以下、本発明の実施の形態に係るスクロール圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。図に示す直交座標系XYZにおいて、スクロール圧縮機の吸入管を右に配置した場合の、左右方向がX軸、上下方向がZ軸、X軸とZ軸とに直交する方向がY軸である。以下、適宜、この座標系を引用して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係るスクロール圧縮機では、固定スクロールと揺動スクロールを高精度に噛合させるため、円筒状のメインシェルに形成された位相決め溝に、固定スクロールとメインフレームの係合部を係合させることで、固定スクロールとメインフレームを位相決めしている。まず図1−図7を参照して、スクロール圧縮機の構成について説明する。続いて、図3−図5及び、図9A−図9Cを参照して、位相決め溝及び係合部について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aの斜視図である。図2は、スクロール圧縮機1Aの断面図である。図3は本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aが備えるメインシェル10Aの斜視図である。図4は本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aが備える固定スクロール20Aの斜視図である。図5は本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aが備えるメインフレーム40Aの斜視図である。図6は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aが備えるブッシュ60の斜視図である。図7は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aが備えるクランクシャフト50の斜視図である。図8は、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aが備えるオルダムリング90の斜視図である。
図1及び図2に示すように、スクロール圧縮機1Aは、装置の外形を画定するメインシェル10Aと、スクロール圧縮機1Aに供給された冷媒を圧縮する圧縮室を形成する固定スクロール20A及び揺動スクロール30と、揺動スクロール30を揺動可能に保持するメインフレーム40Aと、で構成されている。
メインシェル10Aは、図2に示すように、+Z端及び−Z端が開口した円筒の形状に形成されている。そして、メインシェル10Aの円筒部には、固定スクロール20Aと揺動スクロール30とが形成する圧縮室に冷媒をスクロール圧縮機1Aに吸入させるための吸入管112が接続されている。一方、メインシェル10Aの+Z端は、圧縮室から圧縮された冷媒を吐出させるための吐出管111が接続された半球状のアッパーシェル11によって塞がれている。メインシェル10Aの−Z端は、スクロール圧縮機1Aを設置箇所にある部材に固定するための固定台121が設けられた半球状のロアシェル12によって塞がれている。メインシェル10Aには、固定スクロール20A、揺動スクロール30及び、メインフレーム40Aが収容されている。
固定スクロール20Aは、メインシェル10A内の+Z側領域に配置されている。固定スクロール20Aは、第1渦巻体21と、第1渦巻体21が固定された基板22と、で構成されている。
第1渦巻体21は、板が渦巻き状に曲げられた形状に形成されている。第1渦巻体21の外径は、メインシェル10Aの内径よりも小さく、第1渦巻体21の板面は、基板22に垂直に配置されている。第1渦巻体21の+Z端は、基板22に固定されている。
基板22は、第1渦巻体21の渦巻き中心と同心の円板の形状に形成されている。基板22の外径は、メインシェル10Aの内径よりも焼嵌め可能な程度にやや大きい。そして、基板22は、板面をXY平面に平行にしてメインシェル10Aに焼嵌めされている。これにより、基板22は、メインシェル10Aの内壁全周にわたって密接し、圧縮室で圧縮された冷媒の漏れを防いでいる。
これに対して、揺動スクロール30は、第2渦巻体31と、第2渦巻体31が固定された基板32と、基板32に設けられた円筒部33と、で構成されている。
第2渦巻体31は、第1渦巻体21と同様に、板が渦巻き状に曲げられた形状に形成されている。第2渦巻体31の外径は、メインシェル10Aの内径よりも小さく、第2渦巻体31の板面は、基板32に垂直である。そして、第2渦巻体31は、第1渦巻体21と圧縮室を形成するため、第1渦巻体21に噛合されている。第2渦巻体31の−Z端は、基板32に固定されている。
基板32は、第2渦巻体31の渦巻き中心と同心の円板状である。基板32は、メインシェル10A内で第2渦巻体31を揺動可能にするため、メインシェル10Aの内径よりも小さい円板の形状に形成されている。基板32の、−Z側には、揺動位置を規定するため、後述するオルダムリング90のキー部92が挿入されるキー溝が形成されている。また、基板32の、−Z側には、図6に示すブッシュ60と接続するための円筒部33が形成されている。ここで、ブッシュ60とは、後述するクランクシャフト50と揺動スクロール30を接続するための部材のことである。
円筒部33の円筒軸は、図2に示すように、基板32の円板中心と同心に配置されている。そして、円筒部33は、ブッシュ60の筒状のスライダ61が挿入可能な内径に形成されている。そして、円筒部33には、ブッシュ60のスライダ61が挿入されている。スライダ61には、クランクシャフト50の+Z端が挿入されている。
クランクシャフト50は、図7に示すように、Z方向に延びる主軸部51と、主軸部51の+Z端に設けられ、主軸部51に対して偏心した偏心部52と、を有する形状に形成されている。そして、クランクシャフト50は、図2に示すように、主軸部51のシャフト壁に固定されたロータ71と、メインシェル10Aの内壁に固定されたステータ72と、で構成される駆動機構70によって、主軸部51の周方向に回転可能である。一方、メインシェル10A内の−Z側領域には、サブフレーム80が配置されている。クランクシャフト50の主軸部51の−Z端は、サブフレーム80に備えられる副軸受81によって回転可能に支持されている。これに対して、主軸部51の+Z端は、メインフレーム40Aが備える主軸受部41に挿通され、回転可能に保持されている。そして、主軸部51の+Z端からさらに+Z方向に延在する偏心部52は、ブッシュ60のスライダ61に挿入されている。そのブッシュ60は、メインフレーム40Aの後述する収容空間42Aに配置されている。
メインフレーム40Aは、上述した主軸受部41と、主軸受部41と一体的に形成された本体部42と、で構成されている。
主軸受部41は、クランクシャフト50の主軸部51が挿入可能な内径を有する円環の形状に形成されている。そして、主軸受部41には、主軸部51が挿通され、上述したように、主軸部51を回転可能に保持している。主軸受部41の+Z側には、本体部42が配置されている。
本体部42は、XY平面中心に配置された収容空間42Aと、収容空間42Aの外周に沿って形成され、揺動スクロール30を揺動可能に保持する保持部42Bと、を有している。
収容空間42Aは、凹状に形成され、内壁に−Z方向に向かって空間が狭くなる段差を有する。そして、その内部には、ブッシュ60が収容されている。収容空間42Aの−Z側には、主軸受部41が配置され、収容空間42Aは、主軸受部41の内壁で囲まれた空間と連続している。これにより、クランクシャフト50の主軸部51が主軸受部41を通ると共に、偏心部52が収容空間42Aに収容されたブッシュ60のスライダ61まで達している。そして、クランクシャフト50の主軸部51が回転することで、偏心部52が偏心して回転する。これにより、ブッシュ60が回転する。
また、収容空間42Aには、図8に示すオルダムリング90が収容されている。詳細には、収容空間42Aの段差は、図5に示すように、環状の形状に形成され、その段差よりも+Z側の空間にオルダムリング90が収容される。収容空間42Aには、オルダムリング90の一対のキー部91が挿入される一対のキー溝43が形成されている。このキー溝43内で図8に示すキー部91がスライドし、さらに、上述した揺動スクロール30の基板32の一対のキー溝内で、別の一対のキー部92がスライドすることで、揺動スクロール30の、揺動時の自転が防がれている。これにより、偏心部52の回転運動が揺動スクロール30の公転運動に変換される。さらに、メインフレーム40Aと揺動スクロール30がオルダムリング90を介して連結することで、メインフレーム40Aに対する揺動スクロール30の位相が決められる。
図5に戻って、収容空間42Aには、返油管45が接続されている。ロアシェル12には、エステル系合成油を含む潤滑油が貯留されている。そして、潤滑油は、サブフレーム80に設けられたオイルポンプによってクランクシャフト50内の通油路53に供給される。返油管45は、収容空間42Aに溜まった潤滑油をロアシェル12側に戻す。
保持部42Bは、+Z側に、収容空間42Aを取り囲む環状の形状に形成された平坦面44を有する。図示しないが、平坦面44には、スラスト軸受として機能する、環状のスラストプレートが載置されている。平坦面44には、スラストプレートとズレた位置に冷媒と潤滑油の吸入ポート46が形成されている。また、平坦面44には、スラストプレートの回転を抑制するための、回り止めが形成されている。回り止めは、スラストプレートに設けられた、スラストプレートの厚みよりも突出量が小さい突起が嵌合する溝で構成されている。そして、スラストプレートの+Z側には、揺動スクロール30が載置されている。そして、スラストプレートは、固定スクロール20Aの基板22と揺動スクロール30の第2渦巻体31の+Z端との隙間を所望の大きさに調整する厚みに形成されている。これにより、保持部42Bは、揺動スクロール30を揺動可能に保持すると共に、第1渦巻体21と第2渦巻体31のZ方向の距離を規定している。
保持部42Bには、揺動スクロール30を高い精度で固定スクロール20Aに噛合させるため、メインシェル10Aの位相決め溝に係合してメインシェル10Aに対するメインフレーム40Aの位置を決める係合部を有している。一方、固定スクロール20Aの基板22には、メインシェル10Aの別の位相決め溝に係合してメインシェル10Aに対する固定スクロール20Aの位置を決める係合部を有している。次に、図3−図5のほか、図9A−図9Cを参照して、位相決め溝と係合部について説明する。
図9Aは、図2に示すIXA領域の拡大断面図である。図9Bは、図9Aに示すIXB領域の拡大断面図である。図9Cは、図9Aに示すIXC領域の拡大断面図である。
図3に示すように、メインシェル10Aの内壁には、位相決め溝100が形成されている。
メインシェル10Aは、図3に示すように、円筒端部13Aと、円筒端部13Aよりも内径が小さい第1円筒部13Bと、第1円筒部13Bよりも内径が小さい第2円筒部13Cと、が+Z側からこの順序で接合された形状に形成されている。ここで、円筒端部13Aの内径は、固定スクロール20Aの基板22を焼嵌めするため、基板22の外径よりも僅かに小さく、第1円筒部13Bの内径は、メインフレーム40Aの保持部42Bを焼嵌めするため、保持部42Bの外径よりも僅かに小さい。そして、第1円筒部13Bの+Z端と第2円筒部13Cの+Z端は、円筒軸Aに対して垂直である。
位相決め溝100は、第1円筒部13Bの+Z端からその−Z端まで延在している。そして、位相決め溝100は、径方向に円筒端部13Aの内壁と同じ位置まで凹んでいる。位相決め溝100の底が円筒端部13Aの内壁と連続するため、位相決め溝100の+Z端は開放されている。位相決め溝100の+Z端には、後述する係合突起200と400を案内するため、コーナー部がC面取り、又はR面取りされることで形成された、Z側に向かうに従い溝幅が広くなる案内部106が設けられている。これに対して、位相決め溝100の−Z端は、第2円筒部13Cの+Z端によって閉鎖されている。
一方、固定スクロール20Aには、図4に示すように、第1渦巻体21の外周部から径方向に向かって延在する係合突起200が形成されている。
係合突起200は、−Z側のコーナー部がC面取り、又はR面取りされた細長い直方体の形状に形成されている。係合突起200は、固定スクロール20Aの基板22が円筒端部13Aに焼嵌めされた状態で、位相決め溝100の幅W1に係合する幅W2に形成されている。また、係合突起200の高さH1は、図3に示す位相決め溝100の長さL1の半分以下である。そして、係合突起200の径方向の先端は、基板22の外周部よりも、位相決め溝100の深さDよりも小さい距離L2だけ基板22の内側に位置している。
図9A及び図9Bに示すように、固定スクロール20Aは、第1渦巻体21を−Z方向に向け、かつ基板22の−Z面を第1円筒部13Bの+Z端に当接させた状態で、メインシェル10Aに焼嵌めによって嵌め合わされている。第1円筒部13Bの+Z端は、図3に示すように、円筒軸Aに対して垂直である。第1円筒部13Bの+Z端には、図9Bに示すように、ヌスミとして設けられた凹部13Dが形成されている。このため、基板22は、XY平面に平行に円筒端部13Aの+Z端に当接してZ方向に位置決めされる。一方、係合突起200は、上記の幅W2、高さH1に形成されている。さらに、係合突起200は、メインシェル10Aの径方向に突出するため、位相決め溝100に挿入可能である。係合突起200は、図示しないが、位相決め溝100に挿入されることで、位相決め溝100に係合している。これにより、固定スクロール20Aの基板22がメインシェル10Aの内周方向に位相決めされている。その結果、第1渦巻体21の渦巻き方向と角度が規定されている。
ここで、本明細書でいう位置決めとは、メインシェル10Aに対して基板22及び第1渦巻体21のX、Y、Z方向の位置を決めることをいう。また、後述するメインフレーム40ADでの位置決めとは、メインシェル10Aに対して保持部42BのX、Y、Z方向の位置を決めることをいう。これに対して、位相決めとは、メインシェル10Aの位相決め溝100に対する第1渦巻体21の渦巻き方向と角度を決めることである。また、後述するメインフレーム40Aでの位相決めとは、メインシェル10Aの位相決め溝100又は第1渦巻体21に対して第2渦巻体31の渦巻き方向と角度を決めることをいう。
これに対して、メインフレーム40Aには、図5に示すように、保持部42Bの外周部から径方向に向かって延在する係合突起400が形成されている。
係合突起400は、−Z方向のコーナー部がC面取り、又はR面取りされた直方体の形状に形成されている。係合突起400は、メインフレーム40Aが第1円筒部13Bに焼嵌めされた状態で、位相決め溝100の幅W1に係合する幅W2に形成されている。係合突起400の高さH1は、係合突起200と同じく、図3に示す位相決め溝100の長さL1の半分以下であり、これにより、位相決め溝100に係合突起200と400が係合可能にされている。また、係合突起400の厚みD2は、位相決め溝100の深さDよりも小さい。
図9A及び図9Cに示すように、メインフレーム40Aは、保持部42Bの外周部を第2円筒部13Cの+Z端に当接した状態で、メインシェル10Aに焼嵌めによって嵌め合わされている。このとき、保持部42Bは、+Z側の平坦面44に平行な面を外周部かつ−Z側に有する。そして、上述したように、第2円筒部13Cの+Z端は、図3に示すように、円筒軸Aに対して垂直である。そして、第2円筒部13Cの+Z端には、図9Cに示すように、ヌスミとして設けられた凹部13Eが形成されている。このため、メインフレーム40Aは、XY平面に平行に、第2円筒部13Cの+Z端に当接してZ方向に位置決めされる。一方、係合突起400は、上記の幅W2、高さH1に形成され、さらにメインシェル10Aの径方向に突出するため、係合突起200と同様に、位相決め溝100に挿入可能である。係合突起400は、位相決め溝100に挿入されることで、位相決め溝100に係合している。これにより、メインフレーム40Aがメインシェル10Aの周方向に位相決めされている。その結果、メインフレーム40Aを介して、第2渦巻体31の、第1渦巻体21に対する位相が決められている。
次に、スクロール圧縮機1Aの組立方法について説明する。以下の説明では、図10A−図10Dを参照して、メインシェル10Aの製造方法についても説明する。
図10Aは、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機のメインシェル10Aの材料となる鋼管110の断面図である。図10Bは、図10Aに示す鋼管110に第1円筒部13Bを形成したときの断面図である。図10Cは、図10Bに示す鋼管110に円筒端部13Aを形成したときの断面図である。図10Dは、図10Cに示す鋼管110に位相決め溝100を形成したときの断面図である。
まず、上述した構成の固定スクロール20A、揺動スクロール30、メインフレーム40A等の部材を用意する。これらの部材のうち、メインシェル10Aは、以下のように、製造する。
図10Aに示すメインシェル10Aの材料となる鋼管110を用意する。
次に、鋼管110の内壁に、切削工具であるブラシを挿入して、鋼管110の+Z端から、上述した円筒端部13Aと第1円筒部13BのZ方向長さだけ、鋼管110の内壁を切削する。これにより、図10Bに示すように、第1円筒部13Bに相当する内壁と、第2円筒部13Cの+Z端と、を形成する。このとき、鋼管110の内径を上述した位相決め溝100の深さDと同じ厚みだけ鋼管110を切削する。続けて、第2円筒部13Cの+Z端には、図9Cに示す凹部13Eを形成する。
次に、第2円筒部13Cの+Z端が形成された鋼管110の内壁を、さらに、鋼管110の+Z端から、円筒端部13AのZ方向長さだけ切削する。鋼管110の径方向の切削量は、上述した位相決め溝100の深さDと同じである。これにより、図10Cに示すように、円筒端部13Aと第1円筒部13Bを形成する。続けて、形成された第1円筒部13Bの+Z端に、図9Bに示す凹部13Dを形成する。
次に、図10Dに示すように、形成された第1円筒部13Bに、位相決め溝100を形成する。位相決め溝100は、上述した幅W1の、Z方向に延在する形状に形成する。これにより、メインシェル10Aが完成する。
次に、完成したメインシェル10Aに、ステータ72、サブフレーム80及びクランクシャフト50を組み込む。続いて、メインシェル10Aを加熱して、加熱された状態の円筒端部13Aから、メインフレーム40Aを、メインシェル10Aの円筒端部13Aから挿入する。これにより、第1円筒部13Bに焼嵌めする。このとき、メインフレーム40Aの係合突起400を、位相決め溝100に係合させ、その状態で、メインフレーム40Aを−Z方向へ押し込む。そして、保持部42Bの外周部を、第2円筒部13Cの+Z端に当接させる。これにより、メインフレーム40Aが位相決めされる。なお、焼嵌めに換えて、アークスポット溶接によって、位相決めされたメインフレーム40Aをメインシェル10Aに本固定してもよい。
続いて、メインフレーム40Aが固定されたメインシェル10Aに、スラストプレート、揺動スクロール30、ブッシュ60、オルダムリング90、ロアシェル12、等を組み付ける。
次に、揺動スクロール30、ブッシュ60等が組み付けられたメインシェル10Aの、円筒端部13Aから固定スクロール20Aを挿入し、焼嵌めによって固定する。これにより、固定スクロール20Aを円筒端部13Aに嵌め込む。このとき、固定スクロール20Aの係合突起200を、位相決め溝100に係合させて、その状態のまま、固定スクロール20Aを−Z方向へ押し込んで、固定スクロール20Aの基板22を第1円筒部13Bの+Z端に当接させる。これにより、固定スクロール20Aが位相決めされる。その結果、固定スクロール20Aが揺動スクロール30に高い精度で噛合する。
固定スクロール20Aが固定されたメインシェル10Aに、アッパーシェル11を組み付け、溶接して固定する。これにより、スクロール圧縮機1Aが完成する。
以上のように、本発明の実施の形態1に係るスクロール圧縮機1Aは、メインシェル10Aに位相決め溝100が形成されている。そして、位相決め溝100には、メインフレーム40Aが備える係合突起400と、固定スクロール20Aが備える係合突起200と、が係合している。このため、揺動スクロール30を揺動可能に保持するメインフレーム40Aと固定スクロール20Aとが位相決め溝100にメインシェル10Aを介して位相決めされる。その結果、固定スクロール20Aに対して揺動スクロール30が位相決めされ、固定スクロール20Aと揺動スクロール30が高い精度で噛合する。これにより、スクロール圧縮機1Aの圧縮効率が高い。
スクロール圧縮機1Aでは、位相決め溝100に係合突起200、400が係合する結果、メインシェル10Aと固定スクロール20A及びメインフレーム40Aが仮固定される。スクロール圧縮機1Aでは、ボルト、ネジ等の締結部材によってメインシェル10Aと固定スクロール20A及びメインフレーム40Aが固定されないため、締結部材によって部材が歪むことがない。その結果、固定スクロール20Aと揺動スクロール30の噛合の精度が低下することがない。また、締結部材を使用しないため、締結部材のためにスペースを確保する必要がなく、スクロール圧縮機1Aを軽量化することができる。
位相決め溝100に係合突起200、400を係合させるだけで、位相決めできるため、スクロール圧縮機1Aの組立が容易である。
メインシェル10Aに形成した位相決め溝100の、アッパーシェル11側にある先端には、C面取り、又はR面取りが形成されている。また、固定スクロール20Aの係合突起200の、ロアシェル12側の先端には、C面取り、又はR面取りが形成されている。さらに、メインフレーム40Aの係合突起400の、ロアシェル12側にある先端には、C面取り、又はR面取りが形成されている。位相決め溝100と係合突起200、400を嵌合して組みつける際に、上述した面取りがガイドの役割をはたすため、スクロール圧縮機1Aの組立が容易となり、その組立性能を向上させることができる。
固定スクロール20Aは、メインシェル10Aの円筒端部13Aの内壁面に固定されている。このため、揺動スクロール30の径方向の最外部に位置する側面とメインシェル10Aの内壁面が対向し、かつメインフレーム40Aが、基板32の側面とメインシェル10Aの内壁面との間に介在しない構造となる。したがって、特許文献1に示された、固定スクロールを固定するための周壁をメインフレーム40Aに形成することなく、固定スクロール20Aをメインシェル10A内へ配置し、図2に示す揺動スクロール30を配置する冷媒取込空間34を拡大することができる。このため、例えば、固定スクロール20Aの第1渦巻体21と揺動スクロール30の第2渦巻体31を拡大することで、スクロール圧縮機1Aの体格に対する吐出容量を増やすことができる。
上述した揺動スクロール30の拡大とあわせて、スラストプレートの直径を大きくすることで、摺動面積を大きくしてスラスト荷重による面圧を低減することができる。その結果、スクロール圧縮機1Aの信頼性を向上させることができる。
また、位相決め溝100が形成されていない円筒端部13Aの内壁面に、固定スクロール20Aを焼嵌めすることで、固定スクロール20Aの基板22の側面を全周加圧することができる。このため、Oリング等のシール材を使用することなく、メインシェル10Aの内部を高圧空間と低圧空間に分けることができる。その結果、スクロール圧縮機1Aを低コスト化することができる。
また、メインフレーム40Aを圧入、または、焼嵌めでメインシェル10Aに保持するため、特に調整することなくメインフレーム40Aの中心をあわせることができる。このため、組立が簡易になり、スクロール圧縮機1Aを低コスト化することができる。さらに、スクロール圧縮機1Aの性能を向上させることができる。
また、固定スクロール20Aは、基板22の第1渦巻体21が設けられた側の面を、メインシェル10Aが備える第1円筒部13Bの+Z端面に接触させることで位置決めされている。このため、固定スクロール20Aの基板22に高圧がかかった場合であっても、基板22が第1円筒部13Bの+Z端面に押さえつけられて、固定スクロール20Aがより強固に保持される。その結果、固定スクロール20Aの並進移動を抑制できる。さらに、高圧がかかって、メインシェル10Aの内径が拡大して焼嵌め代が減った場合でも、メインシェル10Aの位相決め溝100に固定スクロール20Aの係合突起200が係合しているため、固定スクロール20Aの回転移動も抑制できる。その結果、スクロール圧縮機1Aの信頼性を向上させることができる。
また、メインシェル10Aの、固定スクロール20Aの基板22を位置決めする第1円筒部13Bの+Z端面と、メインフレーム40Aの保持部42Bを位置決めする第2円筒部13Cの+Z端面と、を一方向から連続して加工することができるので、両端面の平行度を向上させることができる。その結果、固定スクロール20Aとメインフレーム40Aの組立精度、位置精度を向上させて、スクロール圧縮機1Aの性能を向上させることができる。また、一方向からの加工であるため、メインシェル10Aの製造が容易となり、製造時間を短縮することができる。その結果、スクロール圧縮機1Aを低コスト化することができる。
さらに、メインシェル10Aの+Z端側からメインフレーム40Aを挿入して固定した後、メインシェル10Aをその姿勢のままにして、順次、揺動スクロール30、固定スクロール20A等を挿入して固定することができる。すなわち、一方向からの組立が可能となる。このため、スクロール圧縮機1Aの組立が容易となり、スクロール圧縮機1Aを低コスト化することができる。
また、あらかじめ各部品の寸法を測定しておくことで、固定スクロール20Aと揺動スクロールの渦巻先端と基板間のすきま(歯先すきま)をスラストプレートで調整することができる。このため、簡易な構成で、漏れ損失を低減させて、スクロール圧縮機1Aの効率を向上させることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るスクロール圧縮機は、メインシェル10Bに、2つの位相決め溝が形成されている。また、メインフレーム40B、固定スクロール20Aには、位相決め溝それぞれに係合する係合突起が設けられている。以下に、図11及び図12を参照して実施の形態2に係るスクロール圧縮機を説明する。実施の形態2では、実施の形態1と異なる構成について説明する。
図11は、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機が備えるメインシェル10Bの斜視図である。図12は、本発明の実施の形態2に係るスクロール圧縮機が備えるメインフレーム40Bの斜視図である。
メインシェル10Bの内壁には、図11に示すように、位相決め溝101、102が形成されている。一方、メインフレーム40Bには、図12に示すように、保持部42Bの外周部から−Z方向に延在する係合突起401を備えている。
位相決め溝101、102それぞれは、図11に示すように、実施の形態1で説明した位相決め溝100と同じ幅W1、深さDを有している。そして、位相決め溝101は、第1円筒部13Bの+Z端から−Z方向に延在している。また、位相決め溝102は、第2円筒部13Cから−Z方向に延在している。位相決め溝101と102は、Z方向に並んで形成されている。
これに対して、係合突起401は、図12に示すように、保持部42Bの外周部が有する、図示しない−Z側の平面に形成されている。係合突起401は、その平面からさらに−Z方向に突出している。係合突起401は、保持部42Bが焼嵌めされた状態で、位相決め溝102の長さL3に係合可能な高さH1に形成されている。これにより、係合突起401は、位相決め溝102に係合可能である。
図示しないが、メインフレーム40Bは、実施の形態1の場合と同様に、保持部42Bに保持された揺動スクロール30を+Z側に配置した状態で、第1円筒部13Bに焼嵌めによって嵌め合わされる。そして、係合突起401は、位相決め溝102に係合される。これにより、メインフレーム40Bがメインシェル10Bに対して位相決めされる。その結果、揺動スクロール30がメインフレーム40Bを介して位相決めされる。
一方、固定スクロール20Aは、実施の形態1と同じ構成を備える。このため、図示及び説明を省略する。なお、図4に示す、固定スクロール20Aの係合突起200は、焼嵌めされた状態で、実施の形態2の位相決め溝101の長さL3に係合可能な高さH1に形成されている。このため、係合突起200は、焼嵌めのときに、位相決め溝101に係合可能である。係合突起200は、固定スクロール20Aの基板22が、第1渦巻体21を−Z方向に向けた状態で、円筒端部13Aに嵌め込まれたときに、位相決め溝101に係合して、固定スクロール20Aをメインシェル10Bに対して位相決めする。
なお、スクロール圧縮機の組立方法は、メインフレーム40Bに上述した位相決め溝101、102を形成し、メインフレーム40Bに係合突起401を設けること以外、実施の形態1の場合と同様である。このため、説明を省略する。
以上のように、実施の形態2に係るスクロール圧縮機では、メインシェル10Bに位相決め溝101、102が形成されている。そして、位相決め溝101と102には、固定スクロール20Aの係合突起200とメインフレーム40Bの係合突起401が係合する。これにより、固定スクロール20Aとメインフレーム40Bがメインシェル10Bに対して位相決めされ、その結果、固定スクロール20Aと揺動スクロール30が高い精度で噛合する。
メインシェル10Bの2箇所に、位相決め溝101と102を形成することで、位相決め溝101、102の長さを、固定スクロール20Aに形成する係合突起200、メインフレームに形成する係合突起401を嵌合させるために必要な長さにすることができる。これにより、位相決め溝101、102の長さを短くすることができるため、メインシェル10Bの加工時間を短縮させて、スクロール圧縮機を低コスト化することができる。また、位相決め溝101、102自体の長さを短くすると、加工による溝の倒れを抑制することができるため、位相決め溝101、102の位置精度が向上する。これにより、固定スクロール20Aとメインフレーム40Bの位相ずれを抑制することができる。その結果、スクロール圧縮機の信頼性を向上させることができる。さらに、位相決め溝101、102の長さが短くなるため、メインシェル10Bの剛性低下を抑制することができる。これにより、スクロール圧縮機の信頼性を向上させることができる。
(実施の形態3)
実施の形態3に係るスクロール圧縮機1Cでは、メインシェル10Cに、2つの位相決め突起が設けられている。また、メインフレーム40C、固定スクロール20Cには、係合溝がそれぞれ形成されている。以下に、図13−図16を参照して実施の形態3に係るスクロール圧縮機1Cを説明する。実施の形態3では、実施の形態1及び2と異なる構成について説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に係るスクロール圧縮機1Cの断面図である。図14は、本発明の実施の形態3に係るスクロール圧縮機1Cが備えるメインシェル10Cの斜視図である。図15は、本発明の実施の形態3に係るスクロール圧縮機1Cが備える固定スクロール20Cの斜視図である。図16は、本発明の実施の形態3に係るスクロール圧縮機1Cが備えるメインフレーム40Cの斜視図である。
図13及び図14に示すように、スクロール圧縮機1Cでは、メインシェル10Cに位相決め突起103、104が形成されている。図15に示すように、固定スクロール20Cの基板22に係合溝203が形成されている。また、図16に示すように、メインフレーム40Cの保持部42Bに係合溝404が形成されている。
位相決め突起103と104は、図14に示すように、メインシェル10Cの円筒端部13Aの−Z端に接する位置と、第1円筒部13Bの−Z端に接する位置と、に形成されている。位相決め突起103と104は、円柱状のピンで構成されている。位相決め突起103と104は、メインシェル10Cを貫通する孔にピンが差し込まれることで形成されている。円筒端部13Aと第1円筒部13Bの内壁から径方向に延在し、径方向の先端は、面取りされている。
これに対して、係合溝203は、図15に示すように、基板22の−Z面に形成されている。係合溝203は、基板22の外周部から径方向に延在している。係合溝203は、位相決め突起103が圧入可能な幅W2に形成されている。その深さD1と長さL4も、同様に、位相決め突起103が圧入可能な大きさである。これにより、係合溝203には、基板22の−Z面を位相決め突起103に向けた状態で、基板22が円筒端部13Aに嵌め込まれたときに、位相決め突起103が係合可能である。係合溝203の−Z側の開口には、位相決め突起103の挿入を容易にするため、面取りが施されている。すなわち、係合溝203の開口は、−Z側に向かうに従って溝幅が大きい。
また、係合溝404は、図16に示すように、保持部42Bの外周部の−Z面側に形成されている。保持部42Bの外周部の−Z面側は、平面状に形成されており、この外周部の−Z面側から、+Z側に向かって一定の深さ、幅で径方向に延在している。係合溝404の深さは、係合溝203の深さD1と同じであり、係合溝404の幅は、係合溝203の幅と同じ幅W2である。係合溝404の長さは、係合溝203の長さと同じ長さL4である。これにより、係合溝404には、保持部42Bの−Z面側を位相決め突起104に向けた状態で、メインフレーム40Cが第1円筒部13Bに嵌め込まれたときに、位相決め突起104が係合可能である。係合溝203の−Z側開口は、位相決め突起103の挿入を容易にするため、係合溝203と同様に、面取りが施されている。
図13に戻って、スクロール圧縮機1Cでは、メインシェル10Cに固定スクロール20Cとメインフレーム40Cが嵌め込まれている。そして、メインシェル10Cの位相決め突起103は、固定スクロール20Cの係合溝203に係合している。これにより、固定スクロール20Cがメインシェル10Cに対して位相決めされている。また、メインシェル10Cの位相決め突起104は、メインフレーム40Cの係合溝404に係合している。これにより、メインフレーム40Cがメインシェル10Cに対して位相決めされている。その結果、メインフレーム40Cを介して揺動スクロール30が位相決めされ、実施の形態1及び2と同様に、揺動スクロール30が固定スクロール20Cに高い精度で噛合する。
なお、スクロール圧縮機1Cの組立方法は、メインシェル10Cに貫通孔を形成し、その貫通孔に位相決め突起103、104となる円柱ピンを圧入し、溶接すること、固定スクロール20Cに上述した係合溝203を形成し、メインフレーム40Cに上述した係合溝404を形成すること以外、実施の形態1及び2と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、実施の形態3に係るスクロール圧縮機1Cでは、メインシェル10Cに位相決め突起103、104が設けられている。そして、位相決め突起103と104は、固定スクロール20Cの係合溝203とメインフレーム40Cの係合溝404に係合している。これにより、固定スクロール20Cとメインフレーム40Cがメインシェル10Cに対して位相決めされ、その結果、固定スクロール20Cと揺動スクロール30が高い精度で噛合する。
メインシェル10Cに位相決め突起103、104、固定スクロール20Cに係合溝203、メインフレーム40Cに係合溝404、をそれぞれ形成することで、メインシェル10Cの薄肉部を無くしつつ、メインフレーム40Cと固定スクロール20Cの位相を合わせることが可能となる。これにより、メインシェル10Cの剛性低下を抑制できる。その結果、スクロール圧縮機1Cの信頼性を向上することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、実施の形態3では、位相決め突起103と104が円柱のピン状である。しかし、本発明はこれに限定されない。メインシェル10A−10Cに、2つの位相決め部、換言すると、第1位相決め部と第2位相決め部とが設けられ、固定スクロール20A、20Cに、第1位相決め部に係合する第1係合部が設けられ、メインフレーム40A−40Cに、第2位相決め部に係合する第2係合部が設けられていればよい。この場合、第2位相決め部は、固定スクロール20A、20Cと揺動スクロール30とを噛合させるためのスペースが必要であるため、第1位相決め部と円筒軸A方向にずれて配置されていればよい。従って、本発明では、固定スクロール20A、20Cの第1係合部、インフレーム40A−40Cの第2係合部が係合可能である限りにおいて、位相決め突起103と104の形状は任意である。
図17は、本発明の実施の形態3に係るスクロール圧縮機が備えるメインシェル10Cの変形例の斜視図である。
図17に示すように、メインシェル10DにZ方向に一定の幅かつ、径方向に一定の高さで突出する直方体状の位相決め突起105が設けられていてもよい。この場合、+Z側の端面に面取りが施されてもよい。図示しないが、固定スクロール20A、20Cとメインフレーム40A−40Cには、位相決め突起105が−Z方向から挿入されて係合可能な係合溝が形成されるとよい。
このように、位相決め突起103と104の形状、すなわち、本明細書でいうところの、第1位相決め部と第2位相決め部の形状は、固定スクロール20A、20Cの第1係合部、インフレーム40A−40Cの第2係合部が係合可能である限りにおいて任意である。図17に示す形状のほか、第1位相決め部と第2位相決め部の形状は、凹凸状であってもよい。例えば、溝と突起が隣合う形状であってもよい。
なお、本発明では、メインシェル10A−10Cに、第1位相決め部と第2位相決め部とが設けられていればよいと説明しているが、実施の形態1で説明した位相決め溝100と同様に、第1位相決め部と第2位相決め部が連続して設けられていてもよい。すなわち、第1位相決め部と第2位相決め部は一体的に設けられてもよい。ここで、実施の形態1の場合、位相決め溝100の+Z側が固定スクロール20Aの係合突起200が係合する第1位相決め部に相当し、位相決め溝100の−Z側がメインフレーム40Aの係合突起400が係合する第1位相決め部に相当する。
また、実施の形態3では、位相決め突起103と104が同じ外径、同じ長さで径方向に延在している。位相決め突起103と104は、異なる外径、異なる長さに形成されてもよい。実施の形態2では、位相決め溝101と102が同じ幅、同じ深さ、同じ長さに形成されているが、位相決め溝101と102は、異なる外径、異なる長さに形成されてもよい。
上記の実施の形態1−3では、固定スクロール20Aの第1渦巻体21の板が−Z方向に向けられ、揺動スクロール30の第2渦巻体31の渦巻き状の板が+Z方向に向けられている。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、第1渦巻体21と第2渦巻体31が噛合すればよい。上述した、メインシェル10A−10Cに第1位相決め部と第2位相決め部、固定スクロール20A、20Cに第1係合部、メインフレーム40A−40Cに第2係合部、が設けられている場合、第1渦巻体21が第1位相決め部から第2位相決め部の方向に向けられ、第2渦巻体31が反対方向の、第2位相決め部から第1位相決め部の方向に向けられていればよい。
上記の実施の形態1−3では、固定スクロール20Aの基板22の外径が焼嵌め可能な程度に円筒端部13Aの内径よりも僅かに大きく、メインフレーム40Aの保持部42Bの外径が焼嵌め可能な程度に第1円筒部13Bの内径よりも僅かに大きい。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、固定スクロール20Aの基板22が、円筒端部13Aに嵌めることが可能であればよい。また、メインフレーム40Aの保持部42Bが第1円筒部13Bに嵌めることが可能であればよい。例えば、固定スクロール20Aの基板22は、第1円筒部13Bの内径よりも大きく円筒端13Aの内径以下の内径を有していればよい。保持部42Bは、第2円筒部13Cの内径よりも大きく第1円筒部13Bの内径以下の内径を有していればよい。このような構成であれば、スクロール圧縮機1A、1Cのスラスト荷重が高い場合でも、基板22が第1円筒部13Bの+Z端に引っ掛かり、かつ保持部42Bが第2円筒部13Cの+Z端に引っ掛かることで、その荷重に耐えることができる。
実施の形態1−3に係るスクロール圧縮機1A−1Cは、冷凍装置に適用可能である。その他、空調装置に適用されてもよい。