以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る電極製造装置を適用して製造される電極を用いた蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。また、電極組立体3の積層方向において、電極組立体3のガタツキを低減するために、電極組立体3とケース2との間の隙間に、数枚のスペーサが配置されている。スペーサの枚数は、電極組立体3の厚みに応じて適宜調整される。
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。タブ14bは、箔本体部14aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。そして、タブ14bは、セパレータ10を突き抜けている。複数の正極8より延びる複数のタブ14bは、集箔された状態で導電部材12に接続(溶接)され、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まずセパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を形成する。この積層体を加圧することでセパレータ付き正極11及び負極9を密着させた後、セパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
次に、図3〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る電極製造装置100について説明する。図3は、電極製造装置100の構成を示すブロック図である。図4は、電極製造装置100のうち、プレス部よりも上流側の構成を示す概略平面図である。図5は、電極製造装置100のうち、プレス部及びプレス部よりも下流側の構成を示す概略平面図である。電極製造装置100は、金属箔の両面に活物質層を有する電極20(図5参照)を製造する装置である。電極製造装置100は、電極20の材料となる部材を搬送方向Dへ搬送しながら、電極20を製造する。なお、電極製造装置100が製造する電極20は正極8及び負極9のいずれであってもよい。
図3に示すように、電極製造装置100は、搬送方向における上流側から順に、第1の切断部21と、分岐部22と、を備える。また、電極製造装置100は、分岐部22から分岐した一方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、方向転換部23Aと、プレス部24Aと、位置決め部26Aと、第2の切断部27Aと、方向転換部28Aと、を備える。電極製造装置100は、分岐部22から分岐した他方のラインにおいて、搬送方向における上流側から順に、方向転換部23Bと、プレス部24Bと、位置決め部26Bと、第2の切断部27Bと、方向転換部28Bと、を備える。
図4を参照して、電極製造装置100の第1の切断部21及び分岐部22の構成について説明する。第1の切断部21は、一対のローラ21a,21bを備えたロータリーダイカットによって構成されている。第1の切断部21は、帯状のシート部材30を、当該シート部材30の長手方向にローラ21a,21bで搬送する。また、ローラ21a,21bにはシート部材30を所望の形状に切断する刃部が形成されている。従って、ローラ21a,21bは、シート部材30を挟み込んで搬送方向へ送りながら、当該シート部材30を切断する。第1の切断部21は、帯状のシート部材30を切断することで、切断片31を形成する。第1の切断部21は、シート部材30を長手方向へ搬送しながら、当該シート部材30を切断する。
なお、水平方向における一の方向に対して「X軸」を設定し、水平方向においてX軸と直交する方向に対して「Y軸」を設定し、上下方向に対して「Z軸」を設定する。上側がZ軸方向における正側に該当する。また、ローラ21a,21bの回転軸の延びる方向がY軸方向に対応する。ローラ21a,21bの一端側がY軸方向の正側に対応する。シート部材30が送られる方向がX軸方向に対応し、シート部材30の送り方向における下流側がX軸方向の正側に対応する。以降の説明においては、「X軸」、「Y軸」、「Z軸」を用いて説明を行う場合がある。
ここで、図6を参照して、電極20及び切断片31について説明する。図6(a)に示すように、電極20は、短手方向に互いに対向する縁部(第1の縁部)20a,20bと、長手方向に対向する縁部(第2の縁部)20c,20dと、を備える矩形状の形状を有する。縁部20a,20bと縁部20c,20dとは互いに直交する。電極20の縁部20a側には金属箔が露出する活物質層20gの未塗工部20eが形成される。未塗工部20eは、縁部20aから突出するタブ(突出部)20fを有する。
図6(b)に示すように、シート部材30は、短手方向における中央側の領域に活物質層30aを有し、短手方向における両端側に金属箔が露出する未塗工部30b,30cを有する。活物質層30a、及び未塗工部30b,30cは、シート部材30の長手方向に沿って直線状に延びている。切断片31は、互いに連結された複数枚分の電極20を含む。本実施形態では、切断片31は、縁部20c,20d同士で連結されて縁部20a,20bが延びる方向に並べられた複数枚分(ここは4枚分)の電極20を含む。すなわち、第1の切断部21は、1枚のシート部材30から、短手方向に2枚分の電極20を形成可能な、「二条取り」タイプの切断を行う。従って、シート部材30は、短手方向に2枚分の切断片31へ切断される。短手方向の一方の切断片31を「切断片31A」と称し、短手方向の他方の切断片31を「切断片31B」と称する。シート部材30の一方の未塗工部30bが、切断片31Aの未塗工部20e及びタブ20fに対応する形状に形成される。シート部材30の他方の未塗工部30cが、切断片31Bの未塗工部20e及びタブ20fに対応する形状に形成される。
切断片31Aは、シート部材30の長手方向に配列された電極20A,20B,20C,20Dを含む。切断直後の切断片31Aにおいては、搬送方向の上流側から順に電極20A,20B,20C,20Dが配置されている。切断片31Aにおいては、電極20Aの縁部20cと電極20Bの縁部20dとが連結され、電極20Bの縁部20cと電極20Cの縁部20dとが連結され、電極20Cの縁部20cと電極20Dの縁部20dとが連結される。電極20A,20B,20C,20Dの縁部20aは、長手方向に連続して直線状に延びており、切断片31の縁部を構成している。電極20A,20B,20C,20Dの縁部20bは、長手方向に連続して直線状に延びており、切断片31の縁部を構成している。電極20Aの縁部20dは、搬送方向の上流側にて、切断片31の短手方向に延びる縁部を構成している。電極20Dの縁部20cは、搬送方向の下流側にて、切断片31の短手方向に延びる縁部を構成している。なお、ここでの「連結」とは、第1の切断部21による切断がなされないことによって、隣り合う電極20同士が、一体化した一枚のシート部材として構成されている状態である。
切断片31Bは、シート部材30の長手方向に配列された電極20E,20F,20G,20Hを含む。切断直後の切断片31Bは、切断片31Aを上方から見て180°回転させた向きに配置されている。切断直後の切断片31Bにおいては、搬送方向の上流側から順に電極20H,20G,20F,20Eが配置されている。また、縁部20bによって構成される切断片31Bの縁部は、縁部20bによって構成される切断片31Aの縁部と同位置に配置される。電極20Hの縁部20cによって構成される切断片31Bの縁部は、電極20Aの縁部20dによって構成される切断片31Aの縁部と直線をなすように配置される。電極20Eの縁部20dによって構成される切断片31Bの縁部は、電極20Dの縁部20cによって構成される切断片30Aの縁部と直線をなすように配置される。
第1の切断部21のローラ21aは、電極20Aの縁部20d及び電極20Hの縁部20cと、電極20Dの縁部20c及び電極20Eの縁部20dと、を形成するための刃部34を備えている。なお、図6等では、説明の都合上、ローラ21aの径を、本来より小さく記載している。刃部34は、ローラ21aの回転軸が延びる方向と平行をなすように、直線状に延びている。第1の切断部21のローラ21aは、電極20A,20B,20C,20Dの縁部20bと、電極20H,20G,20F,20Eの縁部20bと、を形成するための刃部37を備えている。刃部37は、ローラ21aの回転軸と垂直をなすように、周方向に延びている。第1の切断部21のローラ21aは、電極20A,20B,20C,20Dの縁部20a及びタブ20fを形成するための刃部33Aを備えている。第1の切断部21のローラ21aは、電極20H,20G,20F,20Eの縁部20a及びタブ20fと、を形成するための刃部33Bを備えている。刃部33A,33Bは、縁部20a及びタブ20fに対応する形状にて、周方向に延びている。このように、第1の切断部21は、複数枚の電極20のそれぞれに対応するタブ20fの形状を形成する。なお、シート部材30の未塗工部30b,30cのうち、切断片31A,31Bの未塗工部20e以外の部分は、第1の切断部21によって切断された後、図示されない回収機構によって回収される。
図4に示すように、第1の切断部21は、切断片31A,31BをX軸方向の正側へ送り出す。このとき、切断片31A,31Bは、長手方向がX軸方向と平行になるように送り出される。切断片31Aは、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する向きに配置される。切断片31Bは、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する向きに配置される。
分岐部22は、切断片31A,31Bを互いに異なる搬送ラインへ分岐させる。分岐部22は、背面コンベア41と、受取コンベア42Aと、受取コンベア42Bと、を備える。背面コンベア41は、第1の切断部21から送り出された切断片31A,31Bを背面側(すなわち、下面側)に吸着し、X軸方向へ搬送する。受取コンベア42Aは、背面コンベア41から落下する切断片31Aを受け取り、Y軸方向の負側へ搬送する。受取コンベア42Bは、背面コンベア41から落下する切断片31Bを受け取り、Y軸方向の正側へ搬送する。受取コンベア42A,42Bは、X軸方向において互いに異なる位置に配置されている。本実施形態では、受取コンベア42Aが受取コンベア42BよりX軸方向の負側に配置されているが、配置は特に限定されない。
方向転換部23A,23Bは、搬送方向の方向転換を行うことで、プレス部24A,24Bに対する切断片31A,31Bの向きを変更する。方向転換部23A,23Bは、Y軸方向に搬送される切断片31A,31Bの搬送方向を、X軸方向へ転換する。方向転換部23A,23Bは、90°の円弧を描くように湾曲する搬送経路を形成する。方向転換部23A,23Bは、湾曲する搬送経路に対する切断片31A,31Bの角度を略一定に保ちながら、切断片31A,31Bを搬送する。従って、切断片31A,31Bのプレス部24A,24Bの回転軸方向に対する角度は、方向転換部23に搬送されるに従って徐々に変化し、方向転換部23A,23Bの前後で約90°変化する。これにより、方向転換部23A,23Bは、当該方向転換部23の通過前後において、プレス部24A,24Bに対する電極20の向きを変更することができる。方向転換部23A,23Bの構成は特に限定されない。例えば、方向転換部23A,23Bは、90°の円弧を描く軌道を有するカーブコンベアによって構成されてよい。
方向転換部23Aは、受取コンベア42AによりY軸方向の負側へ搬送される切断片31Aの搬送方向を、X軸方向の正側へ転換し、コンベア43Aへ受け渡す。切断片31Aは、方向転換部23Aの上流側では、縁部20aがX軸方向と略平行をなし、タブ20fがY軸方向の正側へ突出する姿勢である。切断片31Aは、方向転換部23Aの下流側では、縁部20aがY軸方向と略平行をなし、タブ20fがX軸方向の負側へ突出する姿勢である。コンベア43Aは、切断片31Aの当該姿勢を維持したまま、切断片31Aをプレス部24Aへ向けてX軸方向の正側へ搬送する。
方向転換部23Bは、受取コンベア42BによりY軸方向の正側へ搬送される切断片31Bの搬送方向を、X軸方向の正側へ転換し、コンベア43Bへ受け渡す。切断片31Bは、方向転換部23Bの上流側では、縁部20aがX軸方向と略平行をなし、タブ20fがY軸方向の負側へ突出する姿勢である。切断片31Bは、方向転換部23Bの下流側では、縁部20aがY軸方向と略平行をなし、タブ20fがX軸方向の負側へ突出する姿勢である。コンベア43Bは、切断片31Bの当該姿勢を維持したまま、切断片31Bをプレス部24Bへ向けてX軸方向の正側へ搬送する。
次に、図5を参照して、プレス部24A、位置決め部26A、第2の切断部27A、及び方向転換部28Aについて説明する。なお、プレス部24B、位置決め部26B、第2の切断部27B、及び方向転換部28Bは、プレス部24A、位置決め部26A、第2の切断部27A、及び方向転換部28Aと同趣旨の構成を有するので、説明を省略する。
図5に示すように、プレス部24Aは、切断片31Aをプレスする。プレス部24Aは、プレスローラ24a,24bを備える。プレス部24Aは、切断片31Aをプレスローラ24a,24bでプレスする。プレスローラ24a,24bは、互いに平行な状態で上下方向に配置されている。プレスローラ24aが上側に配置され、プレスローラ24bが下側に配置される。また、プレスローラ24a,24bの回転軸は、Y軸方向に平行に延びている。以降、回転軸が延びる方向を回転軸方向と称する場合もある。ここでは、回転軸方向はY軸方向と平行をなしている。切断片31Aは、プレスローラ24aとプレスローラ24bとの間を通過することにより、プレスされる。
ここで、プレスローラ24aの外周面とプレスローラ24bの外周面とは、互いに接触している。すなわち、プレスローラ24aとプレスローラ24bとの間には、隙間が形成されていない。切断片31Aは、プレスローラ24aの外周面及びプレスローラ24bの外周面と密着し、十分に押圧力を付与された状態で、プレスローラ24a,24bを通過する。なお、プレスローラ24a,24bは互いに離間しており、隙間が形成されていてもよい。
プレス部24Aは、プレスローラ24a,24bにて、当該プレスローラ24a,24bの回転軸が延びる方向に沿って縁部20aが延びる状態で切断片31Aをプレスする。切断片31Aは、タブ20fの反対側の縁部20bから順にプレス部24Aへ送り込まれる。従って、切断片31Aは、縁部20bから縁部20aへ向けて徐々にプレス部24Aでプレスされる。プレスされた切断片31Aは、コンベア44AによってX軸方向の正側へ搬送され、位置決め部26Aへ送られる。
位置決め部26Aは、搬送方向における第2の切断部27Aより上流側に設けられ、回転軸方向に対する切断片31Aの位置決めを行う。これにより、位置決め部26Aは、第2の切断部27Aに対する切断片31Aの角度を調整することができる。位置決め部26Aは、切断片31Aの位置決めを行った後、X軸方向の正側へ切断片31Aを搬送し、第2の切断部27Aへ送る。本実施形態では、位置決め部26Aは、複数の搬送ローラ26aと、規制部26bと、を備える。
複数の搬送ローラ26aは、切断片31Aを搬送方向へ搬送するものであり、搬送方向へ並べられている。搬送ローラ26aは、当該搬送ローラ26aを回転させるための駆動部(不図示)が設けられている。複数の搬送ローラ26aの一部は、Y軸方向における正側の端部が、搬送方向における下流側へ位置するように、Y軸方向に対して傾斜する。図5に示す例では、上流側に配置された搬送ローラ26aの傾斜が大きく、下流側に配置される搬送ローラ26aほど傾斜が小さくなっている。このような構成により、搬送ローラ26a上の切断片31Aは、搬送方向に搬送されながら、Y軸方向の正側へ寄せられる。
規制部26bは、搬送ローラ26aに対して、Y軸方向における正側に配置され、切断片31AのY軸方向における正側への移動を規制する。これにより、搬送ローラ26aによってY軸方向の正側へ寄せられた切断片31Aは、規制部26bによってY軸方向への移動を規制される。規制部26bは、搬送ローラ26aから上方へ立ち上がるように設けられる。これにより、切断片31Aの縁部が規制部26bに当接し、当該縁部20cがX軸方向に平行に位置決めされる。
第2の切断部27Aは、プレス部24Aでプレスされた切断片31Aを切断することで、1枚分の電極20を形成する。第2の切断部27Aは、搬送部46Aと、刃部47Aと、を備える。搬送部46Aは、搬送方向が直交する方向へ縁部20aが延びる状態にて切断片31Aを搬送する。搬送部46Aは、X軸方向の正側へ切断片31を搬送する。また、搬送部46Aは、縁部20aがY軸方向へ延びる状態にて切断片31Aを搬送する。搬送部46Aは、例えば、複数の刃部47aの間を通過し循環する、複数のベルトを備えたベルトコンベア等によって構成される。
刃部47Aは、搬送方向と平行な向きで切断片31Aを切断する。すなわち、刃部47Aは、X軸方向へ搬送される切断片31AをX軸方向と平行に切断する。本実施形態では、第2の切断部27Aは、Y軸方向に配列される複数の刃部47Aを有する。切断片31Aは、四つの電極20を互いに接続した形状を有している。従って、第2の切断部27Aは、三つの刃部47Aを有している。刃部47Aは、Y軸方向に延びる回転軸(不図示)を備え、円板状の形状を有している。刃部47Aは、回転軸周りに回転することで、切断片31Aを切断する。刃部47A同士のピッチは、一つあたりの電極20の長手方向における寸法に設定される。刃部47は、切断片31Aのうち、互いに隣り合う電極20の縁部20cと縁部20dとが連結された箇所を切断する。従って、切断片31Aのうち、刃部47Aで切断された部分が、電極20の縁部20d又は縁部20cとなる。
方向転換部28Aは、第2の切断部27Aにて形成された複数の電極20の搬送方向を転換する。方向転換部28Aは、第2の切断部27Aの搬送部46AによりX軸方向の正側へ搬送される電極20の搬送方向を、Y軸方向の正側へ転換する。なお、方向転換部28Aは、搬送方向以外は方向転換部23Aと同趣旨の構成を有するため、説明を省略する。また、方向転換部28Bは、切断片31Bを切断することで形成された電極20の搬送方向をY軸方向の負側へ転換する。
次に、本実施形態に係る電極製造装置100の作用・効果について説明する。
この電極製造装置100は、帯状のシート部材30を切断することで、互いに連結された複数枚分の電極20を含む切断片31を形成する第1の切断部21を備えている。また、電極製造装置100は、切断片31Aをプレスするプレス部24Aを備えている。従って、プレス部24Aは、互いに連結された複数枚分の電極20を1枚の部材としてプレスすることができる。その後、第2の切断部27Aがプレス後の切断片31Aを切断することで、プレスが完了した1枚分の電極20を形成することができる。このように、プレス部24Aが、複数枚分の電極20を1枚の部材としてプレスすることで、電極20を一枚一枚プレスする場合に比して、生産効率が上がる。以上により、電極20の生産効率を向上することができる。
電極製造装置100において、電極20は互いに対向する一対の縁部20a,20bと、縁部20a,20bと直交して互いに対向する一対の縁部20c,20dと、を備える矩形状の形状を有しており、電極20の縁部20a側には金属箔が露出する活物質層の未塗工部20eが形成され、未塗工部20eは、縁部20aから突出するタブ20fを有し、第1の切断部21は、複数枚の電極20のそれぞれに対応するタブ20fの形状を形成してよい。縁部20aはタブ20fを有するため形状が複雑である。従って、当該形状を形成するための切断部は、構造が複雑になる。第1の切断部21が複雑な形状を有する縁部20aを形成することで、プレス後の切断片31Aを切断する第2の切断部27Aを簡易な構成とすることができる。
電極製造装置100において、電極20は互いに対向する一対の縁部20a,20bと、縁部20a,20bと直交して互いに対向する一対の縁部20c,20dと、を備える矩形状の形状を有しており、電極20の縁部20a側には金属箔が露出する活物質層の未塗工部20eが形成され、第1の切断部21は、シート部材30を長手方向に搬送しながら当該シート部材30を切断することで、互いに縁部20c,20d同士で連結されて縁部20a,20bが延びる方向に並べられた複数枚分の電極20を含む切断片31Aを形成し、プレス部24Aは、プレスローラ24a,24bにて、当該プレスローラ24a,24bの回転軸が延びる方向に沿って縁部20aが延びる状態で切断片31Aをプレスしてよい。この場合、プレス部24Aは、縁部20a,20bが延びる方向に並べられた複数枚分の電極20を同時にプレスすることができる。これにより、電極20の品質を維持した状態で、生産効率をあげることが出来る。例えば、プレス部24Aが、プレスローラ24a,24bの回転軸が延びる方向と直交する方向に沿って縁部20aが延びる状態で切断片31Aをプレスする場合、プレス時間が長くなる。
電極製造装置100において、第2の切断部27Aは、搬送方向と直交する方向へ縁部20aが延びる状態にて切断片31Aを搬送する搬送部46Aと、搬送方向と平行な向きで切断片31Aを切断する刃部47Aと、を有してよい。切断片31Aが、縁部20aが延びる方向に複数の切断箇所を有する場合、第2の切断部27Aが、搬送方向と直交する向きに刃部47Aを複数有することで、切断片31Aの各切断箇所を同時に切断することができる。これにより、電極20の生産効率を向上することができる。
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態又は上記変形例に限定されない。
上述の実施形態では、第2の切断部27Aは、配列された複数の円板状の刃部47Aを有していた。これに代えて、図7に示す第2の切断部127が採用されてよい。第2の切断部127は、ロータリーダイカットを用いて、切断片31を切断する。第2の切断部127は、上側のローラ128と、下側のローラ129と、を備えている。ローラ128は、切断片31を搬送方向と平行な向きで切断片を切断する刃部126を有している。すなわち、刃部126は、ローラ128,129の回転に伴い、X軸方向へ搬送される切断片31をX軸方向と平行に切断する。刃部126は、ローラ128の外周面において、周方向に延びている。また、刃部126は、ローラ128の回転軸が延びる方向に所定のピッチをあけて複数形成されている。
上述の実施形態では、第2の切断部27Aは、切断片31Aの搬送方向と平行な向きで切断片31Aを切断していた。これに代えて、図8に示すような電極製造装置200を採用してよい。図8は、電極製造装置200におけるプレス部よりも下流側の構成のみを示している。電極製造装置200の第2の切断部227は、搬送方向と切断片31の縁部20aが延びる方向とが平行な状態にて切断片31を搬送する搬送部229と、搬送方向と直交する向きで切断片31を切断する刃部228を有する。搬送部229は、後述の調整部225によって、縁部20aがX軸方向に平行になるように向きが調整された切断片31をX軸方向の正側へ搬送する。刃部228は、Y軸方向に延びている。刃部228は、搬送部229の上面に対して上下に往復動可能な駆動部(不図示)に接続されている。従って、刃部228は、切断片31のうち、互いに隣り合う電極20の縁部20cと縁部20dとが連結された箇所を切断する。従って、切断片31のうち、刃部228で切断された部分が、電極20の縁部20d又は縁部20cとなる。
プレス部と第2の切断部227との間には、第2の切断部227に対する切断片31の向きを調整する調整部225が設けられる。本実施形態では、調整部225は、プレス部でプレスされた切断片31の方向を転換することで、切断片31の向きを変更する方向転換部によって構成される。プレス部でプレスされた切断片31は、縁部20aがY軸方向に平行になるように配置されている。調整部225は、Y軸方向に搬送される切断片31の搬送方向をX軸方向へ転換する。これによって、調整部225は、縁部20aがX軸方向に平行になるように、切断片31の向きを変更する。
なお、第2の切断部227の向きによっては、調整部225は、第2の切断部227に対する切断片31の向きを変更せず、搬送方向のみを変更してもよい。例えば、第2の切断部227がプレス部のY軸方向の負側に配置されており、刃部228がX軸方向に延びる場合について説明する。この場合、調整部225は、縁部20aがY軸方向に延びた状態でプレス部から送り出された切断片31を、当該姿勢のままY軸方向の負側へ搬送する。これによって、刃部228は、切断片31の縁部20d及び縁部20cの連結部を切断することができる。なお、調整部225は、第2の切断部227の位置及び向きに従って、切断片31の搬送方向及び向きを両方変更してもよい。
電極製造装置200において、プレス部24Aと第2の切断部227との間には、第2の切断部227に対する切断片31の向きを調整する調整部225が設けられ、第2の切断部227は、縁部20aが搬送方向に延びる状態にて切断片31を搬送する搬送部229と、搬送方向と直交する向きで切断片31を切断する刃部227と、を有してよい。切断片31が、縁部20aが延びる方向に複数の切断箇所を有する場合、第2の切断部227の刃部228は、切断片31が搬送方向へ搬送されることに伴って、切断片31の切断箇所が刃部228の位置へ到達したタイミングで切断を行えばよい。これにより、第2の切断部227は、一つの刃部228で切断片31の複数の切断箇所を切断することができる。
上述の実施形態では、長手方向に複数の電極が連結された切断片を形成する第1の切断部が採用されていた。これに代えて、異なる形状の切断片を形成する第1の切断部が採用されてよい。例えば、図9に示す電極製造装置300が採用されてよい。電極製造装置300の第1の切断部321は、シート部材30を長手方向に搬送しながら当該シート部材30を切断することで、互いに縁部20b同士で連結されて縁部20c,20dが延びる方向に並べられた複数枚分の電極20を含む切断片131を形成する。切断片131は、タブ20fがY軸方向の正側に突出する姿勢の電極20と、タブ20fがY軸方向の負側に突出する姿勢の電極20とを、縁部20b同士で連結した形状を有する。切断片131は、電極20の縁部20cと縁部20dの位置で切断されている。
第1の切断部は上側のプレスローラ321aと、下側のプレスローラ321aと、を備える。上側のローラ321aは、図6に示すローラ21aの刃部のうち、刃部33A,33Bに対応する刃部を有し、刃部34に対応する刃部を電極20の一枚分のピッチ毎に有し、刃部37に対応する刃部を有していない。
電極製造装置300のプレス部324は、プレスローラ321a,321bにて、当該プレスローラ321a,321bの回転軸が延びる方向(Y軸方向)に沿って縁部20aが延びる状態で切断片131をプレスする。プレス部324と第1の切断部321との間には、方向転換部323が設けられている。方向転換部323は、縁部20aがX軸方向に延びる状態で第1の切断部321から送り出された切断片131を、方向転換することによって、縁部20aがY軸方向に延びる状態とする。切断片131は、当該姿勢のままコンベア等によって搬送され、プレス部324にてプレスされる。また、プレス部324の下流側には方向転換部325が設けられている。方向転換部325は、縁部20aがY軸方向に延びる状態でプレス部324から送り出された切断片131を、方向転換することによって、縁部20aがX軸方向に延びる状態とする。
方向転換部325の下流側には、位置決め部326が設けられている。位置決め部326は、切断片131を支持すると共に搬送方向へ移動する支持部326aと、搬送方向へ移動し、且つ、搬送方向への移動に伴ってY軸方向における互いの離間距離が狭くなる一対の位置決め部材326bと、搬送方向において切断片131の位置決めを行う位置決め部材326cと、を備える。支持部326a、位置決め部材326b、及び位置決め部材326cは、循環するコンベアに設けられている。支持部326aは、コンベアの循環方向に所定ピッチで設けられている。位置決め部材326bは、支持部326aを幅方向に挟むようにコンベアの循環方向に所定ピッチで設けられている。位置決め部材326bは、循環方向において複数個(ここでは3個)の支持部326aに対して一つの間隔で、コンベアに設けられている。支持部326aは、搬送方向へ進むに従って、Y軸方向の正側から徐々に負側へ移動する。Y軸方向の正側の位置決め部材326bも、搬送方向へ進むに従って、Y軸方向の正側から徐々に負側へ移動する。Y軸方向の負側の位置決め部材326bの位置は固定されている。
これにより、切断片131は、支持部326aで支持されながら搬送方向へ移動する。そして、切断片131は、搬送方向へ移動するに伴って、一対の位置決め部材326bにてY軸方向に挟まれる。切断片131が位置決め部材326bにて位置決めされることで、切断片131の位置決めが行われる。なお、位置決め部材326b及び支持部326aのY軸方向におけるスライド機構は、どのような構成であってもよい。例えば、位置決め部材326b及び支持部326aに対して、所望の軌道を描くようにガイドレールを設けてよい。または、位置決め部材326b及び支持部326aにアクチュエータを設けてよい。
位置決め部326の下流側には、第2の切断部327が設けられている。第2の切断部327は、搬送方向と平行な向きで切断片131を切断する刃部328を有する。すなわち、刃部328は、X軸方向へ搬送される切断片131をX軸方向と平行に切断する。切断片131は、二つの電極20を互いに接続した形状を有している。従って、第2の切断部327は、一つの刃部328を有している。刃部328は、図5に示す刃部47Aと同趣旨の構成を有する。刃部328は、切断片131のうち、互いに隣り合う電極20の縁部20bと縁部20bとが連結された箇所を切断する。従って、切断片131のうち、刃部328で切断された部分が、電極20の縁部20bとなる。なお、第2の切断部327としてロータリーダイカットを採用してもよい。
電極製造装置300において、電極20は互いに対向する一対の縁部20a,20bと、縁部20a,20bと直交して互いに対向する一対の縁部20c,20dと、を備える矩形状の形状を有しており、電極20の縁部20a側には金属箔が露出する活物質層の未塗工部20eが形成され、第1の切断部321は、シート部材30を長手方向に搬送しながら当該シート部材30を切断することで、互いに縁部20b同士で連結されて縁部20c,20dが延びる方向に並べられた複数枚分の電極20を含む切断片131を形成し、プレス部324は、プレスローラ324a,324bにて、当該プレスローラ324a,324bの回転軸が延びる方向に沿って縁部20aが延びる状態で切断片131をプレスしてよい。この場合、電極製造装置300が、シート部材30から短手方向に複数枚分の電極20を製造する場合に、一つのプレス部324にてプレスを行うことができる。これにより、電極製造装置300のプレス部の数を減少させることができる。例えば、前述の電極製造装置100,200は、切断片31がシート部材30の短手方向に二つに分割されているため、二つのプレス部が必要となっている。
また、図9に示す電極製造装置300に代えて、図10に示すような電極製造装置400を採用してもよい。図10に示すように、電極製造装置400は、電極製造装置400と同趣旨の第1の切断部321、方向転換部323、及びプレス部324を備えている。電極製造装置400は、縁部20aがY軸方向に延びる状態にて切断片131の切断を行う点で、電極製造装置300と相違する。電極製造装置400は、位置決め部426、第2の切断部427、及び方向転換部425を備える。
位置決め部426は、縁部20aがY軸方向に延びる状態の切断片131の位置調整を行う。位置決め部426は、図5に示す位置決め部26Aと同趣旨の構成を有する。すなわち、位置決め部426は、切断片131をY軸方向の負側へ寄せる搬送ローラ426bと、Y軸方向の負側で切断片131の移動を規制する規制部426aと、を備える。
位置決め部426の下流側には、第2の切断部427が設けられる。第2の切断部227は、搬送方向と切断片31の縁部20aが延びる方向とが直交する状態にて切断片131を搬送し、刃部428にて、搬送方向と直交する向きで切断片131を切断する。刃部428は、図8に示す刃部227と同趣旨の構成を有する。刃部228は、切断片131のうち、互いに隣り合う電極20の縁部20b同士が連結された箇所を切断する。従って、切断片131のうち、刃部428で切断された部分が、電極20の縁部20bとなる。
方向転換部425は、縁部20aがY軸方向に延びる状態から、縁部20aがX軸方向の延びる状態となるように、電極20の向きを変更する。
なお、位置決め部426と第2の切断部427との間には、位置決め後の切断片131の存在を確認するセンサ429が設けられてよい。センサ429は、例えばカラーセンサ等によって構成されている。センサ429は、切断片131のうちの未塗工部の位置を把握する。第2の切断部427は、センサ429が切断片131の存在を確認するタイミングに合わせて、切断タイミングを制御してよい。
また、上述の実施形態及び変形例では、第1の切断部が、タブ20fを形成していた。これに代えて、第2の切断部がタブ20fを形成してもよい。
電極製造装置の各構成要素のレイアウトは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更してもよい。
なお、上述の実施形態及び変形例では、シート部材から短手方向に二枚分の電極を形成する「二条取り」の装置を例示した。これに代えて、電極製造装置が、シート部材から短手方向に三枚以上の電極を形成する構成であってもよい。また、図6に示す形状の切断片を形成する場合は、電極製造装置がシート部材から短手方向に一枚分の電極を形成してもよい。
また、切断片は複数の電極を連結させた形状を有しているが、切断片が含む電極の枚数、及び連結態様は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、切断片31は、長手方向に複数の電極が連結され、切断片131は、短手方向に複数の電極が連結されていた。これに代えて、切断片は、長手方向及び短手方向の両方に連結された電極を含んでよい。