以下、図面を参照して電極搬送装置の一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態に係る電極搬送装置を適用して製造される蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される蓄電装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった非水電解質二次電池として構成されている。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3と、を備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。
また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムFが配置されており、当該絶縁フィルムFによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。電極組立体3の下端は、絶縁フィルムFを介してケース2の内側の底面に接触している。電極組立体3とケース2との間にスペーサSを配置することにより、電極組立体3とケース2との間に隙間が埋められている。スペーサSは、一枚または複数枚のシートを備えており、当該シートの枚数は電極組立体3の厚さによって変化し得る。
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの一端部近傍の縁から突出して、セパレータ10を突き抜けている。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
正極活物質層15は、箔本体部14aの両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
負極活物質層17は、箔本体部16aの両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まず帯状金属箔の両面に活物質合剤を塗工した後、乾燥及び加圧などの処理をして、帯状金属箔の両面に活物質層が形成された電極母材を形成する。次に、電極母材を所定の形状に打ち抜く(切断する)ことで正極8と負極9とを製造する。そして、正極8を袋状のセパレータ10で包んでなるセパレータ付き正極11を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、セパレータ付き正極11及び負極9をテープ等で固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
図3は、本実施形態に係る電極搬送装置を示す概略側面図である。図3に示される電極搬送装置20は、一例として、前工程の設備である装置(第1装置)30から、後工程の設備である装置(第2装置)40までの搬送経路に沿って正極(電極)8を搬送する装置である(図5参照)。以下では、正極8を搬送する方向を搬送方向Pと称する。電極搬送装置20は、搬送コンベア(第3搬送部)21と、搬送コンベア(第1搬送部)22と、搬送コンベア(第2搬送部)23と、検査ユニット24,25と、制御部としてのコントローラ26と、を備えている。
搬送コンベア21は、搬送経路において搬送コンベア22,23よりも上流側に配置されている。搬送コンベア21は、装置30から供給される正極8を搬送する。搬送コンベア21は、吸着コンベアである。搬送コンベア21は、上面21sに正極8を載置させて、正極8を下側から吸着しながら搬送する。搬送コンベア21は、多数の小孔(不図示)が設けられたベルト21aと、ベルト21aの内側に配置された吸引ダクト(不図示)と、を有している。吸引ダクトは、外部の負圧源(不図示)に接続されている。上面21sのうち吸引ダクトの開口に対応する領域は、ベルト21aの小孔を通して正極8に負圧が作用することで正極8を吸着保持する領域となっている。搬送コンベア21は、ベルト21a(上面21s)に正極8を接触させた状態で搬送方向Pに向けて搬送する。
搬送コンベア21は、一定の速度によって搬送コンベア22まで正極8を搬送する定速コンベアである。搬送コンベア21は、ベルト21aが架け渡されたローラ(不図示)と、このローラの回転を駆動する駆動部(不図示)と、を有している。この駆動部は、一定の回転数によってローラを回転させる。搬送コンベア21は、ローラの回転に伴ってベルト21aが一定の速度で循環することによって、一定の速度で、ベルト21aに載置された状態の正極8を搬送する。
検査ユニット24は、搬送コンベア21に設けられ、搬送コンベア21に搬送されている正極8を検査する。検査ユニット24は、クリーナ24aと、検査部24bと、を有している。クリーナ24a及び検査部24bは、搬送コンベア21の上方において、搬送コンベア21の上面21sに対向して配置されている。検査部24bは、クリーナ24aよりも下流側に配置されている。
クリーナ24aは、搬送コンベア21の上面21sに載置された正極8の表面を吸引し、正極8の表面に付着した異物を除去する。クリーナ24aは、非接触により正極8の表面から異物を除去することができる。検査部24bは、搬送コンベア21の上面21sに載置された正極8を検査する。検査部24bは、例えば、CCDカメラを備えた撮像装置である。検査部24bは、搬送コンベア21の上方から正極8の表面を撮像し、正極8の表面の画像を取得する。検査部24bは、取得した画像を外部の診断装置(不図示)に伝送する。当該診断装置は、撮像された画像に基づいて、例えば、正極8の表面の異常(例えば、傷、異物、透け、スジ、及び気泡痕)の有無を確認し、異常がある場合に、正極8を不良品と判定する。
搬送コンベア22は、搬送経路において搬送コンベア21の下流側に配置されている。搬送コンベア22は、搬送コンベア21を介して装置30から正極8の供給を受ける。搬送コンベア22は、装置30から供給される正極8を搬送コンベア23まで搬送する。
図4は、図3に示された搬送コンベア(搬送コンベア22)を示す側面図である。搬送コンベア22は、吸着コンベアである。搬送コンベア22は、搬送経路に沿って互いに隣り合う吸着コンベア(第2定速コンベア)27と、吸着コンベア(可変速コンベア)28と、を有している。すなわち、搬送コンベア22は、吸着コンベア27,28に分割されて構成されている。吸着コンベア27,28は、互いに離間して配置されている。また、搬送コンベア22は、検出部22aを備えている。
吸着コンベア27は、下面27sにおいて正極8を上側から吸着しながら搬送する。吸着コンベア27は、搬送方向に離間して配置された2つのローラ27a,27bと、2つのローラ27a,27bに架け渡されたベルト27cと、ベルト27cの内側に配置された吸引ダクト27dと、を有している。ベルト27cには、多数の小孔(不図示)が設けられている。吸引ダクト27dは、下方に開口している。吸引ダクト27dは、吸引口(不図示)を介して外部の負圧源(不図示)に接続されている。下面27sのうち吸引ダクト27dの開口に対応する領域は、ベルト27cの小孔を通して正極8に負圧が作用することで正極8を吸着保持する領域となっている。吸着コンベア27は、ベルト27c(下面27s)に正極8を接触させた状態で搬送方向Pに向けて搬送する。
吸着コンベア27は、一定の速度によって吸着コンベア28まで正極8を搬送する定速コンベアである。吸着コンベア27は、ローラ27a,27bのうちの一方(一例として、ローラ27b)の回転を駆動する駆動部27eを有している。駆動部27eは、一定の回転数によってローラ27bを回転させる。吸着コンベア27は、ローラ27bの回転に伴って一定の速度でベルト27cが循環することによって、一定の速度で、ベルト27cに吸着した状態の正極8を搬送する。
吸着コンベア28は、下面28sにおいて正極8を上側から吸着しながら搬送する。本実施形態において、吸着コンベア28は、搬送経路に沿って並ぶ複数(例えば、3個〜10個)の正極8を吸着した状態で搬送する。吸着コンベア28は、搬送方向に離間して配置された2つのローラ28a,28bと、2つのローラ28a,28bに架け渡されたベルト28cと、ベルト28cの内側に配置された吸引ダクト28dと、を有している。
ベルト28c及び吸引ダクト28dの構成は、ベルト27c及び吸引ダクト27dと同様である。すなわち、ベルト28cには、多数の小孔(不図示)が設けられている。吸引ダクト28dは、下方に開口している。吸引ダクト28dは、吸引口(不図示)を介して外部の負圧源(不図示)に接続されている。下面28sのうち吸引ダクト28dの開口に対応する領域は、ベルト28cの小孔を通して正極8に負圧が作用することで正極8を吸着保持する領域となっている。吸着コンベア28は、ベルト28c(下面28s)に正極8を接触させた状態で搬送方向Pに向けて搬送する。
吸着コンベア28は、正極8を搬送する速度が可変とされた可変速コンベアである。ここでは、可変速コンベアとは、ベルト28cの速度を(例えば無段階に)調整可能なコンベアを意味する。吸着コンベア28は、駆動部28eを有している。駆動部28eは、例えば、ローラ28a,28bのうちの一方(ここでは、ローラ28b)を回転駆動するサーボモータ(不図示)と、サーボモータを駆動するための交流電力をサーボモータに提供するインバータ(不図示)と、を有している。コントローラ26は、例えば、インバータからサーボモータに提供する交流電力の周波数を設定することにより、サーボモータ及びローラ28bの回転数を制御する。これにより、コントローラ26は、ベルト28cの速度を調整する。この結果、吸着コンベア28は、コントローラ26によって制御された速度で、ベルト28cに吸着した状態の正極8を搬送する。
検出部22aは、吸着コンベア27,28の上方において、吸着コンベア28の始端と対向する位置に配置されている。検出部22aは、吸着コンベア28の始端における正極8の有無を検出する。より具体的には、検出部22aは、吸着コンベア28に正極8が供給されたか否かを検出する。検出部22aは、コントローラ26に接続されている。検出部22aは、吸着コンベア28に正極8が供給された旨の検出結果をコントローラ26に送信する。
検査ユニット25は、搬送コンベア22に設けられ、搬送コンベア22に搬送されている正極8を検査する。検査ユニット25は、クリーナ25aと、検査部25bと、廃棄ユニット25cと、を有している。クリーナ25a及び検査部25bは、吸着コンベア27の下方において、吸着コンベア27の下面27sに対向して配置されている。検査部25bは、クリーナ25aよりも下流側に配置されている。
クリーナ25a及び検査部25bの構成は、クリーナ24a及び検査部24bと同様である。すなわち、クリーナ25aは、搬送コンベア22の下面22sに吸着保持された正極8の表面を吸引し、正極8の表面に付着した異物を除去する。クリーナ25aは、非接触により正極8の表面から異物を除去することができる。検査部25bは、搬送コンベア22の下面22sに吸着保持された正極8を検査する。検査部25bは、例えば、CCDカメラを備えた撮像装置である。検査部25bは、搬送コンベア22の下方から正極8の表面を撮像し、正極8の表面の画像を取得する。検査部25bは、取得した画像を外部の診断装置(不図示)に伝送する。当該診断装置は、撮像された画像に基づいて、例えば、正極8の表面の異常(例えば、傷、異物、透け、スジ、及び気泡痕)の有無を確認し、異常がある場合に、正極8を不良品と判定する。
廃棄ユニット25cは、吸着コンベア27,28の間に配置されている。廃棄ユニット25cは、検査において不良品であると判定された正極8を廃棄するための廃棄ボックス25dと、廃棄ボックス25dに落下させるための廃棄エアノズル25eと、廃棄ボックス25dへの落下を抑制するための下支えエアノズル25fと、を有している。廃棄ボックス25dは、吸着コンベア27及び吸着コンベア28よりも下方に配置されている。廃棄ボックス25dは、上方に開口している。
廃棄エアノズル25eは、吸着コンベア27,28よりも上方に配置され、吸着コンベア27から吸着コンベア28に供給されている正極8に対し、上側からエアを吹き付けることによって下方に向けて力を付与する。廃棄エアノズル25eは、エアにより、吸着コンベア27,28による吸着よりも強い力を正極8に付与する。これにより、不良品であると判定された正極8は、吸着コンベア28による吸着から剥がれて落下し、廃棄ボックス25dに投入される。下支えエアノズル25fは、吸着コンベア27,28よりも下方に配置され、吸着コンベア27から吸着コンベア28に供給されている正極8に対し、下側からエアを吹き付けることによって上方に向けて力を付与する。これにより、不良品ではないと判定された正極8が落下することを抑制することができる。
また、図3に示されるように、搬送コンベア22は、搬送コンベア21,23よりも上方に配置されている。具体的には、搬送コンベア22の始端部(ここでは、吸着コンベア27の始端部)は、搬送コンベア21の終端部とラップする領域R1を有している。搬送コンベア21の終端部には、吸引ダクトが配置されていない。搬送コンベア22は、領域R1において正極8を吸着することにより、搬送コンベア21から正極8の供給を受ける。また、搬送コンベア22の終端部(ここでは、吸着コンベア28の終端部)は、搬送コンベア23の始端部とラップする領域R2を有している。吸着コンベア28の終端部には、吸引ダクト28dが配置されていない(図4参照)。搬送コンベア22は、領域R2において搬送コンベア23に正極8を供給する。搬送コンベア22(吸着コンベア28)は、正極8の吸着の解除により搬送コンベア23に正極8を落下させて供給する。
搬送コンベア23は、搬送経路において搬送コンベア21,22よりも下流側に配置されている。搬送コンベア23は、搬送コンベア22により搬送された正極8を搬送して装置40に供給する。搬送コンベア23は、ベルトコンベア(第1定速コンベア)29を有している。ベルトコンベア29は、上面29sに正極8を載置させて搬送する。ベルトコンベア29は、ベルト29aと、ベルト29aに搬送経路に沿って所定ピッチで設けられたサン29bと、を有している。サン29bのピッチは、例えば、装置40の稼動の周期に対応している。ベルトコンベア29は、サン23bによって搬送方向Pに沿って正極8を位置決めした状態で搬送する。
ベルトコンベア29は、一定の速度によって装置40まで正極8を搬送する定速コンベアである。ベルトコンベア29は、ベルト29aが架け渡されたローラ(不図示)と、このローラの回転を駆動する駆動部(不図示)と、を有している。この駆動部は、一定の回転数によってローラを回転させる。ベルトコンベア29は、ローラの回転に伴って一定の速度でベルト29aが循環することによって、一定の速度で、ベルト29aにおけるサン29bに位置決めされた状態の正極8を搬送する。これにより、ベルトコンベア29は、複数の正極8のそれぞれを一定のタイミングで装置40に供給する。
コントローラ26は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及び入出力インターフェース等から構成されている。コントローラ26は、吸着コンベア28を制御する。具体的には、コントローラ26は、上述したように、吸着コンベア28の駆動部28eを制御する。コントローラ26は、検出部22aからの検出結果と、装置40の動作状況(例えば、後述する検出部40aからの検出結果)とに基づいて、吸着コンベア28の搬送速度を調整する調整処理を行う。そのために、コントローラ26は、検出部22a及び検出部40aから各検出結果を受信する。
また、コントローラ26は、検出部22aから吸着コンベア28に正極8が供給された旨の検出結果を受信したときの装置40の動作状況の基準値を保有している。ここで、基準値とは、吸着コンベア28の速度が、吸着コンベア27の速度と等しい場合に、正極8の供給のタイミングが合う装置40の動作状況(例えば、後述するヒータローラ43の加熱部43a,43bの位置)である。
コントローラ26は、検出部22aから検出結果を受信したときに検出部40aから受信した検出結果と基準値とを照合させて、検出結果と基準値にズレがある場合には、例えば、ヒータローラ43の位置のズレを、ヒータローラ43の回転速度に基づき時間に換算する。そして、例えば、コントローラ26は、装置40が基準値に対してT秒だけ早く動作していると判断した場合には、吸着コンベア28により搬送される正極8がT秒だけ早くベルトコンベア29まで搬送されるように吸着コンベア28の速度を決定し、増速する。すなわち、コントローラ26は、装置40の動作のタイミングに合うように吸着コンベア28の搬送速度を決定する。コントローラ26は、決定した速度に応じた信号を駆動部28eに送信する。
続いて、前工程の設備である装置30について説明する。図5は、本実施形態に係る電極搬送装置が適用された電極製造ラインを示す概略側面図である。図5に示される装置30は、電極母材18の切断により電極(ここでは、正極8)を製造する電極製造装置である。装置30は、帯状の電極母材18の一部を正極8の形状に切断することによって、複数の正極8を製造する。装置30は、一例として、ロータリーダイカット方式の切断装置である。装置30は、ニップユニット31と、ダイカットユニット32と、クリーニングヘッド33と、巻き取りローラ34と、を備えている。ニップユニット31は、一対のニップローラ31a,31bを有する。ニップユニット31は、一対のニップローラ31a,31bによって電極母材を巻き出してダイカットユニット32に供給する。
ダイカットユニット32は、一対のローラ32a,32bを有する。一対のローラ32a,32bのそれぞれは、搬送経路に交差する方向に沿った回転軸を有する円柱形状をなしている。一対のローラ32a,32bのうちの一方である上側のローラ32aには、ローラ32aの周方向に沿って延びるエッチング刃及びスポンジが設けられている。ダイカットユニット32は、ニップユニット31によって供給された電極母材18に対して、ローラ32aのエッチング刃を回転しながら押し当てることで、電極母材18を正極8の形状に切断する。クリーニングヘッド33は、ダイカットユニット32の上側のローラ32aに設けられている。巻き取りローラ34は、電極母材18を切断した後の端材を巻き取る。装置30は、電極母材18を切断することにより製造した複数の正極8のそれぞれを一定のタイミングで電極搬送装置20に供給する。
次に、後工程の設備である装置40について説明する。図6は、後工程の設備である装置(装置40)の側面図である。図6に示される装置40は、電極(ここでは、正極8)の外側にセパレータ10を設けることによりセパレータ付き電極(ここでは、セパレータ付き正極11)を製造するセパレータ付き電極製造装置である。装置40は、正極8の外側に設けられるセパレータ10を構成するにあたり、長尺シート状の一対のセパレータ帯19a,19bを互いに溶着した後、個片に切断することにより、袋状のセパレータ10を備えたセパレータ付き正極11を製造する。本実施形態の装置40は、より具体的には、溶着を行う2つのローラ、及び切断を行う1つのローラを備え、セパレータ帯19a,19bの短手方向の溶着、セパレータ帯19a,19bの長手方向の溶着、セパレータ帯19a,19bの個片への切断、の順に加工を行う。図6では、装置40より、最初に行われる一対のセパレータ帯19a,19bの短手方向に沿った溶着を行う部位を示し、説明する。装置40は、供給ローラ41,42と、ヒータローラ43と、検出部40aと、を備えている。
供給ローラ41は、原反ローラ(不図示)から繰り出された下側のセパレータ帯19aを搬送方向Pに沿うように供給する。供給ローラ41は、搬送方向Pに搬送される正極8の下側からセパレータ帯19aを供給する。供給ローラ42は、原反ローラ(不図示)から繰り出された上側のセパレータ帯19bを搬送方向Pに沿うように供給する。供給ローラ42は、供給ローラ41よりも下流側に配置され、搬送方向Pに搬送される正極8の上側からセパレータ帯19bを供給する。ヒータローラ43は、供給ローラ42よりも上方に配置され、供給ローラ42と上下方向に対向している。
ヒータローラ43は、一対のセパレータ帯19a,19bの短手方向に沿った回転軸を有する円柱形状をなしている。ヒータローラ43には、回転軸方向に沿って延びる一対の加熱部43a,43bが設けられている。ヒータローラ43は、正極8を挟んだ状態の一対のセパレータ帯19a,19bに対して、加熱部43aを回転しながら押し当てることで、一対のセパレータ帯19a,19bを互いに溶着する。ヒータローラ43は、一定のタイミングで一対のセパレータ帯19a,19bの溶着を行うことにより、複数の正極8のそれぞれを収容する袋状のセパレータ10を形成する。良好な溶着結果を得るためには、加熱時の適切な温度、時間、圧力が必要であり、ヒータローラ43は設定された一定の速度で回転する。検出部40aは、ヒータローラ43による溶着のタイミングを検出する。検出部40aは、一例として、加熱部43a,43bの位置を検出する回転位置センサ(ロータリーエンコーダ)である。検出部40aは、コントローラ26に接続されている。検出部40aは、随時、検出結果をコントローラ26に送信する。
本実施形態において、図5に示される装置30と装置40とは、互いに同じ周期によって稼動する。具体的には、装置30によって1個の正極8が製造される生産速度と、装置40によって1個のセパレータ付き正極11が製造される生産速度とは互いに等しい。一方で、これらの装置は、周期が同じであったとしても、互いの運転状況〜位相差は、起動回毎にずれが生じ、バラツキがある。装置には、起動信号の入力より、実際に装置が動き出す起動までのタイムラグがある。また、装置によっては、起動後に運転状態が安定するまでにタイムラグを必要とするものもある。これらは、装置毎、装置の経年劣化、その他のコンディションによっても変化し、毎回一定ではないため、同時に起動信号の入力を行っても、装置同士の位相差が毎回同じになるものではない。以下では、装置30の起動のタイミングと装置40の起動のタイミングとに起因しと、両者の位相が基準に対しずれた場合について説明する。一例として、装置30の起動のタイミングが、装置40の起動のタイミングよりもT秒だけ遅い場合であるとする。
電極搬送装置20は、装置30から一定のタイミングによって正極8の供給を受ける。電極搬送装置20の搬送コンベア21は、装置30から受け取った正極8を上面21sに載置させて、正極8を吸着しながら搬送する。このとき、搬送コンベア21は、一定の速度によって搬送コンベア22まで正極8を搬送する。
搬送コンベア22の吸着コンベア27は、搬送コンベア21の終端部まで搬送された正極8を吸着することにより、搬送コンベア21から正極8の供給を受ける。吸着コンベア27は、搬送コンベア21から受け取った正極8を下面27sにおいて吸着しながら搬送する。このとき、吸着コンベア27は、一定の速度によって吸着コンベア28まで正極8を搬送する。
搬送コンベア22の吸着コンベア28は、搬送コンベア21の終端部まで搬送された正極8を吸着することにより、吸着コンベア27から正極8の供給を受ける。吸着コンベア28に正極8が供給されると(一例として、吸着コンベア28の始端に正極8が到達すると)、検出部22aは、吸着コンベア28に正極8が供給された旨を検出する。検出部22aは、検出結果をコントローラ26に送信する。
コントローラ26は、吸着コンベア28の搬送速度を調整する調整処理を行う。具体的には、コントローラ26は、検出部22aから吸着コンベア28に正極8が供給された旨の検出結果を受信すると、同じタイミングで受信した検出部40aの検出結果と基準値とを照合する。この照合した結果に基づいて。コントローラ26は、装置40の加熱部43a,43bの位置の基準値に対するずれ(ここでは、T秒だけ早く動作した位置にいる旨)を判断する。この判断した結果に基づいて、コントローラ26は、吸着コンベア28により搬送される正極8が搬送コンベア23にT秒だけ早く供給されるように吸着コンベア28の速度を決定する。コントローラ26は、決定した速度の信号を駆動部28eに送信する。
吸着コンベア28は、駆動部28eの駆動により、コントローラ26に制御された速度によって搬送コンベア23まで正極8を搬送する。吸着コンベア28は、正極8の吸着の解除により、搬送コンベア23の始端部に正極8を落下させて、搬送コンベア23に正極8を供給する。
搬送コンベア23のベルトコンベア29は、搬送コンベア22(吸着コンベア28)から受け取った正極8を上面29sに載置させると共に、サン29bによって搬送方向Pに沿って正極8を位置決めした状態で搬送する。このとき、ベルトコンベア29は、一定の速度によって装置40まで正極8を搬送する。そして、ベルトコンベア29は、装置40に一定のタイミングによって正極8を供給する。このようにして、装置40は、稼動の周期に合わせて正極8の供給を受ける。ここでは、装置40は、ヒータローラ43の加熱部43a,43bが一対のセパレータ帯19a,19bを溶着するタイミングに合わせて正極8の供給を受ける。
以上、説明した電極搬送装置20においては、搬送経路において、相対的に上流側に搬送コンベア22が配置され、相対的に下流側に搬送コンベア23が配置されている。また、搬送コンベア23は、定速コンベアであるベルトコンベア29を有し、搬送コンベア22は、可変速コンベアである吸着コンベア28を有している。したがって、装置30から供給される正極8は、少なくとも吸着コンベア28及びベルトコンベア29によって搬送されて、装置40に供給される。そのため、吸着コンベア28の速度調整によって、正極8が搬送経路を搬送されて装置40に供給されるまでの搬送時間を調整することができる。すなわち、この装置によれば、装置40への正極8の供給のタイミングを調整することが可能となる。
本実施形態においては、吸着コンベア28は、搬送経路に沿って並ぶ複数の正極8を吸着した状態で搬送する。したがって、少なくとも正極8複数個分の十分な距離によって搬送時間を調整することができ、定速コンベアであるベルトコンベア29に対する速度変化を小さくすることができる。このため、定速コンベアからの、または定速コンベアへの乗り継ぎ時に、速度差に起因する回転等の姿勢の乱れを抑制することができる。一方、定速コンベアであるベルトコンベア29を有しているため、可変速コンベアである吸着コンベア28だけで装置30から装置40までの搬送経路に亘って正極8を搬送する場合と比較して、コストを削減することができる。
また、吸着コンベア28は、搬送経路に沿って並ぶ複数の正極8を吸着した状態で搬送する。したがって、少なくとも正極8複数個分の十分な距離によって搬送時間を調整することができ、位相差が大きい場合でも、対応可能である。特許文献1に記載の極板フィーダーも、極板を供給するタイミングを調整する機能を持つが、構成上、極板の後方(上流側)の間隔の範囲内でしか調整が出来ず、対応可能な範囲は小さい。
この電極搬送装置20において、搬送コンベア22は、正極8を吸着しながら搬送する。このため、正極8の吸着される側の面と反対側の面に対して、正極8の位置ずれを抑制しながら検査部25bによる検査、クリーナ25aによる異物の除去等の処理を行うことができる。
この電極搬送装置20は、搬送経路において搬送コンベア22よりも上流側に配置され、前工程の設備から供給される正極8を搬送する搬送コンベア21をさらに備え、搬送コンベア22は、搬送コンベア21を介して装置30から正極8の供給を受ける。このため、搬送コンベア21に搬送されている正極8に対して、例えば、検査部24bによる検査、クリーナ24aによる異物の除去等の処理を行うことができる。本実施形態においては、検査部24b,25b、及びクリーナ24a,25aにより、正極8の両面に対して正極8の位置ずれを抑制しながら検査及び異物の除去を行うことができる。
この電極搬送装置20において、搬送コンベア22は、搬送コンベア21,23よりも上方に配置されており、搬送コンベア21により搬送された正極8を吸着しながら搬送すると共に、正極8の吸着の解除により搬送コンベア23に電極を落下させて供給する。このため、搬送コンベア22が搬送コンベア21部から正極8の供給を受けるとき、及び、搬送コンベア22が搬送コンベア23に正極8を供給するときに、正極8の位置ずれを抑制することができる。
この電極搬送装置20において、搬送コンベア22は、搬送経路において吸着コンベア28よりも上流側に配置され、一定の速度によって吸着コンベア28まで正極8を搬送する吸着コンベア27を有している。このため、吸着コンベア27,28の間において、不良品の正極8の廃棄等の別の処理を行うことが可能となる。
この電極搬送装置20において、装置30は、電極母材18の切断により正極8を製造する電極製造装置であり、装置40は、正極8にセパレータ10を設けることによりセパレータ付き正極11を製造するセパレータ付き電極製造装置である。このため、電極製造装置から供給される正極8を搬送して、セパレータ付き電極製造装置に供給する際に、正極8の供給のタイミングを調整することが可能となる。
[コントローラの処理に係る実施形態]
引き続いて、コントローラ26の処理の一例について説明する。図7及び図8は、コントローラの処理を説明するための概略側面図である。コントローラ26は、可変速コンベアである吸着コンベア28の正極(電極)8を搬送する速度(以下、「搬送速度」という)を調整する処理を行う。上述したように、本実施形態に係る電極搬送装置20においては、コントローラ26による吸着コンベア28の速度調整によって、正極8が搬送経路を搬送されて装置40に供給されるまでの搬送時間を調整する。これにより、装置40の動作状況に適した時間間隔にて、正極8を装置40に供給することが可能となる。
一方で、連続して搬送される複数の正極8の間の間隔にばらつきが生じる場合がある。その場合には、例えば1つの正極8を基準として吸着コンベア28の速度調整を行った後に、さらに、それ以降の正極8の間隔のばらつきを考慮した速度調整を行うことが有効である。そこで、コントローラ26は、以下の処理を実行する。なお、以下の説明では、まず、処理の全体の概要を述べた後に、それぞれの処理の詳細を含む吸着コンベア28の制御方法を説明する。
すなわち、コントローラ26は、まず、正極8としての第1正極(第1電極)81が吸着コンベア28に供給される第1タイミングと装置40の動作状況とに基づいて、吸着コンベア28の正極8の搬送速度を第1速度に設定する第1処理を実行する。上述したように、装置40は、回転動作(例えば、ヒータローラ43が回転しながら一対のセパレータ帯19a,19bを互いに溶着する動作)を含む装置である。このため、第1処理においては、第1タイミングにおける当該回転動作の位相D1に基づいて、第1正極81が装置40に供給されるときの位相D2のずれ量ΔDを算出し、位相D2のずれ量ΔDを補償するように第1速度を算出する。
また、コントローラ26は、第1正極81の次の正極8としての第2正極(第2電極)82が吸着コンベア28に供給される第2タイミングに基づいて、第1正極81と第2正極82との時間間隔(間隔)T12を算出する第2処理を実行する。そして、コントローラ26は、第1正極81が吸着コンベア28から搬出された後に、時間間隔T12と装置40の動作状況とに基づいて、吸着コンベア28の搬送速度を第2速度に設定する第3処理を実行する。これにより、各正極8が吸着コンベア28から搬出されるタイミング(吸着コンベア28に搬送されている時間)が個別に調整されるので、正極8同士の間隔にばらつきがある場合であっても、正極8を一定の時間間隔で装置40へ供給することが可能となる。
図9は、吸着コンベアの制御方法を示すフローチャートである。図7〜9に示されるように、この方法においては、まず、コントローラ26が、準備処理を行う(工程S101)。より具体的には、この準備処理では、コントローラ26は、吸着コンベア28の搬送速度を、前段の定速コンベアである吸着コンベア27の速度Vとしたとき、吸着コンベア28により正極8が搬送される時間Tを取得して保持する。
続いて、コントローラ26が、検出部22aの検出結果に基づいて、第1正極81が吸着コンベア28に供給される第1タイミングを取得する(工程S102:第1処理)。ここでは、一例として、コントローラ26は、吸着コンベア28の始端において第1正極81が検出された旨の信号を検出部22aから入力することにより、第1タイミングを取得する。
続いて、コントローラ26が、第1タイミングにおける装置40の回転動作の位相を取得する(工程S103:第1処理)。ここでは、一例として、コントローラ26は、第1タイミングにおけるヒータローラ43の回転動作の位相(例えば加熱部43bの位置)D1を取得する。
続いて、コントローラ26が、工程S103において取得した第1タイミングにおける回転動作の位相D1に基づいて、第1正極81が装置40に供給されるときの位相D2のずれ量ΔDを算出する(工程S104:第1処理)。ここでは、コントローラ26は、第1タイミングにおける回転動作の位相D1から時間Tの後の回転動作の位相D2を算出すると共に、位相D2のずれ量ΔDとして位相D2と位相D0との差を算出する。位相D0は、回転動作(例えば加熱部43b)が位相D1から溶着位置に至る位相量である。なお、ここでは、吸着コンベア28と装置40との間に定速コンベアであるベルトコンベア29が介在している。したがって、時間Tは、実際には、正極8がベルトコンベア29を搬送されている時間を含んでいる。また、位相の算出や速度の算出についても同様に、ベルトコンベア29の搬送時間を考慮することができる。
ここでは、一例として、位相D2は、位相D0よりも進んでいる。このため、第1タイミングから時間Tの後に第1正極81が溶着位置に至るときには、加熱部43bがすでに位相D2にあるため、第1正極81は、ずれ量ΔDの分だけ遅れていることになる。
続いて、コントローラ26が、位相D2のずれ量ΔDを時間に換算して時間のずれ量ΔTを算出する(工程S105:第1処理)。ここでは、コントローラ26は、位相D2のずれ量ΔDを回転動作の周期(MCT)で除することにより時間のずれ量ΔTを算出する。上述したような第1正極81の搬送がずれ量ΔD分だけ遅れている場合には、このずれ量ΔTは遅れ時間である。
続いて、コントローラ26が、時間のずれ量ΔTを補償するための吸着コンベア28の搬送速度である第1速度V1を算出し、設定する(工程S106:第1処理)。ここでは、一例として、第1速度V1は、元の速度Vに対して、時間T/(時間T−ずれ量ΔT)を乗じることにより算出される。上述したような第1正極81の搬送が遅れている場合には、第1速度V1は速度Vよりも大きくなる(すなわち、吸着コンベア28の搬送速度を増大させることになる)。これにより、第1正極81が溶着位置に至るタイミング(装置40に供給されるタイミング)が、加熱部43bが溶着位置に至るタイミングに一致するように調整される。すなわち、第1正極81の搬送に対する位相D2のずれ量ΔDが補償される。
一方で、コントローラ26が、検出部22aの検出結果に基づいて、第1正極81の次の正極8である第2正極82が吸着コンベア28に供給される第2タイミングを取得する(工程S107:第2処理)。ここでは、一例として、コントローラ26は、吸着コンベア28の始端において第2正極82が検出された旨の信号を検出部22aから入力することにより、第2タイミングを取得する。そして、コントローラ26が、第1タイミングと第2タイミングとの時間間隔T12を算出し、保持する(工程S108:第2処理)。これらの工程S107,S108は、上記の工程S103〜S106とは独立して実施可能であり、検出部22aが第2正極82を検出したときに実行され得る。
続いて、コントローラ26が、第1速度V1に対して、時間間隔T12を回転動作の周期で除した値を乗じることにより、吸着コンベア28の搬送速度としての第2速度V2を算出する(工程S109:第3処理)。そして、コントローラ26が、第1正極81が吸着コンベア28から搬出された後に、吸着コンベア28の搬送速度を第2速度V2に設定する。これにより、第2正極82が溶着位置に至るタイミングが、時間間隔T12に応じて加熱部43bが再び溶着位置に至るタイミングに一致するように調整される。なお、第1正極81が吸着コンベア28から搬出されたことは、第1タイミングから(時間T−ずれ量ΔT)経過したことをもって判定(検知)することができる。或いは、第1正極81が吸着コンベア28から搬出されたことは、吸着コンベア28の終端にセンサを設け、そのセンサの検出結果に基づいて判定(検知)してもよい。
その後、コントローラ26が、検出部22aから信号に基づいて、一定時間内に正極8の検出があるか否かを判定し(工程S110)、一定時間内に正極8の検出がない場合には処理を終了する。一方、一定時間内に正極8の検出があった場合には、コントローラ26の処理は、工程S107に戻る。
以上説明したコントローラ26の処理によれば、正極8同士の間隔にばらつきがある場合であっても、装置40への正極8の供給のタイミングを調整することが可能となる。また、装置40は、回転動作を含む装置であって、コントローラ26は、第1処理において、第1タイミングにおける回転動作の位相D1に基づいて、第1正極81が装置40に供給されるときの位相D2のずれ量ΔDを算出し、位相D2のずれ量ΔDを補償するように第1速度を算出する。また、第3処理において、時間間隔T12と回転動作の周期(MCT)とに基づいて第2速度V2を算出する。このため、回転動作するヒータローラ43を用いた溶着により正極8にセパレータ10を設ける装置40に対して、正極8の供給のタイミングを確実に調整することが可能となる。
以上の実施形態は、本発明に係る電極搬送装置の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係る電極搬送装置は、上記の電極搬送装置20に限定されない。本発明に係る電極搬送装置20は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上記の電極搬送装置20を任意に変更したものとすることができる。
例えば、図10に示されるように、電極搬送装置は、搬送コンベア22に代えて、吸着コンベア28のみを有する搬送コンベア22Aを備える電極搬送装置20Aであってもよい。この場合、吸着コンベア28は、搬送コンベア21から供給された正極8を吸着しながら搬送して搬送コンベア23(ベルトコンベア29)に供給する。
また、搬送コンベア22は、吸着コンベア27,28に代えて、吸着コンベア以外の可変速コンベアを有していてもよい。搬送コンベア23は、ベルトコンベア29に代えて、ベルトコンベア以外の定速コンベアを有していてもよい。搬送コンベア22は、搬送コンベア21,23よりも上方に配置されていなくてもよい。搬送コンベア22は、搬送コンベア21,23の一方又は両方と同じ高さに配置されていてもよく、搬送コンベア21,23の一方又は両方よりも下方に配置されていてもよい。これらの場合、搬送された正極8の相互の受け渡しは、適宜変更することができる。
また、搬送コンベア21としては、任意の定速コンベア又は可変速コンベアを採用することができる。さらに、電極搬送装置は、搬送コンベア21を備えていなくてもよい。電極搬送装置は、装置30から供給された正極8を搬送コンベア22が直接受け取ってもよい。
また、装置30は、電極製造装置に限定されない。同様に、装置40は、セパレータ付き電極製造装置に限定されない。例えば、装置30は、セパレータ付き電極製造装置であってもよく、装置40は、電極を積層するための電極積層装置であってもよい。一例として、装置40がセパレータ付き正極11及び負極9を相互に積層する電極積層装置である場合、上記実施形態又は変形例に係る電極搬送装置によれば、セパレータ付き正極11が電極積層装置に供給されるタイミングと、負極9が電極積層装置に供給されるタイミングと、を調整することができる。
電極搬送装置の搬送対象は、正極8に限定されず、セパレータ付き正極11であってもよく、負極9であってもよい。