以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、本実施形態に係る蓄電モジュールの製造方法の説明に先立って、蓄電モジュール及び蓄電モジュールを用いた蓄電装置について説明する。
図1は、蓄電モジュールを用いた蓄電装置の概略断面図である。図1に示される蓄電装置1は、本実施形態に係る蓄電モジュール4を用いた蓄電装置の一例を示すものであり、例えば、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してその積層方向(ここでは、後述する電極積層体11における電極の積層方向D)に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。
モジュール積層体2は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール4と、複数(ここでは4つ)の導電板5と、を含む。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、積層方向Dから見て矩形状をなしている。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5を介して電気的に接続されている。導電板5は、積層方向Dに互いに隣り合う蓄電モジュール4間と、積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側と、にそれぞれ配置されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された一方の導電板5には、正極端子6が接続されている。積層端に位置する蓄電モジュール4の積層方向Dの外側に配置された他方の導電板5には、負極端子7が接続されている。正極端子6及び負極端子7は、例えば導電板5の縁部から積層方向Dに交差する方向に引き出されている。正極端子6及び負極端子7により、蓄電装置1の充放電が実施される。
導電板5の内部には、空気等の冷媒を流通させる複数の流路5aが設けられている。流路5aは、例えば、積層方向Dと、正極端子6及び負極端子7の引き出し方向と、にそれぞれ交差(直交)する方向に沿って延在している。導電板5は、蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能のほか、これらの流路5aに冷媒を流通させることにより、蓄電モジュール4で発生した熱を放熱する放熱板としての機能を併せ持つ。なお、図1の例では、積層方向Dから見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さいが、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同じであってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
拘束部材3は、モジュール積層体2を積層方向Dに挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10と、によって構成されている。エンドプレート8は、積層方向Dから見た蓄電モジュール4及び導電板5の面積よりも一回り大きい面積を有する矩形の金属板である。エンドプレート8の積層方向Dの内側面(モジュール積層体2側に向いた面)には、電気絶縁性を有するフィルムFが設けられている。フィルムFにより、エンドプレート8と導電板5との間が絶縁されている。
エンドプレート8には、モジュール積層体2と積層方向Dに重なる部位よりも外周側の縁部に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通され、他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4及び導電板5がエンドプレート8によって挟持されてモジュール積層体2としてユニット化されると共に、モジュール積層体2に対して積層方向Dに拘束荷重が付加される。
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示された蓄電モジュール4の内部構成を示す概略断面図である。図2に示されるように、蓄電モジュール4は、複数のバイポーラ電極14を積層してなる電極積層体(積層体)11を有し、この電極積層体11の外縁に樹脂製の封止体12を設けて構成されている。電極積層体11は、セパレータ13、セパレータ13を介して、積層方向D(第1方向)に沿って積層された複数の電極(複数のバイポーラ電極14、単一の負極終端電極18、及び、単一の正極終端電極19)を含む。ここでは、電極積層体11の積層方向Dはモジュール積層体2の積層方向と一致している。電極積層体11は、積層方向Dに延びる側面11aを有している。側面11aは、一例として、後述する電極板15の端面(第1面15aと第2面15bとを接続する面)の集合として構成される。
バイポーラ電極14は、電極板15、正極16及び負極17を含んでいる。正極16は、電極板15の第1面15aに設けられている。負極17は、電極板15の第1面15aに対して反対側の第2面15bに設けられている。電極板15は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板15は、積層方向Dから見て矩形状の外縁15dを含んでいる。
正極16は、正極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。正極16は、積層方向Dから見て矩形状の外縁16dを含んでいる。負極17は、負極活物質が電極板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。負極17は、積層方向Dから見て矩形状の外縁17dを含んでいる。
本実施形態では、電極板15の第2面15bにおける負極17の形成領域は、電極板15の第1面15aにおける正極16の形成領域に対して大きくなっている。つまり、負極17の外縁17dは、正極16の外縁16dよりも一回り大きい。電極板15の周縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。つまり、電極板15の周縁部15cは、積層方向Dから見て、電極板15における正極16及び負極17が形成された領域以外の部分であって、正極16及び負極17を包囲する部分である。なお、バイポーラ電極14、負極終端電極18、及び正極終端電極19の表面は、それぞれ電極板15の周縁部15cにおける第1面15a及び第2面15bを含んでいる。
電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んで積層方向Dに隣り合うさらに別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
負極終端電極18は、電極板15、及び電極板15の第2面15bに設けられた負極17を含んでいる。負極終端電極18は、正極16を含んでいない。すなわち、負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、活物質層が設けられていない(すなわち、負極終端電極18の第1面15aの全体が露出している)。負極終端電極18は、第2面15bが電極積層体11の積層方向Dの内側(積層方向Dについての中心側)に向くように、積層方向Dの一端に配置されている。負極終端電極18の負極17は、セパレータ13を介して、積層方向Dの一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
正極終端電極19は、電極板15、及び電極板15の第1面15aに設けられた正極16を含んでいる。正極終端電極19は、負極17を含んでいない。すなわち、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、活物質層が設けられていない(すなわち、正極終端電極19の第2面15bの全体が露出している)。正極終端電極19は、第1面15aが電極積層体11の積層方向Dの内側に向くように、積層方向Dの他端に配置されている。正極終端電極19の正極16は、セパレータ13を介して、積層方向Dの他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
負極終端電極18の電極板15の第1面15aには、導電板5が接触している。また、正極終端電極19の電極板15の第2面15bには、隣接する蓄電モジュール4の導電板5が接触している。拘束部材3からの拘束荷重は、導電板5を介して負極終端電極18及び正極終端電極19から電極積層体11に付加される。すなわち、導電板5は、積層方向Dに沿って電極積層体11に拘束荷重を付加する拘束部材でもある。
セパレータ13は、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって形成されている。封止体12は、周縁部15cを包囲するように電極積層体11の側面11aに沿って設けられている。封止体12は、周縁部15cを保持している。バイポーラ電極14には、中間樹脂部23が設けられている。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の外縁に沿って設けられ、バイポーラ電極14の全周に亘って設けられている。中間樹脂部23は、電極板15の外縁に接合して設けられている。この中間樹脂部23の端部は、封止体12に接合されている。つまり、バイポーラ電極14は、中間樹脂部23を介して封止体12に接合され、封止体12に支持されている。中間樹脂部23は、第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232とを有している。第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232の詳細については、後述する。
図3は、積層方向Dから見た場合における中間樹脂部23が溶着されたバイポーラ電極14を示す図である。図4は、積層方向Dから見た場合における負極終端樹脂部24が溶着された負極終端電極18を示す図である。図5は、積層方向Dから見た場合におけるバイポーラ電極14及び負極終端電極18を示す図である。なお、図5に示されるバイポーラ電極14及び負極終端電極18は、それぞれ中間樹脂部23及び負極終端樹脂部24が溶着されており、互いに積層されている。
図2~図5において、中間樹脂部23は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。中間樹脂部23は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、上述したようにバイポーラ電極14の周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。中間樹脂部23は、積層方向Dから見て矩形状の内縁23c及び矩形状の外縁23dを含んでいる。中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の少なくとも周縁部15cにおいてバイポーラ電極14の表面に溶着されている。具体的には、中間樹脂部23は、バイポーラ電極14の第1面15aに溶着されて気密(液密)にバイポーラ電極14に接合されている。
中間樹脂部23は、第1中間樹脂部231と第2中間樹脂部232とを有している。第1中間樹脂部231及び第2中間樹脂部232は、積層方向Dに沿って互いに積層されている。第1中間樹脂部231及び第2中間樹脂部232のそれぞれは、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、矩形状の内縁及び外縁を含んでいる。積層方向Dから見て、第1中間樹脂部231の外縁及び第2中間樹脂部232の外縁は、互いに一致しており中間樹脂部23の外縁23dを構成している。
積層方向Dから見て、第2中間樹脂部232の内縁は、第1中間樹脂部231の内縁よりも大きい矩形状である。これにより、中間樹脂部23には、段差部23eが形成されている。段差部23e上には、セパレータ13の縁部が載置されている。第1中間樹脂部231の内縁は、中間樹脂部23の内縁23cを構成している。第1中間樹脂部231は、バイポーラ電極14の第1面15aに溶着されて電極板15に接合されている。第2中間樹脂部232は、第1中間樹脂部231上に溶着されて第1中間樹脂部231に接合されている。
負極終端樹脂部24は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。負極終端樹脂部24は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、負極終端電極18の周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。負極終端樹脂部24は、積層方向Dから見て矩形状の内縁24c及び矩形状の外縁24dを含んでいる。負極終端樹脂部24は、負極終端電極18の少なくとも周縁部15cにおいて負極終端電極18の表面に溶着されている。具体的には、負極終端樹脂部24は、負極終端電極18の第1面15aに溶着されて気密(液密)に負極終端電極18に接合されている。
正極終端樹脂部25、26は所定の厚さ(積層方向Dの長さ)を有するフィルムである。正極終端樹脂部25、26は、積層方向Dから見て、矩形枠状をなし、正極終端電極19の周縁部15cの全周にわたって連続的に設けられている。正極終端樹脂部25は、積層方向Dから見て矩形状の内縁25c及び矩形状の外縁25dを含んでいる。正極終端樹脂部25は、正極終端電極19の少なくとも周縁部15cにおいて正極終端電極19の表面に溶着されている。具体的には、正極終端樹脂部25は、正極終端電極19の第1面15aに溶着されて気密(液密)に正極終端電極19に接合されている。
正極終端樹脂部25は、第1部分251と第2部分252とを有している。第1部分251及び第2部分252は、積層方向Dに沿って互いに積層されている。第1部分251及び第2部分252のそれぞれは、積層方向Dから見て、それぞれ矩形枠状をなし、矩形状の内縁及び外縁を含んでいる。積層方向Dから見て、第1部分251の外縁及び第2部分252の外縁は、互いに一致しており正極終端樹脂部25の外縁25dを構成している。積層方向Dから見て、第2部分252の内縁は、第1部分251の内縁よりも一回り大きい矩形状である。これにより、正極終端樹脂部25には、段差部25eが形成されている。段差部25e上には、セパレータ13の縁部が載置されている。第1部分251の内縁は、正極終端樹脂部25の内縁25cを構成している。第1部分251は、正極終端電極19の第1面15aに溶着されて電極板15に接合されている。第2部分252は、第1部分251上に溶着されて第1部分251に接合されている。
正極終端樹脂部26は、積層方向Dから見て矩形状の内縁26c及び矩形状の外縁26dを含んでいる。正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の少なくとも周縁部15cにおいて正極終端電極19の表面に溶着されている。具体的には、正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の第2面15bに溶着されて気密(液密)に正極終端電極19に接合されている。
中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれは、例えば超音波又は熱によって第1面15aに溶着されている。電極板15の端面は、中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25によって覆われておらず露出している。中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれの内側端部は、積層方向Dに互いに隣り合う電極板15の周縁部15c同士の間に位置しており、外側端部は、積層方向Dからみて電極板15から外側に張り出している。中間樹脂部23、負極終端樹脂部24、及び正極終端樹脂部25のそれぞれは、当該外側端部において第2樹脂部22に埋設されている。積層方向Dに沿って互いに隣り合う第1樹脂部21同士は、互いに離間している。
封止体12は、積層方向Dに沿って互いに隣接するバイポーラ電極14の間、積層方向Dに沿って互いに隣接する負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、積層方向Dに沿って互いに隣接する正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、バイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び、正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密(液密)に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。すなわち、第1樹脂部21は、積層方向Dに沿って隣接する電極の間に電解液が収容される内部空間Vを形成すると共に、内部空間Vを封止するためのものである。電解液は、セパレータ13、正極16及び負極17内に含浸されている。
封止体12は、例えば、絶縁性の樹脂であって、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等から構成され得る。
続いて、各部の相対的な関係について詳細に説明する。なお、内側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心の側をいう。外側とは、積層方向Dから見て、蓄電モジュール4の中心から遠ざかる側をいう。バイポーラ電極14において、負極17は、電極板15よりも一回り小さい。つまり、負極17の外縁17dは、電極板15の外縁15dよりも内側に位置している。正極16は、負極17よりも一回り小さい。つまり、正極16の外縁16dは、負極17の外縁17dよりも内側に位置している。中間樹脂部23の外縁23dは、電極板15の外縁15dの外側に位置している。中間樹脂部23の内縁23cは、電極板15の外縁15dと負極17の外縁17dとの間に位置している。
中間樹脂部23は、第1エリア15e(図3においてハッチングが施された領域)においてバイポーラ電極14の表面(ここでは、バイポーラ電極14の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第1エリア15eは、バイポーラ電極14の第1面15aにおける中間樹脂部23が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び中間樹脂部23の内縁23cにより矩形枠状に規定されたエリアである。
負極終端電極18において、負極17は、電極板15よりも一回り小さい。つまり、負極17の外縁17dは、電極板15の外縁15dよりも内側に位置している。正極16は、負極17よりも一回り小さい。つまり、正極16の外縁16dは、負極17の外縁17dよりも内側に位置している。負極終端樹脂部24の外縁24dは、電極板15の外縁15dの外側に位置している。負極終端樹脂部24の内縁24cは、正極16の外縁16dよりも内側に位置している。つまり、負極終端樹脂部24は、正極16に重なるように延在している。
負極終端樹脂部24は、第2エリア15f(図4においてハッチングが施された領域)において負極終端電極18の表面(ここでは、負極終端電極18の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第2エリア15fは、負極終端電極18の第1面15aにおける負極終端樹脂部24が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び負極終端樹脂部24の内縁24cにより矩形枠状に規定されたエリアである。
バイポーラ電極14及び負極終端電極18の電極板15の外縁15dは、互いに一致している。バイポーラ電極14及び負極終端電極18のそれぞれの負極17の外縁17dは、互いに一致している。中間樹脂部23の外縁23d及び負極終端樹脂部24の外縁24dは、互いに一致している。負極終端樹脂部24の内縁24cは、中間樹脂部23の内縁23cよりも内側に位置している。つまり、第2エリア15fは、第1エリア15eよりも大きい。すなわち、積層方向Dに沿った全ての断面において、第2エリア15fの長さ(矩形枠状の幅)は、第1エリア15eの長さ(矩形枠状の幅)よりも大きい(図2参照)。つまり、積層方向Dから見て電極積層体11の全周に亘って、負極終端電極18の電極板15の外縁15dと負極終端樹脂部24の内縁24cとの距離は、バイポーラ電極14の電極板15の外縁15dと中間樹脂部23の内縁23cとの距離よりも大きい。
正極終端樹脂部25は、第1エリア15gにおいて正極終端電極19の表面(ここでは、正極終端電極19の第1面15a)に溶着されている。換言すれば、第1エリア15gは、正極終端電極19の第1面15aにおける正極終端樹脂部25が溶着されたエリアであって、電極板15の外縁15d及び正極終端樹脂部25の内縁25cにより矩形枠状に規定されたエリアである。正極終端樹脂部26は、正極終端電極19の表面(ここでは、正極終端電極19の第2面15b)に溶着されて正極終端電極19に接合されている。
次に、本実施形態に係る蓄電モジュール4の製造方法について説明する。
図6は、蓄電モジュール4の製造工程を示すフローチャートである。図6に示すように、蓄電モジュール4の製造として、まず、電極積層体11の作製が行われる(S10)。電極積層体11の作製は、複数のバイポーラ電極14を重ね合わせて積層させて行われる。バイポーラ電極14には、積層される前に予め中間樹脂部23などが取り付けられている。なお、電極積層体11には、バイポーラ電極14のほか、負極終端電極18及び正極終端電極19も積層される。
次いで、封止体12の成形が行われる(S12)。この成形工程は、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形する工程である。例えば、電極積層体11をインサート部材として射出成形が行われ、電極積層体11の周囲に封止体12が成形される。成形工程の詳細については、後述する。
図7は、蓄電モジュール4の製造における封止体12の樹脂成形の工程概要図である。蓄電モジュール4は、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形することにより製造される。図7の(a)は、電極積層体11の配置工程を示した図である。すなわち、電極積層体11は、インサート部材として、金型91内に配置される。電極積層体11は、複数のバイポーラ電極14を積層させて構成され、樹脂成形の前に予め製造される。金型91は固定側の金型であり、この金型91の所定の位置に電極積層体11が配置される。
図7の(b)、(c)は、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形する成形工程の説明図である。図7の(b)に示すように、型締めが行われ、金型91に対し金型92が接合される。金型92は、可動側の金型であり、金型91に対し接近及び離間可能となっている。金型91と金型92が接合された内部には、空洞部(キャビティ)93が形成される。空洞部93は、封止体12の成形領域である。すなわち、この空洞部93に樹脂Pが流し込まれることにより、封止体12が成形される。空洞部93へは、封止体12の角部93aの位置から樹脂Pが注入されて樹脂成形が行われる。空洞部93への樹脂Pの注入は、ゲート94を通じて行われる。
図8は、ゲート94の位置の説明図であり、金型91の断面であって電極積層体11の積層方向と直交する方向(図7のVIII-VIII)の断面を示している。図8に示すように、金型91には、電極積層体11の外縁の全周にわたり所定の幅で空洞部93が形成されている。空洞部93の複数の位置にゲート94が形成されている。ゲート94は、空洞部93への樹脂Pの注入口である。ゲート94は、図8に図示されていない金型92に複数形成されている。複数のゲート94のうち一部は、空洞部93(封止体12の成形領域)の角部93aに形成されている。図8では、矩形枠状に形成される空洞部93の四つの角部93aに一つずつゲート94が形成されている。また、空洞部93の長辺には二つのゲート94が形成され、空洞部93の短辺には一つのゲート94が形成されている。なお、ゲート94が角部93aにのみ形成される場合、又は、長辺及び短辺のゲート94が上述のものと異なる数で形成される場合もある。
また、封止体12の樹脂成形を行う際、各々のゲート94から注入される樹脂Pの注入量を同一としてもよい。この場合、成形工程においてゲート94の各々から同一の量の樹脂Pが注入されて封止体12が成形されることにより、金型91、92内で樹脂Pを円滑に流動させることができる。つまり、封止体12の樹脂成形を行うにあたり、各ゲート94が受け持つ樹脂Pの量を同一とすることにより、各ゲート94における樹脂Pの注入がほぼ同時に完了し、樹脂Pの流れが乱れずに円滑なものとなる。これにより、封止体12の成形不良の発生が抑制され、蓄電モジュール4の製造が適切に行える。なお、ここでいう同一の注入量とは、ほぼ同一の注入量も含む。樹脂Pを円滑に流動できる注入量であれば、同一の注入量でなくてもよく、ほぼ同一の注入量であってもよい。
また、封止体12の樹脂成形を行う際、隣り合うゲート94とゲート94の間の距離dを同一としてもよい。図8に示すように、ゲート94とゲート94の間の距離dを同一とし、そのゲート94の位置から樹脂Pを注入して成形を行うことにより、ゲート94から注入される樹脂Pが円滑に流動して成形が行える。例えば、図9に示すように、樹脂Pが予め設定された方向へ流れ、樹脂Pを流れの乱れが抑制され、安定して樹脂成形が行える。これにより、封止体12の成形不良の発生が抑制され、蓄電モジュール4の製造が適切に行える。ここでいう同一の距離とは、ほぼ同一の距離も含む。樹脂Pを円滑に流動できる距離であれば、同一の距離でなくてもよく、ほぼ同一の距離であってもよい。
また、角部93aに形成されるゲート94の位置は、空洞部93(成形領域)の幅方向の中央位置でなく、幅方向において中央位置に対し外側の位置としてもよい。例えば、図10に示すように、電極積層体11の外縁に沿って所定の幅で矩形に形成される空洞部93において、角部93aの中央より外側の位置にゲート94が形成される。つまり、空洞部93の角部93aにおいて、内縁より外縁に近い位置にゲート94が形成される。この場合、角部93aのゲート94から空洞部93へ樹脂Pが注入されると、角部93aから二方向へ延びる成形領域へ樹脂Pが円滑に流れていくこととなる。これに対し、図11に示すように、ゲート94が角部93aの中央の位置に形成されている場合、角部93aのゲート94から空洞部93へ樹脂Pが注入されると、角部93aの外側へ流動する樹脂Pを生ずる。このため、角部93aから二方向へ延びる成形領域へ樹脂Pが円滑に流れず、樹脂Pの流れに乱れを生ずることとなり、成形不良を生ずるおそれがある。
さらに、封止体12の樹脂成形を行う際、角部93aにあるゲート94とそれ以外のゲート94の樹脂Pの注入開始のタイミングを異ならせてもよい。つまり、ゲート94を開閉するゲート開閉機構を設け、ゲート94における樹脂Pの注入開始のタイミングを制御してもよい。例えば、角部93a以外にあるゲート94の樹脂Pの注入より先に角部93aにあるゲート94の樹脂Pの注入が行われる。この場合、角部93aにあるゲート94から早いタイミングで樹脂Pの注入が開始される。これにより、角部93a付近における樹脂Pの流れが乱れることが抑制され、角部93aの周辺の樹脂Pの円滑な流れが確保される。従って、角部93aにおける封止体12の成形不良の発生を抑制することができる。
そして、図7の(c)に示すように、空洞部93の全体に樹脂Pを充填したら、所定時間、樹脂Pに圧力を加えつつ、樹脂Pの冷却が行われる。これにより、封止体12が成形される。
そして、型開きを行い、金型91から金型92を離間させる。その後、電極積層体11の外縁に封止体12を成形した成形品を金型91から取り出し、樹脂Pの不要部分の切り取るなどの処理を行って、蓄電モジュール4の製造が完了する。
以上のように、本実施形態に係る蓄電モジュール4の製造方法によれば、電極積層体11の外縁に封止体12を樹脂成形する際に、封止体12の成形領域の角部93aの位置から樹脂Pを注入して行うことにより、樹脂Pの流動方向を大きく変えることなく樹脂成形が行える。このため、封止体12の成形不良を抑制して蓄電モジュールの製造を適切に行える。例えば、図9に示すように、封止体12の成形領域の角部93aの位置から樹脂Pを注入して行うことで、樹脂Pの流動経路を直線状にすることができる。このため、樹脂Pの流動経路の変化による成形不良の発生が抑制され、蓄電モジュールの製造を適切に行えるのである。
また、本実施形態に係る蓄電モジュール4の製造方法において、封止体12の成形工程において複数のゲート94の各々から同一の量の樹脂Pを注入して封止体12を成形することにより、金型91、92内で樹脂Pを円滑に流動させることができる。これにより、封止体12の成形不良が抑制され、蓄電モジュール4の製造が適切に行える。
また、本実施形態に係る蓄電モジュール4の製造方法において、樹脂Pの注入を行うゲート94とゲート94の間の距離が同一とすることにより、各々のゲート94の位置から注入される樹脂Pが円滑に流動して成形が行える。これにより、封止体12の成形不良が抑制され、蓄電モジュール4の製造が適切に行える。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では、図1のように蓄電モジュール4を積層した蓄電装置1として用いる場合について説明したが、蓄電モジュール4を異なる構造又は形式で用いてもよい。また、上述した実施形態では、蓄電モジュール4をフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いる場合について説明したが、その他の用途に用いてもよい。