JP6803028B2 - リチウム金属複合酸化物粉末の製造方法及びリチウム金属複合酸化物粉末 - Google Patents

リチウム金属複合酸化物粉末の製造方法及びリチウム金属複合酸化物粉末 Download PDF

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Description

本発明は、リチウム元素、金属元素及び酸素元素を含むリチウム金属複合酸化物粉末、その製造方法、並びにリチウム金属複合酸化物粉末を用いたリチウムイオン二次電池及びその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に用いられる正極活物質として、各種のリチウム金属複合酸化物が知られている。これらリチウム金属複合酸化物は、一般に、溶融塩法や共沈法に代表される液相法で製造される(例えば、特許文献1参照)。
例えば特許文献1には、リチウム金属複合酸化物の1種であるLiFeを、溶融塩法を含む液相法によって製造する方法が開示されている。ここで開示される製造方法では、LiFeの前駆体として、先ず、FeOとNaとを反応させてNaFeを生成している。そしてその後、当該NaFeを溶融塩状のLiNOと混合し、NaFe中のNa元素をLiNOに由来するLiイオンでイオン交換することで、リチウム金属複合酸化物であるLiFeを得ている。
上記した特許文献1に紹介されているような液相法を用いる場合には、多段階の工程が必要とされる。その上、これらのリチウム金属複合酸化物或いはその中間体はバルク状或いは膜状で得られるのが一般的であるため、そのままでは正極活物質或いはその原料として用い難い。したがって、例えば平均粒子径がμm水準にあるリチウム金属複合酸化物粉末を得るためには、上記バルク状等のリチウム金属複合酸化物を粉砕する工程が必要となる。このため、液相法によるリチウム金属複合酸化物の製造方法および当該製造方法を含むリチウムイオン二次電池の製造方法は効率に優れると言い難く、製造効率に優れたリチウム金属複合酸化物の製造方法が望まれている。
特開2009−184844号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、リチウム金属複合酸化物粉末の製造効率の向上を図ることを目的とする。
本発明のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法は、
リチウム元素、Fe及び/又はCoである金属元素及び酸素元素を含むリチウム金属複合酸化物源を導入流にて、プラズマ内に導入する工程を有する、平均粒子径がナノ水準であるリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法である。
本発明の製造方法によると、一工程で粉末状のリチウム金属複合酸化物粉末を製造できるため、リチウム金属複合酸化物粉末の製造効率及び当該リチウム金属複合酸化物を用いるリチウムイオン二次電池の製造効率を向上させ得る。
プラズマ発生装置の模式図である。 実施例1〜3の粉末のX線回折チャートである。 実施例1〜3の粉末の成分の比率である。 実施例1、4、5の粉末のX線回折チャートである。 実施例1の粉末のTEM像である。 参考例1〜3の粉末のX線回折チャートである。 参考例2の粉末のTEM像である。 実施例6の粉末のX線回折チャートである。 実施例6の粉末のSEM像である。 実施例6の粉末のTEM像である。 参考例4及び5の粉末のX線回折チャートである。 実施例7のリチウムイオン二次電池の初回充放電曲線である。 比較例1のリチウムイオン二次電池の初回充放電曲線である。 実施例7のリチウムイオン二次電池のサイクル試験の結果を表すグラフである。 比較例1のリチウムイオン二次電池のサイクル試験の結果を表すグラフである。 実施例9〜実施例11の各リチウム金属複合酸化物粉末のX線回折チャートに、標準となるLiMnのX線回折チャート及びLiFeOのX線回折チャートを併記したものである。 実施例9〜実施例11のリチウム金属複合酸化物粉末のX線回折チャートのうち、LiFeOのメインピーク近傍である42.0〜45.0°の部分を重ね書きしたものである。 実施例2、実施例9〜実施例12のリチウム金属複合酸化物粉末の格子定数を表すグラフである。 実施例2−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例8−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例9−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例10−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例11−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例12−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 比較例1−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。 実施例2−1、実施例9−1、実施例10−1、実施例11−1、実施例12−1、実施例14−1、実施例15―1、及び実施例19−1の各リチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量を比較するグラフである。 実施例8−1及び実施例2−1のリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量を比較するグラフである。 実施例2−1、実施例9−1及び実施例11−1の各リチウムイオン二次電池につき、初回放電容量を100%とした1−10サイクルまでの放電容量維持率を表すグラフである。 実施例2−1及び実施例9−1〜実施例12−1のリチウムイオン二次電池の放電抵抗を表すグラフである。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらにこれらの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることもできる。
(リチウム金属複合酸化物粉末)
本発明のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法は、平均粒子径がナノ水準であるリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法である。本明細書において「平均粒子径がナノ水準である」とは、平均粒子径が1nm以上1000nm未満の範囲内であることを指すものとする。つまり本発明の製造方法で得られた本発明のリチウム金属複合酸化物粉末の平均粒子径は上記範囲内である。なお、本発明の製造方法により得られたリチウム金属複合酸化物粉末の平均粒子径がナノ水準であるか否かは、後述するように電子顕微鏡像によって確認できる。
本発明のリチウム金属複合酸化物粉末は多数の粒子からなり、各々の粒子は結晶子からなるものであっても良いし、幾つかの結晶子が複合化したものであっても良い。
以下、本発明の製造方法に沿って、本発明を説明する。
本発明のリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法は、後述するように、平均粒子径がナノ水準であるリチウム金属複合酸化物粉末を製造する方法であり、リチウム元素、金属元素及び酸素元素を含むリチウム金属複合酸化物源を導入流でプラズマ内に導入する工程を有する。
本発明の製造方法で製造されるリチウム金属複合酸化物粉末は、リチウム金属複合酸化物源に由来するリチウム元素、金属元素及び酸素元素を含む。リチウム金属複合酸化物源及びリチウム金属複合酸化物粉末は、金属元素としてFe及び/又はCoを含む。
リチウム金属複合酸化物粉末は、上記のリチウム金属複合酸化物源を原料として製造される粉末状のリチウム金属複合酸化物である。
リチウム金属複合酸化物は、上記したように、リチウム元素、金属元素及び酸素元素を含み、金属元素としてFe及び/又はCoを含む。以下、特に説明無く単に金属元素というときには、Fe及びCoを総称するものとする。なお、リチウム金属複合酸化物は、Fe及びCo以外の金属元素を含んでも良い。Fe及びCo以外の金属元素として、第2族元素、遷移金属、希土類、第13族元素、第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種を例示できる。好ましくは遷移金属、第2族元素又は希土類から選ばれる1種であり、特に好ましくはNi、Cr、Mn、Ti、Cu、Zn、Pt、Pdから選ばれる1種である。
具体的なリチウム金属複合酸化物としては、リチウム鉄複合酸化物であるLiFeO等のLiFe(0.9≦a≦1.2、0.9≦x≦1.2)が挙げられる。或いは、LiFe(2−x) (2.95≦a≦5、0≦x≦1.8、MはMn又はV)、LiFe0.5Mn1.5、LiFe、LiFex1Nix2Mnx3(0<a≦1.5、0<x1<1、0<x2<1、0<x3<1)等のリチウム鉄複合酸化物を挙げることもできる。LiFe(2−x) (2.95≦a≦5、0≦x≦1.8、MはMn又はV)の具体例としては、LiFe、LiFeMnO、及びLiFeVOが挙げられる。なお、当該LiFe(2−x) のリチウムをナトリウムで置換して得られたNaFe(2−x) をリチウム鉄複合酸化物の誘導体として挙げることもできる。
また具体的なリチウム金属複合酸化物としては、LiNix1Cox2Mnx3 x4(0.2≦a≦2、0<x2、0.8≦x1+x2+x3+x4≦1、0≦x4<1、1.7≦b≦2.2、MはW、Mo、Re、Pd、Ba、Cr、B、Sb、Sr、Pb、Ga、Al、Nb、Mg、Ta、Ti、La、Zr、Cu、Ca、Ir、Hf、Rh、Zr、Fe、Ge、Zn、Ru、Sc、Sn、In、Y、Bi、S、Si、Na、K、P、Vから選ばれる少なくとも1の元素)が挙げられる。さらに具体的には、当該リチウム金属複合酸化物として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3、LiNi0.5Co0.3Mn0.2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、及びLi1.2Ni0.17Co0.07Mn0.56が挙げられる。これらは層状岩塩構造のリチウム金属複合酸化物であるのが好ましい。
また具体的なリチウム金属複合酸化物として、スピネル型結晶構造のLiMnx1 x2(MはFe及び/又はCo、0.8≦a≦1.1、1≦x1≦2.2、0<x2≦1、1.8≦x1+x2≦2.2)を挙げることもできる。aは上記の範囲内であればよく、0.9≦a≦1.1の範囲内でもよい。x1は上記の範囲内であればよく、1≦x1≦2.1の範囲内でもよい。x2は上記の範囲内であればよく、0<x2≦0.6の範囲内でもよい。x1+x2は上記の範囲内であればよく、1.9≦x1+x2≦2.1の範囲内でもよい。具体的なLiMnx1 x2としては、LiCoMnO、LiFe0.5Mn1.5を例示できる。
具体的なリチウム金属複合酸化物として、空間群Fd−3mに帰属可能な結晶構造を示し、リチウム及び遷移金属を含有するリチウム金属複合酸化物を挙げることができる。なお、空間群の種類の表記における「Fd−3m」、「Fm−3m」等において、「−3」は上線を付した3を表したものである。
空間群Fd−3mに帰属可能な結晶構造を示し、リチウム及び遷移金属を含有するリチウム金属複合酸化物は、遷移金属としてMnを必須とし、必要に応じてFeを含有するのが好ましい。当該リチウム金属複合酸化物は、スピネル構造を示し得る。
当該リチウム金属複合酸化物におけるリチウム元素、マンガン元素、及び鉄元素の関係は、LiMnx1Fex2(0≦x2<x1、0.9a≦(x1+x2)≦1.1a)を満足するのが好ましく、0<x2<x1、つまり、0.5<x1/(x1+x2)<1を満足するのがより好ましい。更に、0.6<x1/(x1+x2)<1を満足するのがより好ましく、0.7<x1/(x1+x2)<1を満足するのが更に好ましく、0.75<x1/(x1+x2)<1を満足するのが特に好ましい。
当該リチウム金属複合酸化物として、LiMn相とLiFeO相とが混成したリチウム金属複合酸化物を例示できる。
また、当該リチウム金属複合酸化物として、下記の組成式(I)又は(I−I)で表されるリチウム金属複合酸化物を例示できる。
LiMnx1………(I)(1.8≦a≦2.2、0.9a≦x1≦1.1a)
LiMnx1………(I−I)(1<a≦2.2、0.9a≦x1≦1.1a)
組成式(I)、(I−I)で表されるリチウム金属複合酸化物として、LiMnを例示できる。
また具体的なリチウム金属複合酸化物として、LiCox1(0.95≦a≦1.10、0.9≦x1≦1、1.8≦b≦2.2)で表されるコバルト酸リチウムを挙げることができる。
また具体的なリチウム金属複合酸化物として、LiFePO、LiFe0.4Mn0.6PO、LiFe0.3Mn0.7PO、LiFe0.25Mn0.75PO、LiFe0.1Mn0.8Ni0.1PO、LiFe0.2Mn0.6Ni0.2PO、LiFe(1−x2)Cox2PO(0<a≦1.2、0<x2≦0.019)、LiFex2Mnx1Cox3PO(0.6≦x1<0.9、0.1≦x2≦0.2、0<x3≦0.2、x1+x2+x3=1)等のリチウム金属複合リン酸化合物を挙げることができる。
本発明のリチウム金属複合酸化物粉末は、リチウムイオン二次電池用の正極活物質として使用することができる。その場合、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末のみを正極活物質として使用しても良いし、その他の正極活物質と併用しても良い。また、2種以上の本発明のリチウム金属複合酸化物粉末を正極活物質として併用しても良い。
リチウム金属複合酸化物源は、リチウム元素及び金属元素を含み、酸素ガスとなり得る酸素元素を含みさえすれば良く、粉末状の本発明のリチウム金属複合酸化物の原料となり得る原料物質又は原料混合物であれば良い。つまり、リチウム金属複合酸化物源は、上記したリチウム金属複合酸化物と同じものであっても良いし、異なるものであっても良いし、単体であっても良いし、複数の単体の混合体であっても良い。更には、リチウム金属複合酸化物源は固体状、液体状、気体状の何れの性状であっても良いし、これらの混合物であっても良い。
後述するように、本発明のリチウム金属複合酸化物の製造方法は、リチウム金属複合酸化物源をプラズマ内に導入する工程を含む。このためリチウム金属複合酸化物源は、プラズマ内に導入し易い粉末状、液状及び/又はガス状であるのが好ましい。
以下、必要に応じて、リチウム金属複合酸化物源に含まれるリチウム元素を有するものをLi源と呼び、金属元素を有するものを金属源と呼び、酸素ガスとなり得る酸素元素を有するものをO源と呼ぶ。リチウム金属複合酸化物源の取り扱い性を考慮すると、少なくともLi源及び金属源は粉末状でリチウム金属複合酸化物源を構成するのが好ましい。
なお、金属源はリチウム元素を含んでも構わないが、リチウム元素以外の金属元素つまりFe及び/又はCoを含むものとする。
Li源は、リチウム単体つまり金属リチウムであっても良いし、リチウム元素に加えて金属元素及び/又は酸素元素を含む化合物であっても良い。つまりLi源は金属源及び/又はO源を兼ねても良い。
Li源としては、リチウム単体、又は、LiCO、LiOH、LiBr、Li、LiCl、LiF、LiH、LiI、LiN、LiN、LiO、Li、LiOに代表されるリチウム化合物を例示することができる。Li源は、これらの何れかを単独で用いても良いし、これらの複数を組み合わせて用いても良い。
金属源は、金属単体であっても良いし、上記のLi源とともに化合物を構成しても良いし、上記のO源とともに酸化物を構成しても良いし、その他の元素とともに化合物を構成しても良い。例えば金属源は、単体で使用しても良いし、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン酸塩等の金属化合物の状態で使用しても良い。
例えば金属源が鉄元素を含む場合、金属化合物の具体例として、FeO、Fe、α−Fe、β−Fe、γ−Fe、ε−Fe、Fe(OH)、Fe(OH)、FeCl、FeCl、Fe(CO)、α−FeOOH、β−FeOOH、γ−FeOOH、ε−FeOOH、δ−FeOOHを例示できる。
金属源がコバルト元素を含む場合、金属化合物の具体例として、CoO、Co、Co、CoCO、Co(OH)、Co(OH)、Co(NO、CoCl、CoCl、α−CoOOH、β−CoOOH、γ−CoOOHを例示できる。
リチウム金属複合酸化物源におけるLi源と各種金属源との割合は、Li源におけるリチウム元素と金属源における金属元素の合計とのモル比が、目的物つまりリチウム金属複合酸化物粉末におけるリチウム元素と金属元素とのモル比に近い値となるよう設定すれば良い。例えば目的物がリチウム鉄複合酸化物である場合には、リチウム金属複合酸化物源におけるリチウム元素と鉄元素とのモル比は1:1〜1:5程度であるのが好ましい。後述するように、リチウム元素と鉄元素とが等モルに近づけばLiFeOの収率が高くなり、1モルのリチウム元素に対する鉄元素のモル数が多くなればLiFeの収率が高くなると推測される。
なお、本発明の製造方法には含まれないが、リチウム金属複合酸化物の金属元素として、Fe及びCo以外の金属元素のみを選択することも可能である。例えば、第2族元素、遷移金属、希土類、第13族元素、第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種をリチウム金属複合酸化物の金属元素として採用できる。この種の金属元素として、より具体的には、Ni、Cr、Mn、Ti、Cu、Zn、Pt、Pdから選ばれる1種が挙げられる。
本発明の製造方法は、プラズマ発生装置を用いて実施される。プラズマは、アーク放電、多相アーク放電、高周波電磁誘導、マイクロ波加熱放電などで発生させればよい。
高周波電磁誘導式のプラズマ発生装置の場合、その周波数は、例えば0.5〜400MHzの範囲内、好ましくは1〜80MHzの範囲内とすればよい。プラズマ出力は、例えば3〜300kWの範囲内、好ましくは5〜100kWの範囲内とすればよい。プラズマ発生装置内の圧力は適宜設定すればよく、例えば10kPa〜大気圧の範囲内を例示できる。プラズマ出力やプラズマ発生装置内の圧力を変動させることで、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末の平均粒子径を変化させることができる。例えば、プラズマ出力を増加することで、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末の平均粒子径を小さくすることができる。以下、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末を本発明の粉末と略する場合がある。
導入流はプラズマへ向かう気体の流動によって発生する。導入流としては、プラズマの安定性を考慮して、プラズマ下で使用し得る気体を主流とするのが好ましい。導入流を構成する気体、つまり、導入ガスとしては、ヘリウム、アルゴンなどの希ガスが好ましい。導入ガスの流量としては、20〜120L/min.を例示できる。
プラズマ発生装置の種類によるが、本発明の製造方法においては、導入ガスとして、上記したLi源、金属源及びO源を運搬するキャリヤーガス、キャリヤーガスとは別にコイル内に導入されるインナーガス、及び、プラズマ発生部位を不活性雰囲気下にするためのプロセスガスを採用するのが好ましい。
キャリヤーガスの流量としては、1〜10L/min.を例示できる。インナーガスの流量としては、1〜10L/min.を例示できる。プロセスガスの流量としては、15〜100L/min.を例示できる。
導入ガスは酸素ガスを含んでも良い。導入ガスが酸素ガスを含む場合、当該酸素ガスをO源とみなすことができる。なお、本発明の製造方法におけるO源は気体状に限定されず、例えばLi源や金属源とともに酸化物を構成していても良い。この場合には、導入ガスは酸素ガスを含まなくても良い。
導入ガスが酸素ガスを含む場合、酸素ガスは、キャリヤーガス、インナーガス及び/又はプロセスガスの一部として、例えば、導入ガス全体の0.01〜50体積%で導入されればよい。好ましい酸素ガス濃度については実施例の欄で詳説するが、酸素ガス濃度は導入ガス全体の0.1〜20体積%であるのが好ましく、1.0〜10体積%であるのがより好ましく、2.0〜6.0体積%であるのがさらに好ましく、3.0〜5.0体積%であるのがなお好ましい。導入ガスの酸素ガス濃度、つまり、プラズマ内及びプラズマ付近の酸素ガス濃度を変動させることで、本発明の製造方法で得られる本発明の粉末の結晶子径を変化させることができる。酸素ガス濃度を増大させることで本発明の粉末の結晶子径は大きくなり、ひいては、本発明の粉末の粒子径が大きくなると考えられる。
プラズマ発生装置のガス配管の安定性、Li源、金属源およびO源のプラズマ内での反応均一性などを考慮すると、O源となる酸素ガスはプロセスガスの一部として導入されるのが、酸素ガスを最も好適に希釈できる点から好ましい。酸素ガスの導入量は、例えば0.5〜10L/min.を例示できる。
ここで、鉄元素を含む金属源を用いリチウム鉄複合酸化物を目的物とする場合の本発明の粉末の生成機構について考察する。プラズマ内の温度は、8000〜20000℃程度である。Li源と金属源はプラズマ内で気化又は分解状態となる。プラズマ内にLi源及び金属源とともにO源としての酸素ガスを導入することで、Li源はLiO等のリチウム酸化物に、金属源はFeO等の鉄酸化物に変換される。そして当該LiO及びFeOが凝縮して目的物であるリチウム鉄複合酸化物、より具体的にはLiFeOが生成すると考えられる。
ここで、反応系中の酸素濃度が低い場合、酸素と反応しない余剰のリチウムは単体Liとして核生成する。つまり、反応系中の酸素濃度が低い場合には、Li源からLiOと単体Liとが生じる。
ここで、FeOの沸点は3414℃、融点は1377℃である。LiOの沸点は2600℃、融点は1570℃である。単体Liの沸点は1330℃、融点は180.54℃である。したがって、FeOの核生成温度域とLiOの核生成温度域とはほぼ重なり合う高温域にあるが、単体Liの核生成温度域は、FeO及びLiOの核生成温度域を下回る低温域にある。したがって、酸素が充分に存在する場合にはリチウムがLiOとして核生成し、同様に核生成したFeOと凝縮して、目的物であるLiFeO粒子が頻度高く生じると考えられる。ここで生じたLiFeO粒子は、導入流の下流にさらに移動するために急速冷却される。このためLiFeO粒子の結晶成長が制御され、その結果、微細なLiFeO粒子が得られると推定される。
一方、雰囲気中の酸素が不足すると、リチウムはLiOとして核生成しないまま導入流の下流に移動し、プラズマから離れるために、降温して単体Liとして核生成する。また上記の高温域で核生成したFeOはLiOが供給されないまま同様に導入流の下流に移動してFeやFeといった安定な酸化鉄の結晶となる。このため、雰囲気中の酸素が不足する場合には、酸素が充分に存在する場合に比べて、目的物であるLiFeO粒子の生成量が少なくなり、代わりにFe等の不純物が多く生成すると考えられる。つまり、反応系中の酸素濃度が過小であれば、目的物であるLiFeOを収率高く得るのは困難であると考えられる。
このため、本発明の製造方法にはLiFeO等の目的物に応じて、当該目的物を製造するのに好適な酸素濃度を設定できると考えられる。当該酸素濃度は、導入流が含有する酸素ガスの濃度で表すことができる。実施例の項で詳説するが、導入流が約0.1体積%以上の酸素ガスを含有すれば、LiFeOを収率高く得ることができる。LiFeOをより収率高く得るためには、導入流が含有する酸素ガスは0.5体積%以上であるのが好ましく、1.0体積%以上であるのがより好ましく、1.5体積%を超えるのがより好ましく、2.5体積%以上であるのがさらに好ましく、3.0体積%以上であるのがなお好ましい。
さらに、導入流中の酸素ガス濃度が過大であれば、Fe等の不純物の生成量がやや増大し、目的物であるLiFeOの収率がやや低下する場合があると考えられる。このことを考慮すると、導入流が含有する酸素ガスは20体積%以下であるのが好ましく、10体積%以下であるのがより好ましく、7体積%以下であるのがさらに好ましく、5体積%以下であるのがなお好ましい。
導入流中の酸素ガス濃度は、上記のLiFeOの収率に加えて、LiFeO粒子の結晶子径にも影響を及ぼすと考えられる。具体的には、結晶子径の小さなLiFeO粒子を得るためには、導入流中の酸素ガス濃度が小さい方が好ましいと考えられる。結晶子径の小さなLiFeO粒子、例えばナノオーダーの結晶子を有するLiFeO粒子を得ることを考慮すると導入流中の酸素ガスは20体積%以下であるのが良い。結晶子径100nm以下のより微小なLiFeO粒子を得るためには、導入流中の酸素ガスは15体積%以下であるのが好ましく、10体積%以下であるのがより好ましく、7体積%以下であるのがさらに好ましい。
リチウム金属複合酸化物粉末の用途によっては、粒子径の小さなものが好ましい場合がある。例えば上述したように、リチウム金属複合酸化物粉末をリチウムイオン二次電池用の活物質として使用する場合等である。このような場合には、上記したリチウム金属複合酸化物粉末の収率を勘案して、導入流中の酸素ガスの濃度を設定すれば良い。例えばリチウム鉄複合酸化物であれば、酸素濃度0.1体積%以上20体積%以下の範囲においては、結晶子径が非常に小さくかつLiFeO粒子を高濃度で含むリチウム鉄複合酸化物粉末を製造できる。
本発明の製造方法で得られるリチウム金属複合酸化物粉末は、多数のリチウム金属複合酸化物粒子で構成される。本発明の粉末を構成するリチウム金属複合酸化物粒子(以下、本発明の粒子という。)は、高温状態から室温付近にまで、急激に冷却されるため、結晶成長する期間がほとんどない。そのため、本発明の粒子は、一般的な製造方法で得られるような、特定の軸が成長した針状結晶となることが妨げられている。その結果、本発明の粉末に含まれる本発明の粒子は、各軸の結晶成長速度にムラの無い形状となっている。そして、本発明の粒子の一態様として、多数の平面で構成される多面体形状のものが観察された。多面体の具体例として、三角形及び四角形の平面を含むもの、四角形及び六角形の平面を含むもの、又は、三角形、四角形及び六角形の平面を含むものを例示できる。さらに、多面体の具体例として、8つの三角形よりなる八面体から該八面体の頂点を頭頂点とする6つの四角錐を除去した切頂八面体等の切頂多面体構造を例示できる。
本発明の粉末を構成する本発明の粒子は、その結晶子径が0.1nm〜150nmの範囲内にあるのが好ましく、1nm〜100nmの範囲にあるのがより好ましく、50nm〜90nmの範囲にあるのがさらに好ましく、60〜80nmの範囲にあるのがなお好ましい。本発明の粒子の結晶子径は、X線回折法で得られた回折ピークの半値幅と回折角を基にシェラーの式を用いて算出できる。なお、当該回折ピークが複数である場合には、各々の回折ピークを基に複数の結晶子径を算出し、その算術平均値を本発明の粒子の結晶子径とみなしても良い。
本発明の粉末は、その平均粒子径が10nm〜400nmの範囲内であるのが好ましく、30nm〜150nmの範囲内がより好ましく、50nm〜100nmであるのがより好ましい。ここでの平均粒子径とは、本発明の粉末を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で観察した場合における、観察された粒子像の外接円の直径の算術平均値を意味する。例えば、六角形の粒子像が観察されたら、その外接円を作成し、該外接円の直径を測定する。そのようにして、例えば200個の粒子につき、各外接円の直径を測定して、その算術平均値を算出する。この値が平均粒子径である。
本発明の製造方法において、リチウム金属複合酸化物源を含むガス流の冷却速度が増加すれば、リチウム金属複合酸化物における結晶核の結晶成長が初期段階で中断されるため、より微細であり、かつ形状が均一なリチウム金属複合酸化物粒子が得られるといえる。
したがって、より微細な本発明の粒子を含む本発明の粉末を得るためには、本発明の製造方法に、導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を当該通過流に対向する冷却ガス流で冷却する工程を設けるのが良いと言える。
冷却ガス流のガスとしては、ヘリウム、アルゴンなどの希ガスや、酸素、空気が好ましく、これらを混合して用いてもよい。冷却ガス流の温度は室温でもよいし、室温以下でもよい。冷却ガスの流量としては、導入流よりも小さい流量であればよく、例えば1〜30L/min.の範囲内を例示できる。
なお、微細な本発明の粒子で構成される本発明の粉末が電池の正極活物質として使用された場合、例えば、電池の反応抵抗を低減できる、高速の充放電でも十分な容量を示すことができるなどの効果が期待される。
本発明のリチウム金属複合酸化物粉末は、上述したように電池用の正極活物質として使用可能である。以下、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末を具備する正極を本発明の正極と呼び、本発明の正極を具備するリチウムイオン二次電池を本発明のリチウムイオン二次電池と呼ぶ。
(リチウムイオン二次電池)
本発明のリチウムイオン二次電池における正極は、集電体と、集電体の表面に形成されている正極活物質層とを有する。
正極活物質としては、既述したとおり、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末を用いる。本発明のリチウムイオン二次電池における正極活物質層は、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末以外にも、他の公知の正極活物質、結着剤、導電助剤、その他の添加剤を含有し得る。
正極活物質層全体を100質量%としたときの正極活物質の量は、百分率で、50〜99質量%の範囲内が好ましく、60〜98質量%の範囲内がより好ましく、70〜97質量%の範囲内が特に好ましい。
結着剤は、正極活物質や導電助剤を集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸等のアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースを例示することができる。これらの結着剤を単独で又は複数で採用すれば良い。
結着剤の配合量は特に限定されないが、あえて正極活物質層における結着剤の配合量を挙げると、0.5〜10質量%の範囲内が好ましく、1〜7質量%の範囲内がより好ましく、2〜5質量%の範囲内が特に好ましい。結着剤の配合量が少なすぎると正極活物質層の成形性が低下するおそれがある。また、結着剤の配合量が多すぎると、正極活物質層における正極活物質の量が相対的に減少するため、好ましくない。
導電助剤は化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、及び各種金属粒子等が例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック等が例示される。これらの導電助剤を単独または二種以上組み合わせて正極活物質層に添加することができる。
導電助剤の形状は特に制限されないが、その役割からみて、導電助剤の平均粒子径は小さいほうが好ましい。導電助剤の好ましい平均粒子径として10μm以下が例示され、より好ましい平均粒子径として0.01〜1μmの範囲が例示される。
導電助剤の配合量は特に限定されないが、あえて正極活物質層における導電助剤の配合量を挙げると、0.5〜10質量%の範囲内がよく、1〜7質量%の範囲内が好ましく、2〜5質量%の範囲内が特に好ましい。
導電助剤及び結着剤以外の分散剤などの添加剤は、公知のものを採用することができる。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
正極を製造するためには、上記のリチウム金属複合酸化物粉末及び必要に応じてその他の材料を溶剤と混合し、得られた正極活物質層用組成物を上記の集電体に塗布すれば良い。
溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。溶剤の使用量は、正極活物質層用組成物がスラリー状になる程度の量であるのが好ましい。
正極活物質層用組成物を集電体に塗布するには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いればよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の一態様として、本発明の正極、負極、電解液及びセパレータを具備するものが挙げられる。
負極は、集電体と、集電体の表面に形成されている負極活物質層を有する。集電体については、正極で説明したものを適宜適切に採用すれば良い。負極活物質層は負極活物質、並びに必要に応じて導電助剤、結着剤、添加剤等を含む。
負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出可能な炭素系材料、リチウムと合金化可能な元素、リチウムと合金化可能な元素を有する化合物、あるいは高分子材料などを例示することができる。
炭素系材料としては、難黒鉛化性炭素、黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類が例示できる。ここで、有機高分子化合物焼成体とは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。
リチウムと合金化可能な元素としては、具体的にNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Biが例示でき、特に、Si又はSnが好ましい。
リチウムと合金化可能な元素を有する化合物としては、具体的にZnLiAl、AlSb、SiB、SiB、MgSi、MgSn、NiSi、TiSi、MoSi、CoSi、NiSi、CaSi、CrSi、CuSi、FeSi、MnSi、NbSi、TaSi、VSi、WSi、ZnSi、SiC、Si、SiO、SiO(0<v≦2)、SnO(0<w≦2)、SnSiO、LiSiOあるいはLiSnOを例示でき、特に、SiO(0.3≦x≦1.6、又は0.5≦x≦1.5)が好ましい。
中でも、負極活物質は、Siを有するSi系材料を含むものがよい。Si系材料は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な珪素又は/及び珪素化合物からなるとよく、例えば、SiOx(0.5≦x≦1.5)がよい。珪素は理論充放電容量が大きいものの、珪素は充放電時の体積変化が大きい。そこで、負極活物質を珪素を含むSiOxとすることで珪素の体積変化を緩和することができる。
また、Si系材料は、Si相と、SiO相とをもつことが好ましい。Si相は、珪素単体からなり、Liイオンを吸蔵・放出し得る相であり、Liイオンの吸蔵及び放出に伴って膨張及び収縮する。SiO相は、SiOからなり、Si相の膨張及び収縮を吸収する緩衝相となる。Si相がSiO相により被覆されるSi系材料が好ましい。さらには、微細化された複数のSi相がSiO相により被覆されて一体となって粒子を形成しているものがよい。この場合には、Si系材料全体の体積変化を効果的に抑えることができる。
Si系材料でのSi相に対するSiO相の質量比は、1〜3であることが好ましい。前記質量比が1未満の場合には、Si系材料の膨張及び収縮が大きくなり、Si系材料を含む負極活物質層にクラックが生じるおそれがある。一方、前記質量比が3を超える場合には、負極活物質のLiイオンの吸蔵及び放出量が少なくなり、電池の負極単位質量あたりの電気容量が低くなる。
また、リチウムと合金化反応可能な元素を有する化合物として、スズ合金(Cu−Sn合金、Co−Sn合金等)などの錫化合物を例示できる。
高分子材料としては、具体的にポリアセチレン、ポリピロールを例示できる。
負極活物質として、CaSiを塩酸やフッ化水素酸などの酸で処理して得られる層状ポリシランを、300〜1000℃で加熱して得られるSi材料を採用しても良い。さらに、上記Si材料を炭素源とともに加熱して、カーボンコートしたものを負極活物質として採用してもよい。
負極活物質としては、以上のものの一種以上を使用することができる。
負極に用いる導電助剤、結着剤、その他の添加剤については、正極で説明したものを同様の配合割合で適宜適切に採用すれば良い。
電解液は、非水溶媒と非水溶媒に溶解した電解質とを含んでいる。
非水溶媒としては、環状エステル類、鎖状エステル類、エーテル類等が使用できる。環状エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトンを例示できる。鎖状エステル類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル等を例示できる。エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタンを例示できる。非水溶媒としては、上記具体的な溶媒の化学構造のうち一部又は全部の水素がフッ素に置換した化合物を採用しても良い。
電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を例示できる。
電解液としては、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどの非水溶媒に、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSOなどのリチウム塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を例示できる。
セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
次に、本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
上記した正極および負極に必要に応じてセパレータを挟装させ電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極の積層体を捲いた捲回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体および負極の集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までを、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に電解液を加えてリチウムイオン二次電池とする。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電可能であれば良い。
本発明のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。なお、本発明の粉末には、不純物が含まれるものもある。
以下に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すプラズマ発生装置を用いて、実施例1の粉末を製造した。図1に示すプラズマ発生装置において黒塗り矢印は冷却水を表す。なお、実施例1では、リチウム金属複合酸化物源としてLi源、Fe源及びO源を用い、リチウム金属複合酸化物粉末としてのリチウム鉄複合酸化物粉末を製造した。
Li源としてLiCOを、金属源として単体Feを、O源として酸素ガスを準備した。LiCOとFeとをモル比1:2で混合して混合粉体とし、当該混合粉体を粉体供給器に配置した。なお、当該混合粉体におけるリチウムと鉄の元素モル比は1:1である。
プラズマ発生装置内に、プロセスガスとしてアルゴンと酸素を体積比59:1で混合した混合ガスを60L/min.で供給した。当該混合ガスにおける酸素ガスについては、1L/min.の流量であった。
その他、インナーガスとしてアルゴンを5L/min.で供給し、キャリヤーガスとしてアルゴンを3L/min.で供給した。電力供給装置から電力を供給し、周波数4MHzの磁場をコイルに印加して、出力20kWのプラズマを発生させた。なお、プラズマ発生装置内の圧力は大気圧とした。
このときの導入流の酸素ガス濃度は約1.5体積%であった。
プラズマの安定後、粉体供給器を作動させ、混合粉体を300mg/min.の供給量で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入した。プラズマ内を通過した後の通過流とともに放出された粉末を収集し、実施例1の粉末とした。
なお、実施例1においては冷却ガスを使用しなかったが、既述したアルゴン等の冷却ガスを用い、導入流がプラズマ内を通過した後の通過流を当該通過流に対向する冷却ガス流で冷却する工程を実施しても良い。この場合には、粉末の冷却速度が高まり、より微細な粒子からなる粉末が得られると考えられる。
(実施例2)
プロセスガスとしてアルゴンと酸素の体積比57.5:2.5の混合ガスを60L/min.で供給した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の粉末を製造した。なお、当該混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であった。また、このときの導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(実施例3)
プロセスガスとしてアルゴンと酸素の体積比55:5の混合ガスを60L/min.で供給した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の粉末を製造した。なお、当該混合ガスにおける酸素ガスについては5L/min.の流量であった。また、このときの導入流の酸素ガス濃度は約7.4体積%であった。
(評価試験1)
粉末X線回折装置にて、上記実施例1〜3の各リチウム鉄複合酸化物粉末のX線回折を測定した。結果を図2に示す。実施例1〜3のリチウム鉄複合酸化物粉末から得られたX線回折チャートにおいては、何れもLiFeOに特有の回折ピークが観察され、同時に、不純物であるFeに特有の回折ピークも観察された。図2に示されるように、各X線回折チャートの比較から、導入流中の酸素濃度が比較的高い場合(実施例3)及び比較的低い場合(実施例1)には不純物であるFeのピークが多く確認されることがわかる。
図2のX線回折チャートから算出された各リチウム鉄複合酸化物粉末に含まれる成分の比率を図3に示す。図3に示すように、実施例1〜実施例3の各リチウム鉄複合酸化物粉末においては、Li1.05Fe0.95がほぼ同程度の比率で確認されている。但し導入流中の酸素濃度が比較的高い場合(実施例3)及び比較的低い場合(実施例1)には、Li1.05Fe0.95に加えて、不純物であるFeが比較的多い量で確認される。このため、目的物であるLiFeOの比率は、実施例2において実施例1及び実施例3よりも高い。つまり、導入流中の酸素ガス濃度が3.7体積%である場合には、導入流中の酸素ガス濃度が1.5体積%である場合や7.4体積%である場合に比べて、目的物であるLiFeOを収率高く得ることができると言える。
但し、実施例1〜実施例3の何れの場合にも、80質量%近傍という比較的高い比率でLiFeOが生成しているため、リチウム鉄複合酸化物粉末を効率良く製造できると言える。さらに、この結果から、リチウム鉄複合酸化物粉末を効率良く製造するためには導入流中の酸素ガス濃度は1.0体積%以上8.0体積%以下であるのがより好ましく、1.5体積%を超え7.4体積%未満であるのがさらに好ましく、2.0体積%以上5.0体積%以下であるのがさらに好ましく、3.0体積%以上4.5体積%以下であるのが特に好ましいと言える。
評価試験1の結果を表1に示す。
(評価試験2)
CuKα線をX線源とするX線回折法を用い、回折角2θ=37.43度〜79.84度に検出される回折ピークの半値幅と回折角を基に、シェラーの式を用いてリチウム鉄複合酸化物粉末の結晶子径を算出した。結果を表2に示す。
表2には、実施例1〜実施例3の各々について、2θ=37.43度、43.49度、63.20度、75.82度及び79.84度の5点における結晶子径、及び、当該5点における結晶子径の算術平均値を示している。表2に示すように、導入流の酸素ガス濃度が増大すれば、リチウム鉄複合酸化物粉末の結晶子径もまた増大する。導入流の酸素ガス濃度と上記結晶子径の算術平均値とは相関関係がある。
リチウム鉄複合酸化物粉末の結晶子径とLiFeO粒子の収率とを考慮した導入流中の酸素ガス濃度の好ましい範囲は、上記したLiFeO粒子の収率を考慮した導入流中の酸素ガス濃度の好ましい範囲と同様である。つまり、この場合にも導入流中の酸素ガスは、1.0体積%以上8.0体積%以下であるのがより好ましく、1.5体積%を超え7.4体積%未満であるのがさらに好ましく、2.0体積%以上5.0体積%以下であるのがなお好ましく、3.0体積%以上4.5体積%以下であるのが特に好ましいと言える。
(実施例4)
LiCOとFeとのモル比を1:4とした混合粉体を用いたこと以外は実施例2と同様に、実施例4の粉末を製造した。実施例4においては、混合粉体におけるリチウムと鉄の元素モル比は1:2であり、混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(実施例5)
LiCOとFeとのモル比を1:10とした混合粉体を用いたこと以外は実施例2と同様に、実施例5の粉末を製造した。実施例5においては、混合粉体におけるリチウムと鉄の元素モル比は1:5であり、混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(評価試験3)
粉末X線回折装置にて、上記実施例4、5の各リチウム鉄複合酸化物粉末のX線回折を測定した。評価試験3の結果を、評価試験1における実施例1の結果と併せて図4に示す。実施例1、4及び5のリチウム鉄複合酸化物粉末から得られたX線回折チャートにおいては、何れもLiFeOに特有の回折ピークが観察されたが、1モルのリチウム元素に対する鉄元素のモル数の多い実施例4、5の粉末では、LiFeに特有の回折ピークおよびFeに特有の回折ピークも観察された。この結果から、リチウム元素と鉄元素とが等モルに近づけばLiFeOの収率が高くなり、1モルのリチウム元素に対する鉄元素のモル数が多くなればLiFeの収率が高くなることがわかる。
(評価試験4)
実施例1の粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。また、当該TEM像を基に、実施例1の粉末の平均粒子径を測定したところ、実施例1の粉末の平均粒子径は55nmであった。なお、当該平均粒子径は既述したように算術平均値による。実施例1の粉末のTEM像を図5に示す。
図5のTEM像から、本発明の粉末には、針状などではなく、多面体形状の粒子が存在することがわかる。図5のTEM像には、切頂六面体形状の粒子も観察された。LiFeOを主成分とするリチウム鉄複合酸化物につき、このような多面体形状の粒子は従来報告がなく、実施例1のリチウム鉄複合酸化物が新規な形状の化合物である可能性が示唆される。なお、導入流の酸素ガス濃度を種々に変更した実施例1〜実施例3の何れにおいてもLiFeOが生成していることから、導入流の酸素ガス濃度によらず図5に示す新規な形状のリチウム鉄複合酸化物を製造可能であると言える。
(参考例1)
参考例1の製造方法では、金属源としてMnOを用いてリチウム金属複合酸化物粉末としてのリチウムマンガン複合酸化物粉末を製造した。
具体的には、実施例1〜実施例5と同じプラズマ発生装置を用い、LiCOとMnOとをモル比1:4で混合して混合粉体とした。当該混合粉体におけるリチウムとマンガンの元素モル比は1:2である。
プラズマ発生装置内に、プロセスガスとしてアルゴンと酸素を体積比57.5:2.5で混合した混合ガスを60L/min.で供給した。当該混合ガスにおける酸素ガスについては、2.5L/min.の流量であった。
その他、インナーガスとしてアルゴンを5L/min.で供給し、キャリヤーガスとしてアルゴンを3L/min.で供給した。電力供給装置から電力を供給し、周波数4MHzの磁場をコイルに印加して、出力20kWのプラズマを発生させた。なお、プラズマ発生装置内の圧力は大気圧とした。
このときの導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
プラズマの安定後、粉体供給器を作動させ、混合粉体を400mg/min.の供給量で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入した。プラズマ内を通過した後の通過流とともに放出された粉末を収集し、参考例1の粉末とした。
(参考例2)
プロセスガスとしてアルゴンと酸素の体積比55:5の混合ガスを60L/min.で供給した以外は、参考例1と同様の方法で、参考例2の粉末を製造した。なお、このときの当該混合ガスにおける酸素ガスについては5L/min.の流量であった。また、導入流の酸素ガス濃度は約7.4体積%であった。
(参考例3)
プロセスガスとしてアルゴンと酸素の体積比52.5:7.5の混合ガスを60L/min.で供給した以外は、参考例1と同様の方法で、参考例3の粉末を製造した。なお、当該混合ガスにおける酸素ガスについては7.5L/min.の流量であった。また、このときの導入流の酸素ガス濃度は約11.0体積%であった。
(評価試験5)
粉末X線回折装置にて、上記参考例1〜参考例3のリチウムマンガン複合酸化物粉末のX線回折を測定した。結果を図6に示し、図6に示すX線回折チャートから算出された参考例2の粉末に含まれる成分の内訳を表3に示す。
参考例1〜参考例3のリチウムマンガン複合酸化物粉末から得られたX線回折チャートにおいては、何れもスピネル型結晶構造のLiMn及び(Li0.91Mn0.09)Mnに特有の回折ピークが観察され、かつ、不純物であるMnに該当する回折ピークも観察された。
ここで、各X線回折チャートの比較から、導入流中の酸素ガス濃度が増加するのに伴い、Mnが減少することが確認できた。つまり、LiMnや(Li0.91Mn0.09)Mnの収率を高めるためには導入流中の酸素ガス濃度がやや少ない方が好ましいといえる。
(評価試験6)
参考例2の粉末を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。また、当該TEM像を基に、参考例2の粉末の粒子200個につき、各粒子像の外接円の直径を測定し、その算術平均値である平均粒子径を算出した。その結果、参考例2の粉末の平均粒子径は117nmであった。参考例2の粉末のTEM像を図7に示す。
図7のTEM像から、マンガンを金属源に用いた場合にも、本発明の粉末には多面体形状の粒子が存在することがわかる。図7のTEM像には、切頂八面体形状の粒子が観察された。
(実施例6)
実施例6の製造方法では、金属源として単体Coを用い、リチウム金属複合酸化物粉末としてのリチウムコバルト複合酸化物粉末を製造した。
具体的には、実施例1〜実施例5及び参考例1〜参考例3と同じプラズマ発生装置を用い、LiCOとCoとをモル比1:2で混合して混合粉体とした。当該混合粉体におけるリチウムとコバルトの元素モル比は1:1である。
プラズマ発生装置内に、プロセスガスとしてアルゴンと酸素を体積比57.5:2.5で混合した混合ガスを60L/min.で供給した。当該混合ガスにおける酸素ガスについては、2.5L/min.の流量であった。
その他、インナーガスとしてアルゴンを5L/min.で供給し、キャリヤーガスとしてアルゴンを3L/min.で供給した。電力供給装置から電力を供給し、周波数4MHzの磁場をコイルに印加して、出力20kWのプラズマを発生させた。なお、プラズマ発生装置内の圧力は大気圧とした。
このときの導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
プラズマの安定後、粉体供給器を作動させ、混合粉体を300mg/min.の供給量で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入した。プラズマ内を通過した後の通過流とともに放出された粉末を収集し、実施例6の粉末とした。
(評価試験7)
粉末X線回折装置にて、上記実施例6のリチウムコバルト複合酸化物粉末のX線回折を測定した。結果を図8に示す。
図8に示すように、実施例6のリチウムコバルト複合酸化物粉末から得られたX線回折チャートにおいては、空間群R−3mに属する六方晶の層状LiCoO、空間群Fd−3mに属する立方晶のLi1.01Co0.99、及び、空間群P63mcに属する六方晶のLi1.03Co0.941.88に特有な位置に回折ピークが観察された。
(評価試験8)
実施例6の粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。実施例6の粉末のSEM像を図9に示し、実施例6の粉末のTEM像を図10に示す。図9及び図10において立方体形状の結晶が多く確認されることから、実施例6の粉末は空間群Fd−3mに属する立方晶のLi1.01Co0.99を多く含有する
ことが示唆される。
TEM像を基に、実施例6の粉末の粒子300個について上記と同様に平均粒子径を測定した。その結果、実施例6の粉末の平均粒子径は64nmであった。
(参考例4)
参考例4の製造方法では、金属源として単体Niを用い、リチウム金属複合酸化物粉末としてのリチウムニッケル複合酸化物粉末を製造した。
具体的には、実施例1〜実施例6及び参考例1〜参考例3と同じプラズマ発生装置を用い、LiCOとNiとをモル比1:4で混合して混合粉体とした。当該混合粉体におけるリチウムとニッケルとの元素モル比は1:2である。
プラズマ発生装置内に、プロセスガスとしてアルゴンと酸素を体積比55:5で混合し
た混合ガスを60L/min.で供給した。当該混合ガスにおける酸素ガスについては、
5L/min.の流量であった。
その他、インナーガスとしてアルゴンを5L/min.で供給し、キャリヤーガスとし
てアルゴンを3L/min.で供給した。電力供給装置から電力を供給し、周波数4MH
zの磁場をコイルに印加して、出力20kWのプラズマを発生させた。なお、プラズマ発
生装置内の圧力は大気圧とした。
このときの導入流の酸素ガス濃度は約7.4体積%であった。
プラズマの安定後、粉体供給器を作動させ、混合粉体を400mg/min.の供給量で、キャリヤーガスとともに、プラズマ内へ導入した。プラズマ内を通過した後の通過流とともに放出された粉末を収集し、参考例4の粉末とした。
(参考例5)
LiCOとNiとのモル比を1:2とした混合粉体を用いたこと以外は参考例4と同様に、参考例5の粉末を製造した。参考例5においては、混合粉体におけるリチウムとニッケルとの元素モル比は1:1であり、混合ガスにおける酸素ガスについては5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約7.4体積%であった。
(評価試験9)
粉末X線回折装置にて、上記参考例4及び参考例5のリチウムニッケル複合酸化物粉末のX線回折を測定した。結果を図11に示す。
図11に示すように、参考例4及び参考例5のリチウムニッケル複合酸化物粉末から得られたX線回折チャートにおいては、何れも、Li0.4Ni1.6に特有な位置に回折ピークが観察された。また、層状岩塩構造のLiNiOに特有な位置にも僅かな回折ピークが観察された。
(実施例7)
以下のとおり、実施例7の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。
正極活物質として実施例1のリチウム金属複合酸化物粉末90質量部、導電助剤としてアセチレンブラック5質量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量部を混合した。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリー状の正極活物質層用組成物を作製した。
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を準備した。上記アルミニウム箔の表面に正極活物質層用組成物をのせ、ドクターブレードを用いて正極活物質層用組成物が膜状になるように塗布した。正極活物質層用組成物を塗布したアルミニウム箔を80℃で20分間乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを揮発により除去し、アルミニウム箔表面に正極活物質層を形成させた。表面に正極活物質層が形成されたアルミニウム箔を、ロ−ルプレス機を用いて圧縮し、アルミニウム箔と正極活物質層とを強固に密着接合させた。接合物を120℃で6時間、真空乾燥機で加熱し、所定の形状に切断して、実施例7の正極とした。
上記の手順で作製した実施例7の正極を作用極として用い、リチウムイオン二次電池(ハーフセル)を作製した。対極は金属リチウム箔とした。
作用極及び対極、並びに両極の間に介装させるセパレータ(ヘキストセラニーズ社製ガラスフィルター及びCelgard社製「Celgard2400」)を配設して電極体とした。この電極体を電池ケース(CR2032型コイン電池用部材、宝泉株式会社製)に収容した。電池ケースに、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で混合した混合溶媒にLiPFを1Mの濃度で溶解した非水電解液を注入し、電池ケースを密閉して、実施例7のリチウムイオン二次電池を得た。
(比較例1)
正極活物質として、市販の層状岩塩型結晶構造のLiFeO粉末(株式会社 豊島製作所製、平均粒子径6μm(レーザー回折式粒度分布測定におけるD50の値))を用いた以外は、実施例7と同様の方法で、比較例1の正極及びリチウムイオン二次電池を得た。このLiFeO粉末は、固相法により製造されたものであり、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末とは製造方法及び形状が異なる。
(評価試験10)
各リチウムイオン二次電池につき、以下の試験を行い、放電抵抗及び充電抵抗を測定した。結果を表4に示す。
(放電抵抗)
充電率が20%の電池に対し、2.5Cレートで10秒間の放電を行った。放電抵抗(mΩ)は以下の式で求めた。
放電抵抗(mΩ)=|放電前の電圧−放電後の電圧|/電流値
(充電抵抗)
充電率が80%の電池に対し、2.5Cレートで10秒間の充電を行った。充電抵抗(mΩ)は以下の式で求めた。
充電抵抗(mΩ)=|充電前の電圧−充電後の電圧|/電流値
充電抵抗、放電抵抗ともに、実施例7のリチウムイオン二次電池の抵抗は比較例1のリチウムイオン二次電池の抵抗よりも低いことが確認できた。つまり本発明のリチウム金属複合酸化物粉末を具備する正極及びリチウムイオン二次電池は、従来のLiFeO粉末を具備する正極及びリチウムイオン二次電池よりも、低抵抗を示すことが裏付けられた。
(評価試験11)
各リチウムイオン二次電池に対し、室温で、4.5Vまで充電しその後2.0Vまで放電する初回充放電を行った。初回充放電時の充放電曲線を図12及び図13に示す。図12及び図14は実施例7のリチウムイオン二次電池の充放電曲線であり、図13及び図15は比較例1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線である。
図12及び図13に示すように、実施例7のリチウムイオン二次電池の充放電容量は比較例1のリチウムイオン二次電池の充放電容量に比べて遙かに大きかった。また、図12及び図13に示すように、比較例1のリチウムイオン二次電池では確認されない放電時のプラトー領域が、実施例7のリチウムイオン二次電池では確認された。
以上の結果から、実施例7のリチウムイオン二次電池が充放電していることが確認された。
(評価試験12)
実施例7のリチウムイオン二次電池及び比較例1のリチウムイオン二次電池につき、上記の初回充放電後に、2.0Vから4.5Vまでの充電及び4.5Vから2.0Vまでの放電を9回繰り返す充放電サイクル試験を行った。実施例7のリチウムイオン二次電池のサイクル試験の結果を図14に示し、比較例1のリチウムイオン二次電池のサイクル試験の結果を図15に示す。図14及び図15に示すように、実施例7のリチウムイオン二次電池は比較例1のリチウムイオン二次電池に比べて容量が大きく、繰り返し充放電可能であることが分かる。
(実施例8)
LiCOとFeとのモル比を3:4とした混合粉体を用いたこと以外は実施例2と同様に、実施例8の粉末を製造した。実施例8においては、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1.5:0:1であり、混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(実施例9)
金属源としてFe源及びMn源を用い、リチウム金属複合酸化物粉末としてのリチウムマンガン鉄複合酸化物粉末を製造したこと以外は実施例2と同様に、実施例9の粉末を製造した。Li源としてはLiCOを用い、Mn源としてはMnOを用い、Fe源としては単体Feを用いた。LiCOとMnOと単体Feとをモル比2:3:1で混合して混合粉体とし、当該混合粉体を粉体供給器に配置した。実施例9においては、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:0.75:0.25であり、混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(実施例10)
LiCOとMnOとFeとのモル比を1:1:1とした混合粉体を用いたこと以外は実施例9と同様に、実施例10の粉末を製造した。実施例10においては、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:0.5:0.5であり、混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(実施例11)
LiCOとMnOとFeとのモル比を2:1:3とした混合粉体を用いたこと以外は実施例9と同様に、実施例11の粉末を製造した。実施例11においては、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:0.25:0.75であり、混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(実施例12)
金属源としてMn源を用い、LiCOとMnOとのモル比を1:2とした混合粉体を用いて、リチウム金属複合酸化物粉末としてのリチウムマンガン複合酸化物粉末を製造したこと以外は実施例2と同様に、実施例12の粉末を製造した。実施例12においては、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:1:0であり、混合ガスにおける酸素ガスについては2.5L/min.の流量であり、導入流の酸素ガス濃度は約3.7体積%であった。
(実施例13)
プロセスガスとして酸素ガスを含まないアルゴンガスを用いたこと、つまり、酸素ガスを含まない導入流を用いて製造したこと以外は、実施例2と同様に、実施例13の粉末を製造した。実施例13において、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:0:1であった。
(実施例14)
プロセスガスとして酸素ガスを含まないアルゴンガスを用いたこと以外は、実施例11と同様に、実施例14の粉末を製造した。実施例14において、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:0.25:0.75であった。
(実施例15)
プロセスガスとして酸素ガスを含まないアルゴンガスを用いたこと以外は、実施例10と同様に、実施例15の粉末を製造した。実施例15において、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:0.5:0.5であった。
(実施例16)
プロセスガスとして酸素ガスを含まないアルゴンガスを用いたこと以外は、実施例9と同様に、実施例16の粉末を製造した。実施例16において、混合粉体におけるリチウムとマンガンと鉄との元素モル比は1:0.75:0.25であった。
(評価試験13)
実施例2、実施例8〜実施例16の粉末の平均粒子径を評価試験6と同様に測定した。結果を表5に示す。なお、比較例1の粉末については平均粒子径としてD50を記載した。
Mn/(Mn+Fe)とは、混合粉体におけるマンガン元素のモル数を、当該混合粉体におけるマンガン元素のモル数と鉄元素のモル数との和で除した値である。
Li/(Mn+Fe)とは、混合粉体におけるリチウム元素のモル数を、当該混合粉体におけるマンガン元素のモル数と鉄元素のモル数との和で除した値である。
表5に示すように、市販品である比較例1の粉末の平均粒子径がマイクロ水準であったのに対し、本発明の製造方法で製造された実施例2、実施例8〜実施例13、実施例15及び実施例16の粉末の平均粒子径は何れもナノ水準であった。
(評価試験14)
粉末X線回折装置にて、実施例2、実施例9〜実施例12のリチウム金属複合酸化物粉末のX線回折を測定した。このうち実施例9〜実施例11のリチウム金属複合酸化物粉末のX線回折の結果を図16、図17に示す。なお、図16は、実施例9〜実施例11の各リチウム金属複合酸化物粉末のX線回折チャートに、標準となるLiMnのX線回折チャート及びLiFeOのX線回折チャートを併記したものである。また、図17は、実施例9〜実施例11のリチウム金属複合酸化物粉末のX線回折チャートのうち、LiFeOのメインピーク近傍である42.0〜45.0°の部分を重ね書きしたものである。
図16に示すように、実施例9〜実施例11のリチウム金属複合酸化物粉末から得られた各X線回折チャートにおいては、何れも、LiMnに特有な位置およびLiFeOに特有な位置に回折ピークが観察された。LiMnは空間群Fd−3mに帰属可能な立方晶のスピネル型結晶構造を示し、LiFeOは空間群Fm−3mに帰属可能な立方晶岩塩構造を示す。
図16に示すように、実施例9〜実施例11のリチウム金属複合酸化物においては、LiMn相とLiFeO相とが混成していると考えられる。なお、図16及び図17に示すように、Mn/(Mn+Fe)が大きい程、つまり、リチウム金属複合酸化物におけるMnの割合が高い程、X線回折チャートに現れる回折ピークは、LiMnの回折ピークに近い分布を示す。一方、Mn/(Mn+Fe)が小さい程、つまり、リチウム金属複合酸化物におけるMnの割合が低い程、X線回折チャートに現れる回折ピークは、LiFeOの回折ピークに近い分布を示す。図17に示すように、実施例9〜実施例11の各リチウム金属複合酸化物の42.0〜45.0°の範囲における回折ピークは、Mn:Fe=0.25:0.75(つまりMn<Fe)である実施例11ではLiFeOのメインピークに近い位置にある。しかし、Mn:Fe=0.5:0.5(つまりMn=Fe)である実施例10では当該回折ピークはやや右側にシフトし、Mn:Fe=0.75:0.25(つまりMn>Fe)である実施例9では当該ピークは更に右側にシフトする。
この結果から、Mn/(Mn+Fe)が大きい程、リチウム金属複合酸化物には空間群Fd−3mに帰属可能な立方晶のスピネル型結晶構造が多く含まれ、Mn/(Mn+Fe)が小さい程、リチウム金属複合酸化物には空間群Fm−3mに帰属可能な立方晶の岩塩構造が多く含まれると推測される。
なお、実施例9〜実施例11のリチウム金属複合酸化物粉末をSEM観察したところ、何れの粉末にも多面体形状の粒子構造が確認された。
(評価試験15)
評価試験14で得たX線回折チャートを基に、実施例2、実施例8〜実施例13、実施例15及び実施例16のリチウム金属複合酸化物粉末の格子定数を算出した。結果を上記の表5及び図18に示す。
図18に示すように、Mn/(Mn+Fe)が0である実施例2のリチウム金属複合酸化物の格子定数は4程度であり、Mn/(Mn+Fe)が0.25〜1の範囲である実施例9〜実施例12のリチウム金属複合酸化物の格子定数は8程度であった。
評価試験15の結果からも、Mn/(Mn+Fe)が大きいリチウム金属複合酸化物には空間群Fd−3mに帰属可能な立方晶のスピネル型結晶構造が多く含まれ、Mn/(Mn+Fe)が小さいリチウム金属複合酸化物には空間群Fm−3mに帰属可能な立方晶の岩塩構造が多く含まれることが裏付けられる。
(実施例2−1)
以下のとおり、実施例2−1の正極及びリチウムイオン二次電池を製造した。
正極活物質として実施例2のリチウム金属複合酸化物粉末5質量部、導電助剤としてアセチレンブラック4質量部、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン1質量部をメノウ乳鉢で混合し、粘土状に加工して正極活物質層用組成物を得た。集電体としてメッシュ状のアルミニウムを準備し、これに正極活物質用組成物を圧着することで、実施例2−1の正極を得た。作業は全てアルゴンガス置換された水分濃度1ppm以下のグローブボックス内で行った。
リチウム箔を準備し、これを負極とした。セパレータとしてガラスフィルター(ヘキストセラニーズ社)及び単層ポリプロピレンであるcelgard2400(ポリポア株式会社)を準備した。また、エチレンカーボネート3体積部及びジエチルカーボネート7体積部を混合した溶媒にLiPFを1mol/Lで溶解した電解液を準備した。負極、ガラスフィルター、celgard2400、実施例2−1の正極の順に重ねて、電極体とした。この電極体をコイン型電池ケースCR2032(宝泉株式会社)に収容し、更に電解液を注入して、密閉型のコイン型電池を得た。これを実施例2−1のリチウムイオン二次電池とした。
(実施例8−1〜実施例16−1、比較例1−1)
正極活物質として、実施例8〜実施例16、又は比較例1のリチウム金属複合酸化物粉末を用いたこと以外は、実施例2−1と同様に、実施例8−1〜実施例16−1及び比較例1−1の正極並びにリチウムイオン二次電池を各々製造した。
(評価試験16)
実施例2−1、実施例8−1〜実施例16−1、比較例1−1のリチウムイオン二次電池につき、電圧4.8V−1.5V、0.03mA/gのCC放電と充電とを複数サイクル行った。
実施例2−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線を図19に示し、実施例8−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線を図20に示し、実施例9−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線を図21に示し、実施例10−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線を図22に示し、実施例11−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線を図23に示し、実施例12−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線を図24に示し、比較例1−1のリチウムイオン二次電池の充放電曲線を図25に示す。また、実施例2−1、実施例9−1、実施例10−1、実施例11−1、実施例12−1、実施例14−1、実施例15―1、及び実施例16−1の各リチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量を比較するグラフを図26に示す。実施例8−1及び実施例2−1のリチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量を比較するグラフを図27に示す。実施例2−1、実施例9−1及び実施例11−1の各リチウムイオン二次電池につき、初回放電容量を100%とした1−10サイクルまでの放電容量維持率を図28に示す。また、各リチウムイオン二次電池の1サイクル目の放電容量を表6に示す。
Mn/(Mn+Fe)とは、混合粉体におけるマンガン元素のモル数を、当該混合粉体におけるマンガン元素のモル数と鉄元素のモル数との和で除した値である。
Li/(Mn+Fe)とは、混合粉体におけるリチウム元素のモル数を、当該混合粉体におけるマンガン元素のモル数と鉄元素のモル数との和で除した値である。
表6及び図19〜図25に示すように、実施例2−1及び実施例8−1〜12−1のリチウムイオン二次電池の放電容量は、比較例1−1のリチウムイオン二次電池の放電容量に比べて遙かに大きかった。
この結果から、本発明の製造方法で得られた実施例2及び実施例8〜実施例12のリチウム金属複合酸化物粉末は、従来の製造方法で得られた比較例1のリチウム金属複合酸化物粉末に比べて、リチウムイオン二次電池の正極活物質として優れているといえる。
ところで、既述したように、実施例9〜実施例11のリチウム金属複合酸化物は、空間群Fd−3mに帰属可能なLiMn相と、空間群Fm−3mに帰属可能なLiFeO相とが混成したものと考えられる。
実施例12のリチウム金属複合酸化物は実施例9〜実施例11の製造方法と同様の方法で製造されたものであることから、当然、空間群Fd−3mに帰属可能なLiMn相で構成されるものと予想された。
しかし乍ら本発明者は、この予想に反して、実施例12のリチウム金属複合酸化物が空間群Fd−3m及び空間群R−3mに帰属可能な結晶構造を示すこと、及び、当該リチウム金属複合酸化物においてリチウム元素及びマンガン元素の関係がLiMnを満足することを見出した。実施例12のリチウム金属複合酸化物の組成式は、LiMnであると推定される。
このような実施例12のリチウム金属複合酸化物を用いた実施例12−1のリチウムイオン二次電池は、図26に示すように、空間群Fd−3mに帰属可能なLiMn相と、空間群Fm−3mに帰属可能なLiFeO相とが混成する実施例9のリチウム金属複合酸化物を用いた実施例9−1のリチウムイオン二次電池と同程度に、放電容量に優れる。
この結果から、本発明の製造方法によると、空間群Fd−3m及び空間群R−3mに帰属可能でありリチウム元素及びマンガン元素の関係がLiMnを満足するリチウム金属複合酸化物を製造し得ることがわかり、また、当該リチウム金属複合酸化物粉末によるとリチウムイオン二次電池に優れた放電容量を付与し得ることがわかる。なお、当該リチウム金属複合酸化物粉末は、空間群Fd−3mに帰属可能なスピネル構造、及び、空間群R−3mに帰属可能な三方晶構造を有する、ともいい得る。
さらに本発明者は、実施例12と同じ組成の混合粉体を用い、酸素を含有せずアルゴンガスのみからなる導入流を用いたこと以外は実施例12と同様に、リチウム金属複合酸化物粉末を製造した。そして、当該リチウム金属複合酸化物粉末が、空間群Fd−3m及び空間群R−3mの中間結晶構造である、空間群Pmnmに帰属可能な斜方晶系の岩塩構造となることを見出した。
つまり、本発明のリチウム金属複合酸化物粉末の一態様は、ナノ水準の粒子径を有する粉末であり、組成式LiMnで表されるか、又は、空間群Pmnmに帰属可能な斜方晶系の岩塩構造を有するとも言える。
当該空間群Pmnmに帰属可能なリチウム金属複合酸化物は、リチウム層を有する。リチウムイオンはリチウム層中を移動することができるため、当該空間群Pmnmに帰属可能なリチウム金属複合酸化物はリチウムイオン伝導性に優れるといい得る。つまり、当該空間群Pmnmに帰属可能なリチウム金属複合酸化物は、上記した空間群Fd−3m及び空間群R−3mに帰属可能なリチウム金属複合酸化物に比べて、リチウムイオン二次電池の放電電位及び放電容量を高めることが可能であり、リチウムイオン二次電池の正極活物質として有利だと考えられる。
図26に示すように、リチウム金属複合酸化物において鉄に対するマンガンのモル比が多い程、当該リチウム金属複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池の放電容量も大きくなる。したがって、放電容量を考慮すると、本発明の粉末としては鉄に対するマンガンのモル比が多いものが好ましく、粉体の原料たる混合粉体として、Mn/(Mn+Fe)の値の大きなものが好ましいといえる。
なお、本発明の製造方法は、混合粉体を導入流にてプラズマ内に導入する、という非常にシンプルな方法であり、このような製造方法で得られた本発明の粉末において、各元素の組成比は、混合粉体における各元素の組成比と近似すると推定される。本発明者が各実施例の粉末を分析した結果においても、各実施例の粉末における各元素の組成比は、混合粉体の組成比と近似していた。
したがって、本発明の粉末としては、Mn/(Mn+Fe)の値の大きなものが好ましいといえる。具体的には、Mn/(Mn+Fe)が0.25以上であるのが好ましく、0.5以上であるのがより好ましく、0.6以上であるのが更に好ましく、0.7以上であるのがなお好ましく、0.75以上であるのが特に好ましい。なお、いうまでもないが、Mn/(Mn+Fe)の上限値は1である。
図26に示すように、実施例9−1〜実施例11−1のリチウムイオン二次電池は、実施例14−1〜実施例16−1のリチウムイオン二次電池に比べて放電容量に優れる。実施例9−1〜実施例11−1のリチウムイオン二次電池は、酸素ガスを含有する導入流を用いて製造したリチウム金属複合酸化物粉末を用いた点において、実施例14−1〜実施例16−1のリチウムイオン二次電池と相違する。この結果から、本発明の製造方法において酸素ガスを含有する導入流を用いることの優位性が裏付けられる。
なお、本発明者の試験によると、酸素ガスを含有しない導入流を用いて製造した実施例14〜実施例16のリチウム金属複合酸化物粉末は、MnやFe等を含むことが明らかになっている。これらの化合物は、リチウムイオン二次電池の正極活物質としての機能に劣る不純物ということができる。本発明の製造方法において、遷移金属としてマンガン及び/又は鉄を選択する場合に、この種の不純物の生成を抑制してリチウムイオン二次電池に優れた放電容量を付与し得るリチウム金属複合酸化物粉末を製造するためには、酸素を含有する導入流を用いるのが好ましいことがわかる。
本発明者は、リチウムイオン二次電池の放電容量を更に向上させることを志向し、混合粉体におけるリチウム元素比を高めてリチウム金属複合酸化物粉末を製造することを試みた。具体的には、Li/(Mn+Fe)が1.5である混合粉体を原料として実施例8の粉末を製造した。そして、当該実施例8の粉末を用いた実施例8−1のリチウムイオン二次電池を製造し、当該実施例8−1のリチウムイオン二次電池の放電容量と、実施例2−1のリチウムイオン二次電池の放電容量とを比較した。なお、実施例2−1のリチウムイオン二次電池に用いた実施例2の粉末は、Li/(Mn+Fe)が1.0であること以外は実施例8と同様に製造したものである。
図27に示すように、混合粉体のLi/(Mn+Fe)が1.5である実施例8−1のリチウムイオン二次電池は、混合粉体のLi/(Mn+Fe)が1.0である実施例2−1のリチウムイオン二次電池に比べて、放電容量が大きい。この結果から、混合粉体におけるリチウム元素比を高めることで、リチウムイオン二次電池の放電容量を向上させ得ること、混合粉体のLi/(Mn+Fe)は1以上であるのが好ましく、1を超えるのがより好ましいことがわかる。また、混合粉体のLi/(Mn+Fe)の更に好ましい範囲として、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上を挙げることができる。混合粉体のLi/(Mn+Fe)につき、上限値は特に限定しないが、5以下、3以下、2以下を例示できる。
既述した、本発明の粉末における各元素の組成比が混合粉体における各元素の組成比と近似するとの推定に基づくと、本発明の粉末としては、Li/(Mn+Fe)の値の大きなものが好ましく、Li/(Mn+Fe)が1以上であるのが好ましく、1を超えるのがより好ましいといえる。更には、本発明の粉体におけるLi/(Mn+Fe)の更に好ましい範囲として、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上を挙げることができ、その上限値は特に限定しないが、5以下、3以下、2以下を例示できる。
実施例2−1、実施例9−1及び実施例11−1の各リチウムイオン二次電池につき、初回放電容量を100%として1−10サイクルまでの放電容量維持率を算出した。図28に示すように、マンガンを含有するリチウム金属複合酸化物粉末を具備する実施例9−1及び実施例11−1の各リチウムイオン二次電池は、マンガンを含有しないリチウム金属複合酸化物粉末を具備する実施例2−1のリチウムイオン二次電池に比べて、容量維持率に優れる。また、Mn/(Mn+Fe)が0.25である実施例11の粉末を具備する実施例11−1のリチウムイオン二次電池に比べて、Mn/(Mn+Fe)が0.75である実施例9の粉末を具備する実施例9−1のリチウムイオン二次電池の容量維持率は、遙かに大きかった。この結果から、リチウムイオン二次電池の容量維持率を考慮すると、混合粉体及び本発明の粉末におけるMn/(Mn+Fe)は大きい方が好ましいと言える。
(評価試験17)
実施例2−1及び実施例9−1〜実施例12−1のリチウムイオン二次電池につき、初回放電抵抗を測定した。詳しくは、初回充電後の各リチウムイオン二次電池を4.8Vまで充電した後に、0.03mA/gで1.5VまでCC放電して放電を停止した。放電停止から3分後の電圧と、放電停止時の電圧すなわち1.5Vとの差を、放電時の電流値で除した値を、放電抵抗(Ω)とした。結果を図29及び既出の表6に示す。
図29及び表6に示すように、放電抵抗とMn/(Mn+Fe)との関係には相関があり、Mn/(Mn+Fe)が0.25〜1の範囲で放電抵抗は低下した。つまり、混合粉体のMn/(Mn+Fe)を0.25〜1の範囲にすることで、リチウムイオン二次電池の放電抵抗を低減できるリチウム金属複合酸化物粉末を得ることができる。また、Mn/(Mn+Fe)が0.25〜1の範囲である本発明の粉末は、リチウムイオン二次電池の放電抵抗低減に寄与し得る。
混合粉体及び本発明の粉末におけるMn/(Mn+Fe)のより好ましい範囲として、0.3〜0.95、0.4〜0.90、0.5〜0.85、0.55〜0.8の各範囲を挙げることができる。

Claims (11)

  1. リチウム元素、Fe及びMnである金属元素、並びに、酸素元素を含むリチウム金属複合酸化物原料を導入流にて、プラズマ内に導入する工程を有し、
    前記導入流に0.1〜20体積%の酸素ガスを含有する、平均粒子径がナノ水準であるリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
  2. 前記リチウム金属複合酸化物は、空間群Fd−3mに帰属可能な結晶構造及び空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示す、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記リチウム金属複合酸化物原料において、マンガン元素のモル数をマンガン元素のモル数と鉄元素のモル数との和で除した値であるMn/(Mn+Fe)は、0.3〜0.95の範囲内である、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記リチウム金属複合酸化物原料は、炭酸リチウムを含む、請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の製造方法。
  5. 前記リチウム金属複合酸化物原料は、MnO を含む、請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の製造方法。
  6. 空間群Fd−3mに帰属可能な結晶構造及び空間群Fm−3mに帰属可能な結晶構造を示し、リチウム元素、マンガン元素及び鉄元素の関係がLiMnx1Fex2(但し、0<x2<x1、0.9a≦(x1+x2)≦1.1a)を満足する、リチウム金属複合酸化物。
  7. 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の製造方法によるリチウム金属複合酸化物粉末の製造工程、
    前記リチウム金属複合酸化物粉末を用いる工程、
    を含む正極の製造方法。
  8. 請求項に記載の製造方法で得られた正極を配設する工程、
    を含むリチウムイオン二次電池の製造方法。
  9. 請求項に記載のリチウム金属複合酸化物を具備する正極。
  10. 請求項に記載の正極を具備するリチウムイオン二次電池。
  11. リチウム元素、Mnである金属元素、及び、酸素元素を含むリチウム金属複合酸化物原料を導入流にて、プラズマ内に導入する工程を有し、
    前記導入流に0.1〜20体積%の酸素ガスを含有し、
    前記リチウム金属複合酸化物原料における前記リチウム元素とマンガン元素とのモル比は1:1である、空間群Fd−3mに帰属可能な結晶構造及び空間群R−3mに帰属可能な結晶構造を示し下記組成式(I)で表されるリチウム金属複合酸化物粉末の製造方法。
    Li Mn x1 ………(I)(1.8≦a≦2.2、0.9a≦x1≦1.1a)
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