JP2011122178A - 成膜装置 - Google Patents

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浩二 殿原
Atsushi Fujinawa
淳 藤縄
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Abstract

【課題】長尺な基板をドラムに巻き掛けて長手方向に搬送し、かつ、ドラムに電力を供給しつ成膜行なう成膜装置であって、ドラムと基板との接触位置やドラムから基板の剥離位置における異状放電を抑制し、異状放電に起因する膜質劣化等を好適に抑制できる成膜装置を提供する。
【解決手段】ドラム30と基板Zとの接触位置および/またはドラムから基板の剥離位置に、基板の幅方向の外側にドラムに対面して、多数の貫通孔を有し、かつ、導電性で接地されるアース板を配置する。
【選択図】図2

Description

本発明は、長尺な基板をドラムに巻き掛けて搬送しつつ成膜を行なう、ガスバリアフィルムの製造等に好適な成膜装置に関し、詳しくは、ドラムの異状放電を抑制し、適正な膜を安定して成膜することができる成膜装置に関する。
光学素子、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置、半導体装置、薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタや反射防止フィルム等の光学フィルムなど、各種の機能性フィルム(機能性シート)が利用されている。
また、これらの機能性フィルムの製造に、スパッタリングやプラズマCVD等の真空成膜法による成膜(薄膜形成)が利用されている。
真空成膜法によって、効率良く、高い生産性を確保して成膜を行なうためには、長尺な基板に連続的に成膜を行なうのが好ましい。
このような成膜方法を実施する装置として、長尺な基板(ウェブ状の基板)をロール状に巻回してなる供給ロールと、成膜済の基板をロール状に巻回する巻取りロールとを用いる、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の成膜装置が知られている。このロール・ツー・ロールの成膜装置は、基板に成膜を行なう成膜位置を通過する所定の経路で、供給ロールから巻取りロールまで長尺な基板を挿通し、供給ロールからの基板の送り出しと、巻取りロールによる成膜済の基板の巻取りとを同期して行いつつ、成膜位置において、搬送される基板に連続的に成膜を行なう。
このようなロール・ツー・ロールの成膜装置においては、円筒状のドラムの周面に基板を巻き掛けて搬送しつつ、このドラムの周面に対面して設けられた成膜手段によって、基板に成膜を行なう装置が知られている。
例えば、特許文献1には、基板をドラムの周面に巻き掛けて搬送しつつ、ドラムに対面して配置されるリレーアンテナからマイクロ波を放射することで原料ガスをプラズマ化し、かつ、高周波電源からドラムにバイアス電位を印加することで原料ガスをプラズマ化することにより、マイクロ波プラズマとRFプラズマとを併用してプラズマCVDによって基板に成膜を行なうCVD装置が記載されている。
また、特許文献2には、ロール状に巻回した基板を送り出す供給ロールと、成膜済みの基板を巻き取る巻取りロールとの間に、CVDによる成膜手段(CVD部)を備える複数のドラム(成膜ロール)を有し、各成膜手段の動作を個別に制御することを可能にしたCVD装置が記載されている。
さらに、この特許文献2では、原料ガスを導入するシャワー電極(ガスシャワー)とドラムとでプラズマCVD(容量結合型プラズマCVD)による成膜を行なうための電極対を構成しており、プラズマ励起電力を供給する高周波電源を、ドラムに接続する構成およびシャワー電極に接続する構成が、記載されている。
このようなドラムを用い、かつ、プラズマ生成のための放電を伴う成膜装置では、成膜領域外におけるドラムからの異状放電によって、成膜領域のプラズマが不安定になって成膜が不安定になり膜質が劣化したり、基板が損傷してしまう場合が有る。
特に、特許文献1や特許文献2に記載される構成のように、プラズマ励起電力をドラムに供給する構成や、成膜の効率向上や膜質向上のためのバイアス電位をドラムに印加する構成を有する装置では、このドラムからの異状放電に起因する成膜の不安定化(これに起因する膜質低下)や、基板の損傷が起こり易く、また、膜質劣化や基板損傷の度合いも大きくなってしまう。
従来より、このような異状放電は、装置構成に応じた絶縁構造を取ることにより抑制するのが一般的である。
しかしながら、絶縁構造によってドラムからの異状放電を完全に抑制するのは困難であり、特に、ドラムへの基板の巻き掛けが開始される位置の近傍や、ドラムと巻き掛けられて搬送される基板とが離間する位置の近傍は、絶縁構造を取るのが困難であり、放電を防止することが難しい。
このような問題点を解決するために、特許文献1に記載される装置では、圧力隔壁(仕切り板)を設けて成膜室と、基板の走行領域(走行系室)の真空度を独立して調整できるようにして、走行系室の真空度を、放電(プラズマ)が発生することが無い十分な高真空(低圧力)とすることで、異状放電の抑制を図っている。
他方、特許文献2に記載される装置では、ドラムに巻き掛けられる直前までの基板搬送領域、および、巻き掛けられた基板がドラムから離間する直後以降の搬送領域に、基板を挟むようにしてアース板(接地された導電体(静電防止導電体))を設け、静電シールドによって放電を防止することで、異状放電の抑制を図っている。
特開2000−239849号公報 WO2006−93168号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるように、圧力隔壁を設ける方法では、基板と隔壁との間に基板を搬送するための間隙が必要であり、完璧な隔離は不可能である。
そのため、隔壁の上流の室と下流の室すなわち成膜室と走行系室との圧力差を保持することができず、隔壁近傍(すなわち気体流出点)において、不要に高圧ば領域が生じてしまい、この高圧部における放電の抑制が、非常に困難になる。
他方、特許文献2に記載される方法では、圧力隔壁を設けることに起因する不都合は回避できる。
しかしながら、この方法では、搬送される基板の揺れ(いわゆるバタツキ)によって、成膜前/後の基板がアース板に擦れて、損傷してしまう場合がある。特に、ドラムと基板との離間位置での剥離による静電気は、真空中では影響が大きいため、この位置での異状放電の抑制は困難である。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、基板をドラムに巻き掛けて搬送しつつ、ドラムに電力を供給して成膜を行なう成膜装置であって、電極としても作用するドラムへの基板の巻き掛け開始位置や、同ドラムに支持されて搬送される基板とドラムとの離間位置における、ドラムからの異状放電を好適に抑制することができ、この異状放電に起因する膜質劣化や基板の損傷等を、大幅に抑制することができる成膜装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の成膜装置は、長尺な基板を円筒状のドラムの周面に巻き掛けて、長手方向に搬送しつつ、この基板に成膜を行なう成膜装置であって、前記ドラムに周面に対面して設けられる成膜手段と、前記ドラムに電力を供給する電源と、前記ドラムへの基板の巻き掛けを開始する位置の直上流で、かつ、前記基板の幅方向の外側に前記ドラムの周面と対面して設けられる、導電性で多数の貫通孔を有する板状で、さらに、接地される、入口アース板、および、前記ドラムに巻き掛けられた基板と前記ドラムとが離間する位置の直下流で、かつ、前記基板の幅方向の外側に前記ドラムの周面と対面して設けられる、導電性で多数の貫通孔を有する板状で、さらに、接地される、出口アース板の、少なくとも一方とを有することを特徴とする成膜装置を提供する。
このような本発明の成膜装置において、前記基板面と直交する方向において、前記アース板と基板との距離が20mm以下であるのが好ましく、また、前記基板の幅方向において、前記アース板は、前記基板の幅方向端部から5mm以上離間しないのが好ましい。
また、前記アース板が、メッシュ板、パンチングメタル、および、多孔質板の1以上であるのが好ましい。
また、前記アース板が、前記基板と対面する位置にも存在するのが好ましく、この際において、前記基板の幅方向外側に位置するアース板と、前記基板と対面する位置に設けられるアース板とが、一体的に構成されるのが好ましく、また、前記基板の幅方向外側に位置するアース板と、前記基板と対面する位置に設けられるアース板とが、別体であるのが好ましく、この際において、前記基板の幅方向外側に位置するアース板が、前記ドラムの周面に沿って湾曲するのが好ましい。
また、前記ドラム周面の成膜領域以外の少なくとも一部に、前記ドラムの周面に対面して配置される、導電性で接地される第2アース板を有するのが好ましく、さらに、プラズマCVDによって、前記基板に成膜を行なうのが好ましい。
上記構成を有する本発明によれば、長尺な基板をドラムに巻き掛けて長手方向に搬送しつつ成膜を行なう成膜装置において、電力を供給されて電極としても作用するドラムへの基板の巻き掛け開始位置の直上流、および/または、ドラムと基板との離間位置の直下流で、かつ、幅方向の基板の外側に、導電性で、かつ、多数の貫通孔を有するアース板を有するので、この離間する位置におけるドラム両端部からの放電をアース板で抑制することができる。
また、アース板はメッシュ状やパンチングメタル等の多数の貫通板を有するものであるので、アース板面を通してガスが流通できる。そのため、アース板を通過してガスが放出されるため、アース板を連通路としてガスが移動することがない。従って、本発明においては、アース板の端部近傍等に局所的な高圧力部が生じることがなく、これに起因する放電も、好適に抑制できる。
すなわち、本発明の成膜装置によれば、ドラムと基板とが接触を開始する領域や、ドラムと基板とが離間する領域における、ドラムからの異状放電を好適に抑制することができ、例えば、プラズマCVDによる成膜装置に利用することにより、この異状放電によって生じるプラズマの不安定化に起因する膜質の劣化や、異状放電に起因する基板の損傷等を大幅に抑制して、適正な品質を有する製品を安定して作成することができる。
本発明の成膜装置の一例を概念的に示す図である。 図1に示される成膜装置のアース板を説明するための概念図である。 本発明の成膜装置におけるアース板の配置位置を説明するための概念図である。 本発明の成膜装置におけるアース板の配置位置を説明するための概念図である。 本発明の成膜装置に利用されるアース板の別の例を説明するための概念図である。 本発明の成膜装置に利用されるアース板の別の例を説明するための概念図である。 本発明の効果を説明するための概念図である。
以下、本発明の成膜装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の成膜装置の一例を概念的に示す。
図1に示す成膜装置10は、長尺な基板Zを長手方向に搬送しつつ、プラズマCVDによって成膜を行なう装置であって、真空チャンバ12と、この真空チャンバ12内に形成される、巻出し室14と、成膜室16と、ドラム30とを有して構成される。
なお、本発明において、基板Zには、特に限定はなく、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの樹脂フィルム等、プラズマCVD等の気相堆積法(真空成膜法)による成膜が可能な可能な長尺なフィルム状物(シート状物)が、全て利用可能である。
また、樹脂フィルム等を基材として、平坦化層、保護層、密着層、反射層、反射防止層等の各種の機能を発現するための層(膜)を成膜してなるフィルム状物を、基板Zとして用いてもよい。
成膜装置10において、長尺な基板Zは、巻出し室14の基板ロール32から供給され、ドラム30に巻き掛けられた状態で長手方向に搬送されつつ、成膜室16において成膜され、再度、巻出し室14に戻されて巻取り軸34に巻き取られる(ロール状に巻回される)、前述のロール・ツー・ロール(Roll to Roll)による成膜装置である。
ドラム30は、中心線を中心に図中反時計方向に回転する円筒状の部材である。
ドラム30は、後述する巻出し室14のガイドローラ40aよって所定の経路で案内された基板Zを、周面の所定領域に掛け回して、所定位置に保持しつつ長手方向に搬送して、成膜室16において所定の経路を搬送して、再度、巻出し室14のガイドローラ40bに送る。
ここで、ドラム30は、後述する成膜室16のシャワー電極50の対向電極としても作用(すなわち、ドラム30とシャワー電極50とで電極対を構成する)する。また、ドラム30には、バイアス電源60が接続されている。この点に関しては、後に詳述する。
なお、ドラム30には、バイアス電源60のみならず、接地(アース)手段が接続され、バイアス電源60との接続と、接地とが切り換え可能であってもよい。
さらに、ドラム30は、成膜室16における、成膜中の基板Zの温度調整手段を兼ねてもよい。そのため、ドラム30は、温度調整手段を内蔵するのが好ましい。ドラム30の温度調節手段には、特に限定はなく、冷媒等を循環する温度調節手段、ピエゾ素子等を用いる冷却手段等、各種の温度調節手段が、全て利用可能である。
巻出し室14は、真空チャンバ12の内壁面12aと、ドラム30の周面と、内壁面12aからドラム30の周面の近傍まで延在する隔壁36aおよび36bとによって構成される。
ここで、隔壁36aおよび36bの先端(真空チャンバ12の内壁面と逆端)は、搬送される基板Zに接触しない可能な位置まで、ドラム30の周面に近接し、巻出し室14と成膜室16とを、略気密に分離する。
このような巻出し室14は、前述の巻取り軸34と、ガイドローラ40aおよび40bと、回転軸42と、真空排気手段46とを有する。
また、巻出し室14には、本発明の特徴的な部材である、入口アース板44および出口アース板48が配置される。この入口アース板44および出口アース板48に関しては、後に詳述する。
ガイドローラ40aおよび40bは、基板Zを所定の搬送経路で案内する通常のガイドローラである。また、巻取り軸34は、成膜済みの基板Zを巻き取る、公知の長尺物の巻取り軸である。
図示例において、長尺な基板Zをロール状に巻回してなる基板ロール32は、回転軸42に装着される。また、基板ロール32が、回転軸42に装着されると、基板Zは、ガイドローラ40a、ドラム30、および、ガイドローラ40bを経て、巻取り軸34に至る、所定の経路を通される(挿通される)。
成膜装置10においては、基板ロール32からの基板Zの送り出しと、巻取り軸34における成膜済み基板Zの巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室16において、ドラム30に巻き掛けられた基板Zの表面に成膜を行なう。
真空排気手段46は、巻出し室14内を、成膜室16の圧力(成膜圧力)に応じた圧力に減圧することにより、基板Zの送り出しおよび巻取りを行なう巻出し室14の圧力が、成膜室16および第2成膜室24での成膜に悪影響を及ぼすことを防止するためのものである。
本発明において、真空排気手段46には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプ、ドライポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。
この点に関しては、後述する真空排気手段56も同様である。
なお、巻出し室14内の圧力には、特に限定はなく、成膜室16の圧力に応じて、この圧力に悪影響を及ぼさない圧力を、適宜、設定すればよい。
ここで、ドラム30において、基板が巻き掛かっていない領域、すなわち、ドラム30に基板Zが巻き掛かり始める位置と、巻き掛けられた基板Zがドラム30から離間する位置との間における異状放電を抑制するためには、巻出し室14内の圧力は、成膜室16よりも低い圧力とするのが好ましく、特に、異状放電が生じない、十分な低圧力(高真空)を、適宜、設定するのが好ましい。
この点を考慮すると、巻出し室14内の圧力は、成膜室16の1/10以下、もしくは、10Pa以下とするのが好ましい。
図示例の成膜装置10において、巻出し室14の下方には、成膜室16が配置される。
図示例において、成膜室16は、真空チャンバ12の内壁面12aと、ドラム30の周面と、前記隔壁36aおよび36bとによって構成される。
なお、図示例においては、巻出し室14と成膜室16とは、ドラム30を利用して、隔壁36aおよび36bのみによって、略気密に隔離されるが、本発明は、これに限定はされない。
例えば、巻出し室14と成膜室16との間(ガイドローラ40aとドラム30との間、ならびに、ドラム30とガイドローラ40bとの間)に、基板Zの搬送経路のみで巻出し室14および成膜室16と連通する、両室と略気密に隔離される室を設け、此処に、圧力調整手段を設けて、この間の室を、巻出し室14と成膜室16とを分離して、両室の間でのガスの混入を防止するための、差圧室としてもよい。
図示例の成膜装置10において、成膜室16は、一例として、CCP(Capacitively Coupled Plasma 容量結合型プラズマ)−CVDによって、基板Zの表面に成膜を行なうものであり、シャワー電極50と、原料ガス供給手段52と、高周波電源54と、真空排気手段56と、第2アース板58aおよび58bとが配置される。
また、前述のように、ドラム30には、バイアス電源60が接続される。
シャワー電極50は、CCP−CVDに利用される、公知のシャワー電極である。
図示例において、シャワー電極50は、一例として、中空の略直方体状であり、1つの最大面をドラム30の周面に対面して配置される。また、シャワー電極50のドラム30との対向面には、多数の貫通穴が全面的に成膜される。
なお、図示例においては、好ましい態様として、シャワー電極50のドラム30との対向面は、ドラム30の周面に沿う様に湾曲しているが、平板状であってもよい。
なお、図示例において、成膜室16には、シャワー電極(CCP−CVDによる成膜手段)が、1個、配置されているが、本発明は、これに限定はされず、基板Zの搬送方向に、複数のシャワー電極を配列してもよい。この点に関しては、CCP−CVD以外のプラズマCVDを利用する際も同様であり、例えば、ICP−CVDによって成膜する場合には、誘導電界(誘導磁場)を成膜するためコイルを、基板Zの搬送方向に、複数、配置してもよい。
また、本発明は、シャワー電極50を用いるのにも限定はされず、通常の板状の電極と、原料ガス供給用のノズルとを用いるものであってもよい。
原料ガス供給手段52は、プラズマCVD装置等の真空成膜装置に用いられる公知のガス供給手段であり、シャワー電極50の内部に、原料ガスを供給する。
前述のように、シャワー電極50のドラム30との対向面には、多数の貫通穴が供給されている。従って、シャワー電極50に供給された原料ガスは、この貫通穴から、シャワー電極50とドラム30との間に導入される。
高周波電源54は、シャワー電極50に、プラズマ励起電力を供給する電源である。高周波電源54も、各種のプラズマCVD装置で利用されている、公知の高周波電源が、全て利用可能である。
さらに、真空排気手段56は、プラズマCVDによる成膜のために、成膜室16内を排気して、所定の成膜圧力に保つものである。
なお、本発明において、CVD成膜室における成膜方法は、図示例のCCP−CVDに限定はされず、成膜圧力が10Paよりも高い圧力で行う、例えばCat−CVD(Journal of the Society of Materials Science,Japan Vol.55 No.2 p142,Feb,2006)など、他のCVDにも利用可能である。
また、本発明の成膜装置において、CVD成膜室が成膜する膜にも、特に限定はなく、CVDによって成膜可能なものが、全て、利用可能であるが、特に、酸化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化シリコン等の無機膜や、DLC(ダイアモンドライクカーボン膜)、透明導電膜などが好ましく例示される。
前述のように、ドラム30には、バイアス電源60が接続される。
図示例の成膜装置10においては、ドラム30は、CCP−CVDによる成膜において、シャワー電極50(プラズマ励起電極)の対抗電極として作用する。成膜装置10においては、ドラム30にバイアス電源60を接続して、対抗電極であるドラム30にバイアス電位を印加することにより、成膜する膜の膜質向上や生産性(成膜効率)の向上等を図っている。
図示例において、バイアス電源60(ドラム30に電力を供給する電源)は、一例として、高周波電源であるが、本発明はこれに限定はされず、交流もしくは直流のパルス電源等、CCP−CVDにおいて対抗電極にバイアス電位を印加するために利用される電源が、全て、利用可能である。
なお、本発明において、ドラム30にバイアス電位を印加するための投入電力には、特に限定はない。ここで、バイアス電位が高い程、膜質の向上効果および生産性の向上効果が得られる反面、バイアス電位が高い程、後述するドラム30の異状放電が発生し易くなる。しかしながら、後述するように、本発明によれば、高電位のバイアス電位を印加しても、ドラム30からの基板Zの剥離部における異状放電を抑制できる。
以上の点を考慮すると、本発明において、膜質向上効果および生産性の向上効果を十分に得られ、かつ、異状放電抑制という本発明の効果が十分に発現できる等の点で、バイアス電位を印加するための投入電力は、100W以上とするのが好ましい。
図示例の成膜装置10において、成膜室16には、好ましい態様として、成膜領域以外(シャワー電極50と対面する領域以外)のドラム30の周面に対面して、第2アース板58aおよび58b(以下、両者をまとめて第2アース板58とする)が配置される。
第2アース板58は、公知の手段で接地(アース)されている、ドラム30の周面と同じ曲率で湾曲する導電性を有する板材である。
前述のように、本発明の成膜装置10では、ドラム30にバイアス電源60を接続し、ドラム30にバイアス電位を印加しつつ、CCP−CVDによって基板に成膜を行なう。
ドラム30に高いバイアス電位を印加しつつ成膜を行なうと、生産性の向上や膜質の向上を図れる。しかしながら、その反面、ドラム30に高いバイアス電位を印加(高出力の電力を供給)すると、シャワー電極50と対面する成膜領域以外でドラム30から放電する、異状放電が生じてしまう。このようなドラム30からの異状放電が発生すると、成膜領域における放電に影響を与えてしまい、その結果、成膜領域で生成されるプラズマが不安定になり、これに起因して、成膜する膜の膜質が低下してしまう。また、ドラム30からの異状放電が生じると、基板Zや成膜した膜の損傷等が生じ、さらに、装置が破損してしまう場合がある。
これに対し、図示例の成膜装置10においては、好ましい態様として、成膜室16において、成膜領域以外のドラム30の周面に対面して、導電性で、かつ接地される第2アース板58を配置する。これにより、成膜領域以外のドラム30からの異状放電を抑制して、異状放電に起因刷る膜質低下や基板損傷等の無い、適正な成膜を、安定して行なうことを可能にしている。
この第2アース板58は、基本的に、成膜領域以外の一部でドラム30に対面して配置されれば、異状放電の抑制効果が得られるが、成膜室16中における成膜領域以外のドラム30の周面を、装置の構成上可能な最大範囲を覆うのが好ましい。
また、第2アース板58とドラム30の周面の距離には、特に限定は無いが、近い方が、異状放電の抑制効果は大きく、基板Zとの接触等を考慮した装置構成上、可能な限り近接するのが好ましいが、本発明者らの検討によれば、第2アース板58とドラム30の周面の距離は、5mm以下、特に、3mm以下とすることにより、成膜室16内におけるドラムの異状放電を好適に抑制できる。
成膜室16において、ドラム30に巻き掛けられた状態で搬送され、シャワー電極50とドラム30との間においてCCP−CVD法によって成膜された基板Zは、再度、巻出し室14に至って、ガイドローラ40bに案内されて、ドラム30から離間され、所定経路を搬送されて巻取り軸34に至り、再度、ロール状に巻回される。
ここで、前述のように、巻出し室14には、入口アース板44および出口アース板48が配置される。
なお、入口アース板44と出口アース板48とは、配置位置が異なる以外は、基本的に、同様の構成および作用を有するものであるので、入口アース板44は必要な説明のみを行い、以下の説明は、出口アース板48を代表例として行なう。
図2に、出口アース板48の配置位置近傍を概念的に示す。なお、図2(図3〜図6)においては、異状放電を防止する構成をより明確に示すために、隔壁36bは省略する。
出口アース板48は、導電性を有し、かつ、公知の手段(図示省略)で接地(アース)された、多数の貫通孔を有する板状物で、ドラム30に巻き掛けられた基板Zが、ドラム30から離間する位置(以下、この位置を単に「離間位置」とする)の直下流(基板Zの搬送方向の直下流)に、基板Zの幅方向(長手方向=搬送方向と直交する方向)の両側に、ドラム30に対面して配置される。
また、入口アース板44は、出口アース板48と同様の板状物で、ドラム30への基板Zの巻き掛けを開始する位置(すなわち、ドラム30と基板Zとの接触開始位置 以下、この位置を単に「巻掛け位置」とする)の直上流に、出口アース板48と同様に設けられる。
前述のように、ドラム30は、CCP−CVDにおけるシャワー電極50の対抗電極として作用するので、離間位置は、電極からの出口と捉えることもでき、すなわち、本発明において、出口アース板48は、基板Zが電極領域から排出される、いわば、電極の出口に配置されると言うこともできる。同様に、巻掛け位置は電極への入口と捉えることもでき、入口アース板44は、基板Zが電極領域に進入する、いわば、電極の入口に配置されると言うこともできる。
ここで、図示例においては、出口アース板48は、ドラム30から離間した基板Zに平行に配置されているが、本発明は、これに限定はされず、ドラム30から離間した基板Zに対して、角度を有して配置されてもよい。また、出口アース板48は、離間位置よりも下流のみに設けられるのに限定はされず、離間位置よりも上流まで延在してもよい。
すなわち、本発明において、出口アース板48は、離間位置の直下流で、かつ、幅方向の基板Zの両外側のドラム30に対面する位置に、その一部が存在していれば、設置領域には、特に限定は無い。
なお、本発明において、離間位置の直下流とは、離間位置から搬送方向に20mm以内の領域を示す。同じく、巻掛け位置の直上流とは、接触位置から搬送方向上流に20mm以内の領域を示す。
前述のように、本発明の成膜装置10においては、基板Zを巻き掛けて搬送するドラム30に、バイアス電源60からバイアス電位を印加しつつ、成膜を行なう。
このように基板Zをドラム30に巻き掛けて長手方向に搬送し、かつ、ドラム30に電力を供給しつつ、プラズマ等を生成して基板Zに成膜を行なう装置においては、ドラム30に供給する高出力の電力によって、プラズマ生成等のために放電してほしい成膜領域以外の領域にも、ドラムからの放電(異状放電)が生じ、これが、膜質の劣化、基板Zや成膜した膜の損傷、装置の損傷等が生じるのは、前述のとおりである。
ここで、異状放電は、図1に示される第2アース板58のように、ドラム30に対面かつ近接して、接地された導電性の板状物を配置することにより、抑制できる。
しかしながら、巻掛け位置および離間位置では、基板Zがドラム30から浮き上がった状態となるために、ドラム30に対面してアース板を設置することができない。また、特に離間位置においては、ドラム30と基板Zとが離間すなわち剥離されることによって生じる静電気、いわゆる剥離放電による影響も大きく、異状放電が生じ易い。
そのため、従来の装置では、巻掛け位置および離間位置において、基板Zが存在しないドラム30の幅方向の端部領域で、異状放電が生じ易い。
このような離間位置(巻掛け位置)のドラム端部領域における異状放電は、図7に概念的に示すように、離間位置の直下流に、基板Zおよびドラム30を覆うように、第2アース板58と同様のアース板100を設けることで、ある程度、抑制することができる。
ところが、このようなアース板100を設けると、アース板100の上下流端部の近傍、例えば、アース板100からの基板Zの出口である図中に矢印aで示す部分が、局所的に高圧力になってしまい、この部分で異状放電が発生してしまう。
本発明は、このような板状のアース板100を設けることによる圧力上昇が異状放電の抑制効果を低減させていること、および、基板Zの走行方向の連続性に対して、幅方向が不連続性を有するアンバランスが、巻掛け位置および離間位置における異状放電に大きく影響していることを見出して、少なくとも基板Zの幅方向の外側両端部に、ドラム30に対面して、多数の貫通孔を有する入口アース板44および/または出口アース板48を配置することにより、異状放電を抑制することを達成したものである。
本発明において、出口アース板48(入口アース板44)の配置位置は、離間位置の直下流(巻掛け位置の直上流)に少なくとも一部が位置し、かつ、幅方向の基板Zの外側のドラム30(その周面)に少なくとも1部が対面していれば、特に限定は無い。
好ましくは、図3に概念的に示すように、基板Zの基板面と直交する方向(以下、上下方向とする)において、基板Zと出口アース板48との距離(間隔)hが、20mm以下となるように配置するのが好ましい。
なお、図示例においては、出口アース板48は、基板Zよりも上(基板面との直交方向に、基板Zよりもドラム30から遠い位置)に配置されているが、本発明は、これに限定はされず、基板Zよりも下に配置されてもよく、基板面との直交方向に基板Zと同じ位置(同じ高さ)に配置されてもよい。また、前述のように、出口アース板48は、基板Zと平行に配置されるのに限定はされず、搬送方向の途中で、基板Zと出口アース板48との上下方向の位置関係が変わってもよい。
すなわち、出口アース板48は、上下方向の基板Zとの距離hが±20mmとなるように配置するのが好ましい。
出口アース板48の上下方向の位置をこのようにすることにより、ドラム30からの異状放電をより好適に抑制できる、後述するように基板Zを覆う領域まで出口アース板48を設けた場合でも、基板Zの搬送バタツキや基板Zのカールによって基板Zが出口アース板48に接触するのを防止できる等の点で、好ましい結果を得ることができる。
なお、上下方向における基板Zと出口アース板48との距離hは、出口アース板48の全域で±20mm以下とするのが好ましいが、少なくとも一部が、この条件を満たしていればよい。
また、出口アース板48の幅方向の位置にも、特に限定は無いが、幅方向において、基板Zの端部と出口アース板48とが、5mm以上離間しないのが好ましい。
具体的には、出口アース板48は、幅方向に基板Zの端部よりも内側(ドラム30の中心側)まで延在して基板Zを覆う領域(基板Zにオーバーラップする領域)を有してもよく、出口アース板48の端部(基板Zと近接する側の端部)が、基板Zの端部よりも幅方向の外側に位置する場合には、図4に概念的に示すように、基板Zの端部と出口アース板48の端部との間隔w1を5mm以下とするのが好ましい。
さらに、幅方向において、ドラム30の端部と出口アース板48とが、5mm以上離間しないのが好ましい。
具体的には、出口アース板48は、図2にも示されるように幅方向にドラム30の端部よりも外側まで延在して、幅方向のドラム30が存在しない位置まで設けられてもよく、出口アース板48の端部(基板Zと逆側の端部)が、ドラム30の端部よりも幅方向の内側に位置する場合には、図4に概念的に示すようにドラム30の端部と出口アース板48の端部との間隔w2を5mm以下とするのが好ましい。
出口アース板48の幅方向の位置を上記構成とすることにより、ドラム30からの異状放電をより好適に抑制できる等の点で、好ましい結果を得ることができる。
また、上記効果が、より好適に得られる等の点で、間隔w1およびw2は、2mm以下、特に、0mm、すなわち、基板Zの搬送の揺らぎ等を考慮した装置構成上可能な最小値とするのが好ましい。
前述のように、出口アース板48は、基板Zを覆う領域まで設けられてもよい。
従って、図5に概念的に示すように、基板Zの外側のドラム30の両端部から基板Zの表面を覆って、幅方向の全域にわたる出口アース板70も、好適に利用可能である。
ドラム30に供給される電力が高い場合には、基板Zからも異状放電を起こす場合が有るが、この構成によれば、基板Zからの異状放電も、好適に抑制できる。
また、出口アース板70のように、幅方向の全域にわたる出口アース板を利用する場合には、幅方向に複数に分割して出口アース板を構成してもよい。例えば、図2に示すような基板Zの外側のドラム30の端部に対面する2枚の出口アース板48と、基板Zのみを覆って配置される出口アース板の、3枚から1つの出口アース板を構成してもよい。
また、この場合には、図6に概念的に示すように、基板Zの外側のドラム30の端部に対面する2枚の出口アース板72aは、ドラム30の周面に沿った湾曲状とし、基板Zを覆う出口アース板72bは、基板面に沿った平板状としてもよい。この構成によれば、ドラム30の端部に対面する出口アース板72aの全域をドラムに近接でき、かつ、基板Zからの放電も抑制できるので、より、ドラム30からの異状放電を好適に抑制できる。
なお、図1や2に示す出口アース板48も、このようにドラム30に沿って湾曲してもよいのは、もちろんである(すなわち、図6から出口アース板72bを取り除いた構成も利用可能である)。
前述のように、本発明において、離間位置に配置される出口アース板48(70および72)は、多数の貫通孔を有する、接地された導電性の板材である。
ここで、出口アース板48の貫通孔が大きすぎると、ドラム30に供給する電力によっては、貫通孔の部分でドラム30から異状放電が生じてしまう。また、貫通孔が多すぎる(すなわち、開口率が高すぎる)場合にも、ドラム30に供給する電力によっては、十分な異状放電の抑制効果が得られない場合もある。
逆に、貫通孔が少なすぎると、出口アース板48を通過してのガスの放出効果を十分に得ることが出来ない。さらに、このガスの放出効果を好適に得るためには、貫通孔は、出口アース板48の全面に均等な間隔で配列されるのが好ましい。
従って、出口アース板48の開口率、貫通孔のサイズ、貫通孔の位置は、バイアス電位等のドラム30に供給する電力、成膜室16と巻出し室14との圧力差、ドラム30と隔壁36との間隙から流出するガスの量等に応じて、適宜、設定すればよいが、上述の点を考慮すれば、導電性の材料で形成される、メッシュ板、パンチングメタル(パンチングプレート)、および多孔質板などの各種の市販品が、各種、好適に利用可能である。また、これらの出口アース板は、外周を囲む枠体を有してもよい。
図示例の成膜装置10においては、さらに、前述の巻掛け位置と離間位置との間にも、ドラム30の周面に対面して、前記第2アース板58のような第2アース板を設けるのが好ましい。
すなわち、本発明の成膜装置においては、装置構成に応じ設置可能な領域には、成膜領域ならび巻掛け位置および離間を除く全てのドラム周面に対面して、第2アース板を設けるのが好ましい。
以下、成膜装置10の作用を説明する。
前述のように、回転軸42に基板ロール32が装填されると、基板ロール32から基板Zが引き出され、ガイドローラ40a、ドラム30、およびガイドローラ40bを経て、巻取り軸34に至る所定の搬送経路を挿通される。
基板Zが挿通されたら、真空チャンバ12を閉塞して、真空排気手段46および56を駆動して、巻出し室14および成膜室16の排気を開始する。
巻出し室14および成膜室16が所定の真空度以下まで排気されたら、次いで、原料ガス供給手段52を駆動して、成膜室16に原料ガスを供給し、さらに、真空排気手段46の駆動を巻出し室16の所定圧力に応じて調節する。
巻出し室14および成膜室16の圧力が所定圧力で安定したら、ドラム30等の回転を開始して基板Zの搬送を開始し、さらに、高周波電源54およびバイアス電源60を駆動して、基板Zを長手方向に搬送しつつ、成膜室16における基板Zへの成膜を開始する。
ここで、前述のように、本発明においては、ドラム30への基板Zの巻き掛けを開始する巻掛け位置(電極への入口)に入口アース板44が、基板Zがドラム30から離間する離間位置(電極からの出口)に出口アース板48が、それぞれ配置されているので、この位置の幅方向の両端部でのドラム30からの異状放電を好適に抑制することができ、異状放電に起因する膜質劣化、基板/膜面や装置の損傷等を、好適に抑制できる。
また、図示例においては、成膜室16において、成膜領域以外に第2アース板58を設けているので、成膜室16内での異状放電も好適に抑制でき、異状放電に起因する前記不都合を、より好適に抑制できる。
図1に示す成膜装置10は、ドラム30の周面に対面するシャワー電極50にプラズマ励起電力を供給し、ドラム30にバイアス電位を印加する構成であるが、本発明は、これに限定はされず、ドラム30にプラズマ励起電力を供給する構成であってもよい。
また、成膜方法も、プラズマCVDに限定はされず、スパッタリング等も、好適に利用可能である。
すなわち、本発明は、長尺な基板をドラムに巻き掛けて搬送しつつ、ドラムに巻き掛かっている基板に成膜を行なう装置であって、かつ、ドラムに電力を供給しつつ成膜を行なうものであれば、各種の成膜方法や成膜装置に利用可能である。中でも特に、成膜圧力の関係でドラムからの異状放電が生じやすいプラズマCVD、その中でも特に、CCP−CVD法は、好適に利用可能である。
図示例の成膜装置10においては、好ましい態様として、巻掛け位置の直上流に配置される入口アース板44、および、離間位置の直下流に配置される出口アース板48の両方を有するものであるが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、本発明の成膜装置は、入口アース板44のみを有するものであっても、出口アース板48のみを有するものであってもよい。また、装置の構成上、可能であれば、入口アース板44と出口アース板48の少なくとも一部を一体的に構成してもよい。
ここで、巻き掛け位置で異状放電が生じると、基板Zの表面(成膜面)がダメージを受け、その結果、成膜面の表面性状が劣化してしまう可能性が有る。他方、前述のように、剥離位置では、剥離放電等に起因して、より、ドラムからの異状放電が生じ易い。
従って、作製する製品や成膜室16で成膜する膜、さらに、基板Zの種類(成膜面の形成材料など)等に応じて、基板Zの成膜面の表面性状が良好であることが重要な場合には、入口アース板44を設けるのが好ましく、より確実にドラムからの異状放電を抑制したい場合には、出口アース板48を設けるのが好ましい。例えば、窒化ケシリコンや酸化シリコン膜を成膜するガスバリアフィルムの製造のように、成膜面の表面性状が非常に重要な場合には、少なくとも、入口アース板44は、設けるのが好ましい。また、異状放電によるプラズマの異状変動に起因する膜質劣化の抑制や、異状放電による装置の損傷の防止等が重要である場合には、少なくとも、出口アース板48は、設けるのが好ましい。また、これらの点を考慮すれば、入口アース板44および出口アース板48の両方を有するのが最も好ましい。
以上、本発明の成膜装置について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんのことである。
以下、本発明の具体的実施例を示すことにより、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1]
図1に示す成膜装置10を用いて、基板Zに、酸化シリコン膜を成膜した。
入口アース板44および出口アース板48は、共に、ステンレス枠で囲ってなるステンレスメッシュ(線径φ0.3mm、ピッチ1mm)からなる物を用い、基板面よりも上方10mmの位置に、基板面と平行になるように配置した。また、w1およびw2は、それぞれ、2mmおよび0mmとした。すなわち、入口アース板44および出口アース板48は、図2に示すようにドラムの端部よりも外方向に延在(5mm)する構成とした。
基板Zは、ポリエステル樹脂フィルム(富士フイルム社製のポリエチレンテレフタレートフィルム)を用いた。
CCP−CVDによる酸化シリコン成膜の原料ガスは、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)、酸素ガス、および、窒素ガスを用い、成膜圧力は80Paとした。
高周波電源54は、周波数13.56MHzの高周波電源を用い、シャワー電極50に供給したプラズマ励起電力は2000Wとした。
また、バイアス電源60は周波数400kHzの高周波電源を用い、ドラム30に供給したバイアス電力は500Wとした。
このような成膜条件の下、成膜装置10において、1mの基板Zに窒化シリコン膜の成膜を行なった。基板搬送速度は2m/minとした。
成膜中、巻出し室14の剥離位置における放電の発生を目視で観察し、異状放電の状態を評価した。
評価は、成膜開始から終了まで、異状放電が認められなかった場合を◎;
成膜開始から終了までの間に、巻き掛け位置および剥離位置のいずれかの近傍で若干の異状放電が観察された場合を○;
成膜開始から終了までの間に、何れかの場所で異状放電が観察された場合を△;
成膜開始から終了までの間に、何れかの場所で強い異状放電が観察された場合を×; とした。
その結果、評価は「◎」であった。
また、成膜後のサンプルをAFM(原子間力顕微鏡)によって観察することにより、基板Zの表面性状を評価した。
評価は、基板表面に全く損傷が認められなかった場合を○;
基板表面に若干の損傷が認められるが、実用上問題が無い場合を△;
基板表面に、実用上問題となる損傷が認められた場合を×; とした。
その結果、「○」であった。
[実施例2]
入口アース板44および出口アース板48を、図5に示す出口アース板70のように幅方向の全域(全面)を覆うアース板に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、評価は「◎」であった。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、評価は「○」であった。
[実施例3]
アース板を出口アース板48のみ(すなわち、入口アース板44は無し)とした以外は、実施例1と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、巻き掛け位置の近傍で若干の異状放電が確認され、評価は「○」であった。なお、入口アース板44が無くても、巻き掛け位置で強い異状放電が生じなかったのは、出口アース板48を有することにより異状放電の原因となる電荷が出口アース板48から放出され、巻き掛け位置の近傍でも好適に異状放電の防止効果が得られたからであると考えられる。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、基板表面に若干の荒れが確認された。しかしながら、この基板表面の荒れは、実用上、何ら問題にはならない程度で、評価は「△」であった。
[実施例4]
アース板を入口アース板44のみ(すなわち、出口アース板48は無し)とした以外は、実施例1と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、剥離位置の近傍で異状放電が確認され、評価は「△」であった。しかしながら、この放電は、それほど強い放電ではなく、酸化シリコン膜の特性上は、何ら問題にならない強度であった。実施例3と同様の理由で、入口アース板44を有することで、剥離位置の近傍でも異状放電の防止効果が得られたと考えられる。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、評価は「○」であった。
[比較例1]
入口アース板44および出口アース板70の配置領域を、基板Zに対面する領域(中央部)のみとした(すなわち、ドラム30の周面と対面する領域のアース板を除去)以外は、実施例2と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、ドラム30の両端部で明らかな異状放電が確認され、評価は「△」であった。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、実用上、問題となる基板表面の荒れが確認され、評価は「×」であった。
[比較例2]
入口アース板44および出口アース板70を、同じ厚さのステンレス板に変更した以外、実施例2と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、特に入口アース板の上流側および出口アース板の下流側において、強い異状放電が確認され、評価は「×」であった。本例では、アース板を通過してガスが流れないために、アース板の上流側/下流側に局所的に圧力上昇部が発生し、ここで強い異状放電が生じたと考えられる。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、実用上、問題となる基板表面の荒れが確認され、評価は「×」であった。
[比較例3]
入口アース板44および出口アース板48を、同じ厚さのステンレス板に変更した以外は、実施例1と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、特にアース板の幅方向端部において、強い異状放電が確認され、評価は「×」であった。本例では、アース板を通過してガスが流れないために、アース板の幅方向の両端部に局所的に圧力上昇部が発生し、ここで強い異状放電が生じたと考えられる。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、実用上、問題となる基板表面の荒れが確認され、評価は「×」であった。
[比較例4]
入口アース板44および出口アース板70を、同じ厚さのステンレス板に変更した以外は、比較例1と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、特にドラム30の両端部で強い異状放電が確認され、評価は「×」であった。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、実用上、問題となる基板表面の荒れが確認され、評価は「×」であった。
[比較例5]
入口アース板44および出口アース板48を有さない以外は、実施例1と全く同様にして、基板Zに酸化シリコン膜を成膜した。
実施例1と同様に異状放電の状態を評価したところ、巻き掛け位置および剥離位置の近傍で明らかな異状放電が確認され、評価は「△」であった。
また、実施例1と同様に基板Zの表面性状を評価したところ、実用上、問題となる基板表面の荒れが確認され、評価は「×」であった。
以上の結果を、下記表1にまとめて示す。
以上の結果より明らかなように、多数の貫通孔を有するアース板を剥離位置に配置する本発明によれば、剥離位置等における放電を好適に抑制することができ、放電に起因する膜質の低下、基板などの損傷等を好適に防止することができる。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
本発明によれば、放電に起因する膜質劣化等の無い機能性フィルムを安定して製造できるので、ガスバリアフィルムの製造等に好適に利用可能である。
10 成膜装置
12 真空チャンバ
14 巻出し室
16 成膜室
30 ドラム
32 基板ロール
34 巻取り軸
36 隔壁
40 ガイドロール
42 回転軸
46,56 真空排気手段
48,70 出口アース板
50 シャワー電極
52 原料ガス供給手段
54 高周波電源
60 バイアス電源

Claims (10)

  1. 長尺な基板を円筒状のドラムの周面に巻き掛けて、長手方向に搬送しつつ、この基板に成膜を行なう成膜装置であって、
    前記ドラムに周面に対面して設けられる成膜手段と、
    前記ドラムに電力を供給する電源と、
    前記ドラムへの基板の巻き掛けを開始する位置の直上流で、かつ、前記基板の幅方向の外側に前記ドラムの周面と対面して設けられる、導電性で多数の貫通孔を有する板状で、さらに、接地される、入口アース板、および、前記ドラムに巻き掛けられた基板と前記ドラムとが離間する位置の直下流で、かつ、前記基板の幅方向の外側に前記ドラムの周面と対面して設けられる、導電性で多数の貫通孔を有する板状で、さらに、接地される、出口アース板の、少なくとも一方のアース板とを有することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記基板面と直交する方向において、前記アース板と基板との距離が20mm以下である請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記基板の幅方向において、前記アース板は、前記基板の幅方向端部から5mm以上離間しない請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記アース板が、メッシュ板、パンチングメタル、および、多孔質板の1以上である請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。
  5. 前記アース板が、前記基板と対面する位置にも存在する請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
  6. 前記基板の幅方向外側に位置するアース板と、前記基板と対面する位置に設けられるアース板とが、一体的に構成される請求項5に記載の成膜装置。
  7. 前記基板の幅方向外側に位置するアース板と、前記基板と対面する位置に設けられるアース板とが、別体である請求項5に記載の成膜装置。
  8. 前記基板の幅方向外側に位置するアース板が、前記ドラムの周面に沿って湾曲する請求項7に記載の成膜装置。
  9. 前記ドラム周面の成膜領域以外の少なくとも一部に、前記ドラムの周面に対面して配置される、導電性で接地される第2アース板を有する請求項1〜8のいずれかに記載の成膜装置。
  10. プラズマCVDによって、前記基板に成膜を行なう請求項1〜9のいずれかに記載の成膜装置。
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