以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る蓄電モジュール4を用いた蓄電装置1の概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、蓄電モジュール4を用いた蓄電装置の一例を示すものであり、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向(ここでは、後述する電極積層体11における電極の積層方向D)に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向Dに交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向Dと、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の積層方向Dの内側面(モジュール積層体2側に向いた面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8には、モジュール積層体2と積層方向Dに重なる部位よりも外周側の縁部に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向Dに拘束荷重が付加される。
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、複数のバイポーラ電極14を積層してなる電極積層体(積層体)11を有し、この電極積層体11の外縁に樹脂製の封止体12を設けて構成されている。電極積層体11は、セパレータ13、セパレータ13を介して、積層方向D(第1方向)に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極18、及び、単一の正極終端電極19)を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11bを有している。側面11bは、一例として、後述する電極板15の端面(第1面15aと第2面15bとを接続する面)の集合として構成される。
バイポーラ電極14は、電極板15、正極16及び負極17を含んでいる。正極16は、電極板15の第1面15aに設けられている。負極17は、電極板15の第1面15aに対して反対側の第2面15bに設けられている。電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15は、積層方向Dから見て矩形状の外縁15dを含んでいる。
正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。正極16は、積層方向Dから見て矩形状の外縁16dを含んでいる。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。負極17は、積層方向Dから見て矩形状の外縁17dを含んでいる。
本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して大きくなっている。つまり、負極17の外縁17dは、正極16の外縁16dよりも一回り大きい。電極板15の周縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。つまり、電極板15の周縁部15cは、積層方向Dから見て、電極板15における正極16及び負極17が形成された領域以外の部分であって、正極16及び負極17を包囲する部分である。なお、バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19の表面は、それぞれ電極板15の周縁部15cにおける第1面15a及び第2面15bを含んでいる。
電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、正極16を含んでいない。すなわち、負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、活物質層が設けられていない(すなわち、負極終端電極18の第1面15aの全体が露出している)。負極終端電極18は、第2面15bが電極積層体11の積層方向Dの内側(積層方向Dについての中心側)に向くように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、負極17を含んでいない。すなわち、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、活物質層が設けられていない(すなわち、正極終端電極19の第2面15bの全体が露出している)。正極終端電極19は、第1面15aが電極積層体11の積層方向Dの内側に向くように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、導電板5が接触している。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、隣接する蓄電モジュール4の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって形成されている。封止体12は、周縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11bに沿って設けられている。封止体12は、周縁部15cを保持している。バイポーラ電極14には、中間樹脂部23が設けられている。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の外縁に沿って設けられ、バイポーラ電極14の全周に亘って設けられている。中間樹脂部23は、電極板15の外縁に接合して設けられている。この中間樹脂部23の端部は、封止体12に接合されている。つまり、バイポーラ電極14は、中間樹脂部23を介して封止体12に接合され、封止体12に支持されている。中間樹脂部23は、第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232とを有している。第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232の詳細については、後述する。
図3は、積層方向Dから見た場合における蓄電モジュール4の平面図である。図4は、切欠き部11aの説明図である。図5及び図6は、切欠き部11aの変形例の説明図である。図7は、積層方向Dから見た場合における中間樹脂部23が溶着されたバイポーラ電極14を示す図である。図8は、積層方向Dから見た場合における負極終端樹脂部24が溶着された負極終端電極18を示す図である。図9は、積層方向Dから見た場合におけるバイポーラ電極14及び負極終端電極18を示す図である。なお、図9に示されるバイポーラ電極14及び負極終端電極18は、それぞれ中間樹脂部23及び負極終端樹脂部24が溶着されており、互いに積層されている。
図3において、蓄電モジュール4は、矩形状の電極積層体11の外縁に封止体12を設けて構成されている。電極積層体11は、複数のバイポーラ電極14を積層して設けられており、バイポーラ電極14の積層方向と直交する方向の断面が矩形となっている。封止体12は、電極積層体11の外縁に全周に亘って連続して設けられている。つまり、封止体12は、電極積層体11を積層方向から見た場合の電極積層体11の外縁に全周に亘って連続して設けられている。電極積層体11の四つの角部には、それぞれ切欠き部11aが形成されている。切欠き部11aは、矩形状の電極積層体11の角を切り落とした形状で形成されている。すなわち、切欠き部11aは、矩形状の電極積層体11の角を斜めに切り落とした形状で形成されている。言い換えれば、切欠き部11aは、矩形状の電極積層体11の角を面取りした形状とされ、面取り部として機能する。このような切欠き部11aが形成されることにより、電極積層体11の角部が滑らかに曲がった形状となる。このため、封止体12を樹脂成形するとき、封止体12の成形領域の角部で樹脂が円滑に流動する。従って、封止体12の成形不良の発生を抑制することができる。
切欠き部11aは、少なくとも、封止体12の樹脂成形時において樹脂が円滑に流動する程度に切り落とされる。例えば、切欠き部11aは、角部において一次シール部材が電極板15から外側に突出する幅が、角部以外の領域で一次シール部材が電極板15から外側に突出する幅と同じとなるように形成される。ここでいう一次シール部材は、バイポーラ電極14の外縁に設けられる外縁樹脂部であり、例えば中間樹脂部23、負極終端樹脂部24及び正極終端樹脂部25、26が該当する。具体的には、図4に示すように、中間樹脂部23は、電極板15より大きく形成され、電極板15から外側へ突出するように形成されている。中間樹脂部23の角部における突出幅wが角部以外における突出幅w1と同じ幅になるように、切欠き部11aが形成される。なお、ここでいう同じ幅は、ほぼ同じ幅も含み、封止体12の樹脂成形時において樹脂が円滑に流動する程度の幅で切欠き部11aが形成されていれば、ほぼ同じ幅の範囲とされる。
なお、図3では切欠き部11aが一つの直線に沿って角を斜めに切り落とした形状とされているが、この切欠き部11aは、図5に示すように、電極積層体11の角を複数の直線(図5では二つの直線)に沿って切り落とした形状としてもよし、図6に示すように、電極積層体11の角を曲線状に切り落とした形状、すなわち角を丸めたラウンド形状としてもよい。これらの場合でも、電極積層体11の角が滑らかになるように形成されることにより、封止体12の成形不良の発生を抑制することが可能となる。
図7において、中間樹脂部23は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。中間樹脂部23は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、上述したようにバイポーラ電極14の周縁部15cの全周に亘って連続的に設けられている。中間樹脂部23は、積層方向Dから見て矩形状の内縁23c及び矩形状の外縁23dを含んでいる。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の少なくとも周縁部15cにおいてバイポーラ電極14の表面に溶着されている。具体的には、中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の第1面15aに溶着されて気密(液密)にバイポーラ電極14に接合されている。
中間樹脂部23の角部23fには、切欠き部11aが形成されている。すなわち、矩形枠状を呈する中間樹脂部23の四つの角部23fには、それぞれ切欠き部11aが形成されている。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の外縁に設けられる外縁樹脂部として機能する。中間樹脂部23はバイポーラ電極14の外縁に矩形枠状に設けられ、バイポーラ電極14は電極積層体11の一部を構成するため、図7の切欠き部11aは、電極積層体11の切欠き部11aとして機能する。
図2に示すように、中間樹脂部23は、第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232とを有している。第1中間樹脂部231及び第2中間樹脂部232は、積層方向Dに沿って互いに積層されている。第1中間樹脂部231及び第2中間樹脂部232のそれぞれは、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、矩形状の内縁及び外縁を含んでいる。積層方向Dから見て、第1中間樹脂部231の外縁及び第2中間樹脂部232の外縁は、互いに一致しており中間樹脂部23の外縁23dを構成している。
積層方向Dから見て、第2中間樹脂部232の内縁は、第1中間樹脂部231の内縁よりも大きい矩形状である。これにより、中間樹脂部23には、段差部23eが形成されている。段差部23e上には、セパレータ13の縁部が載置されている。第1中間樹脂部231の内縁は、中間樹脂部23の内縁23cを構成している。第1中間樹脂部231は、バイポーラ電極14の第1面15aに溶着されて電極板15に接合されている。第2中間樹脂部232は、第1中間樹脂部231上に溶着されて第1中間樹脂部231に接合されている。
図8において、負極終端樹脂部24は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。負極終端樹脂部24は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、負極終端電極18の周縁部15cの全周に亘って連続的に設けられている。負極終端樹脂部24は、積層方向Dから見て矩形状の内縁24c及び矩形状の外縁24dを含んでいる。負極終端樹脂部24は、負極終端電極18の少なくとも周縁部15cにおいて負極終端電極18の表面に溶着されている。具体的には、負極終端樹脂部24は、負極終端電極18の第1面15aに溶着されて気密(液密)に負極終端電極18に接合されている。
負極終端樹脂部24の角部24fには、切欠き部11aが形成されている。すなわち、矩形枠を呈する負極終端樹脂部24の四つの角部24fには、それぞれ切欠き部11aが形成されている。負極終端樹脂部24は、バイポーラ電極14の外縁に設けられる外縁樹脂部として機能する。負極終端樹脂部24はバイポーラ電極14の外縁に矩形枠状に設けられ、バイポーラ電極14は電極積層体11の一部を構成するため、図8の切欠き部11aは、電極積層体11の切欠き部11aとして機能する。
図2において、正極終端樹脂部25,26は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。正極終端樹脂部25,26は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、正極終端電極19の周縁部15cの全周に亘って連続的に設けられている。正極終端樹脂部25は、積層方向Dから見て矩形状の内縁25c及び矩形状の外縁25dを含んでいる。正極終端樹脂部25は、正極終端電極19の少なくとも周縁部15cにおいて正極終端電極19の表面に溶着されている。具体的には、正極終端樹脂部25は、正極終端電極19の第1面15aに溶着されて気密(液密)に正極終端電極19に接合されている。
正極終端樹脂部25,26の角部25f、26fには、負極終端樹脂部24と同様に、切欠き部11aが形成される(図7、8参照)。正極終端樹脂部25,26は、バイポーラ電極14の外縁に設けられる外縁樹脂部として機能する。正極終端樹脂部25,26はバイポーラ電極14の外縁に矩形枠状に設けられ、バイポーラ電極14は電極積層体11の一部を構成するため、正極終端樹脂部25,26に形成される切欠き部11aは、電極積層体11の切欠き部11aとして機能する。なお、中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、正極終端樹脂部25,26の角部の全てに切欠き部11aを形成する場合について説明したが、これらの角部の一部に切欠き部11aを形成してもよい。この場合であっても、切欠き部11aを形成した角部において、上述した作用効果を得ることができる。すなわち、封止体12の成形領域の角部で樹脂を円滑に流動させて、封止体12の成形不良の発生を抑制することができる。
正極終端樹脂部25は、第1部分251と第2部分252とを有している。第1部分251及び第2部分252は、積層方向Dに沿って互いに積層されている。第1部分251及び第2部分252のそれぞれは、積層方向Dから見て、それぞれ矩形枠状をなし、矩形状の内縁及び外縁を含んでいる。積層方向Dから見て、第1部分251の外縁及び第2部分252の外縁は、互いに一致しており正極終端樹脂部25の外縁25dを構成している。積層方向Dから見て、第2部分252の内縁は、第1部分251の内縁よりも一回り大きい矩形状である。これにより、正極終端樹脂部25には、段差部25eが形成されている。段差部25e上には、セパレータ13の縁部が載置されている。第1部分251の内縁は、正極終端樹脂部25の内縁25cを構成している。第1部分251は、正極終端電極19の第1面15aに溶着されて電極板15に接合されている。第2部分252は、第1部分251上に溶着されて第1部分251に接合されている。
正極終端樹脂部26は、積層方向Dから見て矩形状の内縁26c及び矩形状の外縁26dを含んでいる。正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の少なくとも周縁部15cにおいて正極終端電極19の表面に溶着されている。具体的には、正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の第2面15bに溶着されて気密(液密)に正極終端電極19に接合されている。
中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれは、例えば超音波又は熱によって第1面15aに溶着されている。電極板15の端面は、中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25によって覆われておらず露出している。中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれの内側端部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の周縁部15c同士の間に位置しており、外側端部は、積層方向Dからみて電極板15から外側に張り出している。中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれは、当該外側端部において第2樹脂部22に埋設されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1樹脂部21同士は、互いに離間している。
封止体12は、積層方向Dに沿って互いに隣接するバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣接する負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣接する正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密(液密)に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。すなわち、第1樹脂部21は、積層方向Dに沿って隣接する電極の間に電解液が収容される内部空間Vを形成すると共に、内部空間Vを封止するためのものである。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。
封止体12は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
続いて、各部の相対的な関係について詳細に説明する。なお、内側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心の側をいう。外側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心から遠ざかる側をいう。図2及び図7に示すように、バイポーラ電極14において、負極17は、電極板15よりも一回り小さい。つまり、負極17の外縁17dは、電極板15の外縁15dよりも内側に位置している。正極16は、負極17よりも一回り小さい。つまり、正極16の外縁16dは、負極17の外縁17dよりも内側に位置している。中間樹脂部23の外縁23dは、電極板15の外縁15dの外側に位置している。中間樹脂部23の内縁23cは、電極板15の外縁15dと負極17の外縁17dとの間に位置している。
中間樹脂部23は、第1エリア15e(図7においてハッチングが施された領域)においてバイポーラ電極14の表面(ここでは、バイポーラ電極14の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第1エリア15eは、バイポーラ電極14の第1面15aにおける中間樹脂部23が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び中間樹脂部23の内縁23cにより矩形枠状に規定されたエリアである。
負極終端電極18において、負極17は、電極板15よりも一回り小さい。つまり、負極17の外縁17dは、電極板15の外縁15dよりも内側に位置している。正極16は、負極17よりも一回り小さい。つまり、正極16の外縁16dは、負極17の外縁17dよりも内側に位置している。負極終端樹脂部24の外縁24dは、電極板15の外縁15dの外側に位置している。負極終端樹脂部24の内縁24cは、正極16の外縁16dよりも内側に位置している。つまり、負極終端樹脂部24は、正極16に重なるように延在している。
負極終端樹脂部24は、第2エリア15f(図8においてハッチングが施された領域)において負極終端電極18の表面(ここでは、負極終端電極18の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第2エリア15fは、負極終端電極18の第1面15aにおける負極終端樹脂部24が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び負極終端樹脂部24の内縁24cにより矩形枠状に規定されたエリアである。
バイポーラ電極14及び負極終端電極18の電極板15の外縁15dは、互いに一致している。バイポーラ電極14及び負極終端電極18のそれぞれの負極17の外縁17dは、互いに一致している。中間樹脂部23の外縁23d及び負極終端樹脂部24の外縁24dは、互いに一致している。負極終端樹脂部24の内縁24cは、中間樹脂部23の内縁23cよりも内側に位置している。つまり、第2エリア15fは、第1エリア15eよりも大きい。すなわち、積層方向Dに沿った全ての断面において、第2エリア15fの長さ(矩形枠状の幅)は、第1エリア15eの長さ(矩形枠状の幅)よりも大きい(図2参照)。つまり、積層方向Dから見て電極積層体11の全周に亘って、負極終端電極18の電極板15の外縁15dと負極終端樹脂部24の内縁24cとの距離は、バイポーラ電極14の電極板15の外縁15dと中間樹脂部23の内縁23cとの距離よりも大きい。
正極終端樹脂部25は、第1エリア15gにおいて正極終端電極19の表面(ここでは、正極終端電極19の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第1エリア15gは、正極終端電極19の第1面15aにおける正極終端樹脂部25が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び正極終端樹脂部25の内縁25cにより矩形枠状に規定されたエリアである。正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の表面(ここでは、正極終端電極19の第2面15b)に溶着されて正極終端電極19に接合されている。
次に、本実施形態に係る蓄電モジュール4の製造方法について説明する。
図10は、蓄電モジュール4の製造工程を示すフローチャートである。図9に示すように、蓄電モジュール4の製造として、まず、電極積層体11の作製が行われる(S10)。電極積層体11の作製は、複数のバイポーラ電極14を重ね合わせて積層させて行われる。また、電極積層体11には、バイポーラ電極14のほか、負極終端電極18、正極終端電極19が積層される。バイポーラ電極14には、積層される前に予め中間樹脂部23が取り付けられている。また、負極終端電極18には、積層される前に予め負極終端樹脂部24が取り付けられている。また、正極終端電極19には、積層される前に予め正極終端樹脂部25、26が取り付けられている。
このとき、中間樹脂部23、負極終端樹脂部24及び正極終端樹脂部25、26において、積層方向Dから見た角部分には、切欠き部11aが形成されている。すなわち、予め切欠き部11aが形成された中間樹脂部23、負極終端樹脂部24及び正極終端樹脂部25、26がバイポーラ電極14等に取り付けられ、このバイポーラ電極14等が複数積層されて、電極積層体11が作製される。なお、切欠き部11aを形成していない中間樹脂部23、負極終端樹脂部24及び正極終端樹脂部25、26をバイポーラ電極14等に取り付け、このバイポーラ電極14等を複数積層した後に、中間樹脂部23、負極終端樹脂部24及び正極終端樹脂部25、26の角部を切除して切欠き部11aを形成して、電極積層体11を作製してもよい。
次いで、封止体12の成形が行われる(S12)。この成形工程は、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形する工程である。例えば、電極積層体11をインサート部材として射出成形が行われ、電極積層体11の周囲に封止体12が成形される。成形工程の詳細については、後述する。
図11は、蓄電モジュール4の製造における封止体12の樹脂成形の工程概要図である。蓄電モジュール4は、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形することにより製造される。図11の(a)は、電極積層体11の配置工程を示した図である。すなわち、電極積層体11は、インサート部材として、金型91内に配置される。電極積層体11は、複数のバイポーラ電極14を積層させて構成され、樹脂成形の前に予め製造される。金型91は固定側の金型であり、この金型91の所定の位置に電極積層体11が配置される。
図11の(b)、(c)は、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形する成形工程の説明図である。図11の(b)に示すように、型締めが行われ、金型91に対し金型92が接合される。金型92は、可動側の金型であり、金型91に対し接近及び離間可能となっている。金型91と金型92が接合された内部には、空洞部(キャビティ)93が形成される。空洞部93は、封止体12の成形領域である。すなわち、この空洞部93に樹脂Pが流し込まれることにより、封止体12が成形される。空洞部93への樹脂Pの注入は、ゲート94を通じて行われる。
図12に示すように、封止体12の成形領域である空洞部93に沿って、樹脂Pが流動していく。このとき、空洞部93の角部において、空洞部93の領域が直角に曲がっているが、電極積層体11の角部に切欠き部11aが形成されているため、空洞部93の角部の曲率が小さくなっており、樹脂Pが円滑に流動する。つまり、空洞部93の角部における曲率半径が実質的に大きくなっており、樹脂Pの流れが角部で滞ることが軽減され、樹脂Pの流れが円滑なものとなる。これにより、角部93aにおける封止体12の成形不良を抑制することができる。
そして、図11の(c)に示すように、空洞部93の全体に樹脂Pを充填したら、所定時間、樹脂Pに圧力を加えつつ、樹脂Pの冷却が行われる。これにより、封止体12が成形される。
そして、型開きを行い、金型91から金型92を離間させる。その後、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形したものを金型91から取り出し、樹脂Pの不要部分の切り取るなどの処理を行って、蓄電モジュール4の製造が完了する。
以上のように、本実施形態に係る蓄電モジュール4および蓄電モジュール4の製造方法によれば、矩形状の電極積層体11の角部に切欠き部11aを形成し、その電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形することにより、封止体12を樹脂成形する際に封止体12の成形領域の角部で樹脂Pを円滑に流動させることができる。このため、封止体12の角部において成形不良を抑制することができ、蓄電モジュールの製造が適切に行える。
また、本実施形態に係る蓄電モジュール4および蓄電モジュール4の製造方法において、中間樹脂部23などの外縁樹脂部の角を切り落とした形状の切欠き部11aが形成されている。このため、バイポーラ電極14の電極など電気的に機能する部分を切り欠くことなく切欠き部11aを形成することができる。
また、本実施形態に係る蓄電モジュール4および蓄電モジュール4の製造方法において、中間樹脂部23などの外縁樹脂部は、バイポーラ電極14の電極板15から外側へ突出して形成され、切欠き部11aが外縁樹脂部の角部における突出幅wが角部以外における突出幅w1と同じ幅になるように形成されている。このように、十分な大きさの切欠き部11aを形成することにより、封止体12を樹脂成形する際に封止体12の成形領域の角部で樹脂Pを円滑に流動させることができる。従って、封止体12の角部において成形不良を抑制することができ、蓄電モジュール4の製造が適切に行える。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、図1のように蓄電モジュール4を積層した蓄電装置1として用いる場合について説明したが、蓄電モジュール4を異なる構造又は形式で用いてもよい。また、上述した実施形態では、蓄電モジュール4をフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いる場合について説明したが、その他の用途に用いてもよい。