JP2019165648A - 圃場作業機 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気逃し管路から機体外側へ抜ける空気に含まれる農用資材の粉粒を機体周辺の空気中に飛散させない圃場作業機を提供する。【解決手段】圃場に農用資材を供給する供給装置と、植え付け用の苗が載置される苗載せ台13と、苗載せ台13の下部から苗を取り出して圃場に植え付ける複数の植付アームと、を有する苗植付装置Wと、が備えられ、供給装置に、農用資材を圃場に供給する排出部34と、農用資材を排出部34に案内する搬送管路50と、搬送管路50に搬送風を供給するブロアと、搬送管路50から搬送方向と反対の向きに分岐して、搬送風を分流可能な空気逃し管路60と、が備えられ、空気逃し管路60の分岐先端部は、苗載せ台13の下端よりも低い高さとなるように延設されている。【選択図】図5

Description

本発明は、圃場に農用資材を供給する供給装置が備えられた圃場作業機に関する。
例えば特許文献1において、圃場に農用資材を供給する供給装置(文献の施肥機36)と、植え付け用の苗が載置される苗載せ台(文献の苗載台16)を有する苗植付装置(文献の植付部15)と、が備えられた田植機が開示されている。この供給装置に、農用資材を圃場に案内する搬送管路(文献の施肥ホース44)と、搬送管路に搬送風を供給するブロア(文献のブロワ41)と、搬送管路の中間部から搬送方向と反対の向きに分岐して、前記搬送風を分流可能な空気逃し管路(文献の逃し管97,ホース98)と、が備えられ、空気逃し管路の中間部は山形状に湾曲され、空気逃し管路の分岐先端部は下方に臨む構成となっている。これにより、搬送管路の下流側で肥料詰まりなどが発生した場合、搬送管路内を流通する空気は空気逃し管路を介して機体外側に抜ける構成となっている。
特開2000−060247号公報
ところで、空気逃し管路から機体外側へ抜ける空気に、農用資材の粉粒が含まれる可能性が考えられる。このような農用資材の粉粒は、搬送風によって機体外側へ勢い良く排出されるため、塵埃となって機体周辺の空気中に飛散する虞がある。また、このような農用資材は酸性の化学性質を有する場合が多く、農用資材が金属の表面に付着すると、金属が酸化し易い。特に特許文献1における田植機では、搬送管路の中間部付近、即ち苗植付装置の上下中間位置付近から空気逃し管路の空気が排出される。このため、特許文献1における田植機では、農用資材の粉粒が飛散した後に苗植付装置のフレーム等に付着する可能性が高く、これによって、苗植付装置に錆が発生する虞があった。このことから、圃場作業機における作業環境やメンテナンスの観点から、空気逃し管路に改善の余地があった。
上述した実情に鑑みて、本発明の目的は、空気逃し管路から機体外側へ抜ける空気に含まれる農用資材の粉粒を機体周辺の空気中に飛散させない圃場作業機を提供することにある。
本発明による圃場作業機は、
圃場に農用資材を供給する供給装置と、
植え付け用の苗が載置される苗載せ台と、前記苗載せ台の下部から苗を取り出して圃場に植え付ける複数の植付アームと、を有する苗植付装置と、が備えられ、
前記供給装置に、前記農用資材を圃場に供給する排出部と、前記農用資材を前記排出部に案内する搬送管路と、前記搬送管路に搬送風を供給するブロアと、前記搬送管路から搬送方向と反対の向きに分岐して、前記搬送風を分流可能な空気逃し管路と、が備えられ、
前記空気逃し管路の分岐先端部は、前記苗載せ台の下端よりも低い高さとなるように延設されていることを特徴とする。
空気逃し管路は搬送管路から搬送方向と反対の向きに分岐するため、農用資材は空気逃し管路に流れ込み難くなっているが、微小の粉粒となった農用資材の一部が空気逃し管路に流れ込む。本発明によると、空気逃し管路の分岐先端部は、苗載せ台の下端よりも低い高さとなっているため、空気逃し管路における排出方向末端の排出口が圃場に近付く。このため、空気逃し管路に流れ込む農用資材の粉粒の多くが圃場に吹き付けられ、農用資材の粉粒が空気中に飛散する虞が大幅に低減されて圃場作業機における作業環境が改善される。
また、空気逃し管路に流れ込む農用資材の粉粒が苗載せ台の下端よりも低い高さまで案内されるため、例えば苗植付装置の上下中間位置付近に空気逃し管路の分岐先端部が設けられた構成と比較して、農用資材の粉粒が苗植付装置のフレーム等に付着し難くなる。これにより、苗植付装置に錆が発生する虞が低減されて、圃場作業機におけるメンテナンス性が改善される。つまり、空気逃し管路から機体外側へ抜ける空気に含まれる農用資材の粉粒を機体周辺の空気中に飛散させない圃場作業機が、本発明によって実現される。
本発明において、
複数の前記搬送管路が、前記植付アームごとに備えられ、
夫々の前記搬送管路から分岐する前記空気逃し管路が、複数の管路を接続可能なジョイント管と接続し、かつ、前記分岐先端部が一つの管路に纏められていると好適である。
本構成によると、複数の空気逃し管路が、排出方向下流側で一つの管路に纏められるため、空気逃し管路に流れ込む農用資材の粉粒の排出口が一箇所のみとなり、空気逃し管路の分岐先端部におけるメンテナンスが容易になる。
本発明において、
前記ジョイント管は、前記苗植付装置と連結されるガイド部材によって支持されると好適である。
本構成であると、ジョイント管がガイド部材を介して苗植付装置と連結される構造であるため、簡易な構成でジョイント管が苗植付装置によって支持される。
本発明において、
前記複数の搬送管路における夫々の前記空気逃し管路の分岐基端部は、機体横方向において前記ジョイント管の接続箇所の位置する側に向けて傾斜すると好適である。
本構成であれば、ジョイント管の接続箇所と空気逃し管路の分岐基端部との間の管路を出来るだけ湾曲させずに直線状に形成し易くなり、空気逃し管路に流れ込む農用資材の粉粒が、空気逃し管路の管路内に滞留することなく円滑に機体外側へ排出される。
本発明において、
圃場の田面に接地追従する整地フロートが前記苗植付装置の下部に備えられ、
前記分岐先端部は前記整地フロートの前方に配置されていると好適である。
本構成によると、空気逃し管路の分岐先端部は整地フロートよりも前側に配置されているため、空気逃し管路に流れ込む農用資材の粉粒が、圃場の田面に吹き付けられた後、整地フロートによって上方から押さえ付けられる。これにより、農用資材の粉粒が田面の土壌に入り込み、農用資材の粉粒が空気中に飛散する虞が一層低減される。
本発明において、
圃場の田面に溝を形成する作溝器が備えられ、
前記分岐先端部は前記作溝器の近傍に配置されていると好適である。
本構成によると、空気逃し管路の分岐先端部は作溝器の近傍に配置されるため、空気逃し管路に流れ込む農用資材の粉粒が、搬送管路の排出部から排出される農用資材と一緒に圃場の田面に供給され易くなる。これにより、供給装置は一層好適に農用資材を圃場に供給できる。
田植機の全体側面図である。 田植機の全体平面図である。 施肥装置の前面図である。 施肥装置の側面断面図である。 空気逃し管路の背面図である。 空気逃し管路の側面図である。 空気逃し管路の別実施形態を示す背面図である。
〔圃場作業機の基本構成〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の圃場作業機の一例として乗用型田植機を例に挙げて説明する。なお、図1及び図2に示されているように、本実施形態では、矢印Fが走行機体1の機体前部側、矢印Bが走行機体1の機体後部側、矢印Lが走行機体1の機体左側、矢印Rが走行機体1の機体右側である。
乗用型田植機には、左右一対の操舵車輪2と、左右一対の後車輪3とを有する走行機体1と、圃場に対する苗の植え付けが可能な作業装置としての八条植え型式の苗植付装置Wと、が備えられている。左右一対の操舵車輪2は、走行機体1の機体前側に設けられて走行機体1の向きを変更操作自在なように構成され、左右一対の後車輪3は、走行機体1の機体後側に設けられている。苗植付装置Wは、昇降用油圧シリンダ4の伸縮作動により昇降作動するリンク機構5を介して、走行機体1の後端に昇降自在に連結されている。
走行機体1の前部には、開閉式のボンネット6が備えられている。ボンネット6の先端位置には、マーカ(不図示)によって圃場に描かれる指標ライン(不図示)に沿って走行するための目安となる棒状のセンターマスコット7が備えられている。走行機体1には、前後方向に沿って延びる機体フレーム1Fが備えられ、機体フレーム1Fの前部には支持支柱フレーム8が立設されている。
ボンネット6内には、エンジンEが備えられている。詳述はしないが、エンジンEの動力が、機体に備えられた変速装置を介して操舵車輪2及び後車輪3に伝達され、変速後の動力が電動モータ駆動式の植付クラッチ(不図示)を介して苗植付装置Wに伝達される。
八条植え型式の苗植付装置Wに、四個の伝動ケース10と、八個の回転ケース11と、整地フロート12と、苗載せ台13と、整地ロータ14と、が備えられている。回転ケース11は、各伝動ケース10の後部の左側部及び右側部に、夫々回転自在に支持されている。夫々の回転ケース11の両端部に、一対のロータリ式の植付アーム15が備えられている。整地フロート12は、圃場の田面に接地追従することで田面を整地するものであり、苗植付装置Wに複数備えられている。苗載せ台13に、植え付け用のマット状苗が載置される。
苗植付装置Wは、苗載せ台13を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース10から伝達される動力により各回転ケース11を回転駆動して、苗載せ台13の下部から各植付アーム15により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付けるようになっている。苗植付装置Wは、複数の回転ケース11に備えられた植付アーム15により苗を植え付けるように構成されている。回転ケース11が四個の場合は四条植え型式であり、回転ケース11が六個の場合は六条植え型式であり、回転ケース11が八個の場合は八条植え型式であり、回転ケース11が十個の場合は十条植え型式である。
走行機体1におけるボンネット6の左右側部には、二個の予備苗台16が備えられている。予備苗台16は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なレール式に構成されている。走行機体1におけるボンネット6の左右側部には、予備苗台16を支持する背高のフレーム部材としての左右一対の予備苗フレーム17が備えられ、左右の予備苗フレーム17の上部同士が連結フレーム18にて連結されている。
走行機体1に衛星測位ユニット19が備えられている。衛星測位ユニット19は、航法衛星からの電波を受信して機体の位置を検出する衛星測位用システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例として、周知の技術であるGPS(Global Positioning System)を利用して、機体の位置を求める。衛星測位ユニット19は、走行機体1の前部に位置する状態で、連結フレーム18に取り付けられている。図1及び図2に示されるように、衛星測位ユニット19が、連結フレーム18と予備苗フレーム17とによって、高い箇所に支持されるものとなる。これにより、衛星測位ユニット19に受信障害が生じるおそれが少なく、衛星測位ユニット19における電波の受信感度を高めることができる。
走行機体1の中央部には、各種の運転操作が行われる搭乗部20が備えられている。搭乗部20には、運転座席21と、操向ハンドル22と、主変速レバー23と、操作レバー24と、が備えられている。運転座席21は、走行機体1の中央部に備えられ、搭乗者が着席可能なように構成されている。操向ハンドル22は、人為操作によって操舵車輪2の操向操作を可能なように構成されている。主変速レバー23は、前後進の切換え操作や走行速度の変更操作が可能なように構成されている。苗植付装置Wの昇降操作と、左右の整地ロータ14の切換えと、が操作レバー24によって行われる。操向ハンドル22、主変速レバー23、操作レバー24等は、運転座席21の機体前部側に位置する操縦塔25の上部に備えられている。搭乗部20の足元部位の左右両方に、搭乗者が搭乗部20へ機体横側方から乗降するための乗降用ステップ26が設けられている。
操作レバー24を上昇位置に操作すると、植付クラッチ(不図示)が切り操作されて苗植付装置Wに対する伝動が遮断され、昇降用油圧シリンダ4を作動して苗植付装置Wが上昇する。操作レバー24を下降位置に操作すると、苗植付装置Wが下降して田面に接地して停止した状態となる。
搭乗者は、田植え作業を開始するときは、操作レバー24を操作して苗植付装置Wを下降させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を開始させて田植え作業を開始する。そして、田植え作業を停止するときは、操作レバー24を操作して苗植付装置Wを上昇させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を遮断する。
〔施肥装置〕
図1乃至図4に示されるように、搭乗部20よりも後側に、本発明の供給装置としての施肥装置30が備えられ、施肥装置30は圃場に植え付けられた苗に、例えば肥料や薬剤等の農用資材である粉粒体を供給する。施肥装置30に、ホッパー31と、繰出し部32と、搬送管路50と、施肥排出部34(排出部)と、作溝器35と、ブロア36と、電動式の駆動モータ37と、が設けられている。
本実施形態では、八条植え型式の苗植付装置Wに対応して、八個の作溝器35が、夫々の回転ケース11の近傍に設けられている。作溝器35によって圃場の田面における夫々の植え付け条の近傍に溝が形成される。八個の施肥排出部34が夫々の作溝器35と一体的に設けられ、八本の搬送管路50が夫々の施肥排出部34に連通接続されている。なお、作溝器35と施肥排出部34とは一体的に設けられても良いし、作溝器35と施肥排出部34との夫々が別体で設けられても良い。
夫々の搬送管路50は、剛性を有する第一管路51と、苗植付装置Wに支持されて剛性を有する第二管路52と、可撓性を有する第三管路53と、の組み合わせによって構成されている。図4に示されるように、第一管路51は繰出し部32の下端と連結され、ブロア36の搬送風を受け入れる空気導入口51aと、管路途中に設けられて繰出し部32から繰り出された粉粒体を受け入れる施肥入口51bと、が形成されている。第二管路52は、苗植付装置Wの支持フレーム70(図5,図6)に支持されて、粉粒体及び搬送風を施肥排出部34へ送り出す。第三管路53は、第一管路51と第二管路52とを連通接続する可撓性のホースであり、苗植付装置Wは上下の昇降動作に対応して湾曲度合いが変形自在な構成となっている。第一管路51は機体側面視で水平方向に沿う状態となっており、第二管路52は機体側面視で後下がりに傾斜する。
図3及び図4に示されるように、機体横方向に沿って四個のホッパー31,31,31,31が左右に振り分けて配置され、夫々のホッパー31よりも下側に繰出し部32が設けられている。右側の二つのホッパー31,31が二つ一組で連結され、左側の二つのホッパー31,31が二つ一組で連結されている。更に、単体の繰出し部32に、二つの繰出しロール38,38が装着可能となっている。つまり、繰出しロール38は、八本の搬送管路50の夫々に対応して設けられる構成であるため、ホッパー31よりも下側に配置された複数の繰出し部32が、異なる植え付け条ごとに施肥可能な構成となっている。夫々の繰出しロール38よりも下側の空間は、夫々異なる搬送管路50の施肥入口51bと連通する。
また、繰出し部32の機体前方に、筒状の送風ダクト39が機体横方向に沿って設けられている。送風ダクト39はブロア36の吐出口と接続され、ブロア36からの搬送風が送風ダクト39に送り込まれる。送風ダクト39の後側部に、第一管路51の空気導入口51aが貫通するための八箇所の貫通孔39aが形成され、夫々の第一管路51の空気導入口51aが送風ダクト39の筒内に挿入される。貫通孔39aと空気導入口51aとは全周に亘って密着し、貫通孔39aから搬送風が漏れ出さないように、第一管路51及び送風ダクト39は構成されている。
夫々の繰出しロール38は駆動モータ37によって駆動され、夫々の繰出しロール38の回転によって、ホッパー31に貯留された粉粒体が繰り出され、夫々の第一管路51の施肥入口51bに粉粒体が案内される。搬送管路50の管路内は、空気導入口51aから施肥排出部34へ搬送風が流れ、搬送方向は空気導入口51aから施肥排出部34へ向かう側の方向となる。施肥入口51bに案内された粉粒体は、ブロア36の搬送風によって施肥排出部34に送られる。換言すると、可撓性を有する第三管路53の一部分が後上がりに傾斜しても、ブロア36の搬送風によって、粉粒体が、この後上がりに傾斜する箇所に滞留することなく第二管路52に案内される。そして、粉粒体は後下がりに傾斜する第二管路52の管路内を自由落下する。作溝器35によって圃場の田面における夫々の植え付け条の近傍に溝が形成され、施肥排出部34に送られた粉粒体は、田面の溝に供給される。
繰出しロール38が、エンジンEのベルト駆動ではなくて電動式の駆動モータ37によって駆動される構成によって、例えば肥料の種類や車速等に応じて駆動モータ37の回転速度の制御が容易になり、田面の溝に供給される粉粒体の供給量を容易に調整できる。また、衛星測位ユニット19によって取得された位置情報と、過去の施肥実績と、に基づいて、位置情報と連係して電動式の駆動モータ37の回転速度を増減制御することによって、位置情報ごとに施肥量を調整する構成であっても良い。
駆動モータ37は施肥装置30の機体右側部に備えられ、駆動モータ37の駆動力がギアボックス40を介して機体左右に亘る中間伝動軸41に伝達され、中間伝動軸41が回転する。中間伝動軸41の長手方向に沿って四個のホッパー31,31,31,31が一列に配置され、四個のホッパー31,31,31,31よりも下側に四個の繰出し部32,32,32,32が一列に配置されている。四個の繰出し部32,32,32,32に対応して、中間伝動軸41に四個の出力ギア42,42,42,42が設けられ、繰出し部32に、夫々の出力ギア42と係合可能な入力ギア(不図示)が設けられている。中間伝動軸41の動力が出力ギア42及び入力ギアを介して夫々の繰出しロール38に伝達され、夫々の繰出しロール38が回転する。
〔空気逃し管路〕
図5及び図6に示されるように、苗植付装置Wの左右両端に、苗載せ台13を支持する縦支持パイプ71,71が備えられている。支持フレーム70が縦支持パイプ71,71に両持支持された状態で苗植付装置Wの左右に亘り、第二管路52は支持フレーム70に夫々連結固定されている。そして、搬送管路50から分岐して搬送風を分流可能な空気逃し管路60が第二管路52に備えられている。第二管路52は、施肥排出部34と連通接続する吐出口52aと、空気逃し管路60の分岐口52bと、を有する。搬送風の一部が空気逃し管路60に流れることによって、施肥排出部34における搬送風の圧力が、高くなり過ぎないように調整される。これにより、田面の溝に粉粒体が好適に供給され、過剰な圧力によって粉粒体が田面の溝よりも外側に撒き散らされる虞が低減される。
分岐口52bに、ブロア36からの搬送風を分流可能な空気逃し管路60が接続される。分岐口52bは、搬送管路50から搬送方向と反対の向きに分岐する。第二管路52は側面視で後下がりに傾斜するため、夫々の分岐口52b及び空気逃し管路60は、側面視で前上がりに傾斜する。このことから、搬送管路50で施肥排出部34に搬送される粉粒体が、搬送管路50から空気逃し管路60に流れ込み難くなるように、分岐口52b及び空気逃し管路60は構成されている。
空気逃し管路60において分岐口52bと連通接続する側と反対側の端部はジョイント管62と接続する。夫々の空気逃し管路60はジョイント管62を介して一つの纏め管路63と連通接続する。本実施形態では、二つの纏め管路63,63が左右に振り分けて配置され、右側の纏め管路63に機体右側の四本の空気逃し管路60が連通接続し、左側の纏め管路63に機体右側の四本の空気逃し管路60が連通接続する。つまり、夫々の空気逃し管路60の分岐先端部が、纏め管路63によって一つの管路に纏められている。
ジョイント管62は、左右二箇所の接続口と、下端の接続口と、を有するT字状に形成され、苗植付装置Wの機体横方向に沿って六本のジョイント管62が横並びで配置されている。機体右側の三本のジョイント管62が機体右側の四本の空気逃し管路60と対応した状態で纏まって配置され、機体左側の三本のジョイント管62が機体左側の四本の空気逃し管路60と対応した状態で纏まって配置されている。なお、苗植付装置Wが四条植え型式である場合、三本のジョイント管62が、苗植付装置Wの左右中央部に纏まって配置される構成であっても良い。
機体左右夫々に纏まって配置された三本のジョイント管62のうち、左右中央のジョイント管62の下端の接続口が纏め管路63と接続される。左右両端の二本のジョイント管62,62における左右二箇所の接続口のうち左右中央のジョイント管62と対向する側の接続口と、左右中央のジョイント管62の左右両側の接続口と、が接続管路65を介して接続される。つまり、接続管路65は、隣り合う二本のジョイント管62の対向する接続口を連通接続する。左右両端の二本のジョイント管62,62に、空気逃し管路60,60,60,60が夫々接続される。具体的には、ジョイント管62の接続口のうち、下端の接続口と、左右中央のジョイント管62と対向する側と反対側の接続口と、が空気逃し管路60の接続口に用いられる。なお、ジョイント管62が接続可能な空気逃し管路60の本数は適宜変更可能であり、ジョイント管62の接続口の個数も適宜変更可能である。更に、ジョイント管62の接続口のうち、管路と接続しない箇所は、栓で閉塞できる。
複数の搬送管路50における夫々の空気逃し管路60の分岐基端部は、機体横方向においてジョイント管62の接続箇所の位置する側に向けて傾斜する。つまり、夫々の第二管路52の分岐口52bは、ジョイント管62の接続口の位置する側に向けて左右に傾斜する。これにより、分岐口52bとジョイント管62の接続口とに亘る部分の空気逃し管路60が、出来るだけ直線状に形成された管路となる。その結果、空気逃し管路60に流れ込む微小の粉粒体が、空気逃し管路60の管路内に滞留することなく機体外側へ排出される。
纏め管路63のうち、左右中央のジョイント管62の下端の接続口と接続された側と反対側の下端部63aは、下方の田面と対向する状態で開口する。下端部63aの付近は、金属線によって構成された下端ガイド部材66によって位置保持される。縦支持パイプ71,71の下端で両持支持された下部フレーム72が苗植付装置Wの下部に備えられている。下部フレーム72は、苗載せ台13の下端よりも下方に位置すると共に苗植付装置Wの左右に亘る。また、下部フレーム72の前端部は、整地フロート12の前端部よりも機体前方に位置する。下端ガイド部材66は下部フレーム72の上側面にボルト連結され、下端ガイド部材66の上部は螺旋状に形成されている。螺旋状となっている下端ガイド部材66の上部は、纏め管路63における下端部63aの付近の箇所を外嵌支持し、下端部63aは下部フレーム72の前下端付近まで延出する。つまり、空気逃し管路60の分岐先端部、即ち下端部63aは、整地フロート12の機体前方に位置し、かつ、苗載せ台13の下端よりも低い高さとなるように延設されている。
上述した纏め管路63の構成によって、粉粒体の一部が搬送管路50から空気逃し管路60に流れ込んでも、纏め管路63の下端部から圃場の田面に排出され、纏め管路63の下端部よりも後側の整地フロート12によって田面に押さえ付けられる。これにより、空気逃し管路60に流れ込んだ粉粒体が空気中に排出されて塵埃となる虞が低減される。また、空気逃し管路60に流れ込んだ粉粒体が、苗植付装置Wの周囲に排出された後に苗植付装置Wに付着すると、苗植付装置Wが錆びる虞があるが、上述した構成であれば、粉粒体が圃場の田面に排出されるため、苗植付装置Wが錆びる虞が低減される。
空気逃し管路60とジョイント管62と接続管路65とは、苗植付装置Wの支持フレーム70と連結されるガイド部材64によって支持される。ガイド部材64は金属線によって構成され、支持フレーム70に溶接固定される下端支持部と、螺旋状に形成されてジョイント管62を外嵌支持可能な螺旋部と、を有する。螺旋部の螺旋形状が機体横方向に沿う状態で、螺旋部は、空気逃し管路60とジョイント管62と接続管路65との何れかを外嵌支持する。ガイド部材64は支持フレーム70から前上がりの向きに立設され、ジョイント管62は、支持フレーム70よりも上方でガイド部材64に支持される。また、夫々のジョイント管62における夫々の接続口は、夫々の第二管路52の分岐口52bよりも上方に位置するため、この間の空気逃し管路60は、側面視で前上がりに傾斜する。これにより、搬送管路50で施肥排出部34に搬送される粉粒体が、搬送管路50から空気逃し管路60に流れ込み難くなる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
(1)上述した実施形態において、空気逃し管路60は、夫々の分岐口52bと接続された第四管路61が、ジョイント管62を介して一つの纏め管路63に纏められた構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、図7に示されるように、夫々の分岐口52bと接続された夫々の第四管路61が、田面付近まで延ばされる構成であっても良い。この場合においても、第四管路61の吐出口が整地フロート12よりも前方に位置し、第四管路61の吐出口から排出された粉粒体が整地フロート12に押し付けられる構成であっても良い。もちろん、第四管路61の吐出口が作溝器35の近傍に設けられる構成であっても良い。
(2)上述した実施形態において、纏め管路63の下端部は、整地フロート12よりも前側に位置する構成となっているが、纏め管路63の下端部が整地フロート12よりも後側に位置する構成であっても良い。この場合、纏め管路63の下端部が作溝器35の近傍に配置される構成であっても良い。この構成によって、空気逃し管路60に流れ込む微小な粉粒体が、施肥排出部34から排出される粉粒体と一緒に圃場に供給され易くなる。
(3)上述した実施形態において、空気逃し管路60は苗植付装置Wに設けられる構成となっているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、分岐口52bが第一管路51や第三管路53に設けられる構成であっても良く、空気逃し管路60が、機体フレーム1Fに支持されて、繰出し部32や第一管路51の真下に設けられる構成であっても良い。
(4)上述した実施形態において、複数の搬送管路50における夫々の空気逃し管路60の分岐基端部は、機体横方向においてジョイント管62の接続箇所の位置する側に向けて傾斜するが、上述した実施形態に限定されない。例えば、複数の搬送管路50における夫々の空気逃し管路60の分岐基端部は、真上に向く構成であっても良い。この構成によって、微小な粉粒体が空気逃し管路60に一層流れ込み難くなる。
(5)上述した実施形態において、機体左右夫々に纏まって三本ずつジョイント管62,62,62が配置され、三本のジョイント管62が二本の接続管路65によって接続されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、三本のジョイント管62と二本の接続管路65とが一体的に構成され、一本のジョイント管62として構成されていても良い。
(6)上述した実施形態は、田植機に限定されず、直播機や野菜移植機、圃場における肥料や薬剤の散布機等にも適用可能である。
本発明は、圃場作業機に適用可能である。
12 :整地フロート
13 :苗載せ台
15 :植付アーム
30 :施肥装置(供給装置)
34 :施肥排出部(排出部)
35 :作溝器
36 :ブロア
50 :搬送管路
60 :空気逃し管路
62 :ジョイント管
63 :纏め管路(一つの管路)
64 :ガイド部材
W :苗植付装置

Claims (6)

  1. 圃場に農用資材を供給する供給装置と、
    植え付け用の苗が載置される苗載せ台と、前記苗載せ台の下部から苗を取り出して圃場に植え付ける複数の植付アームと、を有する苗植付装置と、が備えられ、
    前記供給装置に、前記農用資材を圃場に供給する排出部と、前記農用資材を前記排出部に案内する搬送管路と、前記搬送管路に搬送風を供給するブロアと、前記搬送管路から搬送方向と反対の向きに分岐して、前記搬送風を分流可能な空気逃し管路と、が備えられ、
    前記空気逃し管路の分岐先端部は、前記苗載せ台の下端よりも低い高さとなるように延設されている圃場作業機。
  2. 複数の前記搬送管路が、前記植付アームごとに備えられ、
    夫々の前記搬送管路から分岐する前記空気逃し管路が、複数の管路を接続可能なジョイント管と接続し、かつ、前記分岐先端部が一つの管路に纏められている請求項1に記載の圃場作業機。
  3. 前記ジョイント管は、前記苗植付装置と連結されるガイド部材によって支持される請求項2に記載の圃場作業機。
  4. 前記複数の搬送管路における夫々の前記空気逃し管路の分岐基端部は、機体横方向において前記ジョイント管の接続箇所の位置する側に向けて傾斜する請求項2又は3に記載の圃場作業機。
  5. 圃場の田面に接地追従する整地フロートが前記苗植付装置の下部に備えられ、
    前記分岐先端部は前記整地フロートの前方に配置されている請求項1から4の何れか一項に記載の圃場作業機。
  6. 圃場の田面に溝を形成する作溝器が備えられ、
    前記分岐先端部は前記作溝器の近傍に配置されている請求項1から5の何れか一項に記載の圃場作業機。
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