JP2018145444A - 薄膜形成装置 - Google Patents

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常範 小森
敏行 陣田
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敏行 陣田
高佳 藤元
Takayoshi Fujimoto
高佳 藤元
豊治 寺田
Toyoji Terada
豊治 寺田
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Abstract

【課題】膜性能を低減させることなく高い成膜レートで基材上に薄膜を形成することができる薄膜形成装置を提供する。【解決手段】長手方向に平行にのびる2つの電極26を含む略U字形の誘導結合型の電極ユニット21と、電極26の長手方向と同じ方向を長手方向とし、電極ユニット21が形成するプラズマ領域が相対的に高密度となる高密度プラズマ領域に設けられた原料ガス供給部23と、基材Wを保持する保持面を有し電極ユニット21と対向するように基材Wを保持する基材保持部3と、端部が電極ユニット21にかかる対称の面である電極対称面Mをはさむように基材保持部3の近傍に設けられたマスク部4と、を有し、電極対称面Mと各々のマスク部41、42の端部43、44との距離d2は、電極対称面Mと各々の電極26との距離の1倍以上4.3倍以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に膜厚が全面均一な薄膜を形成するための薄膜形成装置および薄膜形成方法に関するものである。
近年では、プラスチックフィルムの表面に例えば酸化防止、水分浸入防止等を目的としたバリア膜を形成したバリアフィルムが使用されている。
このようなバリアフィルムは、たとえば下記特許文献1に示す蒸着装置を用い、蒸着法によって板状、帯状などの基材に形成することが可能である。具体的には、成膜手段にあたる収容部に供給されている蒸発材料を加熱により蒸発させ、基材に薄膜を形成させている。
また、図6に蒸着法の一種であるCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いた薄膜形成装置90を示す。図6(a)は薄膜形成装置90の正面図、図6(b)は薄膜形成装置90の下面図である。この薄膜形成装置では、電極ユニットおよび原料ガス供給部を有する成膜手段91を用いて薄膜の原料となる原料ガスをプラズマと反応させ、基材Wに薄膜を形成させる。
ここで、特許文献1、図5に示すように、成膜手段が一方向に長い形状を有する場合がある。図6の薄膜形成装置90を例にとると、成膜手段91を形成する電極ユニット92が誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma、ICP)型の電極であった場合、図6(b)に示すように一方向(図6(b)におけるY軸方向)に長い形状を有しており、Y軸方向に対して薄膜の形成を一度に行うことができる。そのような成膜手段91に対し、成膜対象である基材Wが大面積を有する場合、たとえば基材Wが帯状である場合、搬送ドラム93などにより基材Wを図中の矢印に示すように移動させながら成膜を行うことにより、基材Wの全体に薄膜を形成することができる。また、原料ガス供給部を電極ユニットが形成するプラズマ領域が相対的に高密度になる高密度プラズマ領域に設けられることにより、高い成膜レートで薄膜の形成を行うことができる。
特開2013−100581号公報
しかし、上記の薄膜形成装置では、基材に形成した薄膜の性能が十分に発揮できないおそれがあった。具体的には、原料ガス供給部から供給される原料ガスは電極ユニットをはさむような形に配置され、高密度プラズマ領域に導入される。高密度領域で分解された原料ガスと酸素プラズマが反応することにより、基材上に高密度の薄膜が形成される。しかし、電極ユニットから離れたプラズマ密度が低い領域に原料ガスを導入すると密度の低い膜が得られ目的とする高密度な膜がえることが出来ない。そのような十分に高い密度を持たないプラズマ領域では成膜に寄与することが出来ないばかりか、この領域に基材もしくは成膜後の薄膜が存在すると、プラズマが基材をエッチングする方向に作用し、基材に大きなダメージを与える問題があった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、膜性能を低減させることなく高い成膜レートで基材上に薄膜を形成することができる薄膜形成装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の薄膜形成装置は、長手方向に平行にのびる2つの電極を含む略U字形の誘導結合型の電極ユニットと、前記電極の長手方向と同じ方向を長手方向とし、前記電極ユニットが形成するプラズマ領域が相対的に高密度となる高密度プラズマ領域に設けられた原料ガス供給部と、基材を保持する保持面を有し前記電極ユニットと対向するように基材を保持する基材保持部と、端部が前記電極ユニットにかかる対称の面である電極対称面をはさむように前記基材保持部の近傍に設けられたマスク部と、を有し、前記電極対称面と各々の前記マスク部の端部との距離は、前記電極対称面と各々の前記電極との距離の1倍以上4.3倍以下であることを特徴としている。
上記薄膜形成装置によれば、電極対称面と各々のマスク部の端部との距離は、電極対称面と各々の電極との距離の1倍以上4.3倍以下であることにより、高密度プラズマ領域から離れた部分の成膜には向かないプラズマのみが存在する部分では、このプラズマが基材に接触することをマスク部によって効率的に防ぐことができる。また、高密度プラズマ領域近傍で成膜レートが高い部分はマスク部で遮蔽することはないため、高い成膜レートで基材へ薄膜を形成することもできる。
また、基材は前記電極の長手方向と直交する方向に長い帯状の形態を有し、前記基材保持部は基材を前記電極の長手方向と直交する方向に送るドラム状であると良い。
こうすることにより、長尺の基材全体にわたって、エッチングによるダメージの無い、膜厚精度の高い薄膜を形成することができる。
また、基材に形成される薄膜は、水分の浸入を防ぐバリア膜であると良い。
このようなバリア膜では基材である下地の影響が非常に大きく、基材がエッチングされるような条件においてバリア性が得ることが出来ない。マスク部を本発明のように規定することにより、不具合の発生するおそれが高いバリア膜の形成において、基材がエッチングされることを効率的に防ぐことができる。
また、前記電極ユニットが形成するプラズマは、プラズマ形成ガスとして酸素が供給された酸素プラズマであると良い。
こうすることにより、他のプラズマと比較して特にエッチング性の高い酸素プラズマによって基材がエッチングされることを効率的に防ぐことができる。
本発明の薄膜形成装置によれば、膜性能を低減させることなく高い成膜レートで基材上に薄膜を形成することができる。
本発明の一実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 誘導結合型の電極ユニットを使用した薄膜形成装置における電極ユニット中央部からの距離と薄膜形成量の関係を示すグラフである。 マスク部の形態において各実施例および各比較例で薄膜形成を行った基材への成膜速度およびバリア性を示す表である。 本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 従来の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における薄膜形成装置1の概略図である。
薄膜形成装置1は、基材上に表面処理を行って薄膜を形成するためのものであり、例えば、プラスチックフィルム上に酸化防止、水分浸入防止を目的としたバリア膜を形成し、食品用の保護フィルム、フレキシブル太陽電池等に使用される。具体的には、フレキシブル太陽電池の場合には、プラスチックフィルム等の帯状基材上に各電極層および光電変換層等で構成される太陽電池セルが形成された後、薄膜形成装置1により太陽電池セル上に薄膜を複数層形成してバリア膜を形成する。これにより、太陽電池セルに水分の浸入が効果的に防止され、酸化特性に優れたフレキシブル太陽電池を形成することができる。
この薄膜形成装置1は、基材Wに薄膜を形成する(成膜する)手段である成膜手段2と、基材Wを保持する基材保持部3と、成膜手段2の近傍を除く基材Wを遮蔽するマスク部4と、成膜手段2、基材保持部3、マスク部4を囲うチャンバ5とを有し、チャンバ5によって減圧された雰囲気下において基材保持部3に保持された基材Wに対して成膜手段2によって薄膜が形成される。また、成膜手段2による成膜動作、基材保持部3による基材Wの搬送動作などは、図示しない制御装置により制御される。
なお、本説明では成膜手段を構成する電極の長手方向をY軸方向、水平面上でY軸方向と直交する方向をX軸方向、X軸方向およびY軸方向と直交する方向、すなわち、鉛直方向をZ軸方向と呼ぶ。
また、本説明では基材Wは、厚み0.01mm〜0.2mm 幅5mm〜1600mmの平板形状を有する帯状であり、巻出しおよび巻取りによって基材Wの長尺方向に搬送が可能なように後述の基材保持部3によって保持されてる。材質として、特に限定しないが、たとえばPETなどの樹脂フィルムが好適に用いられる。
成膜手段2は、蒸着法により基材W上に蒸着膜である薄膜を形成するためのものであり、本実施形態では蒸着法の一種であるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により基材W上に薄膜を形成している。成膜手段2は、電極ユニット21、放電用ガス供給部22、原料ガス供給部23を有し、放電用ガス供給部22から供給された放電用ガスが電極ユニット21によって絶縁破壊、プラズマ化し、原料ガス供給部23から供給された原料ガスがプラズマにより分解しし、基材W上に薄膜を形成する。
電極ユニット21は、略U字型の形状を有する誘導結合型の電極であり、一端に高周波電源24が接続されている。減圧環境下において高周波電源24によって電極ユニット21に高周波が印加されることによって、電極ユニット21の周辺の放電用ガスが絶縁破壊し、プラズマを発生させる(放電する)。
また、電極ユニット21は、図1(b)に示すように、外側からチャンバ5の壁面を貫通してチャンバ5の内部に侵入し、貫通したチャンバ5の壁面に対面するチャンバ5の壁面を貫通するように延びている。そして、チャンバ5の外側で180°向きを変えて、さらにチャンバ壁を貫通してチャンバ5内部に入り、再度チャンバ壁を貫通して設けられている。すなわち、電極部31は、直線状に形成される部分(電極26)がチャンバ5内で同じ高さ位置に位置した状態で設けられている。言い換えれば、電極ユニット21は、長手方向(図1(b)におけるY軸方向)にのびる2つの電極26がほぼ平行な状態でチャンバ5内に位置しており、その他の部分がチャンバ5の外側に位置するように設けられている。そして、電極ユニット21は図1(a)および図1(b)に鎖線で示す電極対称面Mを対称の面とする面対称の形態をとる。
ここで、図1(a)に距離d1で示す、電極26(の中心軸)と電極対称面Mとの距離は、本実施形態では35mmとしている。
また、上述の通り電極ユニット21の端部は、高周波電源24と接続されており、電極26の近傍に放電用ガス供給部22から放電用ガスが供給された状態において高周波電源24から高周波電圧が印加ことにより、チャンバ5内に位置する電極26間においてプラズマが発生するようになっている。
ここで、プラズマの出力状態は、2本の電極26付近のプラズマの出力が高くなり、電極26間から電極26の外側に向かって出力が小さくなるように形成される。すなわち、電極26間の近傍では、高密度のプラズマが一定領域形成され、電極26から離間するほど密度が低下するように形成される。本実施形態では、電極26間の近傍に形成される一定領域のプラズマ領域を高密度プラズマ領域と呼び、原料ガス供給部23はこの高密度プラズマ領域に配置されている。この高密度プラズマ領域では、プラズマの出力が相対的に高いため、原料ガスが高効率でプラズマ処理される。
なお、このプラズマ処理は、チャンバ2内を真空環境にして行われる。すなわち、このチャンバ5の壁面にはチャンバ5内を排気する排出口が設けられており、排出口は真空ポンプ51と配管で接続されている。そして、真空ポンプ51を作動させることによりチャンバ5内を所定の真空度に調節できるようになっている。すなわち、基材Wへの薄膜形成時には、真空ポンプ51を作動させることにより、チャンバ5内を所定の真空環境に調節して行われる。
また、電極ユニット21は接地されたカバー部25に覆われている。カバー部25は、基材Wと対向する方向(本実施形態では上向き方向)に開口を有するように電極ユニット21を覆っており、このカバー部25内に放電用ガス供給部22から放電用ガスが供給される。これによって、放電用ガスが電極ユニット21周辺から拡散しにくくすると同時に、電極ユニット21周辺で発生したプラズマを基材W方向に向けて放出し、プラズマが効率的に薄膜形成に作用するようにしている。
放電用ガス供給部22は、配管を経由して電極ユニット21の近傍に放電用ガスを供給する手段であり、本実施形態ではアルゴンガスおよび酸素ガスを供給している。また、電極ユニット21の近傍に供給されることにより、放電用ガスが放電に使用される前に拡散しにくくし、より効率的に放電用ガスが放電に使用されるようにしている。
原料ガス供給部23は、チャンバ2内に薄膜を形成する原料ガスを供給するものである。本実施形態では、原料ガス供給部23は、電極26の長手方向(Y軸方向)に複数配列された噴出孔を有する多孔ノズルであり、これら噴出孔から原料ガスを供給するようになっている。
なお、本実施形態では、噴出孔61からHMDSガス(ヘキサメチルジシラザンガス)、放電ガス供給部21から上述の通りアルゴンガスおよび酸素ガスが供給されることにより、基板W上には水分の浸入を防ぐバリア膜として用いられるSiO2が形成される。
また、本実施形態の原料ガス供給部23は、図1に示すように2つ設けられており、それぞれが高密度プラズマ領域を挟む位置に互いに高密度プラズマ領域に対して対称になる位置に配置されている。具体的には、原料ガス供給部23の噴出孔が電極26よりも高密度プラズマ領域側に位置するように配置されており、基板Wの成膜領域に対し、互いに一方向に離れた位置に配置されている。仮に原料ガス供給部23が1つのみの場合には、基板W上の薄膜が原料ガス供給部23付近で厚く形成され、原料ガス供給部23から離れるに従って薄く形成されるが、原料ガス供給部23を高密度プラズマ領域に対して対称になる位置、すなわち、上記の電極対称面Mに対して対称となる位置に配置することにより、互いの原料ガス供給部23の成膜量を補完し合うことにより、基板Wの成膜領域にほぼ均一厚みの薄膜を形成することができる。
なお、高密度プラズマ領域はX軸方向にして電極26の間隔の約0倍乃至1.5倍の範囲に形成されており、本実施形態では、各原料ガス供給部23は、電極対称面Mから約50mm(電極26と電極対称面Mとの距離の約1.4倍)の距離の位置に配置されている。
なお、高密度プラズマ領域に対して対称になる位置とは、完全に対称になる位置以外にも、装置の組み立て精度、製膜中心とのずれ等を考慮して、事実上、互いの原料ガス供給部23の成膜量を補完し合うことにより、薄膜が製品上問題ない程度に平坦に形成される対称位置を含む。
ここで、本実施形態では電極ユニット21は図1(b)に示すようにY軸方向に長く、また、原料ガス供給部23もY軸方向に長く原料ガスがY軸方向にわたって供給されているため、成膜手段2により基材Wに対してY軸方向にわたって幅広く薄膜を形成させることができる。すなわち、本実施形態では成膜手段2はY軸方向に長い(一方向に長い)形態となっている。また、成膜手段2のY軸方向の長さは基材保持部3に保持された基材WのY軸方向の寸法よりも十分に大きく、基材Wに対してほぼ一様に薄膜を形成することができる。
基材保持部3は、メインロール31、巻出しロール32、巻取りロール33を有し、巻出しロール32から送り出された基材Wをメインロール31の外周面に沿わせて搬送させつつ、成膜手段2の近傍を通過させることにより、基材W上に薄膜が形成され、巻取りロール33で巻き取られるようになっている。
巻出しロール32および巻取りロール33は略円筒形状の芯部34および芯部35を有しており、これら芯部34および芯部35には基材Wが巻き付けられ、これら芯部34および芯部35を回転駆動させることにより、基材Wを送り出し、または巻き取ることができる。すなわち、図示しない制御装置により芯部34および芯部35の回転が制御されることにより、基材Wの送り出し速度もしくは巻き取り速度を増加および減少させることができる。具体的には、基材Wが下流側から引張力を受けた状態で上流側の芯部を回転させることにより基材Wが下流側に送り出され、適宜、この上流側の芯部にブレーキをかけることにより基材Wが撓むことなく一定速度で送り出されるようになっている。また、下流側の芯部の回転が調節されることにより、送り出された基材Wが撓むのを抑えつつ、逆に基材Wが必要以上の張力がかからないようにして巻き取ることができるようになっている。
このように、上記の巻出しロール32と巻取りロール33とが一対となり、一方が基材Wを送り出し、他方が前記送り出し速度と同じ巻き取り速度で基材Wを巻き取ることによって、基材2にかかる張力を所定の値で維持しながら基材2を搬送することが可能である。
メインロール31は、成膜の際に基材Wの姿勢を保ちつつ、巻出しロール32から供給された基材Wを巻取りロール33に搬送するためのドラム状の搬送部である。メインロール31は、巻出しロール32と巻取りロール33との間に配置されており、芯部34および芯部35よりも大径の略円筒形状に形成されている。
メインロール31の外周面は、周方向に曲率が一定の曲面で形成されており、図示しない制御装置により芯部34および芯部35の回転に応じて駆動制御され、巻出しロール32から送り出された基材Wは、メインロール31の外周面に当接することにより所定の張力が付加された状態で搬送される。すなわち、メインロール31の外周面に基材Wが接した状態でメインロール31が巻出しロール32および巻取りロール33の回転に応じて回転することにより、基材Wは、基材W全体が張った状態で、その表面が成膜手段2に対向する姿勢で巻出しロール32から巻取りロール33へ搬送されるようになっている。このように基材Wが張った状態で搬送され、成膜されることにより、成膜時の基材Wのばたつきを防ぐことができ、基材Wに形成される薄膜の膜厚精度が向上するとともに基材Wのばたつきによるパーティクルの発生を防ぐことができる。また、メインロール31の曲率半径を大きくすることにより、基材Wがより平坦に近い状態で支持されながら成膜が行われるため、成膜後の基材Wに反りが生じることを抑えることができる。
また、メインロール31、巻出しロール32、および巻取りロール33の回転軸は、電極26の長手方向(Y軸方向)を向いている。これにより、メインロール31、巻出しロール32、および巻取りロール33の駆動により搬送される基材Wは電極26の長手方向と直交する方向になり、図1においては成膜手段2の近傍における基材Wの搬送方向は略X軸方向となっている。
マスク部4は、本実施形態ではステンレスやアルミニウムを材料とし、2つの電極26の電極対称面Mをはさむように電極対称面Mの両側に設けられた2つの平板状の部材(マスク41およびマスク42)であり、メインロール31の近傍に設けられている。これらマスク41とマスク42との間では成膜手段2に対して基材Wは露出しており、成膜手段2によってプラズマ処理された原料ガスが基材Wに堆積して薄膜を形成するのに対し、マスク41およびマスク42は成膜手段2から基材Wを遮蔽し、成膜手段2によって形成されたプラズマおよびこのプラズマによりプラズマ処理された原料ガスが基材Wに到達することを遮断している。
また、本実施形態では電極対称面Mと対向する方のマスク41の端部43およびマスク42の端部44は、電極対称面Mと平行な平面となっており、電極対称面Mとの距離は等しい(図1(a)に示す距離d2)。すなわち、端部43と端部44とは電極対称面Mに対して対称な対置となっている。なお、端部43および端部44と電極対称面Mとの距離d2は、たとえば100mm、すなわち電極26と電極対称面Mとの距離d1の約3倍としている。
チャンバ5は、成膜手段2、基材保持部3、およびマスク部4を収容しチャンバ内の圧力を一定に保持するためのものである。前述の通り、チャンバ5には、真空ポンプ51が接続されており、この真空ポンプ51を作動させることにより、チャンバ5内の圧力を制御できるようになっている。このように真空ポンプ51を作動させてチャンバ5内を減圧環境にすることにより、成膜手段2において放電が可能な状態とする。
次に、上記の成膜手段2の通りの誘導結合型の電極ユニットを使用した薄膜形成装置における電極ユニット中央部からの距離と所定時間成膜手段を作動させた場合の基材Mへの薄膜形成量の関係を示すグラフを図2に示す。ここで、電極ユニット中央部からの距離とは、電極対称面Mと直交する方向(X軸方向)に関する電極対称面Mからの距離である。また、電極対称面Mと各電極26の距離(35mm)を図2の中で二点鎖線で表している。なお、横軸のMD方向距離とは、基材Wの長手方向のことであり、本説明では図1のX軸方向と等しい。
図2より、上記高密度プラズマ領域、特に2つの電極26の中央部では薄膜形成量が非常に高く、そこからMD方向に遠ざかるにつれ、薄膜形成量は小さくなっていることが分かる。
ここで、MD方向距離が2つの電極26の中央部から約150mm(すなわち、距離d1(35mm)の約4.3倍)を超えたところでは、薄膜形成量がマイナスの値となっている。これは、基材Wに薄膜が形成されるどころかエッチングされて基材Wの厚みが減少していると考えられる。
このようにエッチングの生じる原因として、原料ガス供給部23は高品質な膜を得るのに適した高密度プラズマ領域に向けて原料ガスを供給しているが、原料ガスは高密度プラズマ領域でほぼ消費しているものと考えられる。そのため、成膜には適さないプラズマ密度の低い部分のプラズマでは、酸素プラズマのみの状態となり、この酸素プラズマが基材に触れエッチングを引き起こしている ものと考えられる。このように基材Wへのエッチングが生じる場合、基材Wの搬送上流側では基材Wを破壊するおそれがあるだけでなく、基材Wの搬送下流側では折角形成した薄膜を破壊することとなり、膜性能が低減するおそれがある。
これに対し、本発明では、たとえば上記のようにエッチングが優位となる範囲をカバーするように図1に示すマスク部4が設けられる。こうすることによって、基材Wや薄膜がエッチングされるおそれなく基材Wに薄膜を形成することができる。
特に、本実施形態のように基材Wは電極26の長手方向と直交する方向に長い帯状の形態を有し、基材保持部が基材Wを電極26の長手方向と直交する方向に送るドラム状のメインロール31とすることにより、長尺の基材W全体にわたって、エッチングによるダメージの無い、膜厚精度の高い薄膜を形成することができる。
また、本実施形態のように基材Wに形成される薄膜がバリア膜である場合、他の種類の薄膜と比較して特にエッチングによって不具合の発生するおそれが高いバリア膜の形成において、基材がエッチングされることを効率的に防ぐことができる。
また、酸素プラズマは他のプラズマと比較して特にエッチング性が高い。そのため、成膜手段2の放電用ガス供給部から酸素が供給されて薄膜形成のために電極ユニット21によって酸素プラズマが形成される場合に、エッチング性の高いプラズマによって基材がエッチングされることを効率的に防ぐことができる。
次に、マスク部4の形態において各実施例および各比較例で薄膜形成を行った基材Wへの成膜速度(成膜レート)およびバリア性を図3の表に示す。
(実施例1)
図1に示すようなロールトゥロールの薄膜形成装置1により、PET基材Wを用いて薄膜形成を行った。ここで、電極26と電極対称面Mとの距離d1は35mm、材料ガス(酸素)流量は450sccm、材料ガス(HMDS)流量は18sccm、チャンバ5内圧力は0.5Pa、高周波電源25による投入電力は5.0kWとした。また、マスク41の端部43およびマスク42の端部44の電極対称面Mからの距離d2は150mm(d1の約4.3倍)とした。
(実施例2)
マスク41の端部43およびマスク42の端部44の電極対称面Mからの距離d2は40mm(d1の約1.1倍)とした。その他の成膜条件は、実施例1と共通である。
(比較例1)
マスク41の端部43およびマスク42の端部44の電極対称面Mからの距離d2は200mm(d1の約5.7倍)とした。その他の成膜条件は、実施例1と共通である。
(比較例2)
マスク41の端部43およびマスク42の端部44の電極対称面Mからの距離d2は20mm(d1の約0.6倍)とした。その他の成膜条件は、実施例1と共通である。
上記2つの実施例、2つの比較例による成膜速度および薄膜のバリア性は図3に示す通りである。2つの実施例が良好な成膜速度およびバリア性を示しているのに対し、比較例1では薄膜のバリア性が2つの実施例よりも劣っている。これは、端部43および端部44が電極対称面Mから離れすぎており、マスク41とマスク42の間で薄膜のエッチングが生じていると考えられる。
また、比較例2では2つの実施例に対し成膜速度がかなり低くなっている。これは、端部43および端部44が電極対称面Mから近すぎるため、プラズマ処理された原料ガスが基材Wに到達することをマスク41およびマスク42が過剰に遮断していることを表している。
したがって、電極対称面Mとマスク41の端部43およびマスク42の端部44との距離d2はそれぞれ電極対称面Mと各々の電極26との距離d1の1倍以上4.3倍以下が好適である。
以上の薄膜形成装置により、膜性能を低減させることなく高い成膜レートで基材上に薄膜を形成することができる。
ここで、本発明の薄膜形成装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば上記の説明では基材Wの表面を下向きにし、プラズマを上方向に放出して成膜を行っているが、それに限らず、基材Wの表面を上向きにして成膜を行っても良く、また、横向きにして成膜を行っても良い。
また、図4(a)に示すようにマスク41の端部43と電極対称面Mとの距離d3とマスク42の端部44と電極対称面Mとの距離d4とは必ずしも等しくなくても良い。また、図4(b)にマスク部4をハッチングで示したように、端部43および端部44は平坦面でなくても構わない。また、マスク41とマスク42は必ずしも別体である必要は無く、薄膜形成に関係の無い領域で連結されていても良い。
また、上記の説明では、基材保持部3はメインロール31、巻出しロール32、巻取りロール33を有し、ロールトゥロールの方式で基材Wを搬送する形態であったが、それに限らず、たとえば図5に示すように基材Wを保持した吸着ステージが1軸方向に直動する形態の基材保持部3であっても良い。
1 薄膜形成装置
2 成膜手段
3 基材保持部
4 マスク部
5 チャンバ
21 電極ユニット
22 放電用ガス供給部
23 原料ガス供給部
24 高周波電源
25 カバー部
26 電極
31 メインロール
32 巻出しロール
33 巻取りロール
34 芯部
35 芯部
41 マスク
42 マスク
43 端部
44 端部
51 真空ポンプ
90 薄膜形成装置
91 成膜手段
92 電極ユニット
93 基材保持部
94 ステージ駆動装置
M 電極対称面
W 基材

Claims (4)

  1. 長手方向に平行にのびる2つの電極を含む略U字形の誘導結合型の電極ユニットと、
    前記電極の長手方向と同じ方向を長手方向とし、前記電極ユニットが形成するプラズマ領域が相対的に高密度となる高密度プラズマ領域に設けられた原料ガス供給部と、
    基材を保持する保持面を有し前記電極ユニットと対向するように基材を保持する基材保持部と、
    端部が前記電極ユニットにかかる対称の面である電極対称面をはさむように前記基材保持部の近傍に設けられたマスク部と、
    を有し、
    前記電極対称面と各々の前記マスク部の端部との距離は、前記電極対称面と各々の前記電極との距離の1倍以上4.3倍以下であることを特徴とする、薄膜形成装置。
  2. 基材は前記電極の長手方向と直交する方向に長い帯状の形態を有し、前記基材保持部は基材を前記電極の長手方向と直交する方向に送るドラム状であることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 基材に形成される薄膜は、水分の浸入を防ぐバリア膜であることを特徴とする、請求項1または2に記載の薄膜形成装置。
  4. 前記電極ユニットが形成するプラズマは、プラズマ形成ガスとして酸素が供給された酸素プラズマであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の薄膜形成装置。
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