JPH0779624A - 代掻同時植付機における作業機昇降装置の油圧感知装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、耕起圃場の浅い層を圃場面の高低
に拘らず、確実に代掻しながら欠株又は浮き苗を生じな
いように植付けることができる代掻同時植付機における
作業機昇降装置の油圧感知装置を提供せんとするもので
ある。 【構成】 走行車１の後部に、代掻ローターと、横方向
に配列した複数の植付体１４・・及び接地圧により個々
に傾動する整地フロート１６・・を備えた植付装置とを
前方から順に配設すると共に油圧装置を介して昇降可能
に装着し、複数の前記整地フロート１６・・を、油圧バ
ルブを制御する感知アームに、最下位になる整地フロー
ト１６の作動が伝達されるように連動連繋した代掻同時
植付機の油圧感知装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圃場を耕起し、その表
層を代掻ローターにより浅く代掻しながら整地フロート
を有する植付装置により代掻した部分に苗を植付け、前
記整地フロートの接地圧感知により作動する油圧装置を
介して代掻ローター及び植付装置を昇降させる代掻同時
植付機における作業機昇降装置の油圧感知装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、作物を収穫した状態の圃場を深層
まで耕起すると共に耕起層全体を代掻する方式、及び穀
稈を収穫した後の圃場に不耕起状態で苗を植付ける方
式、並びに上記圃場の狭い幅だけ耕耘し、この耕耘した
部分に苗を植付ける植付機は既に知られている。また、
複数の整地フロートを有する田植機において、機幅の中
央にある整地フロート（センターフロート）を植付装置
昇降用の油圧装置の感知アームに連動連繋することも既
に知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記既知の植付方式の
うち、第１の方式は耕起層全体を代掻するため多大の労
力を要すると共に深層まで練り合わされて土壌中に空隙
がなくなり、しかも、代掻した後に植付装置により別途
植付作業をしなければならなかった。また、第２の方式
は、植付時の圃場に、収穫時のコンバインのクローラ
跡、窪み等があって均平性に欠け、かつ、古株や雑草が
多いので、著しい深植え、又は浅植えになって浮き苗や
成育不良が発生する。更に、第３の方式は、植付状列の
耕起部分の土壌に粘着性がないので植付けた苗の起立保
持が困難であった。このような課題を解決することを目
的として耕起した圃場の表層を代掻ローターにより浅く
代掻し、この代掻部分に苗を植付ける方式を既に提案し
た。そして、代掻深さ及び植付深さを油圧制御すべく前
記田植機の接地圧感知装置を採用したところ、側部の整
地フロートの通過位置に窪みがあった場合、代掻ロータ
ーはその部分の代掻を行わず、また、植付装置は空植え
をなして欠株又は浮き苗を生じた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、走行車の後部
に、代掻ローターと、横方向に配列した複数の植付体及
び接地圧により個々に傾動する整地フロートを備えた植
付装置とを前方から順に配設すると共に油圧装置を介し
て昇降可能に装着し、複数の前記整地フロートを、油圧
バルブを制御する感知アームに、最下位になる整地フロ
ートの作動が伝達されるように連動連繋することにより
前述の課題を解決した。

【０００５】

【作用】収穫済の圃場を耕起した後湛水し、複数の代掻
ローターを、横方向にして耕起されている土壌の表層に
侵入させた状態で回転させながら進行させると、前記代
掻ローターは、表層の土を代掻して泥土状となし、植付
装置の各植付体は所定の条間で苗を植え付ける。そし
て、前記代掻ローターが代掻作動し、植付装置が植付作
動している間、各整地フロートはそれぞれ代掻面を整地
すると共に代掻面に対する接地圧により上下動し、それ
らの整地フロートのうち、最下位なるものの作動が感知
アームに伝達され、それにより油圧装置が作動して代掻
ローター及び植付装置が圃場面の低い部分に追従するよ
うに昇降制御される。

【０００６】

【実施例】本発明の一実施例を図面について説明する
と、走行車１は前輪２，２と後輪３，３とからなる走行
装置を有し、エンジン４の動力はミッションケース５に
より走行装置と機体の後部のＰＴＯ軸とに分配され、前
記機体の後方には、トップリンク６とロアリンク７，７
とを介して植付装置８を昇降可能に連結し、前記トップ
リンク６とフレームとの間に介装した油圧シリンダー９
は、代掻及び植付作業中、後述する接地圧感知装置の感
知結果により作動して植付装置８を昇降させ、この植付
装置８はその入力軸をミッションケース５から後方へ突
出したＰＴＯ軸に自在継ぎ手及び中間軸を介して連動連
結されていて、伝動ケース１０と、該伝動ケース１０か
ら両側方へ延出したパイプフレーム内の横軸を介して伝
動する複数の植付伝動ケース１２・・と、植付伝動ケー
ス１２・・により駆動される複数の植付体１４・・と、
各植付伝動ケース１２・・の下部に配設された整地フロ
ート１６・・と、横方向に往復動する苗載台１５とによ
り構成されている。また、前記整地フロート１６は、そ
れぞれその上方にある植付伝動ケース１２，１２に、後
部を上下傾動自在に枢支し、前部はく字状リンクで昇降
可能に連結して接地圧により個々に上下傾動するように
装着されている。

【０００７】また、左右両側の前記植付伝動ケース１２
・・の側面に固定した左右のブラケットには、前方へ向
かうステー１９・・を枢支ボルト１９ｂと調節ボルト１
９ｃとにより上下回動調節固定可能に連結し、それらの
ステー１９・・の前端部には、代掻軸２０を支承するた
めの軸受を取付けてあり、代掻ローター２１・・は横方
向に複数個連設されており、それらの代掻ローター２１
は、鋼製シリンダの外周に、ジグザグ状に屈曲したラグ
状（又は蛇行状）の突条２２・・を有するゴム層を熔着
することにより構成し、該突条２２は、く字状に折曲し
たものを断続的に配列したもの、若しくは左右に傾斜し
たものを交互に断続的に配列したもの等でも良く、ま
た、突条２２・・の間隔は、相隣る突条２２の折曲部が
横方向において多少ラップする程度になっている。更
に、外側の代掻ローター２１の両端部は、最外側の植付
条から多少突出するようになっている。

【０００８】更に、中央寄りで相隣る代掻ローター２
１，２１の間には、ギヤケース２３を介装してあり、前
記ミッションケース５から後方へ突出したＰＴＯ軸は、
中間軸及び伸縮可能な自在継ぎ手１１を介して植付装置
８の入力軸を駆動し、後輪駆動軸２４に取付けたスプロ
ケット２５ａは減速装置２５の入力軸に取付けたスプロ
ケットを駆動し、運転席２８の後方側部に設けた変速レ
バー２６を操作するとギヤチェンジされて減速装置２５
の出力軸２５ｂを変速し、この出力軸２５ｂは伸縮可能
な自在継手２５ｃを介して前記ギヤケース２３の入力軸
を駆動する。その際、前記代掻ローター２１の回転方向
は車輪と同一方向であって周速は走行速度の１．２〜
１．５倍程度の範囲で火山灰土のような崩壊し易い土壌
の圃場では低速で、粘土質の土壌のように固い圃場では
高速にすることが望ましい。また、運転席２８の側部下
方に配設した施肥ポンプ２７も前記後輪駆動軸２４によ
り駆動される。

【０００９】次に各整地フロート１６・・の感知作動を
前記油圧シリンダー９の制御バルブに伝達する装置につ
いて説明すると、各整地フロート１６・・の前端部上面
に、図３及び図４に示すごとく上下方向の長孔３０を有
する作動プレート３１を立設し、左右の植付伝動ケース
１２，１２から、下端に軸受３２を有する１本の支持ア
ーム３３をそれぞれ垂設し、中央の植付伝動ケース１２
からは下端に軸受３２を有する２本の支持アーム３３を
垂設し、相隣る一対の軸受３２，３２に感知ロッド３４
ａ，３４ｂを別々に貫挿して回動自在に支承し、それら
の感知ロッド３４ａ，３４ｂの外側端部に固定した揺動
アーム３５ａ，３５ｂのピン３６を側部の整地フロート
１６，１６に立設されている作動プレート３１の長孔３
０に遊嵌し、中央の整地フロート１６に立設した作動プ
レート３１の長孔３０に長いピン３６ａを遊嵌し、この
ピン３６ａの両端部に、左右の前記感知ロッド３４ａ，
３４ｂの内端に固定されている揺動アーム３５ｃ，３５
ｄの丸孔を嵌合して止め、それらの揺動アーム３５ｃ，
３５ｄと中央の作動プレート３１との間にて、感知アー
ム３７，３７の後端の丸孔を上記ピン３６ａに嵌装し、
このピン３６ａは上部が植付伝動ケース１２，１２に係
止されたスプリング３８により引き上げ付勢されてい
る。

【００１０】前記施肥ポンプ２７の吸入口を、肥料タン
ク３９の底部にサクションホース４０を介して接続し、
複数の吐出口はそれぞれ別のホース４１・・により植付
装置に付設した複数の施肥ノズル４２・・に接続してあ
り、前記ホース４１の中途部にはロアリンク７に装着し
たインジケーター４３及び条止め用のレバー付きバルブ
４４が介装してある。

【００１１】次に代掻及び植付について説明すると、前
年に稲を刈取った後、秋にトラクタに装着したロータリ
ー耕耘装置等により耕起するか、作業の都合では翌年に
なってから耕起する。これにより収穫時のコンバインの
クローラ跡や他の凹凸が解消され、収穫時にカッターに
より細断散布された切藁が雑草と共に鋤き込まれる。そ
して、植付直前に前記耕起した圃場に湛水して２〜３日
経過させることにより土壌が膨軟になったならば、代掻
同時植付機を圃場に導入し、植付装置８、代掻ローター
２１を駆動しながら走行させると、代掻ローター２１は
回転しながら土中に浅く侵入した状態で進行し、その
際、代掻ローター２１の各突条２２・・は泥土を一側へ
向かう傾斜部で斜め一側方へ押し、それに続く他側に向
かう傾斜部は、泥土を斜め他側方へ押し出し、このよう
な逆向きの側方押し出しが反復されるので、耕土は浅い
範囲内で良く代掻されると共に雑草、切藁及び古株等が
泥土中に押し込まれ、同時にほぼ均平され、それに続い
て前記整地フロート１６・・が代掻面を更に高度に仕上
均平し、代掻した部分よりも深い層は耕耘状態のまま残
る。

【００１２】このような代掻の直後に、前記植付装置８
の植付体１４・・は、整地フロート１６・・の前部の張
出部が整地均平した部分に植付け、植付けられる苗の側
部では、回転ディスクが形成した施肥溝に、施肥ポンプ
２７により圧送されて前記施肥ノズル４２から吐出され
るペースト状肥料が施肥される。なお、肥料はペースト
状肥料に限られるものではなく、粒状肥料とする場合も
ある。前述の浅代掻の際、雑草、古株又は切藁等が泥土
中に押し込まれているので、植付を良好に行うことがで
きると共に雑草の成育を抑制することができ、しかも、
浅い代掻層より下層は耕耘状態になっていて小さな多数
の空隙を保有しているので根への酸素の供給及び根の伸
長が良くなり、苗の成育も助長される。

【００１３】そして、前述の代掻植付中、各整地フロー
ト１６・・は、別々に泥土圧に応じて後部を中心として
上下傾動し、その際、例えば、左側の整地フロート１６
が窪みに侵入してそれのみが下降した場合、作動プレー
ト３１の長孔３０の上端によりそれに嵌合したピン３６
が引き下げられ、それにより外側の揺動アーム３５ａ、
その側の感知ロッド３４ａ、及び内端の揺動アーム３５
ｃを介して長いピン３６ａが下降するので、感知アーム
３７がスプリング３８に抗して下降回動し、この作動が
リンク機構又はワイヤー等を介して制御バルブに伝達さ
れ、油圧シリンダー９が作動して代掻ローター２１及び
植付装置８が適正な高さまで下降する。この時、中央の
長いピン３６ａ及び右側のピン３６は、それらが遊嵌し
ている前記長孔３０，３０中を自在に下降するだけであ
るので、中央及び右側の整地フロート１６，１６はそれ
ぞれ泥土面を滑走しながら適正な整地を行う。この状態
は他の整地フロート１６，１６が窪みに侵入した場合も
同様である。即ち、作業中、感知アーム３７は、最も下
降した整地フロート１６の作動に連動して下降制御され
る。また、すべての整地フロート１６・・が接地圧によ
り押し上げられると、感知アーム３７がピン３６ａと共
にスプリング３８により引き上げられ、油圧シリンダー
９は代掻ローター２１及び植付装置８を押し上げる。従
って、代掻ローター２１・・は未代掻部分を残すことが
なく、植付装置８は、圃場面の高低に拘らず、どの部分
に対しても良好な植付を行う。

【００１４】

【発明の効果】本発明は、走行車１の後部に、代掻ロー
ター２１と、横方向に配列した複数の植付体１４・・及
び接地圧により個々に傾動する整地フロート１６・・を
備えた植付装置８とを前方から順に配設すると共に油圧
装置を介して昇降可能に装着し、複数の前記整地フロー
ト１６・・を、油圧バルブを制御する感知アーム３７
に、最下位になる整地フロート１６の作動が伝達される
ように連動連繋したので、整地フロート１６のいずれか
が窪みに侵入すると、油圧シリンダー９が下降作動する
こととなり、圃場面の高低の如何に拘らず、代掻ロータ
ー２１により圃場面全体を的確に代掻することができる
と共に、植付装置８により欠株や浮き苗を生じないよう
に確実に植付けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】代掻植付機の側面図である。

【図２】同上平面図である。

【図３】要部の平面図である。

【図４】同上側面図である。

【符号の説明】

１ 走行車 ８ 植付装置 １４ 植付体 １６ 整地フロート ２１ 代掻ローター ３０ 長孔 ３１ 作動プレート ３４ａ，３４ｂ 感知ロッド ３５ａ，３５ｂ，３５ｃ 揺動アーム ３６，３６ａ ピン ３７ 感知アーム

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【手続補正書】

【提出日】平成６年４月１３日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図面の簡単な説明

【補正方法】変更

【補正内容】

【図面の簡単な説明】

【図１】代掻植付機の側面図である。

【図２】要部の平面図である。

【図３】同上側面図である。

【符号の説明】 １ 走行車 ８ 植付装置 １４ 植付体 １６ 整地フロート ２１ 代掻ローター ３０ 長孔 ３１ 作動プレート ３４ａ，３４ｂ 感知ロッド ３５ａ，３５ｂ，３５ｃ 揺動アーム ３６，３６ａ ｐｉｎ ３７ 感知アーム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行車１の後部に、代掻ローターと、横
   方向に配列した複数の植付体１４・・及び接地圧により
   個々に傾動する整地フロート１６・・を備えた植付装置
   とを前方から順に配設すると共に油圧装置を介して昇降
   可能に装着し、複数の前記整地フロート１６・・を、油
   圧バルブを制御する感知アームに、最下位になる整地フ
   ロート１６の作動が伝達されるように連動連繋したこと
   を特徴とする代掻同時植付機における作業昇降装置の油
   圧感知装置。