JP2019170238A - スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法 - Google Patents

スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019170238A
JP2019170238A JP2018061840A JP2018061840A JP2019170238A JP 2019170238 A JP2019170238 A JP 2019170238A JP 2018061840 A JP2018061840 A JP 2018061840A JP 2018061840 A JP2018061840 A JP 2018061840A JP 2019170238 A JP2019170238 A JP 2019170238A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
green
spirulina
beverage
less
present technology
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018061840A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7131937B2 (ja
Inventor
理華子 山中
Rikako Yamanaka
理華子 山中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP2018061840A priority Critical patent/JP7131937B2/ja
Publication of JP2019170238A publication Critical patent/JP2019170238A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7131937B2 publication Critical patent/JP7131937B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】本技術は、スピルリナ含有緑色飲料の緑色を安定的に維持するための手段を提供することを目的とする。【解決手段】本技術は、スピルリナを含有し且つpHが5以下である緑色飲料を提供する。また、本技術は、スピルリナを含有する原料液のpHを5以下に調整するpH調整工程を少なくとも含む、スピルリナを含有し且つpHが5以下である緑色飲料の製造方法も提供する。本技術によって、スピルリナ含有飲料の緑色を安定的に維持することができるという効果が奏される。【選択図】なし

Description

本技術は、スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法に関し、特には緑色が安定的に維持されたスピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法に関する。
スピルリナには様々な栄養素が豊富に含まれている。例えば、スピルリナはタンパク質含有割合が高いうえに、種々のビタミン及びミネラルを含む。そのため、飲食品の栄養的価値を高めるために、スピルリナを飲食品に添加することが行われている。
スピルリナを含む飲食品に関して、例えば特許文献1(特開第2017−46611号公報)には、クロロフィルを含有する緑色食品微細粒と少なくとも1質量%以上の脂質を均一状態で含有する脂質組成物とからなる、緑色の変色を抑制するための緑色飲食料品組成物が記載されている。当該緑色食品微細粒の例として、大麦若葉、ケール、茶、ユーグレナ、スピルリナ、及びクロレラが挙げられている。
特開2017−046611号公報
上記のとおり、スピルリナを飲食品に添加することが行われている。スピルリナ自体は緑色を有するので、スピルリナが飲食品に含まれていることを強調するために、当該飲食品を緑色とするニーズがある。
しかしながら、スピルリナの緑色は退色又は変色しやすい。スピルリナを飲料に添加する場合においては特に、スピルリナに由来する緑色を安定的に維持することは困難である。飲食品において保存時における品質変化が少ないことは商品価値として重要であるため、スピルリナに由来する緑色を安定的に維持することが求められている。
スピルリナ含有飲料の緑色を安定的に維持するために、スピルリナ含有飲料にスピルリナ以外の着色成分を添加することによって当該飲料を緑色とすることが考えられる。しかしながら、この場合の緑色は、スピルリナ由来の色ではない。
また、スピルリナ含有飲料に他の果汁若しくは野菜汁又は着色料を加えることにより飲料を緑色以外の色とすることも考えられる。しかしながら、このようにして得られた飲料は緑色ではないので、スピルリナを含むことが強調されない。
そこで、本技術は、スピルリナ自体に起因する緑色を安定的に維持することができる飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下のスピルリナ含有飲料がその緑色を安定的に維持することができることを見出した。
すなわち、本技術は、スピルリナを含有し且つpHが5以下である緑色飲料を提供する。
本技術の一つの実施態様に従い、スピルリナの含有割合は、前記緑色飲料の質量に対して0.001質量%〜1質量%であってよい。
本技術の一つの実施態様に従い、スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態において、前記緑色飲料のCIE Lab表色系におけるa値が0以下であってよい。
本技術の一つの実施態様に従い、前記緑色飲料を37℃で1週間保存した場合の色差ΔEが10以下であってよい。
本技術の一つの実施態様に従い、前記緑色飲料は常温保存可能である。
本技術の一つの実施態様に従い、前記緑色飲料は着色料を含まないものであってよい。
本技術の一つの実施態様に従い、前記緑色飲料は乳由来成分を含まないものであってよい。
また、本技術は、スピルリナを含有する原料液のpHを5以下に調整するpH調整工程を少なくとも含む、スピルリナを含有し且つpHが5以下である緑色飲料の製造方法も提供する。
本技術の一つの実施態様に従い、前記pH調整工程の後に、当該原料液を加熱殺菌する殺菌工程が行われてよい。
本技術によれば、スピルリナ含有飲料の緑色を安定的に維持することができる。すなわち、本技術によれば、スピルリナ含有飲料の保存時における品質変化を良好に抑制することができる。
なお、本技術の効果は、ここに記載された効果に限定されず、本明細書内に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下に本技術の好ましい実施形態について説明する。ただし、本技術は以下の好ましい実施形態に限定されず、本技術の範囲内で自由に変更することができるものである。
1.スピルリナ含有緑色飲料
本技術の緑色飲料は、スピルリナを含有する。スピルリナ(Spirulina)は、アルスロスピラ属又はスピルリナ属に属する藍藻類である。これらの藍藻類には、例えばアルスロスピラ(スピルリナ)・プラテンシス(Arthrospira(Spirulina) platensis)、アルスロスピラ(スピルリナ)・マキシマ(Arthrospira(Spirulina) maxima)、スピルリナ・サブサルサ(Spirulina subsalsa)、スピルリナ・メジャー(Spirulina major)、スピルリナ・ゲイトレリ(Spirulina geitleri)、スピルリナ・サイアミーゼ(Spirulina siamese)、スピルリナ・プリンセプス(Spirulina princeps)、スピルリナ・ラキシシマ(Spirulina laxissima)、スピルリナ・クルタ(Spirulina curta)、スピルリナ・スピルリノイデス(Spirulina spirulinoides)、及びスピルリナ・アルダリアが包含される。これらのスピルリナは一種単独で使用してもよいし、又は、二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
スピルリナは、蛋白質、クロロフィル、カロチン、およびビタミンB群等に加えて、カルシウム(400〜1200mg:スピルリナ100g中の含有量、以下同様。)、カリウム(800〜2000mg)、鉄(50〜150mg)、亜鉛(1〜3mg)、および銅(0.3〜0.6mg)等のミネラルを多く含むことが知られている(例えば、済木育夫「究極の完全食品 スピルリナ」、株式会社高輪出版社、1996年12月20日、62−65頁参照)。
本技術の緑色飲料に含まれるスピルリナは、例えば液体培地中で培養した状態の藻体(湿藻体)であってもよく、又は、それを乾燥した乾燥藻体であってもよい。さらにその乾燥藻体を粉砕することによって得られた粉末が、本技術の緑色飲料の調製のためにスピルリナとして用いられてもよい。本技術の緑色飲料は、好ましくは乾燥藻体の形態にあるスピルリナが添加されたものであり、より好ましくは乾燥粉末状態の藻体が添加されたものである。なお、スピルリナの乾燥藻体は、培養栽培して得られたスピルリナを乾燥することによって調製することができ(例えば特開2006−25668号公報など参照)、又は、商業的に入手することもできる(例えば株式会社スピルリナ研究所などより入手可能)。
本技術の緑色飲料中のスピルリナの含有割合は、前記緑色飲料の質量に対して好ましくは0.001質量%〜1質量%であり、より好ましくは0.005質量%〜0.8質量%であり、さらにより好ましくは0.01質量%〜0.7質量%、特に好ましくは0.02質量%〜0.3質量%であってよい。スピルリナの含有割合をこれら数値範囲の上限値以下とすることで、スピルリナの分散性を高めることができる。また、スピルリナの含有割合をこれら数値範囲の下限値以上とすることで、緑色を飲料に与えることができる。
本技術の緑色飲料のpHは5以下であり、好ましくはpHが4.8以下であり、より好ましくはpHが4.5以下であり、さらにより好ましくは4.2以下であり、特に好ましくはpHが4以下である。
スピルリナの緑色は、主にクロロフィルに由来する。クロロフィルの緑色の退色を防ぐには、一般的にはクロロフィルを中性(例えばpH6〜8)の環境下に置くことが良いと考えられている。そのため、スピルリナに由来する緑色の退色を抑制するためには、通常は、スピルリナを中性の環境下に置くことが良いと考えられる。
しかしながら、中性のpHでは、スピルリナ含有飲料の退色を十分に抑制することはできない。スピルリナには上記のとおり様々な栄養素が豊富に含まれているため、クロロフィル以外の成分がスピルリナ含有飲料の緑色の退色に関与している可能性がある。クロロフィルの退色抑制に関する技術をそのままスピルリナ含有飲料に適用しても、スピルリナの緑色を安定的に維持できないと考えられる。
本技術では、スピルリナ含有飲料を中性ではなく、酸性とする。具体的には、スピルリナ含有飲料のpHを上記範囲内とする。本発明者らは、このようにpHを調整することにより、当該スピルリナ含有飲料の緑色が安定的に保持されることを見出した。
また、本技術の緑色飲料のpH範囲の下限値は、例えば2、2.2、2.5、2.8、又は3.0であってよい。飲料が当該下限値以上のpHを有することで、当該飲料が飲用に適したものとなる。
本技術の緑色飲料のpH範囲の上限値及び下限値は、上記の値からそれぞれ選択されてよい。本技術の緑色飲料のpHは、例えば2〜5、好ましくは3〜5、より好ましくは2.2〜4.8、さらに好ましくは2.5〜4.5、さらにより好ましくは2.5〜4.2、さらに好ましくは2.5〜4、さらにより好ましくは3〜4である。このpH範囲が、スピルリナ含有飲料の緑色の退色を抑制するために特に適している。
また、本技術の緑色飲料は、pHが上記範囲内にあることによって、スピルリナの分散性が良いという効果を奏する。スピルリナ含有飲料中のスピルリナは、保存中に沈殿する。そのため、上記効果によって、当該飲料を飲用する際に即時にスピルリナを分散させることができる。
本技術の緑色飲料は、pH調整剤を含んでもよい。pH調整剤によって、当該緑色飲料のpHが上記範囲内に調整されてよい。本技術において、pH調整剤とは、例えば飲料の成分表示においてpH調整剤として記載される成分であってよい。pH調整剤として、飲料分野において通常用いられる化合物が用いられてよい。pH調整剤には、有機酸及びその塩並びに無機酸及びその塩が包含される。有機酸及びその塩として、例えばクエン酸、クエン酸三ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、リンゴ酸(例えばDL−リンゴ酸)、酒石酸(例えばDL−酒石酸及びL−酒石酸)、及び酒石酸水素カリウム(例えばDL−酒石酸水素カリウム及びL−酒石酸水素カリウム)を挙げることができるが、これらに限定されない。無機酸及びその塩として、リン酸及びリン酸ナトリウムを挙げることができるが、これらに限定されない。本技術に従いpHを上記範囲内とするために、複数種のpH調整剤が適宜組み合わせて使用されてよい。例えば、本技術の緑色飲料は、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムの組み合わせをpH調整剤として含んでよい。
pH調整剤の含有量は、例えば所望のpH値及び/又は風味などによって当業者により適宜選択されてよい。例えば、飲料の成分表示においてpH調整剤として記載される成分の合計含有割合は、本技術の飲料の質量に対して、例えば0.01質量%〜3質量%、好ましくは0.05質量%〜2.5質量%、より好ましくは0.1質量%〜2質量%であってよい。但し、果汁等の低pHの原料を用いることによって、pH調整剤を添加せずにpHが上記範囲内の緑色飲料を調製することができる場合には、pH調整剤を使用しないことも可能である。
pH調整剤としてクエン酸単独又はクエン酸とクエン酸三ナトリウムとの組み合わせを用いる場合、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムの合計含有割合は、本技術の飲料の質量に対して、好ましくは0.05質量%〜3質量%、より好ましくは0.1質量%〜2.5質量%、さらにより好ましくは0.3質量%〜2質量%であってよい。これら化合物の合計含有割合がこの数値範囲内にあり且つpHが上記の範囲内にあることで、スピルリナ含有飲料の緑色の退色がより抑制される。
例えば、クエン酸の含有割合は、本技術の飲料の質量に対して、好ましくは0.03〜3質量%、より好ましくは0.05質量%〜3質量%、より好ましくは0.2質量%〜2.5質量%、さらにより好ましくは0.25質量%〜2質量%である。また、クエン酸三ナトリウムの含有割合は、本技術の飲料の質量に対して、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.04質量%以下、さらにより好ましくは0.03質量%以下であってよく、又はクエン酸三ナトリウムは本技術の飲料に含まれなくてもよい。
本技術の緑色飲料は、スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態において、前記緑色飲料のCIE L*a*b*表色系(本明細書内において、「CIE Lab表色系」ともいう)におけるa値が、好ましくは0以下であり、より好ましくは−1以下であり、さらにより好ましくは−2以下であり、特に好ましくは−3以下である。なお、a値は、緑から赤にかけての色調の強さを示す値であり、−(マイナス)側の絶対値が大きくなるほど緑色が強くなることを示す色彩値であり、本技術の緑色飲料における緑色の程度を示す値として好適である。
なお、本明細書内において、Lab表色系における「L*値」、「a*値」、及び「b*値」をそれぞれ「L値」、「a値」、及び「b値」ともいう。
本技術の緑色飲料は、スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態において、前記緑色飲料のCIE Lab表色系におけるa値は、好ましくは−15以上、より好ましくは−12以上、さらにより好ましくは−10以上であってよい。
本技術において、前記スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態とは、当該緑色飲料が入っている容器を、泡立ちが生じないように振とうして飲料の色が全体にわたって均一となり、且つ、当該容器の底に沈殿が無い状態である。飲料の色が全体にわたって均一となったこと及び容器の底に沈殿がないことは、目視により確認されてよい。
本技術において、CIE Lab表色系におけるa値は以下のとおりに測定される。すなわち、前記分散されている状態にある飲料を含む容器にピペットを挿入し、当該ピペットで2又は3回飲料を出し入れし、当該飲料を再度混ぜる。そして、当該容器の中心付近から当該飲料を10ml採取し、そして、ガラスセルに入れる。ガラスセル中の当該飲料に対して、分光白色度計・色差計PF7000(日本電色工業株式会社、FMVA1603GP)を用いて測色を行う。
CIE Lab表色系におけるa値が上記数値範囲内にあるスピルリナ含有緑色飲料は、そのpHが上記の範囲内にあることによって、より安定的に緑色が維持されると考えられる。
なお、以下で述べるb値及びL値も、同じ方法で測定される。
本技術の緑色飲料は、スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態において、前記緑色飲料のCIE Lab表色系におけるb値が、好ましく40以下であり、より好ましくは35以下であり、さらにより好ましくは30以下である。
本技術の緑色飲料は、スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態において、前記緑色飲料のCIE Lab表色系におけるb値は、好ましくは0以上、より好ましくは3以上、さらにより好ましくは5以上であってよい。
CIE Lab表色系におけるb値が上記数値範囲内にあることによって、スピルリナ含有緑色飲料はより好ましい緑色を呈することができる。
本技術の緑色飲料は、スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態において、前記緑色飲料のCIE Lab表色系におけるL値は、好ましくは20〜80、より好ましくは25〜75、さらにより好ましくは30〜70であってよい。L値が数値範囲内にあることによって、より好ましい外観が飲料に与えられる。L値は、求められる緑色の濃さに応じて適宜調整されてよい。例えばスピルリナの含有量を変更することで、L値を調節することができる。
本技術の緑色飲料は、保存時の色の変化が少ない。例えば、本技術の緑色飲料は、37℃で1週間保存した場合の保存前後の色差ΔEが10以下である。色差ΔEは以下の式で表される:ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2。当該式において、ΔL=(保存後のL値−保存前のL値)、Δa=(保存後のa値−保存前のa値)、且つ、Δb=(保存後のb値−保存前のb値)である。特に好ましくは、本技術の緑色飲料は、37℃で3週間保存した場合の保存前後の色差ΔEが好ましくは10以下、より好ましくは9.5以下である。このように保存前後のΔEが低いことは、保存時の変色が抑制されていることを意味する。
また、例えば、本技術の緑色飲料は、37℃で1週間保存した場合の保存前後のΔaは、好ましくは5以下であり、より好ましくは4.5以下、さらにより好ましくは4以下である。特に好ましくは、本技術の緑色飲料は、37℃で3週間保存した場合の保存前後のΔaが、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、さらにより好ましくは4.5以下である。このように保存前後のΔaが低いことは、保存時の緑色の退色が抑制されていることを意味する。
また、保存前後の緑色の退色抑制は、緑色保持率によって評価されてもよい。或る保存期間前後での緑色保持率は、例えば以下の式で表される:(緑色保持率)=((保存後の−a/b)÷(保存前の−a/b))。
本技術の緑色飲料は、加熱殺菌後の緑色を保持することに特に優れている。例えば、本技術の緑色飲料の加熱殺菌直後の色と当該加熱殺菌から1週間37℃で保存した後の色との比較による緑色保持率(=((1週間保存後の−a/b)÷(加熱殺菌直後の−a/b))は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、より好ましくは0.5以上、さらにより好ましくは0.6以上である。また、本技術の緑色飲料の加熱殺菌直後の色と当該加熱殺菌から3週間37℃で保存した後の色との比較による緑色保持率(=((3週間保存後の−a/b)÷(加熱殺菌直後の−a/b))は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.35以上、より好ましくは0.4以上、さらにより好ましくは0.45以上である。
本技術の緑色飲料は、好ましくは常温保存可能である。すなわち、本技術の緑色飲料は、食品衛生上10℃以下で保存することを要しないものであり、常温で流通及び/又は保存されるものであってよい。特には、本技術の緑色飲料は、殺菌処理され且つ密閉された状態で流通及び/又は保存されるためのものであってよい。なお、本技術において、常温とは、外気温を超えない温度であり、外気温を超えない限りにおいて特定の温度範囲に限定されるものではないが、好ましくは10℃〜30℃以下の温度であり、より好ましくは15〜25℃である。また、本技術における常温保存とは、外気温を超えない温度での保存であり、好ましくは冷蔵保存されないことを示すものである。
特に好ましくは、本技術の緑色飲料は、常温保存されるものであり、且つ、以上で述べた通り色の変化が少ないものである。例えば、本技術の緑色飲料は、常温で流通及び/又は保存されるものであり、且つ、37℃で1週間保存した場合の保存前後の色差ΔEが10以下である。これまで、このように常温保存可能であり且つスピルリナ本来の緑色を維持した色の変化が少ないスピルリナ含有緑色飲料はなかった。
従来のスピルリナ含有飲料の多くは、当該飲料の退色又は変色のしやすさを考慮し、冷蔵された状態で流通及び保存されている場合が多い。本技術のスピルリナ含有緑色飲料は常温保存可能であるので、冷蔵で流通及び保存される飲料に比べて、その管理コストが低い。
本技術の緑色飲料は、好ましくは60日以上又は2ヶ月以上、より好ましくは90日以上又は3ヶ月以上、さらに好ましくは120日以上又は4ヶ月以上、さらにより好ましくは150日以上又は5ヶ月以上常温保存可能である。また、本技術の緑色飲料の常温保存期間は、飲料の緑色が良好に維持される限りにおいて特に制限されないが、例えば、12ヶ月以下、10ヶ月以下、又は9ヶ月以下であってよい。特に好ましい実施態様に従い、本技術の緑色飲料は2〜12ヶ月間(60日〜365日間)常温保存可能であり、すなわち2〜12ヶ月間(60日〜365日間)常温保存可能である飲料製品として流通されてよい。
本技術の一つの実施態様に従い、本技術の緑色飲料は着色料を含まないものであってよい。本技術において、着色料とは、飲料分野において着色料として使用される添加物を意味し、飲料の成分表示において着色料又は色素として表示されるものであってよい。着色料には、例えばアントシアニン色素、クチナシ色素、ベニバナ色素、及びカロテノイド色素が包含される。
本技術の他の実施態様に従い、本技術の緑色飲料は、スピルリナ以外の緑色飲食品成分を含まないものであってもよい。スピルリナ以外の緑色飲食品成分として例えば、茶葉由来の飲食品原料(例えば抹茶など)及び緑色野菜由来の飲食品原料(例えばほうれん草、ケール、大麦若葉、及び小松菜などの葉野菜に由来する飲食品原料)を挙げることができる。
このように、本技術の緑色飲料は、その緑色が主としてスピルリナに起因するものであってよく、さらにはその緑色がスピルリナのみに起因するものであってよい。これにより、飲料の緑色がスピルリナ由来であることをより強調することができる。
本技術の一つの実施態様に従い、本技術の緑色飲料は乳由来成分を含まず、特には乳、乳処理物、及び乳由来成分のいずれも含まない。これにより、本技術の飲料の緑色がより鮮やかになる。乳は、例えば哺乳類由来の乳、特には牛又はヒトから得られた乳である。乳処理物は、例えば乳の遠心分離処理により得られたクリーム及び脱脂乳、並びに、乳のチーズ製造において得られた乳清を包含する。乳由来成分は、例えば乳蛋白質及び乳脂肪などを包含する。
本技術の一つの実施態様に従い、本技術の緑色飲料は果汁や野菜汁を含んでもよい。スピルリナに由来する緑色を強調するために、前記果汁及び野菜汁は透明であってもよい。これにより、本技術の飲料の緑色がより鮮やかになる。透明果汁は、例えば混濁果汁を酵素処理し、そして必要に応じて遠心分離することにより製造される。
本技術の緑色飲料は、甘味料を含んでよい。甘味料として、糖類、糖アルコール、及び高甘味度甘味料を挙げることができる。糖類には、単糖類、二糖類、及び多糖類が包含される。単糖類として、例えばグルコース及びフルクトースを挙げることができる。二糖類として、例えばスクロース及びマルトースを挙げることができる。多糖類として、例えばオリゴ糖及びデキストリンを挙げることができる。糖アルコールとして、例えばエリスリトール及びソルビトールを挙げることができる。高甘味度甘味料として、例えばアセスルファムカリウム及びスクラロースを挙げることができる。本技術に従い、複数種の甘味料が適宜組み合わせて使用されてよい。また、前記甘味料の使用形態は特に制限されず、粉末状であっても液体状(液糖)であってもよい。液糖としては、果糖ブドウ糖液糖や砂糖混合果糖ブドウ糖液糖を例示することができる。
本技術の緑色飲料中の甘味料の含有割合は、例えば目的とする飲料の甘味度及び使用される甘味料の甘味度に応じて当業者により適宜選択されてよい。
本技術の緑色飲料は、分散剤を含んでよい。分散剤によって、スピルリナの沈殿を抑制することができる。分散剤として、例えばキサンタンガム、ウェランガム、発酵セルロース、及びジェランガム等を挙げることができる。分散剤の含有量は、本技術の緑色飲料の質量に対して、例えば0.001質量%〜0.1質量%、好ましくは0.005質量%〜0.05質量%であってよい。
本技術の緑色飲料は、さらに香料を含んでもよい。前記香料として、例えばフルーツフレーバー(例えばストロベリーフレーバー、バナナフレーバー、アップルフレーバー、及びピーチフレーバーなど)を挙げることができる。
本技術の緑色飲料は、例えば以下「2.スピルリナ含有緑色飲料の製造方法」において述べる製造方法により製造することができる。また、本技術の緑色飲料は、当該製造方法以外の方法により製造されてもよい。
2.スピルリナ含有緑色飲料の製造方法
本技術は、スピルリナを含有し且つpHが5以下である緑色飲料の製造方法も提供する。当該製造方法は、スピルリナを含有する原料液のpHを5以下、好ましくは4.8以下、より好ましくは4.5以下、さらにより好ましくは4.2以下、特に好ましくは4以下に調整するpH調整工程を少なくとも含む。スピルリナを含有する原料液のpHを上記値以下とすることで、当該原料液を用いて製造されるスピルリナ含有緑色飲料の緑色を安定的に維持することができる。
また、pH調整工程における調整後の原料液のpHは、例えば2以上、2.2以上、2.5以上、2.8以上、又は3.0以上であってよい。原料液が上記値以上のpHを有することで、当該原料液を用いて製造されるスピルリナ含有緑色飲料が飲用により適したものとなる。
前記pH調整工程は、例えば原料液にpH調整剤を添加することを含む。上記「1.スピルリナ含有緑色飲料」にてpH調整剤に関して述べた説明の全てが、本技術の製造方法において用いられるpH調整剤についても当てはまる。pH調整剤を原料液に添加して混合することによって、原料液のpHが上記数値範囲内に調整されてよい。
本技術に従うスピルリナ含有緑色飲料の製造方法は、前記pH調整工程に加えて、例えばスピルリナを含有する原料液を用意する原料液用意工程を含みうる。前記原料液用意工程は、例えばスピルリナを水と混合することを含んでよい。当該工程において、例えば、甘味料及び/又は果汁が原料液に添加されてもよい。上記「1.スピルリナ含有緑色飲料」にてスピルリナ、甘味料、及び果汁に関して述べた全ての説明が、本技術の製造方法において用いられるスピルリナ、甘味料、及び果汁にもあてはまる。
本技術に従うスピルリナ含有緑色飲料の製造方法は、pH調整工程後に当該原料液を加熱殺菌する加熱殺菌工程を含みうる。
本技術の製造方法において、当該加熱殺菌工程に付される当該原料液のpHは、上記pH調整工程に関して述べたとおり、5以下、好ましくは4.8以下、より好ましくは4.5以下、さらにより好ましくは4.2以下、特に好ましくは4以下である。これにより、加熱殺菌前後での緑色の退色及び原料液の変色が抑制されるという効果が奏される。そのため、保存時の品質変化を抑制し緑色飲料としての商品価値を長く維持することができる。当該効果は、特にはスピルリナ含有割合が原料液質量に対して0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下、さらにより好ましくは0.1質量%以下である場合に、より顕著に奏される。
本技術における原料液の加熱殺菌工程における殺菌条件は、食品衛生法における清涼飲料の殺菌基準に基づいて、pH4.0未満の場合には少なくとも65℃10分又はこれと同等以上の加熱条件、pH4.0以上の場合には少なくとも85℃30分又はこれと同等以上の加熱条件にて行われることが好ましい。
本技術における原料液の加熱殺菌工程における殺菌温度は、食品衛生法における清涼飲料の殺菌基準を満たす限りにおいて制限されないが、殺菌温度の上限値は、140℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、110℃以下であることがよりさらに好ましい。殺菌温度の下限値としては、前記殺菌基準を満たす限りにおいて特に制限されないが、65℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましく、95℃以上であることがよりさらに好ましい。また、前記殺菌温度における加熱処理時間は、採用した殺菌温度に応じて適宜設定することができるが、1〜100秒間であることが好ましく、1〜30秒間であることがより好ましく、1〜5秒間であることがさらに好ましく、2〜4秒間であることがよりさらに好ましい。
殺菌方式としては、前記殺菌基準を満たす限りにおいて特に制限されないが、バッチ式殺菌、チューブラー式殺菌、プレート式殺菌等の間接加熱法、又はインジェクション式殺菌、インフュージョン式殺菌等の直接加熱法等の常法により実施することができる。
本技術に従う製造方法は、加熱殺菌工程前の原料液又は加熱殺菌工程後のスピルリナ含有緑色飲料を容器に充填する工程を含んでもよい。容器としては、原料液を充填後に密封できる容器であれば特に制限されず、紙パック、瓶、プラスチックボトル、又は缶等を使用することができる。
加熱殺菌した前記原料液の容器への充填は、当該原料液を高温に維持した状態で清浄な容器内に充填して、容器内の酸素を原料液の蒸気により追い出してから密封するホットパック充填方法や、加熱殺菌した後に常温近くまで冷却した殺菌済みの原料液を殺菌済みの容器内に充填する方法(無菌充填)で実施することができる。ホットパック充填では、原料液を充填した後に、好ましくは15〜40℃、より好ましくは20〜30℃に冷却することが好ましい。無菌充填においては、殺菌後に原料液を好ましくは15〜40℃に、より好ましくは20〜30℃に冷却してから容器に充填する。この際、充填した後に容器のヘッドスペースに窒素を充満させて容器内の酸素を追い出してから密封すること好ましい。これにより、容器詰された常温流通可能なスピルリナ含有飲料を製造することができる。
また、加熱殺菌工程前の原料液を容器に充填する工程の例として、レトルトパック充填工程を挙げることができる。すなわち、原料液がレトルトパックに充填され、そして前記加熱殺菌工程においてレトルト滅菌が行われる。これにより、レトルトパックに充填された常温流通可能なスピルリナ含有飲料を製造することができる。
以上のとおり、本技術の製造方法に従い、緑色が安定的に維持されるスピルリナ含有緑色飲料を製造することができる。本技術の製造方法に従い製造されたスピルリナ含有緑色飲料は、上記「1.スピルリナ含有緑色飲料」において述べた特性(例えば組成及び色など)を有するものであってよい。
本技術の製造方法により製造されたスピルリナ含有緑色飲料は常温で保存されてよい。当該飲料は、例えば60日以上又は2ヶ月以上、90日以上又は3ヶ月以上、より好ましくは120日以上又は4ヶ月以上、さらにより好ましくは150日以上又は5ヶ月以上常温保存可能である。また、本技術の緑色飲料の常温保存期間は、飲料の緑色が良好に維持される限りにおいて特に制限されないが、例えば、12ヶ月以下、10ヶ月以下、又は9ヶ月以下であってよい。特に好ましい実施態様に従い、本技術の緑色飲料は2〜12ヶ月間(60〜365日間)常温保存可能であり、すなわち2〜12ヶ月間(60〜365日間)常温保存可能である飲料製品として流通されてよい。
以下に本技術を、実施例を参照して説明するが、本技術はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[試験例1]
1−1.試験試料の調製
スピルリナ粉末(DICライフテック株式会社)、砂糖混合果糖ブドウ糖液糖(昭和産業株式会社)、及びアジ化ナトリウムを以下の表1に記載の含有割合で水に添加及び混合して原料液を調製した。1800gの原料液が5つ用意された。なお、表1に記載の単位(%)は、原料液の質量に対する質量%である。
次に、各原料液に以下表1に示される量のクエン酸及びクエン酸三ナトリウムを添加して、当該原料液のpHを同表に示されるとおり3、4、5、6、又は7に調整した。pH調整後、各原料液を加熱し、温度が90℃に達するまでバッチ殺菌した。そして、90℃のまま各原料液を透明容器に入れ(ホットパックし)、90℃を1分間保持し、そして、冷却槽内で冷却して、透明容器に密封され且つ殺菌されたスピルリナ含有緑色液を得た。
なお、以下で述べる37℃での保存では、上記殺菌によっても菌類又は細菌が増殖する可能性がある。特に、スピルリナ粉末は種々の栄養素を豊富に含み且つ37℃は菌類又は細菌の増殖に好適な温度であるため、スピルリナを含む上記液を37℃で保存する場合に菌類又は細菌が増殖しやすい。これらが増殖した場合は、上記液の色に影響を及ぼし、緑色の退色抑制を正確に評価できない。そのため、当該増殖による色への影響を排除するために、本試験例では、各原料液にアジ化ナトリウムが添加された。当該添加は、あくまでも色調確認試験の精度を高めるためのものであり、本来、アジ化ナトリウムが飲食品に添加されるべきでないことは言うまでもない。
1−2.保存試験
得られたスピルリナ含有緑色液の製造直後の色を測定した。当該測定は以下のとおりに行われた。すなわち、まず当該液が入った容器を泡立ちが生じないように振とうした。振とうによって当該液の色が全体にわたって均一となり且つ当該容器の底に沈殿が無い状態で当該容器内にピペットを挿入し、当該ピペットで2又は3回当該液を出し入れし、当該液を再度混ぜた。そして、当該容器の中心付近から、当該液を10ml採取し、ガラスセルに入れた。ガラスセル中の当該液に対して、分光白色度計・色差計PF7000(日本電色工業株式会社、FMVA1603GP)を用いて測色を行った。
次に、当該液を、アルミホイルで遮光された状態とし、37℃で3週間保存した。1週間の保存後及び3週間の保存後の当該液の色を上記と同じ方法で測定した。
なお、37℃での保存時間は、常温(25℃)での保存時間の約4倍に相当する。そのため、例えば37℃での3週間の保存は、常温で約12週間の保存に相当する。
測定結果より、殺菌後の色と1週間保存後又は3週間保存後の色との間の色差ΔE(ab)を算出した。また、緑色保持率(=(保存後の−a/b) ÷(殺菌直後の−a/b))を算出した。これらの結果を以下の表2に示す。

上記表2に示されるとおり、pHが5以下である場合のΔaは、1週間保存後及び3週間保存後のいずれにおいても5以下であった。pHが5以下である場合のΔaは、pHが6以上である場合よりも低かった。また、pHが5以下である場合の緑色保持率は、pHが6以上である場合よりも高かった。以上の結果より、pHが5以下であることにより緑色の退色が抑制されたことが分かる。
また、pHが4以下である場合、pHが5である場合よりも緑色保持率もさらに高かった。また、pHが5である場合よりも1週間保存後におけるΔaが顕著に低かった。よって、pHが4以下であることにより、さらに緑色の退色が抑制されることが分かる。
上記表2に示されるとおり、pHが5以下である場合のΔEは、1週間保存後及び3週間保存後のいずれにおいても10以下であった。pHが5以下である場合のΔEは、pHが6以上である場合よりも低くなる傾向が確認された。よって、pHが5以下であることで、変色が抑制されたことが分かる。
1−3.加熱殺菌前後の比較
また、pH調整後且つバッチ殺菌前の各原料液についても色の測定を上記測定方法によって行い、スピルリナ含有緑色液の製造直後の色との比較を行った。比較結果を以下の表3に示す。なお、緑色保持率は以下の式により算出した:緑色保持率(=(殺菌後の−a/b) ÷(殺菌前の−a/b))。
上記表3に示されるとおり、pHが5以下の場合の殺菌前後のΔa及びΔEは、pHが6の場合と比べてより低かった。また、pHが3の場合におけるΔa及びΔEは、pHが7の場合と比べてもさらに低かった。そのため、加熱殺菌工程に付される原料液のpHが5以下である場合において、特にはpHが3である場合において、加熱殺菌による緑色の退色及び変色が抑制されることが分かる。
[試験例2]
2−1.試験試料の調製
以下表4に示される含有割合となるようにスピルリナ及び砂糖混合果糖ブドウ糖液糖を水に添加及び混合して原料液を調製した。スピルリナ含有割合は、原料液の質量に対して0.10質量%又は0.02質量%であり、試験例1におけるスピルリナ含有割合と異なる。これらの原料液のpHを、pH調整剤(クエン酸及びクエン酸三Na)によって3、4、5、又は6に調整した。
pH調整後、各原料液を92℃に5分間保持することで殺菌した。そして、92℃のまま各原料液を透明容器に入れ(ホットパックし)、92℃を5分間保持し、そして、冷却槽内で5℃以下に冷却して、透明容器に密封され且つ殺菌されたスピルリナ含有緑色液を得た。
2−2.保存試験
得られたスピルリナ含有緑色液の製造直後の色を測定した。測定方法は、試験例1において述べたものと同じである。
次に、当該液を、アルミホイルで遮光された状態とし、37℃で3週間保存した。1週間の保存後及び3週間の保存後の当該液の色を、上記測定方法で測定した。
測定結果より、殺菌後の色と1週間保存後又は3週間保存後の色との間の色差を算出した。また、緑色保持率(=(保存後の−a/b) ÷(殺菌直後の−a/b))を算出した。
また、スピルリナ含有緑色液の製造直後、1週間保存後、及び3週間保存後のそれぞれにおいて、スピルリナの分散性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
・ゆっくり半回転させると完全に分散する・・・4
・ゆっくり1.5回転させると完全に分散する・・・3
・ゆっくり2.5回転させると完全に分散する・・・2
・ゆっくり2.5回転させても全く分散しない・・・1
当該評価基準に従い各液を評価し、評価結果の平均値を算出した。
スピルリナ含有割合が0.02質量%又は0.10質量%である場合における色の測定結果及び分散性の評価結果を、以下表5、6にそれぞれ示す。

上記表5に示されるとおり、pHが5以下である場合のΔaは、1週間保存後及び3週間保存後のいずれにおいても1.5以下であるのに対し、pHが6である場合のΔaは1週間後においては1.66であり3週間後においては2.03であった。また、pHが5以下である場合の緑色保持率は、pHが6である場合よりも高かった。以上の結果より、pHが5以下であることにより緑色の退色が抑制されたことが分かる。
なお、pHが4のスピルリナ含有液は、他の液よりも凝集物の量が多く、沈殿の状態も他の液と異なっていた。そのため、pHが4のスピルリナ含有液はカビ酵母の影響を受けた可能性がある。pHが4である場合のΔaがpH3又は5である場合よりも高いのは、おそらく当該影響を受けたためであると考えられる。
上記表5に示されるとおり、pHが5又は3である場合のΔEは、pHが6である場合よりも低かった。よって、pHが5以下であることで、スピルリナ含有液の変色が抑制されたことが分かる。
なお、pHが4である場合のΔEは、pHが6である場合よりも高い。これは前記カビ酵母によるためと考えられる。そのため、試験例1において観察された傾向を考慮すると、前記カビ酵母の影響がなければ、pHが4である場合のΔEはpHが6である場合よりも低くなると考えられる。
上記表5に示されるとおり、pHが4以下である場合において、スピルリナ含有液中のスピルリナの分散性が、pHが5及び6である場合よりも高い。そのため、pHを4以下とすることで、当該分散性が高まることが分かる。
上記表6に示されるとおり、pHが5以下である場合のΔaは、pHが6である場合のΔaよりも低かった。また、pHが5以下である場合の緑色保持率は、pHが6である場合よりも高かった。以上の結果より、pHが5以下であることにより緑色の退色が抑制されたことが分かる。
上記表6に示されるとおり、pHが4以下である場合において、スピルリナ含有液中のスピルリナの分散性が、pHが5及び6である場合よりも高い。そのため、pHを4以下とすることで、当該分散性が高まることが分かる。
2−3.加熱殺菌前後の比較
pH調整後且つ殺菌前の各原料液についても色の測定を上記測定方法によって行い、スピルリナ含有緑色液の製造直後の色との比較を行った。比較結果を以下の表7及び8に示す。

上記表7に示されるとおり、pHが5以下の場合の加熱殺菌前後のΔa及びΔEは、pHが6の場合と比べてより低かった。また、pHが4以下の場合におけるΔa及びΔEは、特に低かった。そのため、加熱殺菌工程に付される原料液のpHが5以下である場合において、特にはpHが4以下である場合において、加熱殺菌による緑色の退色及び変色が抑制されることが分かる。

上記表8に示されるとおり、pHが5以下の場合のΔEは、pHが6の場合よりも低かった。そのため、pHを5以下とすることで、加熱殺菌による変色を抑制することができる。
また、上記表8に示されるとおり、pHが4以下の場合のΔaは、pHが5及び6の場合よりも低かった。そのため、スピルリナ含有割合が0.10%である場合、加熱殺菌による緑色の退色を抑制するためには、加熱殺菌に付されるスピルリナ含有液のpHを4以下とすることが望ましいことが分かる。
以上のとおり、pHを5以下とすることで、加熱殺菌により変色を抑制することができ、pHを4以下とすることによって、加熱殺菌による変色だけでなく保存時における緑色の退色も抑制できる。
以上のことから、本技術によれば、スピルリナ含有緑色飲料の加熱殺菌や保存時における緑色の退色及び変色を良好に抑制することができる。このことから、本技術によれば、常温保存した場合でも品質変化の少ないスピルリナ含有緑色飲料を提供することが可能である。




Claims (9)

  1. スピルリナを含有し且つpHが5以下である緑色飲料。
  2. スピルリナの含有割合が、前記緑色飲料の質量に対して0.001質量%〜1質量%である、請求項1に記載の緑色飲料。
  3. スピルリナが前記緑色飲料中に分散されている状態において、前記緑色飲料のCIE Lab表色系におけるa値が0以下である、請求項1又は2に記載の緑色飲料。
  4. 前記緑色飲料を37℃で1週間保存した場合の色差ΔEが10以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の緑色飲料。
  5. 前記緑色飲料が常温保存可能である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の緑色飲料。
  6. 前記緑色飲料が着色料を含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の緑色飲料。
  7. 前記緑色飲料が乳由来成分を含まない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の緑色飲料。
  8. スピルリナを含有する原料液のpHを5以下に調整するpH調整工程を少なくとも含む、スピルリナを含有し且つpHが5以下である緑色飲料の製造方法。
  9. 前記pH調整工程の後に、当該原料液を加熱殺菌する殺菌工程が行われる、請求項8に記載の製造方法。


JP2018061840A 2018-03-28 2018-03-28 スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法 Active JP7131937B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018061840A JP7131937B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018061840A JP7131937B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019170238A true JP2019170238A (ja) 2019-10-10
JP7131937B2 JP7131937B2 (ja) 2022-09-06

Family

ID=68165949

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018061840A Active JP7131937B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7131937B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112106993A (zh) * 2020-07-13 2020-12-22 丽江美之源食品有限公司 一种螺旋藻多肽复合制剂及其制备方法

Citations (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55156576A (en) * 1979-05-28 1980-12-05 Nobuyuki Miyaji Drink containing spirulina
JPS62201560A (ja) * 1986-02-28 1987-09-05 Toa Nenryo Kogyo Kk 水分散性スピルリナ粉末の製造方法
JPH089940A (ja) * 1994-06-30 1996-01-16 Dainippon Ink & Chem Inc スピルリナ抽出液の製造法
JP2002322384A (ja) * 2001-04-25 2002-11-08 Mitsubishi Chemicals Corp 緑色用色素製剤
JP2002338842A (ja) * 2001-05-15 2002-11-27 Mitsubishi Chemicals Corp ペラルゴニジン系色素、カロチノイド系色素、またはフィコシアニン系色素とプロアントシアニジンを含有する色素製剤
JP2003504410A (ja) * 1999-07-19 2003-02-04 チ、チン 藻類のプロテオグリカン抽出物およびその使用方法
KR20040042769A (ko) * 2002-11-15 2004-05-20 주식회사 이에스바이오텍 세포막이 용해된 수용성 스피루리나 및 그의 제조방법
CN1537466A (zh) * 2003-04-20 2004-10-20 谢新辞 一种即溶螺旋藻制品及其制造方法
CN101348754A (zh) * 2007-07-16 2009-01-21 青岛啤酒股份有限公司 一种螺旋藻提取液及其制备方法
JP2009517482A (ja) * 2005-11-28 2009-04-30 ユーエス・ニュートラシューティカルズ・エルエルシー・ディービーエイ・ヴァレンサ・インターナショナル 藻類及び藻類抽出物の栄養補助組成物
CN101891809A (zh) * 2010-06-18 2010-11-24 中国科学院海洋研究所 一种藻蓝蛋白提取物的制备和应用
JP2012125159A (ja) * 2010-12-13 2012-07-05 Dic Lifetec Co Ltd 着色用藍藻類粉末及びその製造方法
US20130216665A1 (en) * 2010-11-05 2013-08-22 Sarah Louise Mason Multiple emulsions for colorants
KR20130106903A (ko) * 2012-03-21 2013-10-01 충남대학교산학협력단 스피루리나를 함유하는 묵의 제조방법
KR20140106274A (ko) * 2013-02-26 2014-09-03 신규식 다이어트 및 근육강화용 건강기능식품 조성물 및 이의 제조방법
CN104323385A (zh) * 2014-11-06 2015-02-04 中国科学院南海海洋研究所 一种螺旋藻功能性饮料及其制备方法
CN104473286A (zh) * 2014-10-23 2015-04-01 苏州垣梦新能源环保科技有限公司 黄秋葵、菌、藻合成的固体(功能)饮料及其制备方法
CN105211388A (zh) * 2015-10-27 2016-01-06 张永霞 一种益脑增智的花果蛋白茶及其制备方法
CN105309968A (zh) * 2015-12-04 2016-02-10 刘楚玲 一种螺旋藻保健饮料及其制备方法
JP2017046611A (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 株式会社 伊藤園 緑色飲食料品組成物
CN106666509A (zh) * 2016-11-15 2017-05-17 荣成众智海洋生物科技有限公司 一种美体瘦身鳄梨粉的制备方法
JP2017109976A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 森永乳業株式会社 ビフィドバクテリウム属細菌および/または乳酸菌の増殖促進および/または減少抑制剤
KR101806020B1 (ko) * 2016-04-21 2017-12-07 송영천 스피룰리나 함유 건강 음료 및 이의 제조 방법

Patent Citations (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55156576A (en) * 1979-05-28 1980-12-05 Nobuyuki Miyaji Drink containing spirulina
JPS62201560A (ja) * 1986-02-28 1987-09-05 Toa Nenryo Kogyo Kk 水分散性スピルリナ粉末の製造方法
JPH089940A (ja) * 1994-06-30 1996-01-16 Dainippon Ink & Chem Inc スピルリナ抽出液の製造法
JP2003504410A (ja) * 1999-07-19 2003-02-04 チ、チン 藻類のプロテオグリカン抽出物およびその使用方法
JP2002322384A (ja) * 2001-04-25 2002-11-08 Mitsubishi Chemicals Corp 緑色用色素製剤
JP2002338842A (ja) * 2001-05-15 2002-11-27 Mitsubishi Chemicals Corp ペラルゴニジン系色素、カロチノイド系色素、またはフィコシアニン系色素とプロアントシアニジンを含有する色素製剤
KR20040042769A (ko) * 2002-11-15 2004-05-20 주식회사 이에스바이오텍 세포막이 용해된 수용성 스피루리나 및 그의 제조방법
CN1537466A (zh) * 2003-04-20 2004-10-20 谢新辞 一种即溶螺旋藻制品及其制造方法
JP2009517482A (ja) * 2005-11-28 2009-04-30 ユーエス・ニュートラシューティカルズ・エルエルシー・ディービーエイ・ヴァレンサ・インターナショナル 藻類及び藻類抽出物の栄養補助組成物
CN101348754A (zh) * 2007-07-16 2009-01-21 青岛啤酒股份有限公司 一种螺旋藻提取液及其制备方法
CN101891809A (zh) * 2010-06-18 2010-11-24 中国科学院海洋研究所 一种藻蓝蛋白提取物的制备和应用
US20130216665A1 (en) * 2010-11-05 2013-08-22 Sarah Louise Mason Multiple emulsions for colorants
JP2012125159A (ja) * 2010-12-13 2012-07-05 Dic Lifetec Co Ltd 着色用藍藻類粉末及びその製造方法
KR20130106903A (ko) * 2012-03-21 2013-10-01 충남대학교산학협력단 스피루리나를 함유하는 묵의 제조방법
KR20140106274A (ko) * 2013-02-26 2014-09-03 신규식 다이어트 및 근육강화용 건강기능식품 조성물 및 이의 제조방법
CN104473286A (zh) * 2014-10-23 2015-04-01 苏州垣梦新能源环保科技有限公司 黄秋葵、菌、藻合成的固体(功能)饮料及其制备方法
CN104323385A (zh) * 2014-11-06 2015-02-04 中国科学院南海海洋研究所 一种螺旋藻功能性饮料及其制备方法
JP2017046611A (ja) * 2015-08-31 2017-03-09 株式会社 伊藤園 緑色飲食料品組成物
CN105211388A (zh) * 2015-10-27 2016-01-06 张永霞 一种益脑增智的花果蛋白茶及其制备方法
CN105309968A (zh) * 2015-12-04 2016-02-10 刘楚玲 一种螺旋藻保健饮料及其制备方法
JP2017109976A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 森永乳業株式会社 ビフィドバクテリウム属細菌および/または乳酸菌の増殖促進および/または減少抑制剤
KR101806020B1 (ko) * 2016-04-21 2017-12-07 송영천 스피룰리나 함유 건강 음료 및 이의 제조 방법
CN106666509A (zh) * 2016-11-15 2017-05-17 荣成众智海洋生物科技有限公司 一种美体瘦身鳄梨粉的制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112106993A (zh) * 2020-07-13 2020-12-22 丽江美之源食品有限公司 一种螺旋藻多肽复合制剂及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP7131937B2 (ja) 2022-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2041660C1 (ru) Способ производства фруктового кваса
RU2468591C1 (ru) Способ производства сывороточного напитка
KR20150041519A (ko) 유산균 과즙 발효액, 유산균 발효 과일음료 및 이의 제조방법
CN1198513C (zh) 含乳酸性饮料的制造方法
CN103651799B (zh) 一种含天然花色苷着色乳酸菌饮料及其制备方法
KR20190093592A (ko) 당액 및 이것을 사용하는 액체감미료 및 벌용 사료
CN104768384B (zh) 浓缩类型的乳性酸性饮料及其制造方法
US4376126A (en) Method of making a yoghurt beverage and product thereby
CN102870883A (zh) 一种焦糖炼乳及其制备方法和应用
JP2005278517A (ja) 桑果汁を含む乳酸発酵食品
CN109845924A (zh) 一种含蛋白活菌型果汁饮料的制备方法
JP7131937B2 (ja) スピルリナ含有緑色飲料及びその製造方法
KR100815661B1 (ko) 칼슘-강화된 포도 기재 제품 및 그의 제조 방법
JPH02219540A (ja) チーズ含有飲料
KR101806020B1 (ko) 스피룰리나 함유 건강 음료 및 이의 제조 방법
CA1135989A (en) Method of making a yoghurt drink
KR20040085295A (ko) 유산균을 이용한 복분자 발효음료의 제조방법
KR101914919B1 (ko) 살아있는 유산균 액상제제 및 살아있는 유산균 음료
RU2413419C1 (ru) Способ производства ферментированного напитка
JP2008000010A (ja) 耐糖性酵母Zygosaccharomycesrouxiiの発酵液及びその製法
CN108029909A (zh) 石榴蜂蜜发酵饮料及其制备方法
RU2548813C1 (ru) Способ производства сывороточного напитка (варианты)
JPS5816857B2 (ja) ヨ−グルト飲料の製造方法
KR102022086B1 (ko) 감귤-미곡 발효식품 및 그 제조방법
RU2444199C1 (ru) Способ производства ряженки

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220412

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220823

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220825

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7131937

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150