JP6955396B2 - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、帯状の基材上に薄膜を形成するための薄膜形成装置であり、基材を搬送させながら成膜部を通過させることにより、基材上に薄膜を純度よく形成するための薄膜形成装置に関するものである。
近年では、プラスチックフィルムの表面に例えば酸化防止、水分浸入防止等を目的としたバリア膜を形成したバリアフィルムが使用されている。
このようなバリアフィルムは、下記特許文献1に示す薄膜形成装置によって形成されている。例えば図7に示すように、薄膜形成装置100は、筐体部101と、この筐体部101内に収容されるメインロール102と、帯状の基材103を繰り出す巻出しロール104と基材103を巻き取る巻取りロール105とを備えており、巻出しロール104から送出された基材103をメインロール102の外周面102aに沿うように当接させ、そして巻取りロール105によって巻き取ることにより、所定の張力をかけながら基材103を搬送するようになっている。そして、筐体部106内でメインロール102に対向して配置されている電極107の近傍にプラズマ形成ガス供給部108から形成ガスを供給し、電極107に高周波電圧を印加することにより、プラズマ形成ガスはプラズマ状態となる。このように形成されたプラズマがメインロール102の近傍まで広がった状態において、メインロール102の近傍に配置された原料供給部109から原料ガスを供給することにより、プラズマCVD法によって基材103に蒸着膜が形成される。すなわち、原料ガスがプラズマにより分解されて基材103に堆積する。このような薄膜形成装置100において、巻出しロール104から供給された基材103をメインロール102の外周面102aに沿わせた状態で巻取りロール105によって巻き取ることによってメインロール102と電極107との間を長尺の基材103が連続して通過するようにすることにより、基材103の長手方向にわたって所定の蒸着膜が形成される。
特開2001−303249号公報
しかし、上記の薄膜形成装置100では、基材103に異物が付着するおそれがあった。具体的には、基材103への成膜が行われる際、たとえ原料供給部109をメインロール102の近傍に設けていたとしても、プラズマに分解された原料ガスはマスク110の開口内に全てが向かって基材103への薄膜の形成に寄与するわけではなく、マスク110の表面、電極107を囲う電極カバー部111、および筐体部106といった薄膜形成装置100の内部全体にも付着し、薄膜を形成してしまう。そして、薄膜形成装置100の内部に付着した薄膜が剥がれ落ちると、異物として基材103に付着するという問題があった。
一方、筐体部106、マスク110、および電極カバー部111に薄膜が堆積することのないよう、筐体部106、電極カバー部111の内面、およびマスク110の表面に沿って防着板112を取り付け、定期的に防着板112を交換することによって異物の発生を防ぐことができるが、特に筐体部106の内面に対して取り付ける防着板112は大面積となり、コスト的にもメンテナンス効率的にも効果的ではないという問題があった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、基材への異物の付着を低減させることができる薄膜形成装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の薄膜形成装置は、薄膜を形成させる基材を保持する基材保持部と、プラズマ形成ガスをもとにプラズマを発生させる電極と、前記プラズマ形成ガスを前記電極の近傍に供給するプラズマ形成ガス供給部と、薄膜の原料を前記電極と前記基材保持部の間に供給する原料供給部と、前記プラズマ形成ガス供給部および前記電極を囲うように設けられた壁部の集合であり、前記基材保持部と前記電極との間に位置する壁部である第1のプラズマ通過壁に開口を有する電極カバー部と、前記電極カバー部を囲うように設けられた壁部の集合であり、前記基材保持部と前記電極との間に位置する壁部である第2のプラズマ通過壁に開口を有し、当該第2のプラズマ通過壁の開口と異なる箇所にて減圧手段と接続される原料流出防止部と、前記基材保持部と前記原料流出防止部の間に位置し、前記基材保持部と前記電極との間の位置に開口を有し、前記基材保持部に保持された基材の一部を遮蔽するマスクと、を備えることを特徴としている。
上記薄膜形成装置によれば基材への異物の付着を低減させることができる。具体的には、減圧手段と接続される原料流出防止部が電極カバー部を囲うように設けられていることにより、マスクの開口以外の方向へ向かい、成膜に寄与しない原料ガスは電極カバー部と原料流出防止部との間に導かれるため、薄膜形成装置の内部全体にわたって広範囲に薄膜が付着することを防ぐことができる。
また、ガスの流れに対する前記第1のプラズマ通過壁と前記第2のプラズマ通過壁との間のコンダクタンスは、前記第2のプラズマ通過壁と前記マスクとの間のコンダクタンスよりも大きいことが望ましい。
こうすることにより、マスクの開口以外の方向へ向かい、成膜に寄与しない原料ガスがさらに容易に電極カバーと原料流出防止部との間に導かれる。
また、前記第1のプラズマ通過壁と前記第2のプラズマ通過壁との距離は、前記第2のプラズマ通過壁と前記マスクとの距離よりも長いと良い。
こうすることにより、第1のプラズマ通過壁と第2のプラズマ通過壁との間のコンダクタンスが第2のプラズマ通過壁とマスクとの間のコンダクタンスよりも大きい状態を容易に形成することができる。
また、前記マスクは前記第2のプラズマ通過壁に取り付けられていると良い。
こうすることにより、第1のプラズマ通過壁と第2のプラズマ通過壁との間のコンダクタンスが第2のプラズマ通過壁とマスクとの間のコンダクタンスよりも大きい状態を容易に形成することができる。
また、前記第2のプラズマ通過壁の少なくとも前記電極と対向する側の面の熱エネルギーの反射率は、前記マスクの熱エネルギーの反射率よりも高いと良い。
こうすることにより、プラズマの発生に伴い高温になる電極からの輻射熱によってマスクが加熱されることを原料流出防止部の第2のプラズマ通過壁が抑えることができ、マスクからの輻射熱によって基材が加熱されることを防ぐことができる。
また、前記基材保持部、前記原料流出防止部、および前記マスクを囲う筐体部をさらに有し、前記電極、前記電極カバー部、および前記原料流出防止部は当該筐体部から引き出し可能であると良い。
こうすることにより、原料流出防止部などに薄膜が付着しても薄膜形成装置全体を分解する必要無く容易にメンテナンスを行うことができる。
本発明の薄膜形成装置によれば、基材への異物の付着を低減させることができる。
本発明の一実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 本実施形態の薄膜形成装置における成膜部の拡大図である。 本発明の薄膜形成装置における原料ガス粒子の挙動を示す模式図である。 本実施形態の薄膜形成装置において電極等を引き出した形態を表す概略図である。 本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 従来の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態における薄膜形成装置1の概略図であり、正面断面図である。
薄膜形成装置1は、基材上に表面処理を行って薄膜を形成するためのものであり、例えば、プラスチックフィルム上に酸化防止、水分浸入防止を目的としたバリア膜を形成し、食品用の保護フィルム、フレキシブル太陽電池等に使用される。具体的には、フレキシブル太陽電池の場合には、プラスチックフィルム等の帯状基材上に各電極層及び光電変換層等で構成される太陽電池セルが形成された後、薄膜形成装置1により太陽電池セル上に薄膜を複数層形成してバリア膜を形成する。これにより、太陽電池セルに水分の浸入が効果的に防止され、酸化特性に優れたフレキシブル太陽電池を形成することができる。
この薄膜形成装置1は、基材2を送り出す巻出しロール3と、供給された基材2を巻き取る巻取りロール4と、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されるメインロール5と、これらを収容し、外気と遮断する筐体部6と、薄膜を形成する成膜部7とを有しており、巻出しロール3から送り出された基材2をメインロール5の外周面51に沿わせて搬送させつつ、各成膜部7を通過させることにより、基材2上に薄膜が形成され、巻取りロール4で巻き取られるようになっている。
巻出しロール3および巻取りロール4は略円筒形状の芯部31および芯部41を有しており、これら芯部31および芯部41には基材2が巻き付けられ、これら芯部31および芯部41を回転駆動させることにより、基材2を送り出し、または巻き取ることができる。すなわち、図示しない制御装置により芯部31および芯部41の回転が制御されることにより、基材2の送り出し速度もしくは巻き取り速度を増加及び減少させることができる。具体的には、基材2が下流側から引張力を受けた状態で上流側の芯部31を回転させることにより基材2が下流側に送り出され、適宜、この上流側の芯部31にブレーキをかけることにより基材2が撓むことなく一定速度で送り出されるようになっている。また、下流側の芯部41の回転が調節されることにより、送り出された基材2が撓むのを抑えつつ、逆に基材2が必要以上の張力がかからないようにして巻き取ることができるようになっている。
ここで、基材2は、一方向に延びる薄板状の長尺体であり、厚み0.01mm〜0.2mm 幅5mm〜1600mmの平板形状を有する長尺体が適用される。また、材質として、特に限定しないが、たとえばPETなどの樹脂フィルムが好適に用いられる。
このように、上記の巻出しロール3と巻取りロール4とが一対となり、一方が基材2を送り出し、他方が前記送り出し速度と同じ巻き取り速度で基材2を巻き取ることによって、基材2にかかる張力を所定の値で維持しながら基材2を搬送することが可能である。
メインロール5は、成膜の際に基材2の姿勢を保ちつつ、上流側の巻出しロール3から供給された基材2を下流側の巻取りロール4に搬送するための搬送部である。すなわち、本発明においてメインロール5は、薄膜を形成させる基材2を保持する基材保持部の役割を果たす。
メインロール5は、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されており、芯部31及び芯部41よりも大径の略円筒形状に形成されている。メインロール5の外周面51は、周方向に曲率が一定の曲面で形成されており、図示しない制御装置により芯部31及び芯部41の回転に応じて駆動制御され、巻出しロール3から送り出された基材2は、所定の張力が負荷された状態でメインロール5の外周面51に沿って搬送される。すなわち、メインロール5の外周面51に基材2が沿った状態でメインロール5が巻出しロール3及び巻取りロール4の回転に応じて回転することにより、基材2は、基材2全体が張った状態で、その表面が成膜部7それぞれに対向する姿勢で巻出しロール3から巻取りロール4へ搬送されるようになっている。
このように基材2が張った状態で搬送され、成膜されることにより、成膜時の基材2のばたつきを防ぐことができ、基材2に積層される薄膜の膜厚精度が向上するとともに基材2のばたつきによるパーティクルの発生を防ぐことができる。また、メインロール5の曲率半径を大きくすることにより、基材2がより平坦に近い状態で支持されながら成膜が行われるため、成膜後の基材2に反りが生じることを防ぐことができる。
筐体部6は、複数の外壁部61を有し、メインロール5および成膜部7を囲って収容することによりこれらを外気から遮断する。また、筐体部6には、真空ポンプ62が接続されており、この真空ポンプ62を作動させることにより、筐体部6内の圧力を制御できるようになっている。
なお、本実施形態では、巻出しロール3、および巻取りロール4が筐体部6内に収容されているが、これらを筐体部6の外に設ける構成であってもよい。本実施形態のようにこれらを筐体部6内に設けることで、基材2や成膜後の基材2(成膜基材)を大気に曝すことから保護することができる。
また、本実施形態では成膜部7が配置される位置において外壁部61は開口を有しており、別個設けられた後述の可動壁63が外壁部61に密着することによって筐体部6の内部は密閉される。
成膜部7は、蒸着法により基材2上に蒸着膜である薄膜を形成するためのものであり、本実施形態では蒸着法の一種であるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により基材2上に薄膜を形成している。
本実施形態では、図1の通り2つの成膜部7が筐体部6内にメインロール5に沿って連続して設けられている。これにより、メインロール5に沿って巻出しロール3から巻取りロール4へ基材2が搬送されると、基材2は2つの成膜部7を連続して通過し、それぞれの成膜部7により基材2の膜形成面側の表面に薄膜を形成することができる。
成膜部7の拡大図を図2(a)に示す。また、図2(a)におけるAA矢視図を図2(b)に示す。
成膜部7は、プラズマ形成ガスをもとにプラズマを発生させるための高電圧を印加する電極71と、プラズマを形成するプラズマ形成ガスを電極71の近傍へ供給するプラズマ形成ガス供給部72と、基材2に形成する薄膜の原料となる原料ガスを基材2と電極71の間に供給する原料供給部73と、プラズマ形成ガス供給部72および電極71を囲うように設けられた壁部の集合である電極カバー部74と、電極カバー部74を囲うように設けられた壁部の集合である原料流出防止部75と、マスク76と、を有している。
原料流出防止部75に設けられた真空ポンプ77により電極71の近傍が減圧され、また、プラズマ形成ガス供給部72から電極71の近傍にプラズマ形成ガスが供給された状態で電極71に電圧を印加することにより、電極71の周囲にプラズマが発生し、電極71とメインロール5との間を含む電極71の近傍がプラズマ雰囲気となる。このようにプラズマ雰囲気となった状態において原料供給部73から原料ガスを供給することにより、原料ガスがこのプラズマにより分解され、成膜部7と対向する基材2の膜形成面(マスク76の開口を通して露出している面)に薄膜を形成する。
電極71は、図2(b)に示す通り略U字型の形状を有する誘導結合型の電極であり、一端に図示しない高周波電源が接続されている。減圧環境下において高周波電源によって電極71に高周波が印加されることによって、電極71の周辺のプラズマ形成ガスが電離し、プラズマを発生させる(放電する)。また、本実施形態では電極71は図2(b)に示す可動壁63に固定されている。
プラズマ形成ガス供給部72は、本実施形態では電極71の近傍に設けられた開口であり、図示しない配管を通して装置外のプラズマ形成ガス供給手段に接続されている。このプラズマ形成ガス供給手段からプラズマ形成ガスが配管を経由してプラズマ形成ガス供給部72に達し、プラズマ形成ガス供給部72から電極71の近傍にプラズマ形成ガスが供給された状態において電極71に高電圧が印加されることにより、プラズマ形成ガスをもとにしたプラズマが電極71の近傍に発生する。なお、本実施形態ではプラズマ形成ガスはたとえば酸素ガスであり、この場合、酸素プラズマが電極71の近傍に発生する。なお、水素ガス、アルゴンガスなどもプラズマ形成ガスとして機能しうる。
原料供給部73は、本実施形態ではメインロール5の近傍に設けられた開口であり、図示しない配管を通して装置外の原料ガス供給手段に接続されている。この原料ガス供給手段から原料ガスが配管を経由して原料供給部73に達し、原料供給部73から供給された原料ガスが上記プラズマに接触することにより、原料ガスは分解されてメインロール5上の基材2に堆積し、薄膜を形成する。なお、本実施形態では原料ガスはたとえばHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガスであり、基材2上にSiO2膜を形成する。
電極カバー部74は、プラズマ形成ガス供給部72および電極71を囲うように設けられた、たとえばアルミニウムによって形成された壁部の集合であり、電極71とプラズマ形成ガス供給部72とを囲うことによって、プラズマ形成ガス供給部72から供給されたプラズマ形成ガスが拡散することを防ぎ、これにより電極71の近傍におけるプラズマの発生を容易にすることができる。
また、電極カバー部74において基材保持部(メインロール5)と電極71との間に位置する壁部である第1のプラズマ通過壁74aには開口が設けられており、電極71の近傍において発生したプラズマは、この開口を通過してメインロール5に保持された基材2の方向へ進出することができる。
また、本実施形態では、電極カバー部74はその端部が可動壁63に固定されている。
原料流出防止部75は、電極カバー部74を囲うように設けられた、たとえばアルミニウムによって形成された壁部の集合である。この原料流出防止部75において、基材保持部(メインロール5)と電極71との間に位置する壁部である第2のプラズマ通過壁75aには開口が設けられており、電極71の近傍において発生し、電極カバー部74の第1のプラズマ通過壁74a通過したプラズマは、この開口を通過してメインロール5に保持された基材2の方向へ進出することができる。
また、原料流出防止部75は、第2のプラズマ通過壁75aの開口と異なる箇所にて減圧手段である真空ポンプ77と接続されている。この真空ポンプ77が動作することにより、電極カバー部74の内部を減圧してプラズマの発生に適した圧力に調節することができる。
また、本実施形態では、原料流出防止部75はその端部が可動壁63に固定されている。
マスク76は、本実施形態では、たとえばステンレスやアルミニウムなどの金属材料で形成されており、原料流出防止部75と基材保持部(メインロール5)との間に配置されている。
このマスク76は、メインロール5と電極71との間の位置に開口を有し、電極71の近傍において発生したプラズマによって分解された原料ガスがこの開口を通ってメインロール5に保持された基材2に堆積して薄膜を形成する一方、この開口以外の部分においては基材2を遮蔽し、基材2と原料ガスとの接触を遮断している。これにより、基材2上の所定の位置に所定の膜厚の薄膜を形成することができる。
また、本実施形態では原料供給部73はこのマスク76の開口に取り付けられており、できるだけ多くの原料ガスが基材2への薄膜形成に寄与することができるようにしている。
また、本実施形態では、マスク76はその端部が可動壁63に固定されている。
次に、図3に本発明の薄膜形成装置1における原料ガス粒子の挙動を示す。
原料供給部73からメインロール5の近傍に供給された原料ガスは、電極71の近傍で発生してメインロール5の近傍まで進出しているプラズマによって分解される。この分解された原料ガス粒子は、メインロール5に保持された基材2に到達して薄膜を形成する。
ただし、原料ガス粒子は、たとえ原料供給部73がメインロール5の近傍に設けられていたとしても全てが基材2への薄膜の形成に寄与することはできず、一部はマスク76の開口の方向以外の方向へ飛散する。
これに対し、減圧手段である真空ポンプ77と接続される原料流出防止部75が電極カバー部74を囲うように設けられ、真空ポンプ77により原料流出防止部75の内部が減圧されることにより、マスク76の開口以外の方向へ向かい成膜に寄与しない原料ガスが原料流出防止部75とマスク76の間の隙間を通って原料流出防止部75の外側へ流出することを低減し、図3に矢印で示すように、真空ポンプ77で吸引するように電極カバー部74と原料流出防止部75との間に原料ガスを導くことができる。そのため、薄膜形成装置1の内部全体にわたって広範囲に薄膜が付着することを防ぐことができ、薄膜形成装置1に付着していた薄膜がはがれて基材2に異物として付着することを防ぐことが可能である。
また、真空ポンプ77は原料流出防止部75の内部という限定された領域に対して減圧を行うことができるため、筐体部6全体を減圧する場合と比べて原料ガスの流れを容易に制御することができ、原料ガスの分布が向上するように原料ガスの流れを制御することによって、少ない原料ガスの流量で膜厚分布を向上させることができる。
また、本実施形態では成膜部7が2つ連続して配置されているが、原料流出防止部75から外部への原料ガスの流出を低減させることにより、隣接する成膜部7へ原料ガスが混入することを防ぐことができ、特に各成膜部7で使用する原料ガスが異なる場合に、各成膜部7での薄膜形成プロセスの安定性につながる。
また、本実施形態では筐体部6の内部の原料流出防止部75の外側にあたる部分も上述の通り真空ポンプ62によって減圧されている。その際、原料流出防止部75の内側の圧力が外側の圧力よりも低くなるように、原料流出防止部75に接続されている真空ポンプ77によって圧力が調節されていると、さらに原料ガスは原料流出防止部75の外側に流出しにくくなるため、好ましい。
また、本実施形態では第1のプラズマ通過壁74aと第2のプラズマ通過壁75aとの距離(図2(a)に示す距離L1)は、第2のプラズマ通過壁75aとマスク76との距離(図2(a)に示す距離L2)よりも長い。こうすることによって、ガスの流れに対する第1のプラズマ通過壁74aと第2のプラズマ通過壁75aとの間のコンダクタンス(流れ易さ)が第2のプラズマ通過壁75aとマスク76との間のコンダクタンスよりも大きい状態を形成している。これにより、マスク76の開口以外の方向へ向かい、成膜に寄与しない原料ガスは、第2のプラズマ通過壁75aとマスク76の隙間よりも流路が広い電極カバー部74と原料流出防止部75との間の方へ容易に導かれるため、原料ガスは原料流出防止部75の外側に流出しにくくなる。
特にマスク76が第2のプラズマ通過壁75aに取り付けられている場合は、距離L2が実質的にゼロとなり、マスク76の開口の方向以外の方向へ飛散する原料ガスはほぼ全部が電極カバー部74と原料流出防止部75との間の方へ導かれる。
また、原料流出防止部75の第2のプラズマ通過壁の少なくとも電極71と対向する側の面の熱エネルギーに対する反射率をマスク76の反射率よりも高くすると良い。本実施形態では、原料流出防止部75の壁部全体がアルミニウムで形成されており、アルミニウムの反射率は90%程度と比較的高く、マスク76の反射率よりも高い状態を容易に形成することができる。
電極71に高電圧を印加してプラズマを発生させる際、電極71近傍は極めて高温になるため、電極71近傍からの輻射熱でマスク76が加熱されるおそれがある。マスク76は基材2に近い位置にあるため、マスク76が高温になる場合、マスク76からの輻射熱を基材2が受けて変形し、基材2の搬送精度や基材2の表面に形成される薄膜の膜質に悪影響をおよぼすおそれがある。特に、マスク76がステンレスなど反射率が比較的低い材料により形成されている場合にこの特徴が顕著に表れる。
ここで、マスク76よりも反射率が高い第2のプラズマ通過壁75aが電極71とマスク76との間に介在することにより、第2のプラズマ通過壁75aがマスク76への輻射熱を制限し、マスク76の極端な加熱を防ぐことができる。そのため、マスク76からの輻射熱によって基材2が加熱されることを防ぎ、加熱による基材2の変形などを防ぐことができる。
さらに本実施形態では、上述の通り電極71、電極カバー部74、および原料流出防止部75がともに可動壁63に固定されている。可動壁63は図示しないスライド機構により筐体部6と接続されている。このスライド機構によって可動壁63が筐体部6に対してY軸方向(電極71の長手方向)にスライド動作することによって、可動壁63が外壁部61と密着する状態(筐体部6の内部が密閉される状態)と可動壁63が外壁部61から離間する状態とをとることができる。
そして、可動壁63が外壁部61から離間する状態をとることにより、図4に示すように可動壁63に固定されている電極71、電極カバー部74、および原料流出防止部75が一緒に筐体部6の外部へ引き出される。なお、図4では電極71、電極カバー部74、および原料流出防止部75の一部がまだ筐体部6の内部に位置する状態を示しているが、さらなる可動壁63のスライド動作により電極71、電極カバー部74、および原料流出防止部75の全体が筐体部6の外部へ引き出された状態をとることができる。
本発明のように原料流出防止部75を設けることにより、たとえば筐体部6の内壁面といった薄膜形成装置1の内部全体の広範囲にわたって原料ガスが拡散することを防ぐことができるが、電極71、電極カバー部74の内壁面および外壁面、原料流出防止部75の内壁面には原料ガスが付着して膜を形成するおそれがある。これに対し、本実施形態の通り電極71、電極カバー部74、および原料流出防止部75の全体が筐体部6の外部へ引き出された状態をとることができるようにすることにより、これらに薄膜が付着した場合であっても薄膜形成装置1全体を分解する必要無く、容易に清掃などのメンテナンスを行うことができる。また、原料流出防止部75を引き出して交換作業を行う場合であっても、従来のように筐体部6の内面全面に設けた防着板を交換する場合と比べ、合計面積が小さいため、短い交換時間で容易に交換作業を実施することができる。
次に、本発明の他の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図を図5に示す。
この実施形態では、たとえばアルミニウムによって形成された防着板78が電極カバー部74の内壁面および外壁面、原料流出防止部75の内壁面に沿って設けられ、たとえばねじ止めによって電極カバー部74および原料流出防止部75に固定されている。
上記の通り、原料流出防止部75を設けた場合であっても電極カバー部74の内壁面および外壁面、原料流出防止部75の内壁面には原料ガスが付着して膜を形成するおそれがある。そのため、この実施形態の通り防着板78を設けることによって、電極カバー部74の内壁面および外壁面に代わって防着板78に原料ガスを付着させ、定期的に防着板78の交換を行うことにより、電極カバー部74や原料流出防止部75を交換することなく比較的清浄な状態を維持することができ、基材2への異物の付着をさらに低減することができる。
以上の薄膜形成装置により、基材への異物の付着を低減させることが可能である。
ここで、本発明の薄膜形成装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、上記の説明では原料供給部73はマスク76に取り付けられることによりメインロール5の近傍に設けられているが、これに限らず電極71と基材保持部5との間に原料ガスを供給できれば良く、たとえば電極71、プラズマ形成ガス供給部72とともに電極カバー74の内部に設けられていても良い。
また、上記の説明の薄膜形成装置では薄膜形成方法としてプラズマCVD法を用いていたが、これに限らず、たとえばスパッタリングであっても良い。この場合、薄膜の原料は焼結されてターゲットとして電極の近傍に供給、配置される。すなわち、このターゲットが本発明における原料供給部となる。電極によりプラズマ化したプラズマ形成ガスは上記ターゲットに衝突し、ターゲットから粒子状の原料が飛び出して基材に付着し、薄膜を形成する。また、電極自体がターゲットであっても構わない。すなわち、電極と原料供給部とが一体であっても構わない。
このようなスパッタリングによる薄膜形成装置の場合であっても、本発明では原料流出防止部を有するため、原料粒子が薄膜形成装置の内部全体にも付着して薄膜を形成することを防ぐことができる。
また、上記の説明では電極71、電極カバー部74、および原料流出防止部75がともに可動壁63に固定され、可動壁63のスライド動作により電極71、電極カバー部74、および原料流出防止部75が一緒に薄膜形成装置1の外部へ引き出されているが、個別に引き出される形態であっても構わない。また、上記の説明では引き出し方向を電極71の長手方向としているが、それに限らず、たとえばメインロール5の半径方向であっても良い。
また、上記の説明では成膜部7が2つの場合について説明したが、成膜部の数は2つ以外であっても構わなく、3つ以上設けられていても構わない。
また、基材の形状は上記の説明では帯状であるが、それに限らずたとえば枚葉状であっても構わない。この場合、図6に示す通り、薄膜形成中に基材2を保持する基材保持部は平板状であり、直動ステージ8によって基材2が搬送されても構わない。
1 薄膜形成装置
2 基材
3 巻出しロール
4 巻取りロール
5 メインロール
6 筐体部
7 成膜部
8 直動ステージ
31 芯部
41 芯部
51 外周面
61 外壁部
62 真空ポンプ
63 可動壁
71 電極
72 プラズマ形成ガス供給部
73 原料供給部
74 電極カバー部
74a 第1のプラズマ通過壁
75 原料流出防止部
75a 第2のプラズマ通過壁
76 マスク
77 真空ポンプ
78 防着板
100 薄膜形成装置
101 筐体部
102 メインロール
102a 外周面
103 基材
104 巻出しロール
105 巻取りロール
106 筐体部
107 電極
108 プラズマ形成ガス供給部
109 原料供給部
110 マスク
111 電極カバー部
112 防着板

Claims (5)

  1. 薄膜を形成させる基材を保持する基材保持部と、
    プラズマ形成ガスをもとにプラズマを発生させる電極と、
    前記プラズマ形成ガスを前記電極の近傍に供給するプラズマ形成ガス供給部と、
    薄膜の原料を前記電極と前記基材保持部の間に供給する原料供給部と、
    前記プラズマ形成ガス供給部および前記電極を囲うように設けられた壁部の集合であり、前記基材保持部と前記電極との間に位置する壁部である第1のプラズマ通過壁に開口を有する電極カバー部と、
    前記電極カバー部を囲うように設けられた壁部の集合であり、前記基材保持部と前記電極との間に位置する壁部である第2のプラズマ通過壁に開口を有し、当該第2のプラズマ通過壁の開口と異なる箇所にて減圧手段と接続される原料流出防止部と、
    前記基材保持部と前記原料流出防止部の間に位置し、前記基材保持部と前記電極との間の位置に開口を有し、前記基材保持部に保持された基材の一部を遮蔽するマスクと、
    を備え
    ガスの流れに対する前記第1のプラズマ通過壁と前記第2のプラズマ通過壁との間のコンダクタンスは、前記第2のプラズマ通過壁と前記マスクとの間のコンダクタンスよりも大きいことを特徴とする、薄膜形成装置。
  2. 前記第1のプラズマ通過壁と前記第2のプラズマ通過壁との距離は、前記第2のプラズマ通過壁と前記マスクとの距離よりも長いことを特徴とする、請求項に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記マスクは前記第2のプラズマ通過壁に取り付けられていることを特徴とする、請求項に記載の薄膜形成装置。
  4. 前記第2のプラズマ通過壁の少なくとも前記電極と対向する側の面の熱エネルギーの反射率は、前記マスクの熱エネルギーの反射率よりも高いことを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の薄膜形成装置。
  5. 前記基材保持部、前記原料流出防止部、および前記マスクを囲う筐体部をさらに有し、前記電極、前記電極カバー部、および前記原料流出防止部は当該筐体部から引き出し可能であることを特徴とする、請求項1からのいずれかに記載の薄膜形成装置。
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