JP2019183147A - 混合組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な耐温水性を有する皮膜を形成可能な組成物を提供することを目的とする。【解決手段】少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)と、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物(b)と、20℃における蒸気圧が0.032kPa以上10kPa以下、かつsp値が11(cal/cm3)1/2以下である溶媒(c2)の混合組成物であって、前記トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、組成物の全体を100質量%としたときの有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の合計量が0.5質量%以上であり、組成物の全体を100質量%としたときの前記溶媒(c2)の量が5質量%以上であることを特徴とする組成物。【選択図】なし
Description
本発明は有機ケイ素化合物と金属化合物の混合組成物に関する。
各種の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れや腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水性が良好であることが求められている。
このような撥水性を有する組成物として、特許文献1には、炭素数が3〜18のアルキルアルコキシシラン等の有機シランと、金属アルコキシドを有機溶媒、水、触媒を含む溶液が開示され、該有機溶媒としては、蒸気圧が水より高いメタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフランなどが例示されている。また特許文献2には、有機ケイ素化合物と、金属化合物と、20℃での蒸気圧が1000Pa以下であること及び沸点が120℃以上であることの少なくともいずれかを満たし、かつ溶解度パラメーターが8.0(cal/cm3)1/2以上である高沸点溶媒(C)と、20℃での蒸気圧が1000Pa超であり且つ沸点が120℃未満である低沸点溶媒(D)の混合組成物であって、前記高沸点溶媒(C)の濃度が、組成物100質量部に対して、0.088質量部以上、1.74質量部未満である混合組成物が開示されている。
ところで、撥水性の皮膜は、屋外などの用途によっては、紫外線や雨水などの過酷な環境に曝される場合があり、過酷な環境に曝された後にでも良好な性能を維持できることが好ましい。撥水性の皮膜に有機ケイ素化合物を用いた場合、光に対する安定性は非常に高いが、一方でシロキサン結合を有することから、水や温水に対する耐久性を持たせることが容易ではないことが分かってきた。そのため、有機ケイ素化合物を有する撥水性の皮膜において、過酷な環境に曝された後にでも良好な性能を維持させるためには、耐温水性の高い膜であることが、実使用環境においても性能を維持させるために重要な性能となると言える。
特許文献2では、有機ケイ素化合物として、トリアルキルシリル基含有分子鎖を有する有機ケイ素化合物が開示されており、有機ケイ素化合物と金属化合物の合計量は、組成物100質量%に対して約0.3質量%程度であるが、皮膜の密着性等を考慮すると、有機ケイ素化合物と金属化合物の合計量をより高めることが望まれる。本発明者らの検討によれば、特許文献2の組成物において、有機ケイ素化合物と金属化合物の濃度を高めると、温水に対する耐久性(耐温水性)が悪化する傾向にあることが分かった。
そこで、本発明は、トリアルキルシリル基含有分子鎖を有する有機ケイ素化合物と金属化合物との合計濃度が高濃度である組成物であって、良好な耐温水性を有する皮膜を形成可能な組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが検討したところ、トリアルキルシリル基含有分子鎖を有する有機ケイ素化合物と金属化合物との合計濃度が0.5質量%以上である混合組成物では、所定の要件を満たす溶媒が混合されていることで、前記課題を達成できることを見出し、本発明を完成した。本発明は以下の通りである。
[1]少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)と、
少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物(b)と、
20℃における蒸気圧が0.032kPa以上10kPa以下、かつsp値が11(cal/cm3)1/2以下である溶媒(c2)の混合組成物であって、
前記トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、
組成物の全体を100質量%としたときの有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の合計量が0.5質量%以上であり、
組成物の全体を100質量%としたときの前記溶媒(c2)の量が5質量%以上であることを特徴とする混合組成物。
少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物(b)と、
20℃における蒸気圧が0.032kPa以上10kPa以下、かつsp値が11(cal/cm3)1/2以下である溶媒(c2)の混合組成物であって、
前記トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、
組成物の全体を100質量%としたときの有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の合計量が0.5質量%以上であり、
組成物の全体を100質量%としたときの前記溶媒(c2)の量が5質量%以上であることを特徴とする混合組成物。
[2]組成物の全体を100質量%としたときの前記溶媒(c2)の量が30質量%以上である[1]に記載の組成物。
[3]20℃における水の溶解度が231g/L以上であり、かつsp値が20以下である溶媒(c1)が混合されている[1]または[2]に記載の組成物。
[4]sp値が11(cal/cm3)1/2超である溶媒(c1)が混合されている[1]または[2]に記載の組成物。
[5]イソプロパノール、エタノール、メタノール及びメチルエチルケトンよりなる群から選択される溶媒(c1)の少なくとも1種が混合されている[1]または[2]に記載の組成物。
[6]組成物の全体を100質量%としたときの水分量が0.5質量%以下である[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]前記有機ケイ素化合物(a)が、下記式(A1)で表される化合物である[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[前記式(A1)中、Ra1はトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、
複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、
Ra1及びZa1におけるトリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく
xは0または1である。]
複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、
Ra1及びZa1におけるトリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく
xは0または1である。]
[8]前記金属化合物(b)が下記式(B1)で表される化合物である[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[前記式(B1)中、MはAl、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表し、
Zb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は水素原子を表し、
複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
mは、金属原子に応じて、3〜5の整数を表し、
rは0又は1である。]
Zb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は水素原子を表し、
複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
mは、金属原子に応じて、3〜5の整数を表し、
rは0又は1である。]
[9]前記有機ケイ素化合物(a)が下記式(A2)で表される化合物である[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[前記式(A2)中、
複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、該トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表し、
Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
Ys1は単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
n1は、1以上の整数を表し、
xは0または1である。]
複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、該トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表し、
Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
Ys1は単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
n1は、1以上の整数を表し、
xは0または1である。]
本発明の混合組成物によれば、得られる皮膜の、温水試験後の滑落速度で評価される耐温水特性が良好である。
本発明の組成物は、有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)が合計量で0.5質量%以上であると共に、所定の要件を満たす溶媒(c2)が混合されているため、得られる皮膜の耐温水性が良好であり、好ましくは皮膜の透明性を良好にすることもできる。なお、前記混合組成物は、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)、及び溶媒(c2)が混合された組成物であり、それら(a)、(b)、及び(c2)を混合することにより得られる((a)、(b)、及び(c2)以外の成分が混合されている後述の混合組成物においても同様である)。この混合組成物及び後述する混合組成物は、混合後、例えば保管中に反応が進んだものも含む。
以下、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)、溶媒(c2)について順に説明する。
以下、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)、溶媒(c2)について順に説明する。
1.有機ケイ素化合物(a)
本発明における有機ケイ素化合物(a)は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子(以下、このケイ素原子を「中心ケイ素原子」という場合がある)に結合している。
本発明における有機ケイ素化合物(a)は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子(以下、このケイ素原子を「中心ケイ素原子」という場合がある)に結合している。
トリアルキルシリル基含有分子鎖とは、トリアルキルシリル含有基が分子鎖の末端に結合した構造を有する1価の基であり、分子鎖にトリアルキルシリル含有基が結合していることで、本発明の混合組成物から形成される皮膜の撥水性が向上する。またトリアルキルシリル基含有分子鎖が存在することで、液滴(水滴等)と該皮膜の間の抵抗が低減され、液滴が移動しやすくなる。トリアルキルシリル含有基のアルキル基がフルオロアルキル基に置き換わっている場合においても、同様に該皮膜界面(表面)の撥水性を向上することができる。
有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合するトリアルキルシリル基含有分子鎖の個数は、1以上であり、3以下であることが好ましく、より好ましくは2以下であり、特に好ましくは1である。
前記加水分解性基としては、加水分解により、ヒドロキシ基を与える(ケイ素原子と結合してシラノール基となる)基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合する加水分解性基の個数は、1以上であり、2以上であることが好ましく、通常、3以下であることが好ましい。
有機ケイ素化合物(a)において、中心ケイ素原子に結合する加水分解性基の個数は、1以上であり、2以上であることが好ましく、通常、3以下であることが好ましい。
有機ケイ素化合物(a)の中心ケイ素原子には、トリアルキルシリル基含有分子鎖、加水分解性基のほか、シロキサン骨格含有基(好ましくはトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも少ない原子数のシロキサン骨格含有基)、又は炭化水素鎖含有基(好ましくはトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも少ない炭素数の炭化水素鎖を含有する炭化水素鎖含有基)が結合していてもよい。
前記有機ケイ素化合物(a)は、具体的には、下記式(A1)で表される化合物であることが好ましい。
[前記式(A1)中、Ra1はトリアルキルシリル基含有分子鎖を表し、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、Ra1及びZa1におけるトリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、xは0または1である。]
Ra1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖であり、上述した通りトリアルキルシリル含有基が分子鎖の末端に結合した構造を有する1価の基である。
前記トリアルキルシリル含有基は、少なくとも1つのトリアルキルシリル基を含む基であり、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つのトリアルキルシリル基を含む。トリアルキルシリル含有基は、式(s1)で表される基であることが好ましい。
式(s1)中、複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。*は結合手を表す。上記式(s1)において、Rs1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基であるか、Rs1が全てアルキル基であることが好ましい。
Rs1が炭化水素基である場合、その炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。Rs1が炭化水素基である場合、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。複数のRs1は、同一でも異なっていてもよく、同一であることが好ましい。Rs1が全て炭化水素基である場合(特にアルキル基)、3つのRs1の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。3つのRs1のうち少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、少なくとも2つがメチル基であることがより好ましく、3つのRs1全てがメチル基であることが特に好ましい。
Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)としては、具体的には、下記式で表される基等が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
また、上記式(s1)において、Rs1がトリアルキルシリルオキシ基である場合、Rs1の少なくとも1つが、トリアルキルシリルオキシ基であることが好ましい。前記トリアルキルシリルオキシ基としては、Rs1が全て炭化水素基(アルキル基)である基(トリアルキルシリル基)のケイ素原子に酸素原子が結合している基が挙げられる。上記式(s1)において、2個以上のRs1がトリアルキルシリルオキシ基であることが好ましく、3個のRs1がトリアルキルシリルオキシ基であることが更に好ましい。
Rs1の少なくとも1つがトリアルキルシリルオキシ基である基としては、下記式で表される基が挙げられる。
トリアルキルシリル基含有分子鎖において、トリアルキルシリル含有基は、分子鎖の末端(自由端側)、特に分子鎖の主鎖(最長直鎖)の末端(自由端側)に結合していることが好ましい。
トリアルキルシリル含有基が結合している分子鎖は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。前記分子鎖は、ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましく、直鎖状ジアルキルシロキサン鎖を含むことが好ましい。またジアルキルシロキサン鎖を含む前記分子鎖は、2価の炭化水素基を含んでいてもよい。分子鎖の一部が2価の炭化水素基であっても、残部がジアルキルシロキサン鎖であるため、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
前記分子鎖は、式(s2)で表される基であることが好ましい。
式(s2)中、複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表す。Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。Ys1は、単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表す。Ls1は、2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。左側の*は、中心ケイ素原子との結合手を表し、右側の*はトリアルキルシリル含有基との結合手を表す。n1は1以上の数を表す。
Rs2の炭素数は、1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
n1は、1〜100であることが好ましく、より好ましくは1〜80、さらに好ましくは1〜60、ことさらに好ましくは1〜45、特に好ましくは1〜30である。
Zs1又はLs1で表される2価の炭化水素基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。前記2価の炭化水素基は、鎖状であることが好ましく、鎖状である場合、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。また、前記2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルカンジイル基であることが好ましい。2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
さらに、前記2価の炭化水素基に含まれる一部の−CH2−は−O−に置き換わっていてもよい。この場合連続する2つの−CH2−が同時に−O−に置き換わることはなく、Si原子に隣接する−CH2−が−O−に置き換わることはない。2つ以上の−CH2−が−O−に置き換わっている場合、−O−と−O−の間の炭素原子数は、2〜4であることが好ましく、2〜3であることがさらに好ましい。2価の炭化水素基の一部が−O−に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
前記式(s2)において、Zs1が−O−であり、Ys1が単結合であること、すなわち前記分子鎖は、ジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなることが好ましい。ジアルキルシロキサン鎖がジアルキルシリルオキシ基の繰り返しのみからなる場合、得られる皮膜の化学的・物理的耐久性が良好である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖に含まれる分子鎖としては、下記式で表される分子鎖を挙げることができる。式中、q1は1〜60の整数を表し、*は、中心ケイ素原子又はトリアルキルシリル含有基に結合する結合手を表すものとする。q1は、上記n1と同じ数値範囲であることができ、好ましくは1〜30の整数である。
また、トリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子の合計数は、24以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは50以上である。また、好ましくは5000以下であり、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは2000以下、ことさら好ましくは1200以下、より一層好ましくは700以下、特に好ましく250以下である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s3)で表される基であることが好ましい。
前記式(s3)中、Rs1、Rs2、Zs1、Ys1、n1は、上記と同義である。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
トリアルキルシリル基含有分子鎖は、下記式(s3−1)又は下記式(s3−2)で表される基であることが好ましく、下記式(s3−2)で表される基であることがより好ましい。
トリアルキルシリル基含有分子鎖が、下記式(s3−1)で表される場合、下記式(s3−1−1)で表される基であることがより好ましい。
式(s3−1)及び式(s3−1−1)中、Rs2、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。Rs3は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
Rs3で表されるアルキル基の炭素数は1〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2である。また、式(s3−1)及び式(s3−1−1)中、−Si(Rs3)3に含まれるRs3の合計の炭素数は、9以下であることが好ましく、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である。さらに、−Si(Rs3)3に含まれるRs3のうち、少なくとも1つがメチル基であることが好ましく、2つ以上のRs3がメチル基であることが好ましく、3つのRs3全てがメチル基であることが特に好ましい。
また、トリアルキルシリル基含有分子鎖が、下記式(s3−2)で表される場合、下記式(s3−2−1)で表される基であることがより好ましい。
式(s3−2)及び(s3−2−1)中、Rs2、Ys1、Zs1、n1は上記と同義である。Rs4は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は中心ケイ素原子との結合手を表す。
Rs4で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、上記Rs3で説明した基が挙げられ、その好ましい範囲も同様である。
トリアルキルシリル基含有分子鎖としては式(s3−I)で表される基が挙げられる。式(s3−I)中、*は中心ケイ素原子との結合手を表す。
上記式(s3−I)中、n10は1〜30であることが好ましい。
次に、式(A1)におけるAa1について説明する。複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基であり、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基;塩素原子;イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
式(A1)におけるZa1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表す。Za1がトリアルキルシリル基含有分子鎖である場合は、上記Ra1と同様のものが挙げられる。
また、Za1がシロキサン骨格含有基である場合、前記シロキサン骨格含有基は、シロキサン単位(Si−O−)を含有する1価の基であり、Ra1のトリアルキルシリル基含有分子鎖を構成する原子数よりも少ない数の原子で構成されるものであることが好ましい。これにより、シロキサン骨格含有基は、トリアルキルシリル基含有分子鎖よりも長さが短いか、立体的な広がり(かさ高さ)が小さな基となる。シロキサン骨格含有基には、2価の炭化水素基が含まれていてもよい。
シロキサン骨格含有基は、下記式(s4)で表される基であることが好ましい。
式(s4)中、Rs2、Zs1、及びYs1は上記と同義である。Rs5は、炭化水素基又はヒドロキシ基を表し、該炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよく、該炭化水素基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよい。n3は、0〜5の整数を表す。*は、中心ケイ素原子との結合手を表す。
Rs5で表される炭化水素基としては、Rs1で表される炭化水素基と同様の基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。炭素数は1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2である。
n3は、1〜5であることが好ましく、より好ましくは1〜3である。
シロキサン骨格含有基の原子数の合計は、600以下が好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは350以下、ことさらに好ましくは100以下、より一層好ましくは50以下、特に好ましくは30以下であり、また10以上であることが好ましい。また、Ra1のトリアルキルシリル基含有分子鎖とZa1のシロキサン骨格含有基の原子数の差は、10以上であることが好ましく、より好ましくは20以上であり、1000以下であることが好ましく、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下である。
シロキサン骨格含有基としては、具体的には、下記式で表される基が挙げられる。
Za1が炭化水素鎖含有基である場合、Ra1におけるトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも炭化水素鎖部分の炭素数が少ないものであることが好ましい。また、トリアルキルシリル基含有分子鎖の最長直鎖を構成する原子数よりも、炭化水素鎖の最長直鎖の炭素数が少ないものであることが好ましい。炭化水素鎖含有基は、少なくとも一部に炭化水素基を有する基を意味し、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
前記炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は1以上、3以下であることが好ましく、より好ましくは1である。また、前記炭化水素鎖含有基は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。前記炭化水素鎖含有基は、飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が含まれる。
飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。
式(A1)におけるxは0または1であり、好ましくは0である。
Aa1で表される加水分解性基は、上述の有機ケイ素化合物(a)が有する加水分解性基として説明した通り、加水分解により、ヒドロキシ基を与える(ケイ素原子と結合してシラノール基となる)基であり、上記で例示したものが採用できる。
式(A1)で表される有機ケイ素化合物(a)は、下記式(A2)で表される化合物であることが好ましい。
上記式(A2)中、Rs1、Rs2、Zs1、Ys1、n1、Aa1、Za1、xは、それぞれ上記と同義である。
上記式(A2)で表される有機ケイ素化合物(a)は、下記式(A2−1)又は下記式(A2−2)で表されることが好ましく、下記式(A2−2)で表されることがより好ましい。
上記式(A2)で表される有機ケイ素化合物(a)が、下記式(A2−1)で表される場合、式(A2−1−1)で表される化合物であることがより好ましい。
上記式(A2−1)及び上記式(A2−1−1)中、Rs2、Rs3、Ys1、Zs1、n1、Aa1は上記と同義である。
上記式(A2)で表される有機ケイ素化合物(a)が、下記式(A2−2)で表される化合物である場合、下記式(A2−2−1)で表される化合物であることがより好ましい。
上記式(A2−2)及び上記式(A2−2−1)中、Rs2、Rs4、Ys1、Zs1、n1、Aa1は上記と同義である。
上記式(A2)で表される有機ケイ素化合物(a)としては、具体的には、式(A−I)で表される化合物が挙げられる。
上記表3−1の(A−I−1)〜(A−I−25)におけるn10は、いずれも1〜30であることが好ましい。
上記表3−2の(A−I−26)〜(A−I−50)におけるn10は、いずれも1〜30であることが好ましい。
上記表4−1及び表4−2中、(A−I−51)〜(A−I−100)におけるn10は、いずれも1〜30であることが好ましい。
上記(A−I)式の中でも、(A−I−26)で表されるものがより好ましい。すなわち、式(A2)で表される有機ケイ素化合物(a)としては、下記式で表される化合物が好ましい。
上記式(A−I−26)中、n10は1〜60であり、好ましくは1〜50であり、より好ましくは1〜30である。
上記有機ケイ素化合物(a)の合成方法の例としては、特開2017−201009号公報記載の方法が挙げられる。
有機ケイ素化合物(a)の量は、組成物100質量%中(すなわち、組成物の全体を100質量%としたとき)、例えば0.2質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、また3.0質量%以下が好ましく、より好ましくは2.0質量%以下である。上記の有機ケイ素化合物(a)の量は、組成物の調製時に調整できる。前記有機ケイ素化合物(a)の量は、組成物の分析結果から算出してもよい。なお、本明細書において、各成分の量、質量比またはモル比の範囲を記載している場合、上記と同様に、該範囲は、組成物の調製時に調整できる。
本発明の混合組成物は、2種以上の有機ケイ素化合物(a)を用いてもよい。
2.金属化合物(b)
金属化合物(b)は、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子(以下、金属原子Mという場合がある)に結合している化合物である。金属化合物(b)の金属原子Mとしては、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であればよく、本明細書における金属原子は、Si、Ge等の半金属も含む意味で用いる。具体的には、Al、Fe、In等の3価金属;Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属、Ta等の5価金属等が挙げられ、3価金属又は4価金属が好ましい。より好ましくは、Al等の3価金属又はSi、Ti、Zr、Sn等の4価金属であり、更に好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、最も好ましくはSiである。
金属化合物(b)は、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子(以下、金属原子Mという場合がある)に結合している化合物である。金属化合物(b)の金属原子Mとしては、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であればよく、本明細書における金属原子は、Si、Ge等の半金属も含む意味で用いる。具体的には、Al、Fe、In等の3価金属;Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属、Ta等の5価金属等が挙げられ、3価金属又は4価金属が好ましい。より好ましくは、Al等の3価金属又はSi、Ti、Zr、Sn等の4価金属であり、更に好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、最も好ましくはSiである。
金属化合物(b)の加水分解性基としては、前記有機ケイ素化合物(a)で挙げた加水分解性基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜2のアルコキシ基である。有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の加水分解性基は、同一であっても異なっていてもよいが、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
金属化合物(b)の金属原子Mにおいて、加水分解性基が結合した結合手以外の結合手には、前記有機ケイ素化合物(a)の中心ケイ素原子に結合していてもよいシロキサン骨格含有基(好ましくは有機ケイ素化合物(a)のトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも少ない原子数のシロキサン骨格含有基);前記有機ケイ素化合物(a)の中心ケイ素原子に結合していてもよい炭化水素鎖含有基(好ましくは有機ケイ素化合物(a)のトリアルキルシリル基含有分子鎖の分子鎖を構成する原子数よりも少ない炭素数の炭化水素鎖を含有する炭化水素鎖含有基);水素原子が結合していてもよく、上記有機ケイ素化合物(a)で説明した範囲から適宜選択でき、その結合数は1以下が好ましく、0であることが特に好ましい。
金属化合物(b)において、加水分解性基の個数は、好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上であり、4以下であることが更に好ましい。
金属化合物(b)としては、加水分解性基のみを有する化合物;シロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物;炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;水素原子と加水分解性基を有する化合物;水素原子、炭化水素鎖含有基及び加水分解性基を有する化合物等を挙げることができる。
加水分解性基のみを有する化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;等が挙げられる。
加水分解性基のみを有する化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;等が挙げられる。
シロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物としては、トリメチルシリルオキシトリメトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリエトキシシラン、トリメチルシリルオキシトリプロポキシシラン等のトリメチルシリルオキシトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジメトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジエトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジプロポキシシラン等のジ(トリメチルシリルオキシ)ジアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個のシロキサン骨格含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジメトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジエトキシシラン、ジ(トリメチルシリルオキシ)ジプロポキシシラン等のジ(トリメチルシリルオキシ)ジアルコキシシラン;等が挙げられる。
炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;等が挙げられる。
水素原子と加水分解性基を有する化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン等が挙げられる。
水素原子、炭化水素鎖含有基及び加水分解性基を有する化合物としては、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
水素原子、炭化水素鎖含有基及び加水分解性基を有する化合物としては、ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
金属化合物(b)は、具体的には、下記式(B1)で表される化合物であることが好ましい。
[前記式(B1)中、MはAl、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表し、
Zb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は水素原子を表し、
複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
mは、金属原子に応じて、3〜5の整数を表し、
rは0又は1である。]
Zb1は、シロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基又は水素原子を表し、
複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
mは、金属原子に応じて、3〜5の整数を表し、
rは0又は1である。]
上記式(B1)中のZb1におけるシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基、及びAb1の加水分解性基は、上記有機ケイ素化合物(a)で説明したシロキサン骨格含有基、炭化水素鎖含有基及び加水分解性基の中から適宜選択でき、好ましい範囲も同様である。
mは、金属原子に応じて、3〜5の整数を表し、すなわち、金属原子Mの価数を表す。rは0であることが好ましい。特に、MがSiであり、rが0であり、かつAb1が炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、すなわちテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、又はテトラブトキシシランが好ましく、特にテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが好ましい。
組成物の全体を100質量%としたときの金属化合物(b)の量は、例えば0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、また5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。
本発明の混合組成物は、2種以上の金属化合物(b)を用いてもよい。
組成物の全体を100質量%としたときの有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)との合計量は、0.5質量%以上であり、好ましくは0.8質量%以上であり、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また5質量%以下が好ましく、より好ましくは4質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。
有機ケイ素化合物(a)に対する金属化合物(b)のモル比((b)/(a))は、5以上が好ましく、より好ましくは10以上であり、更に好ましくは15以上であり、また40以下が好ましく、より好ましくは35以下であり、更に好ましくは30以下である。
3.溶媒
3−1.溶媒(c2)
溶媒(c2)の、20℃における蒸気圧は0.032kPa以上10kPa以下であり、かつsp値は11(cal/cm3)1/2以下である。本発明の組成物は、このような溶媒(c2)が、組成物中(すなわち、組成物の全体を100質量%としたとき)5質量%以上混合されている。このような特性を有する溶媒(c2)は、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)などの成分との相溶性が良好であることや、成膜した際に適度に蒸発するという特徴がある。この特徴により、得られる皮膜の膜組成分布が適切になり、さらに残存溶媒が低減されることで、耐温水性を良好にできる。
3−1.溶媒(c2)
溶媒(c2)の、20℃における蒸気圧は0.032kPa以上10kPa以下であり、かつsp値は11(cal/cm3)1/2以下である。本発明の組成物は、このような溶媒(c2)が、組成物中(すなわち、組成物の全体を100質量%としたとき)5質量%以上混合されている。このような特性を有する溶媒(c2)は、有機ケイ素化合物(a)、金属化合物(b)などの成分との相溶性が良好であることや、成膜した際に適度に蒸発するという特徴がある。この特徴により、得られる皮膜の膜組成分布が適切になり、さらに残存溶媒が低減されることで、耐温水性を良好にできる。
溶媒(c2)の蒸気圧(20℃)は、好ましくは0.05kPa以上であり、より好ましくは0.1kPa以上であり、また8kPa以下が好ましく、より好ましくは6kPa以下である。特に蒸気圧が6kPa以下である場合に、皮膜の外観が良好になるとともに、皮膜形成直後の滑落性も良好となり、例えば後述する実施例の方法と同様にして皮膜形成直後の滑落性を評価した際の滑落速度を10mm/秒以上とすることができる。
また、溶媒(c2)のsp値は11(cal/cm3)1/2以下である。本書において、sp値(Solubility Parameter、溶解度パラメーター)とは、「R.F.Fedors、Polym.Eng.Sci.,14[2]、147−154(1974)」に記載の方法によって算出される値である。Fedors法では、sp値は凝集エネルギー密度の平方根で定義される。具体的には、sp値は以下の式で定義される。
δ=(ΔE/V)1/2 (1)
上記式(1)においてδはsp値((cal/cm3)1/2)、ΔEは凝集エネルギー(cal/mol)、Vは溶媒のモル分子容(cm3/mol)を意味する。
δ=(ΔE/V)1/2 (1)
上記式(1)においてδはsp値((cal/cm3)1/2)、ΔEは凝集エネルギー(cal/mol)、Vは溶媒のモル分子容(cm3/mol)を意味する。
Fedors法では、上記した凝集エネルギーとモル分子容がいずれも、溶媒に含まれる置換基の種類と数に依存していると考えられている。従って、凝集エネルギーの算出は、各置換基が有する凝集エネルギーと分子容(下記表5に示す)から、置換基の個数も考慮して算出される。
例えば、本発明において好ましい溶媒(c2)として用いられる酢酸ブチルは、−CH3を2個、−CH2−を3個、−COO−を1個有する溶媒である。
酢酸ブチルの凝集エネルギーΔEは、
ΔE(cal/mol)=1125×2+1180×3+4300×1
と算出される。
また、酢酸ブチルのモル分子容Vは
V(cm3/mol)=33.5×2+16.1×3+18×1
と算出される。
従って、前記式(1)にこれら値を用いることにより、酢酸ブチルのsp値は8.70(cal/cm3)1/2と算出できる。
酢酸ブチルの凝集エネルギーΔEは、
ΔE(cal/mol)=1125×2+1180×3+4300×1
と算出される。
また、酢酸ブチルのモル分子容Vは
V(cm3/mol)=33.5×2+16.1×3+18×1
と算出される。
従って、前記式(1)にこれら値を用いることにより、酢酸ブチルのsp値は8.70(cal/cm3)1/2と算出できる。
溶媒(c2)のsp値は、好ましくは10.5(cal/cm3)1/2以下であり、より好ましくは10(cal/cm3)1/2以下であり、また5(cal/cm3)1/2以上が好ましく、より好ましくは6(cal/cm3)1/2以上である。
溶媒(c2)の大気圧における沸点は、例えば85℃以上であり、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、また190℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。
また、溶媒(c2)の20℃における水の溶解度は、例えば230g/L以下であり、下限は特に限定されないが1g/L以上であってもよい。
溶媒(c2)としては、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸2−エトキシエチルなどが挙げられる。
組成物の全体を100質量%としたときの溶媒(c2)の量は、5質量%以上であり、このようにすることで得られる皮膜の耐温水性が良好になる。溶媒(c2)の量は、23.0質量%以上であることが好ましく、このようにすることで、耐温水性を一層向上できる。(c2)の量は、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、よりさらに好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは55質量%以上であり、上限は例えば98質量%以下である。特に、溶媒(c2)の量を55質量%以上にすることで、皮膜の外観を良好にできるため好ましい。
本発明の混合組成物は、2種以上の溶媒(c2)を用いてもよい。
3−2.溶媒(c1)
得られる皮膜の耐温水性をより良好にするため(好ましくは、皮膜の透明性も良好にするため)、本発明の組成物は、溶媒(c2)と共に、20℃における水の溶解度が231g/L以上であり、かつsp値が20以下である溶媒(c1)が混合されていることが好ましい。溶媒(c1)の20℃での水の溶解度は、250g/L以上が好ましく、より好ましくは300g/L以上であり、上限は特に限定されず、溶媒(c1)と水が任意の割合で混和できることが好ましい。溶媒(c1)のsp値は18(cal/cm3)1/2以下が好ましく、より好ましくは16(cal/cm3)1/2以下であり、また11(cal/cm3)1/2超であることが好ましい。
得られる皮膜の耐温水性をより良好にするため(好ましくは、皮膜の透明性も良好にするため)、本発明の組成物は、溶媒(c2)と共に、20℃における水の溶解度が231g/L以上であり、かつsp値が20以下である溶媒(c1)が混合されていることが好ましい。溶媒(c1)の20℃での水の溶解度は、250g/L以上が好ましく、より好ましくは300g/L以上であり、上限は特に限定されず、溶媒(c1)と水が任意の割合で混和できることが好ましい。溶媒(c1)のsp値は18(cal/cm3)1/2以下が好ましく、より好ましくは16(cal/cm3)1/2以下であり、また11(cal/cm3)1/2超であることが好ましい。
溶媒(c1)の大気圧での沸点は、例えば85℃未満であり、好ましくは83℃以下であり、下限は例えば60℃以上である。
溶媒(c1)としては、イソプロパノール、エタノール、メタノール、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
組成物の全体を100質量%としたときの溶媒(c1)の量は、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、また50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下であり、更に好ましくは40質量%以下である。
溶媒(c1)に対する溶媒(c2)の質量比(c2/c1)は、1以上が好ましく、より好ましくは3以上であり、更に好ましくは10以上であり、また45以下が好ましく、より好ましくは40以下である。
本発明の組成物に溶媒(c1)が混合されている場合、2種以上の溶媒(c1)を用いてもよい。
本発明の組成物は、ゾルゲル法で一般的に用いられる酸触媒、塩基触媒、有機金属触媒のいずれかが混合されていてもよい。酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;クエン酸、シュウ酸、酢酸などの有機酸が挙げられる。塩基触媒としては、アンモニア、アミン類などが挙げられる。有機金属触媒としては、Al、Fe、Zn、Sn、Zr等の金属元素を中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体、アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物;オクチル酸鉄等の有機鉄化合物;亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;などが挙げられる。触媒は、酸触媒が好ましく、特に酢酸等の有機酸触媒が好ましい。組成物の全体を100質量%としたときの触媒の量は、例えば0.1〜0.5質量%である。
また、本発明の組成物は、水が混合されていてもよく、水の量は溶媒に均一に溶解させることが出来る範囲であれば、任意に選択することができる。例えば、組成物の全体を100質量%としたときの水の量は、0.5質量%以下であることが好ましい。水の量を適宜コントロールすることによって、反応液の均一性が向上し、調液再現性が向上することが期待できる。水の量は、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、また0.01質量%以上であってもよい。また、溶媒(c1)と(c2)の合計100質量部(溶媒(c1)を用いない場合には、溶媒(c2)のみの量)に対する水の割合は0.01質量部以上が好ましく、また0.3質量部以下が好ましい。
水の量は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)との合計量に対して調整することも好ましく、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計モル量に対する水のモル量の比は、0.1以上が好ましく、0.12以上がより好ましく、更に好ましくは0.2以上であり、また10以下が好ましく、より好ましくは5以下であり、更に好ましくは3以下であり、特に好ましくは2以下である。
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等、各種の添加剤が混合されていてもよい。
本発明の混合組成物の作製手順は例えば以下の通りである。まず、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)とを溶媒に溶解させる。このとき、5〜30分程度撹拌することが好ましい。続いて、必要に応じて触媒(好ましくは酸触媒)を添加した後、1〜24時間ほど撹拌する(好ましくは40〜70℃程度の加熱しながら撹拌する)。こうすることで、有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)に含まれる加水分解性基の一部が、空気中の水分や、必要に応じて用いられる触媒に含まれる水分などによって、加水分解・脱水縮合反応を起こす。有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)とを溶解させる溶媒(以下、「反応溶媒」と呼ぶ場合がある)として、前記した(c1)溶媒を用いることが好ましい。(c1)溶媒を用いることで、均一な溶液を調製することができる。更に、得られた溶液に前記溶媒(c2)を添加して希釈し、塗布溶液(本発明の混合組成物)を作製する。塗布溶液に溶媒(c2)が混合されていることで、基材に塗布した後の溶媒の揮発が適切に調整でき、得られる皮膜の透明性及び耐温水性が良好になる。希釈溶媒は、溶媒(c2)が混合されている限り、他の溶媒が混合されていてもよく、希釈溶媒は溶媒(c2)と溶媒(c1)が混合されたものでもよい。
また、本発明の混合組成物を基材と接触させる方法としては、例えば組成物を基材にコーティングする方法が挙げられ、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコート法、バーコート法、手塗り(布等に液を染み込ませ、基材に塗りこむ方法)、かけ流し(液をスポイトなどを用いて基材にそのままかけ、塗布する方法)、霧吹き(霧吹きを用いて基材に塗布する方法)などが挙げられる。本発明の混合組成物を基材と接触させた状態で、空気中、常温で静置(例えば0.5時間〜48時間、好ましくは10時間〜48時間)するか又は1〜10時間程度加熱(例えば300℃以下)することで、加水分解性基の加水分解・重縮合が促進され、基材上に皮膜を形成できる。
本発明の混合組成物から形成される皮膜の膜厚は、塗布方法にもよるが、例えば0.5〜100nm程度とできる。また、該皮膜について、後述の実施例の方法で評価される水滴の接触角は、例えば95°〜110°(好ましくは98°〜108°)である。また、後述の実施例の方法で評価される皮膜のヘーズは例えば1.4%以下であり、好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは0.6%以下であり、特に好ましくは0.3%以下である。下限は特に限定されないが例えば0.01%程度である。更に、後述する方法で評価される温水試験後の皮膜における水滴の接触角は、例えば95°〜113°(好ましくは98°〜110°)である。また、温水試験後の皮膜の滑落速度は、例えば5mm/秒以上であり、好ましくは10mm/秒以上であり、より好ましくは15mm/秒以上であり、更に好ましくは20mm/秒以上であり、上限は特に限定されないが、例えば100mm/秒以下である。
本発明の混合組成物を接触させる基材は特に限定されず、基材の形状は平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また基材の材質も限定されず、有機系材料、無機系材料のいずれで構成されていてもよい。前記有機系材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックス;ガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。また、樹脂、シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を施しても良いし、ポリシラザンなどのガラス皮膜を基材に予め塗布しておいても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以下の実施例及び比較例は、下記の方法により評価した。
(1)接触角の測定
接触角測定装置(DM700、協和界面科学社製)を用い、液滴法(解析方法:θ/2法、水滴量:3.0μL)にて、皮膜表面の接触角を測定した。
接触角測定装置(DM700、協和界面科学社製)を用い、液滴法(解析方法:θ/2法、水滴量:3.0μL)にて、皮膜表面の接触角を測定した。
(2)ヘーズの測定
ヘーズメーターHZ−2(スガ試験機)を用い、D65光源(平均昼光)にて、皮膜表面のヘーズ(曇り度)を測定した。
ヘーズメーターHZ−2(スガ試験機)を用い、D65光源(平均昼光)にて、皮膜表面のヘーズ(曇り度)を測定した。
(3)耐温水性試験
試料を70℃のイオン交換水に12時間浸漬し、前記(1)と同様に接触角を測定するとともに、皮膜表面に水滴を滴下したときの滑落速度によって水滴の滑落性を評価した。滑落速度は、接触角測定装置(DM700、協和界面科学社製)を用い、20°に傾けた基板上の皮膜表面に50μLの水滴を滴下し、初期滴下位置から水滴が1.5cm滑落する時間を測定することで算出した。
試料を70℃のイオン交換水に12時間浸漬し、前記(1)と同様に接触角を測定するとともに、皮膜表面に水滴を滴下したときの滑落速度によって水滴の滑落性を評価した。滑落速度は、接触角測定装置(DM700、協和界面科学社製)を用い、20°に傾けた基板上の皮膜表面に50μLの水滴を滴下し、初期滴下位置から水滴が1.5cm滑落する時間を測定することで算出した。
実施例1
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.29g、テトラエトキシシラン0.71gを、イソプロパノール2.13gに溶解させた。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、65℃で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液1を、酢酸ブチル66.88gで希釈し、塗布溶液1とした。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.29g、テトラエトキシシラン0.71gを、イソプロパノール2.13gに溶解させた。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、65℃で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液1を、酢酸ブチル66.88gで希釈し、塗布溶液1とした。
塗布溶液1を、プラズマ処理を行った無アルカリガラス(イーグルXG)に、スピンコータ(MIKASA社製)により、回転数3000rpm、20secの条件で製膜した後、200℃3h熱処理を行ってサンプルを得た。
実施例2
前記試料溶液を酢酸2−エトキシエチル74.10gで希釈して塗布溶液2を作製したこと以外は実施例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
前記試料溶液を酢酸2−エトキシエチル74.10gで希釈して塗布溶液2を作製したこと以外は実施例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
実施例3
前記試料溶液作製時の撹拌時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール23.74gと酢酸2−エトキシエチル44.46gの混合液で希釈して塗布溶液3を作製したこと以外は実施例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
前記試料溶液作製時の撹拌時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール23.74gと酢酸2−エトキシエチル44.46gの混合液で希釈して塗布溶液3を作製したこと以外は実施例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
実施例4
前記試料溶液作製時の撹拌時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール11.87gと酢酸2−エトキシエチル59.28gの混合液で希釈して塗布溶液4を作製したこと以外は実施例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
前記試料溶液作製時の撹拌時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール11.87gと酢酸2−エトキシエチル59.28gの混合液で希釈して塗布溶液4を作製したこと以外は実施例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
実施例5
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.21g、テトラエトキシシラン0.53gを、イソプロパノール1.49gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル55.58gで希釈し、塗布溶液5とした。塗布溶液5を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.21g、テトラエトキシシラン0.53gを、イソプロパノール1.49gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル55.58gで希釈し、塗布溶液5とした。塗布溶液5を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
実施例6
前記試料溶液作製時の撹拌時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール8.90gと酢酸2−エトキシエチル44.46gの混合液で希釈して塗布溶液6を作製したこと以外は実施例5と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
前記試料溶液作製時の撹拌時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール8.90gと酢酸2−エトキシエチル44.46gの混合液で希釈して塗布溶液6を作製したこと以外は実施例5と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
実施例7
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.22g、テトラエトキシシラン0.55gを、イソプロパノール1.34gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で6時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル55.58gで希釈し、塗布溶液7とした。塗布溶液7を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.22g、テトラエトキシシラン0.55gを、イソプロパノール1.34gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で6時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル55.58gで希釈し、塗布溶液7とした。塗布溶液7を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
実施例8
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.29g、テトラエトキシシラン0.71gを、イソプロパノール2.13gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸イソプロピル66.88gで希釈し、塗布溶液8とした。塗布溶液8を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.29g、テトラエトキシシラン0.71gを、イソプロパノール2.13gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸イソプロピル66.88gで希釈し、塗布溶液8とした。塗布溶液8を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
実施例9
前記試料溶液作製時の混合時間を6時間とし、試料溶液をイソパノール29.68gと酢酸2−エトキシエチル37.05gの混合液で希釈して塗布溶液9を作製したこと以外は実施例8と同様にして基材上に皮膜を形成した。
前記試料溶液作製時の混合時間を6時間とし、試料溶液をイソパノール29.68gと酢酸2−エトキシエチル37.05gの混合液で希釈して塗布溶液9を作製したこと以外は実施例8と同様にして基材上に皮膜を形成した。
実施例10
前記試料溶液作製時の混合時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール47.48gと酢酸2−エトキシエチル14.82gの混合液で希釈して塗布溶液10を作製したこと以外は、実施例8と同様にして基材上に皮膜を形成した。
前記試料溶液作製時の混合時間を6時間とし、試料溶液をイソプロパノール47.48gと酢酸2−エトキシエチル14.82gの混合液で希釈して塗布溶液10を作製したこと以外は、実施例8と同様にして基材上に皮膜を形成した。
実施例11
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.43g、テトラエトキシシラン0.38gを、イソプロパノール2.04gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル84.90gで希釈し、塗布溶液11とした。塗布溶液11を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.43g、テトラエトキシシラン0.38gを、イソプロパノール2.04gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0008gと水0.14gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル84.90gで希釈し、塗布溶液11とした。塗布溶液11を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
実施例12
酢酸2−エトキシエチル84.90gに代えて、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル84.39gを用いて塗布溶液12を作製したこと以外は、実施例11と同様にして基材上に皮膜を形成した。
酢酸2−エトキシエチル84.90gに代えて、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル84.39gを用いて塗布溶液12を作製したこと以外は、実施例11と同様にして基材上に皮膜を形成した。
実施例13
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が45である化合物(2)0.53g、テトラエトキシシラン0.29gを、イソプロパノール2.07gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0006gと水0.10gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル84.90gで希釈し、塗布溶液13とした。塗布溶液13を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が45である化合物(2)0.53g、テトラエトキシシラン0.29gを、イソプロパノール2.07gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0006gと水0.10gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル84.90gで希釈し、塗布溶液13とした。塗布溶液13を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
実施例14
酢酸2−エトキシエチル84.90gに代えて、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル84.39gを用いて塗布溶液14を作製したこと以外は、実施例13と同様にして基材上に皮膜を形成した。
酢酸2−エトキシエチル84.90gに代えて、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル84.39gを用いて塗布溶液14を作製したこと以外は、実施例13と同様にして基材上に皮膜を形成した。
実施例15
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が45である化合物(2)0.28g、テトラエトキシシラン0.54gを、イソプロパノール2.01gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0011gと水0.18gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル84.90gで希釈し、塗布溶液15とした。塗布溶液15を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が45である化合物(2)0.28g、テトラエトキシシラン0.54gを、イソプロパノール2.01gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.0011gと水0.18gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−エトキシエチル84.90gで希釈し、塗布溶液15とした。塗布溶液15を実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
実施例16
酢酸2−エトキシエチル84.90gに代えて、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル84.39gを用いて塗布溶液16を作製したこと以外は、実施例15と同様にして基材上に皮膜を形成した。
酢酸2−エトキシエチル84.90gに代えて、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル84.39gを用いて塗布溶液16を作製したこと以外は、実施例15と同様にして基材上に皮膜を形成した。
比較例1
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.29g、テトラエトキシシラン0.71gを、イソプロパノール2.13gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.17gと水0.02gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−ブトキシエチル71.44gで希釈し、塗布溶液aとした。塗布溶液aを実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
上記の式(A−I−26)におけるn10の平均値が24である化合物(1)0.29g、テトラエトキシシラン0.71gを、イソプロパノール2.13gに溶解させ、室温で20分撹拌した。得られた溶液に触媒としての酢酸0.17gと水0.02gを滴下した後、室温で4時間撹拌して試料溶液を作製した。前記試料溶液を、酢酸2−ブトキシエチル71.44gで希釈し、塗布溶液aとした。塗布溶液aを実施例1と同様にして基材に塗布し、基材上に皮膜を形成した。
比較例2
試料溶液を1−オクタノール62.62gで希釈して塗布溶液bを作製したこと以外は比較例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
試料溶液を1−オクタノール62.62gで希釈して塗布溶液bを作製したこと以外は比較例1と同様にして、基材上に皮膜を形成した。
比較例3
試料溶液をイソプロパノール59.36gで希釈して塗布溶液cを作製したこと以外は比較例1と同様にして基材上に皮膜を形成した。
試料溶液をイソプロパノール59.36gで希釈して塗布溶液cを作製したこと以外は比較例1と同様にして基材上に皮膜を形成した。
結果を表6−1、表6−2及び表7に示す。また、実施例及び比較例で用いた溶媒の物性を表8に示す。
20℃における蒸気圧が0.032kPa以上10kPa以下、かつsp値が11(cal/cm3)1/2以下である溶媒(c2)が、組成物の全体を100質量%としたときに、5質量%以上混合されている組成物から形成された実施例1〜16の皮膜は、温水試験後の水滴の滑落性が良好である。これに対して、溶媒(c2)が混合されていない組成物から形成された比較例1〜3の皮膜は、温水試験後の滑落性が悪い結果となった。
本発明の混合組成物から得られる皮膜は、撥水性、耐摩耗性、耐硫酸性及び耐温水性に優れている。そのため、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術等における基材として有用である。さらに、電車、自動車、船舶、航空機等の輸送機器におけるボディー、窓ガラス(フロントガラス、サイドガラス、リアガラス)、ミラー、バンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁、テント、太陽光発電モジュール、遮音板、コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網、虫取り網、水槽などにも用いることができる。更に、台所、風呂場、洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリア、タイルなどの陶磁器、人工大理石、エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具や内壁、配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル、眼鏡、ヘルメット、パチンコ、繊維、傘、遊具、サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材、化粧品用包材、ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。
Claims (9)
- 少なくとも1つのトリアルキルシリル基含有分子鎖と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(a)と、
少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物(b)と、
20℃における蒸気圧が0.032kPa以上10kPa以下、かつsp値が11(cal/cm3)1/2以下である溶媒(c2)の混合組成物であって、
前記トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、
前記組成物の全体を100質量%としたときの有機ケイ素化合物(a)及び金属化合物(b)の合計量が0.5質量%以上であり、
前記組成物の全体を100質量%としたときの前記溶媒(c2)の量が5質量%以上であることを特徴とする混合組成物。 - 前記組成物の全体を100質量%としたときの前記溶媒(c2)の量が30質量%以上である請求項1に記載の組成物。
- 20℃における水の溶解度が231g/L以上であり、かつsp値が20以下である溶媒(c1)が混合されている請求項1または2に記載の組成物。
- sp値が11(cal/cm3)1/2超である溶媒(c1)が混合されている請求項1または2に記載の組成物。
- イソプロパノール、エタノール、メタノール及びメチルエチルケトンよりなる群から選択される溶媒(c1)の少なくとも1種が混合されている請求項1または2に記載の組成物。
- 組成物の全体を100質量%としたときの水分量が0.5質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
- 前記有機ケイ素化合物(a)が下記式(A2)で表される化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表し、
Za1は、トリアルキルシリル基含有分子鎖、シロキサン骨格含有基、又は炭化水素鎖含有基を表し、該トリアルキルシリル基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs1は、それぞれ独立に、炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基を表し、該炭化水素基又はトリアルキルシリルオキシ基に含まれる水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、
複数のRs2は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を表し、
Zs1は、−O−又は2価の炭化水素基を表し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2
−は、−O−に置き換わっていてもよい。
Ys1は単結合又は−Si(Rs2)2−Ls1−を表し、該Ls1は、2価の炭化水素基を表
し、該2価の炭化水素基に含まれる−CH2−は、−O−に置き換わっていてもよい。
n1は、1以上の整数を表し、
xは0または1である。]
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