JP2019171337A - 水素化触媒及び低芳香族溶剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】芳香族化合物の水素化反応に対する活性に優れた水素化触媒を提供すること。【解決手段】担体と、当該担体に担持された活性金属と、を含有する水素化触媒であって、活性金属がPt及びPdを含み、CO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルにおいて、1720〜2000cm−1のピーク面積S1に対する2000〜2130cm−1のピーク面積S2の比(S2/S1)が0.7以上である、水素化触媒。【選択図】なし
Description
本発明は、水素化触媒及びそれを用いた低芳香族溶剤の製造方法に関する。
近年、塗装、印刷等に使用されるインク用等の各種溶剤として、安全性の高い低芳香族溶剤のニーズが高まっている。
低芳香族溶剤としては、直鎖パラフィンを主体とする溶剤が挙げられるが、直鎖パラフィン類は低温において結晶化しやすく、低温流動性に劣り、低温環境下での取扱い性が悪いという問題がある。
この問題を解決するため、例えば、特許文献1には、合成ゼオライトからなる分子ふるいにより、低硫黄灯油留分から直鎖パラフィンを分離する工程を含む製造方法によって、低芳香族炭化水素溶剤を得ることが開示されている。しかし、この方法は工程数が多く、合成ゼオライトへの直鎖パラフィンの吸着及び脱着を交互に行うため、装置構成が複雑となるという問題があった。
これに対して、特許文献2には、軽油又は減圧軽油の水素化分解と、それにより得られた分解軽油の水素化精製とを組み合わせることで、低芳香族溶剤を得る方法が開示されている。
特許文献2に記載の方法では、分解軽油中の芳香族化合物を水素化することで、低温流動性及びインク成分の溶解性に優れる低芳香族溶剤が得られている。
本発明は、特許文献2に記載の方法を更に発展させるため、芳香族化合物の水素化反応に対する活性に優れた水素化触媒、及び、当該水素化触媒を用いた低芳香族溶剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、担体と、当該担体に担持された活性金属と、を含有する水素化触媒であって、上記活性金属がPt及びPdを含み、CO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルにおいて、1720〜2000cm−1のピーク面積S1に対する2000〜2130cm−1のピーク面積S2の比(S2/S1)が0.7以上である、水素化触媒に関する。
上記水素化触媒によれば、芳香族化合物の水素化反応を効率良く実施することができるため、低芳香族溶剤を高効率で製造することができる。上記水素化触媒において、1720〜2000cm−1のピーク面積S1は、1つのCOが2つの隣接するPt又はPdに吸着したブリッジ型の吸着種(Pt−CO−Pt又はPd−CO−Pd)に由来するピークを含んでおり、2000〜2130cm−1のピーク面積S2は、1つのCOが1つのPt又はPdに吸着したリニアー型の吸着種(Pt−CO又はPd−CO)に由来するピークを含んでいると考えられる。すなわち、上記水素化触媒では、Pt及びPdが触媒上で高分散し、ブリッジ型の吸着種が生じ難く(リニアー型の吸着種が生じやすく)なっていると考えられる。また、Pt及びPdが高分散することでPt周囲に効率的にPdが配置され、Pd−Ptの相互作用による影響も増大していると考えられる。これにより、上記水素化触媒では、芳香族化合物の水素化反応に対する活性が著しく向上していると考えられる。
一態様において、上記担体は、アルミナ、シリカ及びジルコニアを含有する無機酸化物担体であってよい。このような担体では、上述のピーク面積比を満たすことによる本発明の効果がより顕著に得られる傾向がある。
他の一態様に係る水素化触媒は、塩素含有量が、水素化触媒の全量基準で0.01質量%未満であってよい。このような水素化触媒によれば、塩素による反応装置の腐食が十分に抑制される。また、このような水素化触媒では、上述のピーク面積比を満たすことによる本発明の効果がより顕著に得られる傾向がある。さらに、このような水素化触媒を得るために、塩素原子を含まない活性金属源(Pd源及びPt源)を用いて触媒を調製すると、上述のピーク面積比を満たす触媒が得られやすくなる傾向がある。なお、上記塩素含有量は、例えば、塩素原子を含まない活性金属源を用いて触媒を調製する方法、酸化処理等の塩素を除去する工程を実施する方法等により実現できる。
更に他の一態様に係る水素化触媒は、単位質量当たりのPt及びPdの合計含有量C1(mol/g)に対する、単位質量当たりのCO吸着量C2(mol/g)の比(C2/C1)が、0.35以上であってよい。なお、上記比(C2/C1)は、1つの活性金属原子(Pt原子又はPd原子)に対して1つのCOが吸着すると仮定した場合のPt及びPdの分散度を示す。このような水素化触媒は、Pt及びPdの分散度が高く、芳香族化合物の水素化反応に対する活性に一層優れる傾向がある。
本発明の他の一側面は、芳香族化合物を含む原料油を上記水素化触媒に接触させて、上記芳香族化合物の少なくとも一部を水素化して、上記原料油より芳香族分含有量が少ない生成油を得る水素化工程を備える、低芳香族溶剤の製造方法に関する。
上記製造方法によれば、原料油中の芳香族化合物を効率良く水素化でき、低芳香族溶剤を効率良く製造することができる。
一態様において、上記生成油の芳香族分含有量は1容量%以下であってよい。上記製造方法では、水素化触媒の活性が高いため、生成油の芳香族分含有量を容易に1容量%以下にすることができる。また、生成油の芳香族分含有量を1容量%以下とすることで、インク用溶剤等の用途に好適な低芳香族溶剤が得られやすくなる。
他の一態様において、上記原料油の芳香族分含有量は3〜30容量%であってよい。上記製造方法では、水素化触媒の活性が高いため、芳香族分含有量が3容量%以上の原料油から、容易に低芳香族溶剤を得ることができる。また、原料油の芳香族分含有量を30容量%以下とすることで、比較的温和な水素化条件でも、高品質な低芳香族溶剤が得られやすくなる。また、芳香族分含有量が3〜30容量%である原料油は、分解軽油等の石油類に由来する留分として容易に入手可能であり、生産性に優れている。
更に他の一態様において、上記原料油の硫黄分含有量は10質量ppm以下であってよい。これにより、水素化触媒の触媒劣化がより顕著に抑制され、より効率良く低芳香族溶剤を製造することができる。
更に他の一態様に係る製造方法では、上記水素化工程において、水素圧力2〜7MPa、反応温度100〜350℃、LHSV0.1〜2h−1、水素/油比200〜600NL/Lの条件で上記原料油を水素化してよい。このような水素化条件によれば、上記水素化触媒による水素化反応をより効率良く進行させることができる。
更に他の一態様に係る製造方法は、上記生成油から、沸点240〜320℃の留分を90容量%以上含む溶剤を分留する分留工程を更に備えていてよい。このような好適によれば、インク用溶剤等の用途に特に好適な低芳香族溶剤を効率良く製造することができる。
本発明によれば、芳香族化合物の水素化反応に対する活性に優れた水素化触媒、及び、当該水素化触媒を用いた低芳香族溶剤の製造方法が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
<水素化触媒>
本実施形態に係る水素化触媒は、担体と、当該担体に担持された活性金属と、を含有している。本実施形態において、活性金属はPt及びPdを含んでいる。また、本実施形態に係る水素化触媒は、CO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルにおいて、1720〜2000cm−1のピーク面積S1に対する2000〜2130cm−1のピーク面積S2の比(S2/S1)が0.7以上となる触媒である。
本実施形態に係る水素化触媒は、担体と、当該担体に担持された活性金属と、を含有している。本実施形態において、活性金属はPt及びPdを含んでいる。また、本実施形態に係る水素化触媒は、CO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルにおいて、1720〜2000cm−1のピーク面積S1に対する2000〜2130cm−1のピーク面積S2の比(S2/S1)が0.7以上となる触媒である。
本実施形態に係る水素化触媒によれば、芳香族化合物の水素化反応を効率良く実施することができるため、低芳香族溶剤を高効率で製造することができる。
本実施形態に係る水素化触媒によって上記効果が奏される理由は必ずしも明らかではないが、以下がその一因と考えられる。1720〜2000cm−1のピーク面積S1は、1つのCOが2つの隣接するPt又はPdに吸着したブリッジ型の吸着種(Pt−CO−Pt又はPd−CO−Pd)に由来するピークを含んでおり、2000〜2130cm−1のピーク面積S2は、1つのCOが1つのPt又はPdに吸着したリニアー型の吸着種(Pt−CO又はPd−CO)に由来するピークを含んでいる。すなわち、本実施形態に係る水素化触媒では、Pt及びPdが触媒上で高分散し、ブリッジ型の吸着種が生じ難く(リニアー型の吸着種が生じやすく)なっていると考えられる。また、本実施形態に係る水素化触媒は、Pt及びPdが高分散することでPt周囲に効率的にPdが配置され、Pd−Ptの相互作用による影響(例えば、触媒活性の向上、触媒劣化の抑制等)も増大していると考えられる。これらの効果によって、本実施形態に係る水素化触媒は、芳香族化合物の水素化反応に対する活性が著しく向上していると考えられる。
上記比(S2/S1)は、好ましくは0.8以上であり、より好ましくは0.85以上であり、更に好ましくは0.9以上である。これにより上述の効果がより顕著に奏される。上記比(S2/S1)の上限は特に限定されないが、例えば4.0以下であってよく、2.0以下であってもよい。
なお、本明細書中、CO吸着IR測定における赤外吸収スペクトルは、以下の方法で測定される赤外吸収スペクトルを示す。
<CO吸着IR測定>
測定装置はフーリエ変換赤外分光光度計Cary 670−IR(Agilent technology社製)及びマルチモードセル(エス・ティ・ジャパン製)を使用する。分解能を4cm−1、積算回数を256回、端数範囲を4000〜1400cm−1(検出器:D−TGS)、窓材をCaF2(赤外透過下限:1140cm−1)として測定を行う。試料約0.01gを用いて直径約10mmφの円盤を成型し、Heガス流通下測定温度50℃から+5℃/分で300℃まで昇温し、H2流通下にて60分間還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温する。その後、10%CO/HeにてCOを吸着させた後にHe流通下へ戻し30分経過時に赤外吸収スペクトルを測定する。
<CO吸着IR測定>
測定装置はフーリエ変換赤外分光光度計Cary 670−IR(Agilent technology社製)及びマルチモードセル(エス・ティ・ジャパン製)を使用する。分解能を4cm−1、積算回数を256回、端数範囲を4000〜1400cm−1(検出器:D−TGS)、窓材をCaF2(赤外透過下限:1140cm−1)として測定を行う。試料約0.01gを用いて直径約10mmφの円盤を成型し、Heガス流通下測定温度50℃から+5℃/分で300℃まで昇温し、H2流通下にて60分間還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温する。その後、10%CO/HeにてCOを吸着させた後にHe流通下へ戻し30分経過時に赤外吸収スペクトルを測定する。
本実施形態において、担体は、活性金属を担持可能なものであればよい。担体としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア及びボリアからなる群より選択される少なくとも一種の無機酸化物を含む担体が好ましい。
担体としては、アルミナを含む無機酸化物担体がより好ましく、アルミナと他の無機酸化物との組み合わせを含む無機酸化物担体が更に好ましい。この組み合わせとしては、例えば、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ボリア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア−アルミナ、シリカ−ボリア−アルミナ、シリカ−ジルコニア−アルミナ、シリカ−チタニア−アルミナ、シリカ−チタニア−ジルコニア−アルミナ等が挙げられる。なお、これらの無機酸化物は、それぞれ独立して存在していてよく、複合酸化物を形成していてもよい。
上述のピーク面積比を満たすことによる発明の効果がより顕著に得られる観点からは、担体としては、アルミナ、シリカ及びジルコニアを含む担体が特に好ましい。
担体がアルミナと他の無機酸化物とを含有するとき、担体中のアルミナの含有量は90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。アルミナの含有量を少なくすることで、水素化触媒の耐硫黄性が向上する傾向がある。また、アルミナの含有量の下限は特に限定されないが、例えば15質量%以上であってよく、20質量%以上であることが好ましい。これにより触媒の成形性が向上し、工業的な製造が容易となる傾向がある。
担体がアルミナ以外の無機酸化物としてシリカを含有するとき、担体中のシリカの含有量は、例えば10質量%以上であってよく、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。これにより水素化触媒の耐硫黄性がより向上する傾向がある。また、担体中のシリカの含有量は、例えば85質量%以下であってよく、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。これにより、触媒の成形性がより向上し、工業的な製造がより容易となる傾向がある。
担体がアルミナ以外の無機酸化物としてジルコニアを含有するとき、担体中のジルコニアの含有量は、例えば4質量%以上であってよく、8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。これにより触媒の耐硫黄性がより向上する傾向がある。また、担体中のジルコニアの含有量は、例えば40質量%以下であってよく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。これにより触媒の成形性がより向上し、工業的な製造がより容易となる傾向がある。
担体の製造方法は特に限定されず、各元素に対応した各種ゾル、塩化合物等の原料を用いて、任意の調製法を採用することができる。
本実施形態に係る水素化触媒は、活性金属としてPt及びPdを含有する。
水素化触媒におけるPtの担持量は、水素化触媒の全量基準で、例えば0.01質量%以上であってよく、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、水素化触媒におけるPtの担持量は、水素化触媒の全量基準で、例えば1.0質量%以下であってよく、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.6質量%以下である。
水素化触媒におけるPdの担持量は、水素化触媒の全量基準で、例えば0.01質量%以上であってよく、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。また、水素化触媒におけるPdの担持量は、水素化触媒の全量基準で、例えば1.5質量%以下であってよく、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
水素化触媒において、Ptに対するPdのモル比(Pd/Pt)は、例えば0.5以上であってよく、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上である。このようなモル比であると、Pt周囲により効率的にPdが配置され、Pd−Ptの相互作用による反応活性の向上及び触媒劣化の抑制の効果がより顕著に奏される。また、上記モル比(Pd/Pt)は、例えば20以下であってよく、好ましくは10以下、より好ましくは6.0以下である。このようなモル比とすることで、Pdの過剰被覆による活性点の減少が避けられ、少ない金属量でより効率的に反応活性を得ることができる。
水素化触媒は、Pt及びPd以外の他の活性金属を更に含有していてもよい。他の活性金属としては、例えば、Rh、Ir、Re、Sn等が挙げられる。他の活性金属の担持量は特に限定されないが、例えば、Pt及びPdの合計担持量に対するモル比で0.1以下であってよく、0.01以下であってもよく、0であってもよい。
本実施形態において、水素化触媒は、単位質量当たりのPt及びPdの合計含有量C1(mol/g)に対する、単位質量当たりのCO吸着量C2(mol/g)の比(C2/C1)が、0.35以上であることが好ましい。また、上記比(C2/C1)は、0.38以上であることがより好ましく、0.40以上であることがより好ましい。このような水素化触媒は、Pt及びPdの分散度が高く、芳香族化合物の水素化反応に対する活性に一層優れる傾向がある。上記比(C2/C1)の上限は特に限定されず、例えば1.0以下であってよく、0.9以下であってもよい。
なお、本明細書中、CO吸着量C2は以下の方法で測定される値を示す。
<CO吸着量の測定>
測定装置は金属分散度測定装置 BEL−METAL−3SP(マイクロトラック・ベル(株)製)を使用する。前処理として、粉砕した試料をHe雰囲気下にて室温から+5℃/分で300℃まで昇温した後にH2流通下60分間で還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温する。測定温度50℃にてHeガス流通下でCOパルスを注入し、CO吸着量を測定する。1個の金属原子に1つのCO分子が吸着すると仮定して金属表面積を算出する。金属が担体表面に球体として担持していると仮定して、試料の金属含有量及び密度から金属分散度を算出する。
<CO吸着量の測定>
測定装置は金属分散度測定装置 BEL−METAL−3SP(マイクロトラック・ベル(株)製)を使用する。前処理として、粉砕した試料をHe雰囲気下にて室温から+5℃/分で300℃まで昇温した後にH2流通下60分間で還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温する。測定温度50℃にてHeガス流通下でCOパルスを注入し、CO吸着量を測定する。1個の金属原子に1つのCO分子が吸着すると仮定して金属表面積を算出する。金属が担体表面に球体として担持していると仮定して、試料の金属含有量及び密度から金属分散度を算出する。
本実施形態において、活性金属の担持方法は特に限定されず、含浸法、イオン交換法等の公知の担持方法を採用してよい。
好適な一態様において、水素化触媒は、塩素原子を含まない活性金属源を用いて、担体に活性金属を担持させたものであってよい。このような水素化触媒では、触媒中の塩素含有量が著しく低くなるため、塩素による反応装置の腐食が十分に抑制される。また、このようにして活性金属を担持した水素化触媒は、上述の好適な比(S2/S1)が得られやすくなる傾向がある。
塩素原子を含まないPt源としては、例えば、テトラアンミン白金(II)硝酸塩([Pt(NH3)4](NO3)2)、ジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NO2)2(NH3)2)、テトラアンミン白金(II)水酸塩([Pt(NH3)4](OH)2)、ヘキサアンミン白金(IV)水酸塩([Pt(NH3)6](OH)4)、ヘキサアンミン白金(IV)硝酸塩([Pt(NH3)6)(NO3)4]、テトラアンミン白金(II)酢酸塩([Pt(NH3)4](CH3COO)2)等が挙げられる。これらのうち、Pt源としては、テトラアンミン白金(II)硝酸塩([Pt(NH3)4](NO3)2)、ジニトロジアンミン白金(II)(Pt(NO2)2(NH3)2)、テトラアンミン白金(II)水酸塩([Pt(NH3)4](OH)2)が特に好適である。
塩素原子を含まないPd源としては、例えば、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩([Pd(NH3)4](NO3)2)、ジニトロジアンミンパラジウム(II)(Pd(NO2)2(NH3)2)、テトラアンミンパラジウム(II)水酸塩([Pd(NH3)4](OH)2)、テトラアンミンパラジウム(II)硫酸塩([Pd(NH3)4]SO4)等が挙げられる。これらのうち、Pd源としては、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩([Pd(NH3)4](NO3)2)、ジニトロジアンミンパラジウム(II)(Pd(NO2)2(NH3)2)、テトラアンミンパラジウム(II)水酸塩([Pd(NH3)4](OH)2)が特に好適である。
本実施形態では、PtとPdとを別々に担体に担持してもよいが、Pt源及びPd源を含む混合溶液を用いて同時に担持することがより好ましい。このような同時担持によれば、上述の好適な比(S2/S1)が得られやすくなる。
本実施形態に係る水素化触媒は、塩素含有量が、水素化触媒の全量基準で0.1質量%未満であることが好ましく、0.01質量%未満であることがより好ましい。このような水素化触媒によれば、塩素による反応装置の腐食が十分に抑制される。また、このような水素化触媒では、上述のピーク面積比を満たすことによる本発明の効果がより顕著に得られる傾向がある。なお、このような水素化触媒は、塩素原子を含まない活性金属源を用いて担体に活性金属を担持させる方法、酸化処理等の塩素を除去する工程を実施する方法等により得ることができる。
本実施形態において、水素化触媒の形状は特に限定されない。例えば、水素化触媒は、円柱状、四葉状等の形状に押出成形されたものであってよく、球状等の形状に成形加工されたものであってもよい。
本実施形態に係る水素化触媒は、芳香族化合物の水素化反応の触媒として好適に用いることができる。また、本実施形態に係る水素化触媒は上記以外の反応の触媒として用いてもよく、例えば、芳香族化合物以外の不飽和炭化水素化合物の水素化反応等に用いることもできる。
本実施形態に係る水素化触媒は、従来の触媒と比較して水素化反応に対してより高い活性を有する。このため、例えば、従来の水素化反応条件を維持したまま、本実施形態に係る水素化触媒を用いることで、芳香族分含有量を一層低減した低芳香族溶剤を製造できる。また、本実施形態に係る水素化触媒を用いることで、従来より温和な水素化反応条件で、従来と同等の効率で芳香族化合物を水素化することができる。
<低芳香族溶剤の製造方法>
本実施形態に係る低芳香族溶剤の製造方法は、芳香族化合物を含む原料油を上述の水素化触媒に接触させて、芳香族化合物の少なくとも一部を水素化する水素化工程を備えている。水素化工程では、芳香族化合物の水素化により、原料油より芳香族分含有量が少ない生成油が得られる。
本実施形態に係る低芳香族溶剤の製造方法は、芳香族化合物を含む原料油を上述の水素化触媒に接触させて、芳香族化合物の少なくとも一部を水素化する水素化工程を備えている。水素化工程では、芳香族化合物の水素化により、原料油より芳香族分含有量が少ない生成油が得られる。
本実施形態に係る製造方法では、上述の水素化触媒を用いて芳香族化合物を水素化しているため、低芳香族溶剤を効率良く製造することができる。
原料油中の芳香族分含有量(芳香族化合物の含有量)は特に限定されず、例えば3容量%以上であってよく、5容量%以上であることが好ましい。本実施形態に係る製造方法では、水素化触媒の活性が高いため、芳香族分含有量の多い原料油から、容易に低芳香族溶剤を得ることができる。また、原料油中の芳香族含有量は、例えば30容量%以下であってよく、好ましくは25容量%以下である。このような原料油を用いることで、比較的温和な水素化条件でも、高品質な低芳香族溶剤が得られやすくなる。
なお、本明細書中、芳香族分含有量は、社団法人石油学会により発行された石油学会誌JPI−5S−49−97「炭化水素タイプ試験法−高速液体クロマトグラフ法」に記載の方法に準拠して測定される芳香族分の容量百分率(容量%)を示す。
原料油は、芳香族化合物以外の他の成分を更に含んでいてよい。他の成分としては、例えば、直鎖パラフィン、分岐パラフィン、ナフテン、オレフィン、硫黄化合物、窒素化合物等が挙げられる。
原料油が直鎖パラフィンを含有するとき、原料油中の直鎖パラフィンの含有量は、例えば10容量%以下であってよく、好ましくは5容量%以下である。これにより、低温流動性及び溶解性に一層優れる低芳香族溶剤が得られる。
なお、本明細書中、直鎖パラフィンの含有量は、ASTM−D86に記載のガスクロ法によって、標準物質によって直鎖パラフィンを同定し、そのピーク強度の合計から算出される値である。
原料油の硫黄分含有量は、10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましい。これにより、水素化触媒の触媒劣化がより顕著に抑制され、より効率良く低芳香族溶剤を製造することができる。
なお、本明細書中、硫黄分含有量は、ASTM−D5453に記載の方法に準拠して測定される硫黄分の質量含有量を意味する。
好適な一態様において、原料油は、分解軽油を含むものであってよい。分解軽油は、軽油の水素化分解によって得られる留分である。分解軽油は、例えば、沸点180〜380℃の留分であってよい。
なお、本明細書中、沸点は、ASTM−D86に記載の方法に準拠して測定される値を示す。
水素化工程における反応条件は、原料油の芳香族分含有量、所望の生成油性状等に応じて適宜選択してよい。例えば、水素圧力は、2〜7MPaが好ましく、4〜6MPaがより好ましい。また、反応温度は、100〜350℃が好ましく、125〜325℃がより好ましく、150〜300℃が更に好ましい。また、LHSVは、0.1〜2h−1が好ましく、0.5〜1.5h−1がより好ましく、0.6〜1.1h−1が更に好ましい。また、水素/油比は、200〜600NL/Lが好ましく、300〜500NL/Lがより好ましく、350〜450NL/Lが更に好ましい。
水素化工程における反応形式としては、固定床方式が好ましい。このとき、水素は、原料油に対して向流又は並流のいずれの形式をとることもでき、また、複数の反応塔によって向流及び並流を組み合わせた形式としてもよい。具体例としては、ダウンフロー型の気液相併流形式が挙げられる。
水素化工程を実施する反応装置は、反応塔を有していてよく、当該反応塔は固定床式であることが好ましい。このとき、反応塔は、複数の触媒床で構成されていてもよい。また、各触媒床の間には、反応熱の除去や、水素分圧を上げることを目的として、水素ガスを注入してもよい。
水素化工程では、原料油より芳香族分含有量が少ない生成油が得られる。生成油の芳香族分含有量は、1容量%以下であることが好ましく、1容量%未満であることがより好ましく、0.8容量%未満であることが更に好ましい。このような生成油によれば、インク溶剤等の用途に好適な安全性の高い低芳香族溶剤が得られる。
本実施形態に係る製造方法では、水素化工程で得られた生成油を低芳香族溶剤として使用してよく、当該生成油を複数の留分に分留し、それらの一部又は全部を低芳香族溶剤として使用してもよい。
好適な一態様において、低芳香族溶剤の製造方法は、上記生成油から、沸点240〜320℃の留分を90容量%以上含む溶剤(以下、溶剤(A)と称する。)を分留する分留工程を更に備えていてよい。
溶剤(A)は、直鎖パラフィンの含有量が5容量%以下であることが好ましく、4容量%以下であることがより好ましく、3容量%以下であることが更に好ましい。下限は特に限定されないが、例えば、0.5容量%以上であってよい。
溶剤(A)の流動点は、−7.5℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−15℃以下であることが更に好ましい。このような溶剤(A)は、低温流動性に優れ、冬期や寒冷地など、様々な条件下での取扱い性に優れる。
なお、本明細書中、流動点は、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」に記載の方法に準拠して測定される値を示す。
本実施形態では、生成油から溶剤(A)とは異なる留分を分留して、低芳香族溶剤として用いてよい。本実施形態で得られる低芳香族溶剤は、インク用溶剤以外に、例えばクリーニング用溶剤、殺虫剤溶剤、エアゾール用溶剤、溶液重合用溶剤、懸濁重合用溶剤、脱グリース剤、ラッカー用溶剤、抽出用溶剤、ゴム揮発油、金属部品洗浄用溶剤、冷間圧延油やアルミフィンプレス油など金属加工油剤、さび止め油剤、カーコート用溶剤、放電加工油等の用途にも好適に用いることができる。
また、本実施形態で得られる低芳香族溶剤は、ディーゼル燃料又はディーゼル燃料の構成基材としても用いることができる。このとき、ディーゼル燃料の芳香族分含有量が低くなるため、高いセタン価、及び、排ガスに含まれる微粒子成分(パティキュレート)の低減が期待できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の一側面は、上記水素化触媒の製造方法に関するものであってよい。また、本発明の他の一側面は、CO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルに基づく、水素化触媒の選別方法であってもよい。また、本発明の更に他の一側面は、上記水素化触媒を含む反応塔を備える、反応装置に関するものであってもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)触媒の調製
以下の方法で触媒A−1を調製した。
ケイ酸ナトリウム水溶液(濃度29質量%、2310g)をpH14でゲル化せしめた後、pH7で2時間熟成させて得たスラリーに、硫酸ジルコニウム(四水和物、210g)を含む水溶液を加え、更にそのスラリーをpH7に調整してシリカ−ジルコニア複合水酸化物を生成せしめた。これを30分熟成せしめた後、硫酸アルミニウム(14水和物、630g)を含む水溶液を加えてpH7に調整し、シリカ−ジルコニア−アルミナ複合水酸化物を生成せしめた。このスラリーからシリカ−ジルコニア−アルミナ複合水酸化物をろ過し、洗浄した後、加熱濃縮によって水分を調整し、押し出し成型、乾燥、焼成を行い触媒担体(多孔質担体)を得た。得られた担体中の各構成成分の比率は、酸化物としてアルミナ30質量%、シリカ56質量%、ジルコニア14質量%であった。
(1)触媒の調製
以下の方法で触媒A−1を調製した。
ケイ酸ナトリウム水溶液(濃度29質量%、2310g)をpH14でゲル化せしめた後、pH7で2時間熟成させて得たスラリーに、硫酸ジルコニウム(四水和物、210g)を含む水溶液を加え、更にそのスラリーをpH7に調整してシリカ−ジルコニア複合水酸化物を生成せしめた。これを30分熟成せしめた後、硫酸アルミニウム(14水和物、630g)を含む水溶液を加えてpH7に調整し、シリカ−ジルコニア−アルミナ複合水酸化物を生成せしめた。このスラリーからシリカ−ジルコニア−アルミナ複合水酸化物をろ過し、洗浄した後、加熱濃縮によって水分を調整し、押し出し成型、乾燥、焼成を行い触媒担体(多孔質担体)を得た。得られた担体中の各構成成分の比率は、酸化物としてアルミナ30質量%、シリカ56質量%、ジルコニア14質量%であった。
この担体に、担体の吸水率に見合う容量になるように濃度を調整したジニトロジアンミン白金(II)及びジニトロジアンミンパラジウム(II)(いずれも田中貴金属工業製)の混合硝酸水溶液を用いて金属を含浸せしめ、乾燥、焼成を行い、水素化触媒(触媒A−1)を得た。触媒A−1における白金、パラジウムの担持量はそれぞれ触媒全体に対して0.3質量%、0.5質量%であった。
<CO吸着IR測定>
測定装置はフーリエ変換赤外分光光度計Cary 670−IR(Agilent technology社製)及びマルチモードセル(エス・ティ・ジャパン製)を使用した。分解能を4cm−1、積算回数を256回、端数範囲を4000〜1400cm−1(検出器:D−TGS)、窓材をCaF2(赤外透過下限:1140cm−1)として測定を行った。試料約0.01gを用いて直径約10mmφの円盤を成型し、Heガス流通下測定温度50℃から+5℃/分で300℃まで昇温し、H2流通下にて60分間還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温した。その後、10%CO/HeにてCOを吸着させた後にHe流通下へ戻し30分経過時に赤外吸収スペクトルを測定した。
測定装置はフーリエ変換赤外分光光度計Cary 670−IR(Agilent technology社製)及びマルチモードセル(エス・ティ・ジャパン製)を使用した。分解能を4cm−1、積算回数を256回、端数範囲を4000〜1400cm−1(検出器:D−TGS)、窓材をCaF2(赤外透過下限:1140cm−1)として測定を行った。試料約0.01gを用いて直径約10mmφの円盤を成型し、Heガス流通下測定温度50℃から+5℃/分で300℃まで昇温し、H2流通下にて60分間還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温した。その後、10%CO/HeにてCOを吸着させた後にHe流通下へ戻し30分経過時に赤外吸収スペクトルを測定した。
得られた触媒A−1について、CO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルを求めたところ、図1に示すスペクトルが得られた。また、得られた赤外吸収スペクトルにおいて、1720〜2000cm−1のピーク面積S1に対する2000〜2130cm−1のピーク面積S2の比(S2/S1)は、0.93であった。
<CO吸着量の測定>
測定装置は金属分散度測定装置 BEL−METAL−3SP(マイクロトラック・ベル(株)製)を使用した。前処理として、粉砕した試料をHe雰囲気下にて室温から+5℃/分で300℃まで昇温した後にH2流通下60分間で還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温した。測定温度50℃にてHeガス流通下でCOパルスを注入し、CO吸着量を測定した。1個の金属原子に1つのCO分子が吸着すると仮定して金属表面積を算出した。金属が担体表面に球体として担持していると仮定して、試料の金属含有量、密度から金属分散度を算出した。
測定装置は金属分散度測定装置 BEL−METAL−3SP(マイクロトラック・ベル(株)製)を使用した。前処理として、粉砕した試料をHe雰囲気下にて室温から+5℃/分で300℃まで昇温した後にH2流通下60分間で還元処理を行い、He流通下へ戻し15分経過後50℃まで降温した。測定温度50℃にてHeガス流通下でCOパルスを注入し、CO吸着量を測定した。1個の金属原子に1つのCO分子が吸着すると仮定して金属表面積を算出した。金属が担体表面に球体として担持していると仮定して、試料の金属含有量、密度から金属分散度を算出した。
触媒A−1についてCO吸着量の測定を行ったところ、単位質量当たりのCO吸着量C2は0.65mol/gであり、単位質量当たりのPt及びPdの合計含有量C1(mol/g)に対するCO吸着量C2の比(C2/C1)は、0.47であった。また、触媒A−1の塩素含有量は0.01質量%未満であった。
(2)水素化反応
中東系原油の減圧軽油留分を市販のNi−W/シリカアルミナ触媒を用いて水素化分解した。減圧軽油留分の物性と水素化分解条件を表1に示す。得られた分解軽油留分を原料油として水素化反応を実施した。原料油(分解軽油留分)の性状を表2に示す。
中東系原油の減圧軽油留分を市販のNi−W/シリカアルミナ触媒を用いて水素化分解した。減圧軽油留分の物性と水素化分解条件を表1に示す。得られた分解軽油留分を原料油として水素化反応を実施した。原料油(分解軽油留分)の性状を表2に示す。
触媒A−1(50ml)を充填した反応管(内径15mm)を固定床流通式反応装置に取り付けた後、反応前処理として水素分圧4.9MPa、300℃の条件で還元した。その後、水素分圧4.9MPa、LHSV1.0h−1、水素油比440NL/Lの条件で水素化反応を実施した。水素化反応の反応温度を120℃、140℃及び160℃とした場合の結果をそれぞれ図2に示す。
(実施例2)
(1)触媒の調製
ジニトロジアンミン白金(II)及びジニトロジアンミンパラジウム(II)を、それぞれテトラアンミン白金(II)硝酸塩及びテトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩(いずれも田中貴金属工業製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、触媒A−2を調製した。
(1)触媒の調製
ジニトロジアンミン白金(II)及びジニトロジアンミンパラジウム(II)を、それぞれテトラアンミン白金(II)硝酸塩及びテトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩(いずれも田中貴金属工業製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、触媒A−2を調製した。
得られた触媒A−2について、実施例1と同様にCO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルを求めたところ、図1に示すスペクトルが得られた。また、得られた赤外吸収スペクトルにおける比(S2/S1)は、1.08であった。
また、触媒A−2について実施例1と同様にCO吸着量の測定を行ったところ、単位質量当たりのCO吸着量C2は0.83mol/gであり、比(C2/C1)は、0.59であった。また、触媒A−2の塩素含有量は0.01質量%未満であった。
(2)水素化反応
触媒A−1を触媒A−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を実施した。水素化反応の反応温度を120℃、140℃及び160℃とした場合の結果をそれぞれ図2に示す。
触媒A−1を触媒A−2に変更したこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を実施した。水素化反応の反応温度を120℃、140℃及び160℃とした場合の結果をそれぞれ図2に示す。
(実施例3)
(1)触媒の調製
白金及びパラジウムの担持量が触媒全体に対して0.07質量%及び0.1質量%となるように金属源の量を変更したこと以外は、実施例2と同様にして、触媒A−3を調整した。
(1)触媒の調製
白金及びパラジウムの担持量が触媒全体に対して0.07質量%及び0.1質量%となるように金属源の量を変更したこと以外は、実施例2と同様にして、触媒A−3を調整した。
得られた触媒A−3について、実施例1と同様にCO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルを求めたところ、図1に示すスペクトルが得られた。また、得られた赤外吸収スペクトルにおける比(S2/S1)は、1.77であった。
また、触媒A−3について実施例1と同様にCO吸着量の測定を行ったところ、単位質量当たりのCO吸着量C2は0.17mol/gであり、比(C2/C1)は、0.58であった。また、触媒A−3の塩素含有量は0.01質量%未満であった。
(2)水素化反応
触媒A−1を触媒A−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を実施した。水素化反応の反応温度を140℃、160℃、180℃及び200℃とした場合の結果をそれぞれ図2に示す。
触媒A−1を触媒A−3に変更したこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を実施した。水素化反応の反応温度を140℃、160℃、180℃及び200℃とした場合の結果をそれぞれ図2に示す。
(比較例1)
(1)触媒の調製
ジニトロジアンミン白金(II)硝酸塩及びジニトロジアンミンパラジウム(II)硝酸塩を、それぞれテトラアンミン白金(II)塩化物及びテトラアンミンパラジウム(II)塩化物(いずれも田中貴金属工業製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、触媒B−1を調製した。
(1)触媒の調製
ジニトロジアンミン白金(II)硝酸塩及びジニトロジアンミンパラジウム(II)硝酸塩を、それぞれテトラアンミン白金(II)塩化物及びテトラアンミンパラジウム(II)塩化物(いずれも田中貴金属工業製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、触媒B−1を調製した。
得られた触媒B−1について、実施例1と同様にCO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルを求めたところ、図1に示すスペクトルが得られた。また、得られた赤外吸収スペクトルにおける比(S2/S1)は、0.62であった。
また、触媒B−1について実施例1と同様にCO吸着量の測定を行ったところ、単位質量当たりのCO吸着量C2は0.40mol/gであり、比(C2/C1)は、0.29であった。また、触媒B−1の塩素含有量は0.12質量%であった。
(2)水素化反応
触媒A−1を触媒B−1に変更したこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を実施した。水素化反応の反応温度を140℃、160℃、180℃及び200℃とした場合の結果をそれぞれ図2に示す。
触媒A−1を触媒B−1に変更したこと以外は実施例1と同様にして水素化反応を実施した。水素化反応の反応温度を140℃、160℃、180℃及び200℃とした場合の結果をそれぞれ図2に示す。
実施例1〜3及び比較例1において、全芳香族分が1%以下となる反応温度で得られた生成油の性状を、表3に示す。また、実施例1〜3及び比較例1で用いた触媒の物性を表4に示す。
実施例1〜3の触媒は、S2/S1が0.7以上と高くなっている。また、実施例1〜3の触媒は、C2/C1が0.35以上と高く、Pd及びPtの分散度が高いことがわかる。特に実施例3の触媒A−3は、C2/C1及びS2/S1がいずれも高い値を示している。
図2は、実施例1〜3及び比較例1の水素化反応の結果を示す図である。実施例1及び2では、比較例1と比較して低い反応温度で水素化反応を進行させることができており、比較例1と比較して40〜60℃程度も低い反応温度で、全芳香族分が1容量%以下の生成油が得られた。また、実施例3では、比較例1と比較して活性金属量が約1/5と著しく少ないにもかかわらず、同等の反応活性が得られた。
水素化反応の反応次数を1次として、反応速度定数kを以下の式で求めた。
k=ln(原料油中の芳香族化合物濃度/生成油中の芳香族化合物濃度)×LHSV
k=ln(原料油中の芳香族化合物濃度/生成油中の芳香族化合物濃度)×LHSV
図3は、C2/C1から求めた単位金属表面積と反応速度定数とから算出した単位金属表面積あたりの反応速度相対値と、S2/S1と、の関係を示す図である。反応速度相対値は比較例1の値を1とした相対値である。S2/S1が0.7以上の実施例1〜3の触媒は、比較例1の触媒と比べて単位金属表面積あたりの反応速度が2倍以上高いことがわかる。
Claims (10)
- 担体と、当該担体に担持された活性金属と、を含有する水素化触媒であって、
前記活性金属がPt及びPdを含み、
CO吸着IR測定による赤外吸収スペクトルにおいて、1720〜2000cm−1のピーク面積S1に対する2000〜2130cm−1のピーク面積S2の比(S2/S1)が0.7以上である、水素化触媒。 - 前記担体が、アルミナ、シリカ及びジルコニアを含有する無機酸化物担体である、請求項1に記載の水素化触媒。
- 塩素含有量が、水素化触媒の全量基準で0.01質量%未満である、請求項1又は2に記載の水素化触媒。
- 単位質量当たりのPt及びPdの合計含有量C1(mol/g)に対する、単位質量当たりのCO吸着量C2(mol/g)の比(C2/C1)が、0.35以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水素化触媒。
- 芳香族化合物を含む原料油を水素化触媒に接触させて、前記芳香族化合物の少なくとも一部を水素化して、前記原料油より芳香族分含有量が少ない生成油を得る水素化工程を備え、
前記水素化触媒が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素化触媒である、低芳香族溶剤の製造方法。 - 前記生成油の芳香族分含有量が1容量%以下である、請求項5に記載の製造方法。
- 前記原料油の芳香族分含有量が3〜30容量%である、請求項5又は6に記載の製造方法。
- 前記原料油の硫黄分含有量が10質量ppm以下である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記水素化工程において、水素圧力2〜7MPa、反応温度100〜350℃、LHSV0.1〜2h−1、水素/油比200〜600NL/Lの条件で前記原料油を水素化する、請求項5〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記生成油から、沸点240〜320℃の留分を90容量%以上含む溶剤を分留する分留工程を更に備える、請求項5〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
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