JP2019160939A - 樹脂基板 - Google Patents
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Abstract
Description
従来のガラス−エポキシ樹脂によるプリント基板の放熱性を改良する技術として、金属基板の一面もしくは両面に絶縁層を介して回路パターンを形成する金属ベース基板、及びアルミナや窒化アルミなどのセラミック基板に銅板をダイレクトに接合した基板が提案されている。上記の金属ベース基板およびセラミック基板は、性能およびコストの面で両立させることが難しい。
そして、樹脂基板の放熱性を得るために、樹脂粘度を低くし、無機充填材を高濃度に充填した樹脂組成、および樹脂基板が提案されている。例えば、特許文献1には、無機充填材を高濃度に充填する事が可能で放熱性に優れた熱伝導シート状物とそれを用いた熱伝導基板が開示されており、放熱性が必要とされる基板用途に適していると考えられている。
前記樹脂基板の厚さをtとし、縦t、横2tの厚み方向の切断面の面積を100面積%とした時、
酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分が0.5〜8面積%有ることを特徴とする樹脂基板。
[2] 前記樹脂基板の厚み方向の切断面を、プリプレグの積層枚数nで厚み方向に等分し、プリプレグ1枚分に相当する縦t/n、横2tの面積をA1からAnとし、前記A1からAnのそれぞれの面積を100面積%とした時、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分がA1からAnにそれぞれ0〜20面積%有ることを特徴とする[1]に記載の樹脂基板。
[3] 前記プリプレグは、片面又は両面において空隙を有するプリプレグを含む[1]又は[2]の樹脂基板。
本発明の樹脂基板は、無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に保持して半硬化状態としたプリプレグを2枚以上加熱加圧して成形した樹脂基板である。本発明の樹脂基板は、前記樹脂基板の厚さをtとし、縦t、横2tの厚み方向の切断面の面積を100面積%とした時、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分が0.5〜8面積%有ることを特徴とする。酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分には、無機充填材が少ない箇所であり、以後、「無機充填材疎部」とも言う。また、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分(無機充填材疎部)が1〜7面積%有ることが好ましく、2〜6面積%有ることがより好ましい。また、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が5%以下の部分が0.5〜6面積%有ることが好ましく、1〜5面積%有ることがより好ましい。
本発明の樹脂基板は、基板の厚み方向の切断面を、プリプレグの積層枚数nで厚み方向に等分し、プリプレグ1枚分に相当する縦t/n、横2tの面積をA1からAnとし、前記A1からAnのそれぞれの面積を100面積%とした時、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分(無機充填材疎部)がA1からAnにそれぞれ0〜20面積%有ることが好ましい。無機充填材疎部がA1からAnにそれぞれ0.3〜10面積%有ることがより好ましい。無機充填材が少ない部分(無機充填材疎部)がA1からAnにそれぞれ1.0〜7.0面積%有ることが更に好ましい。
各プリプレグ1枚分に20面積%以上、無機充填材が少ない部分(無機充填材疎部)が有ると、熱伝導が阻害され、熱伝導率が低下する。
<樹脂基板の構成>
図1は、本発明第一実施形態の樹脂基板10の構成を表す断面図である。本発明第一実施形態の樹脂基板10は、無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を繊維基材15に保持して半硬化状態としたプリプレグを3枚加熱加圧して成形した樹脂基板である。本実施形態の樹脂基板10が熱硬化性樹脂組成物の硬化物12と繊維基材15とを含む。熱硬化性樹脂組成物の硬化物12が無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を硬化してなるものであり、無機充填材と熱硬化性樹脂の硬化物とからなる。
本実施形態の樹脂基板10は、3枚のプリプレグに由来する3層構造からなる。第一層は、第一プリプレグ(図示なし)由来の熱硬化性樹脂組成物の硬化物12−1と繊維基材15−1とを有し、第二層は、第二プリプレグ由来の熱硬化性樹脂組成物の硬化物12−2と繊維基材15−2とを有し、第三層は、第三プリプレグ由来の熱硬化性樹脂組成物の硬化物12−3と繊維基材15−3とを有する。
また、金属箔を備えた樹脂基板は、必要に応じて、エッチング処理および穴開け処理などの各種処理のうちいずれか1種類または2種類以上が施されていてもよい。
本実施形態の樹脂基板10は、無機充填材が少ない箇所(無機充填材疎部)18を有することを特徴とする。前記樹脂基板10の厚さをtとし、縦t、横2tの厚み方向の切断面の面積を100面積%とした時、この無機充填材疎部が0.5〜8面積%有る。本発明の無機充填材が少ない箇所(無機充填材疎部)18は、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分である。
無機充填材疎部18の成分は、本発明の樹脂基板の熱伝導率と成形性の効果を達成することができれば、特に限定されないが、容易に製造する観点から、無機充填材疎部18の樹脂組成物の硬化物は、周囲の樹脂組成物の硬化物と同じ種類の熱硬化性樹脂と無機充填剤材を含むことが好ましい。
本実施形態の無機充填材疎部18の配置(分布)としては、樹脂基板の熱伝導率と成形性の効果があれば特に限定がないが、熱伝導経路を形成しやすい観点から、熱伝導経路を阻害しない位置にあることが好ましい。例えば、本実施形態の無機充填材疎部18は、樹脂基板10の厚み方向の切断面において、図1に示すように、第一層の繊基材15−1と第二層の繊維基材15−2との間に形成されている。より具体的には、例えば、図1に示す樹脂基板10の厚み方向の切断面において、同一層の繊維基材の開口部の真下の部分でない箇所で形成されていることが好ましい。更に、容易に製造する観点から、一例として、第一層の樹脂組成物の硬化物12−1と第二層の樹脂組成物の硬化物12−2との接続面において、硬化物12−1の側に形成されてもよい。
本実施形態の無機充填材疎部18のサイズとしては、樹脂基板の熱伝導率と成形性の効果があれば特に限定がないが、熱伝導経路を形成しやすい観点から、例えば、本実施形態の無機充填材疎部18は、樹脂基板10の厚み方向の切断面において、図1に示すように、幅が繊維基材の開口径以下であることが好ましい。
本実施形態の無機充填材疎部18の形状としては、樹脂基板の熱伝導率と成形性の効果があれば特に限定がないが、熱伝導経路を形成しやすい観点から、例えば、本実施形態の無機充填材疎部18は、樹脂基板10の厚み方向の切断面において、図1に示すように、基板面と並行する横幅が、基板厚さと並行する厚さより大きい略楕円状か平板状(ディスク状)であることが好ましい。
本実施形態の積層基板は、プリプレグを硬化したものである。
本実施形態の樹脂基板の製造方法の一実施形態において、まず、図3(a)〜(b)に示すように、例えば、第二プリプレグ33−1と第二プリプレグ33−2を2枚用いて加熱プレス・成形工程により、基板37を形成することができる。
空隙を有する第一プリプレグ31と基板37を積層して樹脂基板30を作製すると、空隙部分には樹脂が優先的に流れ込んで空隙を埋めるため、空隙が有った部分には無機充填材が少ない箇所(無機充填材疎部38)が生じ、空隙が有った部分の周囲には無機充填材が多い箇所が生じる。
第一プリプレグ31の空隙の大きさは、繊維基材35−1の目開きよりも小さな空隙となるよう、スリットダイの繊維基材35−1への押し込み量と接触角度、および塗料の吐出量によって制御する。繊維基材35−1の目開きよりも大きな空隙が多数あると、プリプレグ1枚当たりの無機充填材疎部の面積が大きくなり、熱伝導が伝わりにくくなる場合が有る。
本発明の第一実施態様の樹脂基板の製造に用いる空隙を有する第一プリプレグは熱硬化性樹脂と無機充填材を混合して作製した樹脂組成物を、ガラスクロスなどの繊維基材の片面からスリットダイを用いて塗布し、繊維基材の目開きを通して繊維基材の塗布裏面に通過させることによって繊維基材に樹脂組成物を保持させる塗布方法において、ガラスクロスなどの繊維基材へのスリットダイの押し込み量と接触角度、および塗料の吐出量を制御することにより、ガラスクロスなどの繊維基材の目開きを通る塗料量を減らし、塗布裏面に空隙がある第一プリプレグを作製することができる。
このときの固化とは、流動性を有する液状物が自立可能な状態の固体状態に変化することを指す。塗料に含まれる有機溶剤が一部残留する状態も、半硬化状態も固化状態に含むことができる。例えば、60〜150℃で1〜120分程度、好ましくは70〜120℃で3〜90分程度の条件下で固化させることができる。
本発明の第一実施態様の樹脂基板に用いる空隙を有しない第二プリプレグは、繊維基材と樹脂組成物からなる。
このときの固化とは、流動性を有する液状物が自立可能な状態の固体状態に変化することを指す。塗料に含まれる有機溶剤が一部残留する状態も、半硬化状態も固化状態に含むことができる。例えば、60〜150℃で1〜120分程度、好ましくは70〜120℃で3〜90分程度の条件下で固化させることができる。
本実施形態の樹脂基板に用いる第一プリプレグと第二プリプレグは樹脂組成物と繊維基材からなる。本実施形態の樹脂基板に用いる繊維基材としては、金属箔張り積層基板や多層プリント配線板を製造する際に通常用いられるものであれば特に制限されず、通常織布や不織布等の繊維基材が用いられる。
本実施形態の樹脂基板に用いる第一プリプレグと第二プリプレグは樹脂組成物と繊維基材からなる。この樹脂組成物は、無機充填材と熱硬化性樹脂を含む。本実施形態の樹脂基板に用いる第一プリプレグと第二プリプレグは同じ種類の熱硬化性樹脂組成物を使用しても、あるいは異なる種類の熱硬化性樹脂組成物を使用してもよく、製造の容易さの観点から、同じ種類の熱硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。
無機充填材としては、酸化マグネシウムが安価で熱伝導率が高く(42〜60W/(m・K))、かつ体積抵抗率も高い(>1014Ω・cm)ため、好ましい。
無機充填材の平均粒径としては、2〜80μmである。公知のレーザー回折・散乱法による粒度測定装置(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックMT−3000型」)を用いて測定する。(レーザー回折・散乱法とは、充填材粒子にレーザー光を照射したとき、粒子径により散乱光の強度パターンが変化することを利用した測定法である)。
充填材の含有率は、熱伝導性及び流動性を高める観点から、40体積%〜70体積%であることがより好ましく、45体積%〜60体積%であることがさらに好ましい。
ここで、樹脂組成物の全固形分とは、樹脂組成物から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
W1:充填材の質量組成比(質量%)
W2:熱硬化性樹脂の質量組成比(質量%)
Wi:熱硬化性樹脂以外のその他の各任意固形成分の質量組成比(質量%)
D1:充填材の比重
D2:熱硬化性樹脂の比重
Di:熱硬化性樹脂以外のその他の各任意固形成分の比重
本実施形態に係る熱硬化性樹脂は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びシアネート樹脂を挙げることができる。
エポキシ樹脂は、1つの分子の中に1つ以上のエポキシ基(−C3H5O)を含む化合物のうちのいずれか1種類または2種類以上である。中でも、エポキシ樹脂は、1つの分子の中に2つ以上のエポキシ基を含んでいることが好ましい。エポキシ樹脂は、モノマーであっても、モノマーを硬化剤等により部分的に反応させたプレポリマーの状態であってもよい。
なお、前記樹脂組成物が後述の硬化剤や硬化促進剤を含む場合、ここでいう熱硬化性樹脂の含有率には、これら硬化剤や硬化促進剤の含有率を含めるものとする。
本実施形態の樹脂組成物が、さらに硬化剤を少なくとも1種類含むことが好ましい。硬化剤としては熱硬化性樹脂を熱硬化可能であれば特に制限されない。前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合の硬化剤としては、例えば、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びメルカプタン系硬化剤等の重付加型硬化剤や、イミダゾール等の触媒型硬化剤等を挙げることができる。
中でも、耐熱性の観点から、アミン系硬化剤及びフェノール系硬化剤から選ばれる少なくとも1種類を用いることが好ましく、さらに、保存安定性の観点から、フェノール系硬化剤の少なくとも1種類を用いることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においてフェノール系硬化剤を用いる場合、必要に応じて硬化促進剤を併用しても構わない。硬化促進剤を併用することで、さらに十分に硬化させることができる。硬化促進剤の種類や配合量は特に限定されないが、反応速度や反応温度、保管性などの観点から、適切なものを選択することができる。硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール系化合物、有機リン系化合物、第3級アミン、及び第4級アンモニウム塩などが挙げられる。これらは1種単独でも、2種類以上を併用してもよい。
前記樹脂組成物は、シランカップリング剤の少なくとも1種をさらに含むことが好ましい。シランカップリング剤を添加する効果としては、充填材や第二の充填材の表面とその周りを取り囲む熱硬化性樹脂の間で共有結合を形成する役割(バインダ剤に相当)を果たし、熱を効率良く伝達する働きや、さらには水分の浸入を妨げることによって絶縁信頼性の向上にも寄与する。
本発明における樹脂組成物は、上記成分に加え、必要に応じてその他の成分を含むことができる。例えば、エラストマー、分散剤等が挙げられる。エラストマーとしては、アクリル樹脂が挙げられ、より具体的には(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルから誘導されるホモポリマーまたはコポリマーを挙げることができる。分散剤としては、味の素ファインテック株式会社製アジスパーシリーズ、楠本化成株式会社製HIPLAADシリーズ、株式会社花王製ホモゲノールシリーズ等が挙げられる。これら分散剤は二種類以上を併用することができる。
前記樹脂組成物は、例えば、固体状の熱硬化性樹脂を用いる場合、有機溶剤の少なくとも1種を添加して樹脂組成物の塗料を調整してもよい。有機溶剤を含むことで、種々の成形プロセスに適合させることができる。有機溶剤としては、通常用いられる有機溶剤を用いることができる。具体的には、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等を挙げることができる。例えば、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、スルホラン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等を用いることができる。これらは1種単独でも、2種類以上を併用した混合溶剤として用いてもよい。
本発明の半硬化樹脂組成物(単に「樹脂組成物」という場合がある)は前記樹脂組成物に由来するものであり、前記樹脂組成物を半硬化処理してなる。前記半硬化樹脂組成物は、例えば、これをシート状に成形した場合に、半硬化処理していない樹脂組成物からなる樹脂組成物シートに比べて取り扱い性が向上する。その観点から、本実施形態のプリプレグに構成される樹脂組成物が半硬化樹脂組成物であることが好ましい。
樹脂組成物の硬化物は前記樹脂組成物に由来するものであり、前記樹脂組成物を硬化処理してなる。前記樹脂組成物の硬化物は熱伝導性と絶縁性に優れる。本発明の一実施形態の基板と積層基板は、例えば、本実施形態のプリプレグを硬化してなるものであり、本実施形態のプリプレグに用いる樹脂組成物を硬化処理してなる樹脂組成物の硬化物を含む。
例えば、未硬化状態の樹脂組成物又は前記半硬化樹脂組成物を100℃〜250℃で1時間〜10時間、好ましくは130℃〜230℃で1時間〜8時間加熱することで樹脂組成物の硬化物が得られる。
<樹脂基板の構成>
図2は、本発明第二実施形態の樹脂基板20の構成を表す断面図である。本発明第二実施形態の樹脂基板20は、無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を繊維基材25に保持して半硬化状態としたプリプレグを3枚加熱加圧して成形した樹脂基板である。本実施形態の樹脂基板20が熱硬化性樹脂組成物の硬化物22と繊維基材25とを含む。熱硬化性樹脂組成物の硬化物22が無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を硬化してなるものであり、無機充填材と熱硬化性樹脂の硬化物とからなる。
樹脂基板20に用いることができる熱硬化性樹脂組成物と繊維基材の種類は、第一実施形態の樹脂基板10と同じである。
本実施形態の樹脂基板20は、3枚プリプレグ由来する3層構造からなる。第一層は、第一プリプレグ(図示なし)由来の熱硬化性樹脂組成物の硬化物22−1と繊維基材25−1とを有し、第二層は、第二プリプレグ(図示なし)由来の熱硬化性樹脂組成物の硬化物22−2と繊維基材25−2とを有し、第三層は、第三プリプレグ(図示なし)由来の熱硬化性樹脂組成物の硬化物22−3と繊維基材25−3とを有する。
本実施形態の樹脂基板20は、無機充填材が少ない箇所(無機充填材疎部)28を有することを特徴とする。前記樹脂基板20の厚さをtとし、縦t、横2tの厚み方向の切断面の面積を100面積%とした時、この無機充填材疎部が0.5〜8面積%有る。本発明の無機充填材が少ない箇所(無機充填材疎部)28は、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分である。
更に、本発明の樹脂基板20は、基板20の厚み方向の切断面を、プリプレグの積層枚数3で厚み方向に等分し、プリプレグ1枚分に相当する縦t/n、横2tの面積をA1からA3とし、前記A1からA3のそれぞれの面積を100面積%とした時、無機充填材疎部がA1からA3にそれぞれ0〜20面積%有る。
本実施無機充填材疎部28の成分、サイズ、形状は、第一実施形態の無機充填材疎部疎部18と同様である。
本実施形態の無機充填材疎部28の配置(分布)としては、樹脂基板の熱伝導率と成形性の効果があれば特に限定がないが、熱伝導経路を形成しやすい観点から、分散した状態であることが好ましい。例えば、本実施形態の無機充填材疎部28は、樹脂基板20の厚み方向の切断面において、図2に示すように、第一層の繊維基材25−1と第二層の繊維基材25−2との間、第二層の繊維基材25−2と第二層の繊維基材25−3との間にそれぞれ形成されている。より具体的には、例えば、図2に示す樹脂基板20の厚み方向の切断面において、同一層の繊維基材の開口部の真下の部分でない箇所で形成されていることが好ましい。更に、容易に製造する観点から、図2に示す一例として、第一層の樹脂組成物の硬化物22−1と第二層の樹脂組成物の硬化物22−2との接続面、第二層の樹脂組成物の硬化物22−2と第三層の樹脂組成物の硬化物22−3との接続面において、硬化物22−3の側に形成されてもよい。
本実施形態の積層基板の製造方法は、まず、図5(a)〜(c)に示すように、例えば、空隙を有する第一プリプレグ51−1の1枚と第二プリプレグ53の1枚と空隙を有する第一プリプレグ51−2の1枚を、その順で積層して樹脂基板50を作製する。具体的には、外層としての第一プリプレグ51の空隙を有する側面と、中間層としての第二プリプレグ53に対向し、第一プリプレグ51がプリプレグ2を挟むように配置し、加熱プレス・成形工程により、樹脂基板50を形成することができる。第一プリプレグ51の空隙部分には樹脂が優先的に流れ込んで空隙を埋めるため、空隙が有った部分は無機充填材が少ない無機充填材疎部58が、空隙が有った部分の周囲には無機充填材が多い箇所が生じる。
<空隙を有する第一プリプレグの作製>
樹脂組成物として、以下の材料を準備した。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂(テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂50%、4,4’−ビフェノール型エポキシ50%混合物、エポキシ当量175g/eq、三菱化学株式会社製 YL−6121H) … 60質量部
硬化剤(1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、活性水素当量118g/eq) … 40質量部
硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成社製 2E4MZ) … 1質量部
有機溶剤としてメチルエチルケトン … 50質量部
得られた第一プリプレグを2枚用いて、それぞれの空隙を有する側と空隙を有する側を向かい合わせて積層し、加熱加圧(温度170℃、1MPaにて20分間)を行い、加えてさらに2回目の加熱加圧(温度200℃、4MPaにて1時間)を行い、無機充填材が少ない無機充填材疎部を有する樹脂基板を得た。厚さが340μmであった。
第一プリプレグの空隙の無い側をA、空隙の有る側をBとした場合、本実施例において、2枚の第一プリプレグABでの層構成は、「AB/BA」で表す。表1に示す。
第一プリプレグの空隙部分には樹脂が優先的に流れ込んで空隙を埋めるため、空隙が有った部分は無機充填材が少ない無機充填材疎部が、空隙が有った部分の周囲には無機充填材が多い箇所が生じる。
<空隙を有する第一プリプレグの作製>
ガラスクロスへのスリットダイのノズル押し込み量は表1に示す以外は、実施例1と同様な方法で空隙を有するそれぞれの第一プリプレグを作製した。
作製した第一プリプレグを表1に示す枚数を用い、表1に示す層構成で積層した以外は、実施例1と同様な方法で本実施例の樹脂基板を作製した。
実施例2は、[AB/BA]/BAの順で最初2枚硬化して、次に1枚積層して、硬化した。
実施例3、6は、[AB/BA]の2枚が先に硬化させて内層とし、外層の一面に2枚BA/AB、その他の面に2枚BA/ABを積層してプレスした。
積層の層構成の表示方法A、Bは、実施例1と同じ意味である。
<空隙を有する第一プリプレグの作製>
ガラスクロスへのスリットダイのノズル押し込み量は表1に示す以外は、実施例1と同様な方法で空隙を有する本実施例の第一プリプレグを作製した。
樹脂組成物の塗料として実施例1の第一プリプレグと同様な樹脂組成物の塗料、繊維基材として実施例1の第一プリプレグと同様なガラスクロスを用いて、この塗料を、このガラスクロスの片面からスリットダイを用いて塗布し、ガラスクロスの目開きを通してガラスクロスの塗布裏面に通過させることによってガラスクロスに塗料を保持させる塗布方法において、ガラスクロスへのスリットダイのノズル押し込み量を5mmに制御することにより、ガラスクロスの目開きを通る塗料量を増やし、塗布裏面に空隙がない第二プリプレグを作製した。乾燥条件としては、100℃にて加熱乾燥してメチルエチルケトンを除去し、縦150mm、横150mmに裁断し、樹脂組成物層とガラスクロスを含む本実施例の第二プリプレグを得た。厚さは172μmであった。
第一プリプレグを4枚、第二プリプレグを2枚用いて、「AA/AB/[AB/BA]/BA/AA」の配置で、[AB/BA]中の2枚は先に硬化させて内層とし、外層の一面に2枚AA/AB、その他の面に2枚BA/AAを積層してプレスした以外は、実施例1と同様な方法でそれぞれの樹脂基板が得られた。
空隙を有しない第二プリプレグがAAと表示され、空隙を有する第一プリプレグの表示方法、層構成の表示方法は、実施例1と同じである。
<空隙を有する第一プリプレグの作製>
ガラスクロスへのスリットダイのノズル押し込み量は表1に示す以外は、実施例1と同様な方法で空隙を有する本実施例の第一プリプレグを作製した。
ガラスクロスへのスリットダイのノズル押し込み量は表1に示す以外は、実施例1と同様な方法で空隙を有する本実施例の第三プリプレグを作製した。
第一プリプレグを5枚、第三プリプレグを1枚用いて、「AA/AC/[AB/BA]/BA/AB」の配置で、[AB/BA]中の2枚は先に硬化させて内層とし、外層の一面に2枚AA/AC、その他の面に2枚BA/ABを積層してプレスした以外は、実施例1と同様な方法でそれぞれの樹脂基板が得られた。
第三プリプレグは第一プリプレグに比べて、より大きい空隙を有するプリプレグであり、空隙を有する側がCとし、空隙を有する第一プリプレグの表示方法、層構成の表示方法は、実施例1と同じである。
<空隙を有しない第二プリプレグの作製>
実施例4と同様な方法で空隙を有しない第二プリプレグを作製した。
<樹脂基板>
第二プリプレグを6枚用いて、「AA/AA/[AA/AA]/AA/AA」の層構成で積層してプレスした以外は、実施例1と同様な方法で本実施例の樹脂基板が得られた。
<空隙を有する第一プリプレグの作製>
ガラスクロスへのスリットダイのノズル押し込み量は表1に示す以外は、実施例1と同様な方法で空隙を有する本実施例の第一プリプレグを作製した。
<空隙を有しない第二プリプレグの作製>
実施例4と同様な方法で空隙を有しない第二プリプレグを作製した。
<樹脂基板>
第一プリプレグを5枚、第二プリプレグを1枚用いて、「AA/AB/[AB/BA]/BA/AB」の配置で積層してプレスした以外は、実施例1と同様な方法で本比較例の樹脂基板が得られた。
(比較例3)
<空隙を有する第一プリプレグの作製>
ガラスクロスへのスリットダイのノズル押し込み量は表1に示す以外は、実施例1と同様な方法で空隙を有する本実施例の第一プリプレグを作製した。
<樹脂基板>
本比較例で作製した第一プリプレグを6枚用いた以外は、実施例1と同様な方法で本実施例の樹脂基板が得られた。
この樹脂基板のそれぞれの特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。ここでは、各樹脂基板の厚さ切断面において無機充填材疎部の面積比(%)、樹脂基板の熱伝導率、成形性を調べた。
得られた樹脂基板を厚み方向に切断した後、切断面を研磨し、平滑な切断面を得た。この切断面の、ガラスクロス及び無機充填材について、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察を行いながら、SEMに付属しているEDX(エネルギー分散型X線分析装置)で元素分析を行い、ガラスクロス及び無機充填材含有の無機元素と、元素濃度を測定した。
基板厚さtの樹脂基板の場合、切断面の縦t、横2tの範囲をガラスクロス及び無機充填材含有の無機元素で元素マッピングを行い、ガラスクロスまたは無機充填材から検出された無機元素の元素濃度が10%未満となる部分(無機充填材疎部)について識別し、測定範囲全体を100面積%とした時の、無機充填材疎部の面積%を算出した。
基板の外層に銅箔が有る場合、外層の銅箔は除いて基板厚さtとする。
基板の内層に銅箔が有する場合、エッチングされており均一には存在していないので、基板厚さに含む。上記と同様な観察範囲において、SEM観察及び元素分析を行う。ガラスクロス、無機充填材、金属箔(銅箔)由来の元素が10%以下の部分を無機充填材疎部とする。金属箔を除く面積を100面積%として、無機充填材疎部の面積割合を求める。
熱伝導性を調べるため、樹脂基板の熱伝導率(W/(m・K))を測定した。具体的には、最初に、樹脂基板を切断して、円形状の測定用試料(直径=10mm,厚さ=0.3〜1.0mm)を作製した。続いて、熱伝導率測定装置(アドバンス理工株式会社(旧アルバック理工株式会社)製のTCシリーズ)を用いて測定用試料を分析して、熱拡散係数α(m2 /s)を測定した。また、サファイアを標準試料として、示差走査熱量分析(DSC)を用いて測定用試料の比熱Cpを測定した。さらに、アルキメデス法を用いて測定用試料の密度rを測定した。最後に、下記の数式(2)に基づいて、熱伝導率λ(W/(m・K))を算出した。
(λは熱伝導率(W/(m・K))、αは熱拡散率(m2/s)、Cpは比熱(J/kg・K)、rは密度(kg/m3 )である。)
まず、図6と7に示した成形性評価用基板100を製造した。基板の表面に厚さ105μmの銅箔層104と105を配置し、銅箔層104を部分的にエッチングして、メッシュ状の溝106(幅=0.5mm,深さ=105μm)を形成した。この場合には、金属層104の外縁(4つの辺)に最も近い溝106とその銅箔層104の外縁との間の距離を9.5mm、溝106同士の間隔を9.5mmとした。
成形性を評価する場合には、成形性評価基板100の上に、実施例1〜4、6、比較例2、3においては第一プリプレグを2枚使用し、銅箔/プリプレグ(AB/BA)成形性評価基板100の順に重ねて、積層体とした。実施例5、7においては第二プリプレグと第三プリプレグを1枚使用し、銅箔/プリプレグ(BA/AC)/成形性評価基板100の順に重ねて、積層体とした。比較例1においては第二プリプレグを2枚使用し、銅箔/プリプレグ(AA/AA)/成形性評価基板100の順に重ねて、積層体とした。この銅箔としては、70μmの銅箔を用いた。続いて、平板プレス機を用いて、積層方向において積層体を加熱(温度=180℃)および加圧(圧力=4MPa)した。これにより、プリプレグの1部が評価用基板100の溝106に入り込んだため、多層基板が得られた。金属顕微鏡を用いて多層基板の断面を観察した。
プリプレグの空隙を、空孔率として評価した。
空孔率は、5mm×5mmの大きさでプリプレグ裏面(空隙を有する側)を観察して、プリプレグの面積に対して、空孔の面積を求めた。
例えば、プリプレグが5mm×5mmであり、空孔が0.4mm2あった場合、空孔率が1.6%となる。
空孔率が大きければ充填材疎部も大きくなる傾向にある。
15、25、35、45、55…繊維基材(ガラスクロス)、
18、28、38,48,58…無機充填材疎部、
10、20、30,40,50…樹脂基板
31、41、51…第一プリプレグ、
33、43、53…第二プリプレグ。
102…繊維基材、
103…樹脂硬化物層、
104、105…銅箔層
106…溝
Claims (3)
- 無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に保持して半硬化状態としたプリプレグを1枚、もしくは2枚以上加熱加圧して成形した樹脂基板であって、
前記樹脂基板の厚さをtとし、縦t、横2tの厚み方向の切断面の面積を100面積%とした時、
酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分が0.5〜8面積%有ることを特徴とする樹脂基板。 - 前記樹脂基板の厚み方向の切断面を、プリプレグの積層枚数nで厚み方向に等分し、プリプレグ1枚分に相当する縦t/n、横2tの面積をA1からAnとし、前記A1からAnのそれぞれの面積を100面積%とした時、酸素を除く無機充填材及び繊維基材由来の元素が10%以下の部分がA1からAnにそれぞれ0〜20面積%有ることを特徴とする請求項1に記載の樹脂基板。
- 前記プリプレグは、片面又は両面において空隙を有するプリプレグを含む請求項1又は請求項2の樹脂基板。
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