JP2019167609A - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマ電極からのパーティクルの発生を抑えることが可能な薄膜形成装置を提供する。【解決手段】薄膜を形成させる基材2を保持する基材保持部5と、プラズマを発生させる電極であり、当該プラズマと接する部分がガラスで形成されているプラズマ電極72と、薄膜の原料となるケイ素を含む原料ガスを基材保持部5の近傍へ供給する原料ガス供給部73と、プラズマの原料となるプラズマ形成ガスをプラズマ電極72の近傍へ供給するプラズマ形成ガス供給部73と、原料ガスおよびプラズマ形成ガスとは別に酸素ガスをプラズマ電極72の近傍へ供給する酸素ガス供給部74と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、帯状の基材上に薄膜を形成するための薄膜形成装置であり、基材を搬送させながら成膜チャンバを通過させることにより、基材上に薄膜を純度よく形成するための薄膜形成装置に関するものである。
近年では、プラスチックフィルムの表面に例えば酸化防止、水分浸入防止等を目的としたバリア膜を形成したバリアフィルムが使用されている。
このようなバリアフィルムは、下記特許文献1に示す薄膜形成装置によって形成されている。例えば図6に示すように、薄膜形成装置100は、メインロールチャンバ101と、このメインロールチャンバ101内に収容されるメインロール102と、帯状の基材103を繰り出す巻出しロール104と基材103を巻き取る巻取りロール105とを備えており、巻出しロール104から送出された基材103をメインロール102の外周面102aに沿うように当接させ、そして巻取りロール105によって巻き取ることにより、所定の張力をかけながら基材103を搬送するようになっている。そして、メインロール102の外径側に間仕切り部106を設けることにより、成膜チャンバ107がメインロール102の周方向に形成される。この成膜チャンバ107の内部にはプラズマ電極108が設けられており、プラズマ形成ガス供給部109から成膜チャンバ107の内部にプラズマ形成ガスを供給し、プラズマ電極108に高周波電圧を印加することにより、プラズマ形成ガスはプラズマ状態となる。このようにプラズマ形成ガスがプラズマ状態となった環境下において原料ガス供給部110から成膜チャンバ107の内部に薄膜の原料ガスを供給することにより、プラズマCVD法によって基材103に蒸着膜が形成される。すなわち、原料ガスがプラズマにより分解されて基材103に堆積する。このような薄膜形成装置100において、巻出しロール104から供給された基材103をメインロール102の外周面102aに沿わせた状態で成膜チャンバ107を連続して通過させることにより、基材103の長手方向にわたって所定の蒸着膜が形成される。
特開2001−303249号公報
しかし、上記の薄膜形成装置100では、成膜チャンバ107内でパーティクルが発生し、そのパーティクルがメインロール101上の基材103に付着して製品不良を生じさせるおそれがあった。具体的には、プラズマCVD法によって成膜される対象は基材103だけでなく、プラズマ電極108などにもわずかに成膜が生じる。そして、このような成膜が繰り返されることにより、たとえばプラズマ電極108に膜Mが形成され、この膜Mがプラズマ電極108から剥離した際にパーティクルとなって基材103に付着するという問題があった。
一方、装置カバーなどにも成膜が生じる可能性がある場合には、簡単に取り付け、取り外しが可能な防着板を装置カバーに設け、定期的に防着板を交換することによってパーティクルの発生を防ぐことはできるが、仮にプラズマ電極108にも防着板を設置してしまうと、成膜チャンバ内のプラズマ状態に影響を与えて基材103に形成させる膜の質を低下させるおそれがあるため、プラズマ電極108には防着板を設置することはできない。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、プラズマ電極からのパーティクルの発生を抑えることができる薄膜形成装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の薄膜形成装置は、薄膜を形成させる基材を保持する基材保持部と、プラズマを発生させる電極であり、当該プラズマと接する部分がガラスで形成されているプラズマ電極と、前記薄膜の原料となるケイ素を含む原料ガスを前記基材保持部の近傍へ供給する原料ガス供給部と、前記プラズマの原料となるプラズマ形成ガスを前記プラズマ電極の近傍へ供給するプラズマ形成ガス供給部と、前記原料ガスおよび前記プラズマ形成ガスとは別に酸素ガスを前記プラズマ電極の近傍へ供給する酸素ガス供給部と、を有することを特徴としている。
上記薄膜形成装置によれば、酸素ガスをプラズマ電極の近傍へ供給する酸素ガス供給部を有することにより、プラズマ電極からのパーティクルの発生を抑えることができる。具体的には、プラズマ電極に堆積する膜が酸化ケイ素系の膜となり、プラズマ電極のプラズマと接する部分の材料であるガラスと同質であるため、膜がプラズマ電極から剥がれにくくなり、その結果、パーティクルの発生を抑えることができる。
また、前記原料ガスは、炭素を含むと良い。
このような原料ガスを用いた場合、炭化ケイ素系の粉っぽい膜がプラズマ電極にも堆積するおそれがあるが、酸素ガス供給部を有することによってそれを防ぐことができる。
また、前記酸素ガス供給部から前記プラズマ電極の前記原料ガス供給部と対向する面までの距離は、前記原料ガス供給部から前記プラズマ電極の前記原料ガス供給部と対向する面までの距離よりも短いと良い。
こうすることにより、プラズマ電極に堆積する膜が原料ガス起因の膜でなく酸化ケイ素系の膜となる可能性を高めることができる。
また、前記酸素ガス供給部は、前記プラズマ電極よりも前記基材保持部から遠い位置にあると良い。
こうすることにより、酸素ガス供給部から供給される酸素が基材への成膜に影響することを防ぐことができる。
本発明の薄膜形成装置によれば、プラズマ電極からのパーティクルの発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 本発明の一実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 従来の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
図1および図2は、本発明の一実施形態における薄膜形成装置1の概略図であり、図1は正面図、図2は図1におけるaa矢視図である。
薄膜形成装置1は、基材上に表面処理を行って薄膜を形成するためのものであり、例えば、プラスチックフィルム上に酸化防止、水分浸入防止を目的としたバリア膜を形成し、食品用の保護フィルム、フレキシブル太陽電池等に使用される。具体的には、フレキシブル太陽電池の場合には、プラスチックフィルム等の帯状基材上に各プラズマ電極層及び光電変換層等で構成される太陽電池セルが形成された後、薄膜形成装置1により太陽電池セル上に薄膜を複数層形成してバリア膜を形成する。これにより、太陽電池セルに水分の浸入が効果的に防止され、酸化特性に優れたフレキシブル太陽電池を形成することができる。
この薄膜形成装置1は、基材2を送り出す巻出しロール3と、供給された基材2を巻き取る巻取りロール4と、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されるメインロール5と、これらを収容するメインロールチャンバ6と、薄膜を形成する成膜チャンバ7とを有しており、巻出しロール3から送り出された基材2をメインロール5の外周面51に沿わせて搬送させつつ、各成膜チャンバ7を通過させることにより、基材2上に薄膜が形成され、巻取りロール4で巻き取られるようになっている。
巻出しロール3および巻取りロール4は略円筒形状の芯部31および芯部41を有しており、これら芯部31および芯部41には基材2が巻き付けられ、これら芯部31および芯部41を回転駆動させることにより、基材2を送り出し、または巻き取ることができる。すなわち、図示しない制御装置により芯部31および芯部41の回転が制御されることにより、基材2の送り出し速度もしくは巻き取り速度を増加及び減少させることができる。具体的には、基材2が下流側から引張力を受けた状態で上流側の芯部を回転させることにより基材2が下流側に送り出され、適宜、この上流側の芯部にブレーキをかけることにより基材2が撓むことなく一定速度で送り出されるようになっている。また、下流側の芯部の回転が調節されることにより、送り出された基材2が撓むのを抑えつつ、逆に基材2が必要以上の張力がかからないようにして巻き取ることができるようになっている。
ここで、基材2は、一方向に延びる薄板状の長尺体であり、厚み0.01mm〜0.2mm 幅5mm〜1600mmの平板形状を有する長尺体が適用される。また、材質として、特に限定しないが、たとえばPET(polyethylene terephthalate)などの樹脂フィルムが好適に用いられる。
このように、上記の巻出しロール3と巻取りロール4とが一対となり、一方が基材2を送り出し、他方が前記送り出し速度と同じ巻き取り速度で基材2を巻き取ることによって、基材2にかかる張力を所定の値で維持しながら基材2を搬送することが可能である。
メインロール5は、成膜の際に基材2の姿勢を保ちつつ、上流側の巻出しロール3から供給された基材2を下流側の巻取りロール4に搬送するための搬送部である。すなわち、本発明においてメインロール5は、薄膜を形成させる基材2を保持する基材保持部の役割を果たす。
メインロール5は、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されており、芯部31及び芯部41よりも大径の略円筒形状に形成されている。メインロール5の外周面51は、周方向に曲率が一定の曲面で形成されており、図示しない制御装置により芯部31及び芯部41の回転に応じて駆動制御され、巻出しロール3から送り出された基材2は、所定の張力が負荷された状態でメインロール5の外周面51に沿って搬送される。すなわち、メインロール5の外周面51に基材2が沿った状態でメインロール5が巻出しロール3及び巻取りロール4の回転に応じて回転することにより、基材2は、基材2全体が張った状態で、その表面が成膜チャンバ7それぞれに対向する姿勢で巻出しロール3から巻取りロール4へ搬送されるようになっている。
このように基材2が張った状態で搬送され、成膜されることにより、成膜時の基材2のばたつきを防ぐことができ、基材2に積層される薄膜の膜厚精度が向上するとともに基材2のばたつきによるパーティクルの発生を防ぐことができる。また、メインロール5の曲率半径を大きくすることにより、基材2がより平坦に近い状態で支持されながら成膜が行われるため、成膜後の基材2に反りが生じることを防ぐことができる。
メインロールチャンバ6は、メインロール5を収容してチャンバ内の圧力を一定に保持するために周囲をカバーに囲まれた空間である。メインロールチャンバ6は、薄膜形成装置1の外装を形成するカバーのほかに間仕切り部61を有し、この間仕切り部61によりメインロールチャンバ6と後述の成膜チャンバ7とが薄膜形成装置1内で仕切られている。この間仕切り部61によって、基材2の一部のみが成膜チャンバ7にさらされる形態をとる。
また、本実施形態では成膜チャンバ7側にのみ真空ポンプ71が設けられ、真空ポンプ71が作動することにより成膜チャンバ7とともにメインロールチャンバ6も減圧される形態をとっているが、メインロールチャンバ6側にも真空ポンプが設けられていても良い。
なお、メインロールチャンバ6にも真空ポンプが設けられる場合、成膜チャンバ7で発生したパーティクルが成膜チャンバ7の外に巻き上がることを防止するために、メインロールチャンバ6内の圧力は成膜チャンバ7内の圧力よりも高圧になるように設定されていることが好ましい。
なお、本実施形態では、巻出しロール3及び、巻取りロール4がメインロールチャンバ6内に収容されているが、これらをメインロールチャンバ6の外に設ける構成であってもよい。ただし、本実施形態のようにこれらをメインロールチャンバ6内に設けることによって、基材2や成膜後の基材2(成膜基材)を大気に曝すことから保護することができる。
成膜チャンバ7は、蒸着法の一種であるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により基材2上に薄膜を形成する手段である。この成膜チャンバ7は、チャンバ内を減圧する真空ポンプ71と、プラズマを発生させるための高電圧を印加するプラズマ電極72と、基材2に形成する薄膜の原料となる原料ガスをチャンバ内に供給する原料ガス供給部73と、を有している。また、本実施形態では、プラズマの原料であるプラズマ形成ガスも、原料ガス供給部73から供給される。
また、成膜チャンバ7は、上記原料ガスおよびプラズマ形成ガスとは別にプラズマ電極72の近傍に酸素ガスを供給する酸素ガス供給部74を有している。
この成膜チャンバ7では、真空ポンプ71により成膜チャンバ7内が減圧されて原料ガス供給部73からプラズマ形成ガスが供給された状態でプラズマ電極72に電圧が印加されることにより、プラズマ電極72の近傍でプラズマが発生し、成膜チャンバ7内がプラズマ雰囲気となる。このようにプラズマ雰囲気となった状態において、原料ガス供給部73から原料ガスが供給されることにより、原料ガスがこのプラズマにより分解され、成膜チャンバ7と対向する基材2の膜形成面に薄膜を形成する。
また、本実施形態では、減圧による成膜チャンバ7内の圧力を制御する図示しない圧力制御機構がさらに設けられており、原料ガスが供給される前に所定の圧力になるまで、真空ポンプ71によって成膜チャンバ7内が減圧される。
プラズマ電極72は、図2に示すようにメインロール5の幅方向(Y軸方向)に延びる略U字形状を有しており、プラズマ電極72の端部には、図示しない高周波電源が接続されている。
また、プラズマ電極72の折り返し部分は成膜チャンバ7の外側に位置するように形成されており、プラズマ電極72の略直線状の部分のみがメインロール5上の基材2と対向するようになっている。
プラズマ電極72の断面は、図1に示すように銅パイプで形成されるアンテナ部72aの周囲をガラスカバー72bが囲う形態を有している。高周波電源は、アンテナ部72aに接続されており、減圧環境下においてこのアンテナ部72aに高周波電力が印加されることにより、アンテナ部72aの周囲に誘導結合プラズマが生じる。この際、プラズマはガラスカバー72bと接している。
また、誘導結合プラズマが形成されている間、アンテナ部72aは加熱されるが、アンテナ部72aを冷却するためにアンテナ部72aとガラスカバー部72bの間には冷却水が流される。
また、プラズマ電極72は、メインロール5と対向する方向に開口を有する電極カバー76に囲まれている。成膜中は成膜チャンバ7は減圧状態ではあるが、この電極カバー76によって、プラズマ電極72の近傍に供給されたプラズマ形成ガスが拡散することが抑えられ、プラズマの形成および維持を容易にしている。また、この電極カバー76によって、酸素ガス供給部74からプラズマ電極72の近傍に供給された酸素ガスが拡散することも抑えられる。
原料ガス供給部73は、成膜チャンバ7内のメインロール5の近傍に設けられた、メインロール5の幅方向(Y軸方向)に延びるパイプ状の部材であり、薄膜形成装置1の外の図示しない原料ガス供給手段と配管を経由して接続されている。また、原料ガス供給部73には、図2に示すようにY軸方向に複数の開口(原料ガス供給口73a)が設けられている。これら原料ガス供給口73aは、メインロール5と対向するように設けられており、メインロール5上の基材2の膜形成面の近傍に対し、基材2の幅方向(Y軸方向)にわたって略均一に原料ガスを分布させる。
また、本実施形態では、原料ガス供給部73は薄膜形成装置1の外の図示しないプラズマ形成ガス供給手段とも配管を経由して接続されており、上記の通りプラズマ形成ガスも原料ガス供給部73から成膜チャンバ7内のプラズマ電極72の近傍へ供給される。
ここで、本実施形態では原料ガスはたとえばHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガスであり、また、プラズマ形成ガスはアルゴンガスや窒素など、酸素以外のガスが用いられる。HMDSガスはケイ素および炭素を含んでおり、このHMDSガスが原料ガスとして供給されることによって、基材2の表面には炭化ケイ素(SiC)系の薄膜が形成される。
酸素ガス供給部74は、成膜チャンバ7内のプラズマ電極72の近傍に設けられた、プラズマ電極72の長手方向(Y軸方向)に延びるパイプ状の部材であり、薄膜形成装置1の外の図示しない酸素ガス供給手段と配管を経由して接続されている。また、酸素ガス供給部74には、図2に示すようにY軸方向に複数の開口(酸素ガス供給口74a)が設けられている。これら酸素ガス供給口74aは、プラズマ電極72と対向するように設けられており、プラズマ電極72に対し、長手方向(Y軸方向)にわたって略均一に酸素ガスを分布させる。
次に、以上の構成を有する薄膜形成装置1によって得られる効果について説明する。
成膜チャンバ7内では、原料ガス供給部73からプラズマ形成ガスおよび原料ガスが真空ポンプ71によって減圧された成膜チャンバ7内に供給され、プラズマ電極72に高周波電圧が印加されることによって、上記の通りプラズマが発生し、プラズマに分解された原料ガスに起因する薄膜が主に基材2に対して形成される。
これと同時に、成膜チャンバ7内の特にプラズマ電極72の近傍では、酸素ガス供給部74から酸素ガスが供給されることにより、上記プラズマによって酸素ガスが分解され、原料ガスに含まれるケイ素と反応して図1に示す膜Mのように酸化ケイ素(SiO2)系の薄膜がプラズマ電極72の表面に形成される。そして、基材2への成膜動作が繰り返し実施されることにより、この膜Mがプラズマ電極72に堆積する。
すなわち、基材2への成膜動作の最中において、基材2にだけでなくプラズマ電極72にも薄膜が形成されるのだが、図1に2点鎖線で簡易的に示したメインロール5の近傍の領域である領域R2では酸素ガスと比較して原料ガスの濃度が高いのに対して、本発明の薄膜形成装置1では、プラズマ電極72の近傍の領域である領域R1では原料ガスと比較して酸素ガスの濃度が高いため、プラズマ電極72には酸化ケイ素系の膜Mが選択的に形成される。
ここで、酸化ケイ素系の膜と二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とするガラスとは同質である。そして前述の通り、プラズマ電極72はアンテナ部72aをガラスカバー72bが覆う形態、すなわちプラズマと接する部分がガラスで形成されている形態を有しているため、プラズマ電極72の表面にはプラズマ電極72の表面と同質の膜Mが形成されることとなる。
このように堆積する膜が堆積される部材と同質である場合、両者が界面で強く結合し、その膜は剥離しにくい。したがって、プラズマ電極72に形成される膜Mが酸化ケイ素系の膜であることにより、プラズマ電極72への膜の堆積は回避できないとしてもその膜の剥離は生じにくくすることが可能である。また、膜Mがガラスカバー72bと同質であるため、たとえば数um程度の膜Mが堆積してもプラズマ電極72の放電特性には影響が生じにくくすることができる。
ここで、本実施形態では原料ガスとして前述の通りケイ素および炭素を含むHMDSガスが用いられているが、この場合に基材2などの成膜対象に形成される膜は前述の通り炭化ケイ素系の膜であり、この炭化ケイ素系の膜は酸化ケイ素系の膜や窒化ケイ素系の膜、酸化アルミニウム系の膜など他の構成の膜と比較して粉っぽい性質を有する。
仮にこの炭化ケイ素系の膜がプラズマ電極72に堆積した場合、時間が経つにしたがってプラズマ電極72から膜が剥離してパーティクルとなる可能性が非常に高い。そうなると、プラズマ電極72のクリーニングを頻繁に実施する必要性がある。
これに対し、本発明の通り酸素ガス供給部74からプラズマ電極72の近傍に酸素ガスが供給されて、プラズマ電極72に堆積する膜として酸化ケイ素系の膜Mが選択的に形成されることによって、プラズマ電極72に炭化ケイ素系の膜が堆積することを防ぎ、パーティクルの発生を抑えることができる。
また、酸素原子は電気陰性度が比較的高く、反応性が高いため、図1で示すプラズマ電極72の近傍の領域R2にたとえば炭素原子など原料ガス起因の原子が少々存在していたとしても、酸素原子の方が優先的に反応し、プラズマ電極72の表面には酸化ケイ素系の膜Mが形成されやすい。
ここで、酸素ガス供給部74から供給された酸素ガスが基材2への成膜にも影響し、基材2の膜形成面に形成される薄膜に酸化ケイ素系の成分が混ざってしまうと薄膜の性能に悪影響を及ぼす場合もある。したがって、酸素ガス供給部74から単位時間あたりに供給される酸素ガスの量は、原料ガス供給部73から単位時間あたりに供給される原料ガスの量と比較して少量である。
ここで、酸素ガスの供給量が過剰で無いか否かを判断する方法として、たとえば基材2に形成された薄膜の元素分析を実施し、この元素分析の結果から膜中の酸素含有量を確認して、現状の酸素ガス供給量で薄膜の性能を低下させていないかどうかを判断すると良い。そして、薄膜の性能を低下させるおそれがある場合は、酸素ガス供給量を減らすようにすれば良い。また、基材2がPETやPEN(polyethylene naphthalate)のような耐エッチング性の無いプラスチック基材の場合は、プラズマによって分解された酸素原子が基材2をエッチングして基材2を粗面化させるおそれがある。そのため、酸素ガスを供給させずにプラズマを発生させた場合の基材2のエッチング量と酸素ガスを供給した場合の基材2のエッチング量を比較し、酸素原子によって過剰なエッチングが生じないような酸素ガスの供給量であるか否かを判断しても良い。
また、酸素ガス供給部74から単位時間あたりに供給される酸素ガスの量は、上記の通り基材2に形成される薄膜の性能を低下させない供給量が上限であると同時に、プラズマ電極72へ酸化ケイ素系の膜M以外の膜を形成させない条件下で可能な限り少ない方が好ましい。なお、プラズマ電極72へ酸化ケイ素系の膜M以外の膜が形成されていないかについては、プラズマ電極72に形成された薄膜の元素分析を実施することで判断することが可能である。
ここで、より少ない酸素ガスの供給量でプラズマ電極72へ酸化ケイ素系の膜M以外の膜を形成させないようにするためには、酸素ガス供給部74はできる限りプラズマ電極72に近い位置に配置されることが好ましい。具体的には、たとえばプラズマ電極72の表面の中でも原料ガス起因の膜が特に形成されるおそれが高いと思われる、原料ガス供給部73と最も近い部分(原料ガス供給部73と対向する部分)を端点とし、図1に距離L1で示すような当該端点と酸素ガス供給部74との距離の方が図1に距離L2で示すような当該端点と原料ガス供給部73との距離よりも短いことが好ましい。
また、酸素ガス供給部74がメインロール5から離れた位置にあるほど、メインロール5近傍における酸素ガス供給部74から供給された酸素ガスの分布は少なくなり、酸素ガス供給部74から供給された酸素ガスが基材2への成膜にも影響することを抑えることができる。そのためには、酸素ガス供給部74とメインロール5との距離が原料ガス供給部73とメインロール5との距離よりも大きいことはもちろんのこと、酸素ガス供給部74とメインロール5との距離がプラズマ電極72とメインロール5との距離よりも大きいことが好ましい。
一方、このように酸素ガス供給部74がプラズマ電極72よりもメインロール5から遠い位置にある形態であった場合、プラズマ電極72の表面の中で原料ガス供給部73と対向する部分に対して酸素ガス供給部74がプラズマ電極72を挟んで反対側に位置し、その部分に対して充分な酸素ガスを供給できない可能性もある。この状態を懸念する場合は、図3に示すようにプラズマ電極72の表面の中で原料ガス供給部73と対向する部分に近い位置に酸素ガス供給部74が配置されていても良い。また、図3に示すように酸素ガス供給部74は複数個配置されていても良い。なお、この形態の場合であっても、プラズマ電極72よりもメインロール5から遠い位置にも酸素ガス供給部74が配置されていても構わない。
以上の薄膜形成装置により、プラズマ電極からのパーティクルの発生を抑えることが可能である。
ここで、本発明の薄膜形成装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、上記の説明では原料ガス供給部とプラズマ形成ガス供給部とが共通しているが、これに限らず、図4に示すようにプラズマ形成ガス供給部75は原料ガス73と別個に設けられていても構わない。この場合、原料ガス供給部73はできるだけメインロール5に近い位置に、また、プラズマ形成ガス供給部75はできるだけプラズマ電極72に近い位置に設けられていることが好ましい。
また、上記の説明では、プラズマ電極72は略U字形の形状を有するアンテナ部72aがガラスカバー72bで覆われた形態を有するが、これに限らず、プラズマと接する部分がガラスで形成されている形態であれば別の形態であっても構わない。たとえば、図5に示すように、誘電体であるガラス電極81の成膜チャンバ7の外側に位置する部分にコイル状のアンテナ部82が巻き付けられ、このアンテナ部82に高周波電源83が接続されている形態であり、アンテナ部82に高周波電圧が印加されることによって成膜チャンバ7内でプラズマが発生する形態であっても良い。
また、上記の説明では成膜チャンバは1つのみ設けられているが、基材の搬送方向に沿って複数の成膜チャンバが並ぶように設けられていても良い。
また、基材の形状は上記の実施形態では帯状であるが、枚葉状であっても構わない。そして、成膜動作中に基材を保持する基材保持部は、上記の実施形態では帯状の基材2を搬送するためメインロール5のようなロール状であるが、枚葉状の基材を保持する場合は平板状であっても構わない。
また、上記の説明では基材2に炭化ケイ素系の薄膜が形成される例を示しているが、それに限らず、たとえば窒化ケイ素系もしくは酸化アルミニウム系など他の薄膜を基材に形成する場合にも本発明は好適に用いられうる。
1 薄膜形成装置
2 基材
3 巻出しロール
4 巻取りロール
5 メインロール
6 メインロールチャンバ
7 成膜チャンバ
31 芯部
41 芯部
51 外周面
61 間仕切り部
71 真空ポンプ
72 プラズマ電極
72a アンテナ部
72b ガラスカバー
73 原料ガス供給部
73a 原料ガス供給口
74 酸素ガス供給部
74a 酸素ガス供給口
75 プラズマ形成ガス供給部
76 電極カバー
81 ガラス電極
82 アンテナ部
83 高周波電源
100 薄膜形成装置
101 メインロールチャンバ
102 メインロール
102a 外周面
103 基材
104 巻出しロール
105 巻取りロール
106 間仕切り部
107 成膜チャンバ
108 プラズマ電極
109 プラズマ形成ガス供給部
110 原料ガス供給部
M 膜
R1 領域
R2 領域

Claims (4)

  1. 薄膜を形成させる基材を保持する基材保持部と、
    プラズマを発生させる電極であり、当該プラズマと接する部分がガラスで形成されているプラズマ電極と、
    前記薄膜の原料となるケイ素を含む原料ガスを前記基材保持部の近傍へ供給する原料ガス供給部と、
    前記プラズマの原料となるプラズマ形成ガスを前記プラズマ電極の近傍へ供給するプラズマ形成ガス供給部と、
    前記原料ガスおよび前記プラズマ形成ガスとは別に酸素ガスを前記プラズマ電極の近傍へ供給する酸素ガス供給部と、
    を有することを特徴とする、薄膜形成装置。
  2. 前記原料ガスは、炭素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記酸素ガス供給部から前記プラズマ電極の前記原料ガス供給部と対向する面までの距離は、前記原料ガス供給部から前記プラズマ電極の前記原料ガス供給部と対向する面までの距離よりも短いことを特徴とする、請求項1もしくは2のいずれかに記載の薄膜形成装置。
  4. 前記酸素ガス供給部は、前記プラズマ電極よりも前記基材保持部から遠い位置にあることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の薄膜形成装置。
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