JP2017155298A - 薄膜形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】帯状の基材のシワの発生を抑え、基材上に安定した蒸着膜を形成することができる薄膜形成装置を提供する。
【解決手段】帯状の基材2に所定の張力をかけながら基材2を所定の搬送方向に搬送させる搬送部と、搬送部により搬送される基材2の膜形成面に蒸着膜を形成する成膜部7と、基材2の搬送に関して成膜部7よりも上流にあり基材2の膜形成面の反対側の面にシート状の支持体11を貼り付ける支持体貼り付け部10と、を備え、支持体貼り付け部10における基材2の周囲の圧力は、成膜部7における基材2の周囲の圧力よりも低い。
【選択図】図1
【解決手段】帯状の基材2に所定の張力をかけながら基材2を所定の搬送方向に搬送させる搬送部と、搬送部により搬送される基材2の膜形成面に蒸着膜を形成する成膜部7と、基材2の搬送に関して成膜部7よりも上流にあり基材2の膜形成面の反対側の面にシート状の支持体11を貼り付ける支持体貼り付け部10と、を備え、支持体貼り付け部10における基材2の周囲の圧力は、成膜部7における基材2の周囲の圧力よりも低い。
【選択図】図1
Description
本発明は、帯状の基材上に薄膜を形成するための薄膜形成装置であり、基材を搬送させながら成膜部を通過させることにより、基材上に薄膜を純度よく形成するための薄膜形成装置に関するものである。
近年では、プラスチックフィルムの表面に例えば酸化防止、水分浸入防止等を目的としたバリア膜を形成したバリアフィルムが使用されている。
このようなバリアフィルムは、下記特許文献1に示す薄膜形成装置によって形成されている。例えば図6に示すように、薄膜形成装置100は、メインロールチャンバ101と、このメインロールチャンバ101内に収容されるメインロール102と、帯状の基材103を繰り出す巻出しロール104と基材103を巻き取る巻取りロール105とを備えており、巻出しロール104から送出された基材103をメインロール102の外周面102aに沿うように当接させ、そして巻取りロール105によって巻き取ることにより、所定の張力をかけながら基材103を搬送するようになっている。そして、メインロール102の外径側に間仕切り部106を設けることにより、成膜部107aおよび107bがメインロール102の周方向に形成され、これら成膜部107aおよび107bの内部には電極が設けられており、成膜部107aおよび107bに薄膜の原料ガスを供給し、各電極に高周波電圧を印加することにより、原料ガスはプラズマ状態となり、プラズマCVD法によって基材103に蒸着膜が形成される。このような薄膜形成装置100において、巻出しロール104から供給された基材103がメインロール102の外周面102aに沿わせた状態で成膜部107aおよび成膜部107bを順番に通過することにより、基材103上に所定の蒸着膜が順次積層されて形成される。
しかし、上記の薄膜形成装置では、基材への蒸着膜の形成が不安定になるおそれがあった。具体的には、成膜部107aや成膜部107bにて成膜が行われる際、プラズマの熱によりシート状の基材103が加熱され、変形する。この変形は、所定の張力がかけられた基材103には図7に示すように搬送方向に延びるシワ108となって現れる。このようなシワは一度発生すると最後まで製品に残るため、シワの発生後、シワが発生した部分に蒸着される蒸着膜の形成が不安定になるといった問題があった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、帯状の基材のシワの発生を抑え、基材上に安定した蒸着膜を形成することができる薄膜形成装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の薄膜形成装置は、帯状の基材に所定の張力をかけながら基材を所定の搬送方向に搬送させる搬送部と、前記搬送部により搬送される基材の膜形成面に蒸着膜を形成する成膜部と、基材の搬送に関して前記成膜部よりも上流にあり基材の前記膜形成面の反対側の面にシート状の支持体を貼り付ける支持体貼り付け部と、を備え、前記支持体貼り付け部における基材の周囲の圧力は、前記成膜部における基材の周囲の圧力よりも低いことを特徴としている。
上記薄膜形成装置によれば、蒸着時に帯状の基材のシワが発生することを抑えることができる。具体的には、基材の搬送に関して成膜部よりも上流にあり基材の膜形成面の反対側の面にシート状の支持体を貼り付ける支持体貼り付け部を備えていることにより、成膜部には基材に支持体が貼り付けられて補強された状態で搬送されるため、シワ発生の原因となる基材の変形を抑えることができる。また、支持体貼り付け部における基材の周囲の圧力は、成膜部における基材の周囲の圧力よりも低いことにより仮に支持体の貼り付け時に気泡が入っていたとしても成膜部内で気泡が支持体の貼り付け時よりも大きくなることを抑えることができる。
また、前記支持体貼り付け部における基材の周囲の圧力は、前記成膜部における基材の周囲の圧力の0.6倍以上0.9倍以下であると良い。
こうすることにより、成膜部内で気泡が支持体の貼り付け時よりも大きくなることを抑えかつ成膜部から支持体貼り付け部の方へパーティクルが巻き上がることを抑え、支持体の貼り付け時に基材と支持体の間にパーティクルが噛み込むことを抑えることができる。
また、前記支持体貼り付け部と前記成膜部とは離間しており、前記支持体貼り付け部と前記成膜部の間の部分における基材の周囲の圧力は前記成膜部における基材の周囲の圧力よりも高いと良い。
こうすることにより、成膜部からパーティクルが発生したとしてもこのパーティクルが支持体貼り付け部に到達することを防ぎ、支持体の貼り付け時に基材と支持体の間にパーティクルが噛み込むことを抑えることができる。
本発明の薄膜形成装置によれば、帯状の基材のシワの発生を抑え、基材上に安定した蒸着膜を形成することができる薄膜形成装置を提供することができる。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における薄膜形成装置1の概略図である。
薄膜形成装置1は、基材上に表面処理を行って薄膜を形成するためのものであり、例えば、プラスチックフィルム上に酸化防止、水分浸入防止を目的としたバリア膜を形成し、食品用の保護フィルム、フレキシブル太陽電池等に使用される。具体的には、フレキシブル太陽電池の場合には、プラスチックフィルム等の帯状基材上に各電極層及び光電変換層等で構成される太陽電池セルが形成された後、薄膜形成装置1により太陽電池セル上に薄膜を複数層形成してバリア膜を形成する。これにより、太陽電池セルに水分の浸入が効果的に防止され、酸化特性に優れたフレキシブル太陽電池を形成することができる。
この薄膜形成装置1は、基材2を送り出す巻出しロール3と、供給された基材2を巻き取る巻取りロール4と、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されるメインロール5と、これらを収容するメインロールチャンバ6と、薄膜を形成する成膜部7(成膜部7aおよび7b)とを有しており、巻出しロール3から送り出された基材2をメインロール5の外周面51に沿わせて搬送させつつ、各成膜部7を通過させることにより、基材2上に薄膜が形成され、巻取りロール4で巻き取られるようになっている。
また、薄膜形成装置1はさらにシート状の支持体11を基材2に貼り付ける支持体貼り付け部10を有しており、この支持体貼り付け部10によって支持体11が基材2の成膜される面(膜形成面)の反対側の面に貼り付けられた状態で基材2はメインロールの外周面51に沿って搬送され、成膜される。
巻出しロール3および巻取りロール4は略円筒形状の芯部31および芯部41を有しており、これら芯部31および芯部41には基材2が巻き付けられ、これら芯部31および芯部41を回転駆動させることにより、基材2を送り出し、または巻き取ることができる。すなわち、図示しない制御装置により芯部31および芯部41の回転が制御されることにより、基材2の送り出し速度もしくは巻き取り速度を増加及び減少させることができる。具体的には、基材2が下流側から引張力を受けた状態で上流側の芯部を回転させることにより基材2が下流側に送り出され、適宜、この上流側の芯部にブレーキをかけることにより基材2が撓むことなく一定速度で送り出されるようになっている。また、下流側の芯部の回転が調節されることにより、送り出された基材2が撓むのを抑えつつ、逆に基材2が必要以上の張力がかからないようにして巻き取ることができるようになっている。
ここで、基材2は、一方向に延びる薄板状の長尺体であり、厚み0.01mm〜0.2mm 幅5mm〜1600mmの平板形状を有する長尺体が適用される。また、材質として、特に限定しないが、たとえばPETなどの樹脂フィルムが好適に用いられる。
このように、上記の巻出しロール3と巻取りロール4とが一対となり、一方が基材2を送り出し、他方が前記送り出し速度と同じ巻き取り速度で基材2を巻き取ることによって、基材2にかかる張力を所定の値で維持しながら基材2を搬送することが可能である。
メインロール5は、成膜の際に基材2の姿勢を保ちつつ、上流側の巻出しロール3から供給された基材2を下流側の巻取りロール4に搬送するための搬送部である。メインロール5は、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されており、芯部31及び芯部41よりも大径の略円筒形状に形成されている。メインロール5の外周面51は、周方向に曲率が一定の曲面で形成されており、図示しない制御装置により芯部31及び芯部41の回転に応じて駆動制御され、巻出しロール3から送り出された基材2は、所定の張力が負荷された状態でメインロール5の外周面51に沿って搬送される。すなわち、メインロール5の外周面51に基材2が沿った状態でメインロール5が巻出しロール3及び巻取りロール4の回転に応じて回転することにより、基材2は、基材2全体が張った状態で、その表面が成膜部7それぞれに対向する姿勢で巻出しロール3から巻取りロール4へ搬送されるようになっている。
このように基材2が張った状態で搬送され、成膜されることにより、成膜時の基材2のばたつきを防ぐことができ、基材2に積層される薄膜の膜厚精度が向上するとともに基材2のばたつきによるパーティクルの発生を防ぐことができる。また、メインロール5の曲率半径を大きくすることにより、基材2がより平坦に近い状態で支持されながら成膜が行われるため、成膜後の基材2に反りが生じることを防ぐことができる。
なお、本実施形態の巻出しロール3、巻取りロール4、およびメインロール5のように基材2を搬送する機構を本説明では搬送部とも呼ぶ。
メインロールチャンバ6は、メインロール5を収容しチャンバ内の圧力を一定に保持するためのものである。メインロールチャンバ6には、真空ポンプ61が接続されており、この真空ポンプ61を作動させることにより、メインロールチャンバ6内の圧力を制御できるようになっている。本実施形態では、各成膜部7で発生したパーティクルが成膜部7の外に巻き上がることを防止するために、メインロールチャンバ6内の圧力P1は各成膜部7内の圧力P2およびP3よりも高圧になるように設定されている。また、各成膜部7および後述の支持体貼り付け部10以外ではメインロールチャンバ6内の圧力は一定としており、本実施形態では成膜部7bより搬送方向下流側の圧力P4も成膜部7aより上流側の圧力P1と同じとしているが、たとえば基材2から支持体11を剥がしやすくするために圧力P4を圧力P1より低くしても良い。
なお、本実施形態では、巻出しロール3及び、巻取りロール4がメインロールチャンバ6内に収容されているが、これらをメインロールチャンバ6の外に設ける構成であってもよい。本実施形態のようにこれらをメインロールチャンバ6内に設けることで、基材2や成膜後の基材2(成膜基材)を大気に曝すことから保護することができる。
成膜部7は、蒸着法により基材2上に蒸着膜である薄膜を形成するためのものであり、本実施形態では蒸着法の一種であるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により基材2上に薄膜を形成している。
本実施形態では、2つの成膜部7(成膜部7aおよび7b)がメインロールチャンバ6内にメインロール5に沿って連続して設けられており、本説明では基材2の搬送方向に関して上流側(巻出しロール3に近い方)を成膜部7a、下流側を成膜部7bと呼ぶ。ここで、成膜部7a、成膜部7bを区別しない場合は、単に成膜部7と呼ぶこととする。
各成膜部7は、メインロール5の外径側に間仕切り部8を配置することにより形成されている。具体的には、メインロール5の外径側に3つの間仕切り部8a乃至8cがメインロール5の外周面51に向かって設けられていることにより、各間仕切り部8とメインロールチャンバ6の壁面とで各成膜部7の隔壁部が構成されて、メインロール5上の基材2の膜形成面(メインロール5と対向している面と反対側の面)の一部を囲み、当該膜形成面の一部との間に閉空間を形成する成膜部7aおよび7bが基材2の搬送方向に連続して形成される形態となっている。ここで、各成膜部7は、その成膜部7の隔壁部の一部となる間仕切り部8を隣接する成膜部7と共有している。具体的には、たとえば間仕切り部8bは、成膜部7aの隔壁部でもあり、成膜部7bの隔壁部でもある。
これにより、メインロール5に沿って巻出しロール3から巻取りロール4へ基材2が搬送されると、間仕切り部8aを通過した基材2が成膜部7a内に搬送され、次に間仕切り部8bを通過した基材2が成膜部7b内に搬送されることにより、それぞれの成膜部7により基材2の膜形成面側の表面に順次薄膜が形成されるようになっている。
なお、本実施形態では間仕切り部8が基材2と干渉して基材2が破損することを防ぐために、メインロール5上の基材2と間仕切り部8の端部との間には若干の隙間が設けられるように構成されている。したがって、成膜部7と基材2との間に形成される空間は厳密的には閉空間では無いが、本説明ではこのように若干の隙間がある空間であっても閉空間と呼ぶこととする。
それぞれの成膜部7には、真空ポンプ71が接続されており、真空ポンプ71を作動させることにより、各成膜部7内を所定の圧力に設定できるようになっている。本実施形態では、原料ガスを供給する前に所定の圧力になるまで成膜部7内を減圧する。
また、これらの成膜部7は、基材2に対する表面処理として、前述の通りプラズマCVD法を用いた成膜源が設けられている。すなわち、成膜部7には、図示しない高周波電源に接続されて成膜部7内の閉空間にプラズマを発生させるための略U字型のプラズマ電極72が設けられるとともに、原料ガス供給手段である図示しない原料ガス配管が接続されている。これにより基材2が各成膜部7を通過する際に基材2の膜形成面側の表面に所定の薄膜が形成される。すなわち、成膜部7内に原料ガスが供給された状態で、高周波電源によってプラズマ電極72に高周波電圧が印加されることにより、プラズマ電極72の周辺にプラズマが発生し、このプラズマによって原料ガスが励起されて成膜部7内がプラズマ雰囲気となり、基材2の膜形成面側の表面に所定の薄膜が形成される。本実施形態では、成膜部7aでは、原料ガスとしてHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガス及びアルゴンガス、水素ガスを供給することにより、密着性の高いSi化合物膜(第1薄膜)が形成され、成膜部7bでは、原料ガスとしてHMDS及び酸素ガスが供給されることにより、緻密でバリア性の高いSiO2膜(第2薄膜)が形成される。
以上の構成の薄膜形成装置1により、第1薄膜と第2薄膜とが交互に積層され、高いバリア性と密着性の両方を具備するバリア膜を基材2に形成させることができる。
支持体貼り付け部10は、基材2の膜形成面の反対側の面にシート状の支持体11を貼り付ける部位であり、成膜部7のうち搬送方向上流側の成膜部7aよりもさらに上流側に設けられている。
支持体11は、本実施形態では片面に粘着性を有する長尺の樹脂製のシートであり、この粘着性を有する面(粘着面)がメインロール5の近傍において基材2と対向する。支持体11の厚みは基材2の厚みと同等以上であり、また、支持体11の幅方向(図1におけるY軸方向)の寸法は基材2よりも大きい。これにより、支持体貼り付け部10において基材2は幅方向において全体が支持体11に貼り付けられ、このように支持体11に貼り付いた状態下では基材2が単独である場合と比べて厚さが増すため基材2は熱変形しにくくなる。すなわち、補強される。
また、支持体11の両端部は、巻出しロール12と巻取りロール13に巻かれている。巻出しロール12と巻取りロール13は、基材2を送り出し、巻き取る巻出しロール3および巻取りロール4と同様に回転駆動可能となっており、巻出しロール12から送り出された支持体11はメインロール5の外周面51に沿うように当接して搬送され、各成膜部7を通過し、巻取りロール13で巻き取られるようになっている。
メインロール5の外周面51にはまず支持体11が張られ、次にこの外周面51に沿って張られている支持体11の粘着面に基材2が張られることにより、支持体11の粘着面と基材2とが密着し、貼り合わせられる。すなわち、本実施形態ではメインロール5は基材2を支持体11に貼り付ける支持体貼り付け部10の一部としても機能する。
ここで、巻出しロール12および巻取りロール13は、支持体11の搬送速度が巻出しロール3と巻取りロール4とによる基材2の搬送速度と同一の速度となるよう、駆動制御されている。これにより、基材2は支持体11に貼り合わせられた後、支持体11と一体となってメインロール5の外周面51に沿って搬送され、各成膜部7に送られる。
図2は、本発明の薄膜形成装置によって薄膜が形成された基材の様子を示す写真であり、成膜部内の基材の様子である。
従来の薄膜形成装置では、薄いフィルム状の基材に蒸着膜を形成すると、成膜時の熱により基材が変形して図7に示すように搬送方向に延びるシワ108が形成されてしまっていたが、本発明の薄膜形成装置では、図2に示すように各成膜部7において基材2の膜形成面に薄膜を形成させる際は基材2は支持体11に貼り付けられた状態であるため、成膜時に基材2が加熱されても基材2に熱変形は生じにくくなり、その結果、シワの発生を防ぐことができる。
また、メインロール5の外周部51に接触するのは支持体11であり基材2は外周部51に直接接触しないため、万が一メインロール5上で滑りが発生したとしても傷がつくのは支持体11であり、基材2に傷がつくことを防ぐことができ、安定した品質を確保することができる。
このようにシワの発生を抑えつつ基材2に薄膜が形成された後は、基材2と搬送経路を異ならせるように支持体11が引っ張られることにより、支持体11から基材2が剥がされ、基材2および支持体11はそれぞれ巻取りロール4、巻取りロール13に巻き取られる。
また、本実施形態では支持体貼り付け部10において基材2と支持体11とが貼り合わせられる前の基材2と支持体11との間に間仕切り部14が設けられ、図1にハッチングで示したように間仕切り部14と基材2と支持体11とで略閉じた空間が形成されている。
また、間仕切り部14には真空ポンプ15と接続される配管が通されており、真空ポンプ15が稼働することにより、この閉じた空間が減圧され、この閉じた空間の圧力P5、すなわち支持体貼り付け部10における基材2の周囲の圧力P5は、各成膜部7における基材2の周囲の圧力P2およびP3よりも低くなっている。
図3は、本発明の薄膜形成装置によって薄膜が形成された基材の様子を示す写真であり、図3(a)が本発明のように支持体貼り付け部における基材の周囲の圧力を各成膜部における基材の周囲の圧力よりも低くした場合の基材の様子であり、図3(b)は比較例であって支持体貼り付け部における基材の周囲の圧力を各成膜部における基材の周囲の圧力よりも高くした場合の基材の様子である。
仮に上記閉じた空間の減圧を行わず、閉じた空間の圧力P5が各成膜部7における基材2の周囲の圧力P2およびP3よりも高かった場合、基材2と支持体11とが貼り合わせられた際に基材2と支持体11との間に気泡が入り込むと、各成膜部7内で基材2および支持体11が加熱される際に図3(b)に示すようにボイル・シャルルの法則に従ってこの気泡16の体積が増大するため、基材2にうねりが生じて安定した成膜ができなくなる。これに対し、本発明のように支持体貼り付け部10における基材2の周囲の圧力を各成膜部7における基材2の周囲の圧力よりも低くすることにより、各成膜部7内で気泡が支持体11の貼り付け時よりも大きくなることを抑えることができ、図3(a)に示すように基材2にうねりを生じさせずに成膜を行うことができる。
また、本実施形態では、支持体貼り付け部10と成膜部7aとは離間しており、支持体貼り付け部10と成膜部7aの間の部分の圧力P1は先述の通り成膜部7a内の圧力P2よりも大きい。これにより、仮に成膜部7aにおける成膜の過程でパーティクルが発生したとしても成膜部7aの外に巻き上がって支持体貼り付け部10に到達することを防止することができ、基材2と支持体11の貼り合わせの際にパーティクルが噛み込むことを防ぐことができる。
次に、他の実施形態における薄膜形成装置を図4および図5に示す。
図4に示す実施形態の薄膜形成装置1では、図1の実施形態と比較して巻取りロール13は設けられておらず、基材2と支持体11とが一体となったままで巻取りロール4に巻き取られている。このように、必ずしも成膜後に支持体11から基材2を剥がす必要は無く、支持体11に基材2が貼り合わされた状態を以降の工程でも活用することができる。
図5に示す実施形態の薄膜形成装置1では、図1の実施形態と比較して間仕切り部14が設けられていない。すなわち、メインチャンバ6が貼り合わせ部として機能し、この実施形態における貼り合わせ部における基材2の周囲の圧力は、メインチャンバ6の圧力P1’を指す。
したがって、図2および図4の実施形態ではメインチャンバ内の圧力P1を各成膜部7内の圧力P2およびP3より大きくしていたのに対し、図5の実施形態では仮に基材2と支持体11とが貼り合わせられた際に基材2と支持体11との間に気泡が入り込んだ場合に各成膜部7において気泡の体積が増大しないためには、メインチャンバ6内の圧力P1’は各成膜部7内の圧力P2’およびP3’より小さいことが必要となる。ただし、圧力P1’が圧力P2’よりも低くなりすぎると、成膜の際に成膜部7aもしくは7bで生じたパーティクルが高い確率でメインチャンバ6内に巻き上がり、このパーティクルが基材2と支持体11の貼り合わせの際に噛み込むおそれがある。
ここで、樹脂フィルムへの成膜する際の温度範囲が60℃以上200℃以下であることを考慮することにより、支持体貼り付け部における基材2の周囲の圧力を各成膜部7における基材2の周囲の圧力のうち最も低い圧力の0.6倍以上0.9倍以下とすることにより、各成膜部7内で気泡が支持体11の貼り付け時よりも大きくなることを抑えかつ成膜部7から支持体貼り付け部の方へパーティクルが巻き上がることを抑え、支持体11の貼り付け時に基材2と支持体11の間にパーティクルが噛み込むことを抑えることができる。
以上の薄膜形成装置により、帯状の基材のシワの発生を抑え、基材上に安定した蒸着膜を形成することが可能である。
ここで、本発明の薄膜形成装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば上記の本実施形態では成膜部7が2つの場合について説明したが、成膜部7の数は2つ以外であっても構わなく、1つのみであっても良く、また、3つ以上設けられていても構わない。
また、上記の実施形態ではプラズマCVD法により蒸着膜を形成させているが、それに限らずたとえばスパッタリングや真空PVDなど基材の加熱をともなう他の蒸着法を用いて蒸着膜を形成させる場合にも好適に用いられる。
また、上記の実施形態では支持体は片面に粘着性を有するシートとしているが、常に粘着性を有さずにたとえば紫外線照射によって粘着性が発生するものであっても良く、この場合、支持体貼り付け部に紫外線照射装置を設け、基材を貼り付ける直前に支持体に粘着性を発生させると良い。また、たとえば温度によって粘着性が変化するものであっても良く、温度が低いほど粘着性が低い特性を有するのであれば、各成膜部より下流において支持体を基材から剥がす際の支持体の温度が支持体貼り付け部や各成膜部における支持体の温度より低くなるよう冷却装置を設けることによって、支持体を剥がしやすくすると良い。
また、上記の実施形態では長尺の基材全体に薄膜を形成することを想定して支持体は両端部をロールで巻くことが可能な長尺のシート状としているが、これに限らず、基材の一部のみ成膜する場合は少なくともその成膜する領域を補強することが可能な長さのシート状であっても良い。
1 薄膜形成装置
2 基材
3 巻出しロール
4 巻取りロール
5 メインロール
6 メインロールチャンバ
7 成膜部
7a 成膜部
7b 成膜部
8 間仕切り部
8a 間仕切り部
8b 間仕切り部
8c 間仕切り部
10 支持体貼り付け部
11 支持体
12 巻出しロール
13 巻取りロール
14 間仕切り部
15 真空ポンプ
16 気泡
31 芯部
41 芯部
51 外周面
61 真空ポンプ
71 真空ポンプ
72 プラズマ電極
100 薄膜形成装置
101 メインロールチャンバ
102 メインロール
102a 外周面
103 基材
104 巻出しロール
105 巻取りロール
106 間仕切り部
107 成膜部
107a 成膜部
107b 成膜部
108 シワ
2 基材
3 巻出しロール
4 巻取りロール
5 メインロール
6 メインロールチャンバ
7 成膜部
7a 成膜部
7b 成膜部
8 間仕切り部
8a 間仕切り部
8b 間仕切り部
8c 間仕切り部
10 支持体貼り付け部
11 支持体
12 巻出しロール
13 巻取りロール
14 間仕切り部
15 真空ポンプ
16 気泡
31 芯部
41 芯部
51 外周面
61 真空ポンプ
71 真空ポンプ
72 プラズマ電極
100 薄膜形成装置
101 メインロールチャンバ
102 メインロール
102a 外周面
103 基材
104 巻出しロール
105 巻取りロール
106 間仕切り部
107 成膜部
107a 成膜部
107b 成膜部
108 シワ
Claims (3)
- 帯状の基材に所定の張力をかけながら基材を所定の搬送方向に搬送させる搬送部と、
前記搬送部により搬送される基材の膜形成面に蒸着膜を形成する成膜部と、
基材の搬送に関して前記成膜部よりも上流にあり基材の前記膜形成面の反対側の面にシート状の支持体を貼り付ける支持体貼り付け部と、
を備え、
前記支持体貼り付け部における基材の周囲の圧力は、前記成膜部における基材の周囲の圧力よりも低いことを特徴とする、薄膜形成装置。 - 前記支持体貼り付け部における基材の周囲の圧力は、前記成膜部における基材の周囲の圧力の0.6倍以上0.9倍以下であることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 前記支持体貼り付け部と前記成膜部とは離間しており、前記支持体貼り付け部と前記成膜部の間の部分における基材の周囲の圧力は前記成膜部における基材の周囲の圧力よりも高いことを特徴とする、請求項1または2に記載の薄膜形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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- 2016-03-03 JP JP2016040578A patent/JP2017155298A/ja active Pending
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JP2020193384A (ja) * | 2019-05-30 | 2020-12-03 | 住友金属鉱山株式会社 | 真空成膜装置と真空成膜方法 |
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TWI849108B (zh) * | 2019-05-30 | 2024-07-21 | 日商住友金屬礦山股份有限公司 | 真空成膜裝置及真空成膜方法 |
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