JP2019172648A - 化粧料添加剤、及びこれを含む化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】ソフトフォーカス性または/および皺隠し効果を付与するために化粧料に配合される添加剤の提供。【解決手段】アルミナ−シリカ系粒子を有する化粧料添加剤であって、当該アルミナ−シリカ系粒子が、下記特性を有するものであることを特徴とする化粧料添加剤:(1)走査型電子顕微鏡観察による一辺の長さが0.3〜20μmの立方体一次粒子からなる、(2)液浸法による屈折率が1.48〜1.52である、(3)コールターカウンター法による体積基準平均粒径が1〜20μmである、(4)JIS K5101−13−2による吸油量が10ml/100g以上50ml/100g未満である、(5)BET法による比表面積が20m2/g以下である。【選択図】なし

Description

本発明はソフトフォーカス性または/および皺隠し効果を付与するために化粧料に配合される添加剤として好適に使用されるアルミナ−シリカ系粒子に関する。つまり、本発明はソフトフォーカス性または/および皺隠し効果を有するアルミナ−シリカ系粒子の化粧料添加剤としての用途に関する。
ファンデーション、ベースメーカー、口紅などの化粧料では、ソフトフォーカス性と呼ばれる性質が要求される。このソフトフォーカス性は、例えば化粧料を肌に塗って化粧膜を形成したとき、肌の表面がぼやけることで、肌のシミ、そばかす、毛穴または小皺などがみえにくくなる性質をいい、化粧塗膜に当った光(全照射光)のうち、化粧塗膜を直進せずに、拡散した光の割合が多いことを意味する。
化粧料から形成される化粧塗膜にこのようなソフトフォーカス性を付与するために、従来からシリカ等の無機粉末が使用されている。例えば特許文献1には、球形のシリカ等がソフトフォーカス性を付与するのに有効であることが報告されている。また、特許文献2および3には、ポリアクリルアミドやカルボキシメチルセルロースを凝集成長剤として使用し、この凝集成長剤の存在下でケイ酸アルカリを酸で中和することにより製造された球状のシリカ粒子を化粧料用の填材として使用することが記載されている。さらに、特許文献4には、ケイ酸アルカリを凝集成長剤の存在下で酸と反応させてシリカを製造するに際して、部分中和によりシリカの粒状物を生成し、次いで、反応系中に残存する未中和のケイ酸アルカリを徐々に中和することにより、生成しているシリカの粒状物上にシリカを析出させるという手法により、従来の球状シリカに比して一次粒子径が大きい円形度0.7〜0.85のシリカ粒子が得られること、このシリカ粒子は、化粧料に優れたソフトフォーカス性を付与するとともに、その持続性も優れていることが記載されている。
特開2001−199839号公報 特開平05−193927号公報 特開平07−232911号公報 特開2010−184856号公報
前記特許文献1〜3に記載されている球状のシリカ粒子では、化粧料に配合することでソフトフォーカス性を発揮したとしてもその持続性に問題がある。具体的には、肌に塗布して化粧膜を形成したとき、経時的にその光学的性質が変化したり、汗などにより肌から脱落したりしてしまい、ソフトフォーカス性が短時間で低下もしくは損なわれてしまうという問題がある。特許文献4に記載されているシリカ粒子は、当該持続性の問題を改善したものである。具体的には、特許文献4に記載のシリカ粒子は吸油量が高いため、汗などを速やかに吸収する特性を有し、しかも円形度が0.7〜0.85とやや球形から変形しているため、肌の表面から脱落しにくい。このため、化粧塗膜中に安定に存在し、持続して優れたソフトフォーカス性を付与することができる。
これらの特許文献1〜4に記載のシリカ粒子は、いずれも真球状もしくは円形度の高い球形状であることから、化粧料に配合したときに高い滑り性を付与することができる。しかし、高い滑り性は、肌に塗布したときに伸びやすい反面、上滑りの原因ともなり、肌馴染み感や肌密着感の低下、ひいてはカバー力の低下を招く。特にシミ、そばかす、小皺などをみえにくくするには、肌へのカバー力を保ちながら肌表面に均一に伸び、肌と一体化するように密着することも必要であり、そのためには適度な滑り性と留まり性を有することが求められる。
本発明は、従来公知のシリカ粒子とは異なる粒子特性を有しており、化粧料に優れたソフトフォーカス性、小皺隠し効果、または/および良好な使用感を付与することのできるアルミナ−シリカ系粒子について、化粧料添加剤としての新たな用途を提供することを目的とする。
本発明者らは、ケイ酸ソーダとアルミン酸ソーダから製造したゼオライトを酸と反応させることで調製される特定の性状および物性を有するアルミナ−シリカ系の立方体形状粒子が、化粧料に配合することにより、当該化粧料に優れたソフトフォーカス性を付与すること、また小皺や毛穴を目立たなくする効果を発揮することを見出した。また当該粒子は適度な滑り特性を有し、当該粒子を配合した化粧料は、肌に塗布した場合にスムーズに伸び広がるとともに、肌に密着することで適度に伸び留まり、伸びの良さと肌馴染み(肌密着性)の良さ、ひいては使用感の良さを備えることが確認された。
さらに研究を重ねたところ、前記アルミナ−シリカ系粒子を常温硬化型シリコーン組成物で表面処理して疎水化することで粒子間の滑り性を向上させることができ、その結果、肌に塗布した場合に適度な留まり性を維持しながらもさらに滑り性を向上させることができ、また皺隠し効果も向上することを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである。
(I)化粧料添加剤
(I−1)アルミナ−シリカ系粒子を有する化粧料添加剤であって、
当該アルミナ−シリカ系粒子が、下記特性を有するものであることを特徴とする化粧料添加剤:
(1)走査型電子顕微鏡観察による一辺の長さが0.3〜20μmの立方体一次粒子からなる、
(2)液浸法による屈折率が1.48〜1.52である、
(3)コールターカウンター法による体積基準平均粒径が1〜20μmである、
(4)JIS K5101−13−2による吸油量が10ml/100g以上50ml/100g未満である、
(5)BET法による比表面積が20m/g以下である。
(I−2)上記アルミナ−シリカ系粒子のガス吸着法による水分吸着量が0〜5%であることを特徴とする、(I−1)記載の化粧料添加剤。
(I−3)上記アルミナ−シリカ系粒子が、SiO/Alのモル比が1.8〜5の範囲にある組成を有し、X線回折学的に実質上非晶質なものである、(I−1)または(I−2)記載の化粧料添加剤。
(I−4)(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面が疎水化処理されてなる疎水化アルミナ−シリカ系粒子を有する化粧料添加剤。
(I−5)前記疎水化アルミナ−シリカ系粒子が(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面が常温硬化型シリコーン組成物の硬化物で被覆されてなるものである、(I−4)に記載する化粧料添加剤:
ここで常温硬化型シリコーン組成物は、
ジアルキルシロキサンユニットと、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットとを含有する第1オリゴマーと、
ジアルキルシロキサンユニットを含有せず、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットを含有する第2オリゴマーと、
シリコーンオイルと、
触媒と、
有機溶剤とを含有する常温硬化型シリコーン組成物であって、
前記第1オリゴマーと前記第2オリゴマーとの総量の、前記常温硬化型シリコーン組成物における割合が20質量%以上、50質量%以下であり、
前記第1オリゴマーの、前記第2オリゴマー1質量部に対する割合が0.15質量部以上、10質量部以下であり、
前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が100mm/s以上であり、
前記触媒が、金属アルコキシド、金属キレート化合物および金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくともlつであり、
前記有機溶剤の20℃における蒸気圧がlkPa以上であることを特徴とする。
(I−6)前記疎水化アルミナ−シリカ系粒子において、表面に被覆された常温硬化型シリコーン組成物の硬化物10質量部に対するアルミナ−シリカ系粒子の割合が質量比で90質量部以下である、(I−5)に記載の化粧料添加剤。
(I−7)前記疎水化アルミナ−シリカ系粒子が、(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面がメチルハイドロジェンシリコーンオイルで被覆し、加熱表面処理されてなるものである、(I−4)に記載する化粧料添加剤。
(I−8)前記アルミナ−シリカ系粒子または疎水化アルミナ−シリカ系粒子が下記(a)〜(d)のいずれか一つの特性を有する(I−1)〜(I−7)のいずれかに記載する化粧料添加剤:
(a)平均摩擦係数(MIU): 0.3〜0.7
(b)隠ぺい性指数:6以下
(c)皺ぼかし性指数:32以下
(d)Haze:30〜80。
(I−9)前記化粧料添加剤がソフトフォーカス性付与剤、皺隠し効果付与剤(凹凸補正剤)、および/または伸展性付与剤である、(I−1)〜(I−8)のいずれかに記載する化粧料添加剤。
(II)疎水化アルミナ−シリカ系粒子の製造方法
(II−1)(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子をメチルハイドロジェンシリコーンオイルで被覆し、熱処理する工程を有する、表面が疎水化されたアルミナ−シリカ系粒子の製造方法。
(II−2)下記(A)及び(B)の工程を有する、表面が疎水化されたアルミナ−シリカ系粒子の製造方法:
(A)(I−1)〜(I−3)のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面を常温硬化型シリコーン組成物でコーティングする工程:
ここで常温硬化型シリコーン組成物は、
ジアルキルシロキサンユニットと、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットとを含有する第1オリゴマーと、
ジアルキルシロキサンユニットを含有せず、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットを含有する第2オリゴマーと、
シリコーンオイルと、
触媒と、
有機溶剤とを含有し、
前記第1オリゴマーと前記第2オリゴマーとの総量の、前記常温硬化型シリコーン組成物における割合が20質量%以上、50質量%以下であり、
前記第1オリゴマーの、前記第2オリゴマー1質量部に対する割合が0.15質量部以上、10質量部以下であり、
前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が100mm/s以上であり、
前記触媒が、金属アルコキシド、金属キレート化合物および金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくともlつであり、
前記有機溶剤の20℃における蒸気圧がlkPa以上である:及び
(B)前記アルミナ−シリカ系粒子の表面にコーティングされた常温硬化型シリコーン組成物を硬化する工程。
(II−3)表面が疎水化されたアルミナ−シリカ系粒子が下記(a)〜(d)のいずれか一つの特性を有するものである(II−1)または(II−2)に記載する製造方法:
(a)平均摩擦係数(MIU): 0.3〜0.6
(b)隠ぺい性指数:5以下
(c)皺ぼかし性指数:28以下
(d)Haze:34〜80。
(II−4)疎水化アルミナ−シリカ系粒子において、表面に被覆された常温硬化型シリコーン組成物の硬化物10質量部に対するアルミナ−シリカ系粒子の割合が90質量部以下になるように製造する方法である、(II−2)または(II−3)に記載する製造方法。
(II−5)前記有機溶剤が、アルコール系溶剤であることを特徴とする、(II−2)〜(II−4)のいずれかに記載の製造方法。
(II−6)前記有機溶剤の、前記第1オリゴマーと前記第2オリゴマーと前記シリコーンオイルとの総量100質量部に対する割合が40〜300質量部であることを特徴とする、(II−2)〜(II−5)のいずれかに記載の製造方法。
(II−7)前記触媒の、前記第1オリゴマーと前記第2オリゴマーとの総量100質量部に対する割合が2〜55質量部であることを特徴とする、(II−2)〜(II−6)のいずれかに記載の製造方法。
(III)化粧料
(III−1)(I−1)〜(I−9)のいずれかに記載する化粧料添加剤を含有することを特徴とする化粧料。
(III−2)上記化粧料添加剤を1〜50質量%の割合で含有する(III−1)に記載する化粧料。
(III−3)上記化粧料がメイクアップ化粧料である、(III−1)または(III−2)に記載する化粧料。
本発明で使用するアルミナ−シリカ系粒子は、化粧料に配合したとき、その粒子形状、粒径、屈折率、比表面積または/および水分吸着量等の特性に基づいて、当該化粧料に高い光散乱性を付与することができる。つまり、本発明粒子を配合した化粧料は、光が多重散乱しながらその化粧膜を透過することとなり、その結果、透過光のうち拡散光が占める割合が多くなり、優れたソフトフォーカス性を付与することができる。
また本発明で使用するアルミナ−シリカ系粒子は、化粧料に配合したとき、特にその粒子形状および粒径に基づいて、小皺などの肌の皮溝に落ち込まず上手く蓋をして被覆することで皺隠し効果を発揮することができる。同様に、肌の毛穴を良好に被覆カバーし化粧後の肌のキメを整える効果(凹凸補正効果)を発揮することができる。
さらに本発明で使用するアルミナ−シリカ系粒子は、立方体形状であるため平面固着面積が大きく、化粧料に配合し、肌に塗布した場合に肌から物理的に取れにくく、ロングラスティング効果を発揮することができる。
また前記アルミナ−シリカ系粒子の表面を、例えばメチルハイドロジェンシリコーンオイルまたは常温硬化型シリコーン組成物等の疎水化処理剤で処理して疎水化することで、粒子間の滑り性を向上させることができる。その結果、肌に塗布した場合に適度な留まり性を維持しながらもさらに滑り性を向上させることができ、また皺隠し効果も向上させることができる。
製造例1で製造した本発明のアルミナ−シリカ系立方体粒子1(実施例1)を走査型電子顕微鏡で観察し撮影した写真画像を示す。 製造例2で製造した本発明のアルミナ−シリカ系立方体粒子2(実施例2)を走査型電子顕微鏡で観察し撮影した写真画像を示す。 製造例3で製造した本発明のアルミナ−シリカ系立方体粒子3(実施例3)を走査型電子顕微鏡で観察し撮影した写真画像を示す。 製造例1で製造した本発明のアルミナ−シリカ系立方体粒子1(実施例1)のX線回折プロファイルを示す。
(I)アルミナ−シリカ系立方体粒子
本発明の化粧料添加剤を構成するアルミナ−シリカ系立方体粒子(以下、単に「本発明粒子」とも称する)は、下記の性状および特性を備えていることを特徴とする。
(1)走査型電子顕微鏡観察による一辺の長さが0.3〜20μmの立方体一次粒子からなる。
(2)液浸法による屈折率が1.48〜1.52である。
(3)コールターカウンター法による体積基準平均粒径が1〜20μmである。
(4)JIS K5101−13−2による吸油量が10ml/100g以上50ml/100g未満である。
(5)BET法による比表面積が20m/g以下である。
以下、本発明粒子のこれらの特徴についてそれぞれ説明する。
なお、本発明において「ソフトフォーカス性」とは、本発明粒子を配合したファンデーション等の化粧料を肌に塗った際に、光散乱効果によってシミ、ソバカス、毛穴、および小皺等をぼかして目立たなくし、なめらかな肌にみえるように、肌の見え方を調節する作用をいう。当該「ソフトフォーカス性」は後述する実験例1に示すように、Hazeメーターを用いて評価することができる。
(1)形状および粒径
本発明粒子は、一次粒子の形状が立方体であり、走査型電子顕微鏡観察による一辺の長さが0.3〜20μmであることを特徴とする。好ましくは0.5〜20μmであり、よりこの好ましくは1.5〜12μmである。一例として製造例1〜3で製造した本発明粒子(実施例1〜3)の一次粒子を走査型電子顕微鏡で観察した画像を図1〜3に示す。これらの図に示すように、本発明粒子は大略6面と8つの角(かど)からなる立方体形状を有し、形状および大きさがほぼ整った一次粒子(微粒子)である。こうした形状を有する本発明粒子は、光散乱性能(光拡散能)が高く、良好なソフトフォーカス性を発揮することができる。また肌触りおよび肌すべり性も良好である。ここで肌すべり性が良好とは、単に高い肌すべり性を有するというのではなく、肌に塗布したときに適度に肌に密着して留まりながら肌表面に均一に伸びること、つまり適度なすべり性と留まり性を有することを意味する。
一般に、球状(真球状を含む)の微粒子は、小皺等の肌の皮溝に落ちて充填することで小皺を隠す効果があると言われているが、実際には光線により皮溝に沿った線が浮き出て、却って小皺が目立つという問題がある。これに対して、本発明粒子は、立方体形状を有するため、肌表面で複数の粒子が絡み合い、小皺等の皮溝に蓋をするように肌を被覆することができるため小皺を隠す効果に優れている。同様の理由で毛穴を隠す効果にも優れ、肌の凹凸をなめらかにして化粧後の肌のキメを整える効果に貢献することができる。さらに本発明粒子は、立方体形状であるため平面固着面積が大きく、化粧料に配合し、肌に塗布した場合に肌から物理的に取れにくく、ロングラスティング効果を発揮することができる。
(2)屈折率
本発明粒子は、屈折率が1.48〜1.52であることを特徴とする。
ここで屈折率は、液浸法によって求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載するように、屈折率が異なる2つの溶媒(α−ブロムナフタレンとケロシン)を用いて様々な屈折率を有する溶媒を調製し、Larsenの油浸法に従って、スライドガラス上に採った本発明粒子に上記溶媒を浸漬させた後に、光学顕微鏡でベッケ線の移動を観察することで求めることができる。
当該屈性率はソフトフォーカス性に影響する。化粧料に配合した場合に、当該化粧料中の液体成分や汗の水分との屈折率差が適度にあるとその界面で光が散乱することによりソフトフォーカス性を発揮する。一般に屈折率差の小さいシリカ系粒子は汗などの水に濡れると透明になり、隠蔽効果が著しく低下するが、アルミナ−シリカ系粒子である本発明粒子は水に濡れても透明になりにくい。このため、汗をかいてもソフトフォーカス性が維持されて適度な隠蔽性を発揮することができる。そのために、本発明粒子は、屈折率として、好ましくは1.48〜1.52,より好ましくは1.49〜1.51を有することが望ましい。
(3)体積基準平均粒径
本発明粒子は、体積基準平均粒径が1〜20μmであることを特徴とする。
ここで体積基準平均粒径は、コールターカウンター法によって求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載するように、本発明粒子0.5gを脱イオン水150mlに分散させた分散液をコールターカウンターに供して、体積基準粒度分布を測定し、体積基準の中位径(D50)を求めることで、当該粒子の体積基準平均粒径を得ることができる。
光の波長より粒子径が大きいと光散乱効果が生じるため体積基準平均径は1μm以上であることが好ましい。実験例1(表1)に示すように、本発明粒子の場合、体積基準平均粒径が小さくなるにつれて、Haze値(曇度)は上昇し、ソフトフォーカス性が向上する。理論に拘束されないものの、これは、化粧料への重量ベースでの添加量が同じ場合、体積基準平均粒径が小さい粒子のほうが多くの粒子を配合することができるため、光散乱効果が高くなることによるものと考えられる。ソフトフォーカス性の観点から、体積基準平均粒径は12μm以下であることが好ましい。一方、本発明粒子の場合、体積基準平均粒径が大きくなるにつれて、皺隠し効果が向上する。これも理論に拘束されないものの、体積基準平均粒径がある程度大きいほうが皮溝への被覆効果が高くなることによるものと考えられる。ソフトフォーカス性と皺隠し効果(凹凸補正効果)の両面から、本発明粒子の体積基準平均粒径として、好ましくは1〜10μmであり、なかでも高いソフトフォーカス性の観点からより好ましくは1.5〜4μmである。
(4)吸油量
本発明粒子は、その吸油量が10ml/100g以上50ml/100g未満の範囲にあることを特徴とする。
ここで吸油量はJIS.K.5101−13−1:2004(精製あまに油法)に準拠して求めることができる。具体的には、本発明粒子に精製あまに油を徐々に加えて混合し、適度な硬さのペーストになった時点の精製あまに油量(ml/100g)から求めることができる。
一般に、表面に細孔を有する多孔質粒子は吸油量も大きい。しかし、比表面積や水分吸着量と同様に、化粧料に配合したりそれを肌に塗布した場合、化粧料中の液体成分や汗が微粒子表面の細孔に浸透することで、粒子表面が濡れた状態となり、屈折率が低下してソフトフォーカス性が低下してしまう問題がある。これに対して、本発明粒子は、上記の通り、吸油量が小さいことから、本発明粒子の存在環境状態にかかわらず、当該粒子本来の屈折率が損なわれ難く、本来の屈折率等に応じて高いソフトフォーカス性を発揮することができる。この観点から、本発明粒子の吸油量は、好ましくは10〜45ml/100g、より好ましくは10〜35ml/100gであることが望ましい。
また当該吸油量は、本発明粒子を化粧料に配合した場合に当該化粧料の皮脂吸収能に影響する。吸油量が高すぎる場合は肌から皮脂を脱脂する能力が高くなり、ぱさつきや痒みなどが生じるなど、肌に負担をかける場合がある。本発明粒子は、吸油量が上記範囲にあることから、肌からの脱脂が適度に抑えられており、肌への負担が少ないという特徴を有する。
(5)比表面積
本発明粒子は、前述する粒子形状および粒度特性を有することに関連して、BET法による比表面積が20m/g以下であることを特徴とする。好ましくは1〜10m/g、より好ましくは1〜5m/gである。
一般に、表面に細孔を有する多孔質粒子は比表面積が大きい。しかし、この場合、化粧料に配合した場合に当該化粧料中の液体成分が微粒子表面の細孔に浸透したり、また肌塗布後に汗が微粒子表面の細孔に浸透することで、粒子表面が液体に濡れた状態となり、当該粒子本来の屈折率が低下してソフトフォーカス性が低下するという問題がある。これに対して、本発明粒子は、上記の通り、比表面積が小さいことから、本発明粒子の存在環境状態にかかわらず、当該粒子本来の屈折率が損なわれ難く、本来の屈折率等に応じて高いソフトフォーカス性を発揮することができるという特徴を備える。
本発明粒子は、上述した化学的および物理的性質に加えて、さらに幾つかの化学的および物理的性質を有する。
(6)水分吸着量
本発明粒子は、水分吸着量が0〜5%であることを特徴とする。
ここで水分吸着量はガス吸着法によって求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載するように、予め本発明粒子を150℃の真空条件下に2時間放置して前処理した後に、当該粒子について水蒸気分圧P(P/P)0.001〜0.9の範囲における水分吸着等温線を求め(平衡判定時間:300秒)、水蒸気分圧P(P/P)0.75における測定値を、本発明粒子単位質量あたりの水分吸着量(質量%)に換算して求めることができる。
当該水分吸着量は、本発明粒子を化粧料に配合した場合に肌の保湿性に影響する。水分吸着量が高すぎる場合は肌の潤いを与える水分を皮脂から奪う力が高くなり、かさつきや痒みなどが生じるなど、肌に負担をかける場合がある。本発明粒子は、水分吸着量が上記範囲にあることから、肌の保湿性が適度に維持されるという特徴を有する。この観点から、本発明粒子の水分吸着量は、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%であることが望ましい。
(7)SiO /Al のモル比
本発明粒子は、SiO/Alのモル比が1.8〜5の範囲にある組成を有することを特徴とする。好ましくは1.85〜2.5、より好ましくは1.9〜2.1である。
本発明粒子は、SiO/Alのモル比が上記範囲にあることで、前述するような一定の粒度を有する立方体形状を有することができる。つまり、当該モル比は本発明粒子の形状を構成するうえで有用な要件である。
(8)非晶質性
本発明粒子は実質的に非晶質であることを特徴とする。ここで「実質的に非晶質」とはX線回折法で測定した場合に無定形であり結晶化が認められないことを意味する。なお、X線回折法による結晶化度の測定方法は、後述する実施例に記載の通りである。
(9)見掛比重
本発明粒子は、その見掛比重が0.5〜1.1g/cmの範囲にあることを特徴とする。
ここで見掛比重はJIS.K.6220−1:2001 7.7に記載する方法に準拠して求めることができる。具体的には、後述する実施例に示すように、本発明粒子に一定の荷重をかけてそのときの比重を測定することで求めることができる。
当該見掛比重は吸油量と連動するパラメータである。このため、見掛比重が小さいと吸油量が高くなり、皮脂から脱脂する能力が高くなる傾向がある。本発明粒子は、見掛比重が上記範囲にあることから、肌からの脱脂が適度に抑えられており、肌への負担が少ないという特徴を有する。この観点から本発明粒子の見掛比重は、好ましくは0.5〜1.1g/cm、より好ましくは0.65〜1.1g/cmであることが望ましい。
(10)強熱減量
本発明粒子は、その強熱減量が0〜6%の範囲にあることを特徴とする。
ここで強熱減量はJIS.K.0067:1992 4.2に記載する強熱減量試験方法に準拠して求めることができる。具体的には、後述する実施例に示すように、本発明粒子を所定量蒸発皿に入れて電気炉にて860℃で20分間強熱し、強熱後によって減少した被験試料の質量を測定することで求めることができる。
強熱減量は水分吸着量と連動するパラメータであるため、化粧料に配合した場合に肌の保湿性に影響する。強熱減量が高すぎる場合は肌の潤いを与える水分を奪う力が高くなる。本発明粒子は、強熱減量が上記範囲にあることから、肌の保湿性が適度に維持されるという特徴を有する。この観点から本発明粒子の強熱減量は、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜3%であることが望ましい。
(11)ハンター白色度
本発明粒子は、その白色度が80〜100%の範囲にあることを特徴とする。当該白色度はハンター白色度試験法に基づいて測定することができる。具体的には、後述する実施例に示すように、青色フィルター(実効波長457nm)を有するハンター反射率計を用いて測定することができる。
本発明粒子の白色度は上記の通りであり、化粧料に配合するには十分な白色度を有している。白色度が80%より低いと化粧料に配合したとき肌がくすんで見えることから望ましくない。この観点から、本発明粒子の白色度は、好ましくは85〜100%、より好ましくは90〜100%であることが望ましい。
(12)Haze値(ソフトフォーカス性)
前述するように本発明粒子は、化粧料に配合することで当該化粧料にソフトフォーカス性を付与することができる。かかるソフトフォーカス性はHaze値として評価することができる。なお、Haze値は曇り(ぼかし)の度合いを示す数値であり、数値が高いほど、ソフトフォーカス性が高いことに加えて、隠蔽性(カバー力)が高いことを示す。Haze値は、「拡散透過率/全光線透過率×100」で求めることができ、通常、Hazeメーターで測定することができる。
Haze値は、具体的には、後述する実施例に記載するように、本発明粒子とシリコーンオイルとを1:9(質量比)の割合で混合し、PETシート上に厚さ20μmの塗膜を作製し、ASTM D1003に準拠してHazeメーターで測定することができる。本発明粒子の可視光線でのHaze値は35%以上である。好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは55%以上である。表1に示すように、本発明粒子は、真球状のシリカ粒子と比較して、Haze値が高く、ソフトフォーカス性に優れている。このため、これを化粧料添加剤として化粧料に配合することで、化粧料にぼかし効果を付与することができる。
(13)平均摩擦係数(滑り性)
本発明粒子は、平均摩擦係数が好ましくは0.7以下であってもよく、より好ましくは0.6以下である。平均摩擦係数は低いほど伸展性がよく、好ましいものの、肌への付着性やカバー力の点からは適度に伸び留まることも有用である。その観点から下限値としては、例えば0.3以上を挙げることができる。
平均摩擦係数は、本発明粒子の滑り性を評価する指標となる物性値であり、数値が小さくなるほど滑り性が高いことを意味する。本発明粒子の摩擦係数は、摩擦感テスター(摩擦感テスターKSE-SE:カトーテック社製)を用いて測定することができる。測定に際して、被験試料である本発明粒子をそのまま、人工皮膚に塗布することで測定される。前記所望の平均摩擦係数を有する本発明粒子によれば、人工皮膚上及び粒子間で適度な滑り性を有しており、肌に塗布したときに肌に均一に伸びるとともに、適度に伸び留まるという効果を奏する。
(14)皺隠し性の光学的評価:(a)隠ぺい性指数、(b)皺ぼかし性指数
皺隠し性は、皮膚に塗った時に、素地を隠す能力である隠ぺい効果が小さい程、そして、毛穴や小皺をぼかす効果(皺ぼかし効果)が大きい程、優れた評価となる。隠ぺい性指数及び皺ぼかし性指数は、それぞれ本発明粒子の隠ぺい効果及び皺ぼかし効果を評価する指標となる物性値であり、いずれも数値が小さくなるほど隠ぺい効果は低くて皺ぼかし効果は高く、皺隠し性が良好に発揮されることを示す。本発明粒子は、隠ぺい性指数が好ましくは6以下であってもよく、より好ましくは5以下である。下限値としては、制限されないものの、1以上を例示することができる。また本発明粒子は、皺ぼかし性指数が好ましくは32以下であってもよく、より好ましくは28以下である。下限値としては、制限されないものの、20以上、好ましくは25以上を例示することができる。
本発明粒子の隠ぺい性指数、及び皺ぼかし性指数は、後述する実施例において説明する方法で測定することができる。
(II)アルミナ−シリカ系立方体粒子の製造方法
本発明で使用される本発明粒子は、立方体の粒子形態を有する結晶性ゼオライトを、結晶構造は実質的に破壊されるものの、その粒子形態は実質的に損なわれない条件下で酸で中和して、当該ゼオライト中のアルカリ金属分を除去することで製造される。
原料として使用する結晶性ゼオライトとしては、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY等が挙げられるが、合成および入手の容易さ、並びに製造後のアルミナ−シリカ系粒子の特性から、好ましくはゼオライトAを挙げることができる。また、原料ゼオライトとして、制限されないものの、一次粒径(走査型電子顕微鏡による立方体粒子の一辺の長さ)が0.3〜20μmの範囲にあるものを用いることが好ましい。この粒径範囲にある結晶性ゼオライトによれば、本発明で使用する一次粒径が0.3〜20μmのアルミナ−シリカ系粒子を比較的温和な酸処理で、短時間のうちにアルカリ分を除去して非晶質化することができる。
結晶性ゼオライトの中和に使用する酸は、無機酸および有機酸のいずれでもよいが、経済的には硫酸、塩酸、硝酸、およびリン酸等の無機酸を好適に使用することができる。好ましくは硫酸である。通常これらの酸は、水で5〜30質量%、好ましくは10〜20質量%程度に希釈して水溶液の状態で結晶性ゼオライトとの中和反応に使用される。
結晶性ゼオライトの水性スラリーに酸を添加すると、酸の添加に伴いスラリーのpHは酸性側に移行するが、酸添加終了後、液のpHは再びアルカリ側に移行し、一定のpH値に留まる傾向がある。結晶性ゼオライト中のアルカリ金属分を除去して、安定な非晶質化物を形成するためには、この安定時のpHが3〜7、好ましくはpH4〜6.5になるように酸を添加することが望ましい。
結晶性ゼオライトを酸処理しアルカリ分が溶出除去されることで得られる非晶質アルミナーシリカ系立方体粒子は、濾過し、必要により水洗し、乾燥した後、焼成することで製造される。焼成は、制限はされないものの、調製される非晶質アルミナ−シリカ系立方体粒子のガス吸着法による水分吸着量が前述するように0〜5%になるように、例えば電気炉を用いて300〜800℃で0.5〜24時間程度行われることが好ましい。
(III)疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子、及びその製造方法
本発明の疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子は、前述するアルミナ−シリカ系立方体粒子(本発明粒子)の表面を疎水化処理(撥水処理)することで調製することができる。かかる疎水化処理は、特に制限されず、例えばシリコーンによる撥水表面処理などの従来公知の方法を用いることができる。かかるシリコーン処理としては、粒子表面をシリコーンオイルで塗布する方法(特開2007−176738号公報等)、粒子表面をメチルハイドロジェンシリコーン(医薬部外品名称メチルハイドロジェンポリシロキサン)を塗布して100〜180℃で熱処理する方法(特開2005−350588号公報)、フッ素を含むホウ素系触媒を用いてハイドロジェンシランと反応させて表面をシリル化する方法(WO2015/136913号)などを制限なく例示することができる。好ましくは、前述するアルミナ−シリカ系立方体粒子(本発明粒子)の表面をメチルハイドロジェンシリコーンで被覆して、加熱処理する方法である。加熱温度は、制限されないものの、上記するように100〜180℃を例示することができる。
他の方法として、前述するアルミナ−シリカ系立方体粒子(本発明粒子)の表面を常温硬化型シリコーン組成物で被覆することで調製することもできる。つまり、当該疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子は、前述する本発明粒子の表面が常温硬化型シリコーン組成物の硬化物で被覆されてなるものである。
(1)常温硬化型シリコーン組成物
アルミナ−シリカ系立方体粒子のコーティングに使用される常温硬化型シリコーン組成物は、常温で被膜を形成して硬化することができる組成物である。ここで、常温とは加熱(具体的には50℃以上の加熱)をしない温度であり、例えば50℃未満、好ましくは40℃以下であり、また例えば0℃以上、好ましくは10℃以上である。当該常温という用語は室温と同義に使用される。
常温硬化型シリコーン組成物(以下、単に「シリコーン組成物」とも称する)は、第1オリゴマーと、第2オリゴマーと、シリコーンオイルと、触媒と、有機溶剤とを含有する。
第1オリゴマーは、被膜において、第2オリゴマーとともにシロキサンマトリックスを形成するとともに、被膜が摺擦されても、被膜におけるシリコーンオイルの非粘着性および撥水性を補助する非粘着補助剤である。これによって、被膜は、長期間経過後の非粘着性の低下を有効に抑制することができる。
第1オリゴマーは、ジアルキルシロキサンユニットと、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットとを含有する。具体的には、第1オリゴマーは、下記式(1)で示されるシロキサンオリゴマーである。
(式中、R〜Rは、互いに同ーまたは相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。Xは、シロキサンユニットである。aおよびeは、互いに同ーまたは相異なってもよく、1または2である。bは2〜20の整数であり、Cは2〜10の整数であり、dは2〜20の整数である。)
〜Rで示されるl価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、iso‐プロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル、iso‐ブチル、tert‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。好ましくはメチル基である。
〜Rで示されるl価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。好ましくはフェニル基である。
〜Rとして、好ましくはメチル基および/またはフェニル基が挙げられ、より好ましくはメチル基である。
第1オリゴマーにおいて、ユニットIはアルコキシ基含有シロキサンユニットである。つまり、ユニットIは、ROで示されるアルコキシ基を含有する。
aは、ユニットIにおいて、ケイ素原子に結合するRO−で示されるアルコキシ基の数を意味し、好ましくは2である。その場合には、ユニットIにおいて、ケイ素原子に結合するRで示される1価の炭化水素基の数(3−a)は、好ましくは1(=3−2)である。
ユニットIにおいて、Si−O−における酸素原子は、次に説明するユニットII〜ユニットIVのうち、いずれかのケイ素原子に結合している。これにより、このユニットIのSi−O−は、第1オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。
また、ユニットIは第1オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットIIは、アルコキシ基含有シロキサンユニットである。つまり、ユニットIIは、ROで示されるアルコキシ基を含有する。
bはユニットIIの数を意味する。bは、好ましくは3以上、好ましくは13以下の整数である。
ユニットIIIは、ケイ素原子に結合する2つの酸素原子を有するシロキサンユニットである。また、ユニットIIIはアルコキシ基を含有してもよい。
Xで示されるシロキサンユニットとしては、例えば、下式(2)で示されるユニットVI単独、ユニットIIおよびユニットIの組合せ(ユニットIIを介して末端にユニットIを有する場合)、ユニットIIおよびユニットVの組合せ(ユニットIIを介して末端にユニットVを有する場合)、ユニットIIおよびユニットVI(ユニットIIを介して末端にユニットVIを有する場合)の組合せが挙げられる。
ユニットVIとしては、下記式(2)で示される環状シロキサンユニットが挙げられる。
(式中、mは2以上の整数である。Zは、上記したl価の炭化水素基またはアルコキシ基である。)
で示される1価の炭化水素基としては、好ましくはメチル基が挙げられ、Zで示される1価のアルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基が挙げられる。
cは、ユニットIIIの数を意味する。cは、好ましくは6以下の整数である。
ユニットIVは、ジアルキルシロキサンユニットである。つまり、ユニットIVは、RおよびRで示されるアルキル基を含有する。dは、ユニットIVの数を意味する。dは、好ましくは6以下の整数である。
ユニットVは、アルコキシ基含有シロキサンユニットである。つまり、ユニットVはROで示されるアルコキシ基を含有する。ユニットVにおけるケイ素原子は、ユニットII〜ユニットIVのうち、いずれかの酸素原子に結合する。これにより、ユニットVにおけるケイ素原子は、第1オリゴマーにおいてシロキサン結合を構成する。また、ユニットVは、第1オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
eは、ユニットVにおいて、ケイ素原子に結合するRO−で示されるアルコキシ基の数を意味し、好ましくは2である。その場合には、ユニットVにおいてケイ素原子に結合するRで示されるl価の炭化水素基の数(3−e)は、好ましくは1(=3−2)である。
上記した各ユニットおよびその数は、H−NMRおよび29Si−NMRによって特定される。
また、第1オリゴマーを、下記の平均組成式(A)で示すこともできる。
平均組成式(A):
αSi(ORβ(4‐α‐β) (A)
(式中、RおよびRは、互いに同ーまたは相異なっていてもよく、1価の炭化水素基を示す。αは、その平均値が0.40−1.70の範囲内にある値を示す。βは、平均組成式(A)中におけるケイ素原子に結合したORの比率が5質量%以上40質量%未満になる値を示す。)
1価の炭化水素基は、上記した1価の炭化水素基と同一である。
平均組成式(A)中、Rとしては、上記した一般式(1)中の、R、R、R、R、R、Rと同様の1価の炭化水素基が挙げられ、Rとしては、上記した一般式(1)中のR、R、Rと同様の1価の炭化水素基が挙げられる。
また、平均組成式(A)中のβは、平均組成式(A)中におけるケイ素原子に結合したORの比率が、例えば10質量%以上、好ましくは20質量%以上、また、例えば35質量%以下、好ましくは30質量%以下になる値である。
具体的には、第1オリゴマーは、例えば、ジメチルシロキサンユニットとメトキシ基含有シロキサンユニットとを含有するメチル系シリコーンアルコキシオリゴマ一、メチルフェニルシロキサンユニットと、メトキシ基およびフエノキシ基を含有するシロキサンユニットとを含有するメチルフェニル系シリコーンアルコキシオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは、メチル系シリコーンアルコキシオリゴマーが挙げられる。
メチル系シリコーンアルコキシオリゴマーは、
例えば、下記式(3)で示される。
(式中、b〜dおよびXは、式(1)におけるb〜dおよびXと同一である。)
そのようなメチル系シリコーンアルコキシオリゴマーは、例えばメチルトリメトキシシランおよびジメチルジメトキシシランから生成される。
第1オリゴマーの分子量は、例えば500以上、好ましくは1000以上であり、また例えば3000以下、好ましくは2000以下である。
第1オリゴマーは、市販品が用いられる。例えば、X−40−9250(式(3)中、bが8、cが4、dが4であるメチル系シリコーンアルコキシオリゴマ一、信越化学工業社製)などが例示される。
シリコーン組成物における第1オリゴマーの割合は、例えば1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、とりわけ好ましくは6質量%以上であり、また、例えば50質量%未満、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、とりわけ好ましくは20質量%以下、もっとも好ましくは10質量%以下である。
第2オリゴマーは、被膜において、第1オリゴマーとともにシロキサンマトリックスを形成する。第2オリゴマーは、ジアルキルシロキサンユニットを含有せず、アルコキシ基含有シロキサンユニットを含有する。具体的には、第2オリゴマーは、下記式(4)で示されるシロキサンオリゴマーである。
(式中、Rll〜R17は、互いに同ーまたは相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。Yは、シロキサンユニットである。fおよびiは、互いに同ーまたは相異なってもよく、1または2である。gは2〜20の整数であり、hは2〜18の整数である。)
ll〜R17で示される1価の飽和炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、n‐プロピル、iso‐プロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル、iso‐ブチル、tert‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。好ましくはメチル基である。
11〜R17で示される1価の芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル、ナフチルなどの炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。好ましくはフェニル基である。
ll〜R17として、好ましくはメチル基および/またはフェニル基が挙げられ、より好ましくはメチル基である。
第2オリゴマーにおいて、ユニットXIは、アルコキシ基含有シロキサンユニットである。つまり、ユニットXIはR12Oで示されるアルコキシ基を含有する。
fは、ユニットXIにおいてケイ素原子に結合するR12O‐で示されるアルコキシ基の数を意味し、好ましくは2である。その場合には、ユニットXIにおいてケイ素原子に結合するRllで示される1価の炭化水素基の数(3−f)は、好ましくは1(=3−2)である。
ユニットXIにおける酸素原子は、次に説明するユニットXIIまたはユニットXIIIのケイ素原子に結合している。これにより、このユニットXIのSi−O−は、第2オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。
また、ユニットXIは、第2オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットXIIは、アルコキシ基含有シロキサンユニットである。つまり、ユニットXIIは、R14Oで示されるアルコキシ基を含有する。gは、ユニットXIIの数を意味する。gは、好ましくは3以上、好ましくは17以下の整数である。
ユニットXIIIは、ケイ素原子に結合する2つの酸素原子を有するシロキサンユニットである。また、ユニットXIIIはアルコキシ基を含有してもよい。
Yで示されるシロキサンユニットとしては、例えば下式(5)で示されるユニットXV単独、ユニットXIIおよびユニットXIの組合せ(ユニットXIIを介して末端にユニットXIを有する場合)、ユニットXIIおよびユニットXIVの組合せ(ユニットXIIを介して末端にユニットXIVを有する場合)、ユニットXIIおよびユニットXV(ユニットXIIを介して末端にユニットXVを有する場合)の組合せが挙げられる。
ユニットXVとしては、下記式(5)で示される環状シロキサンユニットが挙げられる。
(式中、jは、2以上の整数である。Zは、上記した1価の炭化水素基またはアルコキシ基である。)
で示される1価の炭化水素基としては、好ましくはメチル基が挙げられ、Zで示される1価のアルコキシ基としては、好ましくはメトキシ基が挙げられる。
hは、ユニットXIIIの数を意味する。hは、好ましくは3以上、好ましくは15以下の整数である。
ユニットXIVにおけるケイ素原子は、ユニットXIIまたはユニットXIIIにおける酸素原子に結合する。これにより、ユニットXIVにおけるケイ素原子は第2オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。また、ユニットXIVは第2オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
iは、ユニットXIVにおいて、ケイ素原子に結合するR17O−されるアルコキシ基の数を意味し、好ましくは2である。その場合には、ユニットXIVにおいて、ケイ素原子に結合するR16で示される1価の炭化水素基の数(3―i)は、好ましくは1(=3−2)である。
上記した各ユニットおよびその数は、H‐NMRおよび29Si‐NMRによって、特定される。
また、第2オリゴマーを、下記の平均組成式(B)で示すこともできる。
平均組成式(B):
γSi(ORδ(4−γ−δ) (B)
(式中、RおよびRは、互いに同ーまたは相異なっていてもよく、1価の炭化水素基を示す。γは、その平均値が0.40〜1.70の範囲内にある値を示す。δは、平均組成式(B)中におけるケイ素原子に結合したORの比率が5質量%以上40質量%未満になる値を示す。)
平均組成式(B)中、Rとしては、上記した一般式(4)中のR11、R13、R15、R16と同一の1価の炭化水素基が挙げられ、Rとしては上記した一般式(4)中の、R12、R14、R17と同一の1価の炭化水素基が挙げられる。
また、平均組成式(B)中のδは平均組成式(B)中におけるケイ素原子に結合したORの比率が、例えば10質量%以上、好ましくは20質量%以上、また、例えば35質量%以下になる値である。
具体的には、第2オリゴマーは、例えばメチル系シリコーンアルコキシオリゴマー、メチルフェニル系シリコーンアルコキシオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは、メチル系シリコーンアルコキシオリゴマーが挙げられる。
メチル系シリコーンアルコキシオリゴマーとして、例えばメチルトリメトキシシランから生成されるメチル系シリコーンメトキシオリゴマーが挙げられる。
メチル系シリコーンメトキシオリゴマーは、例えば、下記式(6)で示される。
(式中、g、hおよびYは、式(5)におけるg、hおよびYと同一である。)
そのようなメチル系シリコーンアルコキシオリゴマーは、例えばメチルトリメトキシシランから生成される。
第2オリゴマーの分子量は、例えば500以上、好ましくは1000以上であり、また、例えば4000以下、好ましくは3000以下である。
第2オリゴマーは市販品が用いられる。例えばKC−89(信越化学工業社製)、KR−515(信越化学工業社製)、KR−500(式(6)中、gが10、hが4であるメチル系シリコーンアルコキシオリゴマ一、信越化学工業社製)、X−40−9225(式(6)中、gが12、hが10であるメチル系シリコーンアルコキシオリゴマ一、信越化学工業社製)、US−SG2403(東レ・ダウコーニング社製)などが例示できる。
シリコーン組成物における第2オリゴマーの割合は、例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、また、例えば50質量%未満、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
第1オリゴマーの第2オリゴマーに対する割合(第1オリゴマー/第2オリゴマー:質量比)は0.15以上、好ましくは0.16以上、より好ましくは0.18以上、さらに好ましくは0.20以上、より好ましくは0.22以上である。また、第1オリゴマーの第2オリゴマーに対する割合は10以下、好ましくは9以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下、とりわけ好ましくは2以下、さらには1.0以下、さらには0.5以下である。
第1オリゴマーの第2オリゴマーに対する割合が上記の下限を下回る場合、または、上記の上限を上回る場合、被膜の滑り性、撥水性が低下する。換言すれば、上記の割合が上記下限以上で上記上限以下であれば、被膜は高い滑り性、撥水性を発現することができる。
シリコーン組成物における第1オリゴマーおよび第2オリゴマー(硬化成分)の総量の割合は、20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上である。当該割合が上記した下限に満たなければ、第1オリゴマーおよび第2オリゴマー(硬化成分)の割合が過度に少ないため、硬化成分を常温硬化させるときに被膜を確実に形成することができない。換言すれば、上記した総量の割合が上記した下限以上であれば、硬化成分の割合が過度に少なくなることがないので、硬化成分を常温硬化させて、被膜を確実に形成することができる。
シリコーン組成物における第1オリゴマーおよび第2オリゴマー(硬化成分)の総量の割合は、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。上記した総量の割合が上記した上限を超えると、シリコーン組成物を用いて表面処理するときの粘度が高くなり、そのため、被膜の均一性が低下する。換言すれば、上記した総量の割合が上記した上限以下であれば、被覆するのに十分な低粘度となり、均一な表面処理が可能となる。
シリコーンオイルは、被膜に滑り性および撥水性を付与する成分である。シリコーンオイルは、直鎖状の主鎖を有し、例えばポリシロキサンの繰り返し構造(−(SiO)n−)を有する。シリコーンオイルとしては、例えばポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどのストレートシリコーンオイル(未変性シリコーンオイル)などが挙げられる。また、シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル以外に、主鎖の末端および/または側鎖がアルキル基、アルケニル基(ビニル基を含む)、アルキニル基、フェニル基、イオン性基などで変性された変性シリコーンオイルも挙げられる。イオン性基としては、例えば、メルカプト基などのアニオン性基、例えばアミノ基などのカチオン性基などが挙げられる。これらシリコーンオイルは、単独使用または2種以上併用することができる。
シリコーンオイルとして、好ましくは、ストレートシリコーンオイル、より好ましくは、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、市販品が用いられる。例えば、KF−96シリーズ(信越化学工業社製)、KF−965シリーズ(信越化学工業社製)、SH200シリーズ(東レ・ダウコーニング社製)、TSF451シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製)、YF−33シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製)などが例示される。
シリコーンオイルの25℃における動粘度は100mm/s以上、好ましくは200mm/s以上、より好ましくは500mm/s以上、最も好ましくは1000mm/s以上である。また、シリコーンオイルの25℃における動粘度は、例えば100万mm/s以下、好ましくは50万mm/s以下、より好ましくは10万mm/s以下、さらに好ましくは1万mm/s以下である。
シリコーンオイルの動粘度が上記した下限を下回れば、被膜に安定的に滑り性、撥水性を発現させることができない。換言すれば、シリコーンオイルの動粘度が上記した下限以上であれば、被膜に安定的に滑り性、撥水性を付与させることができる。一方、シリコーンオイルの動粘度が上記した上限以下であれば、シリコーンオイルを簡便に取り扱って、シリコーン組成物を簡便に調製することができる。
シリコーン組成物におけるシリコーンオイルの割合は、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、また、例えば10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
シリコーンオイルの、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの総量100質量部に対する割合は、例えばl質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、また、例えば20質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。
シリコーン組成物における第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量の割合は、例えば21質量%以上、好ましくは26質量%以上、より好ましくは31質量%以上、さらに好ましくは36質量%以上である。上記した総量の割合が上記した下限以上であれば、硬化成分の割合が過度に少なくなることが防止されて、硬化成分を常温硬化させて、被膜を確実に形成することができる。
シリコーン組成物における第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量の割合は、例えば51質量%以下、好ましくは46質量%以下、より好ましくは41質量%である。上記した総量の割合が上記した上限以下であれば、均質な表面処理ができ、、そのため、均一な被膜を形成することができる。
触媒は、シリコーン組成物を常温硬化するときに、空気中の水分と反応して加水分解し、活性な[金属原子−OH]を生成し、[金属原子−OH]と、第lオリゴマーおよび第2オリゴマーとを縮合反応させる硬化触媒である。
触媒は、金属アルコキシド、金属キレート化合物および金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくとも1つである。
金属アルコキシドとしては、例えば、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド(例えば、ジルコニウムテトラn‐ブトキシド、ジルコニウムテトラn‐プロポキシド)、ゲルマニウムアルコキシド(例えば、ゲルマニウムテトラエトキシド)、スズアルコキシド(例えば、スズテトラn‐ブトキシド、スズテトラtert‐ブトキシド)、ハフニウムアルコキシド(例えば、ハフニウムテトラ2‐プロポキシド、ハフニウムテトラtert−ブトキシド)、ニオブアルコキシド(例えば、ニオブペンタエトキシド)、タンタルアルコキシド(例えば、タンタルペンタn‐ブトキシド、タンタルペンタエトキシド)などが挙げられる。好ましくは、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシドが挙げられる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、チタントリアルコキシド、チタンテトラアルコキシドなどが挙げられ、好ましくは、チタンテトラアルコキシドが挙げられる。チタンテトラアルコキシドとしては、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド(例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシドなど)、チタンテトラブトキシド(例えば、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラn‐ブトキシドなど)、チタンテトラペントキシド、チタンテトラヘキソキシド、チタンテトラ(2‐エチルヘキソキシド)などが挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリアルコキシドが挙げられる。アルミニウムトリアルコキシドとしては、例えば、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリプロポキシド(例えば、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn‐プロポキシド)、アルミニウムトリブトキシド(例えば、アルミニウムトリsec‐ブトキシド、アルミニウムトリn‐ブトキシド)などが挙げられる。
なお、金属アルコキシドにおける3つまたは4つのアルコキシ基のそれぞれは、その炭素数や分岐の有無により反応性が異なる。一方、加水分解が過度に早く進行すると、取扱性(安定性)が低下することがある。そのため、反応性および安定性を考慮すれば、チタンアルコキシドのうち、好ましくは、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラn‐ブトキシドが挙げられる。また、アルミニウムアルコキシドのうち、好ましくは、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリsec‐ブトキシドが挙げられる。
金属アルコキシドは、市販品が用いられ、例えば、D−25(チタンテトラn−ブトキシド、信越化学工業社製)などが用いられる。
金属キレート化合物は、例えば、β−ジケトン、リン酸エステル、アルカノールアミンなどを配位子として有する金属キレート化合物が挙げられる。
β−ジケトンとしては、例えば、2,4−ペンタンジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、2,4−デカンジオン、2,4−トリデカンジオン、5.5−ジメチル−2.4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ノナンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、1,3−シクロヘキサンジオンなどが挙げられる。好ましくは、2,4−ペンタンジオンが挙げられる。
オクチレングリコールとしては、例えば、2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシドなどが挙げられる。
リン酸エステルとしては、例えば、リン酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
配位子として、好ましくは、β−ジケトンが挙げられる。
金属キレート化合物を形成する中心金属(金属原子)としては、特に限定されず、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、マグネシウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、鋼、亜鉛、ガリウム、パラジウム、インジウム、スズなどが挙げられる。好ましくは、アルミニウム、チタン、ジルコニウムが挙げられる。
具体的には、金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、マグネシウムキレート化合物(例えば、ジアクアビス(2,4−ペンタンジオナト)マグネシウムなど)、カルシウムキレート化合物(例えば、ジアクアビス(2,4−ペンタンジオナト)カルシウムなど)、クロムキレート化合物(例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)クロムなど)、マンガンキレート化合物(例えば、ジアクアビス(2,4−ペンタンジオナト)マンガンなど)、鉄キレート化合物(例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)鉄など)、コバルトキレート化合物(例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)コバルトなど)、ニッケルキレート化合物(例えば、ビス(2,4−ペンタンジオナト)ニッケルなど)、銅キレート化合物(例えば、ビス(2,4−ペンタンジオナト)銅など)、亜鉛キレート化合物(例えば、ビス(2,4−ペンタンジオナト)亜鉛など)、トリス(2,4−ペンタンジオナト)ガリウムなど)、ニオブキレート化合物(例えば、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナトニオブ(IV)など)、パラジウムキレート化合物(例えば、ビス(2,4−ペンタンジオナト)パラジウムなど)、インジウムキレート化合物(例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)インジウムなど)、スズキレート化合物(例えば、ビス(2,4−ペンタンジオナト)スズなど)などが挙げられる。
金属キレート化合物として、好ましくは、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物が挙げられる。金属キレート化合物として、より好ましくは、被膜における優れた堅牢性(強度)を維持する観点から、アルミニウムキレート化合物、チタンキレート化合物が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ビス(エチルアセトアセテート)(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウムなどが挙げられる。好ましくは、トリス(2,4−ペンタンジオナト)アルミニウムが挙げられる。
チタンキレート化合物としては、例えば、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタンなどが挙げられる。好ましくは、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)チタンが挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどが挙げられる。好ましくは、テトラキス(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウムが挙げられる。
また、金属キレート化合物は、上記した配位子に加え、アルコキシ基をさらに含有するアルコキシ基含有金属キレート化合物を含む。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n‐プロポキシ、2‐プロポキシ、n‐ブトキシ、2‐ブトキシなどが挙げられる。アルコキシ基として、好ましくは、2‐プロポキシが挙げられる。具体的には、アルコキシ基含有金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートなどのアルコキシ基含有アルミニウムキレート化合物、例えばビス(2,4−ペンタンジオナト)ビス(2−プロパノラト)チタンなどのアルコキシ基含有チタンキレート化合物などが挙げられる。
金属カルボン酸塩は、カルボン酸の金属塩である。カルボン酸としては、例えば、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸などの直鎖状カルボン酸、例えば、2‐メチルブタン酸、2‐メチルペンタン酸、2‐エチルヘキサン酸、2‐メチルヘプタン酸、4‐メチルオクタン酸、3,5,5‐トリメチルヘキサン酸などの分枝状カルボン酸、例えば、ナフテン酸などの環状カルボン酸などが挙げられる。好ましくは、分枝状カルボン酸が挙げられ、より好ましくは、2‐エチルヘキサン酸が挙げられる。
金属塩を形成する金属としては、特に限定されず、例えば、上記した中心金属(金属キレート化合物を形成する中心金属)と同様の金属が挙げられ、好ましくは、亜鉛、鉄、コバルト、マンガンが挙げられる。
金属カルボン酸塩として、例えば、アルミニウムカルボン酸塩、チタンカルボン酸塩、ジルコニウムカルボン酸塩、ニオブカルボン酸塩、マグネシウムカルボン酸塩、カルシウムカルボン酸塩、クロムカルボン酸塩、マンガンカルボン酸塩、鉄カルボン酸塩、コバルトカルボン酸塩、ニッケルカルボン酸塩、銅カルボン酸塩、亜鉛カルボン酸塩、ガリウムカルボン酸塩、パラジウムカルボン酸塩、インジウムカルボン酸塩、スズカルボン酸塩、タンタルカルボン酸塩などが挙げられる。金属カルボン酸塩として、好ましくは、亜鉛カルボン酸塩、鉄カルボン酸塩、コバルトカルボン酸塩、マンガンカルボン酸塩が挙げられる。
亜鉛カルボン酸塩としては、例えば、ビス(2‐エチルヘキサン酸)亜鉛、酢酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛などが挙げられる。好ましくは、ビス(2‐エチルヘキサン酸)亜鉛が挙げられる。
鉄カルボン酸塩としては、例えば、ビス(2‐エチルヘキサン酸)鉄、酢酸鉄、ナフテン酸鉄などが挙げられる。好ましくは、ビス(2‐エチルヘキサン酸)鉄が挙げられる。
コバルトカルボン酸塩としては、例えば、ビス(2‐エチルヘキサン酸)コバルト、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルトなどが挙げられる。好ましくは、ビス(2‐エチルヘキサン酸)コバルトが挙げられる。
マンガンカルボン酸塩としては、例えば、ビス(2‐エチルヘキサン酸)マンガン、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガンなどが挙げられる。好ましくは、ビス(2‐エチルヘキサン酸)マンガンが挙げられる。
なお、触媒として、リン酸、酢酸などの酸は、金属原子−OHを生成せず、そのため、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーのアルコキシ基に基づくOH基を脱水縮合させることができない。その結果、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの硬化反応を常温で迅速に進行させることができず、上記した酸は、触媒として不適である。
触媒としては、単独使用または併用することができる。触媒として、好ましくは、金属アルコキシド、金属キレート化合物および金属カルボン酸塩のそれぞれの単独使用が挙げられる。
なお、触媒は、後述する有機溶剤に溶解した触媒溶液として調製されていてもよい。
シリコーン組成物における触媒の割合は、例えば0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、例えば25質量%以下、好ましくは15質量%以下である。
第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの総量100質量部に対する触媒の割合としては、例えば1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、とりわけ好ましくは20質量部以上であり、また、例えば55質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。
触媒の割合が上記した下限以上、上記した上限以下であれば、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーが常温で迅速に硬化して、被膜を常温で形成することができる。
有機溶剤は、後述する蒸気圧の下限値以上である高蒸気圧溶剤である。具体的には、高蒸気圧溶剤は、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)などのアルコール系溶剤;例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、エチルグリコールアセテート、酢酸アミルなどのエステル系溶剤;例えば、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤(高蒸気圧グリコールエーテル系溶剤);例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン系溶剤;例えば、n‐ヘキサン、n‐ヘブタン、n‐オクタン、イソオクタンなどのパラフィン系溶剤(高蒸気圧パラフィン系溶剤);例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのナフテン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族系溶剤;例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤などから選択される。これらの有機溶剤は、単独または2種以上が任意に選択されて使用される。有機溶剤として、好ましくは、アルコール系溶剤が選択される。
有機溶剤の20℃における蒸気圧は、1kPa(7.5mmHg)以上、好ましくは、2kPa(15mmHg)以上、より好ましくは、3kPa(22.5mmHg)以上である。また、有機溶剤の20℃における蒸気圧は、100kPa(750mmHg)以下、好ましくは、25kPa(187mmHg)以下、より好ましくは、10kPa(75mmHg)以下、さらに好ましくは、7kPa(52mmHg)以下、とりわけ好ましくは、5kPa(38mmHg)以下である。
有機溶剤の蒸気圧が上記した下限に満たなければ、シリコーン組成物を常温硬化するときに、有機溶剤を迅速に除去(留去)できず、そのため、被膜を形成することができない。換言すれば、有機溶剤の蒸気圧が上記した下限以上であれば、シリコーン組成物を常温硬化するときに、有機溶剤を迅速に除去(留去)でき、そのため、被膜を形成することができる。一方、有機溶剤の蒸気圧が上記した上限以下であれば、シリコーン組成物で被覆するときに、有機溶剤が迅速に除去(留去)されることが抑制され、そのため、被膜に厚みムラが生成することを抑制することができる。
他方、有機溶剤は、高蒸気圧溶剤であるが、上記した蒸気圧の下限値を下回る低蒸気圧溶剤を、本発明の効果を阻害しない程度の微量の混入を許容することができる。例えば、上記した触媒溶液に含有される低蒸気圧溶剤の混入が許容される。
低蒸気圧溶剤の20℃における蒸気圧は、例えば1kPa未満である。低蒸気圧溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどの低蒸気圧グリコールエーテル系溶剤、例えば、ミネラルターペンなどの低蒸気圧パラフィン系溶剤、例えば、ミネラルスピリットなどの石油系溶剤などが挙げられる。
蒸気圧溶剤の混入割合は、高蒸気圧溶剤100質量部に対して、例えば15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、とりわけ好ましくはl質量部以下である。また、シリコーン組成物における低蒸気圧溶剤の混入割合は、例えば10質量%未満、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下、とりわけ好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。
なお、水は有機溶剤ではないが、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの硬化反応が速すぎることから、シリコーン組成物には不適な水性溶媒である。
シリコーン組成物における有機溶剤(高蒸気圧溶剤)の割合は、例えば10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、とりわけ好ましくは50質量%以上であり、また、例えば80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量100質量部に対する有機溶剤の割合は、例えば40質量部以上、好ましくは80質量部以上、より好ましくは120質量部以上、さらに好ましくは140質量部以上、また、例えば300質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは160質量部以下である。
有機溶剤の割合が上記した下限以上であれば、シリコーン組成物の取扱性に優れるとともに、被覆後に過度に急速に乾燥が進行することに起因する被膜の厚みムラが生成することを抑制することができる。一方、有機溶剤の割合が上記した上限以下であれば、歩留まりの過度の低下を抑制することができる。
次に、シリコーン組成物の調製について説明する。
シリコーン組成物を調製するには、まず、第1オリゴマーと、第2オリゴマーと、シリコーンオイルと、有機溶剤と、必要により添加剤とを、上記した割合で配合して混合して、シリコーン組成物を調製する。一方、触媒を別途準備する。これによって、シリコーン組成物と触媒とを2液型硬化性組成物として準備する。
続いて、シリコーン組成物と触媒とを上記した割合で配合して、それらを混合してシリコーン組成物を調製する。なお、このシリコーン組成物の調製において、触媒は、その加水分解によって金属−OH基を生成する。
以上まとめると、本発明で用いられる常温硬化型シリコーン組成物は、第1オリゴマ一、第2オリゴマ一、触媒および有機溶剤を含有し、第1オリゴマーと第2オリゴマーとの総量の割合が20質量%以上であり、触媒が、金属アルコキシド、金属キレート化合物および金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくとも1つであり、有機溶剤の20℃における蒸気圧が、1kPa以上である。そのため、当該シリコーン組成物は、常温硬化することができる。その結果、このシリコーン組成物は、熱処理が不要な表面加工処理に好適に用いられる。
また、当該シリコーン組成物はシリコーンオイルを含有し、かかるシリコーンオイルの25℃における動粘度は100mm/s以上である。そのため、シリコーン組成物の硬化物である被膜は、滑り性、及び撥水性に優れる。
さらに、第1オリゴマーの第2オリゴマーに対する割合が0.15以上、10以下であるシリコーン組成物は、被膜の滑り性、及び撥水性に優れる。
また、第1オリゴマーと第2オリゴマーとの総量の割合が全体の50質量%以下であるシリコーン組成物は、均一な被覆性に優れる。
また、有機溶剤が、アルコール系溶剤であれば、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーが縮合反応してアルコールを生成することを抑制することができる。つまり、シリコーン組成物(とりわけ、2液型硬化性組成物におけるシリコーン組成物)の貯蔵時における第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの反応を抑制することができる。そのため、このシリコーン組成物は、貯蔵安定性に優れる。
また、有機溶剤の、第lオリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量100質量部に対する割合が40質量部以上、300質量部以下であるシリコーン組成物であれば、シリコーン組成物の取扱性に優れるとともに、被覆後に過度に急速に乾燥が進行することに起因して被膜の厚みムラが発生することを抑制することができ、歩留まりの過度の低下を抑制することができる。
また、触媒の、第1オリゴマーと第2オリゴマーとの総量100質量部に対する割合が、2質量部以上、55質量部以下であるシリコーン組成物であれば、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーが常温で迅速に硬化して、被膜を常温で形成することができる。
斯くして調製されるシリコーン組成物によれば、2H以上、好ましくは4H以上の鉛筆硬度に相当する硬度を有する塗膜(硬化物)を形成することができる。鉛筆硬度は、例えば、当該シリコーン組成物を塗布し、常温硬化させたJIS H 4000準拠の塗料試験用アルミニウム板をJIS K 5600−5−4(1999)の記載に従って測定することができる。こうした塗膜は、前記シリコーン組成物を、例えば、JIS H 4000準拠の試験用アルミニウム板などの塗装用試験板の表面に塗布し、常温で放置することで形成することができる。放置する時間は、シリコーン組成物中の有機溶剤が留去(除去)するとともに、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーが触媒の存在下で硬化する時間であればよく、制限されないものの、30分以上50時間以下を例示することができる。こうすることで、第1オリゴマー及び第2オリゴマーにおけるアルコキシ基からOH基が生成され、それが触媒に基づく[金属原子−OH]と脱水反応して硬化反応が進行する。続いて、上記反応の副生成物であるアルコールが有機溶剤とともに留去(除去)される。斯くしてシリコーン組成物は硬化して塗膜を形成する。
[変形例]
シリコーン組成物として、下記の変形例を使用することもできる。
上記した説明では、シリコーン組成物を2液型硬化性組成物として準備しているが、例えば、シリコーン組成物を1液型硬化性組成物として準備することもできる。
具体的には、第1オリゴマ一、第2オリゴマ一、シリコーンオイル、触媒および有機溶剤を、空気中の水分(湿気)がない状態で、配合する。具体的には、上記した各成分を、窒素などの不活性ガス雰囲気状態で、配合して混合し、それらを容器に密封する。そして、使用の直前に、容器を開栓して、シリコーン組成物を対象物に被覆する。この1液型硬化性組成物によっても、2液型硬化性組成物と同様の効果を奏することができる。
また、このシリコーン組成物は常温硬化型であるが、必要により、常温硬化後に加熱(さらなる熱硬化)、または、常温硬化に代えて熱硬化することもできる。加熱温度は、例えば、50℃以上の加熱など、公知の温度条件が採用される。
(2)疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子
本発明の疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子(以下、「本発明疎水化粒子」とも称する)は、前記方法で調製されるシリコーン組成物を用いて前述するアルミナ−シリカ系立方体粒子(本発明粒子)を表面処理加工することで調製することができる。表面処理加工は、本発明粒子とシリコーン組成物とを混合し、次いで常温で放置することで実施することができる。
シリコーン組成物と本発明粒子との混合は、本発明粒子の表面にシリコーン組成物が均一に付着し、本発明粒子の表面全体を均質に被覆するように撹拌しながら行うことが好ましい。この際に、過度量のシリコーン組成物が本発明粒子と混合されると、本発明粒子同士の凝集を生起し、ダマとなりやすい。従って、本発明粒子100質量部に対するシリコーン組成物の割合として、制限されないものの、通常1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上であり、また、通常30質量部以下、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下を挙げることができる(wet質量比)。
本発明粒子100質量部に対して、シリコーン組成物の割合が1質量部よりも著しく少なくなると本発明粒子の表面が十分に被覆することができない。一方、シリコーン組成物の割合が30質量部を超えて著しく多くなると、表面のシリコーン組成物同士が付着して本発明疎水化粒子が凝集またはダマになりやすい傾向がある。なお、本発明粒子100質量部に対する硬化後のシリコーン組成物の割合としては、制限されないものの、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、通常10質量部以下、好ましくは8質量部以下、より好ましくは6質量部以下を挙げることができる(dry質量比)。
シリコーン組成物と本発明粒子との撹拌混合は常温で実施することができる。斯くして、本発明粒子の表面がシリコーン組成物で被覆(コーティング)される。次いで、シリコーン組成物で表面が被覆された本発明粒子を常温で放置することで、本発明粒子の表面でシリコーン組成物が硬化して、表面が疎水化されたアルミナ−シリカ系立方体粒子が生成する。
ここで常温で放置する時間は、有機溶剤が留去(除去)されるとともに、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーが触媒の存在下で硬化できる時間であれば特に制限されない。具体的には、例えば、30分以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは10時間以上、さらに好ましくは20時間以上であり、また50時間以下である。これによって、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーにおけるアルコキシ基からOH基が生成され、それが、触媒に基づく[金属原子−OH]と脱水反応して、硬化反応が進行する。続いて、第1オリゴマーおよび第2オリゴマーのアルコキシ基からOH基を生じる際の副生成物であるアルコールは、有機溶剤とともに除去(留去)される。
これにより、表面が常温硬化型シリコーン組成物の硬化物からなる被膜で被覆されてなる疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子を調製することができる。なお、被膜の厚みは、適宜調製することができ、制限されないが、例えば0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上であり、また、例えば0.5μm以下、好ましくは0.2μm以下を例示することができる。
本発明疎水化粒子は、下記(a)〜(d)からなる群より選択される少なくとも1つの特性を有するものであってもよい。
(a)平均摩擦係数(MIU): 0.3〜0.6
(b)隠ぺい性指数:5以下
(c)皺ぼかし性指数:28以下
(d)Haze:34〜80。
(a)平均摩擦係数(滑り性)
本発明の疎水化粒子は、平均摩擦係数が好ましくは0.6以下であってもよく、より好ましくは0.5以下である。平均摩擦係数は低いほど伸展性がよく、好ましいものの、肌への付着性やカバー力の点からは適度に伸び留まることも有用である。その観点から下限値としては、例えば0.3以上である。
平均摩擦係数の測定方法は、前述した通りであり、測定に際して、被験試料である疎水化粒子をそのまま、人工皮膚に塗布することで測定することができる。前記所望の平均摩擦係数を有する本発明の疎水化粒子によれば、疎水化未処理の本発明粒子と比較して、人工皮膚上及び粒子間でより高い適度な滑り性を有しており、肌に塗布したときに肌に均一に伸びるとともに、適度に伸び留まるという効果を奏する。
皺隠し性の光学的評価:(b)隠ぺい性指数、(c)皺ぼかし性指数
隠ぺい性指数及び皺ぼかし性指数は、それぞれ本発明の疎水化粒子の隠ぺい効果及び皺ぼかし効果を評価する指標となる物性値であり、いずれも数値が小さくなるほど隠ぺい効果は低くて皺ぼかし効果は高く、皺隠し性を良好に発揮することを示す。本発明疎水化粒子は、隠ぺい性指数が好ましくは6以下であってもよく、より好ましくは5以下である。下限値としては、制限されないものの、1以上、を例示することができる。また本発明疎水化粒子は、皺ぼかし性指数が好ましくは32以下であってもよく、より好ましくは28以下である。下限値としては、制限されないものの25以上、好ましくは20以上を例示することができる。
本発明疎水化粒子の隠ぺい性指数及び皺ぼかし性指数は、後述する実施例において説明する方法で測定することができ、疎水化未処理の本発明粒子と比較して、皺隠し効果に優れるという効果を有する。
(d)Haze値(ソフトフォーカス性)
本発明の疎水化粒子は、可視光線でのHaze値が好ましくは34%以上であってもよく、より好ましくは40%以上である。上限値としては、例えば90%以下を挙げることができ、好ましくは80%以下である。本発明の疎水化粒子は、未処理の粒子(本発明粒子)と比較して、Haze値が高く、ソフトフォーカス性に優れている。このため、これを化粧料添加剤として化粧料に配合することで、化粧料により高いぼかし効果を付与することができる。
(IV)化粧料添加剤としての用途、およびそれを含む化粧料
前述するアルミナ−シリカ系立方体粒子(本発明粒子)は、6つの平らな面を持つ立方体形状である。また特定の屈折率、粒径、吸油性、および比表面積を有することから、ソフトフォーカス付与剤として、各種の化粧料に配合することで化粧料のソフトフォーカス性を高めることができる。即ち、化粧料に配合したとき、所定面積内に多数の粒子が存在する結果、光が多重散乱しながら化粧膜を透過することとなり、従って、透過光のうち拡散光が占める割合が多くなり、優れたソフトフォーカス性を付与することができる。
このような本発明粒子のソフトフォーカス性は、後述する実験例に示すように、ASTM D1003に準拠し、Hazeメーターにより評価することができる。具体的には、前述の通り、本発明粒子をシリコーンオイルに1:9(質量比)の割合で混合した溶液をPETシート上に厚さ約20μmになるように塗布して形成した塗膜のHaze(曇度)は34%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上と高く、さらに好ましくは55%以上と高く、これは、当該粒子がソフトフォーカス性を高める上で有用であることを示している。
また本発明粒子は、立方体形状を有することから、化粧料に配合することで化粧料に適度な肌すべり性を付与することができる。具体的には、本発明粒子は、粒子状を呈しているため板状体と比較して滑り性が高く、良好な伸展性(伸び広がり性)を示す。一方、平面を有する立方体形状であるため、適度に塗り留まり、肌に密着することでカバー力に優れるという利点がある。
さらに、本発明粒子は、球状粒子(真球状粒子を含む)とは異なり、平面を有するため平面固着面積が大きいためか粒子同士が絡み合い、肌表面に塗り広げたときに毛穴や小皺等の皮溝の中に落ち込むことなく、平面が肌に密着して上手く蓋をするように被覆して、毛穴や小皺を隠す効果(カバー力、凹凸補正効果)に優れるという利点もある。すなわち、本発明粒子を化粧料に配合すると、肌にスムーズに伸び広げることができるとともに、毛穴や小皺を被覆して平坦化し、化粧後の肌表面をなめらかに整え、肌と一体化するように密着してカバー力を付与することができる。
本発明粒子をソフトフォーカス性付与剤または/および皺隠し効果剤(または凹凸補正剤)として化粧料に配合するときには、配合する化粧料の種類によっても異なるが、化粧料中に少なくとも1〜50質量%の量で配合することにより、目的とするソフトフォーカス性を付与することができる。ソフトフォーカス性、肌への伸展性、およびカバー力の観点から、好ましくは5〜30質量%である。
本発明粒子を配合して調製される化粧料は、液体、乳液、クリーム、パウダー、フォーム、または固形物などの形態で使用されるものであり、このような化粧料の中でも、特にソフトフォーカス性が要求される化粧料にはソフトフォーカス性付与剤として、または/および、毛穴や小皺などの肌の凹凸を補正し、化粧後の肌のキメを整えることが要求される化粧料には皺隠し効果付与剤若しくは凹凸補正剤として配合される。ソフトフォーカス性が要求される化粧料または/および化粧後の肌のキメを整えることが要求される化粧料としては、特に制限されないものの、ファンデーション、コンシーラー、頬紅、白粉(おしろい、ルースパウダー、プレストパウダー)、コントロールカラー、下地料、BBクリーム、アイカラー、口紅等のメイクアップ化粧料;乳液、クリーム、美容液、デイクリーム、日焼け止め等のスキンケア化粧料などを例示することができる。これらの化粧料は、一般に、その用途あるいは使用形態に応じて、膜形成用のポリマー、界面活性剤、増粘剤、水、保湿剤、香料、顔料または染料、シリコーンオイルなどの撥水性オイル成分、紫外線吸収剤、収斂剤、清涼剤、消炎剤、美白剤、各種抽出物、植物・海藻エキスなどの化粧成分を適宜の量で含有しており、上記のような量で本発明粒子を配合することで、そのソフトフォーカス性、皺隠し効果または/および凹凸補正効果を高めることができる。
以下、製造例および実験例に基づいて本発明を説明する。但し、当該製造例および実験例は、本発明の理解を容易にするための例示であり、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また以下の製造例および実験例において、特に言及しない限り、「%」は「質量%」を意味するものとする。また、特に言及しないかぎり、下記の実験は常温(25±5℃)、及び大気圧条件下で実施した。
下記製造例および実験例で使用した各種測定の方法およびその条件は下記の通りである。
[測定方法]
(1)蛍光X線(SiO /Al のモル比)
酸化物換算でのアルカリ金属含有量およびSiO/Alのモル比の算出に必要な元素分析については、(株)リガク製Rigaku ZSX primus IIを用い、ターゲットはRh、分析線はKαで、その他は以下の条件で測定を行った。
〈Si〉管電圧:30kV、管電流:100mA、検出器:PC、分光結晶:PET
〈Al〉管電圧:30kV、管電流:100mA、検出器:PC、分光結晶:PET
なお、試料は110℃で2時間乾燥した物を基準とした。
(2)X線回折法による結晶性の評価
X線回折法による試料粉末の結晶性解析は、(株)リガク製の「試料水平型多目的X線回折装置 Ultima IV」を下記条件で用いて実施した。
X線源:Cu Kα線
ターゲット:Cu
フィルター:湾曲結晶グラファイトモノクロメーター
検出器:シンチレーション検出器
電圧:40kV
電流:40mA
ステップサイズ:0.02°
計数時間:0.6sec/step
スリット:発散スリット2/3° 受光スリット0.3mm SS2/3°。
(3)走査型電子顕微鏡観察による形状と粒径の測定
走査型電子顕微鏡(JEOL日本電子株式会社製 JSM−6510LA)で試料(乾燥粉末)の写真を撮影し、得られた二次元の写真画像から、試料粉末の粒子形状およびその粒径(一辺の長さ)を測定した。
(4)屈折率(液浸法)
2種の溶媒(α−ブロムナフタレンとケロシン)を混合することで屈折率の異なる複数の溶媒を調製し、調製した各溶媒の屈折率を予めアッベ屈折計で測定しておいた。次いでLarsenの油浸法に従って、試料粉末数mgをスライドガラスの上に採り、溶媒(屈折率既知)を1滴加えて、カバーガラスをかけ、溶媒を浸漬させた後、光学顕微鏡でベッケ線の移動を観察し、その移動から屈折率を求めた。
(5)体積基準平均粒径(コールターカウンター法)
200ml容量のビーカーに試料粉末0.5gを計り取り、これに脱イオン水150mlを加えて攪拌下3分間分散させた。この分散液をコールターカウンター(ベックマンコールター社製 精密粒度分布測定装置Multiizer3)に供して、体積基準粒度分布を測定し、体積基準の中位径(D50)を求めた。なお、測定に使用したアパチャー(細孔)チューブは、製造例1及び2で製造した試料(実施例1及び2)については内径50μm、製造例3で製造した試料(実施例3)は内径100μmのものを使用した。なお、比較例はマルバーン社製MastersizerSを用いてレーザー回折法で測定した。
(6)吸油量(JIS K5101-13-2)
JIS.K.5101−13−1:2004(精製あまに油法)に準拠して測定した。
具体的には、被験試料を測定板の上におき、これに精製あまに油を1回に4〜5滴ずつ徐々に加え、その都度、パレットナイフで精製あまに油を試料に練り込む。これを繰り返して塊ができるまで滴下を続け、ペーストが滑らかな硬さになった時点で終りとする。なお、このペーストは、割れたりぼろぼろになったりせずに広げることが可能であり、測定板に軽く付着する程度のものとする。精製あまに油の最終使用量(ml)から下式により、吸油量(ml/100g)を求めることができる。
[数1]
吸油量(ml/100g)=(100×V)/m
V:消費したあまに油の容量(ml)
m:被験試料の質量(g)
(7)比表面積(BET法)
Micromeritics社製TriStar3000を使用し、窒素吸着等温線を測定した。比圧0.2以下の窒素吸着等温線からBET法で求めた。
(8)水分吸着量(ガス吸着法)
日本ベル社製のBelsorp Maxを用い、水蒸気分圧P(P/P)が0.001〜0.9の範囲における水分吸着等温線を求めた。前処理は、真空条件下で150℃、2時間の条件で行った。平衡判定時間は300秒とした。水蒸気分圧P(P/P)が0.75における測定値を基材単位質量あたりの吸着量に換算し、水分吸着量(質量%)とした。
(9)見掛比重(JIS K−6220−1 7.7)
JIS.K.6220−1 7.7:2001に準拠して、下記の方法に従って測定した。
1)シリンダ(内径22.00±0.05mm、内深100mm)にピストン(外径21.80±0.05mm、長さ115mm、質量190g)を入れて自然に落下させて上部の突出部寸法を0.01mmまで測定する。
2)ピストンを抜き出し、シリンダに被験試料1〜5gを、0.01gまで正しくはかり採って注ぎ込み、シリンダの側面に付着した試料を落とすとともに内容物の上面が平らになるようにする。
3)ピストンをシリンダの上部から穏やかに落とし込み、試料面に達した時点でピストンを軽く1回転させてピストンをよく馴染ませる。
4)下記式に従って、見掛比重(g/cm)を算出する。
[数2]
見掛比重(g/cm)=[m]/(0.7854×d×[h−h])
:被験試料の質量(g)
d :シリンダの直径(cm)
:被験試料が存在するときのピストンとシリンダとの高さの差(cm)
:被験試料が存在しないときのピストンとシリンダとの高さの差(cm)
(10)強熱減量(Ig-loss)(JIS K-0067 4.2)(860℃×20min)
JIS.K.0067 4.2:1992に準拠して、下記の方法に従って測定した。ただし860℃×20分の強熱条件を採用した。
1)被験試料を蒸発皿に入れて、その質量を0.1mgの桁まで測定する。
2)試料を入れた蒸発皿を電気炉にいれて、徐々に温度を挙げて860℃で強熱する。
3)860℃で20分間強熱した後、蒸発皿を速やかにデシケーターに移して放冷し、放冷後、その質量を0.1mgの桁まで測定する。
4)質量が一定になるまで(恒量)上記3を繰り返し、最終の質量から下記式に従って、見掛比重(g/cm)を算出する。
[数3]
強熱減量(%)=([W−W]/[W−W])×100
:強熱前の被験試料と蒸発皿の質量(g)
:強熱後の被験試料と蒸発皿の質量(g)
:蒸発皿の質量(g)
(11)ハンター白色度(JIS P−8123)
東京電色製ハンター自動反射率計TR−600 OPTICAL UNITを用いて測定した。
製造例1 アルミナ−シリカ系立方体粒子1(実施例1)の製造方法
A液として3号ケイ酸ソーダ(SiO=23重量%、NaO=7.4重量%)358.6gと水504.7gを混合調製し、B液としてアルミン酸ソーダ(Al=23重量%、NaO=19.2重量%)338.1g、49重量%苛性ソーダ水溶液117.7g、水480.9gを混合調製した。下記のモル比になるように、A液とB液をそれぞれ781Lずつ混合し、総量1800gに調製した。
[配合条件(モル比)]
NaO/SiO=1.6
SiO/Al=1.8
O/NaO=38
具体的には、調製したA液を2L容量のステンレス製容器に入れ、これを60℃に加温しながら攪拌し、攪拌条件下でこれにB液をゆっくり添加混合し、全体が均一なアルミノケイ酸アルカリゲルとした。これを60℃攪拌条件下で3時間熟成した後、さらに攪拌しながら90℃まで昇温し、同条件で2時間反応させて結晶化を行なった。次いで生じた結晶をヌッチェを用いて濾過回収し、水洗して体積基準平均粒径2.3μm、860℃絶乾重量換算195gのA型ゼオライト(結晶性ゼオライト)のケーキを得た。
次いでこのA型ゼオライトのケーキから860℃絶乾重量換算150gを分取し、水に分散して25%のA型ゼオライトを含むスラリーを調製した。これに、A型ゼオライト中のNaOに対しHSOのモル比が0.85となる量の14%硫酸水溶液を、攪拌下15時間かけて室温条件下にてゆっくり注加したところpHは4となった。かかる酸処理により、結晶性ゼオライトからアルカリ分が溶出除去されて非晶質化物になる。なお、上記硫酸添加によりスラリーのpHは酸性側に移行するが、効率的に非晶質化するためには、スラリーのpHが4〜7の範囲になるように調節することが好ましい。
硫酸水溶液の注加終了から1時間経過後、得られた非晶質物をヌッチェ(ブフナー漏斗)を用いて濾過回収し、水洗、乾燥した後、坩堝に入れて小型電気炉にて450℃で1時間焼成した。次いでこれを室温まで冷却した後、ジェットミルを用いて粉砕した。得られた粉砕物を走査型電子顕微鏡で観察した画像を図1に示す。図1からわかるように、粉砕物は構成一次粒子のサイズがほぼ揃った立方体の形状を有しており、良好に分散していることが確認された。これを「アルミナ−シリカ系立方体粒子1」(以下、単に「立方体粒子1」ともいう)(実施例1)とし、前述する各種の測定方法に従って、性状および物性を測定した。
調製したアルミナーシリカ系立方体粒子1の性状および物性を下記に示す。
・SiO/Alのモル比=2
・X線回折法による結晶化度:無定形(非晶質)(図4参照)
・走査型電子顕微鏡観察による形状と粒径:一辺約0.5〜3μmの立方体(図1参照)
・浸漬法による屈折率:1.50
・コールカウンター法による体積基準平均粒子径:1.8μm
・JIS K5101−13−2による吸油量:31ml/100g
・BET法による比表面積:4m/g
・ガス吸着法による水分吸着量:0.6%
・見掛比重:0.63g/ml
・強熱減量(Ig−loss):2.7%
・ハンター白色度:95%
製造例2 アルミナ−シリカ系立方体粒子2(実施例2)の製造方法
製造例1と同じ組成の原料を用いて、A液として3号ケイ酸ソーダ316.8gと水550.7gを混合調製し、B液としてアルミン酸ソーダ298.7g、49%苛性ソーダ水溶液104.0g、水529.8gを混合調製した。下記のモル比になるように、A液とB液をそれぞれ795Lずつ混合し、総量1800gに調製した。
[配合条件(モル比)]
NaO/SiO=1.6
SiO/Al=1.8
O/NaO=44
具体的には、調製したA液を2L容量のステンレス製容器に入れ、これを70℃に加温しながら攪拌し、攪拌条件下でこれにB液をゆっくり添加混合し、全体が均一なアルミノケイ酸アルカリゲルとした。これを70℃攪拌条件下で2時間熟成した後、このアルミノケイ酸アルカリゲルを攪拌しながら90℃まで昇温し、同条件で2時間反応させて結晶化を行なった。次いで生じた結晶をヌッチェを用いて濾過回収し、水洗して体積基準平均粒径2.9μm,860℃絶乾重量換算172gのA型ゼオライト(結晶性ゼオライト)のケーキを得た。
次いで、上記ケーキから絶乾重量換算150gを分取し、製造例1と同様に25%のスラリーを調製した。これにA型ゼオライト中のNaOに対するHSOのモル比が0.82となる量の14%硫酸水溶液を注加して酸処理することで非晶質化し、これを濾過、水洗、および乾燥した。さらに、製造例1と同様に、これを坩堝に入れて小型電気炉にて450℃で1時間焼成し、これを室温まで冷却した後、ジェットミルを用いて粉砕した。得られた粉砕物を走査型電子顕微鏡で観察した画像を図2に示す。図2からわかるように、粉砕物は構成一次粒子のサイズがほぼ揃った立方体の形状を有しており、良好に分散していることが確認された。これを「アルミナ−シリカ系立方体粒子2」(以下、単に「立方体粒子2」ともいう)(実施例2)とし、前述する各種の測定方法に従って、性状および物性を測定した。
調製したアルミナーシリカ系立方体粒子2の性状および物性を下記に示す。
・SiO/Alのモル比=2
・X線回折法による結晶化度:無定形(非晶質)
・走査型電子顕微鏡観察による形状と粒径:一辺約1〜3.5μmの立方体(図2参照)
・浸漬法による屈折率:1.50
・コールカウンター法による体積基準平均粒子径:2.5μm
・JIS K5101−13−2による吸油量:33ml/100g
・BET法による比表面積:3m/g
・ガス吸着法による水分吸着量:0.4%
・見掛比重:0.73g/ml
・強熱減量(Ig−loss):3.2%
・ハンター白色度:93%
製造例3 アルミナ−シリカ系立方体粒子3(実施例3)の製造方法
製造例1と同じ組成の原料を用いて、A液として3号ケイ酸ソーダ128.0gと水758.9gを混合調製し、B液としてアルミン酸ソーダ120.6g、49%苛性ソーダ水溶液42.0g、水750.5gを混合調製した。下記のモル比になるように、A液とB液をそれぞれ857Lずつ混合し、総量1800gに調製した。
[配合条件(モル比)]
NaO/SiO=1.6
SiO/Al=1.8
O/NaO=120
具体的には、調製したA液を2L容量のステンレス製容器に入れ、これを70℃に加温しながら攪拌し、攪拌条件下でこれにB液をゆっくり添加混合し、全体が均一なアルミノケイ酸アルカリゲルとした。70℃攪拌下1時間熟成した後、このアルミノケイ酸アルカリゲルを攪拌しながら95℃まで昇温し、同条件で24時間反応させて結晶化を行なった。次いで生じた結晶を濾過回収し、水洗して体積基準平均粒子径11.6μm,絶乾重量換算70gのA型ゼオライト(結晶性ゼオライト)のケーキを得た。
次いで、上記ケーキから絶乾重量換算65gを分取し、製造例1と同様に25%のスラリーを調製した。これにA型ゼオライト中のNaOに対するHSOのモル比が0.95となる量の14%硫酸水溶液を注加して酸処理することで非晶質化し、これを濾過、水洗、および乾燥した。さらに、製造例1と同様に、これを坩堝に入れて小型電気炉にて450℃で1時間焼成し、これを室温まで冷却した後、ジェットミルを用いて粉砕した。得られた粉砕物を走査型電子顕微鏡で観察した画像を図3に示す。図3からわかるように、粉砕物は構成一次粒子のサイズがほぼ揃った立方体の形状を有しており、良好に分散していることが確認された。これを「アルミナ−シリカ系立方体粒子3」(以下、単に「立方体粒子3」ともいう)(実施例3)とし、前述する各種の測定方法に従って、性状および物性を測定した。
調製したアルミナ−シリカ系立方体粒子3の性状および物性を下記に示す。
・SiO/Alのモル比=2
・X線回折法による結晶化度:無定形(非晶質)
・走査型電子顕微鏡観察による形状と粒径:一辺約3〜12μmの立方体(図3参照) ・浸漬法による屈折率:1.50
・コールカウンター法による体積基準平均粒子径:10.3μm
・JIS K5101−13−2による吸油量:30ml/100g
・BET法による比表面積:4m/g
・ガス吸着法による水分吸着量:0.7%
・見掛比重:1.01g/ml
・強熱減量(Ig−loss):2.6%
・ハンター白色度:85%。
製造例4 疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−1〜3−1(実施例4〜6)の製造方法
疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−1〜3−1(実施例4〜6)の製造に用いた各成分を以下に記載する。
・X−40−9250:前述する式(3)中、bが8、cが4、dが4であるメチル系シリコーンアルコキシオリゴマー(第lオリゴマー)、信越化学工業(株)製
・KR−500:前述する式(6)中、gが10、hが4であるメチル系シリコーンメトキシオリゴマー(第2オリゴマー)、信越化学工業(株)製
・KF−96−1000cs:オイル状のポリジメチルシロキサン、動粘度(25℃):1,000mm/s、信越化学工業(株)製
・D−25:チタン(IV)テトラn‐ブトキシド、信越化学工業(株)製
・2−プロパノール:20℃における蒸気圧4kPa
・水:20℃における蒸気圧2.3kPa
・アルミナ−シリカ系立方体粒子1〜3(実施例1〜3)
(1)常温硬化型シリコーン組成物の調製
500mlガラス容器に、X−40−9250を6.8部、KR−500を27.4部、KF−96−1000csを1.8部、2‐プロパノールを54.0部、D‐25を10.0部の割合で配合し、マグネチックスターラーを用いて、常温で20分間撹拌して、シリコーン組成物(1液型硬化性シリコーン組成物)(密度:0.90g/cm3)を300g調製した。当該シリコーン組成物の硬化時の質量減少率は69.5%である(硬化後の質量が硬化前の液質量の30.5%になる)。当該シリコーン組成物を、JIS H 4000準拠の試験用アルミニウム板の表面に塗布し、常温で18時間静置後の塗膜の鉛筆硬度は5H、24時間静置後の塗膜の鉛筆硬度も5Hであった 。
斯くして調製した常温硬化型シリコーン組成物を表面処理剤として用いて、実施例1〜3で調製した立方体粒子1〜3の各々を表面加工処理(疎水化処理)した。
(2)立方体粒子1〜3の表面加工処理(実施例4〜6)
各立方体粒子1〜3(実施例1〜3)200gと上記(1)で調製した表面処理剤(常温硬化型シリコーン組成物)40gとを混合して、各立方体粒子1〜3の表面を疎水化処理した。当該処理は常温で行った。
具体的には、各立方体粒子1〜3を撹拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、1000rpmで撹拌しながら、表面処理剤(常温硬化型シリコーン組成物)を2分かけて滴下し、5分間撹拌を継続して均一になるまで混合した。常温で1日静置後、ジェットミル(セイシン企業社製A−Oジェットミル)で解砕し、疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1―1〜3−1(以下、単に「疎水化立方体粒子1−1〜3−1」または「立方体粒子1−1〜3−1」ともいう)(実施例4〜6)を得た。
表1に、疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−1〜3−1(実施例4〜6)について、立方体粒子1〜3の配合量、常温硬化型シリコーン組成物の配合量、表面処理後の立方体粒子に対する硬化後のシリコーン組成物の質量%を合わせて記載する。
製造例5 疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−2〜3−2(実施例7〜9)の製造方法
疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−2〜3−2(実施例7〜9)の製造に用いた各成分を以下に記載する。
・KF−9901:メチルハイドロジェンポリシロキサン溶液(信越化学工業(株)製)
・アルミナ−シリカ系立方体粒子1〜3(実施例1〜3)
(1)立方体粒子1〜3の表面加工処理(実施例7〜9)
500mlガラス容器に、KF−9901を30部、2‐プロパノールを70部を配合し、マグネチックスターラーを用いて、常温で20分間撹拌して、KF−9901希釈液を300g調製した。当該希釈液の表面処理後の質量減少率は70%である(表面処理後の質量が希釈液質量の30%になる)。各立方体粒子1〜3(実施例1〜3)200gと上記(1)で調製した表面処理剤(KF−9901希釈液)40gとを混合して、各立方体粒子1〜3の表面を疎水化処理した。当該処理は常温で行った。
具体的には、各立方体粒子1〜3を撹拌機(カワタ社製スーパーミキサー・ピッコロ)に仕込み、1000rpmで撹拌しながら、表面処理剤(KF−9901希釈液)を2分かけて滴下し、5分間撹拌を継続して均一になるまで混合した。得られた粉体を50℃で2時間乾燥後、180℃3時間熱処理を行った。さらに、ジェットミル(セイシン企業社製A−Oジェットミル)で解砕し、疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1―2、2−2、3−2(以下、単に「疎水化立方体粒子1−2〜3−2」または「立方体粒子1−2〜3−2」ともいう)(実施例7〜9)を得た。
表1に、疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−2〜3−2(実施例7〜9)について、立方体粒子1〜3の配合量、KF−9901希釈液(シリコーン組成物)の配合量、表面処理後の立方体粒子に対する硬化後のシリコーン組成物の質量%を合わせて記載する。
製造例6 疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子(実施例10〜24)の製造方法
前記製造例4において、表面処理後のアルミナ−シリカ系立方体粒子1〜3(実施例1〜3)100質量部に対する硬化後の常温硬化型シリコーン組成物の割合が1質量部または2質量部(常温硬化型シリコーン組成物のdry質量%:1質量%または2質量%)になるように配合量を調整する以外は、製造例4と同様の方法で、疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−3〜3−3(dry質量%:1質量%)(実施例10〜12)、及び疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−4〜3−4(dry質量%:2質量%)(実施例13〜15)を調製した。また前記製造例5において、表面処理後のアルミナ−シリカ系立方体粒子1〜3(実施例1〜3)100質量部に対する硬化後のシリコーン組成物(メチルハイドロジェンポリシロキサン)の割合が1質量部または2質量部(シリコーン組成物のdry質量%:1質量%または2質量%)になるように配合量を調整する以外は、製造例5と同様の方法で、疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−5〜3−5(dry質量%:1質量%)(実施例16〜18)、及び疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子1−6〜3−6(dry質量%:2質量%)(実施例19〜21)を調製した。なお、これらの疎水化アルミナ−シリカ系立方体粒子は、以下、単に「疎水化立方体粒子」または「立方体粒子」ともいう。
実験例1 ソフトフォーカス性能の評価
前記製造例1〜3で製造した立方体粒子1〜3(実施例1〜3)、製造例4で疎水化処理された立方体粒子1−1〜3−1(実施例4〜6)、製造例5で疎水化処理された立方体粒子1−2〜3−2(実施例7〜9)、製造例6で疎水化処理された立方体粒子1−3〜3−3(実施例10〜12)、立方体粒子1−4〜3−4(実施例13〜15)、立方体粒子1−5〜3−5(実施例16〜18)、及び立方体粒子1−6〜3−6(実施例19〜21)、並びに市販の真球状シリカ粒子1〜4(以下、単に「真球状粒子1〜4」という)(比較例1〜4)をそれぞれシリコーンオイル(信越化学製KF-96-1000CS、屈折率1.40)と質量比1:9の割合で混合し、PETシート上に,バーコーター(No.9)を用いて厚さ約20μmの塗膜を作製した。なお、塗膜作製に際して、実施例1〜3の立方体粒子は、表1記載のデータについては、シリコーンオイルと混合する前に、ノニオン性界面活性剤エマルゲンA−500(花王製)0.001%を含む水中に分散させて、超音波をかけた後、沈降粒子を除いて乾燥したものを使用した(水簸分級)。一方、実施例1〜3の立方体粒子の表3記載のデータについては、、水簸分級をすることなくそのままシリコーンオイルと混合して使用した。
ソフトフォーカス性は、ASTM D1003に準拠し、Hazeメーター(BYKガードナー社製 Haze-gard plus(東洋精機製作所))で塗膜のHaze(曇度)を測定することにより評価した。粒子として、実施例1〜9の立方体粒子、及び比較例1〜4の真球状シリカ粒子を用いて作製した塗膜のHazeを表1に、実施例10〜21の立方体粒子を用いて作製した塗膜のHazeを表2に示す。なお、表2には、実施例1〜3の立方体粒子を水簸分級をすることなくシリコーンオイルと混合して作製した塗膜のHazeも併せて示す(実施例(1)〜(3))。
表1及び2に示すように、立方体形状を有する本発明のアルミナ−シリカ系立方体粒子1〜3(実施例1〜3)は、真球形状を有するシリカ粒子(比較例1〜4)よりもHaze値が高く、ソフトフォーカス性に優れていることがわかる。また本発明のアルミナ−シリカ系立方体粒子1〜3(実施例1〜3)をさらに疎水化処理することで、さらにHaze値を高くし、ソフトフォーカス性を向上させることができることが確認された(実施例4〜21)。
参考のため、立方体粒子1〜3(実施例1〜3)と真球状粒子1〜4(比較例1〜4)の物性値(屈折率、体積基準平均粒子径、吸油量、比表面積、水分吸着量)を対比した表を表3に示す。
実験例2 皺隠し効果の評価
前記製造例1〜3で製造した立方体粒子1〜3(実施例1〜3)、および市販の真球状粒子1〜4(比較例1〜4)のそれぞれについて、下記の方法により皺隠し効果を評価した。
(1)評価方法
i.手芸用乾燥豚皮を3.0cm×3.0cmに切り出し、片側半分をセロテープ(登録商標)で保護する。
ii.セロテープ(登録商標)で保護していない片側半分に各種の粒子(実施例1〜3、比較例1〜4)を0.01g塗布し、指で上下に30往復して馴染ませる。
iii.スライドグラスの中央(各端から2.45cm)に両面テープで豚皮を貼り付け、固定する。
iv.暗室でリングライトで照射しながら、カメラレンズ位置を13.5cmの高さに三脚を固定、ホワイトバランスを4000Kに設定し、豚皮表面を撮影した。
カメラ:OLYMPUS PEN E−PL8
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm f3.5 Marco 絞り値 F4.0
シャッタースピード 1/125秒。
v.撮影した写真を目視で観察して、皺隠しの効果を下記の基準に基づいて評価する。
◎(著しく効果あり):豚皮表皮の凹凸が著しく目立たない
○(効果あり):豚皮表皮の凹凸が目立たない
△(効果ややあり):粒子を塗布していない表面に比較して豚皮表皮の凹凸がぼけている。
×(効果なし):粒子を塗布していない表面に比較して豚皮表皮の凹凸のぼかしが不十分である。
(2)評価結果
結果を、前述する表3に纏めて示す。
表1および表2の結果から、立方体形状からなる本発明粒子(実施例1〜3、4〜21)は、真球状粒子1〜4(比較例1〜4)と比較して、屈折率および体重基準平均粒径はほぼ同じにも関わらず、いずれもHaze値が有意に高く、ソフトフォーカス性が高いことが確認された。その理由として、屈折率が高いこと、本発明粒子が立方体形状であることを挙げることができる。一般に、多孔質粒子は光分散性が高くソフトフォーカス性が高いと言われるが、本発明粒子は、その比表面積、水分吸着量および吸油量から多孔質とは言い難い。また本発明粒子と真球状粒子3(比較例3)とは、体重基準平均粒径、比表面積、水分吸着量および吸油量がいずれも類似する。しかし、本発明粒子のほうがHaze値は有意に高いことから、その違いは、本発明粒子が屈折率が高いこと、および球形ではなく、立方体形状であることに依るものと考えることができる。なお、本発明粒子の結果ではないものの、真球状粒子1(比較例1)と真球状粒子3(比較例3)との比較、真球状粒子2(比較例2)と真球状粒子4(比較例4)との比較から、Haze値(ソフトフォーカス性)は、吸油性、比表面積、および水分吸着量が低い粒子、つまり多孔質とは言い難い粒子(非多孔質を含む)のほうが高くなる傾向が認められた。このことからも多孔質粒子はその細孔に溶媒のオイルが浸透し濡れることにより、空気とシリカの屈折率差よりオイルとシリカの屈折率差が小さくなることから、界面の光散乱効果が少なくなりHaze値(ソフトフォーカス性)が低くなったと思われる。表1及び表2の結果から、立方体形状からなる本発明粒子でも、表面を疎水化処理することでHaze値は高くなり、ソフトフォーカス性が向上することが確認された。その効果は、常温硬化シリコーン処理により良好に認められた。また疎水化の表面処理量が多くなるほどHaze値も高くなる傾向が認められた。
また表3の結果から、アルミナ−シリカ系立方体形状からなる本発明粒子(実施例1〜3、4〜21)は、シリカ真球状粒子1〜4(比較例1〜4)と比較して、体重基準平均粒径はほぼ同じにも関わらず、いずれも皺隠し効果が有意に高かった。これは真球状粒子1〜4は、真球状の微粒子であることから皺等の肌の皮溝の中に落ち込み易く充填されてしまう結果、皺部分の分布密度が高くなり、却って皺が目立ちやすくなるのに対して、立方体形状である本発明粒子は、平面固着面積が大きいためか複数粒子が絡み合い、肌表面に塗り広げたときに毛穴や小皺等の皮溝の中に落ち込むことなく、平面が肌に密着して皮溝に落ちずに蓋をするように皮膚を被覆することで、凹凸を上手くカバーすることができることによるものと考えられる。こうした本発明粒子の皺隠し効果(皮膚被覆効果、凹凸補正効果)は、体重基準平均粒径が大きいほど高くなる傾向が認められた。
なお、各粒子(実施例1〜21、比較例1〜4)はいずれも肌触りが良好であり、また乾燥豚皮上でのすべり性も良好であった。特にアルミナ−シリカ系立方体形状からなる本発明粒子(実施例1〜3)及びその疎水化粒子(実施例4〜21)は、適度なすべり性と留まり性の両方を備えており、肌になめらかに塗り広げることができるとともに適度に留まることで、肌への密着性にも優れることが期待される。
実験例3 滑り性の評価(摩擦係数)
前記製造例1〜3で製造した立方体粒子1〜3(実施例1〜3)、製造例4で疎水化処理された立方体粒子1−1〜3−1(実施例4〜6)、製造例5で疎水化処理された立方体粒子1−2〜3−2(実施例7〜9)のそれぞれについて、下記の方法により滑り性を評価した。具体的には、各被験試料の滑り性は、摩擦感テスター(摩擦感テスターKSE-SE:カトーテック社製)を用いて得た摩擦係数により評価した。
なお、摩擦感テスターに供するために、被験試料は下記方法によって調製した。
(i)被験試料5mgを秤りとる。
(ii)摩擦感テスター上に、幅3cmの人工皮膚(出光テクノファイン社製のサプラーレ(登録商標):トップ:ポリウレタン(プロテインパウダー配合)100%、ベース基布:レーヨン80%、ナイロン20%)を置く。
(iii)秤り取った被験試料を上記人工皮膚の上に分散して置き、ゴム手袋で3×8cmの範囲に均一に塗布する。
(iv)荷重25g、速度1mm/秒の条件で、摩擦感テスターによる自動測定を行い平均摩擦係数(MIU)を得る。
(v)この操作を3回行い、平均値を平均摩擦係数とする。
測定結果を表3に示す。
実験例4 隠ぺい効果および皺ぼかし効果の評価(光学的評価)
前記立方体粒子1〜3(実施例1〜3)、疎水化処理された立方体粒子1−1〜3−1(実施例4〜6)立方体粒子1−2〜3−2(実施例7〜9)、立方体粒子1−3〜3−3(実施例10〜12)、立方体粒子1−4〜3−4(実施例13〜15)、立方体粒子1−5〜3−5(実施例16〜18)及び立方体粒子1−6〜3−6(実施例19〜21)のそれぞれについて、下記の方法により皺隠し作用を評価した。具体的には、乾燥豚皮に各被験試料を塗布し、素地に対する隠ぺい効果と皺ぼかし効果を光学的に評価した。乾燥豚皮は、表面に数ミクロンの凹凸がある、50〜100ミクロンの楕円形の凸部と、幅5〜20μm、深さ5〜20μmの凹部(溝)から形成されており、小皺を有する人の肌(皮膚)に類似した皮膚モデルである。なお、隠ぺい性指数、皺ぼかし性指数ともに数値が小さいほど、優れた化粧品原料であるといえる。
[隠ぺい性指数と皺ぼかし性指数の評価手順]
(1)3cm×3cm手芸用乾燥豚皮の半分に被験試料0.1gを塗布する。
(2)この豚皮をスライドグラス(幅7.9cm)の両端から2.45cm離れた領域内に貼り付ける。(3)光を遮断した暗室の中で、リングライト(アームシステム社製実体顕微鏡用LEDリング照明LED-R72、強さ2.0)で照射しながら、レンズ(オリンパス(株)製M.ZUIKO DIGTAL ED 30mm f3.5 Macro )を装着したカメラ(オリンパス(株)製OLYMPUS PEN E-PL8)を、レンズとスライドガラス(被験試料)との距離が13.3cmになるように調整固定して撮影する(撮影条件:マニュアルモードでホワイトバランス4000K、絞り値F5.6、シャッタースピード1/125秒、ISO感度1250)。
(4)画像編集による明度の算出:
加工ソフト(ex.フリーソフトGimp)をインストールしたPCに撮影した画像を取り込み、被験試料を塗布していない乾燥豚皮領域(塗布領域)と被験試料を塗布した乾燥豚皮領域(非塗布領域)のそれぞれについて、凹凸部のピクセルを無作為に50点選ぶ。
(5)各ピクセルをSUV変換し、各領域(塗布領域、非塗布領域)の凹部と凸部の各々について明度(V値)を測定し、その平均値を算出する。
(6)得られた平均値を、下式に当てはめて隠ぺい性と皺ぼかし性を評価する。下式によれば、隠ぺい性指数、皺ぼかし性指数ともに値が0に近いほど良好な傾向を示す。
[数4]
隠ぺい性指数=V’凸−V凸
皺ぼかし性指数=V’凸−V’凹
V凸 :被験試料を塗布していない乾燥豚皮の凸部の明度平均値
V’凸:被験試料を塗布した乾燥豚皮の凸部の明度平均値
V’凹:被験試料を塗布した乾燥豚皮の凹部の明度平均値
測定結果を表4に併せて示す。
表4の結果から、平均摩擦係数は、常温硬化シリコーンによる疎水化粒子については、その表面処理量(疎水被膜量)が多くなると低くなる傾向が認められた。但し、粒子径が大きい10μの粒子では、常温硬化シリコーンによる被膜量が6wt%では、逆に平均摩擦係数が大きくなる傾向があった。メチルハイドロジェンポリシロキサン(KF−9901)による疎水化粒子も、上記と同様に、表面処理量(疎水被膜量)が多くなると、平均摩擦係数が低くなる傾向が認められたものの、その低下の程度は常温硬化シリコーンよりも少なかった。特に粒子径が大きい10μでは、6wt%処理ではKF−9901が余剰で残るため摩擦係数は大きくなる。このことから、シリコーン組成物による疎水化表面処理は、シリコーン組成物を少量用いても大きな効果が得られることが確認された。一方、必要以上にシリコーン組成物の量が多いと、効果が低下するだけでなく、混合作業性も悪くなり、また余剰のシリコーン組成物の存在により、粒子表面が濡れた状態になり解砕作業性も低下する傾向が認められた。
処方例1
下記被験粒子として本発明粒子(実施例1〜3)または本発明疎水化粒子(実施例4〜21)を使用し、下記の処方によりパウダーファンデーションを調製する。
(パウダーファンデーション)
成 分 配合量(質量%)
(1)シリコーン処理タルク 10.00
(2)シリコーン処理セリサイト 33.80
(3)シリコーン処理合成金雲母 10.00
(4)シリコーン処理酸化チタン 10.00
(5)シリコーン処理酸化鉄 3.00
(6)シリコーン処理酸化亜鉛 2.00
(7)ポリメタクリル酸メチル 7.00
(8)窒化ホウ素 3.00
(9)メチルパラベン 0.20
(10)被験粒子(実施例) 10.00
(11)メチルポリシロキサン 4.90
(12)コハク酸ジオクチル 4.00
(13)スクワラン 2.00
(14)香料 0.10
合 計 100.00
具体的には、上記の成分(1)〜(10)をヘンシェル型ミキサーにて均一に混合し、残りのバインダー成分(11)〜(14)を混合したものを添加、混合した後、再び粉砕してふるいに通した。これを金皿に圧縮成型して、パウダーファンデーションを得る。
処方例2
下記被験粒子として本発明粒子(実施例1〜3)または本発明疎水化粒子(実施例4〜21)を使用し、下記の処方により化粧下地を調製する。
(化粧下地)
成 分 配合量(質量%)
(1)セスキステアリン酸メチルグルコシド 1.00
(2)ステアロイル乳酸ナトリウム 0.20
(3)硬化ナタネ油アルコール 3.50
(4)スクワラン 6.00
(5)ミリスチン酸オクチルドデシル 6.00
(6)メチルフェニルポリシロキサン 6.00
(7)マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 2.00
(8)トリイソステアリン酸ポリグリセリル 1.00
(9)ブチルパラベン 0.10
(10)精製水 51.94
(11)合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 1.00
(12)ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.06
(13)キサンタンガム 0.20
(14)1,3−ブチレングリコール 10.00
(15)メチルパラベン 0.20
(16)ジグリセリン 5.00
(17)被験粒子(実施例) 5.00
(18)メチルポリシロキサン 0.50
合 計 100.00
具体的には、上記の処方において、水相成分(10)〜(13)を撹拌混合し、加熱して85℃に保つ。油相成分(1)〜(9)を混合し、加熱溶解して80℃とする。その後、この油相成分に前述の水相成分を加えて予備乳化し、ホモミキサーで均一に乳化した後、ホモミキサーを止め撹拌を続けながら、成分(15)を溶解した成分(14)〜(17)までの混合物を添加する。続いて、冷却を開始して約70℃で成分(18)を加え、さらに35℃まで冷却して化粧下地を得る。
処方例3
下記被験粒子として本発明粒子(実施例1〜3)または本発明疎水化粒子(実施例4〜21)を使用し、下記の処方により油性ファンデーションを調製する。
(油性ファンデーション)
成 分 配合量(質量%)
(1) 流動パラフィン 18.00
(2) パルミチン酸イソプロピル 15.00
(3) 液状ラノリン 4.50
(4) マイクロクリスタリンワックス 4.50
(5) セレシン 10.00
(6) カルナバロウ 2.00
(7) セスキオレイン酸ソルビタン 1.00
(8) パラベン 0.20
(9) 酸化チタン 14.00
(10)カオリン 7.50
(11)タルク 11.00
(12)酸化鉄 4.00
(13)被験粒子(実施例) 8.00
(14)香料 0.30
合計 100.00
具体的には、上記処方において、成分(1)〜(8)を80℃で加熱融解し、これに(9)〜(12)を混合したものを加える。混合物をロールミルで練り、再度加熱融解し、これに(13)を加え、均一に混合する。これを脱泡した後、(14)を加え、中皿に流し込み冷却し、油性ファンデーションを得る。
処方例4
下記被験粒子として本発明粒子(実施例1〜3)または本発明疎水化粒子(実施例4〜21)を使用し、下記の処方により口紅を調製する。
(口紅処方)
成 分 配合量(質量%)
(1) セレシン 10.00
(2) マイクロクリスタリンワックス 2.00
(3) カルナウバロウ 1.00
(4) 合成炭化水素ワックス 2.00
(5) ダイマー酸イソプロピル 15.00
(6) トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 34.35
(7) ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 3.50
(8) ビタミンE 0.10
(9) トリイソステアリン酸ポリグリセリル 12.00
(10) 着色料 7.00
(11) 合成金雲母 10.00
(12) 被験粒子(実施例) 3.00
(13) 香料 0.05
合計 100.00
具体的には、上記処方の成分(9)〜(12)をローラーミルにて分散させる。その後、成分(1)〜(8)を加温融解して、成分(9)〜(12)の混合物と成分(13)を加え、よく混合する。ろ過し、高温で型に流し込み、冷却して成型したものを容器に充填して口紅を得る。得られた口紅は、油分に濡れた状態で粉体が配合されていてもソフトフォーカス性に優れ、唇の縦じわを見えにくくするものである。

Claims (11)

  1. アルミナ−シリカ系粒子を有する化粧料添加剤であって、
    当該アルミナ−シリカ系粒子が、下記特性を有するものであることを特徴とする化粧料添加剤:
    (1)走査型電子顕微鏡観察による一辺の長さが0.3〜20μmの立方体一次粒子からなる、
    (2)液浸法による屈折率が1.48〜1.52である、
    (3)コールターカウンター法による体積基準平均粒径が1〜20μmである、
    (4)JIS K5101−13−2による吸油量が10ml/100g以上50ml/100g未満である、
    (5)BET法による比表面積が20m/g以下である。
  2. 上記アルミナ−シリカ系粒子がさらに下記の特性を有するものである請求項1記載の化粧料添加剤:
    (6)ガス吸着法による水分吸着量が0〜5%である。
  3. 上記アルミナ−シリカ系粒子が、SiO/Alのモル比が1.8〜5の範囲にある組成を有し、X線回折学的に実質上非晶質であることを特徴とする、請求項1または2に記載する化粧料添加剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面が疎水化処理されてなる疎水化アルミナ−シリカ系粒子を有する化粧料添加剤。
  5. 前記疎水化アルミナ−シリカ系粒子が、請求項1〜3のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面が常温硬化型シリコーン組成物の硬化物で被覆されてなるものである、請求項4に記載する化粧料添加剤:
    ここで常温硬化型シリコーン組成物は、
    ジアルキルシロキサンユニットと、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットとを含有する第1オリゴマーと、
    ジアルキルシロキサンユニットを含有せず、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットを含有する第2オリゴマーと、
    シリコーンオイルと、
    触媒と、
    有機溶剤とを含有する常温硬化型シリコーン組成物であって、
    前記第1オリゴマーと前記第2オリゴマーとの総量の、前記常温硬化型シリコーン組成物における割合が20質量%以上、50質量%以下であり、
    前記第1オリゴマーの、前記第2オリゴマー1質量部に対する割合が0.15質量部以上、10質量部以下であり、
    前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が100mm/s以上であり、
    前記触媒が、金属アルコキシド、金属キレート化合物および金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくともlつであり、
    前記有機溶剤の20℃における蒸気圧がlkPa以上であることを特徴とする。
  6. 前記疎水化アルミナ−シリカ系粒子が、請求項1〜3のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面がメチルハイドロジェンシリコーンオイルで被覆し、加熱表面処理されてなるものである、請求項4に記載する化粧料添加剤。
  7. 前記化粧料添加剤がソフトフォーカス性付与剤、皺隠し効果付与剤(凹凸補正剤)、または/および伸展性付与剤であるである、請求項1〜6のいずれかに記載する化粧料添加剤。
  8. 下記(A)及び(B)、または(C)の工程を有する、表面が疎水化されたアルミナ−シリカ系粒子の製造方法:
    (A)請求項1〜3のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面を常温硬化型シリコーン組成物でコーティングする工程:
    ここで常温硬化型シリコーン組成物は、
    ジアルキルシロキサンユニットと、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットとを含有する第1オリゴマーと、
    ジアルキルシロキサンユニットを含有せず、アルコキシ基を含有するアルコキシ基含有シロキサンユニットを含有する第2オリゴマーと、
    シリコーンオイルと、
    触媒と、
    有機溶剤とを含有し、
    前記第1オリゴマーと前記第2オリゴマーとの総量の、前記常温硬化型シリコーン組成物における割合が20質量%以上、50質量%以下であり、
    前記第1オリゴマーの、前記第2オリゴマー1質量部に対する割合が0.15質量部以上、10質量部以下であり、
    前記シリコーンオイルの25℃における動粘度が100mm/s以上であり、
    前記触媒が、金属アルコキシド、金属キレート化合物および金属カルボン酸塩からなる群から選択される少なくともlつであり、
    前記有機溶剤の20℃における蒸気圧がlkPa以上であり、及び
    (B)前記アルミナ−シリカ系粒子の表面にコーティングされた常温硬化型シリコーン組成物を硬化する工程;または
    (C)請求項1〜3のいずれかに記載するアルミナ−シリカ系粒子の表面をメチルハイドロジェンシリコーンオイルで被覆した後、熱処理する工程。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載する化粧料添加剤を含有することを特徴とする化粧料。
  10. 上記化粧料添加剤を1〜50質量%の割合で含有する請求項9に記載する化粧料。
  11. 上記化粧料がメイクアップ化粧料である、請求項10に記載する化粧料。
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