JP3430619B2 - 田植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は、圃場の表土面を整地す
る代掻装置を有する田植機に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来のこの種装置は、例えば、特開平６
−７号公報に示されているように、走行車体と植付装置
との間に圃場の表層（植付面）を代掻する代掻装置を軸
装し、一台の機械によって代掻作業と植付作業とを同時
に行なうことが出来る構成になっている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】田植機の植付作業時に
留意すべきことは、前行程で圃場面に植付た隣接条の苗
を次行程の植付走行中に泥波を起こして倒伏させたり浮
き苗にしないことである。上述した従来の技術は、植付
装置の前側に横架させた整地装置となる代掻装置が、一
体構成になっているために中間部分から後方に泥水を排
出する通路がなく、前進にともなって押し進んだ泥水を
代掻装置の左右両端部分からまとめた状態で側部後方へ
排出する結果となる。 【０００４】そのため、代掻装置の端部から排出された
泥流は、隣接する既植苗に波及してその苗を押し倒した
り浮き苗にする問題点があった。 【０００５】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述の如き問
題点を解決するために次の如き技術手段を講ずるもので
ある。すなわち、複数のフロ−ト１，１’，１”と植付
杆２，２’と苗タンク３，３’とから構成した植付装置
４を走行車体５の後部に連結し、前記複数のフロ−ト
１，１’，１”は相互の間に所定間隔Ｈを隔てて泥土流
路ａを形成し、圃場の表土面を整地する代掻装置６，
６’，６”を前記各フロ−ト１，１’，１”の前側に位
置させ泥土流路ａの前側には設けない構成とした田植機
である。 【０００６】 【実施例】まず、その構成について述べる。走行車体５
は、原動機７を搭載してその上側に操縦座席８を設け、
後部に軸装した駆動車輪９，９’と前部に軸装した操舵
車輪１０，１０’とから走行可能に構成している。１１
はステアリングハンドルである。 【０００７】植付装置４は、伝動装置１２を内装した機
体１３に、フロ−ト１，１’，１”と、ロ−タリ−式の
植付杆２，２’と、苗タンク３，３’とを設けて構成し
ている。そして、まず、フロ−ト１，１’，１”は、中
央にメインフロ−ト１を位置させ、その両側にそれぞれ
サイドフロ−ト１’，１”を設けて圃場面を整地しなが
ら滑走できる構成としている。そして、各フロ−ト１，
１’，１”は、所定の間隔Ｈを隔てて配置し、相互の間
に泥水を後方へ流すための泥土流路ａを構成している。 【０００８】つぎに、植付杆２，２’は、前述の通りロ
−タリ−式に軸装し、フロ−ト１，１’，１”の通過に
よって整地された圃場面に、植付回動にともなって上方
の苗取出口１４から苗タンク３，３’の苗を取り出して
植付るように構成している。そして、苗タンク３，３’
は、上述した苗取出口１４に対して左右方向に往復横移
動ができる構成としている。 【０００９】施肥用の作溝器１５は、植付位置の近傍に
位置させ、肥料タンク１６に他端部を連結した肥料ホ−
ス１７の一端を連結し、圧風装置１８の移送作用によっ
て植付位置の近くに施肥できる構成としている。以上の
ように構成された植付装置４は、走行車体５の後部に、
リンク機構１９を介して上下昇降自由に連結している。
なお、２０は油圧シリンダである。 【００１０】代掻装置６，６’，６”は、回転ドラム２
１の外周面に代掻用螺旋刃２２を取り付けて駆動される
構成とし、上述の植付装置４と走行車体４との間に位置
させて軸装している。そして、代掻装置６，６’，６”
は、図１に示すように、それぞれのフロ−ト１，１’，
１”の前側に軸装されており、泥土流路ａの前方には存
在しないように３個に分割して配置している。そして、
前述の代掻用螺旋刃２２は、回転にともなって表層の泥
水を横送りして泥土流路ａの前側に送るように構成して
いる。 【００１１】別実施例代掻装置６，６’，６”は、図４
に示す実施例にあっては、回転ドラム２１の外周面に代
掻用螺旋刃２２を取り付けたものにおいて、作溝器１５
が通過する位置の前方にあたる部分に高いハロ−爪２３
を設けて構成している。また、他の実施例の代掻装置
６，６’，６”は、図５に示すように、回転ドラム２１
に取り付ける高いハロ−爪２３を作溝器１５と植付位置
との両者の前方に設けて構成している。 【００１２】なお、ハロ−爪２３は、その高さ及び幅は
適宜選択することができるものである。以上のように構
成した別実施例の回転ドラム２１は、作業にあたって駆
動回転しながら前進すると、図４の場合は、作溝器１５
の通過部分が、又、図５に示す場合は作溝器１５の通過
位置と植付位置との両者に相当する部分が、それぞれ高
いハロ−爪２３によって深く整地されて柔軟になってい
るから、前進に伴う抵抗が少なくなって円滑な施肥がで
きると共に、適確に植付ることができるものである。 【００１３】次ぎにその作用について説明する。まず、
田植作業を行なう圃場は、予め耕耘された後、水を貯め
て代掻を行なっていない状態の水田を用意する。そし
て、苗タンク３，３’に苗を補給すると共に、肥料タン
ク１６に肥料を充填して作業の準備を行なう。つぎに、
原動機７を始動して回転各部を駆動しながら走行車体５
を前進すると代掻装置６，６’６”は、回転駆動されて
圃場表面を代掻しながら移動する。 【００１４】この場合、代掻装置６，６’，６”は、回
転ドラム２１が回転して代掻用螺旋刃２２が圃場の表層
土壌に作用して土塊を壊しながら進み、その過程におい
て、雑草、古稲株、切り藁等を泥土中に押し込みながら
表土面を均平に整地する。そして、代掻装置６，６’，
６”は、その前側で押しながら進む泥水を回転する代掻
用螺旋刃２２によって横方向に移送して回転ドラム２１
の端部から側方後方に排出する。すると、その泥水は、
各フロ−ト１，１’，１”間に設けた泥土流路ａに達し
て更に後方に案内されながら排出されるのである。 【００１５】そして、フロ−ト１，１’，１”は、前述
の通り代掻装置６，６’，６”によって代掻の終わった
圃場面を走行車体５の前進にともなって更に整地しなが
ら進む。そして、肥料は、肥料タンク１６から定量づつ
繰り出されて圧風装置１８の送風作用を受けながら肥料
ホ−ス１７内を送られて作溝器１５に達し、表土中に施
肥される。 【００１６】次ぎに、植付杆２，２’は、植付回転を行
ないながら苗取出口１４に突入して往復横移動している
苗タンク３，３’の苗を取り出し、圃場面に植付ける。
このようにして、代掻装置６，６’，６”と植付装置４
とは、走行車体５の前進にともなって同時作業ができ、
代掻作業と、田植作業とを能率良く行なうことができ
る。 【００１７】したがって、上述の実施例によれば、従来
の如く、事前に代掻作業を行なう必要がなく、田植作業
と同時に行なうから事前作業の大幅な省力化を図ること
ができる。そして、この実施例は、代掻作業にともなっ
て発生する泥水をフロ−ト１，１’，１”間に形成した
泥土流路ａに排出できるから、隣接の既植苗の条列に影
響を与えることが少なく、倒伏させたり、浮苗になった
りすることを未然に防止できる実用的なものである。 【００１８】 【発明の作用効果】以上説明したように、本発明は、複
数のフロ−ト１，１’，１”と植付杆２，２’と苗タン
ク３，３’とから構成した植付装置４を走行車体５の後
部に連結し、前記複数のフロ−ト１，１’，１”は相互
の間に所定間隔Ｈを隔てて泥土流路ａを形成し、圃場の
表土面を整地する代掻装置６，６’，６”を前記各フロ
−ト１，１’，１”の前側に位置させ泥土流路ａの前側
には設けない構成としたものであるから、代掻装置６，
６’，６”による整地作業と田植作業とを同時に行なう
ことができるものでありながら、整地作業にともなって
発生する泥水をフロ−ト１，１’，１”間に形成した泥
土流路ａに排出できるから、隣接の既植苗の条列に泥流
の影響を与えることがきわめて少なく、倒伏させたり、
浮苗にしたりすることを未然に防止できる優れた効果を
奏するものである。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の実施例であって、その要部に平面図で
ある。 【図２】本発明の実施例であって、全体の側面図であ
る。 【図３】本発明の実施例であって、全体の平面図であ
る。 【図４】本発明の別実施例であって、要部平面図であ
る。 【図５】本発明の別実施例であって、要部平面図であ
る。 【符号の説明】 １ メインフロ−ト １’，１” サイドフロ−ト ２，２’ 植付杆 ３，３’ 苗タンク
４ 植付装置 ５ 走行車体 ６，６’，６” 代掻装置
２１ 回転ドラム Ｈ 所定間隔（フロ−ト間） ａ 泥土流路

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 複数のフロ−ト１，１’，１”と植付杆
   ２，２’と苗タンク３，３’とから構成した植付装置４
   を走行車体５の後部に連結し、前記複数のフロ−ト１，
   １’，１”は相互の間に所定間隔Ｈを隔てて泥土流路ａ
   を形成し、圃場の表土面を整地する代掻装置６，６’，
   ６”を前記各フロ−ト１，１’，１”の前側に位置させ
   泥土流路ａの前側には設けない構成とした田植機。