WO2023100304A1

WO2023100304A1 - スクロール圧縮機

Info

Publication number: WO2023100304A1
Application number: PCT/JP2021/044197
Authority: WO
Inventors: 雄太郎岩本; 文昭安田; 友寿松井; 浩平達脇; 浩二増本
Original assignee: 三菱電機株式会社
Priority date: 2021-12-02
Filing date: 2021-12-02
Publication date: 2023-06-08
Also published as: JPWO2023100304A1

Abstract

スクロール圧縮機は、揺動スクロール(5)、フレーム(3)、固定スクロール(4)および回転軸(10)を収容したシェル(1)を備える。シェル(1)は、第１内壁面(2a)と、第１内壁面(2a)から突出して固定スクロール(4)を位置決めする第１突出部(2b)とを有する。固定スクロール(4)は、固定台板(4a)と、固定台板(4a)から突出して形成された固定渦巻体(4b)とを有し、第１突出部(2b)に位置決めされた状態で、固定台板(4a)の外周部の焼き嵌め部(4c,4d)で第１内壁面(2a)に固定されている。焼き嵌め部(4c,4d)は、固定スクロール(4)の重心を通り且つ回転軸(10)に直交する中立軸(30)を回転軸(10)の軸方向に挟んで互いに離間し、且つ軸方向の長さが一定の第１焼き嵌め部(4c)および第２焼き嵌め部(4d)を有する。固定スクロール(4)は、第１焼き嵌め部(4c)および第２焼き嵌め部(4d)の２箇所で第１内壁面(2a)に固定されている。

Description

スクロール圧縮機

　本開示は、スクロール圧縮機における固定スクロールの固定構造に関するものである。

　従来、スクロール圧縮機は、シェル内部に固定されたフレームに揺動スクロールが支持され、その揺動スクロールに対向して固定スクロールが設けられている。揺動スクロールには回転軸が取り付けられ、この回転軸を回転させることで、揺動スクロールが固定スクロールに対して揺動運動し、揺動スクロールの揺動渦巻体と固定スクロールの固定渦巻体とを組み合わせて形成された圧縮室で冷媒を圧縮する（例えば、特許文献１）。

　特許文献１のスクロール圧縮機では、冷媒吸入空間を広げる観点から、シェル内部に固定されたフレームの周壁を無くし、固定スクロールがシェルの内壁に焼き嵌めして固定されている。この種のいわゆるフレーム外壁レス構造のスクロール圧縮機では、固定スクロールをシェルへ焼き嵌めする際の固定スクロールの変形が課題とされており、特許文献１では、固定スクロールの固定台板において固定渦巻体よりも径方向外側の位置に、径方向の外方からの応力を吸収する応力吸収部を設けている。そして、特許文献１では、焼き嵌め時に固定スクロールの固定台板に作用する締め付けによる応力を応力吸収部で吸収して、焼き嵌め時の固定スクロールの変形を抑制している。

特願２０１９－５０８４２３号公報

　しかしながら、特許文献１では、固定スクロールの変形を抑制することはできるが、僅かな変形が残された場合に、回転軸の一方側に凸の変形となるのか、他方側に凸の変形となるのか、変形方向をコントロールすることができない。このため、特許文献１では、固定渦巻体および揺動渦巻体のそれぞれの歯先と、対向する相手側のスクロールの歯底との間の隙間である歯先隙間が、その時々によって、設計時の理想の歯先隙間よりも拡大したり、縮小したりして、歯先隙間の形成精度を向上できないという問題があった。

　本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、歯先隙間の形成精度を向上することが可能なスクロール圧縮機を提供することを目的とするものである。

　本開示に係るスクロール圧縮機は、揺動スクロールを保持するフレームと、揺動スクロールに対向して配置された固定スクロールと、揺動スクロールを回転させる回転軸と、揺動スクロール、フレーム、固定スクロールおよび回転軸を収容したシェルと、を備え、シェルは、第１内壁面と、第１内壁面から突出して固定スクロールを位置決めする第１突出部とを有し、固定スクロールは、固定台板と、固定台板から突出して形成された固定渦巻体とを有し、第１突出部に位置決めされた状態で、固定台板の外周部の焼き嵌め部で第１内壁面に固定されており、焼き嵌め部は、固定スクロールの重心を通り且つ回転軸に直交する中立軸を回転軸の軸方向に挟んで互いに離間し、且つ軸方向の長さが一定の第１焼き嵌め部および第２焼き嵌め部を有し、固定スクロールは、第１焼き嵌め部および第２焼き嵌め部の２箇所で第１内壁面に固定されているものである。

　本開示のスクロール圧縮機は、中立軸を回転軸の軸方向に挟んで互いに離間し、且つ軸方向の長さが一定の第１焼き嵌め部および第２焼き嵌め部の２箇所でシェルに固定されている。この構成により、スクロール圧縮機は、固定スクロールのシェルへの焼き嵌め時における固定スクロールの変形方向をコントロールでき、歯先隙間の形成精度を向上できる。

実施の形態１に係るスクロール圧縮機の縦概略断面図である。実施の形態１に係るスクロール圧縮機の一部の分解斜視図である。実施の形態１に係るスクロール圧縮機のメインシェル、固定スクロールおよびメインフレームの縦概略部分断面図である。実施の形態１に係るスクロール圧縮機のメインシェルに固定スクロールが固定された状態を示す図である。実施の形態１に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの焼き嵌め時に第１焼き嵌め部および第２焼き嵌め部に作用する締め付け荷重の説明図である。実施の形態１に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの焼き嵌め時に固定スクロールに作用する曲げモーメントの説明図である。実施の形態１に係るスクロール圧縮機のメインシェルの内径と、固定スクロールの焼き嵌め部の外径と、の大小関係の説明図である。実施の形態２に係るスクロール圧縮機のメインシェル、固定スクロールおよびメインフレームの縦概略部分断面図である。実施の形態２に係るスクロール圧縮機の変形例の固定スクロールをメインシェルに焼き嵌めした部分の概略拡大断面図である。実施の形態２に係るスクロール圧縮機のメインシェルの内径と、固定スクロールの焼き嵌め部の外径と、の大小関係の説明図である。実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールをメインシェルに焼き嵌めした部分の概略拡大断面図である。実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの平面図である。実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの変形例１の平面図である。実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの変形例２の平面図である。

　以下、図面を参照して、本開示の一実施の形態について説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略または簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさおよび配置等は、本開示の範囲内で適宜変更することができる。

実施の形態１．
　以下、実施の形態１について説明する。図１は、実施の形態１に係るスクロール圧縮機の縦概略断面図である。図２は、実施の形態１に係るスクロール圧縮機の一部の分解斜視図である。なお、図１および図２のスクロール圧縮機は、回転軸の中心軸が地面に対して略垂直の状態で使用される、いわゆる縦型のスクロール圧縮機である。なお、以下の説明において、回転軸が延びる方向を軸方向、軸方向に垂直な方向を径方向、回転軸周りの方向を周方向という。

　スクロール圧縮機は、シェル１と、メインフレーム３と、圧縮機構部６と、駆動機構部１４と、サブフレーム１５と、回転軸１０と、ブッシュ９と、給電部１７と、を備えている。スクロール圧縮機は、シェル１内が圧縮機構部６で圧縮される前の冷媒で満たされるいわゆる低圧シェル方式のスクロール圧縮機である。以下では、メインフレーム３を基準として、圧縮機構部６が設けられている側（上側）を一端側Ｕ、駆動機構部１４が設けられている側（下側）を他端側Ｌと方向づけて説明する。

　シェル１は、金属などの導電性部材からなる両端が閉塞された筒状の筐体であり、メインシェル２と、アッパーシェル１６と、ロアシェル１２と、を備えている。メインシェル２は、円筒状を呈し、その側壁には吸入管１８が溶接等により接続されている。吸入管１８は、冷媒をシェル１内に導入する管であり、メインシェル２の内部空間と連通している。アッパーシェル１６は、略半球状を呈する第１シェルであり、その側壁の一部がメインシェル２の上端部において溶接等により接続され、メインシェル２の上側の開口を覆っている。アッパーシェル１６の上部には、吐出管１９が溶接等により接続されている。吐出管１９は、冷媒をシェル１外に吐出する管であり、メインシェル２の内部空間と連通している。ロアシェル１２は、略半球状を呈する第２シェルであり、その側壁の一部がメインシェル２の下端部において溶接等により接続され、メインシェル２の下側の開口を覆っている。

　メインフレーム３は、空洞が形成された中空な金属製のフレームであり、シェル１の内部に設けられている。メインフレーム３は、本体部３ａと、主軸受部３ｂと、返油管３ｃと、を備えている。本体部３ａは、メインシェル２の一端側Ｕの内壁面に固定されており、その中央にはシェル１の長手方向に沿って収容空間３ｄが形成されている。収容空間３ｄは、一端側Ｕが開口しているとともに、他端側Ｌに向かって空間が狭くなる段差状になっている。本体部３ａの一端側Ｕには、収容空間３ｄを囲むように環状の平坦面３ｅが形成されている。平坦面３ｅには、バルブ鋼などの鋼板系材料からなるリング状のスラストプレート１３が配置されている。

　よって、本実施の形態１では、スラストプレート１３がスラスト軸受として機能する。また、メインフレーム３の平坦面３ｅの外端側のスラストプレート１３と重ならない位置には、吸入ポート３ｆが形成されている。吸入ポート３ｆは、本体部３ａの上下方向、すなわちアッパーシェル１６側とロアシェル１２側に貫通する空間である。吸入ポート３ｆは、一つに限らず、複数形成されていても良い。

　メインフレーム３の平坦面３ｅよりも他端側Ｌの段差部分には、オルダム収容部３ｇが形成されている。オルダム収容部３ｇには、第１オルダム溝３ｈが形成されている。第１オルダム溝３ｈは、外端側の一部が平坦面３ｅの内端側を削るように形成されている。そのため、メインフレーム３を一端側Ｕから見たときに、第１オルダム溝３ｈの一部は、スラストプレート１３と重なる。第１オルダム溝３ｈは、オルダム収容部３ｇに一対、形成されている。一対の第１オルダム溝３ｈは、互いに対向するように形成されている。主軸受部３ｂは、本体部３ａの他端側Ｌに連続して形成され、その内部には軸孔３ｉが形成されている。軸孔３ｉは、主軸受部３ｂの上下方向に貫通し、その一端側Ｕが収容空間３ｄと連通している。返油管３ｃは、収容空間３ｄに溜まった潤滑油をロアシェル１２の内側の油溜めに戻すための管であり、メインフレーム３に内外に貫通して形成された排油孔に挿入固定されている。

　潤滑油は、例えば、エステル系合成油を含む冷凍機油である。潤滑油は、シェル１の下部、すなわちロアシェル１２に貯留されており、後述するオイルポンプ７で吸い上げられる。吸い上げられた潤滑油は、回転軸１０内の通油路２０を通り、圧縮機構部６等の機械的に接触するパーツ同士の摩耗低減、摺動部の温度調節およびシール性の改善を行う。潤滑油としては、潤滑特性、電気絶縁性、安定性、冷媒溶解性および低温流動性などに優れるとともに、適度な粘度の油が好適である。

　圧縮機構部６は、冷媒を圧縮する圧縮機構である。圧縮機構部６は、固定スクロール４と、揺動スクロール５と、を備えたスクロール圧縮機構である。固定スクロール４は、鋳鉄等の金属からなり、固定台板４ａと、固定台板４ａから突出して形成されたインボリュート形状の突起である固定渦巻体４ｂと、を備えている。固定台板４ａは、円盤状を呈しており、その中央には上下方向に貫通して吐出ポート４ｇが形成されている。吐出ポート４ｇは、固定スクロール４の固定渦巻体４ｂ側から反対側の背面側へと固定台板４ａを貫通している。固定渦巻体４ｂは、固定台板４ａの他端側Ｌの面から突出して渦巻状の壁を形成しており、その先端は他端側Ｌに突出している。固定スクロール４は、焼き嵌めによりメインシェル２に固定されている。固定スクロール４は、揺動スクロール５に対向して配置されている。スクロール圧縮機は、固定スクロール４がシェル１の内壁面に固定されているいわゆるフレーム外壁レス構造である。

　図２に示すように、固定台板４ａの外周面には、全周に渡って溝４ａａが形成されている。溝４ａａは、固定台板４ａの外周面に周方向に延びて形成されている。溝４ａａは、軸方向の位置および軸方向の開口長さｈｃ（後述の図４参照）が周方向に渡って一定に構成されている。この溝４ａａにより、固定台板４ａの外周面とメインシェル２の内周面との間に環状の中空間４ａｂ（図１参照）が形成され、固定スクロール４の外周部は軸方向に分割されている。なお、図２には、溝４ａａが固定台板４ａの外周面に全周に渡って形成されているが、外周面に周方向に断続的に形成されていてもよい。

　固定台板４ａの外周部のうち、溝４ａａよりも一端側Ｕに位置する部分と、溝４ａａよりも他端側Ｌに位置する部分とが、メインシェル２に固定された焼き嵌め部を構成している。焼き嵌め部は、固定台板４ａの外周部であって、周方向に延びる部分である。以下、軸方向の一端側Ｕに位置する焼き嵌め部を第１焼き嵌め部４ｃ、軸方向の他端側Ｌに位置する焼き嵌め部を第２焼き嵌め部４ｄという。第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄは、中空間４ａｂの軸方向の両側に形成されている。第１焼き嵌め部４ｃの軸方向の長さｈ１（後述の図４参照）は、周方向に渡って一定であり、第２焼き嵌め部４ｄの軸方向の長さｈ２（後述の図４参照）は、周方向に渡って一定である。固定スクロール４は、軸方向の２箇所、つまり、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄでメインシェル２に焼き嵌めにより固定されている。

　固定スクロール４の固定台板４ａは、軸方向に直交する板状で第１焼き嵌め部４ｃを有する第１部４０と、軸方向に直交する板状で第２焼き嵌め部４ｄを有する平板状の第２部４１と、第１部４０と第２部４１との間の板状の中間部４２とを有する。固定台板４ａは、第１部４０、中間部４２および第２部４１が、この順に軸方向に並んで一体化された構成を有する。

　揺動スクロール５は、アルミニウム等の金属からなり、揺動台板５ａと、揺動台板５ａから突出して形成されたインボリュート形状の突起である揺動渦巻体５ｂと、筒状部５ｃと、を備えている。揺動スクロール５は、固定スクロール４とメインフレーム３との間の冷媒取込空間２１に配置されている。揺動台板５ａは、固定渦巻体４ｂが形成された一方の面と、一方の面とは反対側の他方の面と、一方の面と他方の面とを接続する面であって、径方向の最外部に位置する側面５ｆと、を備えた円盤状を呈する。他方の面の外周領域の少なくとも一部は、スラストプレート１３に対して摺動する摺動面５ｅとなっている。

　揺動台板５ａは、摺動面５ｅがスラストプレート１３に摺動可能に、メインフレーム３に支持されている。揺動渦巻体５ｂは、揺動台板５ａの一方の面から突出して渦巻状の壁を形成しており、その先端は一端側Ｕに突出している。なお、固定スクロール４の固定渦巻体４ｂの先端部と、揺動スクロール５の揺動渦巻体５ｂの先端部とには、冷媒の漏れを抑制するためのシール部材（図示せず）が設けられている。

　筒状部５ｃは、揺動台板５ａの他方の面の略中央から他端側Ｌに突出して形成された円筒状のボスである。筒状部５ｃの内周面には、後述するスライダ９ａを回転自在に支持する揺動軸受、いわゆるジャーナル軸受が、その中心軸が回転軸１０の中心軸と平行になるように設けられている。揺動台板５ａの他方の面には、第２オルダム溝５ｄが形成されている。第２オルダム溝５ｄは、長丸形状の溝である。第２オルダム溝５ｄは、揺動台板５ａの他方の面に一対、形成されている。一対の第２オルダム溝５ｄを結ぶ線は、一対の第１オルダム溝３ｈを結ぶ線に対して、直交するように設けられている。

　メインフレーム３のオルダム収容部３ｇには、オルダムリング８が設けられている。オルダムリング８は、リング部８ａと、第１キー部８ｂと、第２キー部８ｃと、を備えている。第１キー部８ｂは、リング部８ａの他端側Ｌの面に一対、形成されている。一対の第１キー部８ｂは、互いに対向するように形成されており、メインフレーム３の一対の第１オルダム溝３ｈに収容されている。第２キー部８ｃは、リング部８ａの一端側Ｕの面に一対、形成されている。一対の第２キー部８ｃは、互いに対向するように形成されており、揺動スクロール５の一対の第２オルダム溝５ｄに収容されている。回転軸１０の回転によって揺動スクロール５が公転旋回する際に、第１キー部８ｂは第１オルダム溝３ｈ内をスライドし、第２キー部８ｃは第２オルダム溝５ｄ内をスライドする。これにより、オルダムリング８は、揺動スクロール５が自転することを防止する。

　これら固定スクロール４の固定渦巻体４ｂと、揺動スクロール５の揺動渦巻体５ｂと、を互いに噛み合わせることにより圧縮室４ｈが形成されている。圧縮室４ｈは、径方向において、外側から内側へ向かうに従って容積が縮小するものであるため、冷媒を渦巻体の外端側から取り入れて、中央側に移動させることで徐々に圧縮する。圧縮室４ｈは、固定スクロール４の中央部において、吐出ポート４ｇと連通する。固定スクロール４の一端側Ｕの面には、吐出ポート４ｇを所定に開閉し、冷媒の逆流を防止する吐出弁１１が設けられている。圧縮室４ｈ内で圧縮された冷媒は、吐出ポート４ｇおよび吐出弁１１を介しアッパーシェル１６内の吐出空間１６ａに吐出される。吐出空間１６ａは、吐出ポート４ｇから吐出された冷媒によって高圧空間となっている。

　冷媒は、例えば、組成中に、炭素の２重結合を有するハロゲン化炭化水素、炭素の２重結合を有しないハロゲン化炭化水素、炭化水素、または、それらを含む混合物からなる。炭素の２重結合を有するハロゲン化炭化水素は、オゾン層破壊係数がゼロであるＨＦＣ冷媒またはフロン系低ＧＷＰ冷媒である。炭素の２重結合を有するハロゲン化炭化水素は、化学式がＣ_３Ｈ_２Ｆ_４で表されるＨＦＯ１２３４ｙｆ、ＨＦＯ１２３４ｚｅ、ＨＦＯ１２４３ｚｆ等のテトラフルオロプロペンが例示される。炭素の２重結合を有しないハロゲン化炭化水素は、ＣＨ_２Ｆ_２で表されるＲ３２（ジフルオロメタン）、Ｒ４１等が混合された冷媒が例示される。炭化水素は、自然冷媒であるプロパンまたはプロピレン等が例示される。混合物は、ＨＦＯ１２３４ｙｆ、ＨＦＯ１２３４ｚｅおよびＨＦＯ１２４３ｚｆ等に、Ｒ３２またはＲ４１等を混合した混合冷媒が例示される。

　駆動機構部１４は、シェル１内部においてメインフレーム３の他端側Ｌに設けられている。駆動機構部１４はステータ１４ａと、ロータ１４ｂと、を備えている。ステータ１４ａは、例えば電磁鋼板を複数積層してなる鉄心に、絶縁層を介して巻線を巻回してなる固定子であり、リング状に形成されている。ステータ１４ａは、焼き嵌め等によりメインシェル２内部に固着支持されている。ロータ１４ｂは、電磁鋼板を複数積層してなる鉄心の内部に永久磁石を内蔵するとともに、中央に上下方向に貫通する貫通穴を有する円筒状の回転子である。ロータ１４ｂは、ステータ１４ａの内部空間に配置されている。ロータ１４ｂは、その外周面がステータ１４ａの内周面と所定の隙間を保って配置されている。

　サブフレーム１５は、金属製のフレームであり、シェル１内部において駆動機構部１４の他端側Ｌに設けられている。サブフレーム１５は、焼き嵌めまたは溶接等によってメインシェル２の他端側Ｌの内周面に固着支持されている。サブフレーム１５には、副軸受部１５ａと、オイルポンプ７と、が設けられている。副軸受部１５ａは、サブフレーム１５の中央部上側に設けられたボールベアリングであり、中央に上下方向に貫通する孔を有している。オイルポンプ７は、サブフレーム１５の中央部下側に設けられており、シェル１の油溜めに貯留された潤滑油に少なくとも一部が浸漬するように配置されている。

　回転軸１０は、長尺な金属製の棒状部材であり、シェル１の内部に設けられている。回転軸１０は、主軸部１０ａと、偏心軸部１０ｂとを備えている。主軸部１０ａは、回転軸１０の主要部を構成する軸であり、その中心軸がメインシェル２の中心軸と一致するように配置されている。主軸部１０ａは、その外表面にはロータ１４ｂが接触して固定されている。偏心軸部１０ｂは、その中心軸が主軸部１０ａの中心軸に対して偏心するように主軸部１０ａの一端側Ｕに設けられている。回転軸１０は、主軸部１０ａの一端側Ｕがメインフレーム３の主軸受部３ｂ内に挿入され、他端側Ｌがサブフレーム１５の副軸受部１５ａに挿入固定されている。これにより、偏心軸部１０ｂは固定スクロール４の筒状部５ｃ内に配置されている。

　回転軸１０の主軸部１０ａの一端側Ｕには、第１バランサ１０ｃが設けられ、主軸部１０ａの他端側には、第２バランサ１０ｄが設けられている。第１バランサ１０ｃおよび第２バランサ１０ｄは、揺動スクロール５の揺動によるアンバランスを相殺するために設けられている。また、回転軸１０には、主軸部１０ａおよび偏心軸部１０ｂの内部に軸方向に貫通して通油路２０が設けられている。

　ブッシュ９は、鉄等の金属からなり、揺動スクロール５と回転軸１０とを接続する接続部材である。図２に示すように、ブッシュ９は、スライダ９ａと、バランスウエイト９ｂと、の２パーツで構成されている。スライダ９ａは、他端側Ｌに鍔が形成された筒状の部材であり、偏心軸部１０ｂと固定スクロール４の筒状部５ｃとの間の環状の隙間に嵌め入れられている。バランスウエイト９ｂは、一端側Ｕから見た形状が略Ｃ状を呈するウエイト部９ｃを備えたドーナツ状の部材であり、揺動スクロール５の遠心力を相殺するために、回転中心に対して偏心して設けられている。バランスウエイト９ｂは、例えばスライダ９ａの鍔に焼き嵌め等の方法により固定されている。

　給電部１７は、スクロール圧縮機に給電する給電部材であり、シェル１のメインシェル２の外周面に固定されている。給電部１７は、カバー１７ａと、給電端子１７ｂと、配線１７ｃと、を備えている。カバー１７ａは、メインシェル２に固定される側に底を有する円筒状のカバー部材である。給電端子１７ｂは、金属部材からなり、一方がカバー１７ａの内部に設けられ、他方がシェル１の内部に設けられている。配線１７ｃは、一方が給電端子１７ｂと接続され、他方がステータ１４ａと接続されている。

　次に、メインシェル２と圧縮機構部６との関係について、図３および図４を参照して説明する。

　図３は、実施の形態１に係るスクロール圧縮機のメインシェル、固定スクロールおよびメインフレームの縦概略部分断面図である。図４は、実施の形態１に係るスクロール圧縮機のメインシェルに固定スクロールが固定された状態を示す図である。図３に示すように、メインシェル２は、第１内壁面２ａと、第１内壁面２ａから突出し、固定スクロール４を位置決めする第１突出部２ｂと、第１突出部２ｂにおいて、一端側Ｕに向いている第１位置決め面２ｃと、を有する。メインシェル２はさらに、第１突出部２ｂの第２内壁面２ｄと、第２内壁面２ｄから突出し、メインフレーム３を位置決めする第２突出部２ｅと、第２突出部２ｅにおいて、一端側Ｕに向いている第２位置決め面２ｆと、を有する。固定スクロール４は、第１位置決め面２ｃで位置決めされた状態で、第１内壁面２ａに焼き嵌めされて固定されている。また、メインシェル２は、第２位置決め面２ｆで位置決めされた状態で、第２内壁面２ｄに焼き嵌めされて固定されている。

　第１位置決め面２ｃには、いわゆるヌスミである凹み２ｇが形成されている。凹み２ｇの役割は以下の通りである。メインシェル２に第１突出部２ｂを形成する際の切削加工時に、第１内壁面２ａと第１位置決め面２ｃとの接続部分は直角ではなく曲面になりやすい。当該部分が曲面になると、固定スクロール４を第１突出部２ｂに配置しても、第１位置決め面２ｃに接触せずに浮いてしまい、位置決めの精度が低くなる。これに対し、第１位置決め面２ｃに凹み２ｇが形成されていると、固定スクロール４が第１位置決め面２ｃに確実に接触して位置決め精度を高めることができる。第２位置決め面２ｆに形成された凹み２ｈも凹み２ｇと同様の作用を有する、いわゆるヌスミである。第２位置決め面２ｆに凹み２ｈが形成されていると、メインシェル２が第２位置決め面２ｆに確実に接触して位置決め精度を高めることができる。

　図３および図４に示すように、固定スクロール４は、軸方向の２箇所、つまり第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄで第１内壁面２ａに焼き嵌めされて固定されている。第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄは、中立軸３０を回転軸１０の軸方向に挟んで設けられている。中立軸３０は、固定スクロール４の重心４ｅを通り且つ回転軸１０に直交する軸である。重心４ｅは、固定スクロール全体の重心である。第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄは、溝４ａａが回転軸１０の軸方向において中立軸３０を含む位置に形成されることで、中立軸３０を回転軸１０の軸方向に挟んで互いに離間した構成となっている。

　中空間４ａｂを形成する溝４ａａの径方向の長さｒａは、吐出ポート４ｇに作用する高圧圧力に耐えられる必要肉厚ｒｂを確保できれば、特に制限されない。必要肉厚ｒｂは、径方向における吐出ポート４ｇと溝４ａａとの間の厚さである。溝４ａａの径方向の長さｒａに関し、たとえば、図４の点線で示す位置まで溝４ａａを径方向内側に延長し、軸方向に見て中空間４ａｂが固定スクロール４の固定渦巻体４ｂに重なる位置まで長さｒａを長くとってもよい。長さｒａを長くとって中空間４ａｂを大きくすることで、スクロール圧縮機は、固定スクロール４の軽量化および原材料の低減を図ることができる。

　図５は、実施の形態１に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの焼き嵌め時に第１焼き嵌め部および第２焼き嵌め部に作用する締め付け荷重の説明図である。固定スクロール４がメインシェル２に焼き嵌めされた際、図５の白抜き矢印に示すように、固定スクロール４の第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄのそれぞれには、焼き嵌めによる荷重が作用する。この荷重は、メインシェル２から径方向内向きに作用する締め付け荷重である。

　ここで、第１焼き嵌め部４ｃが受ける締め付け荷重の軸方向の中心線（以下、第１荷重線）３１、および、第２焼き嵌め部４ｄが受ける締め付け荷重の軸方向の中心線（以下、第２荷重線）３２のそれぞれは、固定スクロール４の中立軸３０に交わらない。言い換えれば、スクロール圧縮機は、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄのそれぞれが受ける締め付け荷重の方向が、中立軸３０に平行な方向であって、回転軸１０に垂直な方向となるように形成されている。具体的には、第１焼き嵌め部４ｃの軸方向の長さｈ１が周方向に渡って一定であり、第２焼き嵌め部４ｄの軸方向の長さｈ２が周方向に渡って一定である。これにより、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄのそれぞれが受ける締め付け荷重の方向が、中立軸３０に平行な方向であって、回転軸１０に垂直な方向となる。

　次に、上記した構成の作用について図６を参照して説明する。

　図６は、実施の形態１に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの焼き嵌め時に固定スクロールに作用する曲げモーメントの説明図である。上記したように、固定スクロール４は、固定台板４ａの外周面において軸方向の２箇所で固定されており、その固定部分である第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄが中立軸３０を挟んで設けられている。第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄのそれぞれの軸方向の長さｈ１およびｈ２は、一定である。言い換えれば、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄのそれぞれの軸方向の長さｈ１およびｈ２は、周方向に渡って一定つまり周方向で変化しない。なお、ｈ１とｈ２とは互いに同じでもよいし、異なっていてもよい。

　上記構成により、スクロール圧縮機は、以下に説明するように、焼き嵌め時の固定スクロール４の第１部４０および第２部４１の変形の向きをコントロールして故意に逆向きの変形を生じさせ、歯先隙間の精度向上を可能としている。ここで、歯先隙間とは、固定渦巻体４ｂの歯先と、対向する相手側のスクロールである揺動スクロール５の歯底と、の間の隙間である。また、歯先隙間とは、揺動渦巻体５ｂの歯先と、対向する相手側のスクロールである固定スクロール４の歯底と、の間の隙間でもある。

　第１焼き嵌め部４ｃを含む第１部４０には、焼き嵌め時に中立軸３０よりも一端側Ｕに締め付け荷重が加わることで、点線５０で示すように他端側Ｌに凸の曲げモーメントが作用する。これにより、第１部４０は、他端側Ｌに凸に変形しようとする。一方、第２焼き嵌め部４ｄを含む第２部４１には、焼き嵌め時に中立軸３０よりも他端側Ｌに締め付け荷重が加わることで、点線５１で示すように一端側Ｕに凸の曲げモーメントが作用する。これにより、第２部４１は、一端側Ｕに凸の変形しようとする。

　つまり、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄが中立軸３０を挟んで設けられていることで、第１部４０および第２部４１には、互いに逆向きの曲げモーメントが作用する。そして、この曲げモーメントにより、第１部４０および第２部４１には、図６の白抜き矢印に示すように互いに近づく方向の歪みを発生させる応力が発生して応力同士が相殺され、固定スクロール４の変形を抑制できる。よって、上記構成を有するスクロール圧縮機は、固定スクロール４が固定スクロール４の外周面全体を用いて１箇所で焼き嵌めされる構成に比べて固定スクロール４の変形を抑制できる。

　ここで、第１荷重線３１および第２荷重線３２が中立軸３０に平行ではなく交差する場合について考える。この場合、中立軸３０を含む面に焼き嵌めによる締め付け荷重が加わることになり、その位置によって、固定スクロール４の変形が、一端側Ｕに凸、他端側Ｌに凸のどちらの変形になるか分からない。

　一方、上記構成では、第１荷重線３１および第２荷重線３２が中立軸３０に平行であるため、中立軸３０を含む面には焼き嵌めによる締め付け荷重が加わらない。よって、上記構成は、一端側Ｕに凸、他端側Ｌに凸のどちらの変形になるか分からないという現象を引き起こさない。なお、溝４ａａが固定台板４ａの外周面に断続的に形成されている場合は、隣接する溝４ａａ同士の間の部分がメインシェル２の第１内壁面２ａに焼き嵌めにより固定されることになる。このため、この構成の場合、中立軸３０を含む面において焼き嵌めによる締め付け荷重が加わるが、溝４ａａは、変形方向がわからないという現象を引き起こさない程度に、固定台板４ａの外周面に周方向に断続的に形成されていればよい。

　従来の応力吸収部を設ける構成では、焼き嵌めによって固定スクロールに作用する応力を吸収して変形を抑制することができるものの、その変形の向きをコントロールすることはできない。このため、従来構成では、歯先隙間を設計時の理想的な歯先隙間に構成できない。

　これに対し、上記構成では、スクロール圧縮機は、固定スクロール４が一端側Ｕに凸、他端側Ｌに凸のどちらの変形になるか分からないという現象が生じない構成とした上で、変形方向をコントロールして、互いに逆向きの変形が生じるようにしている。これにより、スクロール圧縮機は、歯先隙間を設計時の理想的な歯先隙間に構成できる。また、上記構成では、固定スクロール４を焼き嵌めることで起こる変形を抑制できるため、固定スクロール４の理想的な渦巻き形状が崩れることを抑制でき、圧縮の効率の低下を抑制できる。

　ところで、重心Ｇの位置は、渦巻の大きさ、台板構成、渦巻き背面側の形状などの影響を受ける。このため、本実施の形態１のスクロール圧縮機は、重心Ｇに影響を与えるこれらのパラメータを調整して、固定台板４ａ内に固定スクロール４の重心Ｇが位置するようにしている。

　重心Ｇの位置の調整は、以下により行える。
　・固定台板４ａの厚みを厚くした肉増し部を固定台板４ａの吐出側の面に形成する。これにより、重心Ｇの位置が上がる。肉増し部の厚みは、第１焼嵌め部４ｃの長さｈ１、第２焼嵌め部４ｄの長さｈ２以上が望ましい。
　・固定台板４ａ全体の厚みを厚くする。これにより、重心Ｇの位置が上がる。
　・溝４ａａの径方向の長さｒａと必要肉厚ｒｂとが、ｒａ＜ｒｂを満たすようにする。これにより、固定台板４ａに中空間４ａｂを設けることによる重心位置の下がりを抑制する。ｒａは、軸方向に見て中空間４ａｂが固定スクロール４の固定渦巻体４ｂに重ならない長さとすることが望ましい。

　ここで、重心が固定台板の厚み内に無いスクロール圧縮機（例えば、国際公開第２０１９／２０７７８５号）では、中立軸が固定台板内を通過しないため、固定台板において中立軸を２つの焼き嵌め部で挟む構造を構成し得ない。このため、当該公知の構成では、固定スクロール４のシェル１への焼き嵌め時における固定スクロール４の変形方向をコントロールして、歯先隙間の形成精度を向上することができない。

　これに対し、実施の形態１のスクロール圧縮機は、重心Ｇの位置を固定台板４ａ内に位置する構成とした上で、重心Ｇを通る中立軸３０を第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄで挟む構造としている。これにより、実施の形態１のスクロール圧縮機は、固定スクロール４のシェル１への焼き嵌め時における固定スクロール４の変形方向をコントロールでき、歯先隙間の形成精度を向上することができる。

　なお、上記の重心位置の調整を行っても、重心Ｇが固定台板４ａの厚みにおける中心からズレて、渦巻側または吐出側に位置する場合がある。重心Ｇが固定台板４ａの厚みの中心からズレると、図６に示す歪み方向のベクトルの大きさの釣り合いがとりにくくなる。ベクトルの大きさは、（焼き嵌めによる荷重中心と中立軸との距離）×（焼き嵌め代による荷重の大きさ）のモーメントで決まる。このため、例えば重心Ｇが固定台板４ａの厚みにおける中心から下方向にズレた場合は、第１焼嵌め部４ｃの軸方向の長さｈ１＜第２焼嵌め部４ｄの軸方向の長さｈ２とする等により、ベクトル調整をすることが望ましい。

　次に、メインシェル２の内径と、固定スクロール４の焼き嵌め部の外径と、の大小関係について図７を用いて説明する。

　図７は、実施の形態１に係るスクロール圧縮機のメインシェルの内径と、固定スクロールの焼き嵌め部の外径と、の大小関係の説明図である。なお、図７は、ｒ１～ｒ４の各寸法の位置を説明する図であって、形状および大きさを正確に示したものではない。

　図７に示すように、ｒ１は第１内壁面２ａの内径、ｒ２は第２内壁面２ｄの内径である。ｒ３は固定台板４ａの第１部４０の外径、ｒ４は固定台板４ａの第２部４１の外径である。実施の形態１では、ｒ３＝ｒ４＞ｒ１＞ｒ２の関係が成り立つ。実施の形態１のスクロール圧縮機は、この大小関係、固定スクロール４の強度、焼き嵌めの保持力および他部品との干渉を考慮して、ｒ１～ｒ４が設計される。

　次に、スクロール圧縮機の動作について説明する。給電部１７の給電端子１７ｂに通電すると、ステータ１４ａとロータ１４ｂとにトルクが発生し、これに伴って回転軸１０が回転する。回転軸１０の回転は、偏心軸部１０ｂおよびブッシュ９を介して揺動スクロール５に伝えられる。回転駆動力が伝達された揺動スクロール５は、オルダムリング８により自転を規制され、固定スクロール４に対して偏心公転運動する。その際、揺動スクロール５の他方の面が、スラストプレート１３と摺動する。

　揺動スクロール５の揺動運動に伴い、吸入管１８からシェル１の内部に吸入された冷媒は、メインフレーム３の吸入ポート３ｆを通って冷媒取込空間２１に到達し、固定スクロール４と揺動スクロール５とで形成される圧縮室４ｈに取り込まれる。そして、冷媒は、揺動スクロール５の偏心公転運動に伴い、外周部から中心方向に移動しながら体積を減じられて圧縮される。揺動スクロール５の偏心公転運転時、揺動スクロール５は自身の遠心力により、ブッシュ９とともに径方向に移動し、固定渦巻体４ｂと揺動渦巻体５ｂの側壁面同士が密接する。圧縮された冷媒は、固定スクロール４の吐出ポート４ｇから吐出され、吐出弁１１に逆らってシェル１の外部に吐出される。

　次に、実施の形態１のスクロール圧縮機の、特に固定スクロール４をメインシェル２に組み立てる工程を、図７を用いて説明する。

　メインシェル２の内壁面に第１突出部２ｂを形成する切削加工工程から固定スクロール４を挿入する前までの工程は、従来のフレーム外壁レス構造のスクロール圧縮機（例えば、国際公開第２０１８／０７８７８７号）と同じである。本明細書では、固定スクロール４のメインシェル２への挿入から説明する。

　まずメインシェル２の一端側Ｕから、固定スクロール４を挿入する。なお、固定スクロール４よりも先に、回転軸１０、ブッシュ９、オルダムリング８および揺動スクロール５等が挿入されている。固定スクロール４は、第１突出部２ｂの第１位置決め面２ｃに面で接触し、軸方向の位置決めがされる。ここで、メインシェル２の第１位置決め面２ｃに凹み２ｇが形成されていることで、固定スクロール４が第１位置決め面２ｃに確実に接触するため、精度の高い位置決めがなされている。

　固定スクロール４は、第１位置決め面２ｃに位置決めされた状態でメインシェル２に焼き嵌められる。すなわち、メインシェル２を加熱して膨張させ、メインシェル２に固定スクロール４を挿入する。メインシェル２を加熱して膨張させることで、メインシェル２の内径ｒ１よりも大きい外径ｒ３およびｒ４を有する固定スクロール４をメインシェル２に挿入することができる。

　以上のように固定スクロール４が精度良く位置決めされた状態でメインシェル２に焼き嵌められる際、上述したように固定スクロール４の変形が抑制される。このため、スクロール圧縮機は、固定スクロール４の渦巻き形状が崩れることを抑制でき、歯先隙間を、設計時の理想的な歯先隙間に構成でき、また、圧縮効率を維持できる。なお、固定スクロール４がメインシェル２に焼き嵌め固定されるのと同時に、メインフレーム３もメインシェル２に焼き嵌められる。メインフレーム３は、メインシェル２の第２位置決め面２ｆにある凹み２ｈによって位置決め精度が高められた状態で、第２内壁面２ｄに焼き嵌めなどによって固定されている。なお、メインフレーム３のメインシェル２への固定方法は、焼き嵌めに限られたものではなく、他の固定方法を用いて固定してもよい。

　最後に、メインシェル２の一端側Ｕから、アッパーシェル１６を挿入したのち、メインシェル２とアッパーシェル１６とを溶接またはアークスポット溶接によりメインシェル２に固定する。

　以上のような製造方法により、スクロール圧縮機は、フレーム外壁レス構造とすることで冷媒取込空間２１を大きく確保しながら、固定台板４ａの第１部４０および第２部４１における変形方向をコントロールすることで、固定スクロール４の変形を抑制できる。その結果、以上のような製造方法により、理想の歯先隙間を保ったまま固定スクロール４をメインシェル２に固定することができ、性能損失の少ないスクロール圧縮機を構成できる。

　以上説明したように、実施の形態１のスクロール圧縮機は、揺動スクロール５を保持するメインフレーム３と、揺動スクロール５に対向して配置された固定スクロール４と、揺動スクロール５を回転させる回転軸と、これらを収容したシェル１と、を備える。シェル１は、第１内壁面２ａと、第１内壁面２ａから突出して固定スクロール４を位置決めする第１突出部２ｂとを有する。固定スクロール４は、固定台板４ａと、固定台板４ａから突出して形成された固定渦巻体４ｂとを有し、第１突出部２ｂに位置決めされた状態で、固定台板４ａの外周部の焼き嵌め部で第１内壁面２ａに固定されている。焼き嵌め部は、固定スクロール４の重心４ｅを通り且つ回転軸に直交する中立軸３０を回転軸１０の軸方向に挟んで互いに離間し、且つ軸方向の長さが互いに同じで一定の第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄを有する。固定スクロール４は、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄの２箇所で第１内壁面２ａに固定されている。

　上記構成により、スクロール圧縮機は、固定スクロール４のシェル１への焼き嵌め時における固定スクロール４の変形方向をコントロールでき、歯先隙間の形成精度を向上できる。

　ところで、焼き嵌めによる固定では、焼き嵌め代が小さいと焼き嵌め保持力も小さくなり、圧縮室４ｈ内の圧力が吐出空間１６ａの圧力よりも大きくなったときに固定スクロール４が浮き上がり、圧縮機の故障を引き起こす。また、焼き嵌め代が大きすぎると、焼き嵌め時のシェル１からの締め付けによる応力で固定スクロール４が変形して歪んでしまい、固定渦巻体４ｂのインボリュート形状が崩れて圧縮の効率が低下する恐れがある。

　これに対し、実施の形態１のスクロール圧縮機は、固定スクロール４の焼き嵌め代を大きくしても、第１部４０および第２部４１に対して互いに逆向きの変位を発生させる応力が発生し、互いに相殺されるため、固定スクロール４の変形を抑制できる。よって、実施の形態１のスクロール圧縮機は、固定スクロール４の変形を抑制して圧縮の効率の低下を抑制しつつ、焼き嵌め保持力を向上できる。

　また、固定スクロール４の外周面には、周方向に延びる溝４ａａが形成されて固定スクロール４の外周面とシェル１の第１内壁面２ａとの間に中空間４ａｂが形成されている。そして、スクロール圧縮機は、中空間４ａｂの軸方向の両側に第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄが形成されている。

　上記構成のように、固定スクロール４の外周面に周方向に延びる溝４ａａが形成されていることで、固定スクロール４の外周部の軸方向に離間して第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄが形成される。

　また、中空間４ａｂは、軸方向に見て固定スクロール４の固定渦巻体４ｂに重なっている。

　上記構成により、中空間４ａｂが、軸方向に見て固定スクロール４の固定渦巻体４ｂよりも径方向外側に位置する構成に比べて、スクロール圧縮機は、固定スクロール４の軽量化および原材料の低減を図ることができる。

　また、固定スクロール４の固定台板４ａは、軸方向に直交する板状で第１焼き嵌め部４ｃを有する第１部４０と、軸方向に直交する板状で第２焼き嵌め部４ｄを有する第２部４１とを有し、第１部４０の外径は第２部４１の外径と同じである。

　上記構成のように、第１部４０の外径が第２部４１の外径と同じである場合、固定スクロール４およびシェル１の第１内壁面２ａの製造が容易である。

　また、シェル１は、第２内壁面２ｄと、第２内壁面２ｄから突出し、メインフレーム３を位置決めする第２突出部２ｅと、をさらに有し、メインフレーム３は、第２突出部２ｅに位置決めされた状態で第２内壁面２ｄに固定されている。

　上記構成により、固定スクロール４およびメインフレーム３を一連の製造工程にて同様の方法でシェル１に固定することができ、製造を容易化できる。

実施の形態２．
　実施の形態２は、固定スクロール４の固定台板４ａの形状と、メインシェル２の第１内壁面２ａの形状と、が実施の形態１と異なる。その他の構成については実施の形態１と同一または同等である。以下、実施の形態２が実施の形態１と異なる構成を中心に説明するものとし、実施の形態２で説明されていない構成は実施の形態１と同様である。

　図８は、実施の形態２に係るスクロール圧縮機のメインシェル、固定スクロールおよびメインフレームの縦概略部分断面図である。上記実施の形態１では、固定スクロール４は、図７に示したように第１部４０の外径ｒ３と第２部４１の外径ｒ４とが同じであったが、実施の形態２では、第１部４０の外径ｒ３が第２部４１の外径ｒ４よりも大きい。言い換えれば、第２部４１の外径ｒ４が第１部４０の外径ｒ３よりも小さい。スクロール圧縮機は、第２部４１の外径ｒ４が小さいことにより形成された第２部４１の外周面と第１内壁面２ａとの間の隙間に、第１突出部２ｂが一端側Ｕに延長した構成となっている。

　そして、延長部分の先端面が第１位置決め面２ｃを構成し、延長部分の内壁面が第１内壁面２ａの一部を構成している。つまり、第１内壁面２ａが１段の階段状に構成されている。以下では、第１内壁面２ａのうち第１位置決め面２ｃよりも一端側Ｕの面を第１部分内壁面２ａａといい、他端側Ｌの面を第２部分内壁面２ａｂという。なお、図８において、メインシェル２内に示した点線は、第１突出部２ｂを延長する前の第１内壁面２ａおよび第１位置決め面２ｃの位置を参考のため図示している。

　固定スクロール４は、第１部４０の他端側Ｌの面が第１位置決め面２ｃに当接して位置決めされている。言い換えれば、固定スクロール４は、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄのうち軸方向において固定渦巻体４ｂから離れた側の第１焼き嵌め部４ｃが、第１内壁面２ａの段差部分に当接して位置決めされている。また、固定スクロール４は、階段状の第１内壁面２ａに焼き嵌めにより固定されている。具体的には、第１焼き嵌め部４ｃが第１部分内壁面２ａａに固定され、第２焼き嵌め部４ｄが第２部分内壁面２ａｂに固定されている。

　実施の形態２においても、固定スクロール４は、メインシェル２の第１位置決め面２ｃに接触して位置決めされ、第１内壁面２ａに焼き嵌めにより固定されている。そして、実施の形態２においても、実施の形態１と同様の作用効果を得ることができる。

　以下、第１内壁面２ａを１段の階段状とした他の例について説明する。

　図９は、実施の形態２に係るスクロール圧縮機の変形例の固定スクロールをメインシェルに焼き嵌めした部分の概略拡大断面図である。上記の図８の構成では、第２部分内壁面２ａｂが第２内壁面２ｄに面一の構成となっていたが、この変形例では、第２部分内壁面２ａｂが径方向の位置で第１内壁面２ａと第２内壁面２ｄとの間の位置となっている。この構成により、第１位置決め面２ｃは、第１部分内壁面２ａａ側の第１部分位置決め面２ｃａと、第２部分内壁面２ａｂ側の第２部分位置決め面２ｃｂとに分けられている。そして、第１部分位置決め面２ｃａには、位置決め精度を向上するための凹み２ｇａが形成され、第２部分位置決め面２ｃｂには、位置決め精度を向上するための凹み２ｇｂが形成されている。

　固定スクロール４は、第１焼き嵌め部４ｃの他端側Ｌの面が、第１内壁面２ａの段差部分である第１部分位置決め面２ｃａに接触し、第２焼き嵌め部４ｄの他端側Ｌの面が第２部分位置決め面２ｃｂに接触して位置決めされている。そして、固定スクロール４は、第１焼き嵌め部４ｃが第１部分内壁面２ａａに焼き嵌めされ、第２焼き嵌め部４ｄが第２部分内壁面２ａｂに焼き嵌めされている。つまり、変形例のスクロール圧縮機は、メインシェル２の内壁面の形状が実施の形態１とは異なるものの、実施の形態１と同様にしてメインシェル２に固定されている。すなわち、変形例のスクロール圧縮機は、固定スクロール４が、第１位置決め面２ｃに位置決めされた状態で、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄが第１内壁面２ａに焼き嵌めされてメインシェル２に固定されている。

　ここで、実施の形態２におけるメインシェル２の内径と、固定スクロール４の焼き嵌め部の外径と、の大小関係について次の図１０を用いて説明する。

　図１０は、実施の形態２に係るスクロール圧縮機のメインシェルの内径と、固定スクロールの焼き嵌め部の外径と、の大小関係の説明図である。なお、図１０は、ｒ１～ｒ５の各寸法の位置を説明する図であって、形状および大きさを正確に示したものではない。ｒ１は第１内壁面２ａのうちの第１部分内壁面２ａａの内径、ｒ２は第２内壁面２ｄの内径である。ｒ３は固定台板４ａの第１部４０の外径、ｒ４は固定台板４ａの第２部４１の外径である。ｒ５は第１内壁面２ａのうちの第２部分内壁面２ａｂの内径である。実施の形態２においては、ｒ３＞ｒ１≧ｒ５、ｒ４＞ｒ５≧ｒ２の関係が成り立つ。実施の形態２のスクロール圧縮機は、この大小関係、固定スクロール４の強度、焼き嵌めの保持力および他部品との干渉を考慮して、ｒ１～ｒ５が設計される。

　実施の形態２によれば、実施の形態１と同様の作用効果を得ることができる。また、実施の形態２において、固定スクロール４の固定台板４ａは、第１部４０の外径が第２部４１の外径よりも大きい。この構成では、第１部４０の外径が第２部４１の外径よりも小さい場合に比べて固定スクロール４の一端側Ｕの面を広く使うことができる。固定スクロール４の一端側Ｕの面には吐出弁１１が設けられているが、その他に、吐出弁１１の開閉音を低減するマフラなどの部品を設けることも考えられる。そのため、固定スクロール４の一端側Ｕの面を広く利用できることで、構成部品の自由度を上げることができる。

実施の形態３．
　実施の形態３は、固定スクロール４のメインシェル２に対する焼き嵌め保持力を向上する技術に関する。以下、実施の形態３が実施の形態１および実施の形態２と異なる構成を中心に説明するものとし、実施の形態３で説明されていない構成は実施の形態１および実施の形態２と同様である。

　図１１は、実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールをメインシェルに焼き嵌めした部分の概略拡大断面図である。図１２は、実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの平面図である。図１３は、実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの変形例１の平面図である。図１４は、実施の形態３に係るスクロール圧縮機の固定スクロールの変形例２の平面図である。

　実施の形態３のスクロール圧縮機は、図１１および図１２に示すように固定スクロール４の第１焼き嵌め部４ｃに軸方向に貫通する断面円形状のバイパス穴４ｆが複数設けられた構成を有する。バイパス穴４ｆは、第１焼き嵌め部４ｃおよび第２焼き嵌め部４ｄのうち軸方向において固定渦巻体４ｂから離れた側の第１焼き嵌め部４ｃに設けられている。複数のバイパス穴４ｆは、図１２～図１４に示すように周方向に等間隔に形成されている。バイパス穴４ｆにより、吐出空間１６ａと中空間４ａｂとが連通する。バイパス穴４ｆの断面形状は、図１２に示した円形状に限られず、たとえば、図１３および図１４に示すように円弧状でもよい。また、バイパス穴４ｆの形成位置は、図１２および図１３に示すように、第１焼き嵌め部４ｃの外周面よりも内側に形成されてもよいし、図１４のように第１焼き嵌め部４ｃの外周面に形成されてもよい。要するに、バイパス穴４ｆは、中空間４ａｂと吐出空間１６ａとを連通させるように構成されていればよい。

　上記構成により、吐出空間１６ａがバイパス穴４ｆを介して中空間４ａｂに連通し、吐出空間１６ａ内の高圧圧力が中空間４ａｂに導入され、中空間４ａｂが高圧空間となる。中空間４ａｂが高圧空間となることで、図１１の矢印で示すように第２焼き嵌め部４ｄが第１位置決め面２ｃに押圧され、固定スクロール４のメインシェル２に対する保持力が向上する。

　実施の形態３によれば、実施の形態１および実施の形態２と同様の作用効果が得られるとともに、第１焼き嵌め部４ｃに設けられたバイパス穴４ｆにより、固定スクロール４のメインシェル２に対する保持力が向上する。なお、バイパス穴４ｆの数は、複数に限られたものではなく、１つでもよい。ただし、固定スクロール４に均等に高圧圧力を作用させる点から考えると、スクロール圧縮機はバイパス穴４ｆを複数有し、周方向に等間隔に形成されていることが好ましい。

　なお、上記実施の形態１～３では、縦型スクロール圧縮機について説明したが、本開示は横型のスクロール圧縮機にも適用できる。その際、横型のスクロール圧縮機においても、メインフレームを基準として、圧縮機構部が設けられている側を一端側、駆動機構部が設けられている側を他端側と方向づけて見ることができる。また、本開示は、低圧シェル方式のスクロール圧縮機に限らず、シェル内が圧縮機構部で圧縮された後の冷媒で満たされる高圧シェル方式のスクロール圧縮機にも適用できる。

　１　シェル、２　メインシェル、２ａ　第１内壁面、２ａａ　第１部分内壁面、２ａｂ　第２部分内壁面、２ｂ　第１突出部、２ｃ　第１位置決め面、２ｃａ　第１部分位置決め面、２ｃｂ　第２部分位置決め面、２ｄ　第２内壁面、２ｅ　第２突出部、２ｆ　第２位置決め面、２ｇ　凹み、２ｇａ　凹み、２ｇｂ　凹み、２ｈ　凹み、３　メインフレーム、３ａ　本体部、３ｂ　主軸受部、３ｃ　返油管、３ｄ　収容空間、３ｅ　平坦面、３ｆ　吸入ポート、３ｇ　オルダム収容部、３ｈ　第１オルダム溝、３ｉ　軸孔、４　固定スクロール、４ａ　固定台板、４ａａ　溝、４ａｂ　中空間、４ｂ　固定渦巻体、４ｃ　第１焼き嵌め部、４ｄ　第２焼き嵌め部、４ｅ　重心、４ｆ　バイパス穴、４ｇ　吐出ポート、４ｈ　圧縮室、５　揺動スクロール、５ａ　揺動台板、５ｂ　揺動渦巻体、５ｃ　筒状部、５ｄ　第２オルダム溝、５ｅ　摺動面、５ｆ　側面、６　圧縮機構部、７　オイルポンプ、８　オルダムリング、８ａ　リング部、８ｂ　第１キー部、８ｃ　第２キー部、９　ブッシュ、９ａ　スライダ、９ｂ　バランスウエイト、９ｃ　ウエイト部、１０　回転軸、１０ａ　主軸部、１０ｂ　偏心軸部、１０ｃ　第１バランサ、１０ｄ　第２バランサ、１１　吐出弁、１２　ロアシェル、１３　スラストプレート、１４　駆動機構部、１４ａ　ステータ、１４ｂ　ロータ、１５　サブフレーム、１５ａ　副軸受部、１６　アッパーシェル、１６ａ　吐出空間、１７　給電部、１７ａ　カバー、１７ｂ　給電端子、１７ｃ　配線、１８　吸入管、１９　吐出管、２０　通油路、２１　冷媒取込空間、３０　中立軸、３１　第１荷重線、３２　第２荷重線、４０　第１部、４１　第２部、４２　中間部、５０　点線、５１　点線。

Claims

　揺動スクロールを保持するフレームと、
　前記揺動スクロールに対向して配置された固定スクロールと、
　前記揺動スクロールを回転させる回転軸と、
　前記揺動スクロール、前記フレーム、前記固定スクロールおよび前記回転軸を収容したシェルと、を備え、
　前記シェルは、第１内壁面と、前記第１内壁面から突出して前記固定スクロールを位置決めする第１突出部とを有し、
　前記固定スクロールは、固定台板と、前記固定台板から突出して形成された固定渦巻体とを有し、前記第１突出部に位置決めされた状態で、前記固定台板の外周部の焼き嵌め部で前記第１内壁面に固定されており、
　前記焼き嵌め部は、前記固定スクロールの重心を通り且つ前記回転軸に直交する中立軸を前記回転軸の軸方向に挟んで互いに離間し、且つ前記軸方向の長さが一定の第１焼き嵌め部および第２焼き嵌め部を有し、
　前記固定スクロールは、前記第１焼き嵌め部および前記第２焼き嵌め部の２箇所で前記第１内壁面に固定されているスクロール圧縮機。
　前記固定スクロールの外周面には、周方向に延びる溝が形成されて前記固定スクロールの前記外周面と前記シェルの前記第１内壁面との間に中空間が形成されており、
　前記中空間の前記軸方向の両側に前記第１焼き嵌め部および前記第２焼き嵌め部が形成されている請求項１記載のスクロール圧縮機。
　前記固定スクロールは、前記揺動スクロールとともに圧縮室を形成しており、
　前記シェルの内部において、前記固定スクロールの前記揺動スクロールとは反対側の空間は、前記圧縮室で圧縮された冷媒が吐出される吐出空間となっており、
　前記第１焼き嵌め部および前記第２焼き嵌め部のうち前記軸方向において前記固定渦巻体から離れた側の前記第１焼き嵌め部には、前記軸方向に貫通して前記吐出空間と前記中空間とを連通するバイパス穴が形成されている請求項２に記載のスクロール圧縮機。
　前記中空間が、前記軸方向に見て前記固定スクロールの前記固定渦巻体に重なっている請求項２または請求項３に記載のスクロール圧縮機。
　前記固定スクロールの前記固定台板は、前記軸方向に直交する板状で前記第１焼き嵌め部を有する第１部と、前記軸方向に直交する板状で前記第２焼き嵌め部を有する第２部とを有し、
　前記第１焼き嵌め部および前記第２焼き嵌め部のうち前記軸方向において前記固定渦巻体から離れた側の前記第１焼き嵌め部を有する前記第１部の外径は前記第２部の外径と同じかそれより大きい請求項１～請求項４のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
　前記第１内壁面は１段の階段状に形成され、段差部分に、前記第１焼き嵌め部および前記第２焼き嵌め部のうち前記軸方向において前記固定渦巻体から離れた側の前記第１焼き嵌め部が当接している請求項１～請求項５のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。
　前記シェルは、第２内壁面と、前記第２内壁面から突出し、前記フレームを位置決めする第２突出部と、をさらに有し、
　前記フレームは、前記第２突出部に位置決めされた状態で前記第２内壁面に固定されている請求項１～請求項６のいずれか一項に記載のスクロール圧縮機。