JPH11289831A - 田植機の施肥装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 施肥装置の部品点数を低減して低廉な施肥装
置を構成する。 【解決手段】 ホッパー１８に貯留された肥料を繰出し
機構１９で繰出し、施肥ホース２１を介して苗植付装置
の複数の苗位置の近傍の作溝器１７に送り込むよう構成
すると共に、施肥ホース２１を、繰出し機構１９からの
肥料を送る主ホース２１Ａと、この主ホース２１Ａから
の肥料を２方向に分岐する分岐部材２１Ｂと、この分岐
部材２１Ｂで分岐した肥料を一対の作溝器１７に送る分
岐ホース２１Ｃとを備えて構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、タンクに貯留され
た肥料を繰出し機構で繰出し、送り経路を介して苗植付
装置の複数の苗植付位置の近傍の施肥位置に送り込むよ
う構成した田植機の施肥装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記のように構成された田植機の施肥装
置として特開平９‐１５４３４９号公報に示されるもの
が存在し、この従来例では、受け入れホッパーからの肥
料を繰出し器、案内パイプ、作溝器を介して苗植付位置
近傍の圃場面に送り込むように施肥装置が構成され、繰
出し器、案内パイプ、作溝器は苗植付装置の植付条数と
等しい数が備えられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ここで、従来例につい
て考えるに、従来例の施肥装置では繰出し器（繰出し機
構）、案内パイプ、作溝器が苗植付装置の植付条数と等
しい数が備えられることになるので、部品点数が増大し
やすく改善の余地がある。特に、繰出し機構は苗植付装
置の作動と連係して設定量の肥料を計量して送り出す必
要性から複雑な構造となっており、コストを引き上げる
要因となっている。本発明の目的は、施肥装置の部品点
数を低減して低廉な施肥装置を合理的に構成する点にあ
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の特徴（請
求項１）は冒頭に記載したように、タンクに貯留された
肥料を繰出し機構で繰出し、送り経路を介して苗植付装
置の複数の苗植付位置の近傍の施肥位置に送り込むよう
構成した田植機の施肥装置において、前記送り経路が、
前記繰出し機構からの肥料を送る主ホースと、この主ホ
ースからの肥料を複数の方向に分岐する分岐部材と、こ
の分岐部材で分岐した肥料を前記複数の施肥位置に送る
分岐ホースとを備えて構成されている点にあり、その作
用、及び、効果は次の通りである。

【０００５】本発明の第２の特徴（請求項２）は請求項
１において、前記主ホースに対して空気とともに前記肥
料を送るよう構成されている点にあり、その作用、及
び、効果は次の通りである。

【０００６】本発明の第３の特徴（請求項３）は請求項
２において、前記分岐部材が直線状の前記主ホースの送
り方向の端部に形成されている点にあり、その作用、及
び、効果は次の通りである。

【０００７】〔作用〕上記第１の特徴によると、繰出し
機構で繰出された肥料は主ホースから分岐部材に送られ
ると共に、この分岐部材で分岐した後に分岐ホースを介
して苗植付位置近傍に送られることになる。つまり、１
つの繰出し機構からの肥料を複数の施肥位置に送り込め
るので繰出し機構の数を低減できると同時に使用するホ
ースの全長を短縮できるものとなる。

【０００８】上記第２の特徴によると、主ホースに対し
て肥料が空気とともに送り込まれるので、肥料は空気の
圧力によって主ホース内を送られるものとなり、分岐部
材に接触しても送り速度が低下したり、滞留が発生する
ことも無く円滑に分岐ホースに送り、更に、施肥位置ま
で空気の圧力で移送できるものとなる。

【０００９】上記第３の特徴によると、主ホースに空気
とともに送り込まれた肥料は主ホースの直線状部分を送
られた場合には、例えば、湾曲したホース内に肥料を送
る場合のように遠心力の作用で内面の偏った位置に存在
する肥料の密度が高まる如き現象を発生することなく、
主ホースの長手方向に直交する断面の分布が均一な状態
で分岐部材の位置まで肥料を送ることができるので、こ
の分岐部材を単純な二股状、あるいは、三ツ股状の部材
で構成しても肥料を均しい量に分けて分岐ホースに送る
ことも可能となる。

【００１０】〔発明の効果〕従って、繰出し機構の数を
苗植付装置の植付条数より少なくすると共に、肥料を送
るホースの全長を短くして低廉な施肥装置を構成できる
ものとなった（請求項１）。又、分岐部材の位置で肥料
に抵抗が作用するものである構造であるにも拘わらず肥
料を円滑に施肥位置まで送ることが可能となり（請求項
２）、分岐部材に単純な構造のものを用いても夫々の施
肥位置には等しい量の肥料を供給できるものとなった
（請求項３）。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１に示すように、夫々左右一対
の前車輪１及び後車輪２を備えた乗用型の走行機体の後
方にリンク機構３を介して苗植付装置４が昇降自在に連
結され、苗植付装置４の前方側に施肥装置Ａを装備して
作業機の一例としての施肥装置付き田植機が構成されて
いる。

【００１２】この田植機は、走行機体の前部ボンネット
５内に搭載したエンジンＥの動力が、ベルト式の無段変
速装置Ｖを介して前部側伝動ケース６に伝えられ、この
前部側の伝動ケース６からの動力が前車輪１に伝達され
るとともに、伝動軸７及び後部伝動ケース８を介して後
車輪２に伝達される四輪駆動型であり、走行機体の搭乗
運転部９に備えられた操縦ハンドル１０の操作に伴って
左右前車輪１が操向揺動されるように構成されている。
又、前部側伝動ケース６から動力取り出し軸１１を介し
て苗植付装置４に動力が伝達されて苗植付装置４が駆動
され、圃場内を走行しながら苗植付け作業を行えるよう
に構成されている。

【００１３】前記苗植付装置４は、昇降用油圧シリンダ
１２の伸縮操作に伴って、下端部が圃場面に接地する苗
植付け用の作業位置と、大きく上方に移動する上昇位置
とにわたって昇降操作自在であって、リンク機構３に連
結支持される植付部フレーム１３に対して機体横幅方向
に沿って設定ピッチで往復横移動する苗のせ台１４、苗
のせ台１４に載置された植付け対象苗の下端部から一株
づつ取り出して圃場に植付ける複数（６個）の植付機構
１５、圃場に接地しながら泥面を整地する接地フロート
５８等を備えて６条植え形式に構成されている。

【００１４】苗のせ台１４の苗載置部には、横移動スト
ロークエンドにおいて載置している苗を植付機構１５に
向けて設定量づつ送り出す縦送り装置１６が各植付条毎
に設けられている。この縦送り装置１６は、上下一対の
プーリにわたって突起付きベルトが巻回され、下方側の
プーリがストロークエンドにおいて接当作用により、所
定量づつ回動操作されるように構成されている。そし
て、前記接地フロート５８には、各植付条における苗の
植付け部位に隣接する夫々の箇所において、接地面より
も下方側に向けて泥土層に入り込み、泥面上に肥料を供
給する為の溝を形成する作溝器１７が設けられている。

【００１５】次に施肥装置Ａについて説明する。図２〜
図４に示すように、施肥装置Ａは、粉状、若しくは、粒
状の肥料Ｍを貯留するタンクとしての３つの貯留ホッパ
ー１８が備えられると共に、夫々の貯留ホッパー１８の
下方側に位置して貯留ホッパー１８からの肥料Ｍを設定
量づつ下方側に向けて繰り出す繰出し機構１９が設けら
れるとともに、繰出し機構１９により繰り出された肥料
を、ブロアモータ２０Ｍを備えた送風ブロア２０の送風
作用によって施肥ホース２１を通して前記苗植付装置４
における苗植付位置の近傍に配置される作溝器１７に向
けて送風案内するように構成されている。又、この施肥
装置Ａでは１つの繰出し機構１９からの肥料を施肥ホー
ス２１の中間で分岐して２つの作溝器１７，１７に供給
するようになっている。この分岐構造は後述する。

【００１６】前記繰出し機構１９は、ケーシング２２の
内部に、貯留ホッパー１８の底部開口部分に臨む状態
で、繰出し回動軸２３に一体回動自在に外嵌されるとと
もに、外周部に所定ピッチをあけて複数の肥料入り込み
用の凹部２４が形成された繰出し回転体２５が設けら
れ、繰出し回転体２５の回転に伴って凹部２４内に貯め
られた肥料が下方側の漏斗状の案内部２６に流下案内さ
れるように構成されている。尚、凹部２４内に所定量づ
つ貯めるように擦り切り用のブラシ２７が設けられてい
る。

【００１７】前記ブラシ２７は、繰出し回転体２５の外
周面に位置する作用位置と、繰出し回転体２５から離間
する肥料排出位置とにわたって横軸芯Ｐ周りで揺動自在
で、且つ、ケーシング２２の横側外方に設けられた切換
操作具３１の切り換え操作に伴って一体的に揺動して、
前記各位置にて位置保持されるようになっている。複数
の各繰出し機構１９における各ケーシング２２は、機体
フレームＦから固定立設された縦フレーム２９によって
支持され、機体横方向に延設された横フレーム３０によ
って固定支持されている。

【００１８】前記繰出し回動軸２３は、夫々の繰出し機
構１９毎に夫々の繰出し回転体２５が一体的に回動する
ように三本に分割されて設けられ、３個の繰出し機構１
９毎に各別に駆動並びに停止できるように構成されてい
る。

【００１９】前記繰出し機構１９の駆動構成について説
明する。繰出し機構１９の後方側箇所に、機体横幅方向
に沿って施肥装置Ａのほぼ全幅に亘る長さで、且つ、両
側端部にて回動自在に支持される状態で駆動軸３２が配
置され、この駆動軸３２の横幅方向中間部に一方向クラ
ッチ３３が設けられている。そして、一方向クラッチ３
３の操作アーム３４と、動力取り出し軸１１によってベ
ベルギヤ機構２８を介して回転駆動される横向き伝動軸
３５に取付られた回転アーム３６とが押し引きリンクで
枢支連結されて、回転アーム３６の回転に伴って押し引
きリンク３７が押し引き操作されて、一方向クラッチ３
３により操作アーム３４が所定方向に回動するときにの
み駆動軸３２が回動操作されるように連動連係されてい
る。従って、回転アーム３６が回転するに伴って駆動軸
３２が一定方向に間欠的に回動操作されることになる。

【００２０】そして、この駆動軸３２と三本の各繰出し
回動軸２３との間に、各別に動力伝達を入り切り自在な
施肥クラッチ３８が夫々設けられ、この施肥クラッチ３
８からの動力を繰出し回動軸２３に伝えるギヤ３９，４
０が備えられている。更に、夫々の施肥クラッチ３８を
操作するレバー４４を苗植付装置４の上部位置に設ける
ことによってレバー４４の操作で対応する２条分の施肥
クラッチ３８を入り切り操作できるよう構成されてい
る。

【００２１】ケーシング２２の前方側には、丸筒状の送
風パイプ４５が、その長手方向が機体横幅方向に沿う状
態で配置されるとともに、両端側にて支持ブラケット４
６を介して横フレーム３０に支持される状態で設けら
れ、この送風パイプ４５の横一側端部には、前記送風ブ
ロア２０が設けられ、送風ブロア２０により送風パイプ
４５の内部に送風供給されるようになっている。

【００２２】又、ケーシング２２の下方側には、前記漏
斗状の案内部２６から排出される肥料を回収して回収用
開口４９から送り出す排出パイプ４８が備えられ、前記
漏斗状の案内部２６の下方側には、案内部２６の下端出
口５０に連通する状態で機体後方側に向けて開口する施
肥供給部５１が形成され、この施肥供給部５１には前記
施肥ホース２１の一端側が差し込み装着される。そし
て、施肥供給部５１の前方側には、案内部２６の下端出
口５０と送風パイプ４５の内部とを連通接続するように
エアー供給部５２が形成されている。このエアー供給部
５２と施肥供給部５１とは、機体前後方向に沿って略一
直線状に連なるように形成されている。

【００２３】前記案内部２６の下端出口５０の下方側に
は、その下端出口５０と前記排出パイプ４８の内部とを
連通接続する排出経路５３を構成するように排出部５４
が形成され、更に、繰出し機構１９から繰り出された粉
粒状の肥料を、前記施肥ホース２１に案内する供給状態
と、前記排出経路５３に向けて案内する排出状態とに切
り換え自在な経路切換板５５が、複数の繰出し機構１９
の夫々に対応して設けられている。この経路切換板５５
は、排出経路５３を閉塞して、案内部２６の下端出口５
０に対して、施肥供給部５１の内部、即ち、施肥ホース
２１の内部及び送風パイプ４５の内部を連通させる供給
位置と、施肥供給部５１の内部通路を閉塞して、案内部
２６の下端出口５０に対して、排出経路５３及び送風パ
イプ４５の内部を連通させる排出位置とにわたって左右
軸芯Ｘ２周りで揺動自在に枢支されている。

【００２４】そして、苗の植付け作業と共に施肥を行う
場合には、前記経路切換板５５を供給位置に切り換える
とともに、送風ブロア２０による送風作動を開始するこ
とで、繰出し機構１９から所定量づつ繰り出された粉粒
状の肥料は送風ブロア２０の送風力によって、案内部２
６の下端出口５０から施肥供給部５１及び施肥ホース２
１を通過して作溝器１７に向けて送風案内され、圃場に
供給されることになり、植付け作業が終了した後におい
て、貯溜ホッパー１８内に残留した肥料を回収する場合
には、前記経路切換板５５を排出位置に切り換えるとと
もに、繰出し機構１９におけるブラシ２７を繰出し回転
体２５から離間する肥料排出位置に切り換えて肥料を排
出させることで案内部２６の下端出口５０から排出経路
５３及び排出パイプ４８を介して肥料を回収することが
できるものとなっている。

【００２５】図２，図３，図５に示すように施肥ホース
２１は繰出し機構１９の側に連通する主ホース２１Ａ
と、この主ホース２１Ａの肥料送り方向の下手端部に連
通する二股状の分岐部材２１Ｂと、分岐部材２１Ｂの分
岐部位から２つの作溝器１７，１７に肥料を送る分岐ホ
ース２１Ｃ，２１Ｃとで構成されている。又、分岐部材
２１Ｂは、側面視、及び、前後方向視で主ホース２１Ａ
の直線状となる部位の端部に接続することで主ホース２
１Ａ内を偏りのない状態で送られる肥料の流れを、左右
方向での中央位置で分流させて均等な量に肥料を分配で
きるものとなっている。

【００２６】このように、本発明の田植機の施肥装置で
は６条植の苗植付装置に備えた６つの作溝器１７に対し
て肥料を供給するに３つの繰出し機構１９を用いること
で、繰出し機構１９を６つ備えるものと比較して、部品
数を少なくしコストの低廉化を可能にすると共に、主ホ
ース２１Ａを偏りのない状態で送られる肥料を分岐部材
２１Ｂで２分する形態で分岐するので単純な構造の分岐
部材２１Ｂを用いるものであり乍ら、均等な量の分岐を
可能にして夫々の作溝器１７に対して等しい量の肥料を
供給するものとなっており、構造が単純である点から組
立や点検保守を容易にすると同時に一層のコストの低減
を可能にするものとなっている。

【００２７】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態
以外に、例えば、図６の（イ）〜（ニ）のように構成す
ることも可能である。つまり、（イ）のように２つの繰
出し機構１９からの肥料の経路を一対に分岐して４つの
作溝器１７に送るよう４条用に構成する。（ロ）のよう
に３つの繰出し機構１９のうち左右両端からの肥料の経
路を一対に分岐し、中央位置の繰出し機構１９からの経
路を分岐せず、夫々から５つの作溝器１７に肥料を送る
よう５条用に構成する（この構成では中央位置の繰出し
機構１９の繰出し量が左右位置のものの半分に設定され
るものとなる）。（ハ）のように４つの繰出し機構１９
からの肥料の経路を一対に分岐し、夫々から８つの作溝
器１７に肥料を送るよう８条用に構成する。（ニ）のよ
うに６つの繰出し機構１９のうち左右両端と中央位置の
２つとからの肥料の経路を一対に分岐し、端部から内方
に隣接する一対の繰出し機構１９からの経路を分岐せ
ず、夫々から１０の作溝器１７に肥料を送るよう１０条
用に構成することも可能である（この構成では単一の作
溝器に１７に対して肥料を供給する繰出し機構１９の繰
出し量が他の位置のものの半分に設定されるものとな
る）。

【００２８】又、本発明は分岐部材で３つ以上の経路に
肥料を分岐するよう該分岐部材を構成することも可能で
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】田植機の全体側面図

【図２】施肥装置の後面図

【図３】田植機の平面図

【図４】繰出し機構の縦断側面図

【図５】施肥ホースの分岐位置を示す断面図

【図６】別実施の形態の４つの肥料形態を示す線図

【符号の説明】 １８ タンク １９ 繰出し機構 ２１Ａ 主ホース ２１Ｂ 分岐部材 ２１Ｃ 分岐ホース

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タンクに貯留された肥料を繰出し機構で
   繰出し、送り経路を介して苗植付装置の複数の苗植付位
   置の近傍の施肥位置に送り込むよう構成した田植機の施
   肥装置であって、 前記送り経路が、前記繰出し機構からの肥料を送る主ホ
   ースと、この主ホースからの肥料を複数の方向に分岐す
   る分岐部材と、この分岐部材で分岐した肥料を前記複数
   の施肥位置に送る分岐ホースとを備えて構成されている
   田植機の施肥装置。
2. 【請求項２】 前記主ホースに対して空気とともに前記
   肥料を送るよう構成されている請求項１記載の田植機の
   施肥装置。
3. 【請求項３】 前記分岐部材が直線状の前記主ホースの
   送り方向の端部に形成されている請求項２記載の田植機
   の施肥装置。