以下、実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[自動分析装置の全体構成]
図1は、実施形態における自動分析装置1の全体構成を説明するための機能ブロック図である。この自動分析装置1は、混合液の吸光度等を測定して標準データや被検データを生成する分析装置2と、この分析装置2の測定に係る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御機構3とを備えている。分析装置2の詳細については、後述する。
分析制御機構3は、駆動機構4及び機構制御装置5を備えている。駆動機構4については、分析装置2の各装置群を駆動するための既知の駆動装置、或いは、その組み合わせで構成されている。また、機構制御装置5は、駆動機構4を制御する。分析制御機構3(機構制御装置5)は、最終的に後述するシステム制御装置13の制御を受ける。
なお、ここで、混合液とは例えば、各検査項目の標準試料や被検体から採取された被検試料等の試料と各検査項目の分析に用いる試薬とを混合させたものである。
また、自動分析装置1は、分析装置2で生成された標準データや被検データを処理して検量データや分析データを生成するデータ処理装置6を備えている。データ処理装置6は、演算装置7とデータ記憶装置8とを備えている。
演算装置7は、分析装置2から出力された標準データや被検データを演算処理して各検査項目の検量データや分析データを生成する。演算処理を行うエンジンについては、既知の装置や回路を用いることができる。
データ記憶装置8は、演算装置7で生成された標準データや分析データを保存する。データ記憶装置8は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されている。
さらに自動分析装置1は、データ処理装置6で生成された検量データ、分析データ等を印刷、表示して、外部に出力する外部出力装置9を備えている。この外部出力装置9は、印刷装置10、表示装置11を備えている。
印刷装置10は、例えば、レーザプリンタ等の装置である。なお、ここでは自動分析装置1が印刷装置10を備えていることを前提に説明をしているが、例えば、図示しない通信制御回路を介して自動分析装置1の外部に設けられている印刷装置を利用して検量データ等を外部に出力することとしても良い。
表示装置11は、検量データ等の表示や操作画面(例えば、ユーザから各種指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface))などの各種画像を後述するシステム制御装置13の制御に従って表示する。この表示装置11としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを用いることが可能である。
なお、印刷装置10と同様、ここでは自動分析装置1が表示装置11を備えていることを前提に説明をしているが、例えば、図示しない通信制御回路を介して自動分析装置1の外部に設けられている表示装置を利用して検量データ等を外部に出力することとしても良い。
さらに、自動分析装置1は、検査技師等の医療従事者が各種コマンド信号の入力等を行う操作装置12を備えている。この操作装置12としては、例えば、GUI、或いは、ボタンやキーボード、トラックボール、表示装置11に表示されるタッチパネル等の入力デバイスを用いることが可能である。
システム制御装置13は、分析制御機構3、データ処理装置6、及び外部出力装置9等、自動分析装置1全体を統括して制御する
[分析装置の構成]
次に、分析装置2について説明する。図2は、分析装置2の構成を詳細に示した斜視図である。
図2に示すように、分析装置2は、被検体である標準試料や被検試料等の試料を収容する試料容器21と、試料容器21を保持するサンプルディスク22とを備えている。
また、分析装置2は、円周上に配置された複数の反応容器23と、反応容器23を保持する反応ディスク24とを備えている。反応ディスク24は、少なくとも円形の外周部を有しており、反応容器23は、反応ディスク24に円周方向に一定の間隔をおいて複数保持されている。
分析装置2は、サンプルディスク22に保持された試料容器21内の試料を吸引して反応容器23内へ吐出して分注を行うサンプル分注プローブ25と、サンプル分注プローブ25を上下動及び旋回可能に保持するサンプル分注アーム26とを備えている。
サンプル分注アーム26は、サンプル分注プローブ25を、分注する試料の収容された試料容器21の位置に旋回移動し、その位置でサンプル分注プローブ25を上下動させて、サンプル分注プローブ25内に試料を吸引させる。
その後、所定の反応容器23の位置まで旋回移動させ、その位置でサンプル分注プローブ25を上下動させる。これにより試料を反応容器23に吐出させる。この試料の吸引吐出は、図示しないサンプル分注ポンプにより行われる。また、サンプル分注プローブ25やサンプル分注アーム26の制御は、分析制御機構3によって行われる。
また、分析装置2は、試薬を保管するとともに、攪拌が必要な試薬に対して必要な攪拌処理を行う攪拌装置40を備えている。従って、攪拌装置40は、いわゆる試薬庫に相当する。但し、より狭い意味では、攪拌装置40を構成する後述する外装体が試薬庫に相当する。
なお、以下においては、攪拌装置40が自動分析装置1を構成する試薬庫に該当する例として説明を行う。但し、この攪拌装置40が、試薬以外の攪拌を要する液体の攪拌に供することができること、本発明の実施の形態における自動分析装置1を構成せず、単独で機能しうる装置として存在すること、が可能であることはもちろんである。また、攪拌装置40の詳細については、図3及び図4を用いて後述する。
試薬分注アーム31は、攪拌装置40に保持された図2には図示しない液体容器の試薬を吸引して所定の反応容器23内へ吐出する試薬分注プローブ32を有している。試薬分注アーム31は、この試薬分注プローブ32を旋回移動及び上下動させることにより、攪拌装置40に保管されている試薬を吸引させる。
その後、試薬分注アーム31は、試薬分注プローブ32を所定の反応容器23の位置まで旋回移動させ、その位置で試薬分注プローブ32を上下動させることにより試薬を反応容器23に吐出させる。この試薬の吸収吐出は、図示しない試薬分注ポンプにより行われる。また、試薬分注アーム31や試薬分注プローブ32の制御は、分析制御機構3によって行われる。
また、分析装置2は、反応容器23内の試料及び試薬を攪拌して混合液を生成する攪拌機構33を有している。また、測定位置に配置され、反応容器23内の混合液の吸光度等を測定する測光ユニット34及び反応容器23内の測定を終えた混合液を吸引すると共に、反応容器23内を洗浄・乾燥する洗浄ユニット35とを有している。
なお、サンプル分注プローブ25及び試薬分注プローブ32の各旋回移動軌跡上には、図示しない、各プローブを洗浄するための洗浄機構がそれぞれ配置されている。
[攪拌装置の構成]
次に、図3及び図4を用いて、攪拌装置40の構成につき説明する。図3は、実施の形態における攪拌装置40を示した上面図である。また、図4は、実施の形態における攪拌装置40の側面を示すとともに、その機能をブロック図で示した説明図である。
攪拌装置40は、移動テーブル41と、外装体42と、駆動装置43と、検出回路44と、攪拌子制御回路45と、を備える。上述したように、図3は、攪拌装置40の上面を示した図面であることから、外装体42と、当該外装体42に設けられている、液体容器を搬入、搬出するための挿入口421を覆う蓋422が実線で示されている。なお、図3においては、挿入口421は見えないことから破線で示されている。
また、攪拌装置40内に載置、保管されている液体容器Bの保持内容に関する情報を取得する情報取得装置Dが外装体42に近接した位置に配置されている。そのため、当該情報取得装置Dについても実線で示されている。
一方、外装体42に覆われていて通常は見ることのできない液体容器Bについては、破線で示されている。また、液体容器を搬入、搬出するための挿入口421、外装体42と対向する位置に配置され、液体容器Bが保持する液体Lを、攪拌子Sを用いて攪拌するための駆動装置43についても破線で示されている。
図3において二重の円形状の破線で示されているのが、試薬容器である、液体容器Bである。液体容器Bの内部には、様々な試薬が保持されている。そして特に、定期的な攪拌を要する液体Lと攪拌子Sとをその内部に保持する液体容器Bを、以下、「液体容器B1」と表す。この攪拌を要する液体としては、例えば、経時的に濃度が変化する液体、経時的に内容物が分離する液体や時間が経過することによって固まってしまう液体等が対象となる。試薬としては、例えば、血液凝固時間測定用の乾燥試薬が考えられる。
また、図3においては、当該液体容器B,B1が8本、移動テーブル41の外周に沿う形で、移動テーブル41上に載置されている。すなわち、液体容器B,B1は、回転可能に構成された円形状の移動テーブル41上に一定間隔で環状に載置されている。移動テーブル41は、図3において大きな円形状の破線で示されている。
なお、図3において示されている8本の液体容器B,B1のうち、挿入口421(蓋422)の位置に示されている液体容器及び破線で示されている駆動装置43の位置に示されている液体容器が、その内部に攪拌子Sを保持する液体容器B1であるとする。一方、その他の液体容器は、その内部に攪拌子Sを保持しない液体容器Bであるとする。
また、図4においては、特に3本の液体容器B,B1のみを示し、その他の液体容器Bについては、その図示を省略している。図4に示される3本の液体容器B,B1のうち、両側の液体容器が攪拌子Sを保持する液体容器B1である。そして真ん中に示される1本が攪拌子Sをその内部に保持しない液体容器Bである。
図4に示されているように、移動テーブル41の中心には、回転軸411が設けられている。この回転軸411は、外装体42の下部中央から、外装体42の密閉状態を保持したままその外側に導出されている。この導出された回転軸411は、外装体42の外部下方中央に配置されたテーブル回転機構412に連結されている。
当該テーブル回転機構412は、回転軸411を介して移動テーブル41を間欠的あるいは連続的に、図3の破線で示すいずれかの矢印の方向に回転させ、移動テーブル41上の液体容器B,B1の位置を移動させる。
外装体42は、移動テーブル41と液体容器B,B1とを覆い、その内部に収容している。すなわち、外装体42は、液体容器B,B1の内部に収容された試薬(液体L)を冷温状態に保管するために移動テーブル41及び移動テーブル41に載置された液体容器B,B1を保管する構造となっている。従って、外装体42は、大気温の変化や外光等により試薬が影響を受けないように、肉厚で遮光性のある材料により構成されていても良い。外装体42がこのような構造を採用していることから、外装体42の内部は、外装体42の外から医療従事者が目視することはできない構造となっている。
液体容器B,B1内に保持されている試薬は、冷温状態で保管する必要がある液体であることから、例えば、外装体42は密閉状態を保つことが可能に構成されており、冷蔵機能付きである。
また、この外装体42の外部上方で、移動テーブル41上の液体容器B,B1の移動軌跡上の一部には、液体容器B,B1を搬入、搬出するための挿入口421が設けられており、当該挿入口421を覆うためにさらに蓋422が設けられている。本発明の実施の形態においては、図3に示すような位置に挿入口421及び蓋422が設けられている。
当該蓋422が開くことで、攪拌装置40内に液体容器B,B1を出し入れすることが可能となる。この蓋422は、例えば、液体容器B,B1の出し入れの際に手動により開閉される、或いは、自動開閉するものであっても良い。
なお、この蓋422の直下であって、移動テーブル41上の液体容器B,B1が配置される位置を、以下、適宜「取り出し位置」と表す。
図4に示すように、外装体42の外部下方、外装体42に対向配置する位置であって、液体容器B,B1の回転軌跡上の分注位置から最も離間した位置には、駆動装置43が配置されている。この駆動装置43は、磁力により液体容器B1内の攪拌子Sを回転させるために用いられる。
駆動装置43は、移動テーブル41上の液体容器B1内の攪拌子Sを外装体42の外部から回転駆動する。この駆動装置43は、図4に示す駆動制御回路46を介して攪拌子制御回路45により制御されるものである。なお、駆動制御回路46は、攪拌子制御回路45を介して、最終的には、自動分析装置1のシステム制御装置13の制御を受けることとしても良い。
駆動装置43は、磁力発生装置431、駆動モータ432及び電源433を備えている。磁力発生装置431は、液体容器B1内の攪拌子Sを非接触状態で回転駆動させる。すなわち、この磁力発生装置431は、駆動モータ432の回転により外装体42の下部から移動テーブル41を通して攪拌子Sに磁力により回転力を付すものである。この攪拌子Sが回転することにより液体容器B1内の液体L、すなわち試薬が攪拌される。
なお、駆動装置43によって、液体容器B1内の攪拌子Sが回転駆動されて液体容器B1内の液体Lが攪拌される位置を、以下適宜、「攪拌位置」と表す。例えば、図4における右側の液体容器B1は、攪拌位置に配置されている。この攪拌位置は、図2で示した試薬分注プローブ32による液体容器B,B1内の試薬を吸引する位置である、分注位置から最も離間した位置に設けられている。すなわち、分注位置は、攪拌位置に対向する位置となる。図3においては、分注位置に配置されている液体容器Bをハッチングで示している。一方、図4であれば、左側の液体容器Bが配置されている位置が分注位置である。
このように攪拌位置から最も離間した位置に分注位置を配置するのは、以下の理由からである。すなわち、分注する場合には、試薬分注プローブの先端に設けられているセンサで液面を検知する必要がある。攪拌位置で分注を行うと、攪拌位置にて液面の検知を行わなければならず、攪拌によって液体容器B1内の液面が揺れていて液面の検知ができない。従って、液面の揺れが収まってから分注を行うことを考えると、攪拌位置から最も遠い位置(反対側)に分注位置が設けられる。
駆動モータ432は、磁力発生装置431に磁力を発生させる。駆動モータ432としては、例えば、DCモータが用いられる。また、電源433は、駆動モータ432を駆動する。
また、駆動モータ432と電源433との間には、電源433から駆動モータ432に流れる電流(駆動電流)の電流値を検出する電流検出器441が取り付けられており、検出回路44と接続されている。
検出回路44は、駆動装置43の動作状態を検出する。すなわち、当該検出回路44は、磁力発生装置431と対向する攪拌位置に配置された液体容器B1内の攪拌子Sが回転している状態、液体容器B1内に攪拌子Sがない状態、さらにはその攪拌子Sが脱調している状態、の各状態の電流値を電流検出器441を介して検出するものである。
従って、検出回路44では、液体容器B1内に攪拌子Sが存在し、正常に回転している場合の電流値と、液体容器B1内に攪拌子Sが入っていない、あるいは攪拌子Sが脱調している状態の電流値がそれぞれ検出されることになる。
この電流値は、攪拌子Sが入っていない場合には、無負荷状態となるため、低い電流値となる。一方、攪拌子Sが脱調状態となる場合には、攪拌子が入っていない場合よりも大きな負荷がかかる状態となるため、攪拌子が入っていない場合の電流値よりも高い電流値となる。このように負荷状態により電流値が変化することに着目して、検出回路44でこの変化を検出する。検出回路44で検出された電流値は、攪拌子制御回路45において液体容器B1内における攪拌子Sの有無、脱調の有無の判断を行う際の判断材料として扱われる。
なお、ここでは上述したように、駆動モータ432と電源433との間に電流検出器441を設けた構成としている。但し、このような構成に限定されず、例えば、駆動制御回路46に電流検出機能が備えられているような構成としても良い。
攪拌子制御回路45は、駆動装置43に対向する位置である攪拌位置に配置された液体容器B1内の攪拌子Bを、駆動装置43によって回転駆動させて液体容器B1の内部に保持される液体Lを攪拌させる。また、駆動装置43を駆動させることによって攪拌位置に配置された液体容器B1内に攪拌子Sが保持されているか否か、或いは、攪拌子Sが脱調の状態にあるか否かといった、攪拌子Sの状態を検出回路44による検出結果に基づいて判断する。なお、当該攪拌子制御回路45の各機能については、後述する。
駆動制御回路46は、攪拌子制御回路45の制御を受けて、移動テーブル41を回転するためのテーブル回転機構412の制御を行う。すなわち、回転軸411を介して移動テーブル41の回転方向、回転速度等を制御するものであり、移動テーブル41を正逆回転、間欠回転あるいは連続回転させることができる。また、駆動装置43の電源433を制御することで駆動モータ432の回転を制御して磁力発生装置431から攪拌子Sに対して付加される磁力の強弱を制御する。
なおこのように、本発明の実施の形態においては、移動テーブル41等の回転の制御は、攪拌子制御回路45の制御を受けて駆動制御回路46が行うことを前提としている。但し、攪拌子制御回路45が直接移動テーブル41等の回転の制御を行う構成を採用しても良い。
記憶回路47は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されている。当該記憶回路47には、例えば、液体容器B1内の攪拌子Sを回転駆動させて液体Lを攪拌した場合の電流値の変化が記憶されている。また、液体容器B1内に攪拌子Sが保持されていない場合の電流値の変化、或いは、脱調の状態にある場合の電流値の変化等が記憶されている。
また、記憶回路47には、例えば、移動テーブル41のどの位置にいずれの液体容器B,B1が載置されているかについて、移動テーブル41の回転方向や回転距離等の情報と関連付けて記憶されている。
以上説明したように、上述した各種情報はここでは記憶回路47に関連づけて記憶されているが、例えば、自動分析装置1のデータ記憶装置8がこれらの各種情報を記憶することとしても良い。
出力回路48は、例えば、攪拌子制御回路45が液体容器B1内に攪拌子Sが保持されていない状態等であると判断した場合に、医療従事者に対してその旨を報知する。出力回路48としては、例えば、音声によって報知しても、或いは、ディスプレイを介して文字情報として報知しても良い。すなわち、医療従事者の五感に訴える方式であれば、どのような報知の仕方であっても良く、そのための構成は自由に採用することができる。
入力回路49は、例えば、攪拌装置40の電源のON、OFFを行うためのスイッチである。また、或いは、例えば、液体容器B,B1の保持内容に関する情報を入力するための入力インターフェイスである。
情報取得装置Dは、上述したように、攪拌装置40内に載置、保管されている液体容器B,B1の保持内容に関する情報を取得する装置である。液体容器B,B1内に保持されている液体L、試薬等の情報については、例えば、液体容器B,B1の外壁に貼付される、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等に格納されている。また、攪拌子Sの有無に関する情報を格納していても良い。情報取得装置Dは、これらバーコード等に格納されている液体容器B,B1の保持内容に関する情報を読み取って、例えば、記憶回路47に記憶させる。
なお、情報取得装置Dによる液体容器B,B1の保持内容に関する情報の取得は、液体容器B1内の液体Lを攪拌する処理が開始される前に行われることが望ましい。従って、例えば図3に示すように、移動テーブル41が反時計回りに回転するのであれば、情報取得装置Dは攪拌位置の手前に配置されることが望ましい。
以上、検出回路44、攪拌子制御回路45、駆動制御回路46、記憶回路47、出力回路48、入力回路49、及び、情報取得装置Dは、互いにバス50を介して接続されている。これらの各回路における信号のやり取りは、当該バス50を介して行われる。
攪拌子制御回路45は、検出結果比較機能、攪拌機能、計時機能の各機能を実行する。攪拌子制御回路45が行うこれらの機能については、攪拌装置40が行う各処理ごとに説明する。
攪拌装置40が、攪拌機能を用いて、液体容器B1内の液体Lを攪拌する処理を行うためには、事前に様々な準備を行う必要がある。すなわち、操作者による攪拌装置40内に液体容器B,B1を保管するための準備である。
まず医療従事者は、試薬の種別、すなわち定期的な攪拌が必要な試薬と冷温状態に保管する必要があるが攪拌しなくても安定状態に保管可能な試薬とに分別する。そして、この試薬を、定期的な攪拌を必要としない試薬を保管する液体容器Bと、定期的な攪拌を必要とする試薬を保管する液体容器B1とにそれぞれ分けて収容する。
なお、ここで攪拌子Sをその内部に保持して定期的な攪拌が必要な試薬を保管する液体容器を特に「液体容器B1」と表しているが、液体容器Bと液体容器B1とにおいて容器自体に特別差が設けられているわけではない。但し、両者に容器の構造上差を設けることを禁止するものではない。
そしてこの際、定期的な攪拌が必要な試薬を収容した液体容器B1には、攪拌子Sも併せてその内部に収容される。当該攪拌子Sは、駆動装置43によって回転駆動されて液体容器B1内の液体Lを攪拌するものである。なお、定期的な攪拌が必要な試薬を収容する液体容器が事前に決まっている場合には、当該液体容器B1には、予め攪拌子Sを入れておいても良い。
なお、液体容器B1に保持される試薬が、例えば上述した血液凝固時間測定用の乾燥試薬等の場合には、医療従事者は当該液体容器B1に必要量の水を入れて液体容器B1を振る等して予め試薬と水とを混ぜ合わせた状態にしておく。以上の準備ができたら、次の準備として、医療従事者は、攪拌装置40の内部に液体容器B,B1を搬入する。
医療従事者は、準備した液体容器B,B1を移動テーブル41の上に載置するため、蓋422を開く。なお、当該蓋422は、手動または自動で開閉される。
この蓋422を開放した状態で、医療従事者が移動テーブル41を回転操作して順次液体容器B,B1を移動テーブル41上に載置していく。この際の移動テーブル41は、間欠回転され、各液体容器の載置位置を順次移動させる。この間欠回転は、例えば、医療従事者が入力回路49を介して移動テーブル41の回転モードを選択することにより行われる。
移動テーブル41が回転することにより、各液体容器の載置位置が順次蓋422と対向する位置である取り出し位置に移動してくることになるので、医療従事者は、液体容器B,B1を移動テーブル41上に載置して、外装体42内に保管する。
なお、液体容器B,B1を移動テーブル41上に載置する際には、液体容器B,B1に貼付されている、上述したバーコード等が情報取得装置Dによって読み取り可能なような向きに載置する必要がある。
このようにして、液体容器B,B1が載置された状態で、蓋422を閉じ、外装体42内を密閉状態とする。これにより収納された液体容器B,B1内の試薬は、冷温状態に保たれ保管されることになる。
なお、この状態では外装体42の内部は、外部から目視することができない状態となっている。従って、移動テーブル41上のどの位置に攪拌を要する試薬が収容された液体容器B1が位置しているか、すなわち、液体容器B1に収容されている攪拌子の状態を医療従事者が直接的に確認することができない状態となっている。
以上で、攪拌装置40が、攪拌機能を用いて、液体容器B1内の液体Lを攪拌する処理を行うための準備が整ったことになる。そこで、攪拌子制御回路45は、外装体42の蓋422が閉められたことを検出したら、攪拌処理を行う。
なお、攪拌処理への移行は、例えば、医療従事者が入力回路49を介して攪拌装置40に対して攪拌処理を開始させる指示を出すことによって行われても良い。或いは、蓋422が閉まったことを検出することをもって自動的に攪拌処理に移行することとしても良い。また、蓋422が閉まったことを検出するだけではなく、例えば、移動テーブル41上に液体容器B,B1が載置されたことも併せて検出したことを条件としても良い。
攪拌子制御回路45は、攪拌機能を用いて、攪拌処理を開始する。但し、医療従事者が外装体42の内部に液体容器B,B1を保管しただけでは、液体容器B1内に攪拌子Sが保持されているか否かについては不明である。また、実際に攪拌子Sを回転させても攪拌子Sが上手く回転せず、脱調の状態となることも考えられる。そこで、攪拌子制御回路45では、まずこれら攪拌子Sの状態を確認する。すなわち、適切に攪拌処理を行うための事前チェックを行う。
ここでチェックされる内容は、攪拌装置40の外装体42内に保存された、特に攪拌子Sをその内部に保持する液体容器B1内に、攪拌子Sが保持されているか否かである。そもそも液体容器B1内に攪拌子Sが保持されていなければ、液体容器B1に対して攪拌処理を実行することができないからである。
攪拌子制御回路45は、まず、液体容器B,B1が外装体42の内部に保管されたか否かを改めて確認する。これは、例えば、蓋422が開いたままの状態にある等についての情報を基に判断される。
液体容器B,B1が外装体42の内部に保管されたことが確認されると、次に、攪拌子制御回路45は、情報取得装置Dに対して、各液体容器B,B1における保持内容に関する情報を取得するよう指示する。情報取得装置Dが当該情報を取得するためには、情報取得装置Dが、例えば、液体容器B,B1に貼付されたラベルを読み取ることができる位置に液体容器B,B1を配置しなければならない。そこで、攪拌子制御回路45は、駆動制御回路46を介してテーブル回転機構412に駆動力を付与して、移動テーブル41を回転させる。
移動テーブル41が回転することによって、順次移動テーブル41上の液体容器B,B1が情報取得装置Dに近接した位置に配置される。情報取得装置Dは、各液体容器B,B1ごとの保持内容に関する情報を取得し、記憶回路47に記憶させる。その際に、併せて移動テーブル41の回転に関する情報も関連付けて記憶させることによって、移動テーブル41のいずれの位置にどの液体容器B,B1が載置されているかが把握できる。
情報取得装置Dが保持内容に関する情報を取得した結果、対象となる保持内容に関する情報を持つ液体容器が、攪拌が不要な試薬が収容されている液体容器Bである場合には、攪拌子制御回路45は、当該液体容器Bが攪拌位置に配置されても駆動装置43を駆動させない。
一方、情報取得装置Dが保持内容に関する情報を取得した結果、対象となる保持内容に関する情報を持つ液体容器が、攪拌が必要な試薬が収容されている液体容器B1である場合には、当該液体容器B1が攪拌位置に配置された時に駆動装置43を駆動させる。ここで攪拌子制御回路45が駆動装置43を駆動させるのは、上述したように、液体容器B1がその内部に攪拌子Sを保持しているか否かを確認するためである。
攪拌子制御回路45は、対象となる液体容器B1が駆動装置43に対向する位置(攪拌位置)に配置されることを確認して、駆動装置43を駆動させる。駆動装置43は、駆動制御回路46からの指示に基づき、駆動モータ432を駆動して磁力発生装置431からその上部に配置された液体容器B1内の攪拌子Sに作用する磁力を発生させる。
なお、この際に発生させる磁力は、駆動制御回路46が電源433を調整することにより、攪拌のために液体容器B1内の攪拌子Sを回転させるに要する磁力より小さい磁力とすることも可能である。これは、ここでの処理は、あくまでも対象となる液体容器B1内に攪拌子Sが保持されているか否かを確認するためであり、攪拌子Sを回転させて液体容器B1内の試薬を攪拌するためではないからである。
そして、検出回路44は、この時の電流値を電流検出器441を介して検出する。検出回路44は、検出した電流値を攪拌子制御回路45に送信する。また、検出した電流値を記憶回路47に記憶させることとしても良い。
一方、攪拌子制御回路45は、記憶回路47から予め記憶されている、液体容器B1内に攪拌子Sが保持されていない状態の電流値を比較対象として取得する。攪拌子制御回路45は、検出回路44において検出された電流値と記憶回路47から取得した電流値とを比較して、液体容器B1に攪拌子Sが保持されているか否かの判断を行う。
なお、ここでは、攪拌子Sが含まれる液体容器B1であるか、攪拌子Sが含まれない液体容器Bであるかを情報取得装置Dで取得した情報を基に区別し、液体容器B1に対してのみ駆動装置43を駆動させて攪拌子Sがその内部に保持されているか否かを確認した。但し、液体容器B,B1の区別を特段行わずに、全ての液体容器B,B1に対して磁力を付加させる処理を行うこととしても良い。
攪拌子制御回路45は、移動テーブル41に載置された全ての液体容器B,B1に対する攪拌子Sの有無の確認が終わったか否かを確認し、もし攪拌子Sが保持されていない液体容器B1が発見された場合には、確認結果を出力回路48を介して医療従事者に対して報知する。そして、医療従事者によって報知の対象となった液体容器B1に対して攪拌子Sを入れるという修正が行われたか否かを確認し、事前チェックを終了する。この状態で、全ての液体容器B1内には、攪拌子Sが保持されていることになる。
次に攪拌子制御回路45は、液体容器B1内の液体L(試薬)の攪拌処理を開始する。まずは、攪拌子制御回路45は、攪拌の対象となる液体容器B1が攪拌位置に配置されているか否かを確認する。
ここで、記憶回路47には、移動テーブル41のどの位置に液体容器B1が載置されているかについて、移動テーブル41の回転方向や回転距離等の情報と関連付けて記憶されている。そこで、液体容器B1が攪拌位置に配置されていない場合には、攪拌子制御回路45は、当該情報を基に移動テーブル41を回転させて液体容器B1を攪拌位置へと移動させる。
攪拌の対象となる液体容器B1が攪拌位置に配置されると、攪拌子制御回路45は、駆動制御回路46を介して駆動装置43の駆動を開始させる。このように駆動装置43は、液体容器B1が攪拌位置に配置されたことが確認されてから駆動を開始する。
これは、回転していない攪拌子Sを回転させるには、その回転の開始時において非常に大きな磁力を必要とする。そのため、例えば、既に駆動装置43が磁力を発生させている状態のところ(攪拌位置)に液体容器B1を進入させて配置すると、磁力が適切に攪拌子Sに付加されず脱調の状態が生じやすい。そこで、攪拌の対象となる液体容器B1が攪拌位置に配置されたことが確認されてから駆動装置43が駆動を開始することとしている。
駆動装置43が駆動することによって、磁力が液体容器B1内の攪拌子Sに付加される。攪拌子Sは、磁力によって回転を開始する。
検出回路44は、電流検出器441を用いて、駆動装置43における電源433と駆動モータ432との間を流れる電流値を検出している。検出された電流値は、攪拌子制御回路45へと送られる。そこで、攪拌子制御回路45は、基準データとなる予め記憶回路47に記憶されている攪拌処理が適切に行われている際の電流値を取得して、当該取得された適切な電力値と検出回路44において検出された電流値とを比較する。
その結果、適切な攪拌処理の際に示される電流値よりも低い電流値である場合には、液体容器B1内において攪拌子Sが脱調の状態にあると判断する。なお、複数の攪拌子Sが液体容器B1内に保持されている場合にも、脱調の状態と同じような判断結果になるものと考えられる。
攪拌子制御回路45が、液体容器B1内の攪拌子Sは脱調の状態にあると判断した場合には、駆動装置43の駆動を停止する。そして比較結果を基に、出力回路48を介して医療従事者に対して適切な攪拌処理を行うことができない旨、報知する。その上で、当該液体容器B1を取り出し位置まで移動させる。
攪拌子制御回路45は、報知された内容に従って、医療従事者がエラーを修正したか否かの確認を行い、修正された場合には、改めて当該液体容器B1を攪拌位置にまで移動させる。そして改めて、攪拌処理を開始する。
一方、攪拌子制御回路45が、適切な電力値と検出回路44において検出された電流値とを比較した結果、適切な電流値と同じであった場合には、このまま駆動装置43から攪拌子Sに対して磁力を付加する。なお、比較の結果として検出回路44において検出された電流値と適切な電力値との差がどの範囲ならば適切な電流値と同じ電流値であると判断するのか、については、任意に設定することができる。
攪拌子制御回路45は、同時に、計時機能を用いて、計時を開始する。これは、攪拌の対象となる液体L(試薬)によって攪拌の時間、攪拌の間隔等が決められているからである。計時する時間については、記憶回路47から取得された、情報取得装置Dが読み込んだ保持内容に関する情報を基に、攪拌子制御回路45が決定する。
そして設定した時間が経過すると、攪拌子制御回路45は、駆動装置43の駆動を停止する。これで攪拌処理が完了する。この後は、攪拌の間隔(インターバル)を計測するために、当該計時機能が用いられる。
すなわち、攪拌子制御回路45は、計時機能を用いて、攪拌の間隔(インターバル)を計測するための計時を開始する。そして所定の間隔が経過した場合には、改めて対象となる液体容器B1内に保持される液体L(試薬)を攪拌する処理を実行する。
攪拌子制御回路45は、所定の間隔が経過しない場合には、待機状態にあるとともに、当該対象となる液体容器B1内に保持される液体L(試薬)を攪拌する処理が完了したか否かを確認する。もし、必要とされる攪拌処理が完了していない場合には、所定の間隔が経過した後に改めて攪拌処理を実行する。一方、攪拌処理が完了したと判断される場合には、当該液体容器B1に対する攪拌処理を完了する。
なお、上述したように、定期的に攪拌が必要な試薬については、攪拌子制御回路45が計時機能を用いてそのタイミングを計っているので、攪拌処理が必要な時間となったら、液体容器B1の現在位置から攪拌位置まで最短で到達するよう、移動テーブル41の回転距離を決定する。
また、上述したように、攪拌子制御回路45は、攪拌処理に必要とされる間隔を計時して所定の間隔を持って攪拌処理を行うこととしても良い。或いは、分注処理との兼ね合いで、例えば、分注処理と分注処理との間に時間がある場合には、なるべく液体容器B1に対する攪拌処理を行うべく、液体容器B1を攪拌位置に移動させる処理としても良い。
なお、ここで例えば、攪拌子制御回路45の検出結果比較機能、攪拌機能、計時機能については、所定のメモリや記憶回路47等に記憶される、例えば、攪拌プログラムといったプログラムをプロセッサに実行させることによって実現することも可能である。ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
プロセッサは、例えば記憶回路47に保存された、又は、プロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムを記憶する記録回路は、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わないし、或いは、例えば、図1における自動分析装置1が行う機能に対応するプログラムを記憶するものであっても、さらには図4に示す記憶回路47の構成を採用しても構わない。記憶回路の構成には、例えば、半導体や磁気ディスクといった一般的なRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置が適用される。
[動作]
次に、図5ないし図7を利用して、攪拌装置40内に保管された液体容器B1に対して行われる攪拌処理について説明する。図5は、実施の形態における攪拌装置40の動作の流れを大まかに説明するフローチャートである。
攪拌装置40における処理動作については、図5に示している通り、大まかに2つの大きな処理に分けることができる。攪拌処理を行う前に行われる準備である「事前チェック(ST1)」と、事前チェックを経て行われる「攪拌処理(ST2)」である。以下においては、「事前チェック」と「攪拌処理」とを順に説明していく。まず、「事前チェック」である。
図6は、実施の形態における攪拌装置40の事前チェックの流れを説明するフローチャートである。まず、攪拌子制御回路45は、医療従事者によって、液体容器B,B1が外装体42内に保管されたか否かを確認する(ST11)。
医療従事者によって保管作業が続いている場合には(ST11のNO)、保管が完了していないので攪拌装置40としては待機の状態にある。一方、医療従事者による保管作業が完了して、例えば、蓋422が閉じられたことを攪拌子制御回路45が検出した場合には、保管作業は完了したと判断する(ST11のYES)。
次に、攪拌子制御回路45は、駆動制御回路46を介して移動テーブル41を回転させて、情報取得装置Dが配置されている位置まで順次移動テーブル41上に載置されている液体容器B,B1を移動させる。そして、液体容器B,B1に貼付されている、例えばラベルを情報取得装置Dに読み取らせる(ST12)。
情報取得装置Dにおいて取得された、液体容器の保持内容に関する情報は、適宜記憶回路47に記憶されるとともに、攪拌子制御回路45に対しても送信される。攪拌子制御回路45は、受信した液体容器の保持内容に関する情報を基に、攪拌子Sが内部に保持されている液体容器B1であるか否かを確認した上で(ST13)、液体容器B1である場合には(ST13のYES)、攪拌子Sが当該液体容器B1内に実際に保持されているか否かの確認を行う。なお、液体容器が攪拌子Sをその内部に保持する液体容器B1ではない場合には(ST13のNO)、後述するステップST16に遷移する。
具体的には、攪拌子制御回路45は、移動テーブル41を回転させて液体容器B1を駆動装置43と対向する位置である、攪拌位置まで移動させる。そしてこの位置で駆動制御回路46を介して駆動装置43を駆動させる(ST14)。駆動装置43が駆動されることによって生ずる電流値は、検出回路44において検出される。
攪拌子制御回路45では、検出回路44で検出された電流値と、記憶回路47に予め記憶されている、例えば、攪拌子Sが液体容器B1内に保持されていない場合の電流値とを比較する。この比較結果を基に、攪拌子制御回路45は、液体容器B1内の攪拌子Sの存在の有無を判断する(ST15)。なお、記憶回路47から取得する電流値の値は、例えば、攪拌子Sが液体容器B1内に保持されている場合の電流値であっても良いことは、上述した通りである。
攪拌子制御回路45は、移動テーブル41上に載置されている全ての液体容器B,B1に対して攪拌子Sが含まれているか否かの確認の処理が完了したか否かの判断を行う(ST16)。移動テーブル41が1周して移動テーブル41上に載置されている全ての液体容器B,B1に対する確認処理が完了していない場合には(ST16のNO)、全ての液体容器B1内に保持されているであろう攪拌子Sの有無が確認されていない。従って、再度ステップST12に戻って液体容器B,B1の保持内容に関する情報に基づいて攪拌子Sの有無を判断する。
一方攪拌子制御回路45は、移動テーブル41上に載置されている全ての液体容器B,B1に対する確認処理が完了したと判断した場合には(ST16のYES)、次に、この確認処理において、攪拌子Sが保持されていなかった液体容器B1が存在したか否かを改めて確認する(ST17)。攪拌子Sが保持されていない液体容器B1が存在する場合には(ST17のYES)、攪拌子制御回路45は、出力回路48に指示を出して医療従事者に対してその旨報知させる(ST18)。
さらに、攪拌子制御回路45は、確認結果に基づく修正がなされたか否か、確認する(ST19)。この修正とは、例えば、医療従事者が出力回路48による報知を受けて、該当する液体容器B1を外装体42から取り出して攪拌子Sを入れて、改めて外装体42内に保存するものである。攪拌子制御回路45は、医療従事者によるこのような処理を、例えば、蓋422の開閉がなされたか否かによって判断する。
攪拌子制御回路45は、医療従事者による修正が完了していないと判断する場合には(ST19のNO)、医療従事者による修正がなされるまで待機となる。一方、医療従事者による修正が完了したと判断した場合には(ST19のYES)、これで事前チェックを完了する。
なお、攪拌子Sが保持されていない液体容器B1が存在しない場合には(ST17のNO)、全ての液体容器B1内に攪拌子Sが保持されていることになるので、これで事前チェックが完了する。
以上で、上述した「事前チェック」が完了する。次に、「攪拌処理」が開始される。なお、事前チェックから攪拌処理への遷移については、自動的に遷移することとしても、或いは、医療従事者によって攪拌処理に移行させることとしても良い。
次に、攪拌装置40によって実行される攪拌処理について説明する。図7は、実施の形態における攪拌装置40の攪拌処理の流れを説明するフローチャートである。
まず、攪拌子制御回路45は、攪拌の対象となる液体容器B1が攪拌位置に配置されているか否かを確認する(ST21)。液体容器B1がいずれの場所に配置されているかについては、例えば、記憶回路47に記憶されている、移動テーブル41の位置情報と情報取得装置Dが取得した液体容器B1の保持内容に関する情報とから攪拌子制御回路45が判断する。従って、液体容器B1が攪拌位置に配置されていない場合には(ST21のNO)、移動テーブル41を回転させて攪拌の対象となる液体容器B1を攪拌位置まで移動させる(ST22)。
攪拌子制御回路45が、液体容器B1が攪拌位置に配置されていると判断した場合には(ST21のYES)、次に駆動装置43を始動する(ST23)。駆動装置43が駆動することによって、磁力発生装置431から液体容器B1内に保持されている攪拌子Sに磁力が付加され、攪拌子Sが回転を開始する。
上述した通り、駆動装置43の電源433から駆動モータ432を介して磁力発生装置431に印加される電流値については、電流検出器441を介して検出回路44において検出されている。そこで、攪拌子制御回路45は、検出結果比較機能を用いて、検出回路44において検出された電流値と、記憶回路47に記憶されている、攪拌処理において検出され得る電流値のデータ(基準データ)とを比較する(ST24)。
その結果、検出された電流値が基準データの電流値よりも低い値を示した場合には(ST25のYES)、攪拌子制御回路45は、駆動装置43を停止させる(ST26)。検出された電流値が基準データの電流値よりも低い値を示した場合、攪拌子Sが正常に回転せず、例えば、脱調の状態にある可能性があるからである。
そこで、攪拌子制御回路45は、出力回路48を介して医療従事者に対して、脱調の状態にある可能性を報知する(ST27)。その上で、駆動制御回路46を介して移動テーブル41を回転させて、対象となる液体容器B1を取り出し位置まで移動させる(ST28)。
医療従事者は、蓋422を開けて、液体容器B1内の攪拌子Sの状態を確認する。攪拌子制御回路45は、例えば、蓋422の開閉状態を検出して、医療従事者が比較結果に基づく修正を行ったか否かを確認する(ST29)。もし蓋422が開かれていないのであれば、まだ修正が行われていないので、待機となる(ST29のNO)。
一方、蓋422が開閉されたことを検出した場合には、修正が行われたと判断できるので(ST29のYES)、改めて当該液体容器B1を攪拌位置へと移動させるべく、ステップST21に戻って攪拌処理を開始する。
検出された電流値が基準データの電流値と同じような値を示した場合には(ST25のNO)、攪拌子制御回路45は、計時機能を用いて、当該液体容器B1の攪拌処理に必要な時間を計測し始める(ST30)。
攪拌処理の対象となる液体容器B1であっても、個々に攪拌処理に必要とされる時間は異なることも考えられる。そこで、攪拌子制御回路45は、液体容器B1の保持内容に関する情報を基に、攪拌処理に必要とされる時間を把握し、計時機能を用いて攪拌処理の時間を計測しつつ攪拌処理を実行する。
所定の時間が経過しない場合には(ST30のNO)、攪拌子制御回路45は、引き続き攪拌処理を行う。一方、所定時間が経過した場合には(ST30のYES)、駆動装置43を停止して(ST31)、攪拌処理を完了させる。
なお、ここでは、攪拌処理を完了させる場合に、駆動装置43を停止することとした。しかしながら、このことは、例えば、必ずしも駆動装置43が完全に停止してから液体容器B1が攪拌位置から離れる、ということを示すものではない。すなわち、駆動装置43が停止せずとも、移動テーブル41が回転して攪拌処理の対象となる液体容器B1が攪拌位置から離れて磁力が及ばない位置に移動するように処理しても良い。
ここから攪拌子制御回路45は、次に当該液体容器B1の攪拌を行う時期を把握するべく、計時機能を用いて、次回の攪拌処理が開始されるまでのインターバルの計測を開始する(ST32)。液体容器B1が保持する液体L(試薬)の性質上、1度攪拌処理をすればその後の攪拌処理が不要になるわけではなく、ある間隔をもって攪拌処理を定期的に行う必要がある。
攪拌子制御回路45は、所定の間隔(インターバル)が経過したか否かを計時し経過していない場合には(ST33のNO)、そのまま待機となる。また、併せて当該液体容器B1に対する攪拌処理が完了したか否かも確認する(ST34)。攪拌処理が完了していない場合には(ST34のNO)、所定の間隔が経過したか否かの確認を継続する。
そして、所定の間隔が経過したと判断される場合には(ST33のYES)、ステップST21に戻って改めて当該液体容器B1が攪拌位置に配置されたか否かの確認を行い、攪拌処理が実行される。
当該液体容器B1に対する必要な攪拌処理が完了した場合には(ST34のYES)、攪拌処理が完了する。
以上説明した通り、少なくとも1つの実施の形態によれば、上述した攪拌装置を用いることで、液体容器内への攪拌子の入れ忘れや液体容器内へ入れた攪拌子の脱調を自動的に検知することにより、液体が適切に攪拌されず検査結果が異常値になることを回避し、測定精度を担保することが可能となる。
なお、ここまでの説明では、液体容器B1内に攪拌子Sを入れ忘れた場合、或いは、脱調が生じているか否かについては、電流検出器441を用いて電源433から駆動モータ432に流れる電流の電流値を検出することで判別していた。但し、攪拌子Sの動作を検出する方法としては、当該方法に限定されない。
例えば、駆動モータ432の単位時間当たりの回転数を検出することによっても攪拌子Sの動作状態を検出することが可能である。すなわち、液体容器B1内に攪拌子Sが含まれていない場合には、駆動モータ432の負荷はゼロとなる。従って、駆動モータ432の回転数は駆動モータ432に入力される電圧と釣り合う回転数となる。一方、液体容器B1内に攪拌子Sが含まれている場合(正常な回転を行う場合、脱調の場合のいずれも含む)には、駆動モータ432に負荷がかかる。従って、液体容器B1内に攪拌子Sが含まれていない場合と比べて、駆動モータ432の回転数は低くなる。
例えば、理解のために、液体容器B1内に攪拌子Sが含まれている正常な場合の回転数を100rpmとすると、駆動モータ432の回転数は、脱調の場合には、例えば105〜125rpm、攪拌子Sが含まれていない場合には、例えば130rpmといった具合になる。すなわち、駆動モータ432の回転数は、攪拌子Sが含まれない場合、脱調の場合、攪拌子Sが含まれる場合の順に低くなる。
このように駆動モータ432の回転数を検出することによっても液体容器B1内に攪拌子Sが含まれているか否かの判断を行うことが可能である。特に、攪拌子が小さい場合や液体容器B1内の液体の粘度が低い場合等には、攪拌子Sの有無で生じる駆動モータ432にかかるトルク差が非常に小さくなる。そのため、このような場合には、電流値の検出結果を利用するよりもより確実に攪拌子Sの有無を判断することが可能である。
また、駆動モータ432の回転数を検出する場合、短時間における検出処理では電流値の検出の場合と同様、駆動モータ432の回転数の差分を検出する。但し、検出された当該差分が小さく、攪拌子Sの有無の判断が難しい場合も考えられる。このような場合には、駆動モータ432の回転数(回転速度)ではなく、駆動モータ432が回転した「回数」を把握することで判断することも可能である。さらに、例えば、何秒で何回転したかを把握し積算値を用いることでより確実な判断が可能となる。
すなわち、1秒といった短い時間における攪拌子の有無による回転の回数の差分は小さくとも、これらの回数を積算することによって、液体容器B1内に攪拌子Sが含まれている場合と攪拌子Sが含まれていない場合との差が明確に把握できる。例えば、1秒計測した場合に、攪拌子Sが含まれている場合の回転の回数が50回転、攪拌子Sが含まれていない場合の回転の回数が52回転であるとする。この場合の差分は微少であり誤差であるか否かを判断することは困難である。一方で、これらの回転の回数を、例えば1分間計測して積算すると、攪拌子Sが含まれている場合の回転の回数は3000回転、攪拌子Sが含まれていない場合の回転の回数は3120回転となり、回転数の差分の絶対値は大きくなるとともに、積算時間が長くなることにより誤差が平滑化され、攪拌子Sの有無を明確に把握することができる。
なお、駆動モータ432の回転数を検出する構成としては、例えば、エンコーダ、フィトインタラプタ、磁気検知器等の、既知の機器を用いることが可能である。
なお、ここでは、攪拌装置による事前チェック及び攪拌処理については、自動分析装置の状態、例えば、自動分析装置の電源がONとなっているか、に左右されずに行われる処理として説明した。従って、たとえ自動分析装置の電源がOFFの状態であっても攪拌装置は上記各処理を行うことができる。一方で、攪拌装置の電源のON、OFFを自動分析装置の電源のON、OFFと連動させる場合には、自動分析装置の電源がONの状態に限って上述した各処理が行われることになる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。