〔第1実施形態〕
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、リチウムイオン二次電池等の積層電池を構成する積層体4は、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で、下から順に繰り返し積み重なることで形成されている。
負極箔1及び正極箔3は、矩形状の金属箔よりなる極箔本体1A,3Aの表裏両面に活物質1B,3Bが塗布形成されることにより構成されており、活物質1B,3Bが塗布形成されてなる塗工部と、極箔本体1A,3Aが露出してなる未塗工部とを有している。
具体的に、負極箔1の極箔本体1Aは、例えば銅により構成され、正極箔3の極箔本体3Aは、例えばアルミニウムにより構成されている。また、負極箔1の表裏両面には、負極活物質として、例えばケイ素等を含有する粒子が塗布され、正極箔3の裏表両面には、正極活物質として、例えばコバルト酸リチウム等を含有する粒子が塗布されている。
セパレータ2は、絶縁性を有する矩形状の多孔質樹脂フィルムにより構成されており、負極箔1及び正極箔3の平面矩形状の塗工部(活物質1B,3B)よりも一回り大きい矩形状をなしている。
以下、特に正・負を区別する必要のないときには、負極箔1、正極箔3を総称して「電極箔1,3」と称することもある。同様に、電極箔1,3と、セパレータ2とを区別する必要のないときには、電極箔1,3、セパレータ2を総称して「シート」と称することもある。また、複数枚のシートが接合されたものを「接合シート」と称することもある。このうち、特に矩形状に切断されたシート(接合シート)を「シート片(接合シート片)」と称することもある。
適正な積層状態において、負極箔1及び正極箔3の塗工部は、セパレータ2によって完全に覆われ、はみ出しておらず、負極箔1及び正極箔3の未塗工部のみが、それぞれ異なる位置においてセパレータ2からはみ出すようにして突出している。該各未塗工部は、負極タブ、正極タブに相当するものであり、積層電池の内部で電極端子の負極及び正極に対しそれぞれ電気的に接続される領域となる。
次に積層体4を製造する積層装置(積層電池の製造装置)5について詳しく説明する。図2は、積層装置5の概略構成図である。同図に示すように、積層装置5は、接合シート片を供給する供給手段としてのシート供給機構6と、該シート供給機構6から供給される接合シート片を順次、所定の積層作業位置へ間欠搬送する搬送手段としての搬送機構7と、該搬送機構7によって搬送される接合シート片を順次、積み上げていく積上げ機構8と、これら各機構6〜8を制御する制御部9とを備えている。
シート供給機構6は、負極箔1を供給する負極箔供給機構21と、負極箔1上に積層されるセパレータ2を供給する負極上セパレータ供給機構22と、正極箔3を供給する正極箔供給機構23と、正極箔3上に積層されるセパレータ2を供給する正極上セパレータ供給機構24と、これら4枚のシートを一体に接合すると共に、矩形状に切断して接合シート片として搬送機構7へ送り出すシート片送出機構25とを備えている。
負極箔供給機構21は、負極箔1がロール状に捲回されてなる負極箔原反31と、該負極箔原反31から負極箔1を引き出す一対の繰出しローラ32,32とを備えている。
負極箔原反31は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能に支持されている。一対の繰出しローラ32,32は、それぞれサーボモータ等の駆動手段により回転制御可能に構成されている。かかる構成の下、本実施形態では、一対の繰出しローラ32,32が負極箔1を挟持しつつ連続回転することで、負極箔原反31から負極箔1が連続して引き出され、シート片送出機構25へと送られる。
負極上セパレータ供給機構22は、セパレータ2がロール状に捲回されてなるセパレータ原反35と、該セパレータ原反35からセパレータ2を引き出す一対の繰出しローラ36,36とを備えている。
セパレータ原反35は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能に支持されている。一対の繰出しローラ36,36は、それぞれサーボモータ等の駆動手段により回転制御可能に構成されている。かかる構成の下、本実施形態では、一対の繰出しローラ36,36がセパレータ2を挟持しつつ連続回転することで、セパレータ原反35からセパレータ2が連続して引き出され、シート片送出機構25へと送られる。
正極箔供給機構23は、正極箔3がロール状に捲回されてなる正極箔原反41と、該正極箔原反41から正極箔3を引き出す一対の繰出しローラ42,42とを備えている。
正極箔原反41は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能に支持されている。一対の繰出しローラ42,42は、それぞれサーボモータ等の駆動手段により回転制御可能に構成されている。かかる構成の下、本実施形態では、一対の繰出しローラ42,42が正極箔3を挟持しつつ連続回転することで、正極箔原反41から正極箔3が連続して引き出され、シート片送出機構25へと送られる。
正極上セパレータ供給機構24は、セパレータ2がロール状に捲回されてなるセパレータ原反45と、該セパレータ原反45からセパレータ2を引き出す一対の繰出しローラ46,46とを備えている。
セパレータ原反45は、自身の中心軸を回転軸として自由回転可能に支持されている。一対の繰出しローラ46,46は、それぞれサーボモータ等の駆動手段により回転制御可能に構成されている。かかる構成の下、本実施形態では、一対の繰出しローラ46,46がセパレータ2を挟持しつつ連続回転することで、セパレータ原反45からセパレータ2が連続して引き出され、シート片送出機構25へと送られる。
シート片送出機構25は、負極側重ね合わせ機構51と、正極側重ね合わせ機構52と、正負重ね合わせ機構53と、シート片製造機構54とを備えている。
負極側重ね合わせ機構51は、サーボモータ等の駆動手段により回転制御可能に構成された一対のニップローラ55,55を備えている。本実施形態では、一対のニップローラ55,55がそれぞれ互いに圧接しつつ連続回転するよう制御される。また、一対のニップローラ55,55のうち、少なくとも一方はヒータを備えた加熱ローラとして構成されている。
かかる構成の下、本実施形態では、負極箔供給機構21から供給される帯状の負極箔1と、負極上セパレータ供給機構22から供給される帯状のセパレータ2とが重なるように一対のニップローラ55,55間に連続して送り込まれる。
そして、負極箔1及びセパレータ2が一対のニップローラ55,55間を加熱圧接状態で通過することで、樹脂製のセパレータ2が負極箔1に熱溶着し、両者は接合シートとして一体に重ね合わされた状態となる。以下、負極箔1及びセパレータ2の2枚が接合された接合シートを「負極接合シートTa」という。一対のニップローラ55,55間から送り出された帯状の負極接合シートTaは正負重ね合わせ機構53へと送られる。
正極側重ね合わせ機構52は、サーボモータ等の駆動手段により回転制御可能に構成された一対のニップローラ56,56を備えている。本実施形態では、一対のニップローラ56,56がそれぞれ互いに圧接しつつ連続回転するよう制御される。また、一対のニップローラ56,56のうち、少なくとも一方はヒータを備えた加熱ローラとして構成されている。
かかる構成の下、本実施形態では、正極箔供給機構23から供給される帯状の正極箔3と、正極上セパレータ供給機構24から供給される帯状のセパレータ2とが重なるように一対のニップローラ56,56間に連続して送り込まれる。
そして、正極箔3及びセパレータ2が一対のニップローラ56,56間を加熱圧接状態で通過することで、樹脂製のセパレータ2が正極箔3に熱溶着し、両者は接合シートとして一体に重ね合わされた状態となる。以下、正極箔3及びセパレータ2の2枚が接合された接合シートを「正極接合シートTb」という。一対のニップローラ56,56間から送り出された帯状の正極接合シートTbは正負重ね合わせ機構53へと送られる。
正負重ね合わせ機構53は、サーボモータ等の駆動手段により回転制御可能に構成された一対のニップローラ57,57を備えている。本実施形態では、一対のニップローラ57,57がそれぞれ互いに圧接しつつ連続回転するよう制御される。また、一対のニップローラ57,57のうち、少なくとも一方はヒータを備えた加熱ローラとして構成されている。
かかる構成の下、本実施形態では、負極側重ね合わせ機構51から供給される帯状の負極接合シートTaと、正極側重ね合わせ機構52から供給される帯状の正極接合シートTbとが重なるように一対のニップローラ57,57間に連続して送り込まれる。
そして、負極接合シートTa及び正極接合シートTbが一対のニップローラ57,57間を加熱圧接状態で通過することで、負極接合シートTa側のセパレータ2が正極接合シートTb側の正極箔3に熱溶着し、これらは接合シートとして一体に重ね合わされた状態となる。以下、負極箔1、セパレータ2、正極箔3及びセパレータ2の4枚のシートがこの順序で重なり接合された接合シートを「正負接合シートTc」という。
尚、負極側重ね合わせ機構51(一対のニップローラ55,55)及び正極側重ね合わせ機構52(一対のニップローラ56,56)における加熱処理を省略し、正負重ね合わせ機構53(一対のニップローラ57,57)においてのみ加熱処理を行い、ここで4枚のシートを一体(正負接合シートTc)とする構成としてもよい。
シート片製造機構54は、正負重ね合わせ機構53(一対のニップローラ57,57)から送り出される帯状の正負接合シートTcを矩形状のシート片に切断し、搬送機構7へ受け渡すための機構である。以下、矩形状に切断された正負接合シートTcを「正負接合シート片Tc」という。
シート片製造機構54は、帯状の正負接合シートTcを切断するための一対のカッタ刃59と、矩形状に切断された正負接合シート片Tcを吸着し搬送機構7へ受け渡すためのシート片受渡し機構60とを備えている。
一対のカッタ刃59は、図示しない駆動手段により、帯状の正負接合シートTcの搬送経路に沿って変位するシート追従変位動作と、該正負接合シートTcを切断するシート切断動作とを同時に実行可能に構成されている。つまり、一対のカッタ刃59は、一定速度で連続して送り出される帯状の正負接合シートTcに追従して同速度で移動しつつ、該正負接合シートTcを切断することができるよう構成されている。
シート片受渡し機構60は、連続動作を行う正負重ね合わせ機構53と、間欠動作を行う搬送機構7の動作の違いを吸収するためのものである。
図3に示すように、シート片受渡し機構60は、回転可能に設けられた駆動軸61と、該駆動軸61の軸方向一端側に取付けられ、該駆動軸61と一体回転する回転体62と、駆動軸61の軸方向他端側に接続され、該駆動軸61を連続回転駆動する図示しないモータ等の回転駆動手段と、回転体62の周方向に90°の等間隔で設けられ、駆動軸61の軸方向と平行する方向を軸心として回転可能となるよう回転体62に軸支された4つの自転軸63と、該自転軸63の軸方向一端側から径方向外側に延出した支持軸部64と、該支持軸部64の先端側に設けられ、正負接合シートTcを吸着可能な吸着ヘッド65と、自転軸63の軸方向他端側に設けられた遊星歯車66と、駆動軸61と同心で回転可能に設けられた中央歯車67と、遊星歯車66と中央歯車67の間に設けられ、両者とそれぞれ噛合するアイドラギヤ68と、中央歯車67の回転及び停止を駆動制御する図示しない歯車制御手段とを備えている。尚、吸着ヘッド65及びその負圧供給に係る構造は、後述する搬送機構7の吸着ヘッド75に係る構造と同様であるため、詳しい説明は省略する。
かかる構成の下、シート片受渡し機構60は、回転体62の回動軸(駆動軸61)の鉛直上方位置及びその回転方向前後所定区間を含む受取り区間において、正負重ね合わせ機構53から一定速度で連続して送り出される帯状の正負接合シートTcを吸着ヘッド65に吸着させると共に、該正負接合シートTcに追従するように一対のカッタ刃59を同速度で移動させつつ、該正負接合シートTcを切断する。
そして、吸着ヘッド65に吸着された正負接合シート片Tcは、回転体62の下方へ搬送され、回転体62の回動軸(駆動軸61)の鉛直下方位置及びその回転方向前後所定区間を含む受渡し区間において、後述する搬送機構7の吸着ヘッド75に対し受け渡される。
尚、本実施形態では、回転体62の連続回転に合わせて適宜、中央歯車67の停止制御や所定方向への回転制御を行うことにより、上記受取り区間及び受渡し区間において、吸着ヘッド65の移動速度が遅くなりかつ吸着ヘッド65の姿勢変化が少なくなるような動作制御を行っている。これにより、正負接合シートTcの受取り及び受渡しを安定して行うことができる。
勿論、このような吸着ヘッド65の動作制御に係る構成は、上述したシート片受渡し機構60に係る構成に限定されるものではない。例えば遊星歯車とカム機構を組み合わせた公知技術(例えば特開2006−298557号公報)等を応用して用いることができる。
この他、シート供給機構6には、各シートの供給経路の途中において、シートの弛みを防止するためのテンション付与機構(図示略)や、シートを案内するための各種案内ローラ(符号略)等も設けられている。
次に搬送機構7の構成について詳しく説明する。図3は、搬送機構7等を示す側面模式図である。図4は、搬送機構7等を示す正面模式図である。以下、図4の左右方向(水平方向)をX軸方向とし、紙面奥行方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向として説明する。
搬送機構7は、X軸方向を軸線方向として回転可能に設けられた駆動軸70と、該駆動軸70と一体回転するよう該駆動軸70に取付固定された円盤状のターレット71と、駆動軸70の軸受けとなる円筒カム72とを備えている。
駆動軸70は、その基端側(図4左側)において、図示しない間欠回転駆動手段に接続されており、一定方向(図3の時計回り方向)へ60°ずつ間欠的に回転するよう構成されている。
尚、本実施形態では、0.1秒程度の高速度の間欠動作(例えば0.04秒の搬送動作+0.06秒のインターバル)を想定しており、これを実現可能な間欠回転駆動手段の一例としては、例えばインデックス(間欠割出装置)やDDモータ(ダイレクトドライブモータ)、サーボモータ、リニアモータなどが挙げられる。
ターレット71には、その周縁部近傍(その径方向における円筒カム72の外周面の位置よりも外側位置)において、X軸方向に貫通する軸受孔73が、その回転軸となる駆動軸70を中心に周方向に60°の等間隔で6つ形成されている。
以下、ターレット71の回転方向に対し、各軸受孔73が一旦停止する位置を第1ポジションP1〜第6ポジションP6として種々の説明を行う(図3参照)。具体的に、本実施形態では、駆動軸70の鉛直上方における停止位置を「第1ポジションP1」とし、ここから、図3の時計回り方向へ60°進んだ位置を「第2ポジションP2」とし、さらに60°進んだ位置を「第3ポジションP3」とする。また、駆動軸70の鉛直下方における停止位置を「第4ポジションP4」とし、ここから、図3の時計回り方向へ60°進んだ位置を「第5ポジションP5」とし、さらに60°進んだ位置を「第6ポジションP6」とする。ここで、第1ポジションP1が本実施形態における旋回方向第1位置に相当し、第4ポジションP4が旋回方向第2位置に相当する。
各軸受孔73には、それぞれ直棒状の駆動用ロッド74が図示しないベアリング機構を介して挿通されている。各駆動用ロッド74は、その基端側(図4左側)において、図示しない駆動手段に接続されており、X軸方向に沿ってスライド変位可能に構成されている。
尚、駆動用ロッド74を駆動する駆動手段としては、直動型の流体圧シリンダなどが一例に挙げられる。勿論、駆動用ロッド74に係る駆動手段の構成はこれに限定されるものではなく、他の駆動手段を採用してもよい。
各駆動用ロッド74の先端側(図4右側)には、それぞれ上記正負接合シート片Tcを吸着可能な吸着手段としての吸着ヘッド75が組付けられている。つまり、円筒カム72周りに60°の等間隔で6つの吸着ヘッド75が配設されている。
ここで、吸着ヘッド75の組付構造についてより詳しく説明する。各駆動用ロッド74の先端部には、X軸方向と直交する方向に貫通した軸受筒部76が設けられている。各軸受筒部76には、それぞれ直棒状の支持軸部77が挿通されている。
各支持軸部77は、軸受筒部76の軸心に沿ってスライド変位可能に設けられると共に、軸受筒部76の軸心回りには変位不能な構成となっている。支持軸部77は、図示しないバネ等の付勢手段により、その基端側(円筒カム72側)に付勢されている。そして、この支持軸部77の先端側(円筒カム72とは反対側)に吸着ヘッド75が設けられている。
一方、支持軸部77の基端部にはカムフォロア79が形成されている。これに対応して、円筒カム72の外周面には、2本のカム溝80A,80Bが形成されている。各カム溝80A,80Bは、それぞれ円筒カム72の外周面を一周して元の位置に戻るように形成されている。そして、支持軸部77のカムフォロア79は、常時、円筒カム72の第1カム溝80A又は第2カム溝80Bのいずれかに係合した状態となっている。
第1カム溝80A及び第2カム溝80Bは、図4に示す円筒カム72の正面視において、X軸方向に対しそれぞれ逆方向に傾斜するように形成されている。これにより、第1カム溝80A及び第2カム溝80Bは、円筒カム72の上端部にあたる第1ポジションP1を含む周方向所定区間においては、カムフォロア79がX軸方向へ移動可能に繋がっている一方、円筒カム72の下端部にあたる第4ポジションP4においては、X軸方向へ所定間隔だけ離間している。
かかる構成の下、駆動軸70を介してターレット71が回転し、各駆動用ロッド74を介して各吸着ヘッド75が円筒カム72の周囲を間欠的に旋回動作する際には、支持軸部77のカムフォロア79が第1カム溝80A又は第2カム溝80Bのいずれかに沿って移動することにより、吸着ヘッド75はX軸方向へも変位することとなる。
これにより、搬送機構7は、円筒カム72の上方位置(第1ポジションP1)において上記シート供給機構6から受け渡される正負接合シート片Tcの搬送先を、円筒カム72の下方位置(第4ポジションP4)において、X軸方向に並設された第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2に切換え可能に構成されている。
具体的には、第1カム溝80Aに沿って吸着ヘッド75を旋回させることにより、円筒カム72の上方位置(第1ポジションP1)にて受け渡される正負接合シート片Tcを、駆動軸70の基端側に位置する第1積層作業位置RA1へ搬送することができる。
一方、第2カム溝80Bに沿って吸着ヘッド75を旋回させることにより、円筒カム72の上方位置(第1ポジションP1)にて受け渡される正負接合シート片Tcを、駆動軸70の先端側に位置する第2積層作業位置RA2へ搬送することができる。
尚、図示は省略するが、第1カム溝80A又は第2カム溝80Bの底壁部には第1ポジションP1及び第4ポジションP4において、円筒カム72の径方向外側に向け膨出した膨出部が設けられている。これにより、吸着ヘッド75が第1ポジションP1へ移動した際には、該吸着ヘッド75が円筒カム72の径方向外側すなわち上方に向け変位することとなる。一方、吸着ヘッド75が第4ポジションP4へ移動した際には、該吸着ヘッド75が円筒カム72の径方向外側すなわち下方に向け変位することとなる。
吸着ヘッド75は吸着板82を有している(図6,7参照)。吸着板82としては、多孔質体からなる多孔質吸着板や、多孔式吸着板などを採用することができる。
また、本実施形態では、後述する保持機構110(押さえ爪114)と干渉しないように、吸着板82の四隅にそれぞれ切欠き部82aが形成されている。
吸着ヘッド75の内部には、吸着板82に連通する連通路(図示略)が形成されている。吸着ヘッド75の外部には、前記連通路に連通するチューブ83が接続されている。
これに対応して、ターレット71の円筒カム72側の側面には、上記6つの軸受孔73の近傍にそれぞれ併設されるように吸引ポート84が形成されている。そして、各吸着ヘッド75から延出したチューブ83の他端側は、それぞれ対応する吸引ポート84に接続されている。
ターレット71には、各吸引ポート84からX軸方向に貫通し反対側の側面に円形状に開口した通気孔89が形成されている。ターレット71の周方向における各通気孔89の形成範囲は、本実施形態ではターレット71の周方向約10°幅分に設定されている。
また、6つの通気孔89が開口した側(円筒カム72側とは反対側)のターレット71の側面には、該側面を覆うように円盤状の固定バルブ90が配設されている。
図5に示すように、固定バルブ90内には、3つの負圧空間部DA1,DA2,DA3と、1つの正圧空間部DA4とが形成されている。各空間部DA1〜DA4は、ターレット71の回転に伴い位置変化する各通気孔89と連通可能となるよう、固定バルブ90のターレット71側の側面に開口している。
より詳しくは、第1負圧空間部DA1は、第1ポジションP1を起点としてターレット71の回転方向約50°幅分の範囲に円弧状に開口している。第2負圧空間部DA2は、第2ポジションP2を起点としてターレット71の回転方向約50°幅分の範囲に円弧状に開口している。第3負圧空間部DA3は、第3ポジションP3を起点としてターレット71の回転方向約50°幅分の範囲に円弧状に開口している。正圧空間部DA4は、第4ポジションP4においてターレット71の回転方向約10°幅分の範囲に円形状に開口している。
固定バルブ90には、各負圧空間部DA1,DA2,DA3に対応して個別に真空発生手段(負圧供給手段)としてのエジェクタEA1,EA2,EA3が設けられている。具体的には、第1負圧空間部DA1に対し、図示しない連通孔を介して第1エジェクタEA1が接続されている。同様に、第2負圧空間部DA2に対し第2エジェクタEA2が接続され、第3負圧空間部DA3に対し第3エジェクタEA3が接続されている。
かかる構成の下、第1エジェクタEA1(第2エジェクタEA2、第3エジェクタEA3)が作動すると、第1負圧空間部DA1(第2負圧空間部DA2、第3負圧空間部DA3)内の空気が吸引され、第1負圧空間部DA1(第2負圧空間部DA2、第3負圧空間部DA3)内は負圧が供給された状態となる。本実施形態では、各エジェクタEA1,EA2,EA3が常時作動状態となるよう制御されている。
そして、ターレット71の回転に伴い、第1負圧空間部DA1(第2負圧空間部DA2、第3負圧空間部DA3)と連通する所定の通気孔89に負圧が供給されると、該通気孔89とチューブ83を介して連通した吸着ヘッド75(吸着板82)において吸引が行われ、正負接合シート片Tcを吸着することができる。
また、固定バルブ90には、正圧空間部DA4に対応して正圧供給手段としてのエアブロアEA4が設けられている。エアブロアEA4は、図示しない連通孔を介して正圧空間部DA4に接続されている。エアブロアEA4は、制御部9によってオンオフ制御される。本実施形態では、第4ポジションP4に各通気孔89が間欠停止する際(ターレット71の間欠回転動作間のインターバル中)の所定のタイミングに合わせて、エアブロアEA4が作動状態となる。
エアブロアEA4が作動すると、正圧空間部DA4に対し圧縮空気が噴射されることとなり、通気孔89及びチューブ83を介して、該正圧空間部DA4と連通する吸着ヘッド75(吸着板82)から正負接合シート片Tcを離間させることができる。
上記のとおり、本実施形態では、各負圧空間部DA1,DA2,DA3が互いに非連通状態となるよう構成されると共に、ターレット71の回転方向に隣接する2つの吸着ヘッド75に係る通気孔89が同時に同一の負圧空間部DA1,DA2,DA3と連通しないよう構成されている。
かかる構成により、仮に所定の吸着ヘッド75に吸着されていた正負接合シート片Tcが外れてしまい、該吸着ヘッド75と連通した所定の負圧空間部(例えば第1負圧空間部DA1)内の真空度が低下してしまった場合でも、他の吸着ヘッド75と連通した負圧空間部(例えば第2負圧空間部DA2、第3負圧空間部DA3)内の真空度は低下せず、該吸着ヘッド75の吸着力が低下しないように構成されている。
上述したように、本実施形態では、吸着ヘッド75が0.1秒程度の高速度で間欠動作を行う構成となっているため、真空度が低下した場合には、低速で吸着搬送を行う従来の吸着ヘッドよりもシート片が落下しやすくなるおそれがある。
一方、固定バルブ90の周方向において各空間部DA1〜DA4間(例えば第1負圧空間部DA1と第2負圧空間部DA2の間)に位置する隔壁部分の幅がターレット71の通気孔89の幅と同じ約10°幅に設定されると共に、ここを通気孔89が高速で通過していくこととなるため、吸着ヘッド75が第1ポジションP1から第4ポジションP4までの間を移動する間、実質的に吸着ヘッド75内の真空度が低下するようなことはなく、正負接合シート片Tcを脱落させずに吸着搬送することができる。
さらに、搬送機構7においては、第2ポジションP2に対応して撮像手段としての撮像装置95が配置されている。本実施形態では、撮像装置95としてCCDカメラが採用されている。勿論、これに限らず、CMOSカメラなど、他の撮像手段を採用してもよい。
撮像装置95は、吸着ヘッド75によって吸着搬送される正負接合シート片Tcを撮像する。そして、撮像装置95によって撮像され取得された画像データは、制御部9に入力される。そして、制御部9は、撮像装置95によって取得された画像データに基づいて、後述する積層ステージ機構100を制御可能に構成されている。
次に積上げ機構8の構成について詳しく説明する。図6は、積層ステージ機構100及び保持機構110等を示す平面模式図である。図7は、積層ステージ機構100及び保持機構110等を示す側面模式図である。
積上げ機構8は、2つの積層作業位置RA1,RA2に対応してそれぞれ設けられている。積上げ機構8は、積層ステージ機構100と、該積層ステージ機構100(ステージ部としての積層テーブルSA)の四隅に対応して設けられた4つの保持機構110とを備えている。
積層ステージ機構100は、いわゆるXYZθステージであり、X軸移動機構101、Y軸移動機構102、Z軸移動機構103及びθ軸移動機構104を備えている。
X軸移動機構101は、基台105上に配設され、水平方向の一方向であるX軸方向(図7の紙面奥行方向)に移動可能に構成されている。Y軸移動機構102は、X軸移動機構101上に配設され、X軸方向に直交する水平方向であるY軸方向(図7の左右方向)に移動可能に構成されている。Z軸移動機構103は、Y軸移動機構102上に配設され、支持軸部106を介して積層テーブルSAを上下方向であるZ軸方向に移動可能に構成されている。θ軸移動機構104は、Z軸移動機構103上に配設され、支持軸部106を介して、Z軸回りの回転方向であるθ軸方向に積層テーブルSAを移動可能に構成されている。
積層テーブルSAは、正負接合シート片Tcを積層していくための可搬式の積層用パレットSB(以下、単に「パレットSB」という。)を載置可能に構成されている。積層テーブルSAは、パレットSBよりも一回り大きな平面視略矩形状をなし、パレットSBは自身の各辺が積層テーブルSAの各辺に対し略平行するように載置される。
パレットSBは、正負接合シート片Tcよりも一回り大きな平面視略矩形状をなし、正負接合シート片Tcは自身の各辺がパレットSBの各辺に対し略平行するように載置される。
各保持機構110は、パレットSB上に載置される正負接合シート片Tcを押さえるための保持部111と、該保持部111を駆動する駆動機構112とを備えている。本実施形態では、4つの保持機構110が同期して動くように構成されている。つまり、4つの保持部111に係る4つの駆動機構112が連動することにより、4つの保持部111が同期して動くように構成されている。
保持部111は、Z軸方向(上下方向)を軸心として回転可能かつZ軸方向に変位可能に設けられた軸部113と、該軸部113の径方向外側に向け延出した平板状の4つの押さえ爪114とを備えている。
但し、本実施形態では、4つの押さえ爪114が90°の等間隔ではなく、軸部113の周方向に偏在した構成となっている。具体的には、4つの押さえ爪114が72°間隔で配置され、一部に144°間隔分の押さえ爪非形成区間Kが設けられた構成となっている。尚、本実施形態では、各保持部111の押さえ爪非形成区間Kが積層テーブルSA側を向いた状態となることで、後述するパレットSBの搬入・搬出作業を行うことが可能となるよう構成されている。
駆動機構112により軸部113を回転させたり上下動させることにより、押さえ爪114を水平方向に旋回移動させたり、上下動させることができる。尚、軸部113を駆動する駆動機構112としては、軸部113を上下動させるための直動型の流体圧シリンダ(上下駆動手段)や、軸部113を回転させるためのロータリシリンダ(回転駆動手段)などを組み合わせた構成が一例に挙げられる。勿論、駆動機構112の構成はこれに限定されるものではなく、他の駆動手段を採用してもよい。
また、各積上げ機構8には、図示しないパレット搬入出機構がX軸方向に並設されている。パレット搬入出機構は、正負接合シート片Tcが載っていない空のパレットSBを積層テーブルSA上へ配置したり、完成した積層体4が載置されたパレットSBを積層テーブルSA上から取出すための機構であり、図示しないピックアンドプレイス装置等を備えている。
これに対応して、積層テーブルSA上には、ピックアンドプレイス装置のチャキングハンドを抜き差しするための一対の溝部SAaがX軸方向に沿って形成されている。つまり、空のパレットSBの搬入時においては、チャキングハンドによりパレットSBを挟持しつつ積層テーブルSA上に配置した後、溝部SAaを介してチャキングハンドを抜くことができる。一方、完成した積層体4が載置されたパレットSBの搬出時においては、溝部SAaへチャキングハンドを挿入することによりパレットSBの下面を支持すると共に、積層体4を挟持可能となる。
次に、制御部9について説明する。制御部9は、例えば演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなど各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。
制御部9は、シート供給機構6、搬送機構7及び積上げ機構8とそれぞれ電気的に接続されており、これらとの間で各種データを送受信可能に構成されると共に、各機構6〜8を駆動制御可能に構成されている。
例えば、制御部9は、搬送機構7において、吸着ヘッド75毎に正負接合シート片Tcが搬送される搬送先(第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2)を切換える制御や、積上げ機構8において、積層テーブルSAの位置調整を行う制御などを実行可能に構成されている。
尚、かかる制御は、RAMにおいて随時更新記憶されるデータテーブルに基づいて行われる。データテーブルには、各吸着ヘッド75の位置情報、各吸着ヘッド75に吸着された正負接合シート片Tcに関する情報、パレットSB上に積み上げられた正負接合シート片Tcの数情報、並びに、これらの対応関係などが記憶される。
次に、シート供給機構6から供給される正負接合シート片Tcを積み上げていく積層作業の流れについて詳しく説明する。
搬送機構7の上方位置(第1ポジションP1)には、シート供給機構6のシート片受渡し機構60(吸着ヘッド65)によって、所定のタイミングで正負接合シート片Tcが吸着搬送されてくる。
このタイミングに合わせて、搬送機構7では、ターレット71の間欠回転動作が行われ、所定の吸着ヘッド75が円筒カム72の真上位置(第1ポジションP1)に旋回移動してくる。
吸着ヘッド75が第1ポジションP1に到達すると、該吸着ヘッド75は上述したカム溝80A,80Bの膨出部によって上方へ押し上げられ、シート片受渡し機構60の吸着ヘッド65に近接した状態で一旦停止する。
同時に、該吸着ヘッド75に係る通気孔89は第1負圧空間部DA1と連通した状態となる。また、これに合わせて、シート片受渡し機構60では、吸着ヘッド65による正負接合シート片Tcの吸着が解除される。これにより、正負接合シート片Tcの受渡しが行われ、正負接合シート片Tcは搬送機構7の吸着ヘッド75に吸着保持される。
併せて、制御部9は、上記データテーブルに基づき、該吸着ヘッド75に吸着された正負接合シート片Tcの搬送先が第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2のいずれの積上げ機構8であるかを判定する。
例えば正負接合シート片Tcを100枚(計400枚のシート片)を積み重ねることにより積層体4が完成する構成の下、現在、第2積層作業位置RA2の積上げ機構8において積層作業が行われ、この時点で第4ポジションP4の吸着ヘッド75によって98枚目の正負接合シート片Tcが積み重ねられたと仮定すると、制御部9は、この時点で第1ポジションP1にある吸着ヘッド75に吸着された正負接合シート片Tcの搬送先を第1積層作業位置RA1の積上げ機構8とする判定を下す。
続いて、制御部9は、該吸着ヘッド75に係る駆動用ロッド74を駆動制御し、該吸着ヘッド75を上記判定結果(例えば第1積層作業位置RA1)に対応するカム溝80A,80B(例えば第1カム溝80A)側へ寄せる制御を行う。以降、該吸着ヘッド75は、円筒カム72周りを1周旋回移動する間、この選択されたカム溝80A,80Bに沿って移動することとなる。
上記のように第1ポジションP1にて正負接合シート片Tcを吸着した吸着ヘッド75は、次のターレット71の間欠回転動作に伴い第2ポジションP2へ旋回移動する。この間、該吸着ヘッド75に係る通気孔89は、大部分において第1負圧空間部DA1と連通した状態が維持され、該吸着ヘッド75が第2ポジションP2にて一旦停止すると、第2負圧空間部DA2と連通した状態となる。
加えて、このタイミングに合わせて、撮像装置95による正負接合シート片Tcの撮像処理が実行される。ここで、撮像装置95によって取得された画像データは、制御部9に入力され記憶される。そして、制御部9は、この画像データに基づいて、正負接合シート片Tcの位置ズレ量(X軸方向、Y軸方向、θ軸方向への位置ズレ量)を算出し、上記データテーブルに記憶する。
その後、第2ポジションP2に一旦停止していた吸着ヘッド75は、ターレット71の間欠回転動作に伴い第3ポジションP3、第4ポジションP4へと順次、間欠的に旋回移動していくこととなる。この間、該吸着ヘッド75に係る通気孔89は、大部分において第2負圧空間部DA2や第3負圧空間部DA3と連通した状態が維持され、該吸着ヘッド75が第4ポジションP4にて一旦停止すると、正圧空間部DA4と連通した状態となる。
尚、第3ポジションP3から第4ポジションP4への吸着ヘッド75の旋回移動中において、制御部9は、上記データテーブルに記憶した該吸着ヘッド75に吸着された正負接合シート片Tcの位置ズレ量に基づいて積層ステージ機構100(X軸移動機構101、Y軸移動機構102及びθ軸移動機構104)を駆動制御し、積層テーブルSAの位置調整を行う。つまり、新たに載置される正負接合シート片Tcの位置ズレ量に合わせて、パレットSB及びここに既に積み上げられた積層体4の位置調整を行う。ここで、積層テーブルSAの位置調整を行う処理機能により本実施形態におけるステージ調整手段が構成される。
同時に、制御部9は、上記データテーブルに基づき、既に積み上げられた正負接合シート片Tcのシート数を把握し、該シート数に応じて積層ステージ機構100(Z軸移動機構103)を駆動制御し、積層テーブルSAの高さ調整を行う。
これにより、パレットSB上に積み上げられた積層体4の最上面の高さ位置を常時一定に維持することができる。つまり、積層体4の最上面を基準とした押さえ爪114の相対的な上昇量を常時一定とすることができる。
吸着ヘッド75が円筒カム72の真下位置(第4ポジションP4)に到達すると、該吸着ヘッド75は上述したカム溝80A,80Bの膨出部によって下方へ押し下げられ、自身の吸着した正負接合シート片Tcを、上記判定結果に対応した積上げ機構8(例えば第1積層作業位置RA1の積上げ機構8)の積層テーブルSA上のパレットSB又はここに既に積み上げられた積層体4の最上面に載置した状態で一旦停止する。その後、所定のタイミングでエアブロアEA4を作動させることにより、正負接合シート片Tcの吸着解除を行う。
尚、ここでパレットSB上に既に1枚以上の正負接合シート片Tcが積み上げられ、積層体4が存在している場合には、吸着ヘッド75の周縁部より外方へはみ出した正負接合シート片Tcの縁部(はみ出し部分)が、積層体4の最上面(前回載置された正負接合シート片Tc)を押さえている押さえ爪114の上に載った状態となる。
上記のように吸着ヘッド75によって正負接合シート片Tcが載置されると、保持機構110が作動し、各保持部111が上昇する。これにより、押さえ爪114が所定の高さ位置まで上昇する。
続いて、各保持部111が回転し、所定の押さえ爪114を新たに載置された正負接合シート片Tc上へと旋回移動させる。該押さえ爪114が正負接合シート片Tcへ移動すると、各保持部111が下降する。これにより、新たに載置された正負接合シート片Tc(積層体4)の四隅の各コーナー部近傍が押さえ爪114により押さえられた状態となる。
新たに載置された正負接合シート片Tcの四隅が押さえられた状態となると、第4ポジションP4において空となった吸着ヘッド75は、次のターレット71の間欠回転動作に伴い上昇しつつ、第5ポジションP5へ旋回移動する。
その後、上記一連の積層作業が所定数回繰り返し行われることで、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で下から順に積層された積層体4が完成する。
このように所定の積上げ機構8において積層体4が完成すると、該積層体4が載置されたパレットSBを上記パレット搬入出機構(ピックアンドプレイス装置)により積層テーブルSA上から取出すと共に、空のパレットSBを積層テーブルSA上へ配置する。本実施形態では、これらの作業時間として2秒程度を想定している。
ここで、仮に第2積層作業位置RA2の積上げ機構8において、100枚の正負接合シート片Tcが積み上げられた積層体4が完成したと仮定した場合、その最後の100枚目の正負接合シート片Tcを吸着搬送してきた吸着ヘッド75よりも後に第4ポジションP4へ旋回移動してくる吸着ヘッド75は、第1カム溝80Aに沿って第1積層作業位置RA1の積上げ機構8へ正負接合シート片Tcを搬送していくため、第2積層作業位置RA2において積層体4の取出し作業を行っている間も積層作業を中断することなく行うことができる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、旋回移動可能に設けられた複数の吸着ヘッド75により正負接合シート片Tcを吸着搬送する搬送機構7を備えることにより、積層作業の高速化を図ることができる。
加えて、第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2のうちの一方の積上げ機構8において積層作業が完了し、積層体4を搬出する作業中においても、他方の積上げ機構8において積層作業が行うことができる。結果として、先の積層作業の終了から次の積層作業を開始するまでに、積層作業の中断がなく、総体的な生産性の向上等を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態について詳しく説明する。但し、上述した第1実施形態と重複する部分については、同一の部材名称、同一の符号を用いる等してその詳細な説明を省略するとともに、以下には第1実施形態と相違する部分を中心として説明することとする。
本実施形態では、シート供給機構6から、負極箔1及びセパレータ2の2枚が接合された負極接合シート片Taと、正極箔3及びセパレータ2の2枚が接合された正極接合シート片Tbとが個別に供給され、これらを交互に図8,9に示す搬送機構200によって第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2の積上げ機構8へ搬送し積層していく構成となっている。
本実施形態に係るシート供給機構6(シート片送出機構25)においては、第1実施形態の正負重ね合わせ機構53が省略されると共に、負極側重ね合わせ機構51から帯状の負極接合シートTaが連続して送り出される第1の供給レーン、及び、正極側重ね合わせ機構52から帯状の正極接合シートTbが連続して送り出される第2の供給レーンそれぞれに対応してシート片製造機構54が設けられている。
これにより、本実施形態に係る構成では、搬送機構200の上方位置において、上記第1の供給レーンから負極接合シート片Taを受け取るための第1供給位置RB1と、上記第2の供給レーンから正極接合シート片Tbを受け取るための第2供給位置RB2とが、X軸方向に並設された構成となっている。つまり、本実施形態では、第1の供給レーン及び第2の供給レーンといった複数の供給部を備えた構成となっている。
以下、本実施形態に係る搬送機構200の構成について詳しく説明する。図8は、搬送機構200等を示す側面模式図である。図9は、搬送機構200等を示す正面模式図である。
搬送機構200は、X軸方向を軸線方向として回転可能に設けられた駆動軸70と、該駆動軸70と一体回転するよう該駆動軸70に取付固定された円盤状のターレット201とを備えている。
ターレット201の外周面には、その周方向に60°の等間隔で6つの吸着ヘッド75が配設されている。
ここで、吸着ヘッド75の組付構造についてより詳しく説明する。ターレット201の外周面には、その周方向に60°の等間隔で6つの軸孔202が形成されている。各軸孔202は、それぞれターレット201の径方向に沿って形成されている。
各軸孔202には、可動軸部205が挿し込まれている。可動軸部205は、ターレット201の径方向に沿って伸縮可能に設けられると共に、軸孔202の軸心回りに回動変位可能に構成されている。
可動軸部205の先端には、その軸方向と直交する方向へ延出形成された旋回アーム206が設けられている。そして、この旋回アーム206の先端側に、直棒状の固定軸部207を介して吸着ヘッド75が設けられている。
かかる構成により、吸着ヘッド75は、ターレット201の回転に伴い駆動軸70を中心に旋回移動(公転動作)可能に構成されると共に、可動軸部205を中心に回動変位(自転動作)可能に構成されている。
尚、本実施形態では、ターレット201に形成される各通気孔89と、吸着ヘッド75(吸着板82)とを連通する連通路が外部には露出せず、内部に形成されている。つまり、吸着ヘッド75(吸着板82)、固定軸部207、旋回アーム206、可動軸部205の内部に形成された図示しない一連の連通路が軸孔202を介してターレット201の通気孔89と連通した構成となっている。
また、6つの通気孔89が開口した側(駆動軸70の基端側)のターレット201の側面には、第1実施形態と同様の固定バルブ90が配設されている。
本実施形態に係る搬送機構200は、シート供給機構6から受け渡される接合シート片の受取先を、ターレット201の上方位置(第1ポジションP1)において、X軸方向に並設された第1供給位置RB1又は第2供給位置RB2に切換え可能に構成されると共に、接合シート片の搬送先を、ターレット201の下方位置(第4ポジションP4)において、X軸方向に並設された第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2に切換え可能に構成されている。
次に、シート供給機構6から供給される負極接合シート片Ta及び正極接合シート片Tbを交互に積み上げていく積層作業の流れについて詳しく説明する。
本実施形態では、搬送機構200のターレット201の間欠回転動作に合わせて、シート供給機構6の第1供給位置RB1及び第2供給位置RB2に対し、負極接合シート片Ta及び正極接合シート片Tbが異なるタイミングで交互に搬送されてくる。そして、これらを交互に吸着ヘッド75に吸着させ搬送するように構成されている。
例えばシート供給機構6の第1供給位置RB1に対し負極接合シート片Taが搬送されてくるタイミングに合わせて、搬送機構200の上方位置(第1ポジションP1)には、ターレット201の間欠回転動作に伴い所定の吸着ヘッド75が旋回移動してくる。
この際、該吸着ヘッド75のX軸方向における位置は、データテーブルに基づき事前に可動軸部205を回動制御することにより第1供給位置RB1側に位置決めされている。
該吸着ヘッド75が第1ポジションP1に到達すると、可動軸部205の伸長動作によって該吸着ヘッド75は上方へ押し上げられると共に、第1供給位置RB1の吸着ヘッド65に近接した状態で一旦停止する。
同時に、負極接合シート片Taの受渡しが行われ、負極接合シート片Taは搬送機構200の吸着ヘッド75に吸着保持される。
併せて、制御部9は、データテーブルに基づき、該吸着ヘッド75に吸着された負極接合シート片Taの搬送先が第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2のいずれの積上げ機構8であるかを判定する。
例えば負極接合シート片Ta及び正極接合シート片Tbを交互に100枚ずつ(計400枚のシート片)を積み重ねることにより積層体4が完成する構成の下、現在、第2積層作業位置RA2の積上げ機構8において積層作業が行われ、この時点で第4ポジションP4の吸着ヘッド75によって99枚目の正極接合シート片Tbが積み重ねられたと仮定すると、制御部9は、この時点で第1ポジションP1にある吸着ヘッド75に吸着された負極接合シート片Taの搬送先を第1積層作業位置RA1の積上げ機構8とする判定を下す。尚、この時点で第3ポジションP3の吸着ヘッド75には100枚目の負極接合シート片Taが吸着保持され、第2ポジションP2の吸着ヘッド75には100枚目の正極接合シート片Tbが吸着保持されていることとなる。
その後、第1ポジションP1にて負極接合シート片Taを吸着した吸着ヘッド75は、可動軸部205の縮長動作によって下降しながら、次のターレット201の間欠回転動作に伴い第2ポジションP2へと旋回移動していく。
これと入れ替わるように、シート供給機構6の第2供給位置RB2に対し正極接合シート片Tbが搬送されてくる。また、このタイミングに合わせて、搬送機構200の上方位置(第1ポジションP1)には、ターレット201の間欠回転動作に伴い次の吸着ヘッド75が旋回移動してくる。
この際、該吸着ヘッド75のX軸方向における位置は、データテーブルに基づき事前に可動軸部205を回動制御することにより第2供給位置RB2側に位置決めされている。
該吸着ヘッド75が第1ポジションP1に到達すると、可動軸部205の伸長動作によって該吸着ヘッド75は上方へ押し上げられると共に、第2供給位置RB2の吸着ヘッド65に近接した状態で一旦停止する。
同時に、正極接合シート片Tbの受渡しが行われ、正極接合シート片Tbは搬送機構200の吸着ヘッド75に吸着保持される。
併せて、制御部9は、データテーブルに基づき、該吸着ヘッド75に吸着された正極接合シート片Tbの搬送先が第1積層作業位置RA1又は第2積層作業位置RA2のいずれの積上げ機構8であるかを判定する。
その後、第1ポジションP1にて正極接合シート片Tbを吸着した吸着ヘッド75は、可動軸部205の縮長動作によって下降しながら、次のターレット201の間欠回転動作に伴い第2ポジションP2へと旋回移動していく。
上記のように、負極接合シート片Taを吸着した先の吸着ヘッド75、及び、正極接合シート片Tbを吸着した後の吸着ヘッド75は、それぞれ第2ポジションP2、第3ポジションP3、第4ポジションP4へと順次、間欠的に旋回移動していくこととなる。
この間、負極接合シート片Taを吸着した吸着ヘッド75については、例えば搬送先が第2積層作業位置RA2である場合には、可動軸部205を180°回動させることにより、該吸着ヘッド75のX軸方向における位置を第2積層作業位置RA2側に変位させる。逆に搬送先が第1積層作業位置RA1である場合には、該吸着ヘッド75のX軸方向における位置を変位させず維持する。
一方、正極接合シート片Tbを吸着した吸着ヘッド75については、例えば搬送先が第1積層作業位置RA1である場合には、可動軸部205を180°回動させることにより、該吸着ヘッド75のX軸方向における位置を第1積層作業位置RA1側に変位させる。逆に搬送先が第2積層作業位置RA2である場合には、該吸着ヘッド75のX軸方向における位置を変位させず維持する。
そして、負極接合シート片Taを吸着した吸着ヘッド75がターレット201の真下位置(第4ポジションP4)に到達すると、可動軸部205の伸長動作によって該吸着ヘッド75は下方へ押し下げられ、自身の吸着した負極接合シート片Taを、上記判定結果に対応した積上げ機構8(例えば第1積層作業位置RA1の積上げ機構8)の積層テーブルSA上のパレットSB又はここに既に積み上げられた積層体4の最上面に載置した状態で一旦停止する。
該吸着ヘッド75によって負極接合シート片Taが載置されると、該負極接合シート片Taが押さえ爪114により押さえられた状態となる。そして、第4ポジションP4において空となった吸着ヘッド75は、次のターレット201の間欠回転動作に伴い上昇しつつ、第5ポジションP5へ旋回移動する。
同時に、ターレット201の真下位置(第4ポジションP4)には、正極接合シート片Tbを吸着した吸着ヘッド75が到達し、可動軸部205の伸長動作によって該吸着ヘッド75は下方へ押し下げられ、自身の吸着した正極接合シート片Tbを、上記判定結果に対応した積上げ機構8の積層テーブルSA上のパレットSB又はここに既に積み上げられた積層体4の最上面に載置した状態で一旦停止する。
該吸着ヘッド75によって正極接合シート片Tbが載置されると、該正極接合シート片Tbが押さえ爪114により押さえられた状態となる。そして、第4ポジションP4において空となった吸着ヘッド75は、次のターレット201の間欠回転動作に伴い上昇しつつ、第5ポジションP5へ旋回移動する。
その後、上記一連の積層作業が所定数回繰り返し行われることで、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で下から順に積層された積層体4が完成する。
このように所定の積上げ機構8において積層体4が完成すると、該積層体4が載置されたパレットSBを上記パレット搬入出機構により積層テーブルSA上から取出すと共に、空のパレットSBを積層テーブルSA上へ配置する。
ここで、仮に第2積層作業位置RA2の積上げ機構8において、負極接合シート片Ta及び正極接合シート片Tbを交互に100枚ずつ積み重ねた積層体4が完成したと仮定した場合、その最後の100枚目の正極接合シート片Tbを吸着搬送してきた吸着ヘッド75よりも後に第4ポジションP4へ旋回移動してくる吸着ヘッド75は、第1積層作業位置RA1の積上げ機構8へ負極接合シート片Ta及び正極接合シート片Tbを交互に搬送していくため、第2積層作業位置RA2において積層体4の取出し作業を行っている間も積層作業を中断することなく行うことができる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記各実施形態では、積層装置5により積層電池に係る積層体4が製造される構成となっているが、これに限らず、例えば積層装置5によって、リチウムイオンキャパシタや電解コンデンサ等に係る積層体を製造する構成としてもよい。
(b)上記各実施形態に係る積層体4は、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で下から順に繰り返し積層された構成となっているが、勿論、積層順序はこれに限定されるものではない。例えば、正極箔3、セパレータ2、負極箔1、セパレータ2の順序で下から順に繰り返し積層された構成としてもよい。
(c)電極箔1,3及びセパレータ2の材質や形状等は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、セパレータ2が多孔質樹脂フィルムにより構成されているが、後述するように溶着等しないのであれば、絶縁性の不織布により構成してもよい。また、正極活物質として、例えば、ニッケル酸リチウムやマンガン酸リチウム等、他のリチウム含有金属酸化物等を用いることとしてもよく、負極活物質として、例えば炭素質材料等を用いることとしてもよい。
(d)搬送手段により一体に吸着搬送され積層されていく1枚のシート片の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。少なくとも吸着手段により一体に吸着搬送可能に構成されていれば、1枚のシート片とみなすことができる。
例えば上記第1実施形態では、負極箔1、セパレータ2、正極箔3及びセパレータ2の4枚のシートが熱溶着により接合された「正負接合シート片Tc」を1枚のシート片として積層していく構成となっている。
一方、上記第2実施形態では、負極箔1及びセパレータ2の2枚が熱溶着により接合された1枚の「負極接合シート片Ta」と、正極箔3及びセパレータ2の2枚が熱溶着により接合された1枚の「正極接合シートTb」とを交互に積層していく構成となっている。
これに限らず、シート片として、負極箔1、正極箔3又はセパレータ2をそれぞれ1枚ずつ個別に積層していく構成としてもよい。
但し、電極箔1,3に比べ、セパレータ2は軽量で強固に吸着することが難しいため、単独で高速搬送する場合には、風圧等により吸着ヘッド75から剥がれ落ちてしまうおそれがある。また、剥離、脱落には至らないものの、セパレータ2が空気抵抗により折れ曲がったまま積層されてしまうおそれもある。このような事態が生じると、積層電池等の製品品質に悪影響を与えることが懸念される。このため、セパレータ2に関しては、上記各実施形態のように電極箔1,3と一体に搬送することが好ましい。
(e)また、上記第2実施形態のように、負極箔1又は正極箔3とセパレータ2とを重ね合わせた2層構造のシート片を交互に積層していく場合には、2枚のシートを接合することなく、セパレータ2を介して負極箔1又は正極箔3を吸着することにより、2枚のシートをまとめて1枚の2層シート片として搬送し積層していく構成としてもよい。
(f)また、負極箔1又は正極箔3の一方が2枚のセパレータ2間に挟まれた3層構造のシート片と、負極箔1又は正極箔3の他方とを交互に搬送し積層していく構成としてもよい。
かかる場合には、溶着や接着等による接合に代えて、予めセパレータ2を袋状に形成し該袋内に負極箔1又は正極箔3を配設することにより、3層構造のシート片として一体とする構成としてもよい。
尚、上記2層、3層、4層の各種複層構造のシート片を接合する場合には、上記各実施形態に係る熱溶着に代えて、所定の接着手段により接合する構成としてもよい。又は、テープ等の固定手段により複層構造のシート片を一体にまとめる構成としてもよい。
(g)供給手段の構成は、上記各実施形態のシート供給機構6に限定されるものではない。
例えば上記第1実施形態では、帯状の正負接合シートTcを連続供給しつつ、矩形状に切断して搬送機構7に受け渡す構成となっている。また、上記第2実施形態では、帯状の負極接合シート片Ta、及び、帯状の正極接合シートTbをそれぞれ個別に連続供給しつつ、これらを矩形状に切断して交互に搬送機構200に受け渡す構成となっている。
これに限らず、例えば予め矩形状に切断した各種シート片を貯留する供給手段を備え、ここから順次、シート片を搬送機構7等に間欠的に受け渡す構成としてもよい。かかる構成とすれば、1つの供給部(供給レーン)から、異なる複数種のシート片を順次、搬送機構7等に受け渡すことも可能となる。
但し、上記各実施形態のシート供給機構6のように、原反から帯状のシートを供給しつつ随時切断しながら搬送機構7等に受け渡す構成においては、上記各実施形態のように連続動作とすることが好ましい。その上で、上記シート片受渡し機構60のように、連続動作を行う機構と、間欠動作を行う機構の動作の違いを吸収する中継機構を備える構成とすることが好ましい。
搬送機構7等の高速間欠動作に合わせて、仮にシート供給機構6におけるシート供給動作を高速間欠動作とした場合には、シートがばたつき、位置決め精度が低下するなどの不具合が発生し、製品の品質低下につながるおそれがある。
(h)搬送手段や吸着手段に係る構成は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態に係る搬送機構7,200では、吸着手段として6つの吸着ヘッド75を備えた構成となっているが、吸着手段の数はこれに限定されるものではなく、2つ以上備えていればよい。
また、吸着ヘッド75のX軸方向における位置を変位させる構成は、上記各実施形態に係る構成に限定されず、例えば吸着ヘッド75がX軸方向に沿って直線的にスライド変位する機構を備えた構成としてよい。
(i)また、シート片が供給される供給部(受取先)の数や、シート片が積層されるステージ部(搬送先)の数は、上記各実施形態の数に限定されるものではない。
例えば製品仕様によっては、シート片の積層作業時間(例えば2秒)よりも、完成した積層体4を搬出する作業時間の方が長くなってしまう場合もある(例えば3秒)。かかる場合、2つのステージ部だけでは対応できなくなるため、3つ以上のステージ部を備えることが好ましい。
3つ以上のステージ部を設ける場合には、例えば第1実施形態の円筒カム72におけるカム溝の本数を増やす、又は、上述したX軸方向に直線的に変位するタイプの吸着ヘッド75を用いる等すれば、対応することができる。
また、3つ以上の供給部を備える場合としては、例えば負極箔1、正極箔3又はセパレータ2をそれぞれ1枚ずつ個別に積層していく場合などが考えられる。
(j)また、積層作業のさらなる高速化を図るため、同一種のシート片を供給する供給部を複数備えた構成としてもよい。例えば上記第2実施形態の第1供給位置RB1及び第2供給位置RB2の両方に、同一の正負接合シート片Tcが供給される構成としてもよい。
また、負極接合シート片Taが供給される供給部と、正極接合シートTbが供給される供給部をそれぞれ2つずつ、計4つの供給部を備えた構成としてもよい。
(k)保持機構110の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、保持機構110が4つの押さえ爪114を備え、これら4つの押さえ爪114が90°の等間隔ではなく軸部113の周方向に偏在した構成となっている。
これに代えて、複数の押さえ爪が等間隔に設けられた構成としてもよい。また、押さえ爪114の数も4つに限定されるものではなく、1つ以上の押さえ爪が設けられていればよい。
また、上記各実施形態では、積層テーブルSAの四隅のコーナー部に対応して4つの保持機構110が設けられた構成となっているが、保持機構110の配置構成及び数はこれに限定されるものではなく、他の構成を採用してもよい。例えば積層テーブルSAの4つのコーナー部のうち、対角線上に並ぶ2つのコーナー部に対応して2つの保持機構110を備えた構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、軸部113を中心に押さえ爪114が旋回移動することにより、水平方向へ変位可能な構成となっているが、これに限らず、押さえ爪が水平方向に直線的にスライド変位する構成としてもよい。
(l)積層ステージ機構100の構成は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態では、X軸移動機構101、Y軸移動機構102、Z軸移動機構103及びθ軸移動機構104を備えた構成となっているが、これらのうち少なくとも1つが省略された構成とし、その軸方向の位置調整を行わない構成としてもよい。
シート片の位置調整を吸着ヘッド75側で行う構成としてもよい。シート片の位置調整自体を行わない構成としてもよい。シート片の位置調整を行わない場合は、撮像装置95を省略した構成としてもよい。
また、上記各実施形態では、可搬式の積層パレットSBを介してシート片を積層する構成となっているが、積層パレットSBを省略し、積層テーブルSA上に直接、シート片が積層される構成としてもよい。
(m)吸着ヘッド75への負圧供給に係る構成は上記各実施形態に限定されるものではない。
例えば上記各実施形態では、固定バルブ90において3つの負圧空間部DA1,DA2,DA3が互いに非連通状態となるように設けられると共に、各負圧空間部DA1,DA2,DA3に対応して個別に真空発生手段(負圧供給手段)としてのエジェクタEA1,EA2,EA3が設けられている。また、ターレット71等の回転方向に隣接する2つの吸着ヘッド75に係る通気孔89が同時に同一の負圧空間部DA1,DA2,DA3と連通しないよう構成されている。
これに限らず、例えば1つの真空ポンプを用いて3つの負圧空間部DA1,DA2,DA3をまとめて真空状態とする構成としてもよい。かかる場合、3つの負圧空間部DA1,DA2,DA3が連続した1つの負圧空間部となった構成としてもよい。
但し、上記第1実施形態でも述べたとおり、吸着ヘッド75が高速度で間欠動作を行う構成においては、吸着ヘッド75の吸着力の低下抑制を図る上で、負圧空間部が小分けに設けられている方が好ましい。