、下支え用のエアを用いる場合であっても、図4の振り分け部90よりも少なくすることができる。また、排出部191は、境界部195に対して斜め方向からエアを吹き付けることで、電極20の下流側の端部20a付近と吸着コンベア60の下面60aとの間にエアを入り込ませることができる。これにより、電極20は端部20a付近で湾曲するように折れ曲がり(図6中の仮想線を参照)、電極20は、吸着コンベア60の下面60aに吸着されることなく、落下することができる。
なお、図4に示す実施形態では、排出部91は、鉛直方向へ真っ直ぐにエアを吹き付けている。これに代えて、排出部91は、鉛直方向に対して傾斜した状態でエアを吹き付けてもよい。
また、上述の実施形態では、吸着コンベアの端部には、上下に一対のローラが設けられていた。これにより、吸着コンベアの搬送方向における端部は、上下方向に真っ直ぐに延びていた。これに代えて、吸着コンベアの端部にローラが一つだけ設けられてもよい。この場合、吸着コンベアの端部付近は半円弧状に構成され、当該半円弧の水平方向の頂点が吸着コンベアの端部となる。
なお、上述の実施形態では、電極振り分け装置は、合格品の電極と不合格品の電極を振り分けるために用いられていた。ただし、電極振り分け装置の用途は特に限定されない。例えば、電極振り分け装置は、下流側における電極の処理が、電極の供給に比して遅延している場合に、余剰の電極を落下させてもよい。
さらに、上記実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池であるが、本発明は、特にリチウムイオン二次電池には限られず、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置における電極の積層にも適用可能である。