JP2011111628A - 成膜方法 - Google Patents

成膜方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011111628A
JP2011111628A JP2009266055A JP2009266055A JP2011111628A JP 2011111628 A JP2011111628 A JP 2011111628A JP 2009266055 A JP2009266055 A JP 2009266055A JP 2009266055 A JP2009266055 A JP 2009266055A JP 2011111628 A JP2011111628 A JP 2011111628A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
drum
film forming
film
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2009266055A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Fujinawa
淳 藤縄
Kouji Tonohara
浩二 殿原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2009266055A priority Critical patent/JP2011111628A/ja
Publication of JP2011111628A publication Critical patent/JP2011111628A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、ドラムに巻き掛けて、基板の表面に膜を形成する際に、ドラムに電位を印加して成膜を行なう場合であっても、基板がドラムから剥離する際の剥離放電の発生を抑制して、これにより、高品質な膜を効率よく連続成膜することができ、かつ、基板の損傷を防止することができる成膜方法を提供する。
【解決手段】基板がドラムから剥離する位置である剥離位置において、基板とドラムとの間に気体を吹き付けることで上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、機能性フィルムの製造等に好適な成膜方法に関する。
光学素子、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置、半導体装置、薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタや反射防止フィルム等の光学フィルムなど、各種の機能性フィルム(機能性シート)が利用されている。
また、これらの機能性フィルムの製造に、スパッタリングやプラズマCVD等の真空成膜法による成膜(薄膜形成)が利用されている。
真空成膜法によって、効率良く、高い生産性を確保して成膜を行なうためには、長尺な基板に連続的に成膜を行なうのが好ましい。
このような成膜を実施する成膜装置としては、長尺な基板(ウェブ状の基板)をロール状に巻回してなる供給ロールと、成膜済の基板をロール状に巻回する巻取りロールとを用いる、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の成膜装置が知られている。このロール・ツー・ロールの成膜装置は、基板に成膜を行なう成膜室を通過する所定の経路で、供給ロールから巻取りロールまで長尺な基板を挿通し、供給ロールからの基板の送り出しと、巻取りロールによる成膜済基板の巻取りとを同期して行いつつ、成膜室において、搬送される基板に連続的に成膜を行なう。
また、このようなロール・ツー・ロールの成膜装置では、真空チャンバ内に円筒状のドラムを設け、この周面に対面する位置に電極や反応ガス供給手段等の成膜手段を設けると共に、ドラムの周面に基板を巻き掛けて搬送しつつ、成膜手段によって連続的に成膜を行なう装置も知られている。
このようにロール・ツー・ロールの成膜装置で、ドラムの周面にウェブ状の基板を巻き掛けて搬送しつつ、成膜を行なうと、成膜手段による成膜の影響などにより、ドラムに巻き掛けられている基板が帯電することがある。特許文献1にも記載されるように、この帯電した基板がドラムから離間(剥離)する際には、基板とドラムとの間で剥離放電(火花放電)が発生するため、剥離放電により、基板が損傷したり、成膜手段による成膜が不安定になり成膜した膜の品質が低下する場合がある。
図4に従来の成膜装置におけるドラムの基板の剥離位置近傍を示す部分拡大図を示す。
図4に示す成膜装置100は、ロール・ツー・ロールの成膜装置であり、ドラム102の周面にウェブ状の基板Zを巻き掛けて搬送しつつ、成膜を行なう装置である。
成膜された基板Zは、帯電しており、静電力によりドラムに貼り付いている。そのため、基板Zがドラム102から剥離する剥離位置Qは安定せず、ドラム102の周方向に変動する。すなわち、図4に示すように、静電力により基板Zがドラム102に貼り付いているため、所定の搬送経路における所定の剥離位置Yを超えた位置でも、基板Zがドラム102から剥離せず貼り付いたまま搬送される(基板Zの剥離位置Qが所定の剥離位置Yよりも搬送方向の下流側となる)。ここで、基板Zは、基板Zを搬送するガイドローラ104を介して、図示しない巻取りロールにより引っ張られているので、あるタイミングで、基板Zがドラム102から、瞬時に所定の剥離位置Y(あるいは、その前後)まで引き剥がされる。このときの、基板Zのドラム102からの剥離に伴って、特に、大きな(高エネルギの)剥離放電が発生する。ここで、基板Zがドラム102から引き剥がされる位置は、ドラム102や基板Zの帯電状態や、剥離放電の大きさによって変動する。すなわち、基板Zの剥離位置は一定でなく、例えば、図4にQ’で示す位置に、剥離位置が移動したりと、基板Zの剥離位置は、ドラム102の回転方向の上下流に移動しており、その結果、基板Zのドラム102への貼り付きと剥離とが、不規則に繰り返されるような状態となる。このように、基板Zのドラム102への貼り付きと剥離とを不規則に繰り返し、それに伴って剥離放電が不規則に発生する。
このように、基板の剥離位置が変動すると、剥離放電が発生しやすくなり、また、剥離位置の変動に応じて、剥離放電の発生も不規則になるので、成膜のための放電(プラズマ形成)も、より不安定になり、さらに膜質が低下する。また、剥離放電による基板の損傷も発生しやすくなる。
特に、プラズマCVD等によって成膜を行なう場合に、基板に高品質な膜を効率よく連続成膜するためには、ドラムに高いバイアス電位を印加して成膜を行なうのが好ましいが、ドラムに高いバイアス電位を印加すると、基板の帯電量が増加し、基板がドラムから剥離する際の、剥離放電の頻度やエネルギがより大きくなってしまい、基板が損傷したり、成膜のためのプラズマ形成が不安定になり成膜した膜の品質が低下する問題がより顕著になる。
これに対して、特許文献1には、成膜後の基板(高分子フィルム)がドラム(円筒状キャン)から離間(剥離)する前に、帯電した基板にイオン銃からの加速したイオンを照射するとともに、ニュートラライザーからの電子を供給することにより、帯電した基板を除電し、基板がドラムから剥離する際の剥離放電を防止することが記載されている。また、装置内にガスを導入し、グロー放電電極を用いてグロー放電処理を行なうことにより、基板を除電することも記載されている。
また、特許文献2には、連続した基板(フレキシブル基体)を、真空槽内に配置した回転ドラムに沿って走行させながら、回転ドラムに接続したRF発生源によってバイアス電位を印加してプラズマを発生させることにより、プラズマCVDによる成膜を行なう際に、走行系室(成膜室以外)の真空度を成膜室よりも高真空度にすることにより、走行系室での放電(異常放電)を抑制することが記載されている。
特公平8−9782号公報 特開2000−239849号公報
しかしながら、特許文献1のように、イオナイザ(イオン銃)によって、帯電した基板を除電する場合や、グロー放電電極を用いてグロー放電処理を行なって、帯電した基板を除電する場合は、基板がドラムから剥離する剥離位置を安定化させることは出来ず、やはり、剥離放電が発生してしまう。
特に、膜質や成膜効率の向上のため、ドラムに高いバイアス電位を印加する場合は、基板の帯電量が増加するので、基板とドラムとの静電力が強くなり、基板の剥離位置がより変動しやすくなり、剥離放電が発生しやすくなる。また、基板の帯電量が増加するので、イオナイザやグロー放電処理による除電では、完全に除電するのは困難になり、やはり、剥離放電が発生しやすくなる。従って、剥離放電により、成膜のための放電が不安定になり膜質が低下し、また、基板が損傷してしまう。
また、特許文献2のように、走行系室での異常放電を抑制するために、走行系室の真空度を成膜室よりも高真空度とする場合は、走行系室内で、ドラムと装置の各部位の間で発生するグロー放電は抑制できるものの、帯電した基板がドラムから剥離する際の剥離放電を抑制することはできない。従って、剥離放電により、成膜のための放電が不安定になり膜質が低下し、また、基板が損傷してしまう。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、長尺な基板をドラムに巻き掛けて長手方向に搬送しつつ、ドラムに高い電力を供給して成膜を行なう場合であっても、基板がドラムから剥離する際の剥離放電の発生を抑制して、これにより、高品質な膜を効率よく連続成膜することができ、かつ、基板の損傷を防止することができる成膜方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、長尺な基板を円筒状のドラムの周面に巻き掛けて搬送しつつ、成膜室において前記基板の表面に成膜を行なう成膜方法であって、前記ドラムに電力を供給しつつ成膜を行なうと共に、前記基板が前記ドラムから剥離する位置である剥離位置において、前記基板と前記ドラムとの間に気体を吹き付けることを特徴とする成膜方法を提供するものである。
ここで、前記基板を所定の搬送経路で搬送するガイドローラを少なくとも1つ有し、前記剥離位置が、前記ドラムから剥離した直後の前記基板を搬送するガイドローラと前記ドラムとの接線が、前記ドラムと接する点から±10mm以内の位置にあることが好ましい。
また、前記剥離位置が、前記成膜室とは異なる室にあり、前記剥離位置を含む室の圧力が前記成膜室の圧力よりも低いことが好ましい。
ここで、前記剥離位置を含む室の圧力が3Pa以下であることが好ましい。
さらに、前記剥離位置を含む局所的な空間であるガス導入領域の圧力が前記剥離位置を含む室の圧力よりも高いことが好ましい。
ここで、前記ガス導入領域の圧力が1〜50Paであることが好ましい。
さらに、前記ガス導入領域を形成する包囲部材を有することが好ましい。
また、前記包囲部材は、前記基板と前記ドラムの周面とを利用して前記ガス導入領域を形成することが好ましい。
また、前記基板が前記ドラムから剥離する前に前記基板の除電を行なうことが好ましい。
また、前記気体が不活性ガスであることが好ましい。
ここで、前記気体がアルゴンまたは窒素であることが好ましい。
また、前記成膜室を前記ドラムの周面を利用して構成することが好ましい。
また、前記成膜室においてCVDによって前記基板に成膜を行なうことが好ましい。
ここで、前記CVDがCCP−CVDであることが好ましい。
本発明によれば、基板がドラムから剥離する剥離位置において、基板とドラムとの間に気体を吹き付けることで、基板の剥離位置を安定化させることができるので、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、ドラムに電力を供給して成膜を行なう場合に、基板がドラムから剥離する際に発生する剥離放電を抑制することができる。そのため、例えば、プラズマCVDなどの成膜を行なう際に、成膜のためのプラズマ形成が不安定になり成膜された膜の品質が低下したり、基板が損傷したりすることを防止し、高品質な膜を効率よく連続成膜することができる。
本発明の成膜方法を実施する成膜装置の一例を概念的に示す図である。 (A)は、図1に示す成膜装置の一部を拡大して示す部分斜視図であり、(B)は、包囲部材の形状を表す斜視図である。 図1に示す成膜装置の一部を拡大して示す部分拡大図である。 従来の成膜装置の一例を概念的に示す部分拡大図である。
以下、本発明の成膜方法について、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の成膜方法を実施する成膜装置の一例を概念的に示し、図2(A)に、図1に示す成膜装置の、基板Zとドラムとが剥離する位置近傍の斜視図を示し、図3に、図1に示す成膜装置の、基板Zとドラムとが剥離する位置近傍を拡大して示す。なお、図3においては、包囲部材70の図示を省略している。
図1に示す成膜装置10は、基板Zに、プラズマCVDによる膜を成膜することができる装置であって、真空チャンバ12と、この真空チャンバ12内に形成される、巻出し室14と、成膜室18と、ドラム30とを有して構成される。
なお、本発明において、基板Zには、特に限定はなく、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの樹脂フィルム、金属フィルム等、CVDによる成膜が可能な長尺なフィルム状物(シート状物)が、全て利用可能である。
また、樹脂フィルム等を基材として、平坦化層、保護層、密着層、反射層、反射防止層等の各種の機能を発現するための層(膜)を成膜してなるフィルム状物を、基板として用いてもよい。
成膜装置10においては、長尺な基板Zは、巻出し室14の基板ロール32から供給され、ドラム30に巻き掛けられた状態で長手方向に搬送されつつ、成膜室18において、成膜され、次いで、再度、巻出し室14において巻取り軸34に巻き取られる(ロール状に巻回される)。
ドラム30は、中心線を中心に図中反時計方向に回転する円筒状の部材である。
ドラム30は、後述する巻出し室14のガイドローラ40aよって所定の経路で案内された基板Zを、周面の所定領域に掛け回して、所定位置に保持しつつ長手方向に搬送して、成膜室18内に搬送して、再度、巻出し室14のガイドローラ40bに送る。
ここで、ドラム30は、後述する成膜室18のシャワー電極56の対向電極としても作用(すなわち、ドラム30とシャワー電極56とで電極対を構成する。)するものであり、バイアス電源28が接続されている。
ドラム30にバイアス電位を印加することにより、後に詳述する成膜室18での成膜の際に、ガス供給手段50により供給され、シャワー電極56に供給されるプラズマ励起電力によりプラズマ状態に励起された原料ガスの分子や原子を、ドラム30(基板Z)の方向に引き寄せることができるので、基板Z上に形成される膜の密度が高くなり、膜質を向上させることができ、また、成膜効率を向上させることができる。
なお、必要に応じて、ドラム30には、バイアス電源28のみならず、アース(接地手段)も接続して、バイアス電源28とドラム30との接続と、アースとドラム30との接続とを切り替え可能にしてもよい。
また、ドラム30は、成膜室18における、成膜中の基板Zの温度調整手段を兼ねてもよい。そのため、ドラム30は、温度調整手段を内蔵するのが好ましい。ドラム30の温度調節手段には、特に限定はなく、冷媒等を循環する温度調節手段、ピエゾ素子等を用いる冷却手段等、各種の温度調節手段が、全て利用可能である。
バイアス電源28は、ドラム30にバイアス電力を供給する高周波電源である。
なお、バイアス電源28は、各種の成膜装置で利用されている、バイアスを印加するための高周波電源やパルス電源等の公知の電源が、全て利用可能である。また、ドラム30に供給するバイアス電力は、高周波電力に限定はされず、直流電力でもよく、交流もしくは直流のパルス電力でもよい。
なお、本発明において、ドラム30にバイアス電位を印加するための投入電力には、特に限定はない。ここで、電位が高い程、膜質の向上効果および生産性の向上効果が得られる反面、バイアス電位が高い程、後述する基板Zがドラムから剥離する際の剥離放電が発生し易くなる。しかしながら、後述するように、本発明によれば、高電位のバイアス電位を印加しても、基板Zがドラムから剥離する際の剥離放電を抑制できる。
以上の点を考慮すると、本発明において、膜質向上効果および生産性の向上効果を十分に得られ、かつ、剥離放電抑制という本発明の効果が十分に発現できる等の点で、バイアス電位を印加するための投入電力は、50W以上とするのが好ましい。
巻出し室14は、真空チャンバ12の内壁面12aと、ドラム30の周面と、内壁面12aからドラム30の周面の近傍まで延在する隔壁36aおよび36fとによって構成される。
ここで、隔壁36aおよび36fの先端(真空チャンバ12の内壁面と逆端)は、搬送される基板Zに接触しない可能な位置まで、ドラム30の周面に近接し、巻出し室14と、成膜室18とを、略気密に分離する。
このような巻出し室14は、前述の巻取り軸34と、除電手段38と、ガイドローラ40aおよび40bと、回転軸42と、ガス導入手段44と、真空排気手段46と、包囲部材70とを有する。
本発明の成膜装置10は好ましい態様として、除電手段38を有している。
除電手段38は、帯電した基板Zを除電するためのものであり、成膜後の基板Zがドラム30から剥離する位置よりも上流(基板Zの搬送方向において上流)に、ドラム30に対面して設けられている。
除電手段38により、帯電した基板Zの除電を行ない、基板Zの帯電量を減少させることで、後述する基板Zの剥離に伴う、剥離放電の発生を低減することができる。
本発明において、除電手段38には、特に限定はなく、例えば、特許文献1に記載されるイオナイザ、あるいは、除電バー、除電ブラシ、除電ヒモなど、成膜装置に用いられる公知の除電手段が、各種、利用可能である。
ガイドローラ40aおよび40bは、基板Zを所定の搬送経路で案内する通常のガイドローラである。また、巻取り軸34は、成膜済みの基板Zを巻き取る、公知の長尺物の巻取り軸である。
図示例において、長尺な基板Zをロール状に巻回してなるものである基板ロール32は、回転軸42に装着される。また、基板ロール32が、回転軸42に装着されると、基板Zは、ガイドローラ40a、ドラム30、および、ガイドローラ40bを経て、巻取り軸34に至る、所定の経路を通される(挿通される)。
成膜装置10においては、基板ロール32からの基板Zの送り出しと、巻取り軸34における成膜済み基板Zの巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室18における成膜を行なう。
ガス導入手段44は、後述する包囲部材70に囲まれて配置され、基板Zがドラム30から剥離する剥離位置で、所定のガスをドラム30と基板Zとの間に吹き付けて、基板Zが、安定して所定の剥離位置でドラム30から剥離するようにするためのものである。
この点に関しては、後に詳述する。
ガス導入手段44としては、ガスを基板Zとドラム30との間に吹き付けることができれば、特に限定はなく、図示しないガス供給手段から供給される所定のガスを、所定の方向に噴出するガスノズル、ガスチューブ等を用いることができる。
また、ガス導入手段44は、ドラム30の幅(図1中紙面に垂直な方向の幅)と同等の幅を有し、ドラム30と基板Zとの間全体にガスを吹き付けることができる。
また、ガス導入手段44が噴出するガスとしては、成膜室18での成膜に影響しない、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを利用することが好ましい。あるいは、安全性に問題が無ければ、隣接する室(空間)に導入されるガスを利用してもよい。特に、後述するグロー放電を発生させやすい点で、窒素ガスおよびアルゴンガスが好適である。
真空排気手段46は、巻出し室14内を所定の真空度に減圧するためのものであり、ガス導入手段44により、巻出し室14内にガスを導入しても、巻出し室14内を、成膜室18の圧力(成膜圧力)に影響を与えない圧力(真空度)にする。
また、好ましくは、巻出し室14内を、成膜室18の圧力(成膜圧力)よりも低い圧力(高真空)になるよう、より好ましくは、成膜室18の圧力の1/10以下、または、3Pa以下となるように減圧する。これにより、巻出し室14内で、ドラム30からのグロー放電(異常放電)が発生することを防止することができる。巻出し室14内での、グロー放電を抑制することにより、グロー放電により成膜のためのプラズマ形成が不安定になり成膜される膜の膜質が低下することを防止でき、また、異常放電により、基板Zや成膜装置10が損傷することを防止できる。
本発明において、真空排気手段46には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプ、ドライポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。
この点に関しては、後述する他の真空排気手段も、全て、同様である。
本発明の成膜装置10は好ましい態様として、包囲部材70を有している。
包囲部材70は、基板Zがドラム30から剥離する剥離位置を含む局所的な空間、すなわち、ガス導入手段44が、ドラム30と基板Zとの間に所定のガスを吹き付ける空間(以下、「ガス導入領域」ともいう)を囲い、このガス導入領域と巻出し室14との圧力を分離するためのものである。
この点に関しては、後に詳述する。
図2に包囲部材の形状を模式的に示す。
図1、図2(A)および(B)に示すように、包囲部材70は、ドラム30と、ドラム30から剥離した基板Zとの間に配置される部材で、背面部72と縁部74とを有する。
背面部72は長方形状の板状部材で、基板Zの幅方向(搬送方向と垂直な方向)と長手方向とを一致して、長辺がそれぞれ、ドラム30の周面および基板Zに近接している。また、背面部72の長手方向の長さは、基板Zの幅(搬送方向と垂直な方向の幅)と同程度の長さを有する。
縁部74は、背面部72の長手方向の両端部(短辺側)に、背面部72から垂直に立設した、三角形状の板状部材で、背面部72とは反対側の頂点(縁部74の先端)が、基板Zの搬送方向の下流側となるように配置されている。縁部74の基板Z側の辺は、基板Zに近接している。また、縁部74のドラム30側の辺は、ドラム30に近接し、ドラム30に沿うように曲面に形成されている。さらに、縁部74の先端は、包囲部材70がドラム30および基板Zに接触しない範囲で、基板Zがドラム30から剥離する剥離位置に近接するように配置されている。
前述のように、背面部72は、基板Zの幅方向と同程度の長さを有するので、その端部に配置される2つの縁部74は、基板Zの両端部付近にそれぞれ位置するように配置される。従って、包囲部材70は、基板Zとドラム30の周面とで略閉空間を形成する。包囲部材70と基板Zとドラム30の周面とで形成される空間には、ガス導入手段44が配置され、この空間にガスが導入される。すなわち、この空間が、ガス導入領域である。
本発明において、包囲部材70の形状は、ガス導入領域と巻出し室14との圧力を分離することができれば、図示例に限定はされず、平面や曲面を組み合わせた種々の形状としてよい。
また、包囲部材70は、基板Zとドラム30の周面とで空間を形成してガス導入領域としたが、本発明は、これに限定はされず、ドラムに対面する壁部を有することで包囲部材と基板Zのみで空間を形成してガス導入領域としてもよいし、基板Zに対面する壁部を有することで包囲部材とドラムの周面のみで空間を形成してガス導入領域としてもよいし、包囲部材のみでガス導入領域を形成してもよい。
また、包囲部材70は、長辺の長さが基板Zの幅と同程度の長さを有する背面部72の両端部に、縁部74を有する構成としたが、本発明は、これに限定はされず、背面部の長辺が基板Zの幅よりも長く、縁部が、基板Zの両端部に対応する位置で、背面部から立設する形状であってもよい。あるいはさらに、背面部に立設する縁部の位置を調整できるようにして、基板Zの幅に合わせて2つの縁部の間隔を調整可能にしてもよい。
また、包囲部材70の形成材料には、特に限定はなく、金属、プラスチック等種々の材料を用いることができる。
あるいは、包囲部材70をガス導入手段44と一体的に設けてもよい。
基板Zの搬送方向において、巻出し室14の下流には、成膜室18が配置される。
成膜室18は、内壁面12aと、ドラム30の周面と、内壁面12aからドラム30の周面の近傍まで延在する隔壁36aおよび36fとによって構成される。
成膜装置10において、成膜室18は、一例として、CCP(Capacitively Coupled Plasma 容量結合型プラズマ)−CVDによって、基板Zの表面に成膜を行なうものであり、シャワー電極56と、原料ガス供給手段58と、高周波電源60と、真空排気手段62とを有する。
シャワー電極56は、CCP−CVDに利用される、公知のシャワー電極である。
図示例において、シャワー電極56は、一例として、中空の略直方体状であり、1つの最大面をドラム30の周面に対面して配置される。また、シャワー電極56のドラム30との対向面には、多数の貫通穴が全面的に成膜される。なお、好ましくは、シャワー電極56のドラム30との対向面は、ドラム30の周面に沿う様に湾曲してもよい。
なお、図示例において、成膜室18には、シャワー電極(CCP−CVDによる成膜手段)が、1個、配置されているが、本発明は、これに限定はされず、基板Zの搬送方向に、複数のシャワー電極を配列してもよい。この点に関しては、CCP−CVD以外のプラズマCVDを利用する際も同様であり、例えば、ICP−CVDによって無機層を成膜する場合には、誘導電界(誘導磁場)を成膜するためコイルを、基板Zの搬送方向に、複数、配置してもよい。
また、本発明は、シャワー電極56を用いるのにも限定はされず、通常の板状の電極と、原料ガスの供給ノズルとを用いるものであってもよい。
原料ガス供給手段58は、プラズマCVD装置等の真空成膜装置に用いられる公知のガス供給手段であり、シャワー電極56の内部に、原料ガスを供給する。
前述のように、シャワー電極56のドラム30との対向面には、多数の貫通穴が供給されている。従って、シャワー電極56に供給された原料ガスは、この貫通穴から、シャワー電極56とドラム30との間に導入される。
高周波電源60は、シャワー電極56に、プラズマ励起電力を供給する電源である。高周波電源60も、各種のプラズマCVD装置で利用されている、公知の高周波電源が、全て利用可能である。
さらに、真空排気手段62は、プラズマCVDによるガスバリア膜の成膜のために、成膜室18内を排気して、所定の成膜圧力に保つものであり、前述のように、真空成膜装置に利用されている、公知の真空排気手段である。
なお、本発明において、CVD成膜室における成膜方法は、図示例のCCP−CVDに限定はされず、ICP(Inductively Coupled Plasma 誘導結合型プラズマ)−CVDやマイクロ波CVDなどの他のプラズマCVD、Cat(Catalytic 触媒)−CVD、熱CVD等、公知のCVDが、全て利用可能である。
また、本発明の成膜装置において、CVD成膜室が成膜する膜にも、特に限定はなく、CVDによって成膜可能なものが、全て、利用可能であるが、特に、酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン等のガスバリア膜が好ましく例示される。
ここで、成膜装置10においては、成膜室18での成膜の際に、プラズマを生成(放電)して、成膜を行なうため、成膜された基板Zは、帯電する。
また、前述のとおり、成膜装置10においては、バイアス電源28からドラム30にバイアス電位を印加することにより、膜の密度を向上させ、高品質な膜を形成でき、また、成膜レートを上昇させ、成膜効率を向上させる。
前述のとおり、膜質や成膜効率の向上を図るために、ドラムに高いバイアス電位を印加(高い電力を供給)すると、基板Zの帯電量が増加し、静電力によりドラムに貼り付いてしまう。
従来の成膜装置では、この帯電した基板Zがドラムから剥離する際には、基板Zとドラムとの間で剥離放電(火花放電)が発生してしまう。この剥離放電は、成膜領域(放電が必要な領域)における放電、すなわち、プラズマの生成を不安定にしてしまい、その結果、成膜する膜質の低下を生じる。さらに、ドラムからの放電によって基板Zが損傷する場合もある。
また、前述のとおり、基板Zが帯電し、静電力によりドラムに貼り付くと、基板Zがドラムから剥離する剥離位置が安定せず、ドラムの周方向に変動する。すなわち、静電力により、基板Zがドラムに貼り付いているため、図4に示すように、基板Zの、所定の搬送経路における、所定の剥離位置Yを大きく超えた位置(下流の位置)でも、基板Zがドラム102から剥離せずに貼り付いたまま搬送される。つまり、基板Zの実際の剥離位置Qが所定の剥離位置Yよりも下流となる。ここで、基板Zは、ガイドローラ104を介して、巻取りロールにより引っ張られているので、あるタイミングで、基板Zがドラム102から、瞬時に所定の剥離位置Y(あるいは、その前後)まで引き剥がされる。このときの、基板Zのドラム102からの剥離に伴って、特に、高エネルギの剥離放電が発生する。ここで、基板Zがドラム102から引き剥がされる位置は、ドラム102や基板Zの帯電状態や、剥離放電の大きさによって変動する。すなわち、基板Zの剥離位置は一定でなく、例えば、図4にQ’で示す位置に剥離位置が移動したりと、基板Zの剥離位置は、ドラム102の回転方向の上下流に移動しており、その結果、基板Zのドラム102への貼り付きと剥離とが、不規則に繰り返されるような状態となる。このように、基板Zのドラムへの貼り付きと剥離とを不規則に繰り返し、それに伴って剥離放電が不規則に発生する。
このように、基板の剥離位置が変動すると、剥離放電が発生しやすくなり、また、剥離位置の変動に応じて、剥離放電の発生も不規則になるので、成膜のための放電(プラズマ形成)も、より不安定になり、さらに膜質が低下する。また、剥離放電による基板の損傷も発生しやすくなる。
これに対して、本発明の成膜方法においては、前述のとおり、ガス導入手段44により、基板Zがドラム30から剥離する剥離位置Pで、所定のガスをドラム30と基板Zとの間に吹き付けることにより、図3に示すように、基板Zが所定の剥離位置Yの近傍で安定して、ドラム30から剥離するようにしているので、剥離位置が安定しないことに起因する剥離放電を防止することができる。これにより、高品質な膜を効率よく連続成膜することができ、かつ、基板の損傷を防止することができる。
なお、所定の剥離位置Yとは、所定の搬送経路で搬送された際の、基板Zとドラムとが離間する位置である。すなわち、基板Zが搬送される方向に対応した、ドラム30とガイドローラ40bとの接線が、ドラム30と接する点が、所定の剥離位置Yである。なお、図1においては、所定の剥離位置Yは、剥離位置Pと同じ位置である。
また、ガス導入手段44により、基板Zとドラム30との剥離位置Pにガスを吹き付けることで、基板Zとドラム30とを機械的に剥離させて、剥離位置Pを安定させ、剥離放電を防止する効果のみならず、基板Zとドラム30との剥離位置P近傍の局所的な空間(ガス導入領域)の圧力を局所的に高くして、ドラム30からのグロー放電を発生させ、帯電した基板Zを除電する効果もある。
前述のとおり、巻出し室14内は、好ましい態様として、成膜室18の圧力よりも低い圧力となるように減圧されており、これにより、巻出し室14内で、ドラム30からのグロー放電(異常放電)が発生することを防止している。
しかしながら、特許文献1にも記載されるように、グロー放電には、帯電した基板Zを除電する効果がある。そのため、グロー放電の発生を防止すると、帯電した基板Zが除電されず、基板Zがドラムから剥離する際の、剥離放電が発生しやすくなり、また、剥離放電のエネルギも大きなものとなる。
これに対して、本発明の成膜装置においては、基板Zとドラム30との剥離位置Pにガスを導入するので、剥離位置Pの近傍の局所的な空間(ガス導入領域)の圧力が局所的に高くなる。そのため、剥離位置Pの近傍の空間で、ドラム30からのグロー放電が発生する。これにより、帯電した基板Zは除電されるので、基板Zとドラム30との剥離に伴う剥離放電の発生を低減することができ、また、発生する剥離放電のエネルギを小さくすることができる。
また、前述のとおり、本発明においては、好ましい態様として、ドラム30とドラム30から剥離した基板Zとの間に包囲部材70を設け、ガス導入領域と巻出し室14内の他の空間との圧力を分離している。従って、ガス導入手段44がドラム30と基板Zとの間に所定のガスを吹き付けた際に、ガス導入領域の圧力が高くなっても、巻出し室14内の他の領域は、低い圧力を維持することができ、巻出し室14内の他の領域でのドラム30からのグロー放電の発生を抑制することができる。
そのため、巻出し室14内でのグロー放電は、ガス導入領域でのみ発生し、グロー放電の状態(発生位置、発生エネルギ等)は安定する。従って、このグロー放電によって、成膜のためのプラズマ形成が不安定になることはなく、成膜される膜の膜質にも影響はない。
ここで、前述のとおり、グロー放電の発生によっても基板Zが損傷するおそれがある。しかしながら、剥離放電(火花放電)のエネルギは、グロー放電のエネルギに比べて非常に大きい。そのため、剥離放電による基板Zの損傷は、グロー放電による基板Zの損傷に比べて、非常に大きくなる。従って、ガス導入手段44により、基板Zとドラム30との所定の剥離位置にガスを吹き付けることで、基板Zとドラム30との剥離位置P近傍の局所的な空間(ガス導入領域)の圧力を局所的に高くすることにより、剥離位置P近傍で、ドラム30からのグロー放電が発生するので、帯電した基板Zが除電され、基板Zがドラム30から剥離する際に、剥離放電が発生することを抑制できる。これにより、放電による基板Zの損傷を低減できる。
ここで、基板Zとドラム30との実際の剥離位置Pは、所定の剥離位置Yの±10mm以内の位置となるように、ガス導入手段44が吹き付けるガスのガス量およびガス圧を調整して、基板Zとドラム30とを剥離させることが好ましい。剥離位置Pを、この範囲とすることで、剥離位置Pが安定し、剥離放電の発生を抑制できる。
また、ガス導入手段44が、噴出するガスのガス量およびガス圧には、特に、限定はなく、基板Zの弾性等の機械的性質や、基板Zの搬送速度などによって、基板Zを、所定の剥離位置Yでドラム30から剥離させることができるガス量およびガス圧を適宜、決定すればよい。
本発明において、剥離位置P近傍の局所的な空間(ガス導入領域)の圧力には、特に限定はないが、好ましくは、グロー放電が発生しやすい圧力、すなわち、1〜50Paとすればよい。
また、ガス導入領域の圧力を制御するための真空排気手段を設けてもよい。真空排気手段を設けることにより、ガス導入領域の圧力をグロー放電が発生しやすい好適な圧力に維持することができる。真空排気手段としては、真空排気手段46、62と同様に、公知の真空排気手段を用いることができる。
また、図示例の成膜装置10においては、基板Zの剥離位置Pおよびガス導入手段44を、成膜室18とは略気密に分離された巻出し室14に配置しているので、ガス導入手段44によって導入されるガスが成膜室18の圧力(成膜圧力)に影響を与え、膜質や成膜効率が低下することを防止することができる。
以下、成膜装置10の作用を説明する。
前述のように、回転軸42に基板ロール32が装填されると、基板ロール32から基板Zが引き出され、ガイドローラ40a、ドラム30、およびガイドローラ40bを経て、巻取り軸34に至る所定の搬送経路を挿通される。
基板Zが挿通されたら、真空チャンバ12を閉塞して、真空排気手段46および62を駆動して、各室の排気を開始する。
巻出し室14、および、成膜室18が、所定の真空度以下まで排気されたら、次いで、原料ガス供給手段58を駆動して、成膜室18に原料ガスを供給する。また、ガス導入手段44を駆動して、巻出し室14内の基板Zの剥離位置Pにガスを導入する。
ここで、巻出し室14は、好ましくは、成膜室18よりも低圧力で、成膜室18の圧力の1/10以下、または、3Pa以下である。
全ての室の圧力が所定圧力で安定したら、ドラム30等の回転を開始して、基板Zの搬送を開始し、さらに、バイアス電源28と高周波電源60とを駆動して、基板Zを長手方向に搬送しつつ、成膜室18における基板Zへの成膜を開始する。
ここで、前述のように、本発明においては、ガス導入手段44により、基板Zとドラム30との剥離位置Pにおいて、所定のガスを基板Zとドラム30との間に吹き付けて、基板Zが、安定して所定の剥離位置Yでドラム30から剥離するようにしているので、ドラム30にバイアス電位を印加して、基板Zが帯電した場合であっても、基板Zをドラム30から剥離させる際に、剥離放電が発生することを防止できる。これにより、剥離放電により、膜質が低下することを防止し、高品質な膜を効率よく連続成膜することができ、かつ、基板の損傷を防止することができる。
また、ガス導入手段44により、基板Zとドラム30との所定の剥離位置にガスを吹き付けることで、包囲部材70に囲まれた、剥離位置Pの近傍の局所的な空間(ガス導入領域)の圧力が局所的に高くなるので、ガス導入領域で、ドラム30からのグロー放電が発生し、帯電した基板Zは除電され、基板Zが剥離する際の、剥離放電の発生を低減することができ、また、剥離放電のエネルギを小さくすることができる。
ここで、図示例では、CVD成膜室と、基板Zの剥離位置Pを含む室を別室とし、巻出し室に剥離位置Pが含まれる構成としたが、本発明の成膜方法を利用する成膜装置は、これに限定はされず、基板Zの剥離位置Pおよびガス導入手段がCVD成膜室に含まれる構成としてもよい。
また、図示例では、CVD成膜室と、基板Zの剥離位置Pおよびガス導入手段を含む室である巻出し室とが隣接する構成としたが、本発明の成膜方法を実施する成膜装置は、これに限定はされず、CVD成膜室と巻出し室との間に差圧室を設ける構成としてもよい。差圧室は、CVD成膜室の上流および下流のいずれか一方に設けても良いし、両方に設けてもよい。
差圧室を設けることにより、ガス導入手段によるガスの導入および巻出し室の圧力が、成膜室の圧力に影響を与えることをより好適に防止でき、また、成膜室のガスが巻出し室に進入して巻出し室内に成膜物が堆積することを防止できる。
なお、差圧室の圧力には、特に限定はなく、成膜室と巻出し室との間でのガスの混入を防止できればよいが、差圧室内への成膜室のガスの混入を防止できる点で、差圧室の圧力を成膜室よりも高い圧力にすることが好ましい。
また、図示例では、1つのCVD成膜室を有する構成としたが、これにも限定はされず、2つ以上のCVD成膜室を有してもよい。
また、複数のCVD成膜室を有する場合には、CVD成膜室とCVD成膜室との間にも差圧室を設けるのが好ましく、この差圧室も、先と同様に、隣接するCVD成膜室より高い圧力とすることがより好ましい。
また、基板ロールから基板Zを送り出す供給室と、成膜済みの基板Zを巻き取る巻取り室とが、別室である構成であってもよい。
また、図示例の成膜装置10においては、基板Zの剥離位置Pおよびガス導入手段が巻出し室に配置される構成としたが、本発明は、これにも限定はされず、回転軸および巻取り軸と、剥離位置Pおよびガス導入手段とが別室に配置される構成であってもよい。
また、以上の例では、シャワー電極とドラムとで電極対を構成し、シャワー電極にプラズマ励起電力を、ドラムにバイアス電力を、それぞれ供給するものであったが、本発明は、これに限定はされず、ドラムにプラズマ励起電力を供給することで、ICP−CVD法による成膜を行なうものであってもよい。
また、本発明において、成膜方法はプラズマCVDに限定はされず、スパッタリング等、各種の成膜方法が利用可能である。
すなわち、本発明は、長尺な基板をドラムに掛け回して搬送して、ドラムに電力を供給しつつ、ドラムの周面に支持された基板に成膜を行なうものであれば、各種の成膜方法や成膜装置が、全て、利用可能である。
なお、特に、プラズマCVDは、成膜の際に、プラズマを形成(放電)して成膜を行なうため、基板Zが帯電しやすく、また、膜質や成膜効率向上のため、ドラムにバイアス電位を印加するため、剥離放電を抑制できる本発明をより好適に利用できる。
以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんのことである。
以下、本発明の具体的実施例を示すことにより、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
図1に示す成膜装置10を用いて、基板Zに、ガスバリア膜を成膜した。
基板Zは、PENフィルム(帝人社製 テオネックス 100μm厚)を用いた。
また、原料ガスとしては、シランガス(SiH)(流量100sccm)、アンモニアガス(NH)(流量100sccm)、および、窒素ガス(N)(流量500sccm)を用いた。
また、成膜室18の成膜圧力は50Paとした。
また、巻出し室14の圧力は0.5Paとした。
また、ガス導入手段44が噴出するガスの種類は、アルゴンガスとし、基板Zの剥離位置Pが、所定の剥離位置Yの±3mm以内となるように、ガス量およびガス圧を調整した。
また、除電手段38として、ベキニット社製 ベキスタット(除電ヒモ)を用いた。
また、ドラム30として、材質SUSで、直径1500mmのドラムを用いた。
さらに、シャワー電極56に接続される高周波電源60として、周波数13.56MHzの高周波電源を用い、シャワー電極56に供給したプラズマ励起電力は1kWとした。
また、ドラム30に接続されるバイアス電源28として、周波数400kHzの電源を用い、ドラム30に供給したバイアス電力は、500Wとした。
また、成膜する機能膜の膜厚は100nmとした。
このような条件の下、成膜装置10において、300mの基板Zにガスバリア膜の成膜を行なった。成膜中に、巻出し室14の内部を目視確認したところ、成膜開始から300mの成膜終了まで、巻出し室14(剥離位置P)における剥離放電は、確認できなかった(後述する評価「◎」)。
また、成膜終了後、成膜された基板Zを目視確認したところ、基板Zおよび膜の損傷は、全く認められなかった(後述する評価「◎」)。
[実施例2]
ガス導入手段44により噴出するガスのガス量およびガス圧を調整して、基板Zの剥離位置Pが、所定の剥離位置Yの±10mm以内となるようにした以外は、実施例1と全く同様にして、300mの基板Zにガスバリア膜の成膜を行なった。成膜中に、巻出し室14の内部を目視確認したところ、巻出し室14(剥離位置P)における剥離放電は、3回以内の僅かな剥離放電が確認された(後述する評価「○」)。
また、成膜終了後、成膜された基板Zを目視確認したところ、基板Zおよび膜の損傷は、全く認められなかった(後述する評価「◎」)。
[実施例3]
ガス導入手段44により噴出するガスの種類を窒素ガスとした以外は、実施例2と全く同様にして、ガスバリア膜の成膜を行なった。成膜中に、巻出し室14の内部を目視確認したところ、巻出し室14(剥離位置P)における剥離放電は、3回未満の僅かな剥離放電が確認された(後述する評価「○」)。
また、成膜終了後、成膜された基板Zを目視確認したところ、基板Zおよび膜の損傷は、全く認められなかった(後述する評価「◎」)。
[実施例4]
除電手段38を有さない構成とした以外は、実施例2と全く同様にして、ガスバリア膜の成膜を行なった。成膜中に、巻出し室14の内部を目視確認したところ、巻出し室14(剥離位置P)における剥離放電は、10回未満の僅かな剥離放電が確認された。(後述する評価「△」)。
また、成膜終了後、成膜された基板Zを目視確認したところ、剥離放電が発生した箇所に対応し、基板Zの成膜面とは逆面に損傷が認められた。また、膜(成膜面側)の損傷は認められなかった(後述する評価「△」)。
[実施例5]
ガス導入手段44により噴出するガスの種類を酸素とした以外は、実施例2と全く同様にして、ガスバリア膜の成膜を行なった。成膜中に、巻出し室14の内部を目視確認したところ、巻出し室14(剥離位置P)における剥離放電は、3回未満の僅かな剥離放電が確認された。(後述する評価「○」)。
また、成膜終了後、成膜された基板Zを目視確認したところ、剥離放電が発生した箇所に対応し、基板Zの成膜面とは逆面に損傷が認められた。また、膜(成膜面側)の損傷は認められなかった(後述する評価「△」)。
[比較例1]
ガス導入手段および包囲部材を有さない構成とし、そのため、基板Zの剥離位置Pが所定の剥離位置Yの±50mm以内となった以外は、実施例1と全く同様にして、300mの基板Zにガスバリア膜の成膜を行なった。成膜中に、巻出し室の内部を目視確認したところ、巻出し室(剥離位置)における剥離放電は、10回以上確認された(後述する評価「×」)。
また、成膜終了後、成膜された基板Zを目視確認したところ、成膜面側(膜)とその裏面側の基板Zの両方にダメージが確認された(後述する評価「×」)。
巻出し室内(剥離位置)の剥離放電については、
巻出し室内での剥離放電が、全く、認められなかったものを◎;
巻出し室内での剥離放電が、3回未満のものを○;
巻出し室内での剥離放電が、3回以上10回未満のものを△;
巻出し室内での剥離放電が、10回以上のものを×; と評価した。
また、成膜された基板および膜の損傷(膜ダメージ)については、
基板および膜の損傷が、全く、認められなかったものを◎;
膜の損傷は無いものの、基板の成膜面とは逆面に損傷が認められるものを△;
膜の損傷が認められるものを×; と評価した。
剥離放電の有無、ならびに、基板および膜の損傷ともに、△の評価であれば実用上、問題はない。
結果を、下記表1に示す。
Figure 2011111628
上記表1に示されるように、基板Zがドラムから剥離する所定の剥離位置において、基板Zとドラムとの間に気体を吹き付けることにより、基板Zをドラムから剥離させるという本発明の実施例である実施例1〜5は、いずれも、基板Zの剥離に伴う剥離放電が少なく、従って、剥離放電による基板および膜の損傷も少なく、また、膜質も均一なものが得られた。
特に、導入ガスとしてアルゴンガスを用い、基板Zとドラムとの剥離位置Pを所定の剥離位置Yの±3mm以内とし、除電手段を用いる実施例1は、基板Zの剥離に伴う剥離放電がほとんど無くより好適であることがわかる。
また、ガスの種類が異なるのみで、他の条件は同じである実施例2、3および5を比較すると、不活性ガスであるアルゴン、窒素を用いた実施例2、3は、反応性ガスである酸素を用いた実施例5に比べて、膜ダメージが少なく、不活性ガスを用いることがより好ましいことがわかる。
これに対し、ガス導入手段を用いない、比較例1は、基板Zとドラムとの剥離位置が所定の剥離位置Yの±50mmと安定せず、それにより基板Zの剥離に伴う剥離放電が頻繁に発生し、従って、剥離放電による基板および膜の損傷が発生し、また、膜質も不均一なものとなった。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
本発明によれば、膜質や成膜効率を大幅に向上できるので、ガスバリアフィルムの製造等に好適に利用可能である。
10、100 成膜装置
12 真空チャンバ
12a 内壁面
14 巻出し室
18 成膜室
28 バイアス電源
30、102 ドラム
32 基板ロール
34 巻取り軸
36 隔壁
38 除電手段
40、104 ガイドローラ
42 回転軸
44 ガス導入手段
46、62 真空排気手段
56 シャワー電極
58 原料ガス供給手段
60 高周波電源
70 包囲部材
72 背面部
74 縁部
Z 基板

Claims (14)

  1. 長尺な基板を円筒状のドラムの周面に巻き掛けて搬送しつつ、成膜室において前記基板の表面に成膜を行なう成膜方法であって、
    前記ドラムに電力を供給しつつ成膜を行なうと共に、
    前記基板が前記ドラムから剥離する位置である剥離位置において、前記基板と前記ドラムとの間に気体を吹き付けることを特徴とする成膜方法。
  2. 前記基板を所定の搬送経路で搬送するガイドローラを少なくとも1つ有し、
    前記剥離位置が、前記ドラムから剥離した直後の前記基板を搬送するガイドローラと前記ドラムとの接線が、前記ドラムと接する点から±10mm以内の位置にある請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記剥離位置が、前記成膜室とは異なる室にあり、
    前記剥離位置を含む室の圧力が前記成膜室の圧力よりも低い請求項1または2に記載の成膜方法。
  4. 前記剥離位置を含む室の圧力が3Pa以下である請求項3に記載の成膜方法。
  5. 前記剥離位置を含む局所的な空間であるガス導入領域の圧力が前記剥離位置を含む室の圧力よりも高い請求項3または4に記載の成膜方法。
  6. 前記ガス導入領域の圧力が1〜50Paである請求項5に記載の成膜方法。
  7. 前記ガス導入領域を形成する包囲部材を有する請求項5または6に記載の成膜方法。
  8. 前記包囲部材は、前記基板と前記ドラムの周面とを利用して前記ガス導入領域を形成する請求項7に記載の成膜方法。
  9. 前記基板が前記ドラムから剥離する前に前記基板の除電を行なう請求項1〜8のいずれかに記載の成膜方法。
  10. 前記気体が不活性ガスである請求項1〜9のいずれかに記載の成膜方法。
  11. 前記気体がアルゴンまたは窒素である請求項10に記載の成膜方法。
  12. 前記成膜室を前記ドラムの周面を利用して構成する請求項1〜11のいずれかに記載の成膜方法。
  13. 前記成膜室においてCVDによって前記基板に成膜を行なう請求項1〜12に記載の成膜方法。
  14. 前記CVDがCCP−CVDである請求項13に記載の成膜方法。
JP2009266055A 2009-11-24 2009-11-24 成膜方法 Withdrawn JP2011111628A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009266055A JP2011111628A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 成膜方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009266055A JP2011111628A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 成膜方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011111628A true JP2011111628A (ja) 2011-06-09

Family

ID=44234198

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009266055A Withdrawn JP2011111628A (ja) 2009-11-24 2009-11-24 成膜方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011111628A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013203050A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Fujifilm Corp ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013203050A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Fujifilm Corp ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法
TWI567219B (zh) * 2012-03-29 2017-01-21 富士軟片股份有限公司 氣體阻隔膜及氣體阻隔膜的製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5486249B2 (ja) 成膜方法
JP5665290B2 (ja) 成膜装置
JP5513320B2 (ja) 成膜装置
JP5542488B2 (ja) 成膜装置
JP4669017B2 (ja) 成膜装置、ガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法
WO2012056707A1 (ja) プラズマcvd装置
JP2009280873A (ja) ガスバリアフィルムの製造方法
JP2011184738A (ja) ガスバリアフィルムの製造方法
JP2009221510A (ja) 成膜装置
JP2014523940A (ja) フレキシブル基板を処理する方法
JP5450202B2 (ja) 成膜装置
JP2011006788A (ja) 成膜方法、成膜装置、およびガスバリアフィルムの製造方法
JP5484846B2 (ja) 機能膜の製造装置および製造方法
JP5144393B2 (ja) プラズマcvd成膜方法およびプラズマcvd装置
JP2011111628A (ja) 成膜方法
KR101622449B1 (ko) 기능성 필름의 제조 방법
JP2013044015A (ja) 成膜装置
JP2011179084A (ja) 大気圧プラズマ装置
JP2017014618A (ja) フレキシブル基板を処理する方法
JP2010215967A (ja) ガスバリア膜の製造方法、太陽電池用ガスバリアフィルム、および、ディスプレイ用ガスバリアフィルム
JP2011122178A (ja) 成膜装置
JP2006283135A (ja) 成膜装置及び成膜方法
JP6969958B2 (ja) 薄膜形成装置および薄膜形成方法
JP5713842B2 (ja) 成膜装置
JP2009052098A (ja) 成膜装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20130205