JP2019174576A - トナー - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明によれば、環境によらず、良好な画像濃度、均一性が得られ、耐久安定性に優れたトナーを提供することができる。【解決手段】 結着樹脂を含有するトナー粒子およびチタン酸ストロンチウム粒子を有するトナーであって、前記チタン酸ストロンチウム粒子は、(i)個数平均粒子径が10〜60nmであり、(ii)表面に疎水化処理剤を有し、(iii)立方体状または直方体状の粒子の含有率が、40個数%以下であり、(iv)水分吸着測定において、温度30℃相対湿度80%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMaとし、温度30℃相対湿度10%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMbとしたとき、Maが0.20〜0.60cm3/m2であり、Mc[={(Ma−Mb)/(80−10)}]が4.3×10−3以下であることを特徴とするトナー。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーに関する。
複写機およびプリンターが広く普及するに従い、トナーに要求される性能もより高度になっている。近年では、プリントオンデマンド(POD)と呼ばれる、製版工程を経ずに直接印刷するデジタル印刷技術が注目されている。このプリントオンデマンド(POD)は、小ロット印刷、1枚毎に内容を変えた印刷(バリアブル印刷)、分散印刷にも対応していけることから、従来のオフセット印刷に対してアドバンテージがある。トナー用いた画像形成方法のPOD市場への適用を考えた場合、長期間にわたり高速で且つ、多量に出力する場合であっても高品質な画質のプリント成果物を安定的に得るために、帯電性や転写性、現像剤の流動性の変化が少ないトナーが強く求められている。
これらの特性が変化する要因としては、長時間の印刷によりトナー粒子表面の外添剤が埋め込まれることや、複写機本体内の温湿度が変化することによるトナーの温湿度特性などが挙げられる。そこで、長時間の印刷によってもトナー粒子に埋め込まれづらく、さらに温湿度による特性変化の少ない外添剤が求められている。
そこで、外添剤として従来広く用いられてきたシリカ微粒子とは異なる組成をもつ外添剤が種々検討されている。特にチタン酸ストロンチウム微粒子は、結晶構造、形状、帯電特性がシリカ微粒子とは大きく異なるため注目されている材料である。
特許文献1では、立方体又は直方体形状を有し、SrO/TiO2モル比が0.80以上0.95未満であり、一次粒子径分布が狭いチタン酸ストロンチウム系微細粒子を外添剤として含むトナーの提案がなされている。
また、特許文献2では、チタン化合物の加水分解物とストロンチウム化合物とを、過酸化水素の存在下で湿式反応させることを特徴とする平均粒子径0.1μm以上のチタン酸ストロンチウム化合物の製造方法が開示されている。
特開2015−137208号公報 特開平5−58633号公報
上記特許文献1で提案されたようなチタン酸ストロンチウム系粒子をトナーの外添剤として使用した場合、初期の帯電性、転写性、環境安定性を改善する効果はみられる。しかしながら、多数枚のプリントアウト後における画像濃度や画像の均一性、耐久安定性に関しては改善の余地があった。特に、低印字比率の画像を印刷する場合においてその傾向が顕著であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、環境によらず、良好な画像濃度、均一性が得られ、耐久安定性に優れたトナーを提供することを目的とする。
上記の課題は、下記の構成のトナーにより解決することができる。
すなわち、結着樹脂を含有するトナー粒子、および
チタン酸ストロンチウム粒子
を有するトナーであって、
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、
(i)個数平均粒子径が10nm以上60nm以下であり、
(ii)表面に疎水化処理剤を有し、
(iii)立方体状または直方体状の粒子の含有率が、40個数%以下であり、
(iv)水分吸着測定において、温度30℃相対湿度80%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMa(cm/m)とし、温度30℃相対湿度10%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMb(cm/m)としたとき、
Maが、0.20cm/m以上0.60cm/m以下であり、
下記式で定義されるMcが、4.3×10−3以下である
Mc={(Ma−Mb)/(80−10)}
ことを特徴とするトナー。
本発明によれば、環境によらず、良好な画像濃度、均一性が得られ、耐久安定性に優れたトナーを提供することができる。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂を含有するトナー粒子、および
チタン酸ストロンチウム粒子
を有するトナーであって、
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、
(i)個数平均粒子径が10nm以上60nm以下であり、
(ii)表面に疎水化処理剤を有し、
(iii)立方体状または直方体状の粒子の含有率が、40個数%以下であり、
(iv)水分吸着測定において、温度30℃相対湿度80%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMa(cm/m)とし、温度30℃相対湿度10%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMb(cm/m)としたとき、
Maが、0.20cm/m以上0.60cm/m以下であり、
下記式で定義されるMcが、4.3×10−3以下である。
Mc={(Ma−Mb)/(80−10)}
以下に、トナーを構成する各成分について詳述する。
[チタン酸ストロンチウム粒子]
本発明において用いられるチタン酸ストロンチウム粒子は、
(i)個数平均粒径が10nm以上60nm以下であり、
(ii)表面に疎水化処理剤を有する。
(iii)立方体状または直方体状の粒子の含有率が40個数%以下である。
(iv)水分吸着測定において、温度30℃相対湿度80%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMa(cm/m)とし、温度30℃相対湿度10%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMb(cm/m)としたとき、Maが、0.20cm/m以上0.60cm/m以下であり、下記式で定義されるMcが、4.3×10−3以下である。
Mc={(Ma−Mb)/(80−10)}
本発明において規定されるチタン酸ストロンチウム粒子の大きな特徴は、(iv)を満たすことである。このようなチタン酸ストロンチウム粒子は、低湿環境でわずかな水分を保持し、かつ、その保持した水分量が高湿環境においても大きく変化しない。そのため、低湿環境において、トナーの帯電を放出するリークサイトとして機能し、トナーの過剰な帯電が抑制されると考えられる。一方、高湿環境においても、水分の吸着量の変化が小さいため、高湿環境下での電荷のリークは抑えられ、トナー表面に電荷の偏りが生じるのを抑えることができる。偏りが小さく、保持する電荷が均一となるため、良好な現像が可能となり、均一性に優れた画像が得られるものと考えている。また、水分吸着量Mbは、0.10cm/m以上0.30cm/m以下であることが好ましい。
また、本発明で用いられるチタン酸ストロンチウム粒子は、(i)の特徴を満たすことによって、トナーに流動性を付与することができ、トナーがより均一に近い状態で帯電できるようになり、現像特性が改善する。
本発明で用いられるチタン酸ストロンチウム粒子は、(ii)の特徴を満たすことによって、摩擦帯電の安定性が高まり、環境やプリントアウト枚数の影響を受けにくくなる。疎水化処理剤としては、脂肪酸又はその金属塩、シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などがあげられる。
本発明で用いられるチタン酸ストロンチウム粒子は、(iii)の特徴を満たすことによって、流動性に劣る粒子が少なくなるため、トナー粒子に対してより良好な帯電付与性が得られる。直方体形状の粒子の含有量は4個数%以下がより好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子は、帯電安定性の観点からトナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上20.0質量部以下用いられることが好ましく、より好ましくは、0.1質量部以上15.0質量部以下である。
トナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子との混合は、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)等の公知の混合機を用いることができ、特に装置は限定されるものではない。
本発明のチタン酸ストロンチウム粒子は、例えば、常圧加熱反応法により得ることができる。以下、常圧加熱反応法について記載する。
常圧加熱反応法によるチタン酸ストロンチウム粒子の製造において、酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いる。好ましくは、硫酸法で得られたSO含有量が1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下のメタチタン酸を、塩酸でpHを0.8〜1.5に調整して解膠したものを用いることができる。メタチタン酸中SO含有量が1.0質量%を超えるものは、解膠が進まないので好ましくない。酸化ストロンチウム源としては、金属の硝酸塩、塩酸塩などを使用することができ、例えば、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウムを使用することができる。そして、チタン、ストロンチウムを含有するそれぞれの溶液を混合し、60℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理することによって、チタン酸ストロンチウム粒子を製造することができる。アルカリ水溶液としては、苛性アルカリを使用することができるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
上記の製造方法において、得られるチタン酸ストロンチウム粒子の粒子径に影響を及ぼす因子としては、反応時における酸化チタン源と酸化ストロンチウム源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度及び添加速度などが挙げられる。なお、反応過程に於ける炭酸塩の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応させる等、炭酸ガスの混入を防ぐことが好ましい。
反応時における酸化チタン源と酸化ストロンチウム源の混合割合は、SrO/TiOのモル比で、0.90〜1.40が好ましく、1.05〜1.20であるとさらに好ましい。反応初期の酸化チタン源の濃度としては、TiOとして0.05〜1.3mol/L、好ましくは0.08〜1.0mol/Lが適切である。
アルカリ水溶液を添加するときの温度は、100℃を超えるとオートクレーブ等の圧力容器が必要となるため、実用的には60〜100℃の範囲が適切である。また、アルカリ水溶液の添加速度は、添加速度が遅いほど大きな粒子径のチタン酸金属粒子が得られ、添加速度が速いほど小さな粒子径のチタン酸金属粒子が得られる。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対し0.001〜1.2当量/h、好ましくは0.002〜1.1当量/hが適切である。
常圧加熱反応によってチタン酸ストロンチウム粒子を得た後、未反応の金属源を取り除くために、さらに酸処理することが好ましい。
酸処理では、塩酸を用いてpH2.5〜7.0、より好ましくはpH4.5〜6.0に調整することが好ましい。酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸等を酸処理に用いることができる。
次に、トナーを構成する各成分について記載する。
[結着樹脂]
トナーに使用される結着樹脂としては、下記の重合体を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。これらの樹脂は、単独で用いても良いが、複数の異なる樹脂を併用することもできる。
これらの中で、低温定着性と帯電性の両立の観点で、ポリエステルもしくはスチレン系共重合体を用いることが好ましい。耐久安定後の濃度安定性の観点から、さらに好ましくは、全結着樹脂中のポリエステルの含有率が50質量%以上100質量%以下であり、好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
ポリエステルの合成に用いられるアルコールモノマー成分、酸モノマー成分としては、以下のものを用いることができる。
例えば、2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上100モル%以下の割合で含有することが好ましい。
一方、酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜18のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたコハク酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
ポリエステルの酸価は、50mgKOH/g以下であると帯電安定性の観点から好ましく、1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、上記範囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることにより制御できる。
これらの結着樹脂の軟化点は、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から70℃以上180℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは、80℃以上160℃以下である。
[ワックス]
トナーは、ワックスを含有してもよく、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
低温定着性に優れ、かつ耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスまたはエステル系ワックスがより好ましい。前記ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下で使用されることが好ましい。ワックスの含有量がこの範囲にあるとき、ホットオフセットの発生を良好に抑制することができる。
また、トナーの保存性と高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度が50℃以上140℃以下であることが好ましい。より好ましくは、60℃以上105℃以下である。
[着色剤]
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
[荷電制御剤]
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。この荷電制御剤としては、例えばネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下が好ましい。
[その他外添剤]
トナーには、前述したチタン酸ストロンチウム粒子のほかに、必要に応じて他の無機微粉末を含有させることもできる。無機微粉末は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウムのような無機微粉末が好ましい。無機微粉末は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
流動性向上のための外添剤としては、比表面積が50m/g以上400m/g以下の無機微粉末が好ましく、耐久安定性のためには、比表面積が10m/g以上50m/g以下の無機微粉末であることが好ましい。流動性向上や耐久性安定化を両立させるためには、比表面積が上記範囲の無機微粉末を併用してもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
[トナー粒子]
トナー粒子の表面に対してATR−IR測定を行った際、結晶性ポリエステル由来のピーク強度の前記結着樹脂由来のピーク強度に対する比が、0.1以上0.3以下であることが好ましい。結晶性ポリエステルの表面存在量が、上記の規定を満たす場合、摩擦帯電特性、耐久安定性に関して、良好な特性が得られる。
[キャリア]
トナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、長期にわたり安定した画像が得られるという点で、磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として用いることがより好ましい。
磁性キャリアとしては、例えば、表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子、フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)等、一般に公知のものを使用できる。
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、好ましくは2質量%以上15質量%以下、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。
[製造方法]
トナー粒子は、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法で製造することが可能であり、特に限定されない。
上記のごとき製造方法で製造されたトナー粒子に必要に応じ選択された外添剤を加えて混合(外添)してもよい。
次に、本発明に関わる各物性の測定方法について記載する。
[無機微粒子の個数平均粒径の算出]
シリカ粒子およびチタン酸ストロンチウム粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面の画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下のとおりである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S−4800観察条件設定
個数平均径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。被覆率を測定する際には、予めエネルギー分散型X線分析装置(EDAX)による元素分析を行い、トナー表面におけるケイ素化合物微粒子以外の粒子を除外した上で測定を行う。S−4800の鏡体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PC−SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800鏡体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[1.1kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[4.5mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)焦点調整
操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を80,000(80k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(4)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー一つに対して写真を1枚撮影し、少なくともトナー25粒子以上について画像を得る。
(5)画像解析
トナー表面上の少なくとも500個の無機微粒子について粒径を測定して、個数平均粒径を求める。本発明では画像解析ソフトImage−Pro Plus ver.5.0を用いて、上述した手法で得た画像を2値化処理することで個数平均粒径を算出する。
[チタン酸ストロンチウム微粒子の直方体含有率]
前述した電子顕微鏡画像より、10nm以上60nm以下のチタン酸ストロンチウム微粒子の内、直方体または立方体形状をしている粒子個数をカウントし、10nm以上60nm以下のチタン酸ストロンチウム全体の個数に対する個数%を算出する。
[トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定]
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムを脱イオン水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の(1)〜(7)の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去する。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を脱イオン水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量の脱イオン水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカー内に、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
[平均円形度の測定方法]
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス(株)製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下のとおりである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS−150」((株)ヴェルヴォクリーア製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス(株)製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3,000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス(株)による校正作業が行われた、シスメックス(株)が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けたときと同じ測定及び解析条件で測定を行った。
[結着樹脂の軟化点Tmの測定方法]
結着樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
また、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
[ワックスの最大吸熱ピークの測定]
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックス約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃以上〜200℃以下の間で、昇温速度10℃/分で測定を行う。なお、測定においては、一旦200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜℃以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示す温度を、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度とする。
[無機微粒子のBET比表面積の測定]
無機微粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行う。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行う。本装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管が接続される。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明における無機微粒子のBET比表面積とする。
本装置を用いた測定は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋の質量を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中に約0.1gの外添剤を入れる。
無機微粒子を入れた該試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚なお、真空脱気の際には、無機微粒子が真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。試料セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、試料セル内に窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。そして、この試料セルの質量を精秤し、風袋の質量との差から外添剤の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内の外添剤が大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
次に、無機微粒子が入った該試料セルのステム部に専用の「等温ジャケット」を取り付ける。そして、この試料セル内に専用のフィラーロッドを挿入し、本装置の分析ポートに試料セルをセットする。尚、等温ジャケットとは、毛細管現象により液体窒素を一定レベルまで吸い上げることが可能な、内面が多孔性材料、外面が不浸透性材料で構成された筒状の部材である。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行なう。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を、同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、本装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してトナーに窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚なお、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、上述したように無機微粒子のBET比表面積を算出する。
[樹脂の酸価の測定]
結着樹脂の酸価はJIS K 0070−1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
(1)試薬の準備
フェノールフタレイン1.0gをエチルアルコール(95体積%)90mLに溶かし、イオン交換水を加えて100mLとし、フェノールフタレイン溶液を得る。
特級水酸化カリウム7gを5mLの水に溶かし、エチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとする。炭酸ガス等に触れないように、耐アルカリ性の容器に入れて3日間放置後、ろ過して、水酸化カリウム溶液を得る。得られた水酸化カリウム溶液は、耐アルカリ性の容器に保管する。前記水酸化カリウム溶液のファクターは、0.1モル/L塩酸25mLを三角フラスコに取り、前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウム溶液の量から求める。前記0.1モル/L塩酸は、JIS K 8001−1998に準じて作成作製されたものを用いる。
(2)操作
(A)本試験
試料2.0gを200mLの三角フラスコに精秤し、トルエン/エタノール(2:1)の混合溶液100mLを加え、5時間かけて溶解する。次いで、指示薬として前記フェノールフタレイン溶液を数滴加え、前記水酸化カリウム溶液を用いて滴定する。なお、滴定の終点は、指示薬の薄い紅色が約30秒間続いたときとする。
(B)空試験
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(2:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
(3)得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C−B)×f×5.61]/S
ここで、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。
[無機微粒子の水分吸着量の測定方法]
水分吸着量は、吸着平衡測定装置(BELSORP−aqua3:日本ベル株式会社製)によって測定される。この装置は、対象とする気体(本発明の場合は水蒸気)の吸着量を測定する装置である。
(脱気)
測定前にサンプルに吸着している水分を脱気する必要がある。セル、フィラーロット、キャップをつけて、空の重さを量る。サンプルを約0.3gはかりセルへ投入する。フィラーロットをセル内へ入れ、キャップを取り付けて、脱気ポートへ取り付ける。測定するセルを全て脱気ポートへ取り付けたら、ヘリウムの弁を開ける。脱気するポートのボタンをONにし、「VAC」ボタンを押す。これで1日以上脱気を行う。
(測定方法)
定部本体の電源をON。(本体後ろ側にスイッチがある。)同時に真空ポンプも起動する。循環水用の本体及び操作盤の電源をON。PC画面中央部にある「BELaqua3.exe」(測定用ソフト)を立ち上げる。空気高温槽の温度制御:「流路図」ウインドウ上の「TIC1」の枠にある「SV」をダブルクリックし、「温度設定」ウインドウを開く。温度(80℃)を入力して、設定をクリックする。吸着温度の制御:「流路図」ウインドウの「吸着温度」の「SV」をダブルクリックし、「SV値」(吸着温度)を入力する。「循環開始」及び「外温制御」をクリックし、設定をクリック。
「PURGE」ボタンを押し、脱気を止め、ポートのボタンをOFFにしてサンプルを取り外し、キャップ2を取り付けて、サンプルの重さを量った後、本体測定部にサンプルを取り付ける。PC上で、「測定条件」をクリックし、「測定条件設定」ウインドウを開く。測定条件は以下の通り。
空気恒温槽温度:80.0℃
吸着温度:30.0℃
吸着質名称:H
平衡時間:500sec
温度待ち:60min
飽和蒸気圧:4.245kPa
サンプル管排気速度:普通
化学吸着測定:しない
初期導入量:0.20cm(STP)・g−1
測定相対圧範囲数:4
測定検体数を選択し、「測定データファイル名」と「サンプル重量」を入力する。測定をスタートする。
(解析)
解析ソフトを立ち上げて、解析する。温度30℃相対湿度80%における水分吸着量(M80)(cm/g)と、温度30℃相対湿度10%における水分吸着量(M10)を求める。
別途、測定しておいた無機微粒子の比表面積(m/g)でM80とM10を割り、温度30℃相対湿度80%のときの“比表面積当たりの水分吸着量Ma(cm/m)”と、温度30℃相対湿度10%のときの“比表面積当たりの水分吸着量Mb(cm/m)”を求める。さらに、求めたMa、MbからMcを算出する。
[トナー粒子の表面に対するATR−IR測定]
FT−IRスペクトルは、ユニバーサルATR測定アクセサリー(UniversalATR Sampling Accessory)を装着したフーリエ変換赤外分光分析装置(商品名:Spectrum One、PerkinElmer社製)を用い、ATR法で測定した。赤外光(λ=5μm)の入射角は45°に設定した。ATR結晶としては、GeのATR結晶(屈折率=4.0)を用いた。
その他の条件は以下のとおりである。
Range
Start:4000cm−1
End:600cm−1(GeのATR結晶)
Duration
Scan number:16
Resolution:4.00cm−1
Advanced:CO/HO補正あり
測定方法
(1)GeのATR結晶(屈折率=4.0)を装置に装着した。
(2)Scan typeをBackground、UnitsをEGYに設定し、バックグラウンドを測定した。
(3)Scan typeをSample、UnitsをAに設定した。
(4)ヘキサンに一晩つけて、ろ過後、乾燥したトナー粒子をATR結晶の上に、0.01g精秤した。この工程は、トナー表面に露出したワックスを除去する工程である。
(5)圧力アームでサンプルを加圧した(Force Gaugeは80)。
(6)サンプルを測定した。
(7)得られたFT−IRスペクトルを、Automatic Correctionでベースライン補正をした。
(8)2843cm−1以上2853cm−1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出した(Pa1)。
(9)3050cm−1と2600cm−1の吸収ピーク強度の平均値を算出した(Pa2)。
(10)Pa1−Pa2=Paとした。Paを2843cm−1以上2853cm−1以下の範囲の最大吸収ピーク強度と規定した。尚、このPaが結晶性ポリエステルに由来するピーク強度である。
(11)1713cm−1以上1723cm−1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出した(Pb1)。
(12)1763cm−1と1630cm−1の吸収ピーク強度の平均値を算出した(Pb2)。
(13)Pb1−Pb2=Pbとした。Pbを1713cm−1以上1723cm−1以下の範囲の最大吸収ピーク強度と規定した。尚、このPbが結着樹脂に由来するピーク強度である。
(14)Pa/Pb=P1とした。このP1が、“結晶性ポリエステル由来のピーク強度”の“結着樹脂由来のピーク強度”に対する比である。
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。以下の説明において、部数は質量部基準である。
<チタン酸金属粒子1(D−1)の製造例>
硫酸法で製造されたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、3mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし脱硫処理を行い、その後、5mol/L塩酸によりpH5.4まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みのケーキに水を加えTiOとして1.80モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.5とし解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行ったメタチタン酸をTiOとして1.80モルを採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液をSrO/TiOモル比で1.15となるよう2.07モル添加した後、TiO濃度0.9モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、10mol/L水酸化ナトリウム水溶液440mLを45分かけて添加し、その後、95℃で45分撹拌を続けたのち、氷水中に投入し急冷させて反応を終了した。
反応スラリーを70℃まで加熱し、pH5.0となるまで12mol/L塩酸を加え1時間撹拌を続け、得られた沈殿をデカンテーションした。
得られた沈殿物を含むスラリーを40℃に調整し、塩酸を加えてpH2.5に調整したのち、固形分に対して5.0質量%のイソブチルメトキシシランと5.0質量%3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシランを添加して24時間撹拌を行った。5mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い、得られたケーキを120℃の大気中に8時間乾燥してチタン酸ストロンチウム粒子1を得た。得られたチタン酸ストロンチウム粒子1(D−1)の物性を表2に示す。
<チタン酸ストロンチウム粒子2〜10(D−2〜D−10)の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1と同様の製法で、反応温度、仕込み濃度、滴下速度、および冷却速度を変えて微粒子2〜10を製造した。製造条件に関しては、表1−1、1−2に示す。また、得られた粒子の物性は表2に示す。
Figure 2019174576
Figure 2019174576
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<結着樹脂の製造例>
(ポリエステル1の製造例)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:66.9質量部(0.17モル部;多価アルコール総モル数に対して90.0mol%)
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:6.8質量部(0.02モル部;多価アルコール総モル数に対して10.0mol%)
・テレフタル酸:20.8質量部(0.13モル部;多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%)
・無水トリメリット酸:3.3質量部(0.015モル部;多価カルボン酸総モル数に対して10.0mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100質量部に対して、触媒として2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒)を1.5質量部添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2.5時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、そのまま反応させASTM D36−86に従って測定した軟化点が110℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。得られたポリエステル1の軟化点(Tm)は100℃、酸価は6mgKOH/gであった。
(ポリエステル2の製造例)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:66.9質量部(0.17モル部;多価アルコール総モル数に対して90.0mol%)
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:6.8質量部(0.02モル部;多価アルコール総モル数に対して10.0mol%)
・テレフタル酸:20.8質量部(0.13モル部;多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%)
・無水トリメリット酸:0.66質量部(0.003モル部;多価カルボン酸総モル数に対して2.0mol%)
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100質量部に対して、触媒として2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒)を1.0質量部添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2.5時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した(第一反応工程)。
・無水トリメリット酸:5.94質量部(0.027モル部;多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した反応物の軟化点が140℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた(第2反応工程)。得られたポリエステル2の軟化点(Tm)は150℃、酸価は6mgKOH/gであった。
<結晶性ポリエステルの製造例>
・1,6−ヘキサンジオール:34.5質量部(0.29モル部;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:65.5質量部(0.29モル部;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性ポリエステルを得た。得られた結晶性ポリエステルは、数平均分子量(Mn)4000で、軟化点(Tm)は70℃であった。
<トナー1の製造例>
・ポリエステル1(PES1) 70.0質量部
・ポリエステル2(PES2) 30.0質量部
・結晶性ポリエステル 5.0質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(荷電制御剤) 0.1質量部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃)5.0質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM75J型、三井三池化工機(株)製)を用いて、回転数20s−1、回転時間5minで混合した後、温度130℃、バレル回転数200rpmに設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1とした。
得られたトナー粒子1の100.0質量部に、ヘキサメチルジシラザン4質量%で表面処理したシリカ微粒子(BET比表面積200m/g)を5.0質量部、及びチタン酸ストロンチウム粒子(D−1)を7.0質量部添加し、ヘンシェルミキサー(FM75J型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s−1、回転時間5minで混合し、目開き54μmの超音波振動篩を通過させトナー1を得た。得られたトナー1の物性を表4に示した。
<トナーの製造例2〜14>
トナーの製造例1において、結晶性ポリエステルの添加量、チタン酸ストロンチウム粒子の種類及び量を表3、表4に記載の通り変更した以外は同様にして製造し、トナー2〜14を得た。得られたトナーの物性は、表4に示した。
Figure 2019174576
Figure 2019174576
<キャリアの製造>
[磁性コア粒子の製造]
(工程1:秤量・混合工程)
・Fe 62.7質量部
・MnCO 29.5質量部
・Mg(OH) 6.8質量部
・SrCO 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
(工程2:仮焼成工程)
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した。その後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1,000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記のとおりである。
(MnO)(MgO)(SrO)(Fe
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
(工程3:粉砕工程)
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
(工程4:造粒工程)
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加した。そして、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機(株))を用いて、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、温度650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
(工程5:焼成工程)
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1,300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1,150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
(工程6:選別工程)
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準のメジアン径が37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
[被覆樹脂の調製]
・シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
・メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
・メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5,000のマクロモノマー)
・トルエン 31.3質量%
・メチルエチルケトン 31.3質量%
・アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、温度80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
[被覆樹脂溶液の調製]
・上記重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
・トルエン 66.4質量%
・カーボンブラック 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸油量75mL/100g)
上記材料を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散を行った。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過を行い、被覆樹脂溶液1を得た。
[樹脂被覆]
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1をフェライト粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら温度80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布におけるメジアン径が38.2μmの磁性キャリア1を得た。
[二成分系現像剤の調製]
前記トナー1〜14と磁性キャリア1(個数平均粒径35μm)とで、トナー濃度が9質量%になるようにV型混合機(V−10型:株式会社徳寿製作所)で、0.5s−1、5分間で混合し、二成分系現像剤1〜14を得た。
[評価]
評価する画像形成装置として、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800改造機を用いた。この画像形成装置は、像担持体として静電潜像を形成させる感光体を有し、感光体の静電潜像を二成分現像器によりトナー像として現像する現像工程を有する。さらに、現像されたトナー像を中間転写体に転写し、その後に中間転写体のトナー像を紙に転写する転写工程を有し、紙上のトナー像を熱により定着する定着工程を有する。この画像形成装置のシアンステーションの現像器に、二成分系現像剤1を投入し、評価を行った。改造点は、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する機構を取り外したことである。
FFh画像(ベタ画像)におけるトナーの紙上への載り量が0.45mg/cmとなるように、調整した。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
耐久画像出力試験では、画像比率1%で、1万枚の耐久画像出力試験を行った。試験環境は、常温常湿(NN)環境下(温度23℃、相対湿度50%以上60%以下)、常温低湿(NL)環境下(温度23℃、相対湿度5%)、高温高湿(HH)環境下(温度32℃、相対湿度80%)においてそれぞれ行った。1万枚連続通紙中は、1枚目と同じ現像条件、転写条件(キャリブレーション無し)で通紙を行うこととした。評価紙は、コート紙OKtopコート(A4、坪量128g/m)を用いた。
(画像均一性の評価)
上記HH環境下での1万枚の耐久出力後にベタ画像を出力し、2cm角の画像をデジタルマイクロスコープにて取り込み、取り込んだ画像をImage−Jにて8bitグレースケール変換を行った後、濃度ヒストグラムを計測し、その標準偏差を求めた。その標準偏差の値に応じ以下の評価基準にてランク付けを行った。
A:標準偏差2.0未満(非常に優れている)
B:標準偏差2.0以上4.0未満(優れている)
C:標準偏差4.0以上6.0未満(普通)
D:標準偏差6.0以上(劣る)
(環境安定性の評価)
NN環境の画像濃度に対し、HH環境とNL環境における画像濃度の変化率を環境安定性の判断基準とした。
耐久後(1万枚目)において、NN環境の画像濃度をDNNf、HH環境での画像濃度をDHHf、NL環境での画像濃度をDNLfとしたとき、以下の式で耐久後画像濃度環境変化率Vfを求めた。
Vf=(DHHf−DNLf)/DNNf
Vfの値に対し、以下の評価基準でランク付けを行った。
A:20%未満(非常に優れている)
B:20%以上30%未満(優れている)
C:30%以上40%未満(普通)
D:40%以上(劣る)
得られた結果を表5に示した。また、二成分系現像剤2〜14についても二成分系現像剤1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 2019174576

Claims (5)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子、および
    チタン酸ストロンチウム粒子
    を有するトナーであって、
    前記チタン酸ストロンチウム粒子は、
    (i)個数平均粒子径が10nm以上60nm以下であり、
    (ii)表面に疎水化処理剤を有し、
    (iii)立方体状または直方体状の粒子の含有率が、40個数%以下であり、
    (iv)水分吸着測定において、温度30℃相対湿度80%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMa(cm/m)とし、温度30℃相対湿度10%のときの比表面積当たりの水分吸着量をMb(cm/m)としたとき、
    Maが、0.20cm/m以上0.60cm/m以下であり、
    下記式で定義されるMcが、4.3×10−3以下である
    Mc={(Ma−Mb)/(80−10)}
    ことを特徴とするトナー。
  2. 前記水分吸着量Mbが0.10cm/m以上0.30cm/m以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有量が、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上20.0質量部以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記トナー粒子が、結晶性ポリエステルを含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子の表面に対してATR−IR測定を行った際、結晶性ポリエステル由来のピーク強度の結着樹脂由来のピーク強度に対する比が、0.1以上0.3以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
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