JP2019179718A - 正極活物質 - Google Patents
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Abstract
【課題】容量維持率に優れるリチウムイオン二次電池を提供するための新たな正極活物質を提供すること。【解決手段】リチウムと遷移金属と酸素を含有する正極活物質であって、放射光を用いた粉末X線回折測定(波長λ=1.0Å)において、2θ=15.4°±1°、23.9°±1°、27.6°±1°、39.5°±1°、46.7°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される、又は、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、43.3°±1°、62.8°±1°、75.4°±1°、79.3°±1°に回折ピークが観測される、ことを特徴とする正極活物質。【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極活物質に関するものである。
リチウムイオン二次電池は小型で大容量であるため、携帯電話やノート型パソコンなどの種々の機器の電池として用いられている。リチウムイオン二次電池は、主な構成要素として、正極、負極及び電解液を備える。正極は、集電体と、該集電体の表面に形成され、正極活物質を含有する正極活物質層とを有する。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、種々の材料が用いられることが知られており、また、優れた正極活物質となり得る材料が探求されている。例えば、特許文献1にて、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を有し、リチウム、ニオブ、及び、鉄又はマンガンを含有する新たな複合金属酸化物が、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なことが報告されている。なお、「Fm−3m」において、「−3」は上線を付した3を表したものである。
近年、産業界からは、容量維持率に優れるリチウムイオン二次電池が求められており、それを実現するための、新たな正極活物質が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、容量維持率に優れるリチウムイオン二次電池を提供するための新たな正極活物質を提供することを目的とする。
本発明者の鋭意検討の結果、特許文献1に記載の複合金属酸化物を焼成して製造した後に、焼成時の温度からの冷却速度を緩やかにすることで、空間群Fm−3mに帰属できない結晶構造を示す正極活物質を製造できることを見出した。そして、空間群Fm−3mに帰属できない結晶構造の正極活物質を備えるリチウムイオン二次電池は容量維持率に優れることを、本発明者は見出した。
本発明は、本発明者のかかる知見に基づき、完成されたものである。
本発明は、本発明者のかかる知見に基づき、完成されたものである。
本発明の正極活物質は、リチウムと遷移金属と酸素を含有する正極活物質であって、
放射光を用いた粉末X線回折測定(波長λ=1.0Å)に おいて、2θ=15.4°±1°、23.9°±1 °、27.6°±1°、39.5°±1°、46.7°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される、
又は、
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、43.3°±1°、62.8°±1°、75.4°±1°、79.3°±1°に回折ピークが観測される、
ことを特徴とする。
放射光を用いた粉末X線回折測定(波長λ=1.0Å)に おいて、2θ=15.4°±1°、23.9°±1 °、27.6°±1°、39.5°±1°、46.7°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される、
又は、
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、43.3°±1°、62.8°±1°、75.4°±1°、79.3°±1°に回折ピークが観測される、
ことを特徴とする。
本発明の正極活物質に因り、容量維持率に優れるリチウムイオン二次電池を提供できる。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
本発明の正極活物質は、リチウムと遷移金属と酸素を含有する正極活物質であって、
放射光を用いた粉末X線回折測定(波長λ=1.0Å)において、2θ=15.4°±1°、23.9°±1°、27.6°±1°、39.5°±1°、46.7°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される、
又は、
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、43.3°±1°、62.8°±1°、75.4°±1°、79.3°±1°に回折ピークが観測される、
ことを特徴とする。
放射光を用いた粉末X線回折測定(波長λ=1.0Å)において、2θ=15.4°±1°、23.9°±1°、27.6°±1°、39.5°±1°、46.7°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される、
又は、
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、43.3°±1°、62.8°±1°、75.4°±1°、79.3°±1°に回折ピークが観測される、
ことを特徴とする。
まず、本発明の正極活物質の結晶構造について説明する。
後述する種々の分析の結果から、本発明の正極活物質の結晶構造は、NaCl型結晶構造の一態様であるが、空間群Fm−3mに帰属できないものであると考えられる。また、粉末X線回折測定において層状構造を示す回折ピークが観察されないことから、本発明の正極活物質の結晶構造は、空間群R−3mの層状岩塩構造ではない。
後述する種々の分析の結果から、本発明の正極活物質の結晶構造は、NaCl型結晶構造の一態様であるが、空間群Fm−3mに帰属できないものであると考えられる。また、粉末X線回折測定において層状構造を示す回折ピークが観察されないことから、本発明の正極活物質の結晶構造は、空間群R−3mの層状岩塩構造ではない。
本発明の正極活物質の放射光を用いた粉末X線回折測定において2θ=15.4°付近に観測されるピーク、及び、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において2θ=23.8°付近に観測されるピーク(以下、これらのピークを第1ピークということがある。)は、NaCl型結晶構造の{210}面の半分の面間隔に相当する回折ピークであると考えられる。
ここで、空間群Fm−3mに帰属される結晶構造において観測される、同構造の{hkl}面に由来する回折ピークとしては、消滅則から、h、k及びlのすべてが偶数である面又はすべてが奇数である面に由来する回折ピークのみである。
そうすると、上述した{210}面の半分の面間隔に相当する回折ピークが観測される本発明の正極活物質は、空間群Fm−3mに帰属できないといえる。
そうすると、上述した{210}面の半分の面間隔に相当する回折ピークが観測される本発明の正極活物質は、空間群Fm−3mに帰属できないといえる。
なお、本発明の正極活物質の放射光を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.9°付近に観測されるピークはNaCl型結晶構造の{111}面の面間隔に由来する回折ピークであり、2θ=27.6°付近に観測されるピークはNaCl型結晶構造の{200}面の面間隔に由来する回折ピークであり、2θ=39.5°付近に観測されるピークは、NaCl型結晶構造の{220}面の面間隔に由来する回折ピークであり、2θ=46.7°付近に観測されるピークは、NaCl型結晶構造の{311}面の面間隔に由来する回折ピークであり、2θ=48.9°付近に観測されるピークは、NaCl型結晶構造の{222}面の面間隔に由来する回折ピークであると考えられる。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、本発明の正極活物質及び特許文献1に記載された空間群Fm−3mに帰属されるLi1.3Nb0.3Mn0.4O2の電子回折図形を測定し、両者の電子回折図形を比較すると、本発明の正極活物質の電子回折図形には、特許文献1に記載された空間群Fm−3mに帰属されるLi1.3Nb0.3Mn0.4O2の電子回折図形では確認できない明確な規則性を示す回折が観察される。
高角度散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF−STEM)を用いて、本発明の正極活物質のNaCl型結晶構造の{100}面を観察した場合、概ね均一なコントラストのHAADF−STEM像が観測される。
さらに、本発明の正極活物質のHAADF−STEM像を詳細に分析すると、{210}面や{320}面に由来すると推定されるコントラストが観測される。
なお、電子顕微鏡での分析により、本発明の正極活物質で規定する回折ピークは、単相の結晶構造に由来するものであって、複数の結晶構造の混在に由来するものではないと考えられる。
以上を総合的に考察すると、本発明の正極活物質において、金属元素と酸素元素はそれぞれNaCl型結晶構造のカチオンサイトとアニオンサイトに配置されているものの、金属元素のリチウム及び遷移金属の配置にも規則性が存在していることが伺われ、かかる金属元素の配置の規則性が、粉末X線回折測定における回折ピークやTEMの電子回折として観察されたと考えられる。
第1ピークの半値幅は、3°以下が好ましく、0.1〜3°の範囲内がより好ましく、0.2〜2°の範囲内がさらに好ましく、0.3〜1°の範囲内が特に好ましい。
後述する評価例1の結果から、本発明の正極活物質の一態様として、以下の回折ピークが観測されるものを把握できる。本発明の正極活物質の結晶構造を他の結晶構造と区別する際に必要であれば、以下に示す回折ピークのうち差別化に必要なものを、本発明の正極活物質を規定する回折ピークとして追加してもよい。
放射光を用いた粉末X線回折測定において、2θ=15.4°±1°、23.9°±1°、24.9°±1°、27.6°±1°、31.7°±1°、37.5°±1°、39.5°±1°、42.5°±1°、46.7°±1°、47.2°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される正極活物質。
なお、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定においては、前段落の正極活物質の回折ピークは、それぞれ、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、38.9°±1°、43.3°±1°、50.0°±1°、59.6°±1°、62.8°±1°、68.2°±1°、75.4°±1°、76.5°±1°、79.3°±1°に観測される。
本発明の正極活物質を規定する回折ピークの許容範囲は、±1°で規定したが、他の結晶構造と区別するために必要であれば、±0.5°、±0.3°、±0.2°、±0.1°との許容範囲をそれぞれ適用してもよい。
本発明の正極活物質において、(リチウム元素のモル数)>(遷移金属元素のモル数)を満足するのが好ましい。電荷担体となるリチウムの割合が高い正極活物質は、その理論容量が高いためである。
本発明の正極活物質においては、正極活物質の充放電に寄与する遷移金属(以下、「充放電用遷移金属」又は「Tmain」ということがある。)、及び、充放電に寄与せずに、本発明の正極活物質の結晶構造を維持する元素(以下、「構造維持用元素」又は「Tsub」ということがある。)が共存するのが好ましい。
充放電用遷移金属としては、Ti、V、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni及びCuから選択するのが好ましい。構造維持用元素としては、充放電用遷移金属として選択した遷移金属以外の遷移金属や、P、Sなどの典型元素を選択するとよい。
本発明の正極活物質の結晶構造はNaCl型結晶構造の一態様であると考えられることから、本発明の正極活物質において、カチオンサイトの数とアニオンサイトの数、すなわち金属元素の数と酸素元素の数は、概ね等しいことが好ましい。
本発明の正極活物質において、0.9×(酸素元素の数)≦(金属元素の数)≦1.1×(酸素元素の数)を満足するのが好ましく、0.95×(酸素元素の数)≦(金属元素の数)≦1.05×(酸素元素の数)を満足するのがより好ましく、(金属元素の数)=(酸素元素の数)を満足するのがさらに好ましい。
本発明の正極活物質において、0.9×(酸素元素の数)≦(金属元素の数)≦1.1×(酸素元素の数)を満足するのが好ましく、0.95×(酸素元素の数)≦(金属元素の数)≦1.05×(酸素元素の数)を満足するのがより好ましく、(金属元素の数)=(酸素元素の数)を満足するのがさらに好ましい。
本発明の正極活物質の好適な組成式を以下に示す。
Lia(Tsub)b(Tmain)cDdO2
a、b、cは、a>b+c、1.8≦a+b+c≦2.2を満足する。Dはドープ元素であって、Li、Tsub及びTmain以外の元素である。dは、0≦d≦0.2を満足する。
Lia(Tsub)b(Tmain)cDdO2
a、b、cは、a>b+c、1.8≦a+b+c≦2.2を満足する。Dはドープ元素であって、Li、Tsub及びTmain以外の元素である。dは、0≦d≦0.2を満足する。
aは、1<a<2を満足するのが好ましく、1.1≦a≦1.5を満足するのがより好ましく、1.2≦a≦1.4を満足するのがさらに好ましい。
bは、0<b≦0.5を満足するのが好ましく、0.1≦b≦0.4を満足するのがより好ましく、0.15≦b≦0.35を満足するのがさらに好ましい。
cは、0.2≦c≦0.9を満足するのが好ましく、0.25≦c≦0.8を満足するのがより好ましく、0.3≦c≦0.7を満足するのがさらに好ましく、0.35≦c≦0.6を満足するのが特に好ましい。
a、b、cは、1.9≦a+b+c≦2.1を満足するのが好ましく、1.95≦a+b+c≦2.05を満足するのがより好ましく、a+b+c=2を満足するのがさらに好ましい。
dは、0≦d≦0.15を満足するのが好ましく、0≦d≦0.1を満足するのがより好ましく、0≦d≦0.05を満足するのがさらに好ましく、0≦d≦0.01を満足するのが特に好ましい。
本発明の正極活物質の製造方法について説明する。本発明の正極活物質は、焼成時の温度からの冷却速度を緩やかにすることで製造される。冷却速度を緩やかにすることで、NaCl型結晶構造においてエネルギー的に有利なサイトに、リチウムと遷移金属と酸素がそれぞれ適切に配置されると考えられる。その結果、リチウムと遷移金属の関係、又は、リチウムと充放電用遷移金属と構造維持用元素の関係に規則性が生じると考えられる。そして、かかる規則性が、本発明の正極活物質で規定する回折ピークとして現れたといえる。
本発明の正極活物質の製造方法は、リチウム化合物と遷移金属酸化物などを混合して混合物とし当該混合物を焼成して焼成物とする合成工程、前記焼成物を300℃/時間以下の速度(以下、徐冷速度ということがある。)で冷却する冷却工程、を含む。
リチウム化合物としては、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、フッ化リチウムを例示できる。
合成工程の焼成温度としては、700〜1200℃が好ましく、750〜1100℃がより好ましく、800〜1000℃がさらに好ましく、850〜950℃が特に好ましい。焼成は、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
徐冷速度としては、10〜250℃/時間の範囲内が好ましく、20〜200℃/時間の範囲内がより好ましく、30〜150℃/時間の範囲内がさらに好ましく、40〜100℃/時間の範囲内が特に好ましく、40〜70℃/時間の範囲内が最も好ましい。
冷却工程において、徐冷速度での冷却は、少なくとも焼成時の温度から50℃低下するまで実施されるのが好ましく、焼成時の温度から100℃低下するまで実施されるのがより好ましい。
また、冷却工程において、徐冷速度での冷却は、温度が400〜700℃の範囲内に達するまで実施するのが好ましく、温度が500〜700℃の範囲内に達するまで実施するのがより好ましく、温度が600〜650℃の範囲内に達するまで実施するのがさらに好ましい。本発明の正極活物質内における元素の配置は、概ね700℃以下で固定されると考えられるためである。
また、冷却工程において、徐冷速度での冷却は、温度が400〜700℃の範囲内に達するまで実施するのが好ましく、温度が500〜700℃の範囲内に達するまで実施するのがより好ましく、温度が600〜650℃の範囲内に達するまで実施するのがさらに好ましい。本発明の正極活物質内における元素の配置は、概ね700℃以下で固定されると考えられるためである。
なお、焼成用の加熱炉を用いて焼成物を製造した後に、焼成物を直ちに炉から取り出した場合には、焼成物の温度は直ちに数百度程度低下するし、また、焼成物を製造した後に、炉の加熱を停止した場合でも、焼成物は400℃/時間程度の速度で冷却される。このように、焼成時の温度から焼成物を急冷した場合には、本発明の正極活物質の好適な組成を満足する焼成物であっても、空間群Fm−3mに帰属される正極活物質が製造されると考えられる。
そうすると、本発明の正極活物質は、400℃/時間以上の速度で冷却した場合には空間群Fm−3mに帰属される正極活物質が製造される焼成物を、300℃/時間以下の速度で冷却したものであると表現することもできる。
そうすると、本発明の正極活物質は、400℃/時間以上の速度で冷却した場合には空間群Fm−3mに帰属される正極活物質が製造される焼成物を、300℃/時間以下の速度で冷却したものであると表現することもできる。
冷却工程後の本発明の正極活物質は、適切な粒度分布の粉末に調製する粉砕工程に供されるのが好ましい。粉砕工程は、本発明の正極活物質と後述する導電助剤との共存下で、実施されるのが好ましい。本発明の正極活物質の粉末の平均粒子径としては、0.5〜50μmが好ましく、1〜30μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、一般的なレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で試料を測定した際の50%累積径(D50)を意味する。
以下、本発明の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池用正極を「本発明の正極」といい、本発明の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池を「本発明のリチウムイオン二次電池」という。
本発明の正極は、本発明の正極活物質を含む正極活物質層、及び、集電体を具備する。正極活物質層は集電体上に形成される。正極活物質層における本発明の正極活物質の配合割合として、30〜98質量%、40〜90質量%、50〜80質量%を例示できる。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体の材料は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、正極用集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。
具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
正極活物質層には、本発明の正極活物質以外に公知の正極活物質が含まれていてもよい。また、正極活物質層には、結着剤及び導電助剤が含まれているのが好ましい。正極活物質層に含まれる結着剤及び導電助剤としては、後述するものを適宜適切に採用すればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の正極及び負極に加えて、固体電解質、又は、セパレータ及び電解液を具備する。
負極は、集電体と集電体上に形成された負極活物質層を具備する。負極活物質層には、公知の負極活物質が含まれており、さらに、結着剤及び導電助剤が含まれているのが好ましい。負極の集電体としては、本発明の正極で説明したものから適宜適切に選択すればよい。以下、正極活物質及び負極活物質の両者を総合して「活物質」という場合があり、また、正極活物質層及び負極活物質層の両者を総合して「活物質層」という場合がある。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.5であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独又は二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.7であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、結着剤、溶剤、並びに必要に応じて導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥するとよい。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。また、活物質、結着剤、及び必要に応じて導電助剤を含む混合物を調製し、当該混合物を集電体に圧着させることで、集電体の表面に活物質層を形成させてもよい。
固体電解質としては、リチウムイオン二次電池の固体電解質として使用可能なものを適宜採用すればよい。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。
非水溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル類等が使用できる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートを例示でき、環状エステルとしては、ガンマブチロラクトン、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートを例示でき、鎖状エステルとしては、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3などのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
本発明のリチウムイオン二次電池の具体的な製造方法について述べる。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、各種の具体例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの具体例によって限定されるものではない。
(実施例1)
Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3を、元素組成比Li:Nb:Mnが1.3:0.3:0.4となるように秤量し、これらの粉末をボールミルに投入した。そして、ボールミルによる混合を約100rpmで24時間行い、混合物とした。混合物を成型した上で、加熱炉に配置して、アルゴンガス雰囲気下、950℃で12時間加熱して焼成した。焼成後、50℃/時の速度で加熱炉を室温まで冷却して、実施例1の正極活物質を製造した。実施例1の正極活物質の理論上の組成は、Li1.3Nb0.3Mn0.4O2である。
Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3を、元素組成比Li:Nb:Mnが1.3:0.3:0.4となるように秤量し、これらの粉末をボールミルに投入した。そして、ボールミルによる混合を約100rpmで24時間行い、混合物とした。混合物を成型した上で、加熱炉に配置して、アルゴンガス雰囲気下、950℃で12時間加熱して焼成した。焼成後、50℃/時の速度で加熱炉を室温まで冷却して、実施例1の正極活物質を製造した。実施例1の正極活物質の理論上の組成は、Li1.3Nb0.3Mn0.4O2である。
実施例1の正極活物質、アセチレンブラック、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレンを乳鉢で混合して、粘土状の正極活物質層用組成物とした。当該正極活物質層用組成物において、実施例1の正極活物質とアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレンとの質量比は5:3:2であった。
集電体としてメッシュ状のアルミニウムを準備し、これに正極活物質層用組成物を圧着して、実施例1の正極を得た。
集電体としてメッシュ状のアルミニウムを準備し、これに正極活物質層用組成物を圧着して、実施例1の正極を得た。
リチウム箔を準備し、これを負極とした。セパレータとしてガラスフィルター(ヘキストセラニーズ社)及び単層ポリプロピレンであるcelgard2400(ポリポア株式会社)を準備した。また、LiPF6を1mol/Lの濃度で含有する電解液を準備した。電解液の溶媒は、エチレンカーボネート3体積部及びジエチルカーボネート7体積部を混合した混合溶媒とした。
セパレータを実施例1の正極と負極とで挟持し電極体とした。電極体をコイン型電池ケースCR2032(宝泉株式会社)に配置して、さらに上記電解液を注入することで、実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
セパレータを実施例1の正極と負極とで挟持し電極体とした。電極体をコイン型電池ケースCR2032(宝泉株式会社)に配置して、さらに上記電解液を注入することで、実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例2)
焼成後の冷却速度を100℃/時とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の正極活物質を製造した。
焼成後の冷却速度を100℃/時とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の正極活物質を製造した。
(実施例3)
焼成後の冷却速度を200℃/時とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の正極活物質を製造した。
焼成後の冷却速度を200℃/時とした以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の正極活物質を製造した。
(比較例1)
焼成後、直ちに炉の電源を切り、焼成物を急速に冷却した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の正極活物質、正極、リチウムイオン二次電池を製造した。
焼成後、直ちに炉の電源を切り、焼成物を急速に冷却した以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の正極活物質、正極、リチウムイオン二次電池を製造した。
(評価例1)
放射光(入射X線のエネルギーは12.4keVであり、波長λ=1.0Åである。)又はCu−Kα線を用いた粉末X線回折装置にて、実施例及び比較例の正極活物質の分析を行った。
放射光(入射X線のエネルギーは12.4keVであり、波長λ=1.0Åである。)又はCu−Kα線を用いた粉末X線回折装置にて、実施例及び比較例の正極活物質の分析を行った。
実施例1〜実施例3の正極活物質のX線回折チャートからは、第1ピークなどの空間群Fm−3mに帰属できない回折ピークが観察された。なお、実施例1〜実施例3の第1ピークの強度は、冷却速度が大きくなるに従い、小さくなった。
他方、比較例1の正極活物質のX線回折チャートからは、空間群Fm−3mに帰属される回折ピークのみが観察された。
他方、比較例1の正極活物質のX線回折チャートからは、空間群Fm−3mに帰属される回折ピークのみが観察された。
放射光(入射X線のエネルギーは12.4keV)での実施例1の正極活物質のX線回折チャートを図1に示す。実施例1の正極活物質のX線回折チャートから観測された回折ピークを列挙すると、2θ=15.4°、23.9°、24.9°、27.6°、31.7°、37.5°、39.5°、42.5°、46.7°、47.2°、48.9°である。第1ピーク:2θ=15.4°の半値幅は0.4°であった。
放射光(入射X線のエネルギーは12.4keV)での比較例1の正極活物質のX線回折チャートを図2に示す。比較例1の正極活物質のX線回折チャートから観測された回折ピークを列挙すると、2θ=23.9°、27.6°、39.4°、46.6°、48.7°である。
参考までに、Cu−Kα線での比較例1の正極活物質のX線回折チャートから観測された回折ピークを列挙すると、2θ=37.2°、43.2°、62.7°、75.2°、79.2°であった。
参考までに、Cu−Kα線での比較例1の正極活物質のX線回折チャートから観測された回折ピークを列挙すると、2θ=37.2°、43.2°、62.7°、75.2°、79.2°であった。
表1に、各正極活物質の組成と結晶構造をまとめて示す。
(評価例2)
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、実施例1及び比較例1の正極活物質の電子回折図形を測定した。その結果、実施例1の正極活物質の電子回折図形には、比較例1の正極活物質の電子回折図形では確認できない明確な規則性を示す回折が観察された。
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、実施例1及び比較例1の正極活物質の電子回折図形を測定した。その結果、実施例1の正極活物質の電子回折図形には、比較例1の正極活物質の電子回折図形では確認できない明確な規則性を示す回折が観察された。
(評価例3)
高角度散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF−STEM)を用いて、実施例1及び比較例1の正極活物質のNaCl型結晶構造の{100}面を観察した。
その結果、実施例1の正極活物質のNaCl型結晶構造の{100}面のHAADF−STEM像には、概ね均一なコントラストが観測された。他方、比較例1の正極活物質のNaCl型結晶構造の{100}面のHAADF−STEM像には、強い濃淡のコントラストが観測された。
実施例1の正極活物質のHAADF−STEM像を図3に示し、比較例1の正極活物質のHAADF−STEM像を図4に示す。
高角度散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法(HAADF−STEM)を用いて、実施例1及び比較例1の正極活物質のNaCl型結晶構造の{100}面を観察した。
その結果、実施例1の正極活物質のNaCl型結晶構造の{100}面のHAADF−STEM像には、概ね均一なコントラストが観測された。他方、比較例1の正極活物質のNaCl型結晶構造の{100}面のHAADF−STEM像には、強い濃淡のコントラストが観測された。
実施例1の正極活物質のHAADF−STEM像を図3に示し、比較例1の正極活物質のHAADF−STEM像を図4に示す。
(評価例4)
実施例1及び比較例1のリチウムイオン二次電池につき、25℃の条件下、電流レート7mA/gで電位(vs Li/Li+)4.8Vまで充電させた後に、電流レート7mA/gで1.5Vまで放電させるとの充放電サイクルを5回繰り返した。
各リチウムイオン二次電池における容量維持率を、以下の式で算出した。
容量維持率(%)=100×5サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量
結果を表2に示す。
実施例1及び比較例1のリチウムイオン二次電池につき、25℃の条件下、電流レート7mA/gで電位(vs Li/Li+)4.8Vまで充電させた後に、電流レート7mA/gで1.5Vまで放電させるとの充放電サイクルを5回繰り返した。
各リチウムイオン二次電池における容量維持率を、以下の式で算出した。
容量維持率(%)=100×5サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量
結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例1のリチウムイオン二次電池の容量維持率が優れていることがわかる。
また、実施例1及び比較例1のリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電曲線における、SOC(State of Charge)と電圧との関係を、表3に示す。
表3の結果から、実施例1のリチウムイオン二次電池は、低SOC側において比較的高電圧を保つことができるといえる。換言すれば、本発明の正極活物質の放電曲線においては、プラトー部分の割合が高いといえる。すなわち、本発明の正極活物質の放電の低SOC領域においては、理想的な還元電位で、遷移金属の還元反応及びLiの挿入が円滑に進行するといえる。
本発明の正極活物質は、特異な回折ピークを示す。かかる回折ピークは、NaCl型結晶構造におけるLi及び遷移金属の配置に規則性が生じた結果が反映されたと推定される。本発明の正極活物質は、Li及び遷移金属の配置に規則性があるため、充電時にLiが離脱した後も、規則的に配置された遷移金属の存在に因り、正極活物質の結晶構造が好適に維持されたため、放電時にLiが元の位置に戻り易いといえる。
本発明の正極活物質のかかる特徴により、円滑な充放電が為されるため、本発明の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池は、容量維持率などの電池特性に優れると考えられる。
本発明の正極活物質のかかる特徴により、円滑な充放電が為されるため、本発明の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池は、容量維持率などの電池特性に優れると考えられる。
Claims (8)
- リチウムと遷移金属と酸素を含有する正極活物質であって、
放射光を用いた粉末X線回折測定(波長λ=1.0Å)において、2θ=15.4°±1°、23.9°±1°、27.6°±1°、39.5°±1°、46.7°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される、
又は、
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、43.3°±1°、62.8°±1°、75.4°±1°、79.3°±1°に回折ピークが観測される、
ことを特徴とする正極活物質。 - 放射光を用いた粉末X線回折測定(波長λ=1.0Å)において、2θ=15.4°±1°、23.9°±1°、24.9°±1°、27.6°±1°、31.7°±1°、37.5°±1°、39.5°±1°、42.5°±1°、46.7°±1°、47.2°±1°、48.9°±1°に回折ピークが観測される、
又は、
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折測定において、2θ=23.8°±1°、37.2°±1°、38.9°±1°、43.3°±1°、50.0°±1°、59.6°±1°、62.8°±1°、68.2°±1°、75.4°±1°、76.5°±1°、79.3°±1°に回折ピークが観測される、
ことを特徴とする請求項1に記載の正極活物質。 - (リチウム元素のモル数)>(遷移金属元素のモル数)である請求項1又は2に記載の正極活物質。
- 前記遷移金属として2種類以上の遷移金属が存在する請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極活物質。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池用正極。
- 請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用正極を具備するリチウムイオン二次電池。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法であって、
リチウム化合物と遷移金属酸化物を混合して混合物とし、当該混合物を焼成して、焼成物とする合成工程、
前記焼成物を、300℃/時間以下の速度で冷却する冷却工程、
を含む正極活物質の製造方法。 - 前記冷却工程における300℃/時間以下の速度での冷却が、少なくとも焼成時の温度から50℃低下するまで実施される請求項7に記載の正極活物質の製造方法。
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