JP2020090701A - 薄膜形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロールトゥロールで搬送される基材に対し、シワの発生を抑えながら真空成膜法による薄膜を形成することができる薄膜形成装置を提供する【解決手段】ロールトゥロールで搬送される基材2を外周面51に沿うように接触させることにより基材2を支持するメインロール5と、メインロール5の外周面51と対向するように基材2の搬送方向に沿って配列され、メインロール5の外周面51に接触している基材2に対して真空成膜法により薄膜の形成を行う複数の成膜部7と、を備える薄膜形成装置1であり、それぞれの成膜部7が薄膜の形成を行う領域である成膜領域に対し、基材2の搬送方向における2つの成膜領域の間の位置には、基材2の幅方向において成膜領域から外れた位置において基材2をメインロール5とで挟み込み、基材2の幅方向における外向きに基材2を引っ張ることにより基材2のシワをのばすシワのばし機構8が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、帯状の基材上に薄膜を形成するための薄膜形成装置であり、基材を搬送させながら成膜部を通過させることにより、基材上に薄膜を純度よく形成するための薄膜形成装置に関するものである。
近年では、プラスチックフィルムの表面に例えば酸化防止、水分浸入防止等を目的としたバリア膜を形成したバリアフィルムが使用されている。
このようなバリアフィルムは、下記特許文献1に示すような薄膜形成装置によって形成されている。例えば図8に示すように、薄膜形成装置100は、メインロールチャンバ101と、このメインロールチャンバ101内に収容されるメインロール102と、帯状の基材103を繰り出す巻出しロール104と基材103を巻き取る巻取りロール105とを備えており、巻出しロール104から送出された基材103をメインロール102の外周面102aに沿うように当接させ、そして巻取りロール105によって巻き取ることにより、所定の張力をかけながら基材103を搬送するように、すなわち、ロールトゥロールで基材103を搬送するようになっている。そして、メインロール102の外周面に対向するように、基材103の搬送方向に沿って、成膜部106形成される(図8では、4つの成膜部106が形成されている)。この成膜部106の内部にはプラズマ電極107が設けられており、ガス供給部108から成膜部106の内部にプラズマ形成ガスおよび薄膜の原料ガスを供給し、プラズマ電極107に高周波電圧を印加することにより、プラズマ形成ガスはプラズマ状態となる。このようにプラズマ形成ガスがプラズマ状態となった環境下においてプラズマCVD法によって基材103に薄膜が形成される。すなわち、原料ガスがプラズマにより分解されて基材103に堆積する。このような薄膜形成装置100において、巻出しロールから供給された基材103をメインロール102の外周面102aに沿わせた状態で成膜部106を連続して通過させることにより、基材103の長手方向にわたって所定の蒸着膜が形成される。
特開2001−303249号公報
しかし、上記の薄膜形成装置100では、成膜処理中に基材103が加熱されて膨張することにより、シワが生じるおそれがあった。ここで、仮に基材の温度上昇を抑えるためにメインロール102を冷却していたとしても、生産性を考慮したハイパワー条件で成膜部106を作動させた場合にはメインロール102による冷却が追いつかず、基材103の温度が上昇して基材103が膨張してシワが生じる可能性があった。一度シワが生じた場合にその部分はメインロール102から離れてしまうため冷却効果が薄れてしまう。そのため、シワの生じた部分では基材103の膨張がさらに生じ、それによりその後もシワが成長して成膜後の基材103の外観不良が生じ、また、基材103に形成された薄膜の機能が損なわれるという問題があった。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、ロールトゥロールで搬送される基材に対し、シワの発生を抑えながら真空成膜法による薄膜を形成することができる薄膜形成装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために本発明の薄膜形成装置は、ロールトゥロールで搬送される基材を外周面に沿うように接触させることにより基材を支持するメインロールと、前記メインロールの外周面と対向するように基材の搬送方向に沿って配列され、前記メインロールの外周面に接触している基材に対して真空成膜法により薄膜の形成を行う複数の成膜部と、を備える薄膜形成装置であり、それぞれの前記成膜部が薄膜の形成を行う領域である成膜領域に対し、基材の搬送方向における2つの前記成膜領域の間の位置には、基材の幅方向において当該成膜領域から外れた位置において基材を前記メインロールとで挟み込み、基材の幅方向における外向きに基材を引っ張ることにより基材のシワをのばすシワのばし機構が設けられていることを特徴としている。
上記薄膜形成装置によれば、基材の搬送方向における2つの成膜領域の間の位置には、基材の幅方向において成膜領域から外れた位置において基材をメインロールとで挟み込み、基材の幅方向における外向きに基材を引っ張ることにより基材のシワをのばすシワのばし機構が設けられていることによって、仮にどこかの成膜部で基材にシワが生じた場合であってもすぐにシワをのばすことができるため、シワの発生を抑えながら真空成膜法による薄膜の形成を完了させることができる。
また、基材の薄膜が形成される面のうち前記シワのばし機構と接触する部分の少なくとも一部は、表面の高さが基材の薄膜が形成される面のその他の部分の表面の高さよりも高く、かつ表面の粗さが基材の薄膜が形成される面のその他の部分の表面の粗さよりも粗いように加工されていると良い。
こうすることにより、シワのばし機構によって基材のシワをのばし易くするとともに基材が巻取られた後に薄膜が傷つくことを防ぐことができる。
また、前記シワのばし機構は、その外周面が基材に接し、回転軸が基材の端部から中央部に向かうにつれ基材の搬送方向の下流側に進むように傾斜しているロール体であると良い。
こうすることにより、簡単な構成で基材のシワをのばすことができる。
また、前記メインロールによる基材の搬送方向は反転可能であり、基材の搬送方向に応じて前記シワのばし機構の回転軸の傾斜方向が切り替えられると良い。
こうすることにより、基材のシワをのばしつつ、薄膜形成装置内で基材を往復搬送させながら成膜することができる。
また、前記メインロールの外周面は、フッ素樹脂もしくはダイアモンドライクカーボンが被覆されていると良い。
こうすることにより、メインロール上で基材がすべり易くなり、シワのばし機構によって効率的に基材のシワをのばすことができる。
本発明の薄膜形成装置によれば、ロールトゥロールで搬送される基材に対し、シワの発生を抑えながら真空成膜法による薄膜を形成することができる。
本発明の一実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。 実施例1におけるシワのばし機構の一部を表す概略図である。 実施例2におけるシワのばし機構の一部を表す概略図である。 実施例3におけるシワのばし機構の一部を表す概略図である。 実施例3におけるシワのばし機構の一部を表す概略図である。 実施例3において成膜後に巻取られた基材を表す概略図である。 実施例4におけるシワのばし機構の一部を表す概略図である。 従来の実施形態における薄膜形成装置を表す概略図である。
本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の一実施形態における薄膜形成装置1の概略図であり、正面図である。
薄膜形成装置1は、基材上に表面処理を行って薄膜を形成するためのものであり、例えば、プラスチックフィルム上に酸化防止、水分浸入防止を目的としたバリア膜を形成し、食品用の保護フィルム、フレキシブル太陽電池等に使用される。具体的には、フレキシブル太陽電池の場合には、プラスチックフィルム等の帯状基材上に各電極層及び光電変換層等で構成される太陽電池セルが形成された後、薄膜形成装置1により太陽電池セル上に薄膜を複数層形成してバリア膜を形成する。これにより、太陽電池セルに水分の浸入が効果的に防止され、酸化耐久特性に優れたフレキシブル太陽電池を形成することができる。
この薄膜形成装置1は、基材2を送り出す巻出しロール3と、供給された基材2を巻き取る巻取りロール4と、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されるメインロール5と、これらを収容するメインロールチャンバ6と、薄膜を形成する複数の成膜部7とを有しており、巻出しロール3から送り出された基材2をメインロール5の外周面51に沿わせて搬送させつつ、各成膜部7を通過させることにより、基材2の長手方向(基材2の搬送方向)に薄膜が連続して形成され、巻取りロール4で巻き取られるようになっている。
また、基材2の搬送方向における2つの成膜部7の間には、シワのばし機構8が設けられており、このシワのばし機構8とメインロール5とで基材2を挟み込み、基材2の幅方向(Y軸方向)における外向きに基材2を引っ張っている。
巻出しロール3および巻取りロール4はそれぞれ略円筒形状の芯部31および芯部41を有しており、これら芯部31および芯部41には基材2が巻き付けられ、これら芯部31および芯部41を回転駆動させることにより、基材2を送り出し、または巻き取ることができる。すなわち、巻出しロール3および巻取りロール4によっていわゆるロールトゥロール搬送が行われ、図示しない制御装置により芯部31および芯部41の回転が制御されることにより、基材2の送り出し速度もしくは巻き取り速度を増加及び減少させることができる。具体的には、基材2が下流側にある芯部41から引張力を受けた状態で上流側にある芯部31を回転させることにより基材2が下流側に送り出され、適宜、芯部31にブレーキをかけることにより基材2が撓むことなく一定速度で送り出されるようになっている。また、芯部41の回転が調節されることにより、送り出された基材2が撓むのを抑えつつ、逆に基材2が必要以上の張力がかからないようにして巻き取ることができるようになっている。
ここで、基材2は、一方向に延びる薄板状の長尺体であり、厚み0.01mm〜0.2mm 幅5mm〜1600mmの平板形状を有する長尺体が適用される。また、材質として、特に限定しないが、たとえばPET(polyethylene terephthalate)などの樹脂フィルムが好適に用いられる。
このように、上記の巻出しロール3と巻取りロール4とが一対となり、一方が基材2を送り出し、他方が前記送り出し速度と同じ巻き取り速度で基材2を巻き取ることによって、基材2にかかる張力を所定の値で維持しながら基材2を搬送することが可能である。
また、芯部31と芯部41の回転方向が逆転することにより、基材2の搬送方向が反転する。図1に矢印で示す搬送方向(メインロール5が反時計回りに回転して基材2を搬送する方向)から搬送方向が反転した場合、上記とは逆に芯部41が巻出し側となり芯部31が巻取り側となる。そして、所定の時間毎に基材2の搬送方向が反転しながら成膜が行われることにより、薄膜形成装置1内で基材2が往復しながら成膜が行われる。
メインロール5は、成膜の際に基材2の姿勢を保ちつつ、基材2の搬送方向における上流側の巻出しロール3から供給された基材2を下流側の巻取りロール4に搬送するための搬送部である。すなわち、本発明においてメインロール5は、薄膜を形成させる基材2を保持する基材保持部の役割を果たす。
メインロール5は、巻出しロール3と巻取りロール4との間に配置されており、それぞれの芯部31および芯部41よりも大径の略円筒形状に形成されている。メインロール5の外周面51は、周方向に曲率が一定の曲面で形成されており、図示しない制御装置により駆動制御され、回転する。巻出しロール3と巻取りロール4は、このメインロール5の回転動作に応じて回転が制御され、これにより、巻出しロール3から送り出された基材2は、所定の張力が負荷された状態でメインロール5の外周面51に沿って搬送される。すなわち、メインロール5の外周面51に基材2が沿った状態で巻出しロール3および巻取りロール4がメインロール5の回転に応じて基材2の搬送に連動するように回転することにより、基材2は、基材2全体が張った状態で、その表面が成膜部7それぞれに対向する姿勢で巻出しロール3から巻取りロール4へ搬送されるようになっている。
このように基材2が張った状態で搬送され、基材2が搬送されながら成膜部7によって成膜されることにより、成膜時の基材2のばたつきを防ぐことができ、基材2に積層される薄膜の膜厚精度が向上するとともに基材2のばたつきによるパーティクルの発生を防ぐことができる。また、メインロール5の曲率半径を大きくすることにより、基材2がより平坦に近い状態で支持されながら成膜が行われるため、成膜後の基材2に反りが生じることを防ぐことができると同時に、基材2と成膜部7内のプラズマ電極72との距離が略均一となり、均一な膜厚の薄膜を形成しやすくなる。なお、成膜時の基材2の搬送速度は、40〜50m/分にも及ぶ。
また、メインロール5から巻取りロールまでの張力を巻出しロールからメインロール5までの張力よりも若干高くすることにより、メインロール5上で基材2をさらにぴったりと張り付かせることができる。
メインロールチャンバ6は、メインロール5を収容してチャンバ内の圧力を一定に保持するために周囲をカバーに囲まれた空間を形成する。メインロールチャンバ6の内部には、メインロール5だけでなく後述の成膜部7も収容されており、メインロールチャンバ6内で、メインロール5の外周部51に沿って搬送される基材2がそれぞれの成膜部7にさらされ、成膜される。
また、本実施形態では成膜部7側にのみ真空ポンプ71が設けられ、真空ポンプ71が作動することにより成膜部7とともにメインロールチャンバ6も減圧される形態をとっているが、メインロールチャンバ6側にも真空ポンプが設けられていても良い。
なお、メインロールチャンバ6にも真空ポンプが設けられる場合、成膜部7で発生したパーティクルが成膜部7の外に巻き上がることを防止するために、メインロールチャンバ6内の圧力は成膜部7内の圧力よりも高圧になるように設定されていることが好ましい。
なお、本実施形態では、巻出しロール3及び、巻取りロール4がメインロールチャンバ6内に収容されているが、これらをメインロールチャンバ6の外に設ける構成であってもよい。ただし、本実施形態のようにこれらをメインロールチャンバ6内に設けることによって、基材2や成膜後の基材2(成膜基材)を大気に曝すことから保護することができる。
成膜部7は、真空成膜法の一種であるプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により基材2上に薄膜を形成する手段である。この成膜部7は、メインロール5と対向する方向に開口を有する箱状のチャンバ本体70と、チャンバ本体70の内部を減圧する真空ポンプ71とを有しており、チャンバ本体70内には、プラズマを発生させるための高電圧を印加するプラズマ電極72と、基材2に形成する薄膜の原料となる原料ガスをチャンバ内に供給する原料ガス供給部73と、が設けられている。また、本実施形態では、プラズマの原料であるプラズマ形成ガスも、原料ガス供給部73から供給される。
この成膜部7では、真空ポンプ71により成膜部7内が減圧されて原料ガス供給部73からプラズマ形成ガスが供給された状態でプラズマ電極72に電圧が印加されることにより、プラズマ電極72の近傍でプラズマが発生し、成膜部7内がプラズマ雰囲気となる。このようにプラズマ雰囲気となった状態において、原料ガス供給部73から原料ガスが供給されることにより、原料ガスがこのプラズマにより分解され(活性化され)、成膜部7と対向する基材2の膜形成面に薄膜が形成される。
また、チャンバ本体70の開口部の近傍にはメインロール5の外周面51に対向する開口を有するマスク75が設けられており、マスク75の開口の大きさに基づいて成膜部7が成膜を行う領域、すなわち成膜領域の大きさが決定される。
また、本実施形態では、減圧による成膜部7内の圧力を制御する図示しない圧力制御機構がさらに設けられており、原料ガスが供給される前に所定の圧力になるまで、真空ポンプ71によって成膜部7内が減圧される。なお、本実施形態では、成膜部7の内部が10−2Pa以下になるまで減圧された後、原料ガスが供給される。そして、原料ガスが供給されることにより成膜部7の内部が0.5Pa〜3.0Pa程度になった状態下で成膜が行われる。
また、本実施形態ではメインロール5に対向するように4つの成膜部7(成膜部7a乃至7d)が並ぶように設けられており、巻出しロール、巻取りロール、メインロール5などが回転することによって基材2が搬送されながら各成膜部7による成膜が行われることにより、基材2には成膜部7a、成膜部7b、成膜部7c、成膜部7dによる薄膜の形成が順に実施される。また、巻出しロールと巻取りロールの役割が交代し、基材の搬送方向が反転した場合は、基材2には成膜部7d、成膜部7c、成膜部7b、成膜部7aによる薄膜の形成が順に実施される。なお、4つの成膜部7ともに上記真空ポンプ71、プラズマ電極72、および原料ガス供給部73を有しているが、作図の都合上、図1では成膜部7bが有する真空ポンプ71、プラズマ電極72、および原料ガス供給部73にのみ符号が付されている。
プラズマ電極72は、メインロール5の幅方向(Y軸方向)に延びる略U字形状を有しており、図1には、略U字形状のプラズマ電極72の略直線状の部分の断面のみが示されている。また、プラズマ電極72の端部には、図示しない高周波電源が接続されている。
また、プラズマ電極72の折り返し部分は成膜部7の外側に位置するように形成されており、プラズマ電極72の略直線状の部分のみがメインロール5上の基材2と対向するようになっている。
また、プラズマ電極72は、メインロール5と対向する方向に開口を有する電極カバー74に囲まれている。成膜中は成膜部7は減圧状態ではあるが、この電極カバー74によって、プラズマ電極72の近傍に供給されたプラズマ形成ガスが拡散することが抑えられ、プラズマの形成および維持を容易にしている。
原料ガス供給部73は、成膜部7内のメインロール5の近傍に設けられた、メインロール5の幅方向(Y軸方向)に延びるパイプ状の部材であり、薄膜形成装置1の外の図示しない原料ガス供給手段と配管を経由して接続されている。また、原料ガス供給部73には、Y軸方向に複数の開口が設けられており、メインロール5上の基材2の膜形成面の近傍に対し、基材2の幅方向(Y軸方向)にわたって略均一に原料ガスが供給される。
また、本実施形態では、原料ガス供給部73は薄膜形成装置1の外の図示しないプラズマ形成ガス供給手段とも配管を経由して接続されており、上記の通りプラズマ形成ガスも原料ガス供給部73から成膜部7内のプラズマ電極72の近傍へ供給される。
ここで、本実施形態では原料ガスはたとえばHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ガスである。HMDSガスはケイ素および炭素を含んでおり、プラズマ形成ガスとしてアルゴンガス、窒素ガスなどが供給されることにより、密着性の高い炭化ケイ素(SiC)系の薄膜が形成され、また、プラズマ形成ガスとして酸素ガスが供給されることにより、緻密でバリア性の高いSiO2膜が形成される。
一方、本実施形態のようにプラズマCVD法によって基材2上に薄膜が形成される場合、プラズマによって基材2が加熱される。基材2が加熱されて温度が上昇すると、基材2が膨張し、シワが発生する可能性がある。このシワは、基材2の搬送方向(長尺方向)に所定の張力が加えられていることから、基材2の搬送方向にのびる形状となる。これに対し、本実施形態ではメインロール5が図示しない冷却機構により冷却されており、成膜時に基材2の温度が上昇することを軽減している。
図2に本実施形態のシワのばし機構8を示す。図2は、実際は曲面であるメインロール5の外周面51の基材2が巻き付けられる範囲近傍を基材2の搬送方向がまっすぐとなるように変形させた仮想図であり、図2の縦軸方向は基材2の搬送方向を示し、横軸方向は図1のY軸方向に相当する基材2の幅方向を示している。なお、後述する図3および図4も、図2と同様に変形させた仮想図である。
本実施形態のシワのばし機構8は、たとえばブチルゴム、ポリウレタンゴム、もしくはシリコンゴムなどにより構成される円柱状のロール体であり、メインロール5の外周面51と対向し、シワのばし機構8とメインロール5とでメインロール5の外周面51に巻き付いている基材2を挟み込む。すなわち、シワのばし機構8は、基材2の薄膜が形成される面において基材2と接触する。このとき、シワのばし機構8の外周面が基材2に当接し、基材2とシワのばし機構8の間の摩擦力によって、基材2が搬送されるのと連動してシワのばし機構8が回転する。
シワのばし機構8は、基材2の幅方向の両端部近傍の位置に一対となるように設けられている。また、一対のシワのばし機構8は、図1に示すように基材2の搬送方向における成膜部7と成膜部7の間の全ての位置に配置されている。また、基材2の搬送方向における成膜部7aの上流側および成膜部7dの下流側にも一対のシワのばし機構8が配置されている。
図2において二点鎖線で囲まれている部分は、各成膜部7によって成膜が行われる領域である成膜領域Rであり、図2上で上下に4つ並んだ成膜領域Rのうち最も上の位置にある成膜領域Rは、基材2の搬送方向の最も上流に配置された成膜部7である成膜部7aによる成膜領域Rであり、最も下の位置にある成膜領域Rは、基材2の搬送方向の最も下流に配置された成膜部7である成膜部7dによる成膜領域Rである。なお、この成膜領域Rの大きさは各成膜部7のマスク75の開口の大きさにもとづいて決定されるが、必ずしも成膜領域Rの大きさとマスク75の開口の大きさは等しいとは限らない。マスク75と基材2の間でも原料ガスが拡散することにより、成膜領域Rの大きさの方がマスク75の開口の大きさよりも若干大きくなる可能性もある。
また、図2に示すように、1つの成膜部7による成膜領域Rは大きさが限られているが、成膜中は基材2は常に搬送されているため、成膜部7によって形成される薄膜は、基材2の搬送方向である長尺方向には連続して形成される。これに対し、基材2の幅方向(Y軸方向)には基材2は変位しないため、基材2の幅方向における薄膜が形成される範囲は、成膜領域RのY軸方向の寸法と等しくなる。本実施形態では、成膜領域RのY軸方向の寸法は基材2の幅方向の寸法よりも小さいため、基材2の両端部には薄膜は形成されない。そして、薄膜が形成されない部分である基材2の両端部においてシワのばし機構8が基材2と接するため、シワのばし機構8は基材2に形成された薄膜と接触せず、薄膜を傷つけることはない。
また、先述の通り、シワのばし機構8は、基材2の搬送方向における成膜部7と成膜部7の間の全ての位置であり基材2の幅方向の両端部近傍の位置に一対となるように設けられている。これを言い換えると、シワのばし機構8は、基材2の搬送方向における2つの成膜領域Rの間の位置であり、基材2の幅方向において成膜領域Rから外れた位置に一対となるように配置されている。
ここで、シワのばし機構8の回転軸は、図2に示す通り基材2の端部から中央部に向かうにつれ基材2の搬送方向の下流側に進むように傾斜している。このようにシワのばし機構8の回転軸が傾いていることにより、基材2の搬送に連動してシワのばし機構8が回転する際、シワのばし機構8が基材2の幅方向における外向きに基材2を引っ張ることとなる。これにより、図2に示すように基材2の搬送方向に長いシワ9が基材2に生じた場合であっても、シワのばし機構8がそのシワ9をのばして解消する。
また、本実施形態では成膜領域Rと成膜領域Rの間の全ての位置にシワのばし機構8が設けられていることにより、どの成膜部7による成膜時にシワが生じた場合であってもそのすぐ下流側にあるシワのばし機構8が即座にそのシワをのばし、シワが薄膜の形成に悪影響を及ぼすことを防止することができる。
ここで、本実施形態では、メインロール5の外周面51は、フッ素樹脂もしくはダイアモンドライクカーボン(DLC)が被覆されている。これによってメインロール5の外周面51の静止摩擦力はシワのばし機構8の外周面と比較して小さくなるため、メインロール5上で基材2がすべり易くなり、シワのばし機構8によって効率的に基材2のシワをのばすことができる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について、図3を用いて説明する。
実施例2では、実施例1と異なり、成膜領域Rと成膜領域Rの間にシワのばし機構8が基材2の搬送方向に2つ直列に配列されている。このようにシワのばし機構8の個数を複数にすることにより、実施例1に対して基材2の幅方向の引っ張り力を高めることができる。なお、図3では隣接する2つのシワのばし機構8が基材2の搬送方向と並行に配列されているが、基材2の搬送方向の下流側のシワのばし機構8の基材2の幅方向の位置が上流側のシワのばし機構8よりもさらに基材2の端部に近くなっていても良い。
(実施例3)
次に、本発明の実施例3について、図4および図5を用いて説明する。
実施例3では、実施例1と異なり、図4および図5でハッチングで示すように、基材2の薄膜が形成される面のうち基材2の幅方向に関してシワのばし機構8と接触する部分の少なくとも一部には、基材2の長尺方向に連続する段差部21が形成されている。この段差部21の表面の高さは、基材2の薄膜が形成される面のその他の部分の表面の高さよりも高く、また、段差部21の表面の粗さは、基材2の薄膜が形成される面のその他の部分の表面粗さよりも粗い。そして、基材2が搬送される間、シワのばし機構8は段差部21と接触しながら回転する。
本実施形態では、このような段差部21は、ナーリングもしくはテープの貼り付けなどにより形成される。
このような段差部21が設けられた実施例3のように、基材2の薄膜が形成される面のうちシワのばし機構8と接触する部分の少なくとも一部が表面の高さが基材2の薄膜が形成される面のその他の部分の表面の高さよりも高く、かつ表面の粗さが基材2の薄膜が形成される面のその他の部分の表面の粗さよりも粗いように基材2が加工されていることにより、そのような加工がされない場合と比べてシワのばし機構8と基材2との間で滑りが生じることが抑えられ、シワのばし機構8によって基材2のシワをのばし易くできる。それと同時に、図1に示す巻取りロール4において基材2が巻取られた際に、図6に示すように基材2とさらに外に巻かれた基材2との間に隙間ができることにより、基材2に形成された薄膜が基材2の裏面(薄膜が形成されていない方の面)と接触することを軽減することができるため、薄膜が傷つくことを防ぐことができる。
(実施例4)
次に、本発明の実施例4について、図7を用いて説明する。
実施例4では、実施例1と異なり、シワのばし機構8の回転軸の傾斜方向を切り替える機構が設けられている。この実施形態においては、図1における芯部31および芯部41とが反転可能となっており、基材2の搬送方向が反転しながら芯部31と芯部41との間で基材2が往復する。そして、図7(b)に示すように、図7(a)の状態から基材2の搬送方向が反転したらすぐに、シワのばし機構8の回転軸の傾斜方向も反転する。このとき、シワのばし機構8が一度基材2から離間し、回転軸の傾斜方向が反転した後再び基材2と接触する形態である場合、基材2を傷つけたり変形させたりすることを防ぐことができる。
このように基材2の搬送方向に応じてシワのばし機構8の回転軸の傾斜方向が切り替えられることにより、基材2のシワをのばしつつ、薄膜形成装置1内で基材2を往復搬送させながら成膜することができる。
以上の薄膜形成装置により、ロールトゥロールで搬送される基材に対し、シワの発生を抑えながら真空成膜法による薄膜を形成することが可能である。
ここで、本発明の薄膜形成装置は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、本説明では薄膜の形成にプラズマCVD法を用いているが、それに限らず熱を伴って基材が膨張する可能性がある真空成膜法であれば、たとえば触媒化学気相成長法(Cat CVD)のようなその他のCVD法、もしくはスパッタ法、蒸着法といったその他の真空成膜法の場合であっても本発明の薄膜形成装置が好適に用いられる。
また、上記の説明ではシワのばし機構は基材の両端部に一対となるように設けられているが、片方の端部にのみ設けられていても良い。また、この場合、複数の成膜領域の間に位置する複数のシワのばし機構は基材2の一方の端部に並んでも良いし、たとえば両端部に交互に設けられていても良い。
また、シワのばし機構はメインロールに対して接近および離間できるような移動機構に取り付けられ、成膜時以外はシワのばし機構がメインロールから離間するようになっていても良い。
また、様々な幅寸法の基材に対応できるよう、基材の幅方向(図1などにおけるY軸方向)にシワのばし機構を移動させる移動機構にシワのばし機構が取り付けられていても良い。
また、シワのばし機構はロール体に限らず、基材2に形成された薄膜と接触しない形態であれば、他の形態で基材2を幅方向に引っ張っても良い。
1 薄膜形成装置
2 基材
3 巻出しロール
4 巻取りロール
5 メインロール
6 メインロールチャンバ
7 成膜部
7a 成膜部
7b 成膜部
7c 成膜部
7d 成膜部
8 シワのばし機構
21 段差部
31 芯部
41 芯部
51 外周面
70 チャンバ本体
71 真空ポンプ
72 プラズマ電極
73 原料ガス供給部
74 電極カバー
75 マスク
100 薄膜形成装置
101 メインロールチャンバ
102 メインロール
102a 外周面
103 基材
104 巻出しロール
105 巻取りロール
106 成膜部
107 プラズマ電極
108 ガス供給部
R 成膜領域

Claims (5)

  1. ロールトゥロールで搬送される基材を外周面に沿うように接触させることにより基材を支持するメインロールと、
    前記メインロールの外周面と対向するように基材の搬送方向に沿って配列され、前記メインロールの外周面に接触している基材に対して真空成膜法により薄膜の形成を行う複数の成膜部と、
    を備える薄膜形成装置であり、
    それぞれの前記成膜部が薄膜の形成を行う領域である成膜領域に対し、
    基材の搬送方向における2つの前記成膜領域の間の位置には、基材の幅方向において当該成膜領域から外れた位置において基材を前記メインロールとで挟み込み、基材の幅方向における外向きに基材を引っ張ることにより基材のシワをのばすシワのばし機構が設けられていることを特徴とする、薄膜形成装置。
  2. 基材の薄膜が形成される面のうち前記シワのばし機構と接触する部分の少なくとも一部は、表面の高さが基材の薄膜が形成される面のその他の部分の表面の高さよりも高く、かつ表面の粗さが基材の薄膜が形成される面のその他の部分の表面の粗さよりも粗いように加工されていることを特徴とする、請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記シワのばし機構は、その外周面が基材に接し、回転軸が基材の端部から中央部に向かうにつれ基材の搬送方向の下流側に進むように傾斜しているロール体であることを特徴とする、請求項1もしくは2のいずれかに記載の薄膜形成装置。
  4. 前記メインロールによる基材の搬送方向は反転可能であり、基材の搬送方向に応じて前記シワのばし機構の回転軸の傾斜方向が切り替えられることを特徴とする、請求項3に記載の薄膜形成装置。
  5. 前記メインロールの外周面は、フッ素樹脂もしくはダイアモンドライクカーボンが被覆されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の薄膜形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114686838A (zh) * 2022-03-28 2022-07-01 尚越光电科技股份有限公司 一种cigs共蒸设备的高稳定传动系统

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