JP2018058746A - 炭素被覆シリコン材料の製造方法 - Google Patents

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明央 上澤
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Abstract

【課題】二次電池の電池特性を向上し得る炭素被覆シリコン材料の製造方法を提供する。【解決手段】炭素被覆シリコン材料の製造方法において、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料に、化学気相成長法により、炭素源ガス並びにCO2ガス及び/又はH2Oガスの存在下で炭素被膜を形成する。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコン材料を炭素で被覆して炭素被覆シリコン材料を製造する方法に関するものである。
二次電池用の負極活物質として、Siを含有する負極活物質すなわちSi含有負極活物質が知られている。Si含有負極活物質は、従来から用いられている黒鉛等の負極活物質に比べて有用だと考えられている。
リチウムイオン二次電池を例に挙げると、Siは黒鉛と比較して、理論上、1元素あたりのリチウムイオン吸蔵能力が高い。そのため、Si含有負極活物質についての研究が広く行われている。ただし、Si自体は半導体であるため、Si含有負極活物質に導電性を付与するための研究も盛んに行われている。
例えば、Si含有負極活物質に導電性を付与するため、Si含有負極活物質を炭素で被覆する技術が報告されている。特許文献1には、化学気相成長法の一種である熱CVDにより、酸化珪素を炭素で被覆して炭素被覆Si含有負極活物質を製造する方法が記載されており、さらに、当該炭素被覆Si含有負極活物質を具備する二次電池を製造する方法も記載されている。
特許文献2には、CaSiと酸とを反応させてCaを除去した層状シリコン化合物を合成し、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させたシリコン材料を製造し、さらに、熱CVDにより当該シリコン材料を炭素で被覆して炭素被覆シリコン材料を製造する方法が記載されている。そして、特許文献2にも又、当該炭素被覆シリコン材料を具備する二次電池を製造する方法が記載されている。
特許第3952180号公報 国際公開第2015/114692号
上記特許文献2に記載されているシリコン材料は、上記した各種のSi含有負極活物質のなかでも、負極活物質として有望な材料だと考えられる。そして、上記したように当該シリコン材料を炭素で被覆することで、シリコン材料に優れた導電性を付与し得る。
しかし乍ら、近年、二次電池の電池特性を更に向上させ得る技術が求められており、Si含有負極活物質についても、二次電池の電池特性を更に向上させ得るものが探索されている。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、二次電池の電池特性を更に向上させ得るSi含有負極活物質を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、Si含有負極活物質のなかでも炭素被覆シリコン材料に着目して、二次電池の電池特性を更に向上させるべく、鋭意研究を行った。その結果、熱CVDで炭素被覆した炭素被覆シリコン材料に関しては、導電性は向上するものの初期効率の面で向上の余地があることを見出した。そして、実際に様々な製造条件で炭素被覆シリコン材料を製造するとともに、得られた各種の炭素被覆シリコン材料を用いた二次電池を製造して、その初期効率を測定した。
その結果、熱CVDを行う際の雰囲気を種々に変更して炭素被覆シリコン材料を製造した場合、得られた各種の炭素被覆シリコン材料のなかに、二次電池の初期効率を向上させ得るものがあることを発見した。この発見に基づき、本発明の発明者は、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法は、
複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料に、化学気相成長法により、炭素源ガス並びにCOガス及び/又はHOガスの存在下で炭素被膜を形成する、炭素被覆シリコン材料の製造方法である。
また、本発明の二次電池の製造方法は、
複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料に、化学気相成長法により、炭素源ガス並びにCOガス及び/又はHOガスの存在下で炭素被膜を形成する、炭素被覆シリコン材料の製造工程を備える、二次電池の製造方法である。
本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法によると、二次電池の電池特性を向上し得る炭素被覆シリコン材料を製造できる。また、本発明の二次電池の製造方法によると、電池特性の向上した二次電池を製造できる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法は、
複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料に、化学気相成長法により、炭素源ガス並びにCOガス及び/又はHOガスの存在下で炭素被膜を形成する方法である。
本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法によると、化学気相成長法により炭素被膜を形成する雰囲気に、炭素被膜の原料となる炭素源ガスだけでなくCOガス及び/又はHOガスを存在させることで、二次電池の初期効率を向上させ得る炭素被覆シリコン材料を得ることができる。
既述したように、本発明の発明者は、二次電池の電池特性を更に向上させるべく、炭素被覆シリコン材料の改良を試みた。そしてその結果、熱CVDで炭素被覆した従来の炭素被覆シリコン材料を使用した二次電池は、初期効率に向上の余地があることを見出した。
熱CVDで炭素被覆した従来の炭素被覆シリコン材料が初期効率に劣る理由は、充電時に正極から負極に移動した電荷担体が負極或いはその近傍にトラップされることで、不可逆容量が生じたためと考えられる。炭素被覆シリコン材料に含まれる如何なる成分が電荷担体をトラップするのかは不明であるが、後述する比較例に示すように、実際に、従来の炭素被覆シリコン材料の初期効率は70%に満たなかった。
しかし、本発明の発明者が、条件を種々に変更しつつ熱CVDを行ったところ、炭素源ガスとともにCOガス及び/又はHOガスが存在する雰囲気下で熱CVDを行うことで、上記した不可逆容量の発生を抑制できる炭素被覆シリコン材料を製造できることを見出した。その理由は定かではないが、上記した不可逆容量の原因となる物質は、シリコン材料の構成物質と炭素源との反応により生じた化合物ではないかと推測される。そして、COガス及びHOガスの存在下で、当該化合物の生成が抑制されると推測される。以下、必要に応じて、COガスとHOガスを総称して添加ガスと呼ぶ。
以下、本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法を具体的に説明する。
本発明において、「複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料」又は単にシリコン材料と呼ばれるものは、上記した特許文献2に開示されているシリコン材料を指す。
先ず、特許文献2に記載のシリコン材料について詳細に説明する。当該シリコン材料は、CaSiと酸とを反応させて、ポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成し、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる方法で製造される。当該シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオン等の電荷担体の効率的な挿入及び脱離反応のためには、板状シリコン体は厚さが10nm〜100nmの範囲内のものが好ましく、20nm〜50nmの範囲内のものがより好ましい。また、板状シリコン体の長軸方向の長さは、0.1μm〜50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長軸方向の長さ)/(厚さ)が2〜1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造は走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSiにおけるSi層の名残りであると考えられる。
特許文献2に記載のシリコン材料の製造方法を、酸としては塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi+6HCl → Si+3CaCl
Si → 6Si+3H
上記シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm〜300nmの範囲内が好ましく、1nm〜100nmの範囲内がより好ましく、1nm〜50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm〜10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、350℃〜950℃の範囲内が好ましく、400℃〜900℃の範囲内がより好ましい。
以下、シリコン材料を炭素被覆する方法について説明する。本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法は、シリコン材料を炭素被覆する工程のみを備えても良いし、その他の工程を備えても良い。その他の工程とは、例えば、上記したシリコン材料を製造する工程である。以下、必要に応じて、当該シリコン材料を製造する工程をシリコン材料準備工程と呼び、シリコン材料を炭素被覆する工程を炭素被覆工程と呼ぶ。炭素被覆工程に用いる装置、つまり、化学気相成長法を実施する装置を炭素被覆装置と呼ぶ。
炭素被覆工程は、具体的には、アルゴンや窒素などの非酸化性雰囲気下及び加熱条件下にて、シリコン材料を炭素源ガス及び添加ガスと接触させて、シリコン材料の表面に炭素源ガスが炭素化してなる炭素被膜を形成させる工程である。上記したように、炭素源ガスとともにCOガス及び/又はHOガスが存在する雰囲気下で熱CVDを行うことで、二次電池における不可逆容量の発生を抑制できる炭素被覆シリコン材料を製造できる。
炭素源ガスは、ガス状の有機物である。ここで言うガス状とは、炭素被覆工程において、化学気相成長法の雰囲気下でシリコン材料と接する際に、ガス状であることを指し、原料での状態は特に問わない。換言すると、炭素源ガスは、固体状の有機物から生成したガスでも良いし、常温でガス状の有機物でも良い。炭素被膜用の炭素源として当該ガス状の有機物を用いることで、シリコン材料の外部表面に均一な炭素被膜を形成できるだけでなく、外部に連絡するシリコン材料の内部表面にも炭素被膜を形成できる。
炭素被覆工程における添加ガスの存在比率、つまり、化学気相成長法の雰囲気下における添加ガスの存在比率は特に問わないが、添加ガスの存在比率が過大であれば、炭素被覆シリコン材料の製造コストが高くなる。また、添加ガスの存在比率が過小であれば、添加ガスの効果が小さくなる場合がある。したがって、添加ガスの存在比率には最適な範囲が存在すると考えられる。具体的には、炭素源ガス100体積部に対するCOガスの存在比率は、25〜200体積部であるのが好ましく、30〜150体積部であるのがより好ましく、50〜100体積部であるのが更に好ましい。HOガスについては、炭素源ガス100体積部に対して、0.025〜0.2体積部であるのが好ましく、0.03〜0.15体積部であるのがより好ましく、0.05〜0.1体積部であるのが更に好ましい。
COガス及びHOガスを併用する場合には、各添加ガスについて上記の好ましい範囲内で使用すれば良い。
なお、上記したCOガス及びHOガスの存在比率の好ましい範囲は、実施例で詳説するように、実際の試験結果に基づくものである。
添加ガスとしてのHOガスについて、その作用機構、及び、同じく添加ガスとしてのCOガスに比べて極めて少量で効果を発揮する理由は明らかでない。しかし、使用量が非常に少なく、又、安価であることから、HOガスは添加ガスとして優れているといえる。
上記したように、炭素被覆工程において、炭素源ガス及び添加ガスは、アルゴンや窒素などの非酸化性ガスとともに使用される。炭素源ガスと添加ガスとの和と非酸化性ガスとの体積比は、1:0.2〜1:10の範囲であるのが好ましく、1:0.5〜1:7の範囲であるのがより好ましく、1:1〜1:5の範囲であるのが特に好ましい。
炭素源ガスを用いて炭素被膜を生成させる方法は化学気相成長法であれば良く、その詳細は特に限定しないが、一般に熱CVDと呼ばれている方法又はそれを応用する方法を選択するのが実用的である。
熱CVDを応用して被覆工程を行う場合には、ホットウォール型、コールドウォール型、横型、縦型などの型式の、流動層反応炉、回転炉、トンネル炉、バッチ式焼成炉、ロータリーキルンなどの公知のCVD装置を、炭素被覆装置として用いればよい。これらの装置によると、一度の工程で、或いは連続的に、比較的大量のシリコン材料を炭素被覆できるため有利である。なお、熱CVD以外の化学気相成長法としては、プラズマCVD等が挙げられる。
有機物としては、非酸化性雰囲気下での加熱によって熱分解して炭化し得るものが用いられ、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレンなどの不飽和脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ナフタレン、フェノール、クレゾール、安息香酸、サリチル酸、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、ベンゾフラン、ピリジン、アントラセン、フェナントレンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル類、脂肪酸類などから選択される一種又は混合物が挙げられる。
このうち、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレンなどの不飽和脂肪族炭化水素は、沸点が低く、炭素源ガスとしてそのまま使用できるため、有機物として特に適している。
炭素被覆工程における処理温度は、有機物の種類によって異なるが、有機物が熱分解する温度より50℃以上高い温度とすることが望ましい。しかし、加熱温度が過度に高すぎると、系内に遊離炭素(煤)が発生する場合があるので、遊離炭素(煤)が発生しない条件を選択することが好ましい。好適な温度として750〜950℃の範囲を、より好適な温度として850〜900℃の範囲を例示できる。形成される炭素被膜の厚さは、処理時間によって制御することができる。
炭素被覆工程は、シリコン材料を流動状態にして行うことが望ましい。このようにすることで、シリコン材料の全表面を有機物と接触させることができ、より均一な炭素被膜を形成することができる。シリコン材料を流動状態にするには、流動床を用いるなど各種方法があるが、シリコン材料を撹拌しながら有機物と接触させるのが好ましい。例えば、内部に邪魔板をもつ回転炉を用いれば、邪魔板に留まったシリコン材料が回転炉の回転に伴って所定高さから落下することで撹拌され、その際に有機物と接触して炭素被膜が形成されるので、シリコン材料の全体にいっそう均一な炭素被膜を形成することができる。
炭素被覆シリコン材料の炭素被膜は非晶質及び/又は結晶質であり、そして、当該炭素被膜はシリコン材料からなる粒子の表面全体を被覆しているのが好ましい。炭素被膜の厚みは、1nm〜100nmの範囲内が好ましく、5〜50nmの範囲内がより好ましく、10〜20nmの範囲内がさらに好ましい。また、炭素被覆シリコン材料における炭素の割合としては、1〜20質量%、4〜9質量%の範囲を例示できる。
また、炭素被覆シリコン材料は、粉砕や分級を経て、一定の粒度分布の粉末としてもよい。炭素被覆シリコン材料の好ましい粒度分布としては、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で測定した場合に、D50が1〜30μm、2〜20μm、3〜10μmの範囲内を例示できる。
本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法で製造された炭素被覆シリコン材料は、リチウムイオン二次電池などの二次電池の負極活物質として使用することができる。本発明の炭素被覆シリコン材料は、負極活物質たるシリコン材料が炭素被覆されたものであり、実質的に、負極活物質として機能する。
以下、必要に応じて、本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法で製造された炭素被覆シリコン材料を、単に、本発明の炭素被覆シリコン材料と呼ぶ。
なお、本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法で得られた炭素被覆シリコン材料は、二次電池用の負極活物質としてだけでなく、種々の用途に使用することができる。つまり、本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法は、二次電池用の負極活物質の製造方法に限定されない。
以下、二次電池の代表としてリチウムイオン二次電池を例に挙げて、本発明の炭素被覆シリコン材料を用いた二次電池を説明する。当該二次電池は、上記した本発明の炭素被覆シリコン材料の製造方法を一工程として含む、本発明の二次電池の製造方法で製造される。以下、必要に応じて、当該二次電池を本発明の二次電池と呼ぶ。
本発明の二次電池は、本発明の炭素被覆シリコン材料を具備する負極、正極、電解液及びセパレータを具備する。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。
集電体は、二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
負極活物質層は負極活物質、並びに必要に応じて導電助剤及び/又は結着剤を含む。
負極活物質としては、本発明の炭素被覆シリコン材料を含むものであればよく、本発明の炭素被覆シリコン材料のみを採用してもよいし、本発明の炭素被覆シリコン材料と公知の負極活物質を併用してもよい。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。
負極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:導電助剤=1:0.005〜1:0.5であるのが好ましく、1:0.01〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.03〜1:0.1であるのがさらに好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると負極活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
結着剤は、負極活物質や導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止め、電極中の導電ネットワークを維持する役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースを例示することができる。これらの結着剤を単独で又は複数で採用すれば良い。
負極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、活物質:結着剤=1:0.001〜1:0.3であるのが好ましく、1:0.005〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.01〜1:0.15であるのがさらに好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体の表面に負極活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に負極合材を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を混合し、スラリーを調製する。上記溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
正極は、集電体と、集電体の表面に結着させた正極活物質層を有する。
集電体については、負極で説明したものを適宜適切に採用すれば良い。正極活物質層は正極活物質、並びに必要に応じて導電助剤及び/又は結着剤を含む。このうち導電助剤及び結着剤については負極で説明したものを適宜適切に採用すれば良い。
正極活物質としては、層状化合物のLiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn、LiMn等のスピネル、及びスピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、充放電に寄与するリチウムイオンを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予めイオンを添加させておく必要がある。ここで、当該イオンを添加するためには、金属または当該イオンを含む化合物を用いればよい。
上記層状化合物のLiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3)において、b、c及びdの値は、上記条件を満足するものであれば特に制限はないが、0<b<1、0<c<1、0<d<1であるものが良く、また、b、c、dの少なくともいずれか一つが0<b<80/100、0<c<70/100、10/100<d<1の範囲であることが好ましく、10/100<b<68/100、12/100<c<60/100、20/100<d<68/100の範囲であることがより好ましく、25/100<b<60/100、15/100<c<50/100、25/100<d<60/100の範囲であることがさらに好ましい。
aは、0.5≦a≦1.7の範囲内が好ましく、0.7≦a≦1.5の範囲内がより好ましく、0.9≦a≦1.3の範囲内がさらに好ましく、1≦a≦1.2の範囲内が特に好ましい。e、fについては一般式で規定する範囲内の数値であればよく、e=0、f=2を例示することができる。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。
非水溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
次に、本発明の二次電池の製造方法について説明する。
本発明の二次電池の製造方法においては、上記した炭素被覆シリコン材料の製造方法にしたがって、炭素被覆シリコン材料を製造する。そして、当該炭素被覆シリコン材料を負極活物質として用い、上記したように集電体、導電助剤、結着剤等を適宜選択して、負極を製造する。更に、正極及び当該負極でセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えて二次電池とするとよい。また、本発明の二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されればよい。
本発明の二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明の二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部に二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両に二次電池を搭載する場合には、二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明の二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例および比較例などを示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
(炭素被覆シリコン材料の製造)
・シリコン材料準備工程
氷浴中の36質量%HCl水溶液に、アルゴンガス雰囲気下、CaSiを加えて撹拌した。反応液を濾過し、残渣を蒸留水及びアセトンで洗浄し、更に、減圧乾燥して、ポリシランを含む層状シリコン化合物を分離した。層状シリコン化合物をアルゴンガス雰囲気下、900℃で1時間加熱して、シリコン材料を得た。得られたシリコン材料を気流式粉砕機を用いて粉砕し、D50が約5μmとなるシリコン材料を得た。
・炭素被覆工程
所定量のシリコン材料を予め炭素被覆装置に導入しておいた。炭素被覆装置としては、ロータリーキルン型の反応器を用い、仕込み量1900g、バッチ式で炭素被覆工程を行った。
実施例1の炭素被覆シリコン材料の製造方法では、炭素源ガスとしてプロパンガスを、添加ガスとしてCOガスを用いた。具体的には、上記した炭素被覆装置に、プロパンガス、COガス及び窒素ガスを、プロパンガス2L/分、COガス2L/分、及び窒素ガス6L/分の流量で流通させた。化学気相成長法の雰囲気下における各ガスの存在比率は、プロパンガス100体積部に対して、窒素ガス300体積部、COガス100体積部であった。
上記の流量で各ガスを流通させつつ、880℃の条件で、シリコン材料に対して炭素被覆を行い、炭素被覆シリコン材料を製造した。なお、反応器の炉心管は水平方向に配設されており、炭素被覆工程における炉心管の回転速度は0.5rpmとした。炉心管の内周壁には邪魔板が配設されており、反応器は炉心管の回転に伴って邪魔板上に堆積した内容物が所定の高さで邪魔板から落下するように構成され、その構成によって内容物が撹拌される。
以上の炭素被覆工程によって、実施例1の炭素被覆シリコン材料を製造した。CHN元素分析装置を用いて、実施例1の炭素被覆シリコン材料における炭素の含有率を調べた。その結果を基に算出した実施例1の炭素被覆シリコン材料の炭素比率は、6.2質量%であった。
実施例1の炭素被覆シリコン材料の製造条件を、後述する各実施例及び比較例の炭素被覆シリコン材料の製造条件とともに、表1に示す。なお、表1には、後述する評価結果も列記する。
Figure 2018058746
(二次電池の製造)
実施例1の炭素被覆シリコン材料を用い、以下の方法で実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
実施例1の炭素被覆シリコン材料75質量部、負極活物質として黒鉛10質量部、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部、結着剤溶液33質量部を混合してスラリーを調製した。結着剤溶液には、ポリアミドイミド樹脂がN−メチル−2−ピロリドンに30質量%溶解した溶液を用いている。上記スラリーを、集電体としての厚さ約20μmの電解銅箔の表面にドクターブレードを用いて塗布し、乾燥して、銅箔上に負極活物質層を形成した。その後、ロールプレス機により、集電体と負極活物質層を強固に密着接合させた。これを100℃で2時間真空乾燥して負極を製造した。
上記の手順で製造した負極を評価極として用い、リチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は金属リチウム箔(厚さ500μm)とした。
対極をφ13mm、評価極をφ11mmに裁断し、セパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター及びCelgard社製「Celgard2400」)を両極の間に介装して電極体とした。この電極体を電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉株式会社製)に収容した。電池ケースには、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1(体積比)で混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解した非水電解液を注入し、電池ケースを密閉して、実施例1のリチウムイオン二次電池を得た。
(実施例2)
添加ガスとしてCOガスに代えて少量のHOガスを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の炭素被覆シリコン材料を製造した。また、実施例2の炭素被覆シリコン材料を用い、実施例1と同様の方法で、実施例2のリチウムイオン二次電池を得た。
なお、実施例2の炭素被覆シリコン材料の製造方法において、HOガスの流量は0.002L/分であり、化学気相成長法の雰囲気下における炭素源ガスと添加ガスとの存在比率は、プロパンガス100体積部に対してHOガス0.1体積部であった。また、実施例2の炭素被覆シリコン材料の炭素比率は6.5質量%であった。
(実施例3)
添加ガスとして、COガスとHOガスとを併用したこと、及び、COガス及びHOガスの流量を変更したこと以外は、実施例1及び実施例2と同様の方法で、実施例3の炭素被覆シリコン材料を製造した。また、実施例3の炭素被覆シリコン材料を用い、実施例1と同様の方法で、実施例3のリチウムイオン二次電池を得た。
なお、実施例3の炭素被覆シリコン材料の製造方法において、COガスの流量は1L/分であり、HOガスの流量は0.001L/分であった。また、化学気相成長法の雰囲気下における炭素源ガスと添加ガスとの存在比率は、プロパンガス100体積部に対してCOガス50体積部、HOガス0.05体積部であった。実施例3の炭素被覆シリコン材料の炭素比率は6.8質量%であった。
(比較例1)
添加ガスを用いなかったこと、及び窒素ガスの流量が8L/分であったこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の炭素被覆シリコン材料を製造した。比較例1の炭素被覆シリコン材料の炭素比率は6.3質量%であった。また、比較例1の炭素被覆シリコン材料を用い、実施例1と同様の方法で、比較例1のリチウムイオン二次電池を得た。
(比較例2)
添加ガスを用いず、窒素ガスの流量が8L/分であり、かつ、炭素被覆工程を780℃で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の炭素被覆シリコン材料を製造した。比較例2の炭素被覆シリコン材料の炭素比率は6.5質量%であった。また、比較例2の炭素被覆シリコン材料を用い、実施例1と同様の方法で、比較例2のリチウムイオン二次電池を得た。
(評価)
・体積抵抗率
実施例及び比較例の各炭素被覆シリコン材料2gを直径2cmの円筒管に入れ、荷重20kNで各成分を圧縮し、三菱化学アナリテック製抵抗測定装置(商品名 MCP−PD51)にて体積抵抗率を求めた。各炭素被覆シリコン材料の体積抵抗率を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜実施例3の炭素被覆シリコン材料の体積抵抗率は、比較例1の炭素被覆シリコン材料の体積抵抗率に比べて低かった。つまり、実施例1〜実施例3の炭素被覆シリコン材料は、比較例1の炭素被覆シリコン材料に比べて導電性に優れていた。この結果から、添加ガスの存在下で炭素被覆工程を行うことで、炭素被覆シリコン材料の導電性を向上させ得ることがわかる。
また、比較例2の炭素被覆シリコン材料の体積抵抗率は、実施例1〜実施例3の炭素被覆シリコン材料の体積抵抗率と同程度であり、比較例1の炭素被覆シリコン材料の体積抵抗率に比べて低かった。比較例1の製造方法と比較例2の製造方法との違いは炭素被覆工程の温度であるため、880℃で炭素被覆工程を行うことで、炭素被覆シリコン材料の導電性を低下させる物質が生成することが示唆される。そして、この物質は、添加ガスの存在下で炭素被覆工程を行う場合には、880℃で炭素被覆工程を行っても生成し難いと推測される。当該物質は、シリコン材料のSiと炭素源ガスの炭素とが反応して生じたSiCではないかと推測される。
・初期効率
実施例1〜実施例3及び比較例1、比較例2のリチウムイオン二次電池について、温度25℃の条件下、0.1Cにて評価極の対極に対する電圧が0.05Vになるまで充電を行い、次いで、0.1Cにて評価極の対極に対する電圧が0.7Vになるまで放電を行うことで、初回充放電を行った。
(初回放電容量/初回充電容量)×100を初期効率(%)として算出した。各リチウムイオン二次電池の初期効率を表1に示す。なお、当該評価例では、評価極にLiを吸蔵させることを充電といい、評価極からLiを放出させることを放電という。
表1に示すように、実施例1〜実施例3のリチウムイオン二次電池の初期効率は、比較例1、比較例2のリチウムイオン二次電池の初期効率に比べて高かった。この結果から、添加ガスの存在下で炭素被覆工程を行って得られた炭素被覆シリコン材料を用いることで、リチウムイオン二次電池の初期効率が向上することがわかる。
その理由は明らかではないが、比較例1、2の製造方法における炭素被覆工程では、不可逆容量の原因となる物質が生成したと考えられ、当該原因物質の生成は、実施例1〜実施例3の製造方法における炭素被覆工程では抑制されたと考えられる。このため、当該原因物質の生成は、添加ガスの存在下で炭素被覆工程を行うことで抑制し得ると考えられる。
更に、比較例1の炭素被覆シリコン材料は体積抵抗率に優れているにも拘わらず初期効率に劣ることから、当該原因物質は体積抵抗率の悪化に関与する物質とは異なる物質である可能性が示唆される。

Claims (4)

  1. 複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料に、化学気相成長法により、炭素源ガス並びにCOガス及び/又はHOガスの存在下で炭素被膜を形成する、炭素被覆シリコン材料の製造方法。
  2. 前記炭素源ガス100体積部に対して、25〜200体積部のCOガス及び/又は0.025〜0.2体積部のHOガスが存在する、請求項1に記載の炭素被覆シリコン材料の製造方法。
  3. Oガスの存在下で前記炭素被膜を形成する、請求項1又は請求項2に記載の炭素被覆シリコン材料の製造方法。
  4. 複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有するシリコン材料に、化学気相成長法により、炭素源ガス並びにCOガス及び/又はHOガスの存在下で炭素被膜を形成する、炭素被覆シリコン材料の製造工程を備える、二次電池の製造方法。
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