JP2012229477A - 機能性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 成膜ドラムを用いるロール・トゥ・ロールを利用する、CCP−CVDによる機能性フィルムの製造において、高品質な膜を成膜することができ、かつ、高密度なプラズマに起因する基板の熱損傷も防止できる製造方法を提供する。
【解決手段】 所定の中央領域と、この中央領域の外側の領域とで、ドラム表面温度を異なる温度とすることにより、前記課題を解決する。
【選択図】図3
【解決手段】 所定の中央領域と、この中央領域の外側の領域とで、ドラム表面温度を異なる温度とすることにより、前記課題を解決する。
【選択図】図3
Description
本発明は、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、容量結合プラズマCVDによって成膜を行なってガスバリアフィルム等の機能性フィルムを製造する製造方法に関する。
光学素子、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置、半導体装置、薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタや反射防止フィルム等の光学フィルムなど、各種の機能性フィルム(機能性シート)が利用されている。
これらの機能性フィルムの製造に、容量結合プラズマCVD(CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD)が利用されている。
周知のように、CCP−CVDとは、電極対にプラズマ励起電力を供給しつつ、この電極間に原料ガスを供給することにより、電極間で原料ガスのプラズマを生成して、電極間に配置した基板に成膜を行なうものである。
周知のように、CCP−CVDとは、電極対にプラズマ励起電力を供給しつつ、この電極間に原料ガスを供給することにより、電極間で原料ガスのプラズマを生成して、電極間に配置した基板に成膜を行なうものである。
また、CCP−CVDに限らず、効率良く、高い生産性を確保して成膜を行なうためには、長尺な基板(ウェブ状の基板)を長手方向に搬送しつつ、連続的に成膜を行なうのが好ましい。
このような成膜方法を実施する装置として、長尺な基板をロール状に巻回してなる基板ロールから基板を送り出し、成膜済みの基板をロール状に巻回する、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll(以下、RtoRともいう))による成膜が知られている。
このRtoRによる成膜では、成膜位置を含む所定の経路で、基板ロールから巻取り軸まで所定の搬送経路で長尺な基板を通紙し(所定の搬送経路に基板を通し)、基板ロールからの基板の送り出しと、巻取り軸による成膜済の基板の巻取りとを同期して行いつつ、成膜位置において、長手方向に搬送される基板に連続的に成膜を行なう。
このような成膜方法を実施する装置として、長尺な基板をロール状に巻回してなる基板ロールから基板を送り出し、成膜済みの基板をロール状に巻回する、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll(以下、RtoRともいう))による成膜が知られている。
このRtoRによる成膜では、成膜位置を含む所定の経路で、基板ロールから巻取り軸まで所定の搬送経路で長尺な基板を通紙し(所定の搬送経路に基板を通し)、基板ロールからの基板の送り出しと、巻取り軸による成膜済の基板の巻取りとを同期して行いつつ、成膜位置において、長手方向に搬送される基板に連続的に成膜を行なう。
さらに、CCP−CVDによってRtoRでの成膜を行なう際には、表面(周面)に基板を巻き掛けて搬送する円筒状のドラムを用い、このドラムと、ドラムの表面に対面する成膜電極とで電極対を構成するのが好ましい。
このドラムを用いるRtoRによれば、基板の搬送位置を安定させることができ、成膜電極と基板との位置関係を適正に保って、CCP−CVDによって安定して好適な成膜を行なうことができる。
このドラムを用いるRtoRによれば、基板の搬送位置を安定させることができ、成膜電極と基板との位置関係を適正に保って、CCP−CVDによって安定して好適な成膜を行なうことができる。
ここで、CCP−CVDよる成膜では、長尺な基板の幅方向において、成膜電極の端部近傍でプラズマの密度が高くなる。RtoRでのCCP−CVDよる成膜では、搬送される基板の位置は、幅方向には一定である。そのため、RtoRを利用するCCP−CVDでは、長尺な基板の幅方向において、成膜電極の端部近傍に位置する領域は、成膜中、常に、高密度のプラズマに曝される。その結果、プラズマの熱によって基板がダメージを受け、基板の軟化や損傷等が生じる場合が有る。
このような問題に対して、開口を有するマスクを基板と成膜電極との間に配置して、成膜範囲を限定することで、プラズマによる熱で基板がダメージを受けるのを防ぐ方法も知られている。
しかしながら、この方法では、プラズマによる熱で高温になったマスクからの輻射熱によって、基板がダメージを受けるので、十分な対策とは言えない。
しかしながら、この方法では、プラズマによる熱で高温になったマスクからの輻射熱によって、基板がダメージを受けるので、十分な対策とは言えない。
一方で、特許文献1に示されるように、ドラムを利用するRtoRによるCCP−CVDによる基板への成膜において、ドラムを冷却することにより、基板の熱ダメージを防止する方法も、知られている。
特許文献1に示されるように、ドラムを利用するRtoRによるCCP−CVDにおいては、ドラムを用いて基板搬送の安定すると共に、ドラムを冷却することにより、基板が高温になることを防止して、プラズマの熱による基板のダメージを防止できる。
しかしながら、その反面、この方法では、プラズマの密度が高くない、幅方向の中央部まで、不要に基板を冷却してしまう。
そのため、基板の中央部は、成膜時における基板温度(成膜温度)が低い事に起因して、例えば膜の密度が低くなってしまい、目的とする品質を有する膜を成膜できなくなってしまう場合が有る。
そのため、基板の中央部は、成膜時における基板温度(成膜温度)が低い事に起因して、例えば膜の密度が低くなってしまい、目的とする品質を有する膜を成膜できなくなってしまう場合が有る。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、ドラムを用いるRtoRを利用して、CCP−CVDによって成膜を行なう機能性フィルムの製造において、基板の端部(端部近傍)における高密度プラズマによる基板の熱ダメージを防止でき、しかも、中央部は高密度で高品質な膜を成膜できる、機能性フィルムの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の機能性フィルムの製造方法は、円筒状のドラムの表面に長尺な基板を巻き掛けて、前記ドラムを回転することにより、前記基板を長手方向に搬送しつつ、前記基板の幅方向において、所定の中央領域と、この中央領域の外側の外側領域とで、前記ドラムの表面に温度差を生じさせた状態で、前記ドラムと、このドラムの表面に対面する成膜電極とで電極対を形成して、容量結合プラズマCVDによって前記基板に成膜を行なうことを特徴とする機能性フィルムの製造方法を提供する。
このような本発明の機能性フィルムの製造方法において、前記中央領域の方が高温となるように、前記中央領域と外側領域とで、前記ドラムの表面に温度差を生じさせるのが好ましい。
また、前記中央領域と外側領域との境界が、前記基板の幅方向のドラム中央から外方に向かう両側の各々で、プラズマが最高密度になる位置であるプラズマ端部より、内側に設定されるのが好ましい。
また、前記中央領域と外側領域との境界を、前記プラズマ端部よりも内側に50mm以内の位置に設定するのが好ましい。
また、前記外側領域を、前記プラズマ端部よりも外側に50mm以内の位置まで設定するのが好ましい。
また、前記中央領域と外側領域との境界が、前記基板の幅方向のドラム中央から外方に向かう両側の各々で、プラズマが最高密度になる位置であるプラズマ端部より、内側に設定されるのが好ましい。
また、前記中央領域と外側領域との境界を、前記プラズマ端部よりも内側に50mm以内の位置に設定するのが好ましい。
また、前記外側領域を、前記プラズマ端部よりも外側に50mm以内の位置まで設定するのが好ましい。
また、前記中央領域と外側領域とのドラム表面の温度差を20〜60℃とするのが好ましい。
また、前記外側領域のドラム表面の温度を−20〜20℃とするのが好ましい。
また、前記外側領域のドラム表面の温度を−20〜20℃とするのが好ましい。
また、前記成膜電極を前記基板面方向に囲んで、プラズマを封じ込めるためのアースシールドを配置するのが好ましい。
さらに、前記成膜電極が、前記ドラムとの対向面に原料ガスを供給する供給孔を複数有するのが好ましい。
さらに、前記成膜電極が、前記ドラムとの対向面に原料ガスを供給する供給孔を複数有するのが好ましい。
上記構成を有する本発明の機能性フィルムの製造方法によれば、ドラムを用いるロール・トゥ・ロールを利用して、容量結合プラズマCVD(CCP−CVD)によって成膜を行なう際に、プラズマの密度が高くなる、基板の幅方向(ドラム回転軸方向)の端部近傍での基板の熱損傷を好適に防止でき、しかも、高プラズマ密度領域よりも内側の中央領域では、基板の温度を適正に保って成膜を行なうことができる。
そのため、本発明の製造方法によれば、プラズマの熱による基板の軟化や損傷等の熱ダメージを防止した上で、高密度で高品質な膜を成膜することができる。
そのため、本発明の製造方法によれば、プラズマの熱による基板の軟化や損傷等の熱ダメージを防止した上で、高密度で高品質な膜を成膜することができる。
以下、本発明の機能性フィルムの製造方法について、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。
図1に、本発明の機能性フィルムの製造方法の一例を実施する、プラズマCVD装置の一例を概念的に示す。
図1に示すプラズマCVD装置10(以下、CVD装置10とする)は、長尺な基板Z(ウエブ状のフィルム原反)を長手方向に搬送しつつ、この基板Zの表面に、容量結合プラズマCVD(CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD)による成膜を行って、ガスバリアフィルムや各種の光学フィルムなどの機能性フィルムを製造するものである。ここで、本発明の製造方法を実施するCVD装置10では、円筒状のドラム38に基板Zを巻き掛けて搬送すると共に、このドラム38と成膜電極40とで電極対を構成して、CCP−CVDによる成膜を行なう。
また、このCVD装置10は、長尺な基板Zをロール状に巻回してなる基板ロール12から基板Zを送り出し、基板Zを長手方向に搬送しつつ成膜を行って、成膜済の基板Zを巻取り軸14に、再度、ロール状に巻き取る、いわゆるロール・トゥ・ロール(Roll to Roll 以下、RtoRともいう)による成膜を行なう装置である。
図1に示すプラズマCVD装置10(以下、CVD装置10とする)は、長尺な基板Z(ウエブ状のフィルム原反)を長手方向に搬送しつつ、この基板Zの表面に、容量結合プラズマCVD(CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD)による成膜を行って、ガスバリアフィルムや各種の光学フィルムなどの機能性フィルムを製造するものである。ここで、本発明の製造方法を実施するCVD装置10では、円筒状のドラム38に基板Zを巻き掛けて搬送すると共に、このドラム38と成膜電極40とで電極対を構成して、CCP−CVDによる成膜を行なう。
また、このCVD装置10は、長尺な基板Zをロール状に巻回してなる基板ロール12から基板Zを送り出し、基板Zを長手方向に搬送しつつ成膜を行って、成膜済の基板Zを巻取り軸14に、再度、ロール状に巻き取る、いわゆるロール・トゥ・ロール(Roll to Roll 以下、RtoRともいう)による成膜を行なう装置である。
本発明の製造方法において、成膜を行う基板(基材/基体)Zには、特に限定はなく、プラズマCVDによる成膜が可能な、各種の長尺なシート状物が、全て利用可能である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの有機物からなるプラスチック(樹脂)フィルムが、基板Zとして、好適に利用可能である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの有機物からなるプラスチック(樹脂)フィルムが、基板Zとして、好適に利用可能である。
また、本発明においては、このようなプラスチックフィルム等を支持体として、その上に、保護層、接着層、光反射層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための層(膜)が形成されているシート状物を基板Zとして用いてもよい。
この際においては、基板の上に1層のみが形成されたシート状物を基板Zとして用いてもよく、あるいは、基板の上に、複数層が形成されたシート状物を基板Zとして用いてもよい。また、基板Zが、基板の上に複数層が形成されたシート状物である場合には同じ層を複数層有してもよい。
この際においては、基板の上に1層のみが形成されたシート状物を基板Zとして用いてもよく、あるいは、基板の上に、複数層が形成されたシート状物を基板Zとして用いてもよい。また、基板Zが、基板の上に複数層が形成されたシート状物である場合には同じ層を複数層有してもよい。
前述のように、図1に示すCVD装置10は、長尺な基板Zを巻回してなる基板ロール12から基板Zを送り出し、基板Zを長手方向に搬送しつつ成膜を行って、再度、巻取り軸14によってロール状に巻き取る、RtoRによる成膜を行なう装置である。このCVD装置10は、供給室18と、成膜室20と、巻取り室24とを有している。
なお、CVD装置10は、図示した部材以外にも、各種のセンサ、搬送ローラ対や基板Zの幅方向の位置を規制するガイド部材など、基板Zを所定の経路で搬送するための各種の部材(搬送手段)等、長尺な基板Zに、RtoRによって、プラズマCVDで成膜を行なう装置が有する各種の部材を有してもよい。
なお、CVD装置10は、図示した部材以外にも、各種のセンサ、搬送ローラ対や基板Zの幅方向の位置を規制するガイド部材など、基板Zを所定の経路で搬送するための各種の部材(搬送手段)等、長尺な基板Zに、RtoRによって、プラズマCVDで成膜を行なう装置が有する各種の部材を有してもよい。
供給室18は、回転軸28と、ガイドローラ30と、真空排気手段32とを有する。
長尺な基板Zを巻回した基板ロール12は、供給室18の回転軸28に装填される。
回転軸28に基板ロール12が装填されると、基板Zが基板ロール12から引き出され、供給室18から、成膜室20を通り、巻取り室24の巻取り軸14に至る所定の搬送経路を通紙される(基板Zが、所定の搬送経路を通される)。
CVD装置10においては、基板ロール12からの基板Zの送り出しと、巻取り室24の巻取り軸14における基板Zの巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室20において、基板Zに、CCP−CVDによる成膜を連続的に行なう。
長尺な基板Zを巻回した基板ロール12は、供給室18の回転軸28に装填される。
回転軸28に基板ロール12が装填されると、基板Zが基板ロール12から引き出され、供給室18から、成膜室20を通り、巻取り室24の巻取り軸14に至る所定の搬送経路を通紙される(基板Zが、所定の搬送経路を通される)。
CVD装置10においては、基板ロール12からの基板Zの送り出しと、巻取り室24の巻取り軸14における基板Zの巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室20において、基板Zに、CCP−CVDによる成膜を連続的に行なう。
供給室18は、図示しない駆動源によって回転軸28を図中時計方向に回転して、基板ロール12から基板Zを送り出し、ガイドローラ30によって所定の経路を案内して、基板Zを、隔壁34に設けられたスリット34aから、成膜室20に送る。
図示例のCVD装置10においては、好ましい態様として、供給室18に真空排気手段32を、巻取り室24に真空排気手段70を、それぞれ設けている。CVD装置10においては、成膜中は、それぞれの真空排気手段によって、供給室18および巻取り室24の圧力を、後述する成膜室20の圧力(成膜圧力)に応じた、所定の圧力に保つ。これにより、隣接する室の圧力が、成膜室20の圧力(すなわち、成膜室20での成膜)に影響を与えることを防止している。
真空排気手段32には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ドライポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。この点に関しては、後述する他の真空排気手段60および70も同様である。
真空排気手段32には、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ドライポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種、利用可能である。この点に関しては、後述する他の真空排気手段60および70も同様である。
前述のように、基板Zは、ガイドローラ30によって案内されて、隔壁34のスリット34aから成膜室20に搬送される。
成膜室20は、基板Zの表面に、CCP−CVDによって成膜(膜を形成)するものである。図示例において、成膜室20は、ドラム38と、成膜電極40と、ガイドローラ42、46、48および50と、温度調節手段52と、高周波電源54と、ガス供給手段56と、アースシールド58と、真空排気手段60とを有する。
成膜室20は、基板Zの表面に、CCP−CVDによって成膜(膜を形成)するものである。図示例において、成膜室20は、ドラム38と、成膜電極40と、ガイドローラ42、46、48および50と、温度調節手段52と、高周波電源54と、ガス供給手段56と、アースシールド58と、真空排気手段60とを有する。
成膜室20のドラム38は、中空の円筒状の部材で、中心線を前記円筒と一致する回転軸38aを中心に、図中矢印方向(反時計方向)に回転する。
ドラム38は、ガイドローラ42および46によって所定の経路に案内された基板Zを、表面の所定領域に掛け回して(所定の巻き掛け角で掛け回して)、図示しない駆動減によって回転することにより、基板Zを、後述する成膜電極40に対面する所定位置に位置しつつ、長手方向に搬送する。
ドラム38は、ガイドローラ42および46によって所定の経路に案内された基板Zを、表面の所定領域に掛け回して(所定の巻き掛け角で掛け回して)、図示しない駆動減によって回転することにより、基板Zを、後述する成膜電極40に対面する所定位置に位置しつつ、長手方向に搬送する。
本発明の製造方法において、基板Zを掛け回して搬送するドラム38は、CCP−CVDにおける対向電極としても作用する。すなわち、ドラム38と成膜電極40とで、CCP−CVDによる成膜を行なうための電極対を形成する。
そのため、ドラム38には、バイアス電力を供給するためのバイアス電源を接続してもよく、あるいは、接地してもよい。あるいは、バイアス電源との接続と接地とが、切り換え可能であってもよい。
そのため、ドラム38には、バイアス電力を供給するためのバイアス電源を接続してもよく、あるいは、接地してもよい。あるいは、バイアス電源との接続と接地とが、切り換え可能であってもよい。
また、図3に概念的に示すように、ドラム38は、基板Zが掛け回される表面(ドラム38の外周面=基板Zの当接面)の温度を調節するための、誘導加熱コイル62および温調管64を内蔵している。この誘導加熱コイル62および温調管64は、温度調節手段52に接続されている。
この点に関しては、後に詳述する。
この点に関しては、後に詳述する。
成膜電極40は、基板Zの対向面から原料ガスを噴射する、CCP−CVDによる成膜に利用される、公知の、いわゆるシャワー電極(シャワープレート)である。
図示例において、成膜電極40は、一例として、一面がドラム38(すなわち基板Z)に対面して配置される、内部に空間(ガス供給空間)が形成された、略直方体形状を有する。また、成膜電極40のドラム38と対向(対面)する面は、ドラム38と表面と平行になるように(すなわち、ドラム38と成膜電極との間隔が全面的に均一になるように)、凹状の曲面となっている。
なお、成膜電極40も、ドラム38と同様、公知の温度調節手段を有してもよい。
図示例において、成膜電極40は、一例として、一面がドラム38(すなわち基板Z)に対面して配置される、内部に空間(ガス供給空間)が形成された、略直方体形状を有する。また、成膜電極40のドラム38と対向(対面)する面は、ドラム38と表面と平行になるように(すなわち、ドラム38と成膜電極との間隔が全面的に均一になるように)、凹状の曲面となっている。
なお、成膜電極40も、ドラム38と同様、公知の温度調節手段を有してもよい。
前述のように、成膜電極40は、いわゆるシャワー電極であり、図2に概念的に示すように、ドラム38との対向面には、多数のガス供給40a孔が形成されている。このガス供給孔40aは、前述の成膜電極40の内部空間に連通している。また、後述するガス供給手段56は、この成膜電極40の内部空間に原料ガスを供給する。
従って、ガス供給手段56から供給された原料ガスは、成膜電極40のガス供給孔40aから、ドラム38(基板Z)と成膜電極40との間に供給される。
従って、ガス供給手段56から供給された原料ガスは、成膜電極40のガス供給孔40aから、ドラム38(基板Z)と成膜電極40との間に供給される。
なお、本発明において、成膜電極40は、図示例のような曲面を有するものに限定はされず、内部ガス供給空間を有する直方体状であってもよく、あるいは、ドラム表面は平行ではない曲面を有するものであってもよい。すなわち、本発明においては、CCP−CVDにおいて使用されている公知のシャワー電極が、全て、利用可能である。
図示例においては、成膜室20には成膜電極40(CCP−CVDによる成膜手段)が、1個、配置されているが、本発明は、これに限定はされず、基板Zの搬送方向に、複数の成膜電極を配列してもよい。
また、本発明は、シャワー電極を用いる構成にも限定はされず、原料ガスの吹き出し口(原料ガスの供給手段)を有さない成膜電極と、電極対の間に原料ガスを供給するノズル等を用いるCCP−CVDであってもよい。
また、本発明は、シャワー電極を用いる構成にも限定はされず、原料ガスの吹き出し口(原料ガスの供給手段)を有さない成膜電極と、電極対の間に原料ガスを供給するノズル等を用いるCCP−CVDであってもよい。
図示例のCVD装置10においては、好ましい態様として、成膜室20には、アースシールド58が配置される。なお、成膜室20の構成を明確にするために、図1においては、アースシールド58は破線で示す。
図2に示すように、アースシールド58は、基材Zの面方向で成膜電極46を囲むように配置された、筒状(図示例においては、略四角筒状)の部材である。プラズマCCP−CVDに用いられる公知のアースシールドと同様、アースシールド58は、導電性の材料で形成され、かつ、通常、接地(アース)されている。
このようなアースシールド58を用いることにより、基材Zと成膜電極40との間に、生成されたプラズマを封じ込めることができ、プラズマを有効利用して、効率の良い成膜を行うことができる。
図2に示すように、アースシールド58は、基材Zの面方向で成膜電極46を囲むように配置された、筒状(図示例においては、略四角筒状)の部材である。プラズマCCP−CVDに用いられる公知のアースシールドと同様、アースシールド58は、導電性の材料で形成され、かつ、通常、接地(アース)されている。
このようなアースシールド58を用いることにより、基材Zと成膜電極40との間に、生成されたプラズマを封じ込めることができ、プラズマを有効利用して、効率の良い成膜を行うことができる。
通常、アースシールド58は、成膜電極46との間隔(基板面方向の間隔)を狭くして、成膜電極46との間で放電(プラズマの生成)が生じないように、形成/配置される。
また、図示例においては、好ましい態様として、アースシールド58も、上端(ドラム38の端部)が、ドラム38の表面と平行になる形状を有している。
また、図示例においては、好ましい態様として、アースシールド58も、上端(ドラム38の端部)が、ドラム38の表面と平行になる形状を有している。
ガス供給手段56は、プラズマCVD装置等の真空成膜装置に用いられる、公知のガス供給手段である。
前述のように、ガス供給手段56は、成膜電極40の内部空間に原料ガスを供給する。また、成膜電極40の表面(ドラム38との対向面)には、内部空間に連通する多数のガス供給孔40aが形成されている。従って、成膜電極40に供給された原料ガスは、このガス供給孔40aから、成膜電極40とドラム38との間に供給される。
前述のように、ガス供給手段56は、成膜電極40の内部空間に原料ガスを供給する。また、成膜電極40の表面(ドラム38との対向面)には、内部空間に連通する多数のガス供給孔40aが形成されている。従って、成膜電極40に供給された原料ガスは、このガス供給孔40aから、成膜電極40とドラム38との間に供給される。
本発明の機能性フィルムの製造方法において、基板Zに成膜する膜(すなわち、製造する機能性フィルム)には、特に限定はなく、ガスバリア膜(水蒸気バリア膜)、光反射防止膜や波長帯域フィルタ膜などの各種の光学的な特性を発現する膜、保護膜等、製造する機能性フィルムに要求される機能を発現する膜が、各種、成膜可能である。
従って、ガス供給手段56が供給する原料ガス(プロセスガス/材料ガス)は、基板Zの表面に成膜する膜に応じた、公知のものでよい。
例えば、CVD装置10が、基板Zの表面に窒化ケイ素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造する場合には、ガス供給手段56は、CCP−CVDによる窒化ケイ素膜の成膜に利用される公知の原料ガスを、成膜電極40に供給すればよい。具体的には、窒化ケイ素膜を成膜する場合には、ガス供給手段56は、原料ガスとして、シランガス、アンモニアガスおよび水素ガスの組み合わせや、シランガス、アンモニアガスおよび窒素ガスの組み合わせ等を供給すればよい。
例えば、CVD装置10が、基板Zの表面に窒化ケイ素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造する場合には、ガス供給手段56は、CCP−CVDによる窒化ケイ素膜の成膜に利用される公知の原料ガスを、成膜電極40に供給すればよい。具体的には、窒化ケイ素膜を成膜する場合には、ガス供給手段56は、原料ガスとして、シランガス、アンモニアガスおよび水素ガスの組み合わせや、シランガス、アンモニアガスおよび窒素ガスの組み合わせ等を供給すればよい。
高周波電源54は、成膜電極40に、プラズマ励起電力を供給する電源である。高周波電源54も、13.56MHzの高周波電力を供給する電源等、各種のプラズマCVD装置で利用されている、公知の高周波電源が、全て利用可能である。
なお、高周波電源54から成膜電極40への電力供給線は、少なくとも一部が、可撓性を有する線によって行なう。
なお、高周波電源54から成膜電極40への電力供給線は、少なくとも一部が、可撓性を有する線によって行なう。
真空排気手段60は、プラズマCVDによる成膜のために、成膜室内を排気して、所定の成膜圧力に保つものであり、前述のように、真空成膜装置に利用されている、公知の真空排気手段である。
なお、本発明の製造方法において、基板Zの搬送速度、成膜圧力、原料ガスの供給量、プラズマ励起電力の強さなどの成膜条件には、特に限定はない。
すなわち、成膜条件は、通常のプラズマCVDによる成膜と同様、成膜する膜、要求される成膜速度、成膜する膜厚、基板Zの種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
すなわち、成膜条件は、通常のプラズマCVDによる成膜と同様、成膜する膜、要求される成膜速度、成膜する膜厚、基板Zの種類等に応じて、適宜、設定すればよい。
図3に、ドラム38の内部を概念的に示す。なお、前述のように、成膜電極40およびアースシールド58は、ドラム38との対向面が、ドラム38の表面に沿って湾曲しているが、図3では、ドラム38の回転方向の一部の形状を示している。
図3に示すように、ドラム38は、ドラム38の表面温度を調節するための誘導加熱コイル62および温調管64を内蔵している。
図3に示すように、ドラム38は、ドラム38の表面温度を調節するための誘導加熱コイル62および温調管64を内蔵している。
温調管64は、後述する外側領域のドラム38の表面温度を調節するものである。この温調管64は、基板Zの幅方向(図3中矢印x)において、ドラム38の両端部の近傍に配置される、断面が略長方形で外径がドラム68の内径よりも、若干小さい、円環状の液体流路である。なお、基板Zの幅方向とは、すなわち、ドラム38の回転軸方向であり、かつ、基板Zの搬送方向と直交する方向である。
この温調管64は、外面がドラム68の内面と離間していてもよく、あるいは、外面がドラム68の内面に接触してもよい。
この温調管64は、外面がドラム68の内面と離間していてもよく、あるいは、外面がドラム68の内面に接触してもよい。
図3に示すように、2つの温調管64は、各々、循環路64aによって温度調節手段52に接続される。また、2つの温調管64は、接続路64bによって接続される。
従って、温度調節手段52から、一方の循環路64aに液体状の温度調整媒体(以下、温調媒体とする)を供給することにより、温度調節手段52と両温調管64との間で、温調媒体が循環され、ドラム68の両端部の温調管64と対面する領域が温度調節される。
従って、温度調節手段52から、一方の循環路64aに液体状の温度調整媒体(以下、温調媒体とする)を供給することにより、温度調節手段52と両温調管64との間で、温調媒体が循環され、ドラム68の両端部の温調管64と対面する領域が温度調節される。
一方、誘導加熱コイル62は、後述する中央領域のドラム38の表面温度を調節するものである。この誘導加熱コイル62は、通電されることで誘導加熱によって熱を発生する、公知の螺旋状の誘導加熱用のコイルで、2つの温調管64の内側(幅方向の内側)に配置される。
誘導加熱コイル62は、その螺旋の外周を、ドラム68の内面と、若干、離間して配置され、温度調節手段52(その電源)に接続されている。従って、誘導加熱コイル62に通電することにより、温調管64の内側の誘導加熱コイル62と対面する領域が、加熱される。
誘導加熱コイル62は、その螺旋の外周を、ドラム68の内面と、若干、離間して配置され、温度調節手段52(その電源)に接続されている。従って、誘導加熱コイル62に通電することにより、温調管64の内側の誘導加熱コイル62と対面する領域が、加熱される。
温度調節手段52は、ドラム38の表面温度の調節を行なうものである。
前述のように、ドラム38は、表面の温度を調節するための温調管64および誘導加熱コイル62を内蔵している。従って、温度調節手段52は、温調管64に供給する温調媒体の温度調節手段、温調媒体を温調管64に供給/循環する送液ポンプ、誘導加熱コイル62に発熱のための電力を供給する電源、誘導加熱コイル62への供給電力の制御手段等を有して構成される。
なお、図示例においては、ドラム38の回転軸38aを介して、循環路64aおよび誘導加熱コイル62と、温度調節手段52とを接続している。これらの接続は、公知の方法によって行なえばよい。この点に関しては、他の例も同様である。
前述のように、ドラム38は、表面の温度を調節するための温調管64および誘導加熱コイル62を内蔵している。従って、温度調節手段52は、温調管64に供給する温調媒体の温度調節手段、温調媒体を温調管64に供給/循環する送液ポンプ、誘導加熱コイル62に発熱のための電力を供給する電源、誘導加熱コイル62への供給電力の制御手段等を有して構成される。
なお、図示例においては、ドラム38の回転軸38aを介して、循環路64aおよび誘導加熱コイル62と、温度調節手段52とを接続している。これらの接続は、公知の方法によって行なえばよい。この点に関しては、他の例も同様である。
ここで、本発明の製造方法は、基板Zを掛け回して搬送し、かつ、成膜電極40と共に電極対を構成するドラム38を用い、RtoRを利用するCCP−CVDによって、基板Zに成膜を行なうことにより、機能性フィルムを製造するものである。
本発明においては、このようなCCP−CVDによる成膜において、図中矢印xで示す基板Zの幅方向に、幅方向中央の所定領域である中央領域と、この中央領域の幅方向両外側の外側領域とを設定し、中央領域と外側領域とで、ドラム38の表面の温度(以下、単に、『ドラム38の温度』とも言う)に温度差を生じさせた状態で、成膜を行なう。
好ましくは、中央領域の温度が、外側領域の温度よりも高くなるように、両領域の間に温度差を生じさせる。
本発明においては、このようなCCP−CVDによる成膜において、図中矢印xで示す基板Zの幅方向に、幅方向中央の所定領域である中央領域と、この中央領域の幅方向両外側の外側領域とを設定し、中央領域と外側領域とで、ドラム38の表面の温度(以下、単に、『ドラム38の温度』とも言う)に温度差を生じさせた状態で、成膜を行なう。
好ましくは、中央領域の温度が、外側領域の温度よりも高くなるように、両領域の間に温度差を生じさせる。
図示例のドラム38においては、誘導加熱コイル62によって中央領域の温度調節を行ない、温調管64によって外側領域の温度調節を行なう。これにより、中央領域と外側領域とで、独立して温度調節を行い(独立した温度調節手段を設け)、中央領域と外側領域とでドラム38に温度差を生じさせた状態で、成膜を行なう。
なお、以下の説明では、特に記載が無い場合には、内側/外側/中央/端部等は、全て、幅方向を示すものとする。
ここで、中央領域と外側領域との境界には、特に限定はない。しかしながら、ドラム38の幅方向中央から両外側に向かう幅方向の位置において、プラズマの密度が最も高くなる位置(プラズマ端部)よりも内側に、中央領域と外側領域との境界を設けて、中央領域と外側領域とを設定するのが好ましい。
一例として、図4にドラム38の一方の端部(図中右端)で模式的に示すように、一点鎖線で示すアースシールド58の内側端部の位置が、幅方向の両側で最もプラズマ密度が高いプラズマ端部Peである場合には、矢印x1で示す、このプラズマ端部Peよりも内側に、中央領域と外側領域との境界を設けるのが、好ましい。
一例として、図4にドラム38の一方の端部(図中右端)で模式的に示すように、一点鎖線で示すアースシールド58の内側端部の位置が、幅方向の両側で最もプラズマ密度が高いプラズマ端部Peである場合には、矢印x1で示す、このプラズマ端部Peよりも内側に、中央領域と外側領域との境界を設けるのが、好ましい。
ここで、プラズマ端部Peの位置は、装置構成によって異なる。
一般的には、図示例の装置のようにアースシールド58を有する場合には、アースシールド58の内側端部の位置、あるいは、成膜電極40とアースシールド58のと間が、最もプラズマの密度が高いプラズマ端部Peとなる。
一般的には、図示例の装置のようにアースシールド58を有する場合には、アースシールド58の内側端部の位置、あるいは、成膜電極40とアースシールド58のと間が、最もプラズマの密度が高いプラズマ端部Peとなる。
しかしながら、プラズマ端部Peの位置は、成膜領域(あるいはさらに、その近傍)に配置される部材の形状や構造、同部材の位置やサイズ、成膜電極38とアースシールド40との間隙などの部材同士の位置関係等、様々な要因に影響を受ける場合がある。例えば、ドラム、成膜電極およびアースシールドの形状や位置関係が一緒でも、図示例のようなシャワー電極を用いる場合と、ノズルによって原料ガスを導入する場合とでは、プラズマ端部Peの位置が異なる場合が有る。
従って、プラズマ端部Peの位置は、本発明の機能性フィルムの製造方法を実施する成膜装置に応じて、中央から、両外側に向かう幅方向の両側の位置で、最もプラズマ密度の高い位置を、実験やシミュレーションによって検出すればよい。
なお、基板Zを巻き掛けて搬送するドラムを利用するCCP−CVDによる成膜では、基板Zの搬送方向の位置が異なっても、プラズマ端部Peの位置は一定である。
従って、プラズマ端部Peの位置は、本発明の機能性フィルムの製造方法を実施する成膜装置に応じて、中央から、両外側に向かう幅方向の両側の位置で、最もプラズマ密度の高い位置を、実験やシミュレーションによって検出すればよい。
なお、基板Zを巻き掛けて搬送するドラムを利用するCCP−CVDによる成膜では、基板Zの搬送方向の位置が異なっても、プラズマ端部Peの位置は一定である。
本発明は、ドラム38を用いるCCP−CVDによって基板Zに成膜を行なう際に、このように、適宜、設定した中央領域と外側領域(好ましくは、プラズマ端部Peよりも内側に境界を設けて設定した中央領域と外側領域)とで、ドラム38に温度差を設ける。
これにより、基板Zの端部が熱によって軟化や損傷してしまう、基板端部の熱によるダメージを防止し、かつ、中央領域は、高密度な膜の成膜を可能にしたものである。
これにより、基板Zの端部が熱によって軟化や損傷してしまう、基板端部の熱によるダメージを防止し、かつ、中央領域は、高密度な膜の成膜を可能にしたものである。
前述のように、基板Zを長手方向に搬送するRtoRを用いるCCP−CVDでは、ドラム36と電極対を構成する成膜電極38の幅方向端部の近傍でプラズマの密度が高くなり易い。特に、図示例のように、プラズマを成膜領域に封じ込めるためのアースシールド58を用いる場合には、一般的に、図3に斜線で示すような成膜電極40とアースシールド58との幅方向の間隙付近で、プラズマが非常に高密度になる。
しかも、基板Zは、幅方向には、同一の位置を搬送される。そのため、幅方向において、基板Zのプラズマ密度が高い領域に位置する部分は、搬送方向において成膜領域に入ってから抜けるまで(搬送方向の成膜電極上流端から下流端まで)、常にプラズマ密度が高い領域に位置して、高密度のプラズマに曝される結果となる。
そのため、RtoRを用いるCCP−CVDでは、基板Zの幅にもよるが、基板Zの端部(端部近傍)がプラズマの熱によってダメージを受け、基板Zの軟化や損傷等が生じ、甚だしい場合には基板Zの端部が溶融してしまう。
しかも、基板Zは、幅方向には、同一の位置を搬送される。そのため、幅方向において、基板Zのプラズマ密度が高い領域に位置する部分は、搬送方向において成膜領域に入ってから抜けるまで(搬送方向の成膜電極上流端から下流端まで)、常にプラズマ密度が高い領域に位置して、高密度のプラズマに曝される結果となる。
そのため、RtoRを用いるCCP−CVDでは、基板Zの幅にもよるが、基板Zの端部(端部近傍)がプラズマの熱によってダメージを受け、基板Zの軟化や損傷等が生じ、甚だしい場合には基板Zの端部が溶融してしまう。
ここで、RtoRによるCCP−CVDでは、ドラム38を用いることにより、基板Zの搬送を安定させて成膜電極40との距離を適正に保つと共に、特許文献1に示されるように、ドラム38を冷却することで、基板Zの端部の熱ダメージを防止できる。
しかしながら、この場合には、プラズマ密度が高くない(プラズマ密度が適正な)、中央部まで基板Zを冷却してしまう。CCP−CVDによる成膜では、一般的に、成膜時の基板温度が高い程、高密度な膜を成膜できる。そのため、ドラム38を全面的に均一に冷却すると、基板端部の熱ダメージは防止できるが、重要な中央部の膜密度が低くなってしまい、その結果、目的とする性能を発現する膜が、成膜できなくなってしまう。
例えば、ガスバリアフィルムでは、窒化ケイ素膜等のガスバリア膜の密度が高い程、高いガスバリア性を発現するが、中央部の基板温度が低い状態で成膜を行なうと、中央部のガスバリア膜の密度が低くなってしまい、目的とするガスバリア性を得られない。
しかしながら、この場合には、プラズマ密度が高くない(プラズマ密度が適正な)、中央部まで基板Zを冷却してしまう。CCP−CVDによる成膜では、一般的に、成膜時の基板温度が高い程、高密度な膜を成膜できる。そのため、ドラム38を全面的に均一に冷却すると、基板端部の熱ダメージは防止できるが、重要な中央部の膜密度が低くなってしまい、その結果、目的とする性能を発現する膜が、成膜できなくなってしまう。
例えば、ガスバリアフィルムでは、窒化ケイ素膜等のガスバリア膜の密度が高い程、高いガスバリア性を発現するが、中央部の基板温度が低い状態で成膜を行なうと、中央部のガスバリア膜の密度が低くなってしまい、目的とするガスバリア性を得られない。
これに対し、本発明の製造方法では、ドラム38を利用するRtoRによるCCP−CVDでの成膜において、ドラム38に、中央領域と、その外側の外側領域とを設定し、両領域で、ドラム38の温度に差をつける。好ましくは、外側領域よりも、中央領域の方が高温になるように、温度差をつける。
これにより、基板Zの端部での熱ダメージを好適に防止し、かつ、基板Zの中央部は成膜に好ましい温度に保って、成膜を行なうことができ、端部の熱ダメージが無く、しかも、高密度な膜を成膜した機能性フィルムを、安定して製造できる。例えば、ガスバリアフィルムであれば、端部に損傷がなく、かつ、高密度で高いガスバリア性を有するガスバリア膜を成膜した、高品質なガスバリアフィルムを安定して製造することができる。
これにより、基板Zの端部での熱ダメージを好適に防止し、かつ、基板Zの中央部は成膜に好ましい温度に保って、成膜を行なうことができ、端部の熱ダメージが無く、しかも、高密度な膜を成膜した機能性フィルムを、安定して製造できる。例えば、ガスバリアフィルムであれば、端部に損傷がなく、かつ、高密度で高いガスバリア性を有するガスバリア膜を成膜した、高品質なガスバリアフィルムを安定して製造することができる。
前述のように、本発明の製造方法においては、中央領域と外側領域との境界を、幅方向の両端で最もプラズマの密度が高くなるプラズマ端部Peより内側として、中央領域と、その外側の外側領域とを設定するのが好ましい。
なお、中央領域と外側領域との境界は、通常、互いに対面(あるいは接触)する、内側領域の温度調節手段(図3では誘導加熱コイル62)の外側端部と、外側領域の温度調節手段(図3では温調管64)の内側端部との、幅方向の中央である。
なお、中央領域と外側領域との境界は、通常、互いに対面(あるいは接触)する、内側領域の温度調節手段(図3では誘導加熱コイル62)の外側端部と、外側領域の温度調節手段(図3では温調管64)の内側端部との、幅方向の中央である。
プラズマ端部Peの高密度プラズマによる基板Zの熱ダメージの大きさは、プラズマ励起電力、基板Zと成膜電極40との間隔等、様々な条件に影響される。例えば、プラズマ励起電力が大きい程、プラズマによる基板Zの熱ダメージは大きくり、また、基板Zと成膜電極40との間隔が近い程、プラズマによる基板Zの熱ダメージは大きくなる。
従って、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ励起電力、基板Zと成膜電極40との間隔などの各種の条件に応じて、プラズマ端部Peより内側で、プラズマ端部Peの高密度プラズマによる基板Zの熱ダメージを好適に防止できる位置を、適宜、設定すればよい。
従って、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ励起電力、基板Zと成膜電極40との間隔などの各種の条件に応じて、プラズマ端部Peより内側で、プラズマ端部Peの高密度プラズマによる基板Zの熱ダメージを好適に防止できる位置を、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者らの検討によれば、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから内側に50mm以内の位置に設定するのが好ましい。言い換えれば、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peよりも内側で、かつ、プラズマ端部Peから50mmを超えて離間しない位置に設定するのが好ましい。
中央領域と外側領域との境界を、プラズマ端部Peから離間する内側に設定する程、基板Zの熱ダメージは確実に防げる。その反面、中央領域と外側領域との境界が内側すぎると、中央部の適正な基板温度で成膜される領域が狭くなってしまう。
ここで、本発明者らの検討によれば、プラズマ端部Peから内側に50mmを超える領域では、どのような条件下での成膜であっても、プラズマ端部Peの近傍での高密度プラズマによる基板Zの熱ダメージは、極めて小さい。従って、中央領域と外側領域との境界をプラズマ端部Peから内側に50mm以内の位置に、適宜、設定することにより、不要に中央領域を狭くすることなく、様々な条件に対応して、好適にプラズマによる基板Zの熱ダメージを確実に防止できる。
ここで、本発明者らの検討によれば、プラズマ端部Peから内側に50mmを超える領域では、どのような条件下での成膜であっても、プラズマ端部Peの近傍での高密度プラズマによる基板Zの熱ダメージは、極めて小さい。従って、中央領域と外側領域との境界をプラズマ端部Peから内側に50mm以内の位置に、適宜、設定することにより、不要に中央領域を狭くすることなく、様々な条件に対応して、好適にプラズマによる基板Zの熱ダメージを確実に防止できる。
また、本発明者らの検討によれば、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peよりも内側であれば良いが、殆どの条件下では、プラズマ端部Peから20mm以上、離間した領域では、プラズマ端部Pe近傍の高密度プラズマによる基板Zの熱ダメージは極めて小さい。さらに、通常は、プラズマ端部Peから10mm以上、離間した領域では、プラズマ端部Pe近傍の高密度プラズマによる基板Zの熱ダメージは極めて小さい。
従って、適正な成膜が可能な中央領域の十分な確保と、基板Zの熱ダメージ抑制とのバランスを考慮すると、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから内側に20mm以内、特に、10mm以内の位置に、適宜、設定するのが好ましい。
従って、適正な成膜が可能な中央領域の十分な確保と、基板Zの熱ダメージ抑制とのバランスを考慮すると、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから内側に20mm以内、特に、10mm以内の位置に、適宜、設定するのが好ましい。
なお、外側領域の幅には特に限定はないが、少なくとも、外側領域の外側端部は、プラズマ端部Peよりも外側に設定するのが好ましい。すなわち、外側領域は、少なくとも幅方向にプラズマ端部Peを包含する領域に設定するのが好ましい。
ここで、本発明においては、ドラム38の端部までを外側領域として、温度調整を行なってもよい。しかしながら。成膜電極40の幅に対して、ドラム38の幅が大きい場合には、端部まで温度調整を行なうと、エネルギー効率等の点で、不利である。また、先と同様に、プラズマ端部Peから外側に50mmを超えた領域では、条件によらず、プラズマによる基板Zの熱ダメージは極めて小さい。さらに、殆どの場合は20mm以上、通常は10mm以上、プラズマ端部Peから外側に離間した領域では、プラズマによる基板Zの熱ダメージは極めて小さい。
従って、この点を考慮すると、外側領域の外側の端部は、プラズマ端部Peから外側に50mm以内の位置に設定するのが好ましく、さらに、プラズマ端部Peから外側に20mm以内の位置に設定するのが好ましく、特に、プラズマ端部Peから外側に10mm以内の位置に設定するのが好ましい。
ここで、本発明においては、ドラム38の端部までを外側領域として、温度調整を行なってもよい。しかしながら。成膜電極40の幅に対して、ドラム38の幅が大きい場合には、端部まで温度調整を行なうと、エネルギー効率等の点で、不利である。また、先と同様に、プラズマ端部Peから外側に50mmを超えた領域では、条件によらず、プラズマによる基板Zの熱ダメージは極めて小さい。さらに、殆どの場合は20mm以上、通常は10mm以上、プラズマ端部Peから外側に離間した領域では、プラズマによる基板Zの熱ダメージは極めて小さい。
従って、この点を考慮すると、外側領域の外側の端部は、プラズマ端部Peから外側に50mm以内の位置に設定するのが好ましく、さらに、プラズマ端部Peから外側に20mm以内の位置に設定するのが好ましく、特に、プラズマ端部Peから外側に10mm以内の位置に設定するのが好ましい。
外側領域のドラム38の温度には特に限定はないが、−20〜20℃となるように、外側領域の温度調節を行なうのが好ましい。すなわち、図3に示す例であれば、ドラム38の温度が−20〜20℃となるように、温調管64による温度調節(主に冷却)を制御するのが好ましい。
これにより、プラズマの熱による基板Zの熱ダメージを、より確実に防止できると共に、冷やし過ぎに起因するプラズマへの影響や成膜系内の結露等を防止できる。
これにより、プラズマの熱による基板Zの熱ダメージを、より確実に防止できると共に、冷やし過ぎに起因するプラズマへの影響や成膜系内の結露等を防止できる。
また、ドラム38の中央領域と外側領域との温度差は、20〜60℃とするのが好ましい。言い換えれば、ドラム38における、中央領域の最高温度と外側領域の最低温度との差、および、成膜領域における中央領域の最低温度と外側領域の最高温度との差が、共に、20〜60℃の範囲内となるようにするのが好ましい。
すなわち、図3に示す例であれば、ドラム38の中央領域と外側領域との温度差が20〜60℃となるように、誘導加熱コイル62での加熱および温調管64での温度調節を制御するのが好ましい。
これにより、基板Zの熱ダメージを防止しつつ、中央領域での基板温度を適正に保って高密度の成膜が行なえる等の点で、好ましい。
すなわち、図3に示す例であれば、ドラム38の中央領域と外側領域との温度差が20〜60℃となるように、誘導加熱コイル62での加熱および温調管64での温度調節を制御するのが好ましい。
これにより、基板Zの熱ダメージを防止しつつ、中央領域での基板温度を適正に保って高密度の成膜が行なえる等の点で、好ましい。
本発明の製造方法において、基板Zの幅が小さく、基板Zの端部がプラズマ端部Peよりも内側に位置する場合も有る。この場合には、ドラム38が、直接、高密度プラズマに曝されてしまい、プラズマによるドラム38の損傷や異常放電等を生じてしまう。
そのため、基板Zの端部がプラズマ端部Peよりも内側に位置する場合には、図5に模式的に示すように、外側領域のドラム38の表面に、ドラム保護材74を貼着するのが好ましい。なお、ドラム保護材74には、特に限定はなく、カプトンテープ等の公知の絶縁性のシート状物を用いればよい。
そのため、基板Zの端部がプラズマ端部Peよりも内側に位置する場合には、図5に模式的に示すように、外側領域のドラム38の表面に、ドラム保護材74を貼着するのが好ましい。なお、ドラム保護材74には、特に限定はなく、カプトンテープ等の公知の絶縁性のシート状物を用いればよい。
これにより、ドラム38が、高密度なプラズマに、直接、曝されることに起因する、異常放電やドラム38の損傷を防止できる。
また、従来のドラムを用いるCCP−CVDでの成膜では、プラズマの高密度部に曝されるドラム保護材74が、プラズマの熱によってダメージを受けていた。これに対し、本発明の製造方法によれば、外側領域の温度を中央領域とは異なる温度とするので、プラズマによるドラム保護材74の熱ダメージを防止して、長期間の使用が可能になる。
また、従来のドラムを用いるCCP−CVDでの成膜では、プラズマの高密度部に曝されるドラム保護材74が、プラズマの熱によってダメージを受けていた。これに対し、本発明の製造方法によれば、外側領域の温度を中央領域とは異なる温度とするので、プラズマによるドラム保護材74の熱ダメージを防止して、長期間の使用が可能になる。
また、図3および図5に示す例では、中央領域の温度調整を誘導加熱コイル62で行なっているが、本発明は、これに限定はされず、各種の温度調整手段が利用可能である。
一例として、図6に示すように、中央領域に対応するドラム38の内部に、外側領域の温調管64と同様の、断面が略長方形での外径がドラム68の内径よりも、若干小さい、円環状の水路である温調管78を用いる方法も、利用可能である。
この構成では、温調管78の内面の対向する面に、温度調節手段52に接続される供給路78aと循環路78bとを設け、供給路78aを用いて温度調節手段52から温調管78に温度調節した液体を供給し、循環路78bから温度調節手段52に液体を戻す。これにより、温度調節手段52と温調管78との間で、温度調節した液体を循環して、中央領域の温度調節をすることができる。
一例として、図6に示すように、中央領域に対応するドラム38の内部に、外側領域の温調管64と同様の、断面が略長方形での外径がドラム68の内径よりも、若干小さい、円環状の水路である温調管78を用いる方法も、利用可能である。
この構成では、温調管78の内面の対向する面に、温度調節手段52に接続される供給路78aと循環路78bとを設け、供給路78aを用いて温度調節手段52から温調管78に温度調節した液体を供給し、循環路78bから温度調節手段52に液体を戻す。これにより、温度調節手段52と温調管78との間で、温度調節した液体を循環して、中央領域の温度調節をすることができる。
なお、本発明の製造方法において、中央領域および外側領域の温度調整手段は、誘導加熱コイル62や液体状の温調媒体を用いる方法に限定はされず、ペルチェ素子を用いる方法、各種のヒータを用いる方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
前述のように、ガイドローラ42および46によって所定の経路に案内された基板Zは、ドラム38の表面に掛け回されて、所定の位置に保持されつつ長手方向に搬送される。ドラム38と成膜電極40とからなる電極対の間では、成膜電極40へのプラズマ励起電力の供給によってプラズマが励起され、原料ガスからラジカルが生成されて、ドラム38によって支持されつつ搬送される基板Zの表面に、CCP−CVDによって成膜される。
表面に所定の膜を成膜された基板Zは、次いで、ガイドローラ42に案内されて、隔壁64のスリット64aから、巻取り室24に搬送される。
表面に所定の膜を成膜された基板Zは、次いで、ガイドローラ42に案内されて、隔壁64のスリット64aから、巻取り室24に搬送される。
図示例において、巻取り室24は、ガイドローラ68と、巻取り軸14と、真空排気手段70とを有する。
巻取り室24に搬送された基板Zは、ガイドローラ68に案内されて巻取り軸14に搬送され、巻取り軸14によってロール状に巻回されガスバリアフィルムなどの機能性フィルムを巻回してなるロールとして、次の工程に供される。
また、先の供給室18と同様、巻取り室24にも真空排気手段70が配置され、成膜中は、巻取り室24も、成膜室20における成膜圧力に応じた真空度に減圧される。
巻取り室24に搬送された基板Zは、ガイドローラ68に案内されて巻取り軸14に搬送され、巻取り軸14によってロール状に巻回されガスバリアフィルムなどの機能性フィルムを巻回してなるロールとして、次の工程に供される。
また、先の供給室18と同様、巻取り室24にも真空排気手段70が配置され、成膜中は、巻取り室24も、成膜室20における成膜圧力に応じた真空度に減圧される。
以下、CVD装置10の作用を説明する。
回転軸28に基板ロール12が装填されると、基板Zは、基板ロール12から引き出される。基板ロール12から引き出された基板は、ガイドローラ30によって案内されて成膜室20に至り、成膜室20において、ガイドローラ42および46に案内されて、ドラム38の表面の所定領域に掛け回され、次いで、ガイドローラ48および50によって案内されて巻取り室24に至り、巻取り室24において、ガイドローラ68に案内されて巻取り軸14に至る、所定の搬送経路を通紙される。
回転軸28に基板ロール12が装填されると、基板Zは、基板ロール12から引き出される。基板ロール12から引き出された基板は、ガイドローラ30によって案内されて成膜室20に至り、成膜室20において、ガイドローラ42および46に案内されて、ドラム38の表面の所定領域に掛け回され、次いで、ガイドローラ48および50によって案内されて巻取り室24に至り、巻取り室24において、ガイドローラ68に案内されて巻取り軸14に至る、所定の搬送経路を通紙される。
基板Zの通紙が終了すると、供給室18、成膜室20および巻取り室24が閉塞される(密閉される)。次いで、真空排気手段32、60、および70が駆動され、供給室18、成膜室20および巻取り室24が、所定の圧力まで減圧される。各室の圧力が安定したら、成膜室20では、ガス供給手段56から成膜電極40に、原料ガスが供給される。
成膜室20内が成膜に対応する所定圧力で安定したら、供給室18から巻取り室24に向かう基板Zの搬送が、開始され、また、高周波電源54から成膜電極40へのプラズマ励起電力の供給を開始する。
成膜室20内が成膜に対応する所定圧力で安定したら、供給室18から巻取り室24に向かう基板Zの搬送が、開始され、また、高周波電源54から成膜電極40へのプラズマ励起電力の供給を開始する。
供給室18から成膜室20に搬送された基板Zは、ガイドローラ42および46によって案内され、ドラム38に巻き掛けられた状態で搬送されつつ、ドラム38と成膜電極40とが対面している領域において、CCP−CVDによって、窒化ケイ素膜等の目的とする機能を発現する膜を成膜される。
ここで、CVD装置10の成膜室20においては、ドラム48は、幅方向中央の中央領域の温度が誘導加熱コイル38によって調整され、他方、中央領域の外側の外側領域の温度が温調管64によって調整され、ドラム48の中央領域と外側領域の温度に差が有る状態で、成膜を行なう。好ましくは、中央領域の温度よりも、外側領域の温度が低い状態で、成膜を行なう。
そのため、外側領域に位置する基板Zの端部がプラズマの熱によってダメージを受けることを防止しつつ、中央領域では適正な基板温度で高密度な膜を成膜して、基板の熱ダメージが無く、かつ、高密度な膜を成膜した、高品質なガスバリアフィルム等の機能性フィルムを、安定して製造することができる。
そのため、外側領域に位置する基板Zの端部がプラズマの熱によってダメージを受けることを防止しつつ、中央領域では適正な基板温度で高密度な膜を成膜して、基板の熱ダメージが無く、かつ、高密度な膜を成膜した、高品質なガスバリアフィルム等の機能性フィルムを、安定して製造することができる。
所定の膜を成膜された基板Zは、ガイドローラ48および50によって案内されて、巻取り室24に搬送される。
巻取り室24に搬送された基板Zは、ガイドローラ68によって所定の経路に案内され、巻取り軸14によってロール状に巻回される。
巻取り室24に搬送された基板Zは、ガイドローラ68によって所定の経路に案内され、巻取り軸14によってロール状に巻回される。
以上、本発明の機能性フィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
[実施例1]
図1に示すようなCVD装置10を用いて、基板Zの表面に、窒化ケイ素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造した。
ドラム38は、ステンレス製で、図6に示す、温調管78および温調管64を有し、温調媒体によって、中央領域および外側領域の温度調節を行なう構成のものを用いた。
ドラム38の幅(幅方向のサイズ)は130cm、成膜電極40の幅は95cmとした。また、成膜電極40とアースシールド58との間隔は1mmとした。
図1に示すようなCVD装置10を用いて、基板Zの表面に、窒化ケイ素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造した。
ドラム38は、ステンレス製で、図6に示す、温調管78および温調管64を有し、温調媒体によって、中央領域および外側領域の温度調節を行なう構成のものを用いた。
ドラム38の幅(幅方向のサイズ)は130cm、成膜電極40の幅は95cmとした。また、成膜電極40とアースシールド58との間隔は1mmとした。
中央領域と外側領域との境界は、成膜電極40の(幅方向)端部の位置とした。外側領域は、ドラム38の端部までとし、外側領域の温度調節を行なう温調管64は、ドラム38内の端部まで設けた。なお、温調管78と温調管64との間は5mmの間隙を有し、この間隙の中心を中央領域と外側領域との境界(成膜電極40の端部)に一致させた。
さらに、中央領域の温度調節を行なう温調管78には40℃の温調媒体を、外側領域の温度調節を行なう温調管78には−5℃の温調媒体を、それぞれ、循環させた。
さらに、中央領域の温度調節を行なう温調管78には40℃の温調媒体を、外側領域の温度調節を行なう温調管78には−5℃の温調媒体を、それぞれ、循環させた。
基板Zは、幅100cm、厚さ70μmのPETフィルムを用いた。なお、ドラム38の基板Zで覆われない領域には、端部までカプトンテープを貼着した。
原料ガスは、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)、窒素ガス(N2)、水素ガス(H2)、およびヘリウムガス(He)を用いた。供給量は、総量で1.5slmとした。また、成膜圧力は70Paとした。
成膜電極40には、高周波電源54から、周波数13.5MHzで、1500Wのプラズマ励起電力を供給した。
なお、この条件下でのプラズマ端部Peは、アースシールド58の内側端部であった。従って、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから1mm内側である。
原料ガスは、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)、窒素ガス(N2)、水素ガス(H2)、およびヘリウムガス(He)を用いた。供給量は、総量で1.5slmとした。また、成膜圧力は70Paとした。
成膜電極40には、高周波電源54から、周波数13.5MHzで、1500Wのプラズマ励起電力を供給した。
なお、この条件下でのプラズマ端部Peは、アースシールド58の内側端部であった。従って、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから1mm内側である。
上記成膜条件の下、前述のようにして、基板Zに厚さ100nmの窒化ケイ素膜を成膜して、ガスバリアフィルムを製造した。
[実施例2]
中央領域と外側領域との境界を、成膜電極40の端部から内側9mmの位置に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
すなわち、本例において、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから10mm内側である。
中央領域と外側領域との境界を、成膜電極40の端部から内側9mmの位置に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
すなわち、本例において、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから10mm内側である。
[実施例3]
中央領域と外側領域との境界を、成膜電極40の端部から外側10mmの位置に変更し、かつ、中央領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を20℃、外側領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を−20℃に、それぞれ、変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
すなわち、本例において、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから9mm外側である。
中央領域と外側領域との境界を、成膜電極40の端部から外側10mmの位置に変更し、かつ、中央領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を20℃、外側領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を−20℃に、それぞれ、変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
すなわち、本例において、中央領域と外側領域との境界は、プラズマ端部Peから9mm外側である。
[比較例1]
中央領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度、および、外側領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を、共に、5℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
中央領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度、および、外側領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を、共に、5℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
[比較例2]
中央領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度、および、外側領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を、共に、40℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
中央領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度、および、外側領域の温度調節を行なう温調管78に流す温調媒体の温度を、共に、40℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
[比較例3]
中央領域の温度調節を行なう温調管78にのみ、60℃の温調媒体を流し、外側領域の温度調節を行なう温調管78は空のままにした以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
中央領域の温度調節を行なう温調管78にのみ、60℃の温調媒体を流し、外側領域の温度調節を行なう温調管78は空のままにした以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを製造した。
このようにして作製した6種のガスバリアフィルムについて、成膜した窒化ケイ素膜の膜質、および、基板Zの端部近傍の熱ダメージを評価した。
なお、膜質は、
密度が2.2以上の物を○:
密度が2.0以上2.2未満の物を△:
密度が2.0以下の物を×: と評価した。
他方、熱ダメージは、
窒化ケイ素膜の表面が平坦な物を○:
反射光検査で窒化ケイ素膜の表面にシワが確認できた物を△:
成膜中の基板搬送が不安定になった物および/または巻取り形状が悪かった物を×: と評価した。
結果を、下記表1に示す。
なお、膜質は、
密度が2.2以上の物を○:
密度が2.0以上2.2未満の物を△:
密度が2.0以下の物を×: と評価した。
他方、熱ダメージは、
窒化ケイ素膜の表面が平坦な物を○:
反射光検査で窒化ケイ素膜の表面にシワが確認できた物を△:
成膜中の基板搬送が不安定になった物および/または巻取り形状が悪かった物を×: と評価した。
結果を、下記表1に示す。
表1に示されるように、中央領域と外側領域とを独立して温度調節して、両領域のドラムの温度に温度差を生じさせた、本発明の製造方法による実施例1〜3は、いずれも、基板Zが熱ダメージを受けておらす、しかも、膜質が良好な窒化ケイ素膜を成膜することができている。なお、プラズマ端部Peに対する境界の位置が外側である実施例3では、基板Zの端部近傍において、若干のムラが確認されたが、このムラは、製品品質に影響を与えない程度のムラであった。これは、境界をプラズマ端部Peよりも外側に設定しても、外側領域を十分に冷却することにより、プラズマ端部Pe近傍での基板Zに熱ダメージを好適に抑制できたことに起因すると考えられる。
これに対し、ドラム38の幅方向全域に対して5℃の温調媒体を流した比較例1では、基板Zの端部に熱ダメージが認められ、かつ、膜質も良くない。また、ドラム38の幅方向全域に対して40℃の温調媒体を流した比較例2では、膜質は良好なものの、基板Zの端部に強い熱ダメージが認められた。さらに、中央領域のみ60℃の温調媒体を流した比較例3では、基板Zの端部に熱ダメージが認められた。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
これに対し、ドラム38の幅方向全域に対して5℃の温調媒体を流した比較例1では、基板Zの端部に熱ダメージが認められ、かつ、膜質も良くない。また、ドラム38の幅方向全域に対して40℃の温調媒体を流した比較例2では、膜質は良好なものの、基板Zの端部に強い熱ダメージが認められた。さらに、中央領域のみ60℃の温調媒体を流した比較例3では、基板Zの端部に熱ダメージが認められた。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
ガスバリアフィルムや反射防止フィルムの製造など、各種の機能性フィルムの製造に、好適に利用可能である。
10 (プラズマ)CVD装置
12 基板ロール
14 巻取り軸
18 供給室
20 成膜室
24 巻取り室
28 回転軸
30,42,46,48,50,68 ガイドローラ
32,60,70 真空排気手段
34,64 隔壁
38 ドラム
40,80 成膜電極
52 温度調節手段
54 高周波電源
56 ガス供給手段
58 アースシールド
62 誘導加熱コイル
64,78 温調管
74 ドラム保護材
12 基板ロール
14 巻取り軸
18 供給室
20 成膜室
24 巻取り室
28 回転軸
30,42,46,48,50,68 ガイドローラ
32,60,70 真空排気手段
34,64 隔壁
38 ドラム
40,80 成膜電極
52 温度調節手段
54 高周波電源
56 ガス供給手段
58 アースシールド
62 誘導加熱コイル
64,78 温調管
74 ドラム保護材
Claims (9)
- 円筒状のドラムの表面に長尺な基板を巻き掛けて、前記ドラムを回転することにより、前記基板を長手方向に搬送しつつ、
前記基板の幅方向において、所定の中央領域と、この中央領域の外側の外側領域とで、前記ドラムの表面に温度差を生じさせた状態で、
前記ドラムと、このドラムの表面に対面する成膜電極とで電極対を形成して、容量結合プラズマCVDによって前記基板に成膜を行なうことを特徴とする機能性フィルムの製造方法。 - 前記中央領域の方が高温となるように、前記中央領域と外側領域とで、前記ドラムの表面に温度差を生じさせる請求項1に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記中央領域と外側領域との境界が、前記基板の幅方向のドラム中央から外方に向かう両側の各々で、プラズマが最高密度になる位置であるプラズマ端部より、内側に設定される請求項1または2に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記中央領域と外側領域との境界を、前記プラズマ端部よりも内側に50mm以内の位置に設定する請求項3に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記外側領域を、前記プラズマ端部よりも外側に50mm以内の位置まで設定する請求項3または4に記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記中央領域と外側領域とのドラム表面の温度差を20〜60℃とする請求項1〜5のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記外側領域のドラム表面の温度を−20〜20℃とする請求項1〜6のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記成膜電極を前記基板面方向に囲んで、プラズマを封じ込めるためのアースシールドを配置する請求項1〜7のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
- 前記成膜電極が、前記ドラムとの対向面に原料ガスを供給する供給孔を複数有する請求項1〜8のいずれかに記載の機能性フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011099430A JP2012229477A (ja) | 2011-04-27 | 2011-04-27 | 機能性フィルムの製造方法 |
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-
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Legal Events
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---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140701 |