JP2972038B2 - 代掻同時植付機における代掻装置 - Google Patents

代掻同時植付機における代掻装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、穀稈を収穫した圃場を
耕起し、その表層全面を浅く代掻しながら、代掻した部
分に苗を植付ける代掻同時植付機における代掻装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、穀稈を収穫した圃場を耕起した後
耕起層全体を代掻する方式及び穀稈を収穫した後の圃場
に不耕起状態で苗を植付ける方式、並びに上記圃場の狭
い幅のみ耕耘し、この耕耘した部分に苗を植付ける植付
機は既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記既知の植付方式の
うち、第1の方式は耕起層全体を代掻するため多大の労
と時間を要すると共に深層まで練り合わされて土壌中
に空隙がなくなり、しかも、代掻した後に専用の植付装
置により別途植付作業をしなければならなかった。ま
た、第2の方式は、植付時の圃場に、収穫時のコンバイ
ンのクローラ跡窪み等があって均平性に欠け、かつ、
古株や雑草等が多く、著しい深植え、又は浅植えになっ
て浮き苗や成育不良が発生するものであり、更に、第3
の方式は、植付列の耕起部分の土壌に粘着性がないの
で植付けた苗の起立保持が困難であった。
【0004】このような課題を解決すべく、走行車の後
部に、複数の植付体を横方向に間隔をおいて配設し、そ
れらの植付体とその直前の車輪との間に強制回転駆動さ
れると共に植付幅全体に亙る代掻ローターを配設したと
ころ、代掻ローターの両端部から多量の泥土や泥水を両
側方へ押し出すので植付けた苗を押し倒すことがあっ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、走行車1の後
部に、複数の植付体14を有する植付装置8を配設し、
該植付装置8の前に強制回転駆動される3個以上の代
掻ローターを横方向に配列し、中間の代掻ローターを両
側のものより前位にすると共に、該前位の代掻ローター
の端部が前後方向から見て後位の代掻ローターの内端部
と一部重合するように構成したことにより前述の課題を
解決した。
【0006】
【作用】収穫済の圃場を耕起した後湛水し、この状態
で、代掻ローターを耕起されている土壌の表層に侵入さ
せた状態で回転させながら進行させると、前記代掻ロー
ターは表層を浅く代掻しながら進行し、その直後にある
複数の植付体はそれぞれ植付装置の苗載台内の苗を1株
分づつ掻き取って代掻された圃場に植付ける。そして、
前記代掻行程において、後位の代掻ローターは、前位の
代掻ローターが代掻した部分の端部を一部重複して代掻
すると共に、更にその両側方の圃場を代掻し、この時、
の代掻ローターの両端部から押し出された泥土や泥
は、後代掻ローターの受け止めら、その一
部は後の代掻ローターの幅内に流動し、他の一部は後
の代掻ローターの内側端部から前位の代掻ローターが
代掻した部分に流出し、後の代掻ローターの他端から
も後方へ流動する。
【0007】
【実施例】本発明の一実施例を図面について説明する
と、走行車1は前輪2,2と後輪3,3とからなる走行
装置を有し、エンジン4の動力はミッションケース5に
より走行装置と機体の後部のPTO軸とに分配され、前
記機体の後方には、トップリンク6とロアリンク7,7
とを介して植付装置8を昇降可能に連結し、この植付装
置8はその入力軸をPTO軸に自在継ぎ手9及び中間軸
を介して連動連結されていて、伝動ケース10と、該伝
動ケース10に連結した駆動軸ケース11内の横軸を介
して伝動する複数の植付伝動ケース12・・と、植付伝
動ケース12・・により駆動される複数の植付体14・
・と、横方向に往復動する苗載台15とにより構成され
ている。
【0008】また、左右両端の植付伝動ケース12,1
2の下部には車輪跡を消すフロート16,16を、後部
は昇降調節可能に、前部はく字状リンクで昇降可能に連
結し、更に、中央の植付伝動ケース12の下部にはセン
ターフロート16aを装着し、該センターフロート16
aを複数のリンクを介して植付装置8を昇降させるため
の油圧シリンダの制御バルブに連動連結して植付装置8
を一定高さに制御する。フロート16,16はその前部
両側を外側方へ延出させてあり、このように構成するこ
とにより車輪跡はもとより中間部まで略全幅に亙る田面
の凹凸を良好に均平することができ、かつ、雑草の発生
を押さえると同時に除草剤の効果を高めることができ、
センターフロート16aの前部両側も大きく両側方へ延
出させてあるので油圧シリンダの制御バルブを制御する
際の感知精度を向上することができる。
【0009】そして、前記左右両側の植付伝動ケース1
2,12の外側面に固定したブラケット18,18に
は、前方へ向かうと共に側方へ突出したステー19,1
9を回動調節可能に連結し、それらのステー19,19
の前端部には、軸受を介して後部代掻軸20を回転自在
に支承し、該後部代掻軸20にゴム製(又は鋼製)の後
部代掻ローター21・・を一体に装着し、この後部代掻
ローター21の外周面には図4及び図5に示すごとくジ
グザグ状に屈曲したラグ状(又は蛇行状)の突条22・
・を軸心方向に間隔をおいて多数突設してある。上記突
条22は、く字状に折曲したものを断続的に配列したも
の、若しくは左右に傾斜したものを交互に断続的に配列
したもの等でも良く、また、突条22・・の間隔は
4,図5に示す如く相隣る突条22の折曲部が横方向に
おいてDだけラップする程度になっている。更に、後部
代掻ローター21の外側端間の距離は、1行程の植付幅
(植付条間隔L×植付条数n)より大であり、かつ、両
端部は図2に示す如く最外側の植付条からL/2+αだ
け突出するようになっている。
【0010】要するに、後部代掻ローター21が回転し
ながら前進すると、突条22・・は、吸水している土壌
を、左右方向へ交互に押す作用を反復して行うと共に1
行程で植付幅の両側にそれぞれαを加えた幅の代掻を行
うこととなる。また、後部代掻ローター21の外端部に
は大径のディスク21a,21aを取付て泥土や泥水
外側方へ流動するのを防止するようになっている。更
に、前記トップリンク6の後部を連結した支柱6aの下
部に固定したブラケット23aには、下部に前記後部代
掻軸20を支承しているギヤケース23に立設した支持
板23bを取付けてある。
【0011】また、前記駆動軸ケース11にそれと一体
にして設けた横フレーム11aには前記後部代掻ロータ
ー21,21の内端寄り上方を経て前方へ延出した左右
一対のブラケット11b,11bを突設してあり、これ
らのブラケット11b,11bの前部には、後部代掻ロ
ーター21と同様に構成した前部代掻ローター21bを
前部代掻軸21cにより軸架してあり、この前部代掻ロ
ーター21bの両端部は前後方向から見て後部代掻ロー
ター21,21の内端部とラップしている。
【0012】次に伝動装置について説明すると、ミッシ
ョンケース5から後方へ突出したPTO軸は中間軸及び
伸縮可能な自在継ぎ手9を介して植付装置8の入力軸を
駆動し、駆動軸24に取付けたスプロケット24aは減
速装置26の入力軸にも動力を分配し、運転席27の後
方側部に設けた変速レバー28を操作するとギヤチェン
ジされて減速装置26の出力軸30を変速し、この出力
軸30は伸縮可能な自在継手31を介して前記後部代掻
軸20の中央よりも左側寄り上部から前部代掻ローター
21bの右側部上に亙る前記ギヤケース23の入力軸3
3を駆動し、前部代掻軸21c及び後部代掻軸20は、
ギヤケース23の前部と後部の垂下部に貫通されていて
内装されたギヤを介して駆動される。その際、前記前部
代掻ローター21b及び後部代掻ローター21の回転方
向は車輪と同一方向であって周速は走行速度の1.2〜
1.5倍程度の範囲で火山灰土のような崩壊し易い土壌
の圃場では低速で、粘土質の土壌のように固い圃場では
高速にすることが望ましい。また、運転席27の側部下
方に配設した施肥ポンプ35も前記駆動軸24により駆
動される。
【0013】前記伝動ケース10と一体な駆動軸ケース
11及び両端の植付伝動ケース12,12の外側には、
それらと一体に締着したプレート36に施肥装置37を
高さ調節可能に取付けてあり、この施肥装置37は、支
持軸38に装着した施肥ノズル40・・と、その側部に
近接していて吐出口より前位に傾斜姿勢で下部が泥土中
に侵入して施肥溝を形成する回転ディスク39・・とで
構成されており、該施肥ノズル40・・は肥料タンク4
1内のペースト状肥料をサクションホース42を介して
吸入して圧送する前記施肥ポンプ35に、ホース43・
・とインジケータを介して接続されている。
【0014】次に代掻及び植付について説明すると、前
年に稲を刈取った後、秋にトラクタに装着したロータリ
ー耕耘装置等により耕起するか、作業の都合では翌年に
なってから耕起する。これにより収穫時のコンバインの
クローラ跡や他の凹凸が解消され、収穫時にカッターに
より細断散布された切藁が雑草と共に鋤き込まれる。そ
して、植付直前に前記耕起した圃場に湛水して2〜3日
経過させることにより土壌が膨軟になったならば、代掻
植付機を圃場に導入し、植付装置8、前後の代掻ロータ
ー21b,21を駆動しながら走行させると、それらの
代掻ローター21b,21は回転しながら土中に浅く侵
入した状態で進行し、その際、代掻ローター21b,2
1の各突条22・・は泥土や泥水を一側へ向かう傾斜部
で斜め一側方へ押し、それに続く他側に向かう傾斜部
は、泥土や泥水を斜め他側方へ押し出し、このような逆
向きの側方押し出しが反復されるので、耕土を浅い範囲
内で良く代掻すると共に雑草、切藁及び古株等を泥土中
に押し込みながら均平し、この代掻幅は側方へ押し出さ
れる泥土や泥水を受け止める両側の前記ディスク21
a,21aにより区分される。
【0015】前述の代掻行程において、代掻幅は実質的
な植付幅(植付条間隔L×条数n)よりも両側にそれぞ
れαだけ広くなるので、次の行程では代掻部分が2αだ
けラップすることとなり、往復代掻を反復した場合、
に、走行車1が若干の蛇行運転をしたとしても、行程間
に未代掻部分が残ることがなく、また、前部代掻ロータ
ー21bと左右の後部代掻ローター21,21の部間
で未代掻部分が生ずることがなく、したがって、その部
分に雑草が早期に繁茂したり、圃場面に凹凸が残たり
することがない。また、代掻した部分よりも深い層は耕
耘状態のまま残る。更に、センターフロート16aは前
部代掻ローター21の直後に位置するので、代掻ロー
ターが掻き出す泥土や泥水の影響を受けることがなく、
接地圧を的確に検出することができる。
【0016】このような代掻の直後に、前記植付装置8
の植付体14は、従来のものと同様、苗載台15内の苗
を一株づつ掻き取って代掻した部分に植付け、その側部
では、回転ディスク39が施肥溝を形成し、施肥ノズル
40がその施肥溝に施肥ポンプ35により圧送されたペ
ースト状肥料を土中に施肥する。なお、肥料はペースト
状肥料に限られるものではなく、粒状肥料とする場合も
ある。前述の浅代掻の際、雑草、古株又は切藁等が泥土
中に押し込まれているので、植付を良好に行うことがで
きると共に雑草の成育を抑制することができ、しかも、
浅い代掻層より下層は耕耘状態になっていて小さな多数
の空隙を保有しているので根への酸素の供給及び根の伸
長が良くなり、苗の成育も助長される。なお、代掻ロー
ター21b,21は逆回転(下面が前方へ回動)又は正
回転させることもできる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、走行車1の後部に、複数の植
付体14を有する植付装置8を配設し、該植付装置8の
に強制回転駆動される3個以上の代掻ローターを横
方向に配列し、中間の代掻ローターを両側のものより前
にすると共に、該前位の代掻ローターの端部が前後方
向から見て後位の代掻ローターの内端部と一部重合する
ように構成したので、代掻と植付とを一作業行程で行い
得て作業能率を向上することができる。また、代掻ロー
ターにより表層のみを代掻するので一行程にて充分な代
掻を行なうことができると共にそれより下層は空隙の多
い未代掻状態になり、作物の成育環境を良くすることが
できる。
【0018】しかも、代掻ローターを前後の位置に配置
し、しかも前位の代掻ローター21bの端部が前後方向
から見て後位の代掻ローター21,21の内端部と一部
重合するように構成したので、左右幅中央部の前部代掻
ローター21bから掻き出された泥土や泥水は、その両
端から後方両側の後部代掻ローター21,21の間へ流
動するので、従来の如く、代掻ローター21,21の外
側端のみから勢いよく流出するようなことがなく、泥土
や泥水の一部が左右に間隔を隔てている後部代掻ロータ
ー21,21の両端から分散して流動することとなっ
て、既に植付けられた隣接条の苗を押し倒すことがな
い。更に、走行車1が若干の蛇行運転をしたとしても、
未代掻部分を生ずることがなく、その部分に雑草が早期
に繁茂したり、圃場面に凹凸が残ったりする事がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】代掻植付機の側面図である。
【図2】同上平面図である。
【図3】要部の拡大側面である。
【図4】代掻ローターの一部の平面図である。
【図5】代掻ローターの突条パターンを示す展開図であ
る。
【図6】施肥装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 走行車 4 エンジン 5 ミッションケース 8 植付装置12 植付伝導ケース 14 植付体 16 フロート 20 後部代掻軸 21 後部代掻ローター21a ディスク 21b 前部代掻ローター 21c 前部代掻軸 22 突条 37 施肥装置 39 回転ディスク

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行車1の後部に、複数の植付体14を
    有する植付装置8を配設し、該植付装置8の前に強制
    回転駆動される3個以上の代掻ローターを横方向に配列
    し、中間の代掻ローターを両側のものより前位にすると
    共に、該前位の代掻ローターの端部が前後方向から見て
    後位の代掻ローターの内端部と一部重合するように構成
    したことを特徴とする代掻同時植付機における代掻装
    置。
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