JP2019183148A - 混合組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】撥水性(特に、水滴の滑落性)・撥油性、および耐硫酸性に優れた皮膜を実現できる混合組成物を提供する。【解決手段】少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、下記式(b1)で表される金属化合物(B)と、第1解離時のpKaが1以上の酸(C)と、水(D)との混合組成物であって、前記水(D)の量が、0質量%超、2.20質量%未満である混合組成物。下記式(b1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。M(Rb10)r(Ab1)m-r(b1)【選択図】なし

Description

本発明は、有機ケイ素化合物と金属化合物との混合組成物に関する。
各種の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴(特に、水滴)が付着することによって、水そのものや水に含まれていたイオンやダストにより、基材が汚れることがある。そのため、これらの分野においては、基材表面の撥水・撥油性が良好あることが求められる。基材表面の撥水・撥油性を高める皮膜を形成するための組成物として、有機ケイ素化合物を混合した組成物が知られており、特許文献1には、特定の構造を有する有機ケイ素化合物を混合した組成物を開示されている。また、特許文献2には、ローラー、金型、プレート、シュート、ホッパー、もしくは調理器具等に、撥水・撥油性および非粘着性を付与するための塗料組成物として、トリアルコキシシラン化合物、無機フィラー、触媒、シロキサンオリゴマー、水、および有機溶媒を混合した塗料組成物が開示されている。
特開2017−201008号公報 特開2016−33190号公報
上記分野で用いられる皮膜は、屋外などの用途によっては、紫外線や雨水などの過酷な環境に曝される場合があり、過酷な環境に曝された後でも良好な性能を維持できることが望まれる。屋外で撥水・撥油性を長期間維持させようとした場合、空気中のSOxやNOxと水分とが反応することで生じる硫酸や硝酸が、塗膜の劣化を招くことが検討の結果明らかとなったため、その中でも特に劣化因子として影響の大きい硫酸に対する耐性を持つことが、実用安定性の観点から重要である。しかし、特許文献1、2に開示されている組成物を用いて得られる皮膜は、耐硫酸性について検討の余地が残されていた。
本発明は、上記の様な事情に着目してなされたものであって、撥水性(特に、水滴の滑落性)・撥油性、および耐硫酸性に優れた皮膜を実現できる混合組成物を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、下記式(b1)で表される金属化合物(B)と、第1解離時のpKaが1以上の酸(C)と、水(D)との混合組成物であって、前記水(D)の量が、0質量%超、2.20質量%未満である混合組成物。
M(Rb10r(Ab1m-r (b1)
[式(b1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
[2] 前記水(D)の量が、0質量%超、1.79質量%未満である[1]に記載の組成物。
[3] 溶剤(E)が混合されており、前記溶剤(E)の量が、10質量%以上である[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 前記溶剤(E)の質量に対する前記水(D)の質量の割合(D/E)が、50質量%以下である[3]に記載の組成物。
[5] 前記有機ケイ素化合物(A)に対する前記金属化合物(B)のモル比(B/A)が、2〜500である[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記酸(C)の量が、30質量%以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記組成物は、第1解離時のpKaが1未満の酸の量が、2.0質量%未満(0質量%を含む)である[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記有機ケイ素化合物(A)は、下記式(a1)で表される化合物である[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
Figure 2019183148

[式(a1)中、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、または炭化水素鎖含有基を表し、xは、0または1であり、Ra1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖を表す。Za1およびRa1の該トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。]
[9] 前記有機ケイ素化合物(A)は、下記式(a2)で表される化合物である[8]に記載の組成物。
Figure 2019183148

[式(a2)中、Aa1、Za1、xは、上記と同義である。Zs1は、−O−または2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてよく、複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10のアルキル基を表し、n1は、1以上の整数であり、Ys1は、単結合または−Si(Rs22−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表す。]
[10] 前記n1が、1〜60の整数である[9]に記載の組成物。
[11] 前記有機ケイ素化合物(A)と前記金属化合物(B)との量の合計(A+B)が、0.40質量%以上である[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] 前記金属化合物(B)が、下記式(b2)で表される化合物である[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
Si(ORb11y4-y (b2)
[式(b2)中、Rb11は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、yは、3または4である。]
なお、前記混合組成物は、混合後、例えば保管中に反応が進んだものも含む。
本発明の混合組成物は、触媒として第1解離時のpKaが1以上の酸(C)を用いると共に、混合組成物中の水の量を所定量未満に抑えているため、該混合組成物を基材に塗布して皮膜を形成するときの加水分解縮合反応を適切な状態にコントロールすることができる。その結果、形成される皮膜は、良好な撥水・撥油性および耐硫酸性を有する。
本発明の混合組成物は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子(以下、このケイ素原子を「中心ケイ素原子」という場合がある)に結合している有機ケイ素化合物(A)と、下記式(b1)で表される金属化合物(B)と、第1解離時のpKaが1以上の酸(C)と、水(D)との混合組成物であって、前記水(D)の量が、0質量%超、2.20質量%未満である点に特徴を有している。
M(Rb10r(Ab1m-r (b1)
上記式(b1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。
このような混合組成物を用い、前記した加水分解性基の加水分解、および重縮合によって形成される皮膜は、前記したトリアルキルシリル基によって撥水・撥油性を有する皮膜となり、特に水滴の滑落性が良好となる。
また、触媒として第1解離時のpKaが1以上の酸(C)を用いると共に、混合組成物に混合される水量を抑えることによって、ケイ素原子に結合している加水分解性基が加水分解、および重縮合する反応の局所的な進行を抑制し、穏やかな条件下で皮膜を形成できる。その結果、良好な皮膜が形成でき、この皮膜は耐硫酸性に優れたものとなる。また、耐摩耗性にも優れたものとなる。以下では、混合組成物を、単に組成物と呼ぶことがある。
以下、有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)、第1解離時のpKaが1以上の酸(C)、および水(D)について順に説明する。有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)は、組成物中において縮合物となっていてもよい。
1.有機ケイ素化合物(A)
本発明における有機ケイ素化合物(A)は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とが中心ケイ素原子に結合している。
トリアルキルシリル基含有分子鎖とは、トリアルキルシリル含有基が分子鎖の末端に結合した構造を有する1価の基であり、分子鎖にトリアルキルシリル含有基が結合していることで、本発明の組成物から形成される皮膜の撥水・撥油性が向上し、特に水滴の滑落性が向上する。またトリアルキルシリル基含有分子鎖が存在することで、液滴(水滴等)と該皮膜の間の抵抗が低減され、液滴が移動しやすくなる。トリアルキルシリル含有基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合においても、同様に該皮膜界面(表面)の撥水性(特に、水滴の滑落性)・撥油性を向上することができる。また、トリアルキルシリル基が該皮膜表面に偏在することで、硫酸が膜中に拡散することを防ぎ、高い耐硫酸性を有する膜が得られる。更に、温水が膜中に拡散することも防げるため、後述する耐温水特性にも優れた膜となる。
上記有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖の個数は、1以上であり、3以下が好ましく、より好ましくは2以下である。中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖の個数は、1が特に好ましい。
上記加水分解性基とは、加水分解によってヒドロキシ基を与える基(ケイ素原子と結合してシラノール基となる基)であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1または2のアルコキシ基がより好ましい。
上記有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合する加水分解性基の個数は、1以上であり、2以上が好ましく、通常、3以下が好ましい。
上記有機ケイ素化合物(A)の中心ケイ素原子には、トリアルキルシリル基含有分子鎖、加水分解性基のほか、シロキサン骨格含有基(好ましくは、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも少ない原子数のシロキサン骨格含有基)、または炭化水素鎖含有基(好ましくは、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも少ない炭素数の炭化水素鎖を含有する炭化水素鎖含有基)が結合していてもよい。
本発明の組成物は、上記有機ケイ素化合物(A)を2種以上混合してもよい。
上記有機ケイ素化合物(A)は、具体的には、下記式(a1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019183148
上記式(a1)中、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、または炭化水素鎖含有基を表し、xは、0または1であり、Ra1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖を表す。Za1およびRa1の該トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
上記式(a1)中、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基であり、加水分解によってヒドロキシ基を与える基(ケイ素原子と結合してシラノール基となる基)であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1または2のアルコキシ基がより好ましい。
上記式(a1)中、Ra1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖であり、上述した通り、トリアルキルシリル含有基が分子鎖の末端に結合した構造を有する1価の基である。上記トリアルキルシリル含有基は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基を含む基であり、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つのトリアルキルシリル基を含む基である。
上記トリアルキルシリル含有基は、下記式(s1)で表される基が好ましい。
Figure 2019183148
上記式(s1)中、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。*は結合手を表す。
上記式(s1)において、Rs1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基であるか、Rs1が全てアルキル基であることが好ましい。
上記Rs1が炭化水素基である場合、その炭素数は、1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。
上記Rs1が炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
複数のRs1は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。Rs1が全て炭化水素基(特にアルキル基)である場合、3つのRs1の合計の炭素数は、9以下が好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。3つのRs1のうち少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、少なくとも2つがメチル基であることがより好ましく、3つのRs1全てがメチル基であることが特に好ましい。
上記Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)としては、具体的には、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
Figure 2019183148
また、上記式(s1)のRs1がトリアルキルシリルオキシ基である場合、Rs1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基であることが好ましい。
上記トリアルキルシリルオキシ基としては、Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)のケイ素原子に酸素原子が結合している基が挙げられる。上記式(s1)において、2個以上のRs1がトリアルキルシリルオキシ基であることが好ましく、3個のRs1がトリアルキルシリルオキシ基であることが更に好ましい。
s1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基である基としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2019183148
上記トリアルキルシリル基含有分子鎖において、トリアルキルシリル含有基は、分子鎖の末端(自由端側)、特に分子鎖の主鎖(最長直鎖)の末端(自由端側)に結合していることが好ましい。
上記トリアルキルシリル含有基が結合している分子鎖は、直鎖状または分岐鎖状が好ましく、直鎖状がより好ましい。
上記トリアルキルシリル含有基が結合している分子鎖は、ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましく、直鎖状ジアルキルシロキサン鎖を含むことがより好ましい。また、ジアルキルシロキサン鎖を含む上記分子鎖は、2価の炭化水素基を含んでいてもよい。該分子鎖の一部が2価の炭化水素基であっても、残部がジアルキルシロキサン鎖であるため、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
上記トリアルキルシリル基が結合している分子鎖は、下記式(s2)で表される基が好ましい。
Figure 2019183148
上記式(s2)中、Zs1は、−O−または2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表し、n1は、1以上の整数であり、Ys1は、単結合または−Si(Rs22−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。上記式(s2)において、左側の*は、中心ケイ素原子との結合手を表し、右側の*は、トリアルキルシリル含有基との結合手を表す。
上記Rs2で表されるアルキル基の炭素数は、1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。
n1は、1〜100の整数が好ましく、より好ましくは1〜80の整数、さらに好ましくは1〜60の整数、さらにより好ましくは1〜50の整数、特に好ましくは1〜45の整数、最も好ましくは1〜30の整数である。
s1またはLs1で表される2価の炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。前記2価の炭化水素基は、鎖状が好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルカンジイル基が好ましい。前記2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
さらに、前記2価の炭化水素基に含まれる一部の−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。この場合、連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはなく、Si原子に隣接する−CH2−が−O−に置き換わることはない。2つ以上の−CH2−が−O−に置き換わっている場合、−O−と−O−の間の炭素数は、2〜4が好ましく、2または3がさらに好ましい。前記2価の炭化水素基の一部が−O−に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
上記式(s2)において、Zs1が−O−であり、Ys1が単結合であること、すなわち前記分子鎖は、ジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなることが好ましい。ジアルキルシロキサン鎖がジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなる場合、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
上記トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれる分子鎖としては、下記式で表される分子鎖を挙げることができる。下記式中、q1は、1以上の整数を表し、*は、中心ケイ素原子またはトリアルキルシリル含有基に結合する結合手を表すものとする。q1は、上記n1と同じ数値範囲であり、好ましい範囲も同じであるが、例えば、1〜60であってもよいし、1〜30であってもよい。
Figure 2019183148
Figure 2019183148
Figure 2019183148
また、トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子の合計数は、24以上が好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。また、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは2000以下、さらにより好ましくは1200以下、特に好ましくは700以下、最も好ましく250以下である。
上記トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s3)で表される基が好ましい。
Figure 2019183148
上記式(s3)中、Zs1、Rs2、n1、Ys1、Rs1は、上記と同義である。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
上記トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s3−1)または下記式(s3−2)で表される基が好ましく、下記式(s3−2)で表される基がより好ましい。
上記トリアルキルシリル基含有分子鎖が、下記式(s3−1)で表される場合、下記式(s3−1−1)で表される基がより好ましい。
Figure 2019183148
上記式(s3−1)および上記式(s3−1−1)中、Zs1、Rs2、n1、Ys1は、上記と同義である。Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
s3で表されるアルキル基の炭素数は、1〜3が好ましく、より好ましくは1または2である。また、上記式(s3−1)および上記式(s3−1−1)中、−Si(Rs33に含まれるRs3の合計の炭素数は、9以下が好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。さらに、−Si(Rs33に含まれるRs3のうち、Rs3は少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs3がメチル基であることがより好ましく、3つのRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
上記トリアルキルシリル基含有分子鎖が、下記式(s3−2)で表される場合、下記式(s3−2−1)で表される基がより好ましい。
Figure 2019183148
上記式(s3−2)および式(s3−2−1)中、Zs1、Rs2、n1、Ys1は、上記と同義である。Rs4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
s4で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、上記Rs3で説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
s4で表されるアルキル基の炭素数は、1〜3が好ましく、より好ましくは1または2である。また、上記式(s3−2)および上記式(s3−2−1)中、それぞれの−Si(Rs43に含まれるRs4の合計の炭素数は、9以下が好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。さらに、それぞれの−Si(Rs43に含まれるRs4のうち、Rs4は少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs4がメチル基であることがより好ましく、3つのRs4全てがメチル基であることが特に好ましい。
上記トリアルキルシリル基含有分子鎖としては、具体的には、下記式(s3−I)で表される基が挙げられる。
Figure 2019183148
上記式(s3−I)中、*は中心ケイ素原子との結合手を表す。
上記式(s3−I)中、Zs10、Rs20、n10、Ys10、Rs10は、下記表1、表2に示す組み合わせが好ましい。
Figure 2019183148
Figure 2019183148
上記表1、表2に示したn10は、好ましくは1〜30である。また、上記式(a1)中、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、または炭化水素鎖含有基を表す。
a1がトリアルキルシリル基含有分子鎖である場合は、上記Ra1と同様のものが挙げられる。
a1がシロキサン骨格含有基である場合、前記シロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有する1価の基であり、Ra1のトリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子数よりも少ない数の原子で構成されるものであることが好ましい。これにより、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも長さが短いか、立体的な広がり(かさ高さ)が小さな基となる。シロキサン骨格含有基には、2価の炭化水素基が含まれていてもよい。
上記シロキサン骨格含有基は、下記式(s4)で表される基が好ましい。
Figure 2019183148
上記式(s4)中、Zs1、Rs2、およびYs1は上記と同義である。Rs5は、炭化水素基またはヒドロキシ基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。n3は、0〜5の整数を表す。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
s5で表される炭化水素基としては、Rs1で表される炭化水素基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
s5で表される炭化水素基の炭素数は、1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。
n3は、1〜5の整数が好ましく、より好ましくは1〜3の整数である。
上記シロキサン骨格含有基の原子数の合計は、600以下が好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは350以下、さらにより好ましくは100以下、特に好ましくは50以下、最も好ましくは30以下であり、また10以上が好ましい。また、Ra1のトリアルキルシリル基含有分子鎖とZa1のシロキサン骨格含有基の原子数の差は、10以上が好ましく、より好ましくは20以上であり、1000以下が好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。
上記シロキサン骨格含有基としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2019183148
a1が炭化水素鎖含有基である場合、トリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも炭化水素鎖部分の炭素数が少ないものであることが好ましい。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖の最長直鎖を構成する原子数よりも、炭化水素鎖の最長直鎖の炭素数が少ないものであることが好ましい。炭化水素鎖含有基は、少なくとも一部に炭化水素基を有する基を意味し、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
前記炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は1以上、3以下が好ましく、より好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。前記炭化水素鎖含有基は、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基が好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基がより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が含まれる。
飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
上記式(a1)中、xは、好ましくは0である。
上記有機ケイ素化合物(A)は、下記式(a2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019183148
上記式(a2)中、Aa1、Za1、x、Zs1、Rs2、n1、Ys1、Rs1は、それぞれ上記と同義である。
上記式(a2)において、上記n1は、1〜60の整数が好ましい。上記n1は、より好ましくは2以上の整数、更に好ましくは3以上の整数であり、より好ましくは50以下の整数、更に好ましくは40以下の整数、特に好ましくは30以下の整数、最も好ましくは25以下の整数である。
上記式(a2)で表される有機ケイ素化合物(A)は、下記式(a2−1)または下記式(a2−2)で表されるものが好ましく、下記式(a2−2)で表されるものがより好ましい。
上記式(a2)で表される有機ケイ素化合物(A)が、下記式(a2−1)で表される場合、下記式(a2−1−1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2019183148
上記式(a2−1)および式(a2−1−1)中、Aa1、Zs1、Rs2、n1、Ys1、Rs3は、上記と同義である。
上記式(a2)で表される有機ケイ素化合物(A)が、下記式(a2−2)で表される場合、下記式(a2−2−1)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2019183148
上記式(a2−2)および式(a2−2−1)中、Aa1、Zs1、Rs2、n1、Ys1、Rs4は、上記と同義である。
上記式(a2)で表される有機ケイ素化合物(A)は、具体的には、式(A−I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019183148
上記式(A−I)において、Aa10、Zs10、Rs20、n10、Ys10、Rs10は、下記表3−1、3−2、4−1、4−2に示す組み合わせが好ましい。
Figure 2019183148
Figure 2019183148
Figure 2019183148
Figure 2019183148
上記表3−1、表3−2、表4−1、表4−2に示したn10は、好ましくは1〜30である。
上記式(A−I)の中でも、(A−I−26)で表されるものがより好ましい。すなわち、上記式(a2)で表される有機ケイ素化合物(A)としては、下記式(a3)で表されるものが好ましい。
Figure 2019183148
上記式(a3)中、n2は、1〜60の整数である。
上記n2は、より好ましくは2以上の整数、更に好ましくは3以上の整数であり、より好ましくは50以下の整数、更に好ましくは40以下の整数、特に好ましくは30以下の整数、最も好ましくは25以下の整数である。
上記有機ケイ素化合物(A)の量は、組成物の全体を100質量%としたとき、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、2質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下である。上記の有機ケイ素化合物(A)の量は、組成物の調製時の配合量または組成物を分析した結果から算出することができる。なお、本明細書において、質量比またはモル比は、上記と同様に組成物の調製時の配合量または組成物の分析結果から算出することができる。
上記有機ケイ素化合物(A)の合成方法としては、特開2017−201009号公報に記載の方法が挙げられる。
2.金属化合物(B)
本発明の組成物は、下記式(b1)で表される金属化合物(B)を混合した組成物である。
M(Rb10r(Ab1m-r (b1)
上記式(b1)中、Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、Rb10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、rは、0または1である。複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。
上記金属化合物(B)は、上記式(b1)で表される通り、金属原子Mに、少なくとも加水分解性基Ab1が結合した化合物である。なお、本明細書において「金属」とは、SiやGeなどの半金属も含む意味で用いる。
上述の通り、本発明の組成物から得られる皮膜は、有機ケイ素化合物(A)に由来するトリアルキルシリル基によって撥水・撥油機能が高められ、このようなトリアルキルシリル基含有分子鎖が結合していない金属原子Mは皮膜中でスペーサーとして機能すると考えられる。
Mは、Al、Si、Ti、Sn、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、Al、Si、Ti、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1つであることがより好ましく、Siが更に好ましい。
b10は、少なくとも一部にシロキサン骨格含有基を有する基であるか、少なくとも一部に炭化水素鎖を有する基であるか、水素原子を表す。
b1で表される加水分解性基、およびRb10で表されるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基は、上記有機ケイ素化合物(A)で説明した加水分解性基、シロキサン骨格含有基、および炭化水素鎖含有基の中から適宜選択でき、好ましい範囲も同様である。
mは金属原子Mの価数であり、金属原子MがAl、Fe、In等の3価金属の場合には3であり、金属原子MがGe、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属の場合には4であり、金属原子MがTa等の5価金属の場合には5である。
本発明の組成物は、金属化合物(B)を2種以上混合した組成物であってもよい。
上記金属化合物(B)としては、r=0、すなわち金属原子Mに加水分解性基Ab1のみが結合した金属化合物B1;または、r=1、すなわち金属原子Mに、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子が1つと、加水分解性基Ab1が2つ以上結合した金属化合物B2;が挙げられる。
(金属化合物B1)
金属原子Mに、加水分解性基Ab1のみが結合した金属化合物B1としては、具体的には、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラプロポキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等のテトラアルコキシゲルマニウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;等が挙げられる。
(金属化合物B2)
金属原子Mに、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子が1つと、加水分解性基Ab1が2つ以上結合した金属化合物B2は、金属原子Mが4価の金属(Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等)であることが好ましく、金属原子MがSiの場合の具体例としては、トリメチルシリルオキシトリメトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリエトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリプロポキシシラン等のトリメチルシリルオキシトリアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン等のジアルコキシアルキルシラン等が挙げられる。
上記金属化合物(B)としては、具体的には、下記式(b2)で表される化合物が好ましい。
Si(ORb11y4-y (b2)
上記式(b2)中、Rb11は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、yは、3または4である。
b11で表されるアルキル基の炭素数は、1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1または2である。
b11で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
上記金属化合物(B)の量は、組成物の全体を100質量%としたとき、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上であり、2.5質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
上記有機ケイ素化合物(A)と上記金属化合物(B)との量の合計(A+B)は、組成物の全体を100質量%としたとき、0.40質量%以上が好ましく、より好ましくは0.8質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、2.5質量%以下が好ましく、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.8質量%以下である。
上記有機ケイ素化合物(A)に対する上記金属化合物(B)のモル比(B/A)は、2〜500が好ましい。上記モル比(B/A)は、8以上がより好ましく、更に好ましくは10以上、特に好ましくは15以上、最も好ましくは20以上であり、200以下がより好ましく、更に好ましくは100以下、特に好ましくは50以下である。
3.第1解離時のpKaが1以上の酸(C)
本発明の組成物は、上記有機ケイ素化合物(A)および金属化合物(B)と共に、ケイ素原子に結合する加水分解性基の加水分解触媒として作用する触媒を共存させる必要があり、本発明の組成物は、上記触媒として第1解離時のpKaが1以上の酸(C)(以下、単に「酸(C)」と呼ぶことがある。)を用いるところに特徴がある。触媒として、上記酸(C)を用い、後述するように、組成物に混合される水量を抑制することによって、皮膜形成時の反応を穏やかに進行させることができ、良好な皮膜を形成できる。上記pKaとは、酸解離定数であり、上記酸(C)の第1解離時におけるpKaは、1.5以上が好ましく、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3.5以上である。上記酸(C)の第1解離時におけるpKaの上限は特に限定されず、例えば、10以下が好ましく、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下である。
上記酸(C)としては、無機酸でも有機酸でもよく、具体的には、マレイン酸(pKa=1.92)、リン酸(pKa=2.12)、ギ酸(pKa=3.75)、安息香酸(pKa=4.2)、フェニルエタン酸(pKa=4.31)、酢酸(pKa=4.76)、ブタン酸(pKa=4.83)、2−メチルプロパン酸(pKa=4.84)、プロパン酸(pKa=4.87)、2,2−ジメチルプロパン酸(pKa=5.03)などが挙げられる。上記酸(C)は、1種のみを混合してもよいし、2種以上を組み合わせて混合してもよい。上記酸(C)としては、有機酸が好ましく、より好ましくはマレイン酸、ギ酸、酢酸である。
上記酸(C)の量は、組成物の全体を100質量%としたとき、30質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。上記酸(C)の量の下限は、通常、0質量%超であり、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.0015質量%以上である。
本発明の組成物は、触媒として、第1解離時のpKaが1未満の酸を混合してもよいが、該第1解離時のpKaが1未満の酸の量は、2.0質量%未満が好ましく、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
上記第1解離時のpKaが1未満の酸としては、例えば、硝酸(pKa=−1.5)、塩酸(pKa=−8)などが挙げられる。
4.水(D)
本発明の組成物は、水(D)が混合されたものであり、これによって、加水分解性基を加水分解できる。
本発明では、上記組成物に混合される上記水(D)の量を、0質量%超、2.20質量%未満とする。上記水の量を、2.20質量%未満とすることによって、皮膜形成時の反応を穏やかに進行させることができ、良好な皮膜を形成できる。上記水(D)の量は、組成物の全体を100質量%としたとき、2.0質量%以下が好ましく、より好ましくは1.79質量%未満、更に好ましくは1.0質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下であり、0.005質量%以上が好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.015質量%以上である。
上記有機ケイ素化合物(A)と上記金属化合物(B)の合計(A+B)に対する上記水(D)のモル比[D/(A+B)]は、0.1〜10が好ましい。上記モル比[D/(A+B)]は、0.15以上がより好ましく、更に好ましくは0.2以上であり、8以下がより好ましく、更に好ましくは5以下である。
5.溶剤(E)
本発明の組成物は、溶剤(E)を混合してもよい。上記溶剤(E)は、水以外の溶剤を意味し、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒等が挙げられる。上記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。上記エーテル系溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。上記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)等が挙げられる。上記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。上記アミド系溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの中でも、アルコール系溶媒またはエーテル系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒がより好ましい。
上記溶剤(E)の量は、組成物の全体を100質量%としたとき、10質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、98.5質量%以下が好ましく、より好ましくは98.4質量%以下、更に好ましくは98.3質量%以下である。
本発明の組成物は、上記溶剤(E)の質量に対する上記水(D)の質量の割合(D/E)は、50質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等の各種の添加剤が混合されていてもよい。
本発明の組成物を硬化することによって、膜が得られる。
本発明の組成物を硬化した膜は、通常、基材上に形成されている。
本発明の組成物を基材と接触させる方法としては、例えば、組成物を基材にコーティングする方法が挙げられる。具体的には、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、バーコート法、手塗り(布等に液を染み込ませ、基材に塗りこむ方法)、かけ流し(スポイトなどを用いて液を基材にそのままかけ、塗布する方法)、霧吹き(霧吹きを用いて基材に塗布する方法)などが挙げられる。特に、作業性の観点から、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、手塗り、かけ流し、霧吹きが好ましく、より好ましくはスピンコーティング法、手塗り、霧吹き、更に好ましくはスピンコーティング法である。
本発明の組成物を基材と接触させた状態で、空気中、常温で静置(例えば、10〜48時間)するか、または1〜10時間程度加熱(例えば、300℃以下)することで、加水分解性基の加水分解、および重縮合が促進され、基材上に皮膜を形成できる。
皮膜の膜厚は、例えば、0.5〜100nm程度とできる。
本発明の組成物を接触させる基材は特に限定されず、基材の形状は平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。
また基材の材質も限定されず、有機系材料、無機系材料のいずれで構成されていてもよい。上記有機系材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられる。上記無機系材料としては、例えば、セラミックス;ガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
上記基材には予め易接着処理を施してもよい。上記易接着処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を施しても良いし、ポリシラザンなどのガラス皮膜を基材に予め塗布しておいても良い。
本発明の組成物を硬化した膜は、撥水性や液滴の滑落速度が大きいという特徴を有している。ここで、撥水性や滑落速度の測定は、例えば水滴やその他の各種液体等の液滴を用いて測定できる。
本発明の組成物を硬化した膜上の液滴(具体的には、水滴)の接触角は、95°以上が好ましく、より好ましくは100°以上、さらに好ましくは103°以上である。この接触角は、後述する実施例の測定法に従って決定できる。
本発明の組成物を硬化した膜上の液滴(具体的には、水滴)の滑落速度は、20mm/秒以上が好ましく、より好ましくは25mm/秒以上、さらに好ましくは30mm/秒以上、特に好ましくは45mm/秒以上である。この滑落速度は、後述する実施例の測定法に従って決定できる。
本発明の組成物を硬化した膜は、好ましくは2000回以上、より好ましくは3000回以上、さらに好ましくは5000回以上、特に好ましくは8000回以上の耐摩耗性を示す。この耐摩耗性は、後述する実施例の測定法に従って決定できる。
本発明の組成物を硬化した膜は、良好な撥油性を有し、例えば、皮膜表面に油性マジックで丸を描いても一般的な紙や布で軽く拭くことでマジック痕を容易に拭き取ることができる。
本発明の組成物を硬化した膜は、良好な耐硫酸性を示し、例えば、皮膜表面に硫酸を滴下した後、硫酸を滴下した部位に油性マジックで丸を描いても、マジック痕を拭き取ることができる。この耐硫酸性は、後述する実施例の測定法に従って決定できる。
本発明の組成物を硬化した膜は、温水試験後においても、撥水性および液滴(例えば、水滴)の滑落性が良好であることが望まれる。即ち、本発明の組成物を硬化した膜は、用途によっては、温水等と接触するなど過酷な環境に曝されることがあり、こうした環境に曝された後でも良好な性能を維持できることが推奨される(以下、耐温水特性と呼ぶことがある)。
耐温水特性は、温水試験後における膜上の液滴(例えば、水滴)の接触角および滑落速度に基づいて評価できる。具体的には、本発明の組成物を硬化した膜は、温水試験後における膜上の液滴(具体的には、水滴)の接触角が、90°以上であることが好ましく、より好ましくは95°以上、さらに好ましくは101°以上である。この温水試験後の液滴(具体的には、水滴)の接触角は、後述する実施例の測定法に従って決定できる。また、本発明の組成物を硬化した膜は、温水試験後における膜上の液滴(具体的には、水滴)の滑落速度が、10mm/秒以上であることが好ましく、より好ましくは20mm/秒以上、さらに好ましくは50mm/秒以上である。この温水試験後の滑落速度は、後述する実施例の測定法に従って決定できる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記または後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(コーティング液の作製)
上記表3−2に示した(A−I−26)においてn10の平均が24である化合物(以下、化合物(1)と表記する。)0.22g、テトラエトキシシラン0.53gを、イソプロパノール1.6gに溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液にギ酸0.87mgおよび水を滴下した後、65℃で7時間撹拌し、試料溶液1を得た。得られた試料溶液1をイソプロパノール44.52gで希釈し、塗布溶液1を作製した。塗布溶液1における各化合物の割合(質量%)は表5−1に記載の通りである(他の実施例及び比較例について同じ)。
(皮膜の作製)
大気圧プラズマ処理によって表面を活性化させたガラス基板5×5cm2(EAGLE XG、Corning社)の表面に、スピンコータ(MIKASA社製)を用いて上記塗布溶液1を塗布した。塗布条件は、回転数3000rpm、20秒間とした。塗布後、200℃、3時間の熱処理を行って硬化させることによって、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[実施例2]
上記実施例1において、ギ酸の代わりに酢酸0.87mgを用いた点と、撹拌時間を4時間とした点以外は、上記実施例1と同様にして塗布溶液2を作製した。
得られた塗布溶液2を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[実施例3]
上記化合物(1)0.17g、トリエトキシシラン0.32gを、イソプロパノール1.33gに溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液にマレイン酸1.6mgおよび水を滴下した後、65℃で6時間撹拌し、試料溶液3を得た。得られた試料溶液3をイソプロパノール29.68gで希釈し、塗布溶液3を作製した。
得られた塗布溶液3を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[実施例4]
上記実施例3において、マレイン酸1.6mgと共に、更に酢酸0.51mgを用いた点と、水の量を0.09gとした点以外は、上記実施例3と同様にして塗布溶液4を作製した。
得られた塗布溶液4を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[実施例5]
上記化合物(1)0.43g、テトラエトキシシラン0.36gを、イソプロパノール2.04gに溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液に酢酸0.8352mgおよび水を滴下した後、65℃で4時間撹拌し、試料溶液5を得た。得られた試料溶液5をイソプロパノール67.80gで希釈し、塗布溶液5を作製した。
得られた塗布溶液5を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[実施例6]
上記表3−2に示した(A−I−26)においてn10の平均が45である化合物(以下、化合物(2)と表記する。)0.53g、テトラエトキシシラン0.29gを、イソプロパノール2.07gに溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液に酢酸0.6169mgおよび水を滴下した後、65℃で4時間撹拌し、試料溶液6を得た。得られた試料溶液6をイソプロパノール67.80gで希釈し、塗布溶液6を作製した。
得られた塗布溶液6を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[実施例7]
上記化合物(2)0.28g、テトラエトキシシラン0.54gを、イソプロパノール1.57gに溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液に酢酸1.0818mgおよび水を滴下した後、65℃で4時間撹拌し、試料溶液7を得た。得られた試料溶液7をイソプロパノール67.80gで希釈し、塗布溶液7を作製した。
得られた塗布溶液7を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[実施例8]
上記化合物(2)0.22g、テトラエトキシシラン0.56gを、イソプロパノール1.55gに溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液に酢酸1.188mgおよび水を滴下した後、65℃で4時間撹拌し、試料溶液8を得た。得られた試料溶液8をイソプロパノール67.80gで希釈し、塗布溶液8を作製した。
得られた塗布溶液8を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[比較例1]
2−プロパノールにレオシールQS−30、および水を所定量加え、室温で3時間撹拌してA液を得た。一方、メタノール0.21gに、メチルシリケート53A(コルコート社製、商品名)を0.04g、メチルトリメトキシシラン3.96g、および酢酸を71.40mg滴下し、室温で1時間撹拌してB液を得た。
得られたA液にB液を加え、24時間撹拌し、比較試料溶液1を得た。得られた比較試料溶液1をイソプロパノール3.11gで希釈し、比較塗布溶液1を作製した。比較塗布溶液1における各化合物の割合(質量%)は表5−3に記載の通りである。
得られた比較塗布溶液1を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
[比較例2]
上記化合物(1)0.06g、テトラエトキシシラン0.11gを、メチルエチルケトン1.46gに溶解させ、室温で10分撹拌した。得られた溶液に塩酸を滴下した後、65℃で24時間撹拌し、比較試料溶液2を得た。得られた比較試料溶液2をメチルエチルケトン45.89gで希釈し、比較塗布溶液2を作製した。比較塗布溶液2における各化合物の割合(質量%)は表5−3に記載の通りである。なお、表5−3では、塩酸に含まれる塩化水素量(0.38mg)および水量(1.04g)を示した。また、表5−3では、便宜上、酸(C)の欄に塩化水素を表記した。第1解離時のpKaが1未満の酸の量は、0.78質量%であった。
得られた比較塗布溶液2を用いたこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板上に皮膜を形成し、後記する測定方法にて皮膜の評価を行った。
上記実施例および比較例で得られた皮膜について、以下の要領で評価した。
(接触角)
協和界面科学社製の接触角測定装置「DM700」を用い、水滴量を3.0μLとして、解析方法:θ/2法にて皮膜表面の水に対する接触角を測定した。測定結果を下記表5−1〜表5−3に示す。水に対する接触角が95°以上の場合を撥水性に優れると評価した。
(滑落速度)
皮膜表面に水を滴下し、皮膜表面における水滴の滑落速度によって撥水性を評価した。具体的には、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置「DM700」を用い、20°に傾けたガラス基板上の皮膜表面に50μLの水を滴下し、水滴が、初期滴下位置から15mm滑落するまでの時間を測定し、皮膜表面における水滴の滑落速度(mm/秒)を算出した。算出結果を下記表5−1〜表5−3に示す。水滴の滑落速度が20mm/秒以上の場合を撥水性に優れると評価した。なお、滴下した水滴が、2分以内に、初期滴下位置から15mm以上滑落しない場合は、滑落せずと評価した。
(耐摩耗性)
皮膜表面を、荷重1000g、往復速度が毎分1600mmの条件にて、20mmの距離をザヴィーナMX(登録商標)にて2000回擦った後、1000回刻みで擦り、摩耗した部位の中央部分3点における水に対する接触角をそれぞれ測定し、3点中2点が90°以下に低下するまでの回数を測定した。測定結果を下記表5−1〜表5−3に示す。回数が2000回以上の場合を耐摩耗性に優れると評価した。
(耐硫酸性及び撥油性)
皮膜表面の3箇所に、それぞれ、0.1Mの硫酸を0.035g滴下し、室温で12時間放置して水分を蒸発させた。水分蒸発後、硫酸を滴下した部位にマジック(サクラ製ペンタッチ油性中字)で丸を描き、その後、マジック痕をザヴィーナMX(登録商標)で拭き取った。マジック痕が3箇所とも拭き取れた場合は、耐硫酸性が良好(○)と評価し、1箇所でも拭き取れない箇所があった場合は、耐硫酸性が悪い(×)と評価した。なお、油性マジック痕が拭き取れるということは、撥油性も良好であることを示す。評価結果を表5−1〜表5−3に示す。
(耐温水特性)
温水試験として、サンプル(皮膜を形成したガラス基板)を70℃のイオン交換水に12時間浸漬した後、水に対する接触角および水滴の滑落速度を上記と同じ条件で測定した。温水試験後に測定した水に対する接触角および水滴の滑落速度の結果を下記表5−1〜表5−3に示す。水に対する接触角が90°以上で、且つ水滴の滑落速度が10mm/秒以上の場合を耐温水特性に優れると評価した。
Figure 2019183148
Figure 2019183148
Figure 2019183148
上記有機ケイ素化合物(A)および上記金属化合物(B)を混合し、触媒として第1解離時のpKaが1以上の酸(C)を混合し、水分量を抑えた本発明の組成物を用いた実施例1〜8は、良好な撥水性(特に、水滴の滑落性)・撥油性、及び耐硫酸性を有する皮膜を作製できた。さらに、本発明の組成物から形成された皮膜は、耐摩耗性も良好であった。また、本発明の組成物を用いて得られた皮膜は、温水試験後においても、撥水性および水滴の滑落性が良好であり、良好な耐温水特性を有していることが分かる。有機ケイ素化合物は光に対する安定性は非常に高いが、一方でシロキサン結合を有することから、水や温水に対する耐久性を持たせることが容易ではないことが分かった。そのため、有機ケイ素化合物を混合した組成物から形成される皮膜について、過酷な環境に曝された後でも良好な性能を維持させるには、耐温水特性の高い膜であることが、実使用環境においても性能を維持させるために重要な性能となると言える。
本発明の組成物を用いて得られる皮膜は、撥水・撥油性、および耐硫酸性に優れている。また、本発明の組成物を用いて得られる皮膜は、耐摩耗性、耐温水特性にも優れている。そのため、本発明の組成物を用いて処理した基材は、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。また、本発明の組成物から形成される皮膜は、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

Claims (12)

  1. 少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、
    下記式(b1)で表される金属化合物(B)と、
    第1解離時のpKaが1以上の酸(C)と、
    水(D)との混合組成物であって、
    前記水(D)の量が、0質量%超、2.20質量%未満である混合組成物。
    M(Rb10r(Ab1m-r (b1)
    [式(b1)中、
    Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、またはTaを表し、
    b10は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、または水素原子を表し、
    rは、0または1である。
    複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
    mは、金属原子Mに応じて3〜5の整数である。]
  2. 前記水(D)の量が、0質量%超、1.79質量%未満である請求項1に記載の組成物。
  3. 溶剤(E)が混合されており、前記溶剤(E)の量が、10質量%以上である請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記溶剤(E)の質量に対する前記水(D)の質量の割合(D/E)が、50質量%以下である請求項3に記載の組成物。
  5. 前記有機ケイ素化合物(A)に対する前記金属化合物(B)のモル比(B/A)が、2〜500である請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 前記酸(C)の量が、30質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
  7. 前記組成物は、第1解離時のpKaが1未満の酸の量が、2.0質量%未満(0質量%を含む)である請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 前記有機ケイ素化合物(A)は、下記式(a1)で表される化合物である請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
    Figure 2019183148

    [式(a1)中、
    複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
    a1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、または炭化水素鎖含有基を表し、
    xは、0または1であり、
    a1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖を表す。
    a1およびRa1の該トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。]
  9. 前記有機ケイ素化合物(A)は、下記式(a2)で表される化合物である請求項8に記載の組成物。
    Figure 2019183148

    [式(a2)中、Aa1、Za1、xは、上記と同義である。
    s1は、−O−または2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてよく、
    複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数が1〜10のアルキル基を表し、
    n1は、1以上の整数であり、
    s1は、単結合または−Si(Rs22−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、
    複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基またはトリアルキルシリルオキシ基を表す。]
  10. 前記n1が、1〜60の整数である請求項9に記載の組成物。
  11. 前記有機ケイ素化合物(A)と前記金属化合物(B)との量の合計(A+B)が、0.40質量%以上である請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
  12. 前記金属化合物(B)が、下記式(b2)で表される化合物である請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
    Si(ORb11y4-y (b2)
    [式(b2)中、
    b11は、炭素数1〜6のアルキル基を表し、
    yは、3または4である。]
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