JP2019149239A - 電極ユニット製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストの増大を抑制可能な電極ユニット製造方法を提供する。【解決手段】電極ユニット製造方法は、射出成形により第1層27を形成する第1工程と、バイポーラ電極14の周縁部15cに第1層27を設ける第2工程と、を備える。射出成形の金型60の内面61s,62sには、スリット65が配列されて複数形成されている。金型60の中子63は、複数の部分63pから構成されている。第1工程は、複数のスリット65に樹脂を充填して硬化させることにより、複数の第1層27を一括して形成する形成工程と、中子63を複数の部分63pに解体して中子63から第1層27を分離する分離工程と、を含む。【選択図】図7
Description
本発明は、電極ユニット製造方法に関する。
特許文献1には、バイポーラ電池が記載されている。このバイポーラ電池は、積層された複数枚のバイポーラ電極を含む電池要素を備える。バイポーラ電極は、集電体と、集電体の片方の面上に設けられた正極層と、集電体の他方の面上に設けられた負極層と、を有する。また、このバイポーラ電池は、電池要素の外部を被覆する樹脂群を備えている。樹脂群は、電池内部の電解液等が外部に漏液しないように電池要素を気密に維持するために設けられている。
上述したようなバイポーラ電池の製造方法において、各バイポーラ電極に設けられる樹脂枠(樹脂群のうちの1つ)を形成する際に、例えば射出成形といった方法を用いることが考えられる。一方で、バイポーラ電極が平面状に広がる形状であるため、そのバイポーラ電極の外部を被覆するための樹脂枠も、平面状に広がる形状となる。したがって、射出成形の金型の分割面に沿って延びるように樹脂枠のためのキャビティを形成すると、多数個取りが困難となり、製造に係る時間も含めコストが増大する。
そこで、本発明は、コストの増大を抑制可能な電極ユニット製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る電極ユニット製造方法は、シート状の電極と電極の周縁部に設けられる樹脂枠とを含む電極ユニットを製造する電極ユニット製造方法であって、射出成形により樹脂枠を形成する第1工程と、電極の周縁部に樹脂枠を設ける第2工程と、を備え、射出成形の金型は、内部空間を形成する内面を含む上型及び下型と、内面に接して内部空間に配置される中子と、を含み、内面には、上型と下型とが組み合わされて形成される内部空間に中子が配置されたときに環状となるスリットが、内面に沿う方向に配列されて複数形成されており、中子は、複数の部分から構成されており、第1工程は、複数のスリットに樹脂を充填して硬化させることにより、複数の樹脂枠を一括して形成する形成工程と、形成工程の後に、中子を複数の部分に解体して中子から樹脂枠を分離する分離工程と、を含む。
この製造方法においては、射出成形の金型の上型及び下型の内面に対して、一方向に配列された複数のスリットが形成されている。スリットのそれぞれは、上型と下型とが組み合わされて中子が内部空間に配置されたときに(型締め時に)環状となる。そして、複数のスリットに樹脂を充填して硬化させることにより複数の樹脂枠を一括して形成する。このように、シート状の電極の周縁部に設けられる樹脂枠の多数個取りが可能となる。ここで、以上のように、金型において一方向に配列された複数のスリットと中子とを利用した場合には、中子の周囲に形成される樹脂枠を中子から引き抜こうとすると、樹脂枠に変形や破損が生じるおそれがある。これに対して、この製造方法にあっては、中子を複数の部分に解体することにより、中子の周囲に形成された樹脂枠を中子から分離する。このため、樹脂枠を中子から分離する際に、樹脂枠に変形や破損が生じることを抑制して歩留まりを向上できる。よって、この製造方法によれば、コストの増大が抑制される。
本発明に係る電極ユニット製造方法においては、中子は、互いに積層されて一体化される3つ以上の部分から構成されており、分離工程においては、中子の積層方向の外側に位置する一対の部分から中子の積層方向の内側に位置する部分を抜き出すことにより中子を解体してもよい。中子を構成する複数の部分のうち、中子の内側に位置する部分は、中子の外側に位置する部分と比較して、樹脂枠との接触部分が相対的に少ない。このため、中子の内側の部分を抜き出して中子を解体することにより、樹脂枠を中子から分離する際の樹脂枠の変形や破損を確実に抑制できる。よって、コストの増大をより抑制できる。
本発明に係る電極ユニット製造方法においては、金型には、スリットを互いに連通する連通部が形成されており、形成工程においては、連通部を介して複数のスリットに一括して樹脂を充填してもよい。この場合、複数のスリットに樹脂を容易に充填可能となる。
本発明に係る電極ユニット製造方法においては、第2工程においては、第1工程の後に、周縁部に対して樹脂枠を溶着することにより、周縁部に樹脂枠を設けてもよい。この場合、第1工程と第2工程とを別々に行うことにより、第1工程を簡素化できる。
本発明に係る電極ユニット製造方法においては、第1工程においては、スリット内に周縁部が挿入されるように内部空間に複数の電極を配置した状態において形成工程を実施し、樹脂枠を周縁部上に形成することによって、第2工程を同時に実施してもよい。この場合、第1工程と第2工程とを同時に行うことにより、製造に係る時間を短縮してコストの増大をより抑制できる。
本発明に係る電極ユニット製造方法においては、第1工程においては、周縁部を露出するように電極と中子の部分とを交互に積層して積層体を形成した後に、スリット内に周縁部が挿入されるように内部空間に積層体を配置してもよい。この場合、電極と中子との積層体を準備して内部空間に配置するため、製造に係る時間をより短縮可能である。
本発明に係る電極ユニット製造方法においては、樹脂枠は、内縁を含む枠状の内側部と、外縁を含み内側部よりも厚い枠状の外側部と、を含み、第1工程においては、スリットの開口を介して中子の部分がスリット内にさらに挿入されるように内部空間に積層体を配置した状態において形成工程を実施することにより、スリットにおいて内側部を形成すると共に外側部を形成してもよい。この場合、互いに厚さの異なる部分を有する樹脂枠を、中子を利用して形成可能である。
本発明によれば、コストの増大を抑制可能な電極ユニット製造方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら一実施形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
[蓄電装置の一実施形態]
[蓄電装置の一実施形態]
図1は、蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向(ここでは、後述する電極積層体11における電極の積層方向D)に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向Dに交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向Dと、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の積層方向Dの内側面(モジュール積層体2に向いた面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8には、モジュール積層体2と積層方向Dに重なる部位よりも外周側の縁部に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向Dに拘束荷重が付加される。
[蓄電モジュールの一実施形態]
[蓄電モジュールの一実施形態]
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12と、を備えている。電極積層体11は、セパレータ13を介して、積層方向D(第1方向)に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極18、及び、単一の正極終端電極19)を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。側面11aは、一例として、後述する電極板15の端面(第1面15aと第2面15bとを接続する面)の集合として構成される。
バイポーラ電極14は、電極板15、電極板15の第1面15aに設けられた正極16、電極板15の第1面15aの反対の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、第2面15bが電極積層体11の内側(積層方向Dについての中心側)に向くように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、第1面15aが電極積層体11の内側に向くように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、導電板5が接触している。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、隣接する蓄電モジュール4の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15の周縁部(バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び、正極終端電極19の縁部)15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として断面が略矩形の筒状に形成されている。封止体12は、周縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに沿って設けられている。封止体12は、周縁部15cを保持している。封止体12は、周縁部15cに溶着された複数の第1樹脂部(樹脂枠)21と、電極積層体11の側面11aに沿って第1樹脂部21を外側(積層方向Dからみたときの外側)から包囲するように第1樹脂部21に接合された単一の第2樹脂部22と、を有している。第1樹脂部21及び第2樹脂部22は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
第1樹脂部21は、矩形枠状に形成されている。第1樹脂部21は、周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。第1樹脂部21は、電極板15の第1面15aに気密及び液密に接合(例えば溶着)されている。第1樹脂部21は、例えば超音波又は熱によって溶着されている。第1樹脂部21は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。電極板15の端面は、第1樹脂部21によって覆われておらず露出している。第1樹脂部21の内側端部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の周縁部15c同士の間に位置しており、外側端部は、積層方向Dからみて電極板15から外側に張り出している。第1樹脂部21は、外側端部において第2樹脂部22に埋設されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1樹脂部21同士は、互いに離間している。
ここでは、複数種類の第1樹脂部21(第1樹脂部23,25)が用いられている。第1樹脂部23は、負極終端電極18の周縁部15cにおいて、負極終端電極18の第1面15aに設けられている。ここでは、第1樹脂部(樹脂枠)23は、断面矩形状の単一の枠状部から形成されている。第1樹脂部(樹脂枠)25は、バイポーラ電極14及び正極終端電極19の周縁部15cにおいて、バイポーラ電極14の第1面15a及び正極終端電極19の第1面15aに設けられている。
図3は、図2に示された第1樹脂部25及びバイポーラ電極14を示す図である。図3の(a)は断面図であり、図3の(b)は平面図である。図2,3に示されるように、第1樹脂部25は、断面矩形状の枠状部である第1層27と、断面矩形状の枠状部であり、第1層27に積層された第2層29と、を含む。第1層27及び第2層29は、それぞれ、樹脂枠である。第1樹脂部25は、第1層27において第1面15aに接合されている。第1層27の外縁27aと第2層29の外縁29aとは、積層方向Dからみて一致している。一方、第1層27の内縁27bと第2層29の内縁29bとは、積層方向Dからみて離間している。
より具体的には、第1層27の内縁27bは、第2層29の内縁29bよりもバイポーラ電極14の積層方向からみて第1面15aの内側に位置している。ここでは、バイポーラ電極14の積層方向は、負極17、電極板15、及び、正極16の積層方向であって、電極積層体11における電極の積層方向D、及び、モジュール積層体2における蓄電モジュール4の積層方向と一致している。これにより、第1層27には、積層方向Dからみて第2層29に覆われる部位と、第2層29から露出する部位と、が形成される。すなわち、第1樹脂部25の全体としては、積層方向Dからみて第2層29から露出されて第1層27のみからなる内側部25pと、第1層27及び第2層29からなる外側部25rと、を含むことになる。内側部25pは、第1樹脂部25の内縁(すなわち、第1層27の内縁27b)を含み、外側部25rよりも積層方向Dに薄い。外側部25rは、第1樹脂部25の外縁(すなわち、第1層27の外縁27a及び第2層29の外縁29a)を含み、内側部25pよりも積層方向Dに厚い。これにより、第1樹脂部25に対して、セパレータ13が配置される段差部25tが形成される。
[電極ユニット製造方法の一実施形態]
[電極ユニット製造方法の一実施形態]
引き続いて、電極と樹脂枠とを含む電極ユニットの製造方法の一実施形態について説明する。図3に示されるように、電極ユニット50は、ここでは、バイポーラ電極14と、第1樹脂部25の第1層27と、を含む。換言すれば、電極ユニット50は、シート状の電極(ここではバイポーラ電極14)と、電極の周縁部15cに設けられる樹脂枠(ここでは第1層27)と、を含む。なお、以下の製造方法は、正極終端電極19と第1層27とを含む電極ユニットの製造方法、及び、負極終端電極18と第1樹脂部23とを含む電極ユニットの製造方法と共通化可能であり、バイポーラ電極14を正極終端電極19に読み替え可能であるし、或いは、バイポーラ電極14を負極終端電極18に読み替えると共に第1層27を第1樹脂部23に読み替え可能である。
この製造方法においては、まず、射出成形により第1層27を形成する第1工程を実施する。続いて、バイポーラ電極14の周縁部15cに第1層27を設ける第2工程を実施する。なお、第1工程と第2工程との間に、射出成形により形成された第2層29を第1層27に接合(例えば溶着)することにより、樹脂枠としての第1樹脂部25を形成し、第2工程において第1樹脂部25をバイポーラ電極14の周縁部15cに設けてもよい。以下、各工程について具体的に説明する。
図4は、第1工程の射出成形に用いられる金型の分解斜視図である。図5は、図4に示された金型の断面図である。図6は、図5のVI−VI線に沿っての断面図である。図4〜6に示されるように、金型60は、上型61、下型62、及び、中子63を含む。上型61及び下型62は、互いに略同一の矩形箱状を呈している。上型61の内面61sと下型62の内面62sとは、上型61と下型62とが組み合わされたとき(型締め時)に、直方体状の内部空間Sを形成する。
内面61sには、複数のU字状のスリット61aが形成されている。スリット61aは、内面61sのうち、上型61の開口に臨む底面と、該底面を挟んで連続する2面と、にわたって形成されている。スリット61aは、内面61sに沿って一方向に等間隔に配列されている。内面62sには、複数のU字状のスリット62aが形成されている。スリット62aは、内面62sのうち、下型62の開口に臨む底面と、該底面を挟んで連続する2面と、にわたって形成されている。スリット62aは、内面62sに沿って一方向に等間隔に配列されている。
スリット61aのそれぞれと、スリット62aのそれぞれとは、上型61と下型62とが組み合わされたときに、互いに接続されて一続きの環状であって図5のVI−VI線に沿った断面において矩形状のスリット65を形成する。すなわち、内面61s,62sには、上型61と下型62とが組み合わされたときに環状となるスリット65が、一方向に配列されて複数形成されている。スリット65の幅(スリット65の配列方向における寸法)は、第1層27の厚さと同等である。スリット65の深さ(スリット65の内面61s,62sからの切り込み深さ)は、第1層27の幅(外縁27aと内縁27bとの間の距離)と同等である。なお、上型61には、スリット65(スリット61a)を互いに連通する連通部66が形成されている。また、上型61には、連通部66に対して外部から樹脂を導入するための導入部67が形成されている。
中子63は、内部空間Sに配置される。中子63は、上型61と下型62とが組み合わされたときに、内面61s,62sに接触する。すなわち、中子63は、内面61s,62sに接して内部空間Sに配置される。これにより、中子63は、上型61と下型62とが組み合わされたときに、スリット65の開口を閉塞する。すなわち、スリット65は、上型61と下型62とが組み合わされて形成される内部空間Sに中子63が配置されたときに、内部空間Sに臨む開口が中子63によって閉塞され、閉じた環状となる。中子63は、複数の部分63pから構成されている。ここでは、中子63は、互いに積層されて一体化された3つ以上(ここでは3つ)の部分63pから構成されている。一例として、全ての部分63pは、互いに同一の形状(ここでは直方体状)を呈している。
第1工程においては、以上の金型60を用いた射出成形を行う。図7は、第1工程を説明するための断面図である。図8は、第1工程を説明するための斜視図である。図7の(b)は、図7の(a)のVII−VII線に沿っての断面図である。図7に示されるように、第1工程においては、上型61、下型62、及び中子63が組み合わされた状態の金型60に対して溶融状態の樹脂を導入する。より具体的には、導入部67及び連通部66を介して、複数のスリット65に一括して樹脂を充填する(形成工程)。その後、スリット65に充填された樹脂を硬化させる(形成工程)。これにより、中子63を囲むように複数の第1層27を一括して形成する(形成工程)。
続いて、図8の(a)に示されるように、上型61と下型62とを分離(型開き)すると共に、中子63及び中子63の周囲に形成された複数の第1層27を取り出す(分離工程)。続いて、図8の(b)に示されるように、中子63を複数の部分63pに解体し、中子63から第1層27を分離する(分離工程)。ここでは、中子63を構成する3つの部分63pのうち、複数の部分63pの積層方向の外側に位置する一対の部分63pから、複数の部分63pの積層方向の内側に位置する1つの部分63pを抜き出すことにより、中子63を解体する。
続いて、第2工程においては、以上の第1工程により形成された第1層27を、図3に示されるように、バイポーラ電極14(電極板15)の周縁部15cに設ける。ここでは、バイポーラ電極14の周縁部15cに対して第1層27を溶着することにより第1層27を設ける。一例として、バイポーラ電極14の少なくとも周縁部15cにおいて、電極板15の第1面15aが粗面化されており、第1面15aの粗面化されたエリアに対して第1層27を溶着して、第1層27とバイポーラ電極14とを接合する。これにより、バイポーラ電極14と第1層27とを含む電極ユニット50が製造される。
[電極ユニット製造方法の作用・効果]
[電極ユニット製造方法の作用・効果]
以上説明したように、本実施形態に係る製造方法においては、射出成形の金型60の上型61及び下型62の内面61s,62sに対して、一方向に配列された複数のスリット65が形成されている。スリット65のそれぞれは、上型61と下型62とが組み合わされて中子63が内部空間Sに配置されたときに(型締め時に)環状となる。そして、複数のスリット65に樹脂を充填して硬化させることにより、複数の第1層27を一括して形成する。このように、シート状のバイポーラ電極14の周縁部15cに設けられる第1層27の多数個取りが可能となる。
ここで、以上のように、金型60において一方向に配列された複数のスリット65と中子63とを利用した場合には、中子63の周囲に形成される第1層27を中子63から引き抜こうとすると、引き抜く力によって第1層27に変形や破損が生じるおそれがある。これに対して、この製造方法にあっては、中子63を複数の部分63pに解体することにより、中子63の周囲に形成された第1層27を中子63から分離する。このため、第1層27を中子63から分離する際に、第1層27に変形や破損が生じることを抑制して歩留まりを向上できる。よって、この製造方法によれば、コストの増大が抑制される。
また、本実施形態に係る電極ユニット製造方法においては、中子63は、互いに積層されて一体化される3つの部分63pから構成されている。そして、分離工程においては、中子63の積層方向の外側に位置する一対の部分63pから、中子63の積層方向の内側に位置する部分63pを抜き出すことにより、中子63を解体する。中子63を構成する複数の部分63pのうち、中子63の積層方向の内側に位置する部分63pは、中子63の積層方向の外側に位置する部分63pと比較して、第1層27との接触部分が相対的に少ない。このため、中子63の積層方向の内側の部分63pを抜き出して中子63を解体することにより、第1層27を中子63から分離する際の第1層27の変形や破損を確実に抑制できる。よって、コストの増大をより抑制できる。
また、本実施形態に係る電極ユニット製造方法においては、上型61には、スリット65(スリット61a)を互いに連通する連通部66が形成されている。そして、形成工程においては、連通部66を介して複数のスリット65に一括して樹脂を充填する。このため、複数のスリット65に樹脂を容易に充填可能である。
さらに、本実施形態に係る電極ユニット製造方法においては、第2工程において、第1工程の後に、バイポーラ電極14の周縁部15cに対して第1層27を溶着することにより、バイポーラ電極14の周縁部15cに第1層27を設ける。このように、第1工程と第2工程とを別々に行うことにより、第1工程を簡素化できる。
以上の実施形態は、本発明に係る電極ユニット製造方法の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係る電極ユニット製造方法は、上述した一例に限定されるものでなく、任意の変更が可能である。引き続いて、電極ユニット製造方法の変形例について説明する。
[電極ユニット製造方法の変形例]
[電極ユニット製造方法の変形例]
図9は、変形例に係る電極ユニット製造方法を説明するための図である。この例では、インサート成形により電極ユニットを製造する。そのために、この例では、中子63に代えて中子70を用いる。図9に示されるように、中子70は、複数の直方体板状の部分70pから構成されている。部分70pの数は、製造する樹脂枠(ここでは第1層27)の数(すなわち、スリット65の数)に対応しており、ここでは製造する樹脂枠の数+1個である。図9の(a)に示されるように、第1工程においては、バイポーラ電極14と中子70の部分70pとを交互に積層して積層体80を形成する。ここでは、バイポーラ電極14の周縁部15cが中子70から露出するように、且つ、バイポーラ電極14の周縁部15c以外において第1面15a及び第2面15bが中子70に覆われるように、バイポーラ電極14と部分70pとを交互に積層する。
その後、積層体80を内部空間Sに配置する。このとき、スリット65内にバイポーラ電極14の周縁部15cが挿入されるようする。ここでは、周縁部15cにおいて、第2面15bがスリット65の内面に接触し、且つ、第1面15aがスリット65の内面から離間した状態とする。この状態において、スリット65に樹脂を充填して形成工程を実施することにより、積層体80の積層方向からみて中子70(部分70pのそれぞれ)を囲むように、且つ、第1面15aに接合されるように、第1層(樹脂枠)27が形成される。この結果、第1層27がバイポーラ電極14の周縁部15cに設けられる。すなわち、この例では、第1工程と第2工程とが同時に実施される。なお、ここでは、スリット65の幅(積層体80の積層方向の寸法)が、バイポーラ電極14の周縁部15cの厚さ(積層体80の積層方向についての電極板15の厚さ)と第1層27の厚さ(積層体80の積層方向についての第1層27の厚さ)との合計となるように設定されている。
その後、積層体80及び第1層27を金型60から取り出し、中子70を複数の部分70pに解体して中子70から第1層27を分離する。これにより、バイポーラ電極14とバイポーラ電極14の周縁部15cに設けられた第1層27とを含む電極ユニット50が一括して製造される。この例によれば、第1工程と第2工程とを同時に行うことにより、製造に係る時間を短縮可能である。また、バイポーラ電極14と中子70の部分70pとの積層体80を準備して内部空間Sに配置するため、製造に係る時間をより短縮可能である。
図10は、別の変形例に係る電極ユニット製造方法を説明するための図である。この例では、積層体80を形成して内部空間Sに配置して第1工程と共に第2工程を実施する点について、上記の例と同様である。ただし、この例においては、内側部25pと外側部25rとを含む第1樹脂部25を一括して形成する。そのために、スリット65の幅(積層体80の積層方向の寸法)が、バイポーラ電極14の周縁部15cの厚さ(積層体80の積層方向についての電極板15の厚さ)と、第1樹脂部25の相対的に厚い部分である外側部25rの厚さ(積層体80の積層方向について厚さ)との合計となるように設定されている。
また、この例で用いられる中子70においては、それぞれの部分70pの外周部に、矩形枠状のリブ71が形成されている。このリブ71の厚さ(積層体80の積層方向についての厚さ)は、内側部25pの厚さと外側部25rの厚さとの差(段差部25tの高さ(段差部25tの積層体80の積層方向の寸法))に相当する。そして、第1工程においては、スリット65の開口を介して中子70の部分70pのリブ71がスリット65に挿入されるように内部空間Sに積層体80を配置する。このとき、リブ71は、スリット65の深さ方向について、スリット65の開口側の一部のみに配置される。換言すれば、スリット65の深さ方向について、スリット65の開口と反対側の一部(残りの部分)には、リブ71が配置されていない部分が生じる。また、リブ71を、スリット65の内面に接触させると共に、第1面15aから離間させる。これにより、スリット65内には、リブ71により段差が形成された空間が形成される。
この状態において、形成工程を実施する(スリット65に樹脂を充填して硬化させる)ことにより、リブ71が配置されたスリット65において、内側部25pと外側部25rとを形成する(すなわち、第1樹脂部25を形成する)。その後、積層体80及び第1樹脂部25を金型60から取り出し、中子70を複数の部分70pに解体して中子70から第1樹脂部25を分離する。これにより、バイポーラ電極14とバイポーラ電極14の周縁部15cに設けられた第1樹脂部25とを含む電極ユニット50が一括して製造される。この例によれば、互いに厚さの異なる部分を有する第1樹脂部25を、中子70を利用して形成可能である。
なお、以上の製造方法においては、バイポーラ電極14と第1樹脂部23とを含む電極ユニットを製造する場合、負極終端電極18と第1樹脂部25(第1層27)とを含む電極ユニットを製造する場合、及び、正極終端電極19と第1樹脂部23とを含む電極ユニットを製造する場合にも適用可能である。
14…バイポーラ電極(電極)、15c…周縁部、18…負極終端電極(電極)、19…正極終端電極(電極)、21,23,25…第1樹脂部(樹脂枠)、25p…内側部、25r…外側部、27…第1層(樹脂枠)、50…電極ユニット、60…金型、61…上型、61s,62s…内面、62…下型、63,70…中子、63p,70p…部分、61a,62a,65…スリット、66…連通部、80…積層体、S…内部空間。
Claims (7)
- シート状の電極と前記電極の周縁部に設けられる樹脂枠とを含む電極ユニットを製造する電極ユニット製造方法であって、
射出成形により前記樹脂枠を形成する第1工程と、
前記電極の前記周縁部に前記樹脂枠を設ける第2工程と、を備え、
前記射出成形の金型は、内部空間を形成する内面を含む上型及び下型と、前記内面と接して前記内部空間に配置される中子と、を含み、
前記内面には、前記上型と前記下型とが組み合わされて形成される前記内部空間に前記中子が配置されたときに環状となるスリットが一方向に配列されて複数形成されており、
前記中子は、複数の部分から構成されており、
前記第1工程は、
複数の前記スリットに樹脂を充填して硬化させることにより複数の前記樹脂枠を一括して形成する形成工程と、
前記形成工程の後に、前記中子を前記複数の部分に解体して前記中子から樹脂枠を分離する分離工程と、
を含む、
電極ユニット製造方法。 - 前記中子は、互いに積層されて一体化される3つ以上の前記部分から構成されており、
前記分離工程においては、前記中子の積層方向の外側に位置する一対の前記部分から前記中子の積層方向の内側に位置する前記部分を抜き出すことにより前記中子を解体する、
請求項1に記載の電極ユニット製造方法。 - 前記金型には、前記スリットを互いに連通する連通部が形成されており、
前記形成工程においては、前記連通部を介して複数の前記スリットに一括して前記樹脂を充填する、
請求項1又は2に記載の電極ユニット製造方法。 - 前記第2工程においては、前記第1工程の後に、前記周縁部に対して前記樹脂枠を溶着することにより、前記周縁部に前記樹脂枠を設ける、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極ユニット製造方法。 - 前記第1工程においては、前記スリット内に前記周縁部が挿入されるように前記内部空間に複数の前記電極を配置した状態において前記形成工程を実施し、前記樹脂枠を前記周縁部上に形成することによって、前記第2工程を同時に実施する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極ユニット製造方法。 - 前記第1工程においては、前記周縁部を露出するように前記電極と前記中子の前記部分とを交互に積層して積層体を形成した後に、前記スリット内に前記周縁部が挿入されるように前記内部空間に前記積層体を配置する、
請求項5に記載の電極ユニット製造方法。 - 前記樹脂枠は、内縁を含む枠状の内側部と、外縁を含み前記内側部よりも厚い枠状の外側部と、を含み、
前記第1工程においては、前記スリットの開口を介して前記中子の一部が前記スリット内にさらに挿入されるように前記内部空間に前記積層体を配置した状態において前記形成工程を実施することにより、前記スリットにおいて前記内側部を形成すると共に前記外側部を形成する、
請求項6に記載の電極ユニット製造方法。
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