JP2020152954A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】機能膜の性能を低減させることなく基材に機能膜を形成することができる成膜装置を提供する。【解決手段】外周面51に基材2が接触した状態で回転することにより基材2を搬送するメインロール5と、メインロール5の外周面51のうち基材2が接触する領域と対向するように、メインロール5の外周面51に沿って配列された、基材2の膜形成面に薄膜を形成させる成膜チャンバ7と、基材2の搬送経路においてメインロール5の下流側に位置し、基材2の膜形成面と接触する案内ロール8と、を備え、案内ロール8は、基材2の膜形成面と対向する本体ロール81と、本体ロール81と対向する挟持ロール82と、を有し、本体ロール81は、回転軸方向の断面が円形であってその径が回転軸方向中央部に向かって徐々に大きくなる傾斜部83を有し、挟持ロール82と傾斜部83とで基材2を挟持することにより、基材2の一部を本体ロール81から離間させる。【選択図】図2
Description
本発明は、真空成膜法を利用して帯状の基材上に所定の機能を有する機能膜を形成するための成膜装置に関するものである。
近年では、プラスチックフィルムなどの製品の表面に薄膜である機能膜をコーティングすることによって製品の機能を高める手法が他分野にわたって用いられている。プラスチックフィルムに酸化防止、水分浸入防止等を目的としたバリア膜を形成したバリアフィルムがその一例であり、その他透明導電膜、反射防止膜なども基材上に成膜されうる。
このような成膜基材は、たとえば下記特許文献1に示すような成膜装置によって形成されている。特許文献1に記載の成膜装置の概略図を図7に示す。この成膜装置100では、真空成膜法の一種であるプラズマCVD法により機能膜の一種であるバリア膜が基材101に形成される。具体的には、成膜チャンバ102内に供給されたバリア膜の原料ガスがプラズマによって分解され、この分解された原料ガスが基材101上に堆積することにより、バリア膜が形成される。
また、図7の成膜装置100では、成膜チャンバ102は4つ(成膜チャンバ102a乃至102d)設けられており、メインロール103に沿って搬送される基材101上に順に成膜が行われる。ここで、成膜チャンバ102bおよび成膜チャンバ102dではバリア性を有するバリア層が形成され、成膜チャンバ102aおよび成膜チャンバ102cでは、バリア層よりもバリア性は低いが密着性が高いバッファ層が形成される。このようにメインロール103に沿って搬送される基材101上に4つの成膜チャンバ102a乃至102dによって形成されたバリア膜は、バリア性とフレキシブル性をともに有する。
しかし、上記の成膜装置100では、基材101上に形成された機能膜の性能が低下する可能性があった。具体的には、図9のようにメインロール103の下流にあって基材101の搬送経路を案内する案内ロール106のように基材101の成膜面と接触する部材と成膜直後の機能膜とが接触した際に、図8に示すように機能膜の表面に傷107が生じるおそれがある。このように機能膜が傷ついてしまうと、たとえば機能膜がバリア膜であった場合、そのバリア膜に期待されているバリア性という性能が低下するという問題があった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、機能膜の性能を低減させることなく基材に機能膜を形成することができる成膜装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の成膜装置は、外周面に基材が接触した状態で回転することにより基材を搬送するメインロールと、前記メインロールの外周面のうち基材が接触する領域と対向するように、前記メインロールの外周面に沿って配列された、基材の膜形成面に薄膜を形成させる成膜チャンバと、基材の搬送経路において前記メインロールの下流側に位置し、基材の前記膜形成面と接触する案内ロールと、を備え、前記案内ロールは、基材の前記膜形成面と対向する本体ロールと、前記本体ロールと対向する挟持ロールと、を有し、前記本体ロールは、回転軸方向の断面が円形であってその径が回転軸方向中央部に向かって徐々に大きくなる傾斜部を有し、前記挟持ロールと前記傾斜部とで基材を挟持することにより、基材の一部を前記本体ロールから離間させることを特徴としている。
上記成膜装置によれば、機能膜の性能を低減させることなく基材に機能膜を形成することができる。具体的には、挟持ロールと傾斜部とで基材を挟持することにより、基材の一部を本体ロールから離間させることによって、基材に形成された機能膜と本体ロールとを離間させて機能膜に傷がつくことを防ぐことができる。
また、前記傾斜部は、前記本体ロールの回転軸方向中央部をはさんで両側に設けられていると良い。
こうすることにより、比較的安定した状態で基材を搬送させつつ、機能膜を本体ロールから離間させることができる。
また、前記挟持ロールは、1つの前記傾斜部に対して複数設けられていると良い。
こうすることにより、基材の本体ロールと離間する部分がしっかりと張った状態となり、その部分が本体ロールと接触することを防ぐことができる。
本発明の成膜装置によれば、機能膜の性能を低減させることなく基材に機能膜を形成することができる。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における成膜装置1の概略図であり、正面図である。
成膜装置1は、基材上に表面処理を行って薄膜を形成するためのものであり、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルム上に酸化防止、水分浸入防止を目的とした機能膜であるバリア膜を形成し、食品用の保護フィルム、フレキシブル太陽電池等に使用される。具体的には、フレキシブル太陽電池の場合には、プラスチックフィルム等の帯状基材上に各電極層及び光電変換層等で構成される太陽電池セルが形成された後、成膜装置1により太陽電池セル上に薄膜を複数層形成してバリア膜を形成する。これにより、太陽電池セルに水分の浸入が効果的に防止され、酸化耐久特性に優れたフレキシブル太陽電池を形成することができる。
この成膜装置1は、可撓性を有する基材の束を保持する2つの束保持ロールである束保持ロール3、束保持ロール4と、束保持ロール3と束保持ロール4との間に配置されるメインロール5と、メインロール5を収容するメインロールチャンバ6と、薄膜を形成する成膜チャンバ7とを有しており、一方の束保持ロールである束保持ロール3から送り出された基材2をメインロール5の外周面51に沿わせて搬送させつつ、各成膜チャンバ7を通過させることにより、基材2上に薄膜が形成され、もう一方の束保持ロールである束保持ロール4で巻き取られるようになっている。
また、メインロール5の回転方向を図1に矢印で示しており、この矢印の方向(反時計回り方向)がこの場合の基材2の搬送方向となる。
束保持ロール3および束保持ロール4はそれぞれ略円筒形状の芯部31および芯部41を有しており、これら芯部31および芯部41には基材2が巻き付けられ、基材2の束が形成されている。
これら芯部31および芯部41を回転駆動させることにより、基材2を送り出し、または巻き取ることができる。すなわち、束保持ロール3および束保持ロール4によっていわゆるロールツーロール搬送が行われ、図示しない制御装置により芯部31および芯部41の回転が制御されることにより、基材2の送り出し速度もしくは巻き取り速度を増加及び減少させることができる。具体的には、図1の形態では束保持ロール3がメインロール5よりも基材の搬送経路の上流側となるため、束保持ロール3が基材2を送り出す方のロールとなり、逆に束保持ロール4が基材2を巻き取る方のロールとなる。そして、基材2が下流側にある芯部41から引張力を受けた状態で上流側にある芯部31を回転させることにより基材2が下流側に送り出され、適宜、芯部31にブレーキをかけることにより基材2が撓むことなく一定速度で送り出されるようになっている。また、芯部41の回転が調節されることにより、送り出された基材2が撓むのを抑えつつ、逆に基材2が必要以上の張力がかからないようにして巻き取ることができるようになっている。
ここで、基材2は、一方向に延びる可撓性を有する薄板状の長尺体であり、厚み0.01mm〜0.2mm 幅5mm〜1600mmの平板形状を有する長尺体が適用される。また、材質として、特に限定しないが、たとえばPET(polyethylene terephthalate)などの樹脂フィルムが好適に用いられる。
このように、上記の束保持ロール3と束保持ロール4とが一対となり、一方が基材2を送り出し、他方が前記送り出し速度と同じ巻き取り速度で基材2を巻き取ることによって、基材2にかかる張力を所定の値で維持しながら基材2を搬送することが可能である。
また、芯部31と芯部41の回転方向が逆転することにより、基材2の搬送方向が反転する。図1に矢印で示す搬送方向から搬送方向が反転した場合、上記とは逆に芯部41が送り出し側となり芯部31が巻き取り側となる。そして、所定の時間毎に基材2の搬送方向が反転しながら成膜が行われることにより、成膜装置1内で基材2が往復しながら成膜が行われる。
メインロール5は、基材2の搬送経路において束保持ロール3と束保持ロール4との間に配置されており、それぞれの芯部31および芯部41よりも大径の略円筒形状に形成されている。メインロール5の外周面51は、周方向に曲率が一定の曲面で形成されており、図示しない制御装置により駆動制御され、回転する。束保持ロール3と束保持ロール4は、このメインロール5の回転動作に応じて回転が制御され、これにより、束保持ロール3から送り出された基材2は、所定の張力が負荷された状態でメインロール5の外周面51に沿って搬送される。すなわち、メインロール5の外周面51に基材2が沿った状態で束保持ロール3および束保持ロール4がメインロール5の回転に応じて基材2の搬送に連動するように回転することにより、基材2は、基材2全体が張った状態で、その表面がそれぞれの成膜チャンバ7に対向する姿勢で束保持ロール3から束保持ロール4へ搬送されるようになっている。
このように基材2が張った状態で搬送され、基材2が搬送されながら成膜チャンバ7によって成膜されることにより、成膜時の基材2のばたつきを防ぐことができ、基材2に積層される薄膜の膜厚精度が向上するとともに基材2のばたつきによるパーティクルの発生を防ぐことができる。また、メインロール5の曲率半径を大きくすることにより、基材2がより平坦に近い状態で支持されながら成膜が行われるため、成膜後の基材2に反りが生じることを防ぐことができると同時に、基材2と成膜チャンバ7内のプラズマ電極72との距離が略均一となり、均一な膜厚の薄膜を形成しやすくなる。なお、成膜時の基材2の搬送速度は、40〜50m/分にも及ぶ。
また、メインロール5から巻き取りロールである束保持ロール4までの張力を送り出しロールである束保持ロール3からメインロール5までの張力よりも若干高くすることにより、メインロール5上で基材2をさらにぴったりと張り付かせることができる。
また、基材2の搬送経路における束保持ロール3とメインロール5との間、およびメインロール5と束保持ロール4との間には、案内ロール8がそれぞれ設けられている。案内ロール8はメインロール5などと回転軸方向を有するロール体であり基材2が巻き付けられることによって基材2の搬送経路を構成するとともに、メインロール5に対する基材2の抱き角が調整される。これら案内ロール8は、基材2の薄膜が形成される方の面(膜形成面)と接触することになり、特に基材2の搬送方向が図1に矢印で示す方向である場合、案内ロール8bはメインロール5の下流側に位置することになり、成膜直後の基材2が送り込まれる。
メインロールチャンバ6は、メインロール5を収容してチャンバ内の圧力を一定に保持するために周囲をカバーに囲まれた空間である。メインロールチャンバ6は、成膜装置1の外装を形成するカバーのほかに間仕切り部61を有し、この間仕切り部61によりメインロールチャンバ6と後述の成膜チャンバ7とが成膜装置1内で仕切られている。この間仕切り部61によって、メインロール5の外周部51に沿って搬送される基材2の一部のみが成膜チャンバ7にさらされる形態をとる。
また、本実施形態におけるメインロールチャンバ6を形成する奥行き方向(図1におけるY軸方向)のカバーは、図示はしないが基材2の幅方向(Y軸方向)の端部に近接するように設けられている。
また、本実施形態では成膜チャンバ7側にのみ真空ポンプ71が設けられ、真空ポンプ71が作動することにより成膜チャンバ7とともにメインロールチャンバ6も減圧される形態をとっているが、メインロールチャンバ6側にも真空ポンプが設けられていても良い。
なお、メインロールチャンバ6にも真空ポンプが設けられる場合、成膜チャンバ7で発生したパーティクルが成膜チャンバ7の外に巻き上がることを防止するために、メインロールチャンバ6内の圧力は成膜チャンバ7内の圧力よりも高圧になるように設定されていることが好ましい。
なお、本実施形態では、束保持ロール3及び、束保持ロール4がメインロールチャンバ6内に収容されているが、これらをメインロールチャンバ6の外に設ける構成であってもよい。ただし、本実施形態のようにこれらをメインロールチャンバ6内に設けることによって、基材2や成膜後の基材2(成膜基材)を大気に曝すことから保護することができる。
成膜チャンバ7は、真空成膜法の一種であるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により基材2上に薄膜を形成する手段である。この成膜チャンバ7は、チャンバ内を減圧する真空ポンプ71と、プラズマを発生させるための高電圧を印加するプラズマ電極72と、基材2に形成する薄膜の原料となる原料ガスをチャンバ内に供給する原料ガス供給部73と、を有している。また、本実施形態では、プラズマの原料であるプラズマ形成ガスも、原料ガス供給部73から供給される。
この成膜チャンバ7では、真空ポンプ71により成膜チャンバ7内が減圧されて原料ガス供給部73からプラズマ形成ガスが供給された状態でプラズマ電極72に電圧が印加されることにより、プラズマ電極72の近傍でプラズマが発生し、成膜チャンバ7内がプラズマ雰囲気となる。このようにプラズマ雰囲気となった状態において、原料ガス供給部73から原料ガスが供給されることにより、原料ガスがこのプラズマにより分解され(活性化され)、成膜チャンバ7と対向する基材2の膜形成面に薄膜を形成する。
また、本実施形態では、減圧による成膜チャンバ7内の圧力を制御する図示しない圧力制御機構がさらに設けられており、原料ガスが供給される前に所定の圧力になるまで、真空ポンプ71によって成膜チャンバ7内が減圧される。なお、本実施形態では、成膜チャンバ7の内部が10−2Pa以下になるまで減圧された後、原料ガスが供給される。そして、原料ガスが供給されることにより成膜チャンバ7の内部が0.5Pa〜3.0Pa程度になった状態下で成膜が行われる。
また、本実施形態ではメインロール5の外周面51のうち基材2が接触する領域と対向するように4つの成膜チャンバ7(成膜チャンバ7a乃至7d)が並ぶように外周面51に沿って設けられており、束保持ロール3、束保持ロール4、メインロール5などが回転することによって基材2が搬送されながら各成膜チャンバ7による成膜が行われることにより、基材2には成膜チャンバ7a、成膜チャンバ7b、成膜チャンバ7c、成膜チャンバ7dによる薄膜の形成が順に実施される。また、束保持ロール3と束保持ロール4との間で送り出しロールと巻き取りロールの役割が交代し、基材の搬送方向が反転した場合は、基材2には成膜チャンバ7d、成膜チャンバ7c、成膜チャンバ7b、成膜チャンバ7aによる薄膜の形成が順に実施される。なお、4つの成膜チャンバ7ともに上記真空ポンプ71、プラズマ電極72、および原料ガス供給部73を有しているが、作図の都合上、図1では成膜チャンバ7bが有する真空ポンプ71、プラズマ電極72、および原料ガス供給部73にのみ符号が付されている。
プラズマ電極72は、メインロール5の幅方向(Y軸方向)に延びる略U字形状を有しており、図1には、略U字形状のプラズマ電極72の略直線状の部分の断面のみが示されている。また、プラズマ電極72の端部には、図示しない高周波電源が接続されている。
また、プラズマ電極72の折り返し部分は成膜チャンバ7の外側に位置するように形成されており、プラズマ電極72の略直線状の部分のみがメインロール5上の基材2と対向するようになっている。
また、プラズマ電極72は、メインロール5と対向する方向に開口を有する電極カバー74に囲まれている。成膜中は成膜チャンバ7は減圧状態ではあるが、この電極カバー74によって、プラズマ電極72の近傍に供給されたプラズマ形成ガスが拡散することが抑えられ、プラズマの形成および維持を容易にしている。
原料ガス供給部73は、成膜チャンバ7内のメインロール5の近傍に設けられた、メインロール5の幅方向(Y軸方向)に延びるパイプ状の部材であり、成膜装置1の外の図示しない原料ガス供給手段と配管を経由して接続されている。また、原料ガス供給部73には、Y軸方向に複数の開口が設けられており、メインロール5上の基材2の膜形成面の近傍に対し、基材2の幅方向(Y軸方向)にわたって略均一に原料ガスが供給される。
また、本実施形態では、原料ガス供給部73は成膜装置1の外の図示しないプラズマ形成ガス供給手段とも配管を経由して接続されており、上記の通りプラズマ形成ガスも原料ガス供給部73から成膜チャンバ7内のプラズマ電極72の近傍へ供給される。
ここで、本実施形態では原料ガスはたとえばHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガスである。HMDSガスはケイ素および炭素を含んでおり、プラズマ形成ガスとしてアルゴンガス、窒素ガスなどが供給されることにより、密着性の高い炭化ケイ素(SiC)系の薄膜が形成され、また、プラズマ形成ガスとして酸素ガスが供給されることにより、緻密でバリア性の高いSiO2膜が形成される。
ここで、本実施形態において、SiO2膜は上記の通りバリア性が高く、機能膜であるバリア膜のバリア性という機能に大きく関与する膜である。
これに対し、炭化ケイ素系薄膜は、SiO2膜よりも密度が低いため、SiO2膜よりもバリア性は低く、バリア膜のバリア性にはほとんど関与しないため、SiO2膜と比較して組成に厳密な制限は無い。その代わり、上記の通り密着性が高く、この炭化ケイ素系薄膜を基材2とSiO2膜との間、およびSiO2膜とSiO2膜との間に形成させることにより、バリア性が高いだけでなくフレキシブル性が高いバリア膜が形成される。
次に、本実施形態における案内ロールを図2に示す。
図2(a)は図1においてメインロール5よりも基材2の搬送方向の下流側にある案内ロール8bの拡大図であって正面図であり、図2(b)は案内ロール8bの側面図である。
案内ロール8bは、本体ロール81および挟持ロール82とを有しており、基材2は膜形成面が本体ロール81と対向するように本体ロール81に巻き付けられ、また、本体ロール81と挟持ロール82とで基材2の幅方向の両端部近傍を挟持する。
本体ロール81は、巻き付けられた基材2の移動に追従して回転するフリーロールであり、回転軸の方向はメインロール5などの回転軸の方向(Y軸方向)と同じである。また、この回転軸方向の本体ロール81の寸法は、基材2の幅方向の寸法よりも大きい。
ここで、本実施形態では、本体ロール81の回転軸方向の断面は全体にわたって円形であるものの、その径は均一ではない。具体的には、本体ロール81は回転軸方向の両端部の近傍に傾斜部83を有している。この傾斜部83では、回転軸方向の断面である円の径は本体ロール81の回転軸方向中央部に向かって徐々に大きくなっている。なお、本説明では、傾斜部83において回転軸方向の断面である円の径が最大となる箇所を、頂部86と呼ぶ。
挟持ロール82は、その中心軸を回転軸とする円盤状の部材であり、その回転軸の方向は本体ロール81の回転軸方向と同じ(Y軸方向)である。
挟持ロール82は、本実施形態では本体ロール81の2つの傾斜部83の外周方向から傾斜部83と対向するようにそれぞれの傾斜部83に対して1つずつ設けられており、中心軸を挟持ロール82の回転軸と同じとする軸84によって2つの挟持ロール82が連結されている。
軸84は、ばねなどの付勢手段85によって本体ロール81の回転軸に向かって付勢されている。これによって、それぞれの挟持ロール82は付勢され、本体ロール81の傾斜部83の外周面を押圧する。ここで、本体ロール81に基材2が巻き付けられた状態である場合、本体ロール81と挟持ロール82とで基材2を挟持する。
ここで、回転軸方向の断面である円の径が本体ロール81の回転軸方向中央部に向かって徐々に大きくなっている傾斜部83に対して挟持ロール82が付勢されているため、傾斜部83の位置で本体ロール81と挟持ロール82とで挟持されている基材2には外向きに引っ張る力が生じ、基材2は幅方向(Y軸方向)に張った状態となる。これによって、2つの傾斜部83の頂部86の間に位置する部分では、基材2は本体ロール81から離間する。そして、基材2の幅方向(Y軸方向)における成膜チャンバ7によって機能膜87が基材2に形成される領域が本体ロール81の2つの頂部86の間に位置するように案内ロール8bが構成されておれば、この案内ロール8bにおいて機能膜87は本体ロール81と接触することが回避される。その結果、案内ロール8bは基材2の膜形成面と接触する一方で、案内ロール8bによって機能膜87に傷が付けられることを防ぐことができる。
また、本実施形態では、案内ロール8bだけでなく図1に示す案内ロール8aも、案内ロール8bと同様に、傾斜部83を有する本体ロール81とその傾斜部83に向かって付勢される挟持ロール82を備える形態を有している。これにより、メインロール5などの回転方向が逆転して基材2の搬送方向が逆転し、案内ロール8aの方がメインロール5に対して下流側の案内ロール8となった場合であっても基材2上の機能膜87を傷つけることを防ぐことができる。
以上の成膜装置により、機能膜の性能を低減させることなく基材に機能膜を形成することが可能である。
ここで、本発明の成膜装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、上記の説明ではバリア膜が機能膜に相当する実施形態を示したが、これに限らず、透明導電膜、反射防止膜などその他の機能膜の形成をするために本発明の成膜装置および成膜方法が用いられても良い。
また、本説明では薄膜の形成にプラズマCVD法を用いているが、それに限らず、たとえば触媒化学気相成長法(Cat CVD)のようなその他のCVD法、もしくはスパッタ法、蒸着法といったその他の真空成膜法の場合であっても本発明の薄膜形成方法が好適に用いられる。
また、上記の説明では基材はPETフィルムとしているが、これに限らずPENフィルムなど他の樹脂フィルムであっても良い。また、樹脂フィルムに限らずたとえば金属フィルムなどであっても良い。
また、上記の説明では、挟持ロール82は傾斜部83に対して1つずつ設けられているが、それに限らず、図3に示すように1つの傾斜部83に対して複数の挟持ロール82が設けられていても構わない。こうすることにより、基材2の本体ロール81と離間する部分がしっかりと張った状態となり、その部分が本体ロール81と接触することをより防ぐことができる。
また、図4に示すように挟持ロール82の外周面も本体ロール81の傾斜部83の傾きにならうように傾斜し、挟持ロール82の外周面全体が傾斜部83と接するようにしても良い。
また、図2では傾斜部83の傾斜は直線状であるが、それに限らず、図5に示すように曲線状の傾斜であっても構わない。また、図2では本体ロール81の回転軸方向に関して頂部86の内側にも傾斜部83は傾斜を有しているが、図5に示すように頂部86の内側には傾斜を有さない形態であっても良い。
また、図6に示すように傾斜部83が1つのみ設けられた形態で基材2の膜形成面を本体ロール81から離間させても構わない。ただし、このように基材2が一方に傾いた状態で搬送される場合、基材2がよれてしまうおそれがある。これに対し、図2などのように本体ロール81の回転軸方向中央部をはさんで両側に傾斜部83が設けられることにより、比較的安定した状態で基材2を搬送させつつ、機能膜87を本体ロール81から離間させることができる。
また、上記の説明では案内ロール8の本体ロール81の回転軸方向の断面はどの位置においても円形であるが、それに限定されず、基材2と接触しない部分の断面は円形でなくても構わない。たとえば、図2に示す実施形態では、2つの傾斜部83の間の部分の断面形状は円形でなくても構わない。
また、案内ロール8において、必ずしも機能膜87全体が本体ロール81から離間している必要は無く、機能膜87の端部が多少傾斜部83などと接触していても、その他の大部分が本体ロール81と離間することにより、本発明の効果を奏する。
1 成膜装置
2 基材
3 束保持ロール
4 束保持ロール
5 メインロール
6 メインロールチャンバ
7 成膜チャンバ
7a 成膜チャンバ
7b 成膜チャンバ
7c 成膜チャンバ
7d 成膜チャンバ
8 案内ロール
8a 案内ロール
8b 案内ロール
31 芯部
41 芯部
51 外周面
61 間仕切り部
71 真空ポンプ
72 プラズマ電極
73 原料ガス供給部
74 電極カバー
81 本体ロール
82 挟持ロール
83 傾斜部
84 軸
85 付勢手段
86 頂部
87 機能膜
100 成膜装置
101 基材
102 成膜チャンバ
102a 成膜チャンバ
102b 成膜チャンバ
102c 成膜チャンバ
102d 成膜チャンバ
103 メインロール
105 機能膜
106 案内ロール
107 傷
2 基材
3 束保持ロール
4 束保持ロール
5 メインロール
6 メインロールチャンバ
7 成膜チャンバ
7a 成膜チャンバ
7b 成膜チャンバ
7c 成膜チャンバ
7d 成膜チャンバ
8 案内ロール
8a 案内ロール
8b 案内ロール
31 芯部
41 芯部
51 外周面
61 間仕切り部
71 真空ポンプ
72 プラズマ電極
73 原料ガス供給部
74 電極カバー
81 本体ロール
82 挟持ロール
83 傾斜部
84 軸
85 付勢手段
86 頂部
87 機能膜
100 成膜装置
101 基材
102 成膜チャンバ
102a 成膜チャンバ
102b 成膜チャンバ
102c 成膜チャンバ
102d 成膜チャンバ
103 メインロール
105 機能膜
106 案内ロール
107 傷
Claims (3)
- 外周面に基材が接触した状態で回転することにより基材を搬送するメインロールと、
前記メインロールの外周面のうち基材が接触する領域と対向するように、前記メインロールの外周面に沿って配列された、基材の膜形成面に薄膜を形成させる成膜チャンバと、
基材の搬送経路において前記メインロールの下流側に位置し、基材の前記膜形成面と接触する案内ロールと、
を備え、
前記案内ロールは、基材の前記膜形成面と対向する本体ロールと、前記本体ロールと対向する挟持ロールと、を有し、
前記本体ロールは、回転軸方向の断面が円形であってその径が回転軸方向中央部に向かって徐々に大きくなる傾斜部を有し、
前記挟持ロールと前記傾斜部とで基材を挟持することにより、基材の一部を前記本体ロールから離間させることを特徴とする、成膜装置。 - 前記傾斜部は、前記本体ロールの回転軸方向中央部をはさんで両側に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の成膜装置。
- 前記挟持ロールは、1つの前記傾斜部に対して複数設けられていることを特徴とする、請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載の成膜装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019051859A JP2020152954A (ja) | 2019-03-19 | 2019-03-19 | 成膜装置 |
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CN114574813A (zh) * | 2020-11-30 | 2022-06-03 | 佳能特机株式会社 | 搬送装置、成膜方法、电子器件的制造方法以及成膜装置 |
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