JP2019023990A - 正極活物質 - Google Patents
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Abstract
【課題】容量に優れるリチウムイオン二次電池を提供するための新たな正極活物質を提供すること。【解決手段】空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示し、下記組成式(1)で表されることを特徴とする正極活物質。Li1+xNbyFeaMnbPcXdOe(1)(Xはハロゲン元素から選択される。0<x<1、0<y<0.5、0.25≦a+b<1、0≦a<1、0≦b<1、0<c≦0.05、0≦d≦0.2、1.8≦e≦2.2)【選択図】図5
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池の正極活物質に関するものである。
リチウムイオン二次電池は小型で大容量であるため、携帯電話やノート型パソコンなどの種々の機器の電池として用いられている。リチウムイオン二次電池は、主な構成要素として、正極、負極及び電解液を備える。正極は、集電体と、該集電体の表面に形成され、正極活物質を含有する正極活物質層とを有する。
リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、種々の材料が用いられることが知られており、また、優れた正極活物質となり得る材料が探求されている。例えば、特許文献1にて、リチウム、ニオブ、及び、鉄若しくはマンガンを含有する新たな複合酸化物が、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用可能なことが報告されている。
近年、産業界からは、容量に優れるリチウムイオン二次電池が求められており、それを実現するための、新たな正極活物質が求められている。
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、容量に優れるリチウムイオン二次電池を提供するための新たな正極活物質を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献1に記載の複合酸化物についての研究を行ったところ、容量の観点で、改良の余地があることに気が付いた。そして、本発明者の鋭意検討の結果、ある種の元素をドープすることで、当該複合酸化物の正極活物質としての性能が向上することを見出した。本発明は、本発明者のかかる知見に基づき、完成されたものである。
本発明の正極活物質は、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示し、下記組成式(1)で表されることを特徴とする。
Li1+xNbyFeaMnbPcXdOe (1)
(Xはハロゲン元素から選択される。0<x<1、0<y<0.5、0.25≦a+b<1、0≦a<1、0≦b<1、0<c≦0.05、0≦d≦0.2、1.8≦e≦2.2)
Li1+xNbyFeaMnbPcXdOe (1)
(Xはハロゲン元素から選択される。0<x<1、0<y<0.5、0.25≦a+b<1、0≦a<1、0≦b<1、0<c≦0.05、0≦d≦0.2、1.8≦e≦2.2)
本発明の正極活物質に因り、容量に優れるリチウムイオン二次電池を提供できる。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値とすることができる。
本発明の正極活物質は、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示し、下記組成式(1)で表されることを特徴とする。
Li1+xNbyFeaMnbPcXdOe (1)
(Xはハロゲン元素から選択される。0<x<1、0<y<0.5、0.25≦a+b<1、0≦a<1、0≦b<1、0<c≦0.05、0≦d≦0.2、1.8≦e≦2.2)
なお、「Fm−3m」において、「−3」は上線を付した3を表したものである。
Li1+xNbyFeaMnbPcXdOe (1)
(Xはハロゲン元素から選択される。0<x<1、0<y<0.5、0.25≦a+b<1、0≦a<1、0≦b<1、0<c≦0.05、0≦d≦0.2、1.8≦e≦2.2)
なお、「Fm−3m」において、「−3」は上線を付した3を表したものである。
まず、組成式(1)のx、y、a、b、eについて説明する。かかる説明については、特許文献1の記載を一部引用する。
xとしては、0.1≦x<0.7の範囲が好ましく、0.2≦x≦0.6の範囲がより好ましく、0.3≦x≦0.5の範囲がさらに好ましい。yとしては、0.05≦y<0.5の範囲が好ましく、0.1≦y≦0.45の範囲がより好ましく、0.2≦y≦0.4の範囲がさらに好ましく、0.3≦y≦0.35の範囲がさらに好ましい。
aとbについては、0.25≦a+b≦0.75の関係を満足するのが好ましく、0.3≦a+b≦0.7の関係を満足するのがより好ましく、0.35≦a+b≦0.5の関係を満足するのがさらに好ましい。また、yとaとbについては、0.8≦2y+a+b≦1.2の関係を満足するのが好ましく、0.9≦2y+a+b≦1.15の関係を満足するのがより好ましい。
eとしては、1.85≦e≦2.15の範囲が好ましく、1.9≦e≦2.1の範囲がより好ましい。
組成式(1)で表される正極活物質にはPが含まれる。Pの添加により、正極活物質の結晶構造の格子定数が大きくなるため、従来のP無添加の正極活物質と比較して、本発明の正極活物質は、結晶面の間隔が広いといえる。結晶面の間隔はリチウムイオンの導電経路となり得るため、本発明の正極活物質は、リチウムイオンの導電経路が広く、イオン伝導性に優れるといえる。これらの事項に起因して、本発明の正極活物質は、従来の特許文献1に記載の複合酸化物と比較して、リチウムイオンを放出及び導入する充放電が円滑に実施されるため、容量の点で有利といえる。
Pの組成比を示すcとしては、0.001≦c≦0.04を満足するのが好ましく、0.005≦c≦0.03を満足するのがより好ましく、0.005≦c≦0.025を満足するのがさらに好ましく、0.01≦c≦0.02を満足するのが特に好ましい。Pの存在量が過小であれば、Pの添加効果が確認され難い場合がある。他方、Pを過剰に添加した場合には、本発明の正極活物質の結晶内部に導入され得るPの量が飽和状態となるため、Pは、本発明の正極活物質の表層にリン酸塩との形態でも存在することになる。そのため、Pの過剰添加は無駄である。
Xとしては、F、Cl、Br、Iを例示できる。組成式(1)で表される正極活物質にはXが必須ではないものの、Xの添加はPの添加と同様の効果が期待される。組成式(1)で表される正極活物質としては、PとXが共存するものが好ましい。
Xの組成比を示すdとしては、0<d≦0.2を満足するのが好ましく、0<d≦0.15を満足するのがより好ましく、0.01<d≦0.12を満足するのがさらに好ましく、0.05<d≦0.11を満足するのが特に好ましい。
本発明の正極活物質の製造方法について説明する。
本発明の正極活物質を製造するには、一般的な正極活物質を製造する際に採用される、固相法や共沈法を応用して合成すればよい。固相法の場合には、リチウム源、ニオブ源、鉄源及び/若しくはマンガン源、P源、必要に応じてX源を、所望の比率で混合し、焼成することで、本発明の正極活物質を製造できる。共沈法の場合には、ニオブ塩、鉄塩及び/若しくはマンガン塩を所望の比率で混合した水溶液から、水酸化物を沈殿させて沈殿物とし、次いで、沈殿物と、リチウム源と、P源と、必要に応じてX源とを混合して焼成することで、本発明の正極活物質を製造できる。固相法及び共沈法の焼成温度としては、500〜1200℃が好ましく、700〜1100℃がより好ましく、800〜1000℃がさらに好ましく、850〜950℃が特に好ましく、880〜920℃が最も好ましい。焼成は、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
本発明の正極活物質を製造するには、一般的な正極活物質を製造する際に採用される、固相法や共沈法を応用して合成すればよい。固相法の場合には、リチウム源、ニオブ源、鉄源及び/若しくはマンガン源、P源、必要に応じてX源を、所望の比率で混合し、焼成することで、本発明の正極活物質を製造できる。共沈法の場合には、ニオブ塩、鉄塩及び/若しくはマンガン塩を所望の比率で混合した水溶液から、水酸化物を沈殿させて沈殿物とし、次いで、沈殿物と、リチウム源と、P源と、必要に応じてX源とを混合して焼成することで、本発明の正極活物質を製造できる。固相法及び共沈法の焼成温度としては、500〜1200℃が好ましく、700〜1100℃がより好ましく、800〜1000℃がさらに好ましく、850〜950℃が特に好ましく、880〜920℃が最も好ましい。焼成は、ヘリウムやアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
リチウム源としては、酸化リチウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、フッ化リチウムを例示できる。ニオブ源又はニオブ塩としては、酸化ニオブ、水酸化ニオブ、硫酸ニオブ、硝酸ニオブ、塩化ニオブ、フッ化ニオブ、ニオブ酸リチウムを例示できる。鉄源又は鉄塩としては、酸化鉄、水酸化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、塩化鉄、フッ化鉄を例示できる。マンガン源又はマンガン塩としては、酸化マンガン、水酸化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、フッ化マンガンを例示できる。P源としては、リン酸、リン酸化物及びリン酸塩、並びにこれらの誘導体を例示できる。X源としては、Xがフッ素の場合で例示すると、フッ化リチウム、フッ化ニオブ、フッ化鉄、フッ化マンガンを例示できる。また、P源としては、リチウム源やX源にもなり得る化合物を採用するのが合理的であるため、P源として、リン酸リチウム塩やLiPX6を採用するのが好ましい。
P源としては、焼成温度よりも融点又は分解温度が低い化合物が好ましい。P源として、焼成温度よりも融点又は分解温度が低い化合物を採用することで、焼成時に優れた反応場を提供することが可能となる。その結果、各原料の反応性が向上して、不都合な副反応を抑制することができる。したがって、P源として焼成温度よりも融点又は分解温度が低い化合物を採用して製造された本発明の正極活物質には、LiMnO2やLi3NbO4などの低容量な不純物の混入が抑制されるといえる。融点又は分解温度の点で好適なP源としては、LiPF6、Li3PO4を例示できる。
合成後の本発明の正極活物質は、適切な粒度分布の粉末に調製する粉砕工程に供されるのが好ましい。粉砕工程は、本発明の正極活物質と後述する導電助剤との共存下で、実施されるのが好ましい。本発明の正極活物質の粉末の平均粒子径としては、0.5〜50μmが好ましく、1〜30μmがより好ましく、3〜10μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、平均粒子径とは、一般的なレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で試料を測定した際の50%累積径(D50)を意味する。
以下、本発明の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池用正極を「本発明の正極」といい、本発明の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池を「本発明のリチウムイオン二次電池」という。
本発明の正極は、本発明の正極活物質を含む正極活物質層、及び、集電体を具備する。正極活物質層は集電体上に形成される。正極活物質層における本発明の正極活物質の配合割合として、30〜100質量%、40〜90質量%、50〜80質量%を例示できる。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体の材料は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はない。集電体の材料としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、正極用集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。
具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
正極活物質層には、本発明の正極活物質以外に公知の正極活物質が含まれていてもよい。また、正極活物質層には、結着剤及び導電助剤が含まれているのが好ましい。正極活物質層に含まれる結着剤及び導電助剤としては、後述するものを適宜適切に採用すればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池は、具体的に、本発明の正極と、負極と、セパレータと、電解液とを具備する。
負極は、集電体と集電体上に形成された負極活物質層を具備する。負極活物質層には、公知の負極活物質が含まれており、さらに、結着剤及び導電助剤が含まれているのが好ましい。負極の集電体としては、本発明の正極で説明したものから適宜適切に選択すればよい。以下、正極活物質及び負極活物質の両者を総合して「活物質」という場合があり、また、正極活物質層及び負極活物質層の両者を総合して「活物質層」という場合がある。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.5であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独又は二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.7であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、結着剤、溶剤、並びに必要に応じて導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥するとよい。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。また、活物質、結着剤、及び必要に応じて導電助剤を含む混合物を調製し、当該混合物を集電体に圧着させることで、集電体の表面に活物質層を形成させてもよい。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子及びセラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布及び織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。
非水溶媒としては、環状カーボネート、環状エステル、鎖状カーボネート、鎖状エステル、エーテル類等が使用できる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートを例示でき、環状エステルとしては、ガンマブチロラクトン、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネートを例示でき、鎖状エステルとしては、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
電解質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、フルオロエチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3などのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
本発明のリチウムイオン二次電池の具体的な製造方法について述べる。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
例えば、正極と負極とでセパレータを挟持して電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、各種の具体例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの具体例によって限定されるものではない。
(比較例1)
Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3を、元素比Li:Nb:Mnが1.3:0.3:0.4となるように秤量し、これらの粉末をボールミルに投入した。そして、ボールミルによる混合を約100rpmで24時間行い、混合物とした。混合物を成型した上で、アルゴンガス雰囲気下、950℃で12時間加熱して焼成することで、焼成物である比較例1の正極活物質を製造した。比較例1の正極活物質の理論上の組成は、Li1.3Nb0.3Mn0.4O2である。
Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3を、元素比Li:Nb:Mnが1.3:0.3:0.4となるように秤量し、これらの粉末をボールミルに投入した。そして、ボールミルによる混合を約100rpmで24時間行い、混合物とした。混合物を成型した上で、アルゴンガス雰囲気下、950℃で12時間加熱して焼成することで、焼成物である比較例1の正極活物質を製造した。比較例1の正極活物質の理論上の組成は、Li1.3Nb0.3Mn0.4O2である。
比較例1の正極活物質と導電助剤としてのアセチレンブラックとを、質量比5:2となるように秤量して、ボールミルに投入した。そして、ボールミルによる混合を300rpmで0.5時間行い、比較例1の正極活物質及びアセチレンブラックを含む比較例1の混合物とした。
比較例1の混合物、アセチレンブラック、結着剤としてのポリテトラフルオロエチレンを乳鉢で混合して、粘土状の正極活物質層用組成物とした。当該正極活物質層用組成物において、比較例1の正極活物質とアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレンとの質量比は5:3:2であった。
集電体としてメッシュ状のアルミニウムを準備し、これに正極活物質層用組成物を圧着して、比較例1の正極を得た。
集電体としてメッシュ状のアルミニウムを準備し、これに正極活物質層用組成物を圧着して、比較例1の正極を得た。
リチウム箔を準備し、これを負極とした。セパレータとしてポリエチレン多孔質膜を準備した。また、エチレンカーボネート5体積部及びジエチルカーボネート5体積部を混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した電解液を準備した。セパレータを比較例1の正極と負極とで挟持し電極体とした。この電極体を二枚一組のラミネートフィルムで覆い、三辺をシールした後、袋状となったラミネートフィルムに上記電解液を注入した。その後、残りの一辺をシールすることで、四辺が気密にシールされ、電極体および電解液が密閉された比較例1のリチウムイオン二次電池を製造した。
(比較例2)
焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例2の正極活物質、比較例2の混合物、比較例2の正極、比較例2のリチウムイオン二次電池を製造した。
焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例2の正極活物質、比較例2の混合物、比較例2の正極、比較例2のリチウムイオン二次電池を製造した。
(実施例1)
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLiPF6を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと、及び焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例1の正極活物質、実施例1の混合物、実施例1の正極、実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例1の正極活物質の理論上の組成は、Li1.306Nb0.3Mn0.4P0.006F0.036O2である。
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLiPF6を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと、及び焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例1の正極活物質、実施例1の混合物、実施例1の正極、実施例1のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例1の正極活物質の理論上の組成は、Li1.306Nb0.3Mn0.4P0.006F0.036O2である。
(実施例2)
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して2質量%に相当する添加量のLiPF6を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと、及び焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例2の正極活物質、実施例2の混合物、実施例2の正極、実施例2のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例2の正極活物質の理論上の組成は、Li1.312Nb0.3Mn0.4P0.012F0.072O2である。
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して2質量%に相当する添加量のLiPF6を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと、及び焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例2の正極活物質、実施例2の混合物、実施例2の正極、実施例2のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例2の正極活物質の理論上の組成は、Li1.312Nb0.3Mn0.4P0.012F0.072O2である。
(実施例3)
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して3質量%に相当する添加量のLiPF6を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと、及び焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例3の正極活物質、実施例3の混合物、実施例3の正極、実施例3のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例3の正極活物質の理論上の組成は、Li1.318Nb0.3Mn0.4P0.018F0.108O2である。
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して3質量%に相当する添加量のLiPF6を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと、及び焼成温度を900℃としたこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例3の正極活物質、実施例3の混合物、実施例3の正極、実施例3のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例3の正極活物質の理論上の組成は、Li1.318Nb0.3Mn0.4P0.018F0.108O2である。
表1に、比較例1〜比較例2、実施例1〜実施例3の正極活物質の製造方法の一覧を示す。
(評価例1)
走査型電子顕微鏡(SEM)にて、比較例1、実施例1、実施例2及び実施例3の正極活物質を観察した。図1に比較例1の正極活物質のSEM像、図2に実施例1の正極活物質のSEM像、図3に実施例2の正極活物質のSEM像、図4に実施例3の正極活物質の正極活物質のSEM像を、それぞれ示す。
比較例1の正極活物質のSEM像からは、1μm程度の粒子径の正極活物質が観察された。実施例1、実施例2及び実施例3の正極活物質のSEM像からは、LiPF6の添加量が増加するにつれて、粒子同士が結着する度合いが高くなる傾向が確認された。
走査型電子顕微鏡(SEM)にて、比較例1、実施例1、実施例2及び実施例3の正極活物質を観察した。図1に比較例1の正極活物質のSEM像、図2に実施例1の正極活物質のSEM像、図3に実施例2の正極活物質のSEM像、図4に実施例3の正極活物質の正極活物質のSEM像を、それぞれ示す。
比較例1の正極活物質のSEM像からは、1μm程度の粒子径の正極活物質が観察された。実施例1、実施例2及び実施例3の正極活物質のSEM像からは、LiPF6の添加量が増加するにつれて、粒子同士が結着する度合いが高くなる傾向が確認された。
また、走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線分析装置(EDX)を組み合わせたSEM−EDXにて、実施例2の正極活物質に対して、Nb、Mn、P及びOを対象とした分析を行ったところ、これらの元素が実施例2の正極活物質中に分散して存在することが確認できた。
(評価例2)
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折装置にて、比較例1、比較例2、実施例1、実施例2及び実施例3の正極活物質の分析を行った。実施例1の正極活物質のX線回折チャートを図5に示す。
すべての正極活物質のX線回折チャートにおいて、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示す回折パターンが観察された。
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折装置にて、比較例1、比較例2、実施例1、実施例2及び実施例3の正極活物質の分析を行った。実施例1の正極活物質のX線回折チャートを図5に示す。
すべての正極活物質のX線回折チャートにおいて、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示す回折パターンが観察された。
焼成温度が950℃の比較例1の正極活物質のX線回折チャートと焼成温度が900℃の比較例2の正極活物質のX線回折チャートを比較すると、比較例2の正極活物質のX線回折チャートの方が、不純物であるLiMnO2及びLi3NbO4に由来するピークが強く観察された。したがって、LiPF6を添加しない製造条件においては、焼成温度900℃よりも焼成温度950℃の方が有利といえる。
他方、焼成温度が900℃の実施例1〜実施例3の正極活物質のX線回折チャートには、不純物であるLiMnO2及びLi3NbO4に由来するピークがほとんど観察されなかった。焼成温度が900℃の比較例2の結果を鑑みると、実施例1〜実施例3においては、LiPF6の添加により、各原料の焼成時における反応性が向上して、不都合な副反応を抑制できたといえる。
他方、焼成温度が900℃の実施例1〜実施例3の正極活物質のX線回折チャートには、不純物であるLiMnO2及びLi3NbO4に由来するピークがほとんど観察されなかった。焼成温度が900℃の比較例2の結果を鑑みると、実施例1〜実施例3においては、LiPF6の添加により、各原料の焼成時における反応性が向上して、不都合な副反応を抑制できたといえる。
また、LiPF6の添加量が0%、1%、2%と増加するにつれて、X線回折ピークの位置が左にシフトすることが判明した。ブラッグの条件:2dsinθ=nλより、X線回折ピークの位置が左にシフトすることは、sinθが小さくなったこと、すなわち、結晶面間隔dが大きくなったことを意味する。よって、LiPF6の添加量が増加するにつれて、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造の結晶面間隔が大きくなるといえる。
(評価例3)
放射光を用いた粉末X線回折装置にて、実施例1及び実施例2の正極活物質の分析を行った。いずれの正極活物質のX線回折チャートにおいても、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示す回折パターンが観察された。
実施例1の正極活物質のX線回折チャートには、不純物であるLiMnO2に由来するピークが若干観察されたが、実施例2の正極活物質のX線回折チャートには、LiMnO2に由来するピークは観察されなかった。
また、両者のX線回折チャートには、Li3PO4に由来するピークが若干観察された。実施例2の正極活物質のX線回折チャートの方が、Li3PO4に由来するピークの強度は大きかった。LiPF6の添加量が増加するにつれて、Li3PO4の生成量が増加する傾向にあるといえる。
放射光を用いた粉末X線回折装置にて、実施例1及び実施例2の正極活物質の分析を行った。いずれの正極活物質のX線回折チャートにおいても、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示す回折パターンが観察された。
実施例1の正極活物質のX線回折チャートには、不純物であるLiMnO2に由来するピークが若干観察されたが、実施例2の正極活物質のX線回折チャートには、LiMnO2に由来するピークは観察されなかった。
また、両者のX線回折チャートには、Li3PO4に由来するピークが若干観察された。実施例2の正極活物質のX線回折チャートの方が、Li3PO4に由来するピークの強度は大きかった。LiPF6の添加量が増加するにつれて、Li3PO4の生成量が増加する傾向にあるといえる。
(評価例4)
実施例1及び実施例2の正極活物質について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES)及びイオンクロマトグラフィー(IC)を用いた元素分析を行った。結果を表2に示す。Li、Nb、Mn及びPの質量%はICP−AESでの分析結果であり、Fの質量%はICでの分析結果である。Oの質量%は、100%からLi、Nb、Mn、P及びFの質量%を減じて算出した。
実施例1及び実施例2の正極活物質について、誘導結合プラズマ発光分析(ICP−AES)及びイオンクロマトグラフィー(IC)を用いた元素分析を行った。結果を表2に示す。Li、Nb、Mn及びPの質量%はICP−AESでの分析結果であり、Fの質量%はICでの分析結果である。Oの質量%は、100%からLi、Nb、Mn、P及びFの質量%を減じて算出した。
(評価例5)
比較例1、実施例1、実施例2及び実施例3のリチウムイオン二次電池につき、25℃及び60℃の条件下、電流レート13.5mA/gで電圧4.8Vまで充電し、電流レート13.5mA/gで電圧1.5Vまで放電した時の放電量を測定した。各正極活物質の単位質量あたりの放電容量の結果を表3に示す。また、実施例1のリチウムイオン二次電池の25℃での充放電曲線を図6に、実施例1のリチウムイオン二次電池の60℃での充放電曲線を図7に、実施例2のリチウムイオン二次電池の25℃での充放電曲線を図8に、実施例2のリチウムイオン二次電池の60℃での充放電曲線を図9に、それぞれ示す。
比較例1、実施例1、実施例2及び実施例3のリチウムイオン二次電池につき、25℃及び60℃の条件下、電流レート13.5mA/gで電圧4.8Vまで充電し、電流レート13.5mA/gで電圧1.5Vまで放電した時の放電量を測定した。各正極活物質の単位質量あたりの放電容量の結果を表3に示す。また、実施例1のリチウムイオン二次電池の25℃での充放電曲線を図6に、実施例1のリチウムイオン二次電池の60℃での充放電曲線を図7に、実施例2のリチウムイオン二次電池の25℃での充放電曲線を図8に、実施例2のリチウムイオン二次電池の60℃での充放電曲線を図9に、それぞれ示す。
本発明の正極活物質は好適に充放電に寄与できることが裏付けられた。特に、実施例1と実施例2における60℃での放電容量の値は著しく高いといえる。LiPF6の添加により、低容量な不純物(LiMnO2及びLi3NbO4)の生成を抑制できた点、並びに、P添加及びF添加に起因する結晶面間隔の増大の点が、放電容量の増大をもたらしたと考えられる。
また、表3の結果から、LiPF6の添加量が0→1→2質量%と増加するのに従い、各温度条件下の放電容量も増加したものの、LiPF6の添加量が2→3質量%と増加すると、放電容量が減少したことが判明した。LiPF6の添加量が多すぎると、不純物であるLi3PO4が過剰に生成して、これが抵抗因子となり、正極活物質の単位質量あたりの放電容量が低下すると考えられる。
以上の結果から、LiPF6の添加量の好適な範囲は0.5〜2.5質量%であり、より好適な範囲は1〜2.2質量%であり、さらに好適な範囲は1.5〜2.1質量%であると考えられる。
以上の結果から、LiPF6の添加量の好適な範囲は0.5〜2.5質量%であり、より好適な範囲は1〜2.2質量%であり、さらに好適な範囲は1.5〜2.1質量%であると考えられる。
(実施例4)
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLi3PO4を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例4の正極活物質、実施例4の混合物、実施例4の正極、実施例4のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例4の正極活物質の理論上の組成は、Li1.324Nb0.3Mn0.4P0.008O2.032である。
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLi3PO4を、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例4の正極活物質、実施例4の混合物、実施例4の正極、実施例4のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例4の正極活物質の理論上の組成は、Li1.324Nb0.3Mn0.4P0.008O2.032である。
(実施例5)
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLi3PO4及びLi1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLiFを、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例5の正極活物質、実施例5の混合物、実施例5の正極、実施例5のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例5の正極活物質の理論上の組成は、Li1.359Nb0.3Mn0.4P0.008F0.035O2.032である。
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLi3PO4及びLi1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLiFを、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと以外は、比較例1と同様の方法で、実施例5の正極活物質、実施例5の混合物、実施例5の正極、実施例5のリチウムイオン二次電池を製造した。実施例5の正極活物質の理論上の組成は、Li1.359Nb0.3Mn0.4P0.008F0.035O2.032である。
(比較例3)
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLiFを、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例3の正極活物質、比較例3の混合物、比較例3の正極、比較例3のリチウムイオン二次電池を製造した。比較例3の正極活物質の理論上の組成は、Li1.335Nb0.3Mn0.4F0.035O2である。
Li1.3Nb0.3Mn0.4O2に対して1質量%に相当する添加量のLiFを、Li2CO3、Nb2O5及びMn2O3と共にボールミルに投入したこと以外は、比較例1と同様の方法で、比較例3の正極活物質、比較例3の混合物、比較例3の正極、比較例3のリチウムイオン二次電池を製造した。比較例3の正極活物質の理論上の組成は、Li1.335Nb0.3Mn0.4F0.035O2である。
(評価例6)
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折装置にて、実施例4、実施例5及び比較例3の正極活物質の分析を行った。
すべての正極活物質のX線回折チャートにおいて、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示す回折パターンが観察された。
Cu−Kα線を用いた粉末X線回折装置にて、実施例4、実施例5及び比較例3の正極活物質の分析を行った。
すべての正極活物質のX線回折チャートにおいて、空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示す回折パターンが観察された。
(評価例7)
実施例4、実施例5及び比較例3のリチウムイオン二次電池に対して、評価例5と同様の方法で、放電量を測定した。結果を表4に示す。
実施例4、実施例5及び比較例3のリチウムイオン二次電池に対して、評価例5と同様の方法で、放電量を測定した。結果を表4に示す。
表4から、Li3PO4を添加した実施例4のリチウムイオン二次電池、及び、LiFを添加した比較例3のリチウムイオン二次電池と比較して、Li3PO4及びLiFの両者を添加した実施例5のリチウムイオン二次電池は、放電容量に優れることがわかる。
本発明の正極活物質においては、PとXを共添加したものが、特に好適であると考えられる。
本発明の正極活物質においては、PとXを共添加したものが、特に好適であると考えられる。
Claims (6)
- 空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示し、下記組成式(1)で表されることを特徴とする正極活物質。
Li1+xNbyFeaMnbPcXdOe (1)
(Xはハロゲン元素から選択される。0<x<1、0<y<0.5、0.25≦a+b<1、0≦a<1、0≦b<1、0<c≦0.05、0≦d≦0.2、1.8≦e≦2.2) - 0.8≦2y+a+b≦1.2を満足する請求項1に記載の正極活物質。
- 0<c≦0.025を満足する請求項1又は2に記載の正極活物質。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極活物質を具備するリチウムイオン二次電池用正極。
- 請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用正極を具備するリチウムイオン二次電池。
- リチウム源と、ニオブ源と、鉄源及び/若しくはマンガン源と、P源とを混合して混合物とする工程、
前記混合物を焼成する工程、を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極活物質の製造方法。
Priority Applications (1)
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