JP2019156873A - マスターバッチ粒子 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、液状添加剤を配合したエンジニアリングプラスチックを高温環境下にて使用する際に、液状添加剤が成形体表面にブリードアウトし、外観を損ねるという問題もあった。
すなわち本発明の目的は、液状添加剤の高濃度化が可能で、べたつきが少なく取り扱い性に優れた、液状添加剤のマスターバッチを提供することである。更には、エンジニアリングプラスチックが有する従来の外観や機械物性、および成形性を損なわず、優れた摺動性を有し、かつ耐摩耗性を有する樹脂組成物並びに成形体を提供することである。
[1](a)ビニル芳香族化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロックおよび共役ジエン化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物と、該(a)成分100質量部に対し、以下の(b1)〜(b3)の特徴を有する(b)エチレン・α−オレフィン共重合体70〜150質量部とを含有する、平均粒径が100μm〜1,000μmの範囲にあるマスターバッチ粒子。
(b1)100℃における動粘度が10〜5,000mm2/sであること
(b2)エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜85mol%の範囲にあること
(b3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算により得られた分子量において、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であること
[2]前記(a)成分が、前記ブロック共重合体の水素添加物である[1]に記載のマスターバッチ粒子。
[3]前記(b)エチレン・α−オレフィン共重合体の100℃における動粘度が500〜3,000mm2/sである[1]または[2]に記載のマスターバッチ粒子。
[4]前記(b)エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンがプロピレンである[1]〜[3]のいずれかに記載のマスターバッチ粒子。
[5]前記共役ジエン化合物がブタジエンである[1]〜[4]のいずれかに記載のマスターバッチ粒子。
[6]ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂のいずれかの樹脂と、該樹脂100質量部に対し、[1]〜[5]のいずれかに記載のマスターバッチ粒子0.5〜10質量部とを含んでなる成形体。
<マスターバッチ粒子>
本発明のマスターバッチ粒子は、(a)ビニル芳香族化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物および(b)エチレン・α−オレフィン共重合体を含有する。
本発明に係るマスターバッチ粒子の(a)成分であるブロック共重合体またはその水素添加物において、ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(A)」ともいう)と、共役ジエン化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロック(以下、「重合体ブロック(B)」ともいう)とを有するものであって、以下「(A)/(B)ブロック共重合体」ともいう。
具体的には、たとえば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン/イソプレン−スチレンブロック共重合体などを挙げることができる。なお、たとえばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体とは、ポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロックの形態のブロック共重合体を意味する。
かかる(A)/(B)ブロック共重合体は市販されており、これら市販品を用いることができる。非水添品では例えばクレイトン社「Dシリーズ」、JSR社「TRシリーズ」、旭化成社製「タフプレン」「アサプレン」などがある。水添品では例えばクラレ社製「セプトン」「ハイブラー」、旭化成社製「タフテック」、JSR社製「ダイナロン」、クレイトンポリマー社製「Gシリーズ」などがある。
本発明に係る重合体組成物の(b)成分であるエチレン・α−オレフィン共重合体は、100℃における動粘度が10〜5,000mm2/sであり、好ましくは30〜3,500mm2/s、より好ましくは500〜3,000mm2/s、さらに好ましくは900〜2,500mm2/sである。(b)エチレン・α−オレフィン共重合体の100℃における動粘度が、10mm2/s以上5000mm2/s以下であると、得られるマスターバッチ粒子の取り扱い、および最終的に得られるエンジニアリングプラスチックの摺動性および耐摩耗性が極めて良好である。
また、(b)エチレン・α−オレフィン共重合体は、(A)/(B)ブロック共重合体の脂肪族二重結合が水素添加された重合体ブロック(B)と構造が類似しており、(a)成分と絡み合いが生じやすいという特徴を持つため、(b)成分のマスターバッチ用組成物への高濃度添加が可能となり、エンジニアリングプラスチックへのマスターバッチ粒子の配合量を減量できるため、エンジニアリングプラスチックが有する従来の機械物性や成形性への影響を抑えることができる。
得られる共重合体の分子量は、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによって調節することができる。水素を添加する場合、その量は生成する共重合体1kgあたり0.001〜5,000NL程度が適当である。
また、(b)エチレン・α−オレフィン共重合体は、官能基をグラフト変性させてもよく、また、これらをさらに2次変性してもよい。例えば、特開昭61−126120号公報や特許第2593264号公報などに記載される方法など、2次変性としては特表2008−508402号公報などに記載される方法などが挙げられる。
本発明のマスターバッチ粒子には、耐熱安定剤、耐候安定剤、難燃剤、帯電防止剤、核剤、着色剤、発泡剤、充填剤、補強剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の成形体は、エンジニアリングプラスチック100質量部に、上述のマスターバッチ粒子を0.5〜10質量部配合し、種々の成形方法により得られる。
エンジニアリングプラスチック100質量部に対し、マスターバッチ粒子の含有量が0.5質量部を下回ると、成形体に十分な摺動性や耐摩耗性が得られない。また、10質量部を超えると、成形体の機械物性が悪化する。マスターバッチ粒子の含有量は、エンジニアリングプラスチック100質量部に対し、0.8〜8質量部が好ましく、より好ましくは1〜7質量部、更に好ましくは2〜6質量部である。
本発明の成形体の用途としては、例えば歯車、回転軸、軸受等の用途、ベルト、クロス等の繊維用途などが挙げられるが、上記特性が要求されない用途への使用も可能である。
上述のエンジニアリングプラスチックとしては、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、およびエポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、例えば「エンジニアリングプラスチック」(牧広、小林力男編、産業図書株式会社発行)、「FPR設計便覧」等の刊行物に記載されている如く、それ自体周知の樹脂であり、その定義については明確である。以下各樹脂の好ましい態様について説明する。
ポリアセタール樹脂は、典型的には、ホルマリンあるいはトリオキサンを、所望に応じてエチレンオキサイドと共に、カチオン触媒の存在下に開環重合して得られる樹脂であり、ポリオキシメチレン鎖を主骨格とする樹脂であるが、本発明においては、コポリマータイプのものが好ましい。このようなポリアセタール樹脂は市販されており、例えば商品名ユピタール(三菱エンジニヤリングプラスチックス(株))等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
ABS樹脂は、典型的には、ポリブタジエンにアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させて得られる耐衝撃性樹脂であるが、本発明においては、ポリブタジエン成分が5〜40重量%であって、スチレン成分とアクリロニトリル成分の重量比(スチレン/アクリロニトリル)が70/30〜80/20であるものが好ましい。このようなABS樹脂は市販されており、例えば商品名スタイラック(旭化成工業(株))、サイコラック(宇部サイコン(株))等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
ポリアミド樹脂は、典型的には、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクタムの開環重合等により得られる樹脂であるが、本発明においては、脂肪族ジアミンと脂肪族または芳香族ジカルボン酸の重縮合反応物が好ましい。このようなポリアミド樹脂は市販されており、例えば商品名レオナ(旭化成工業(株))、ザイテル(デユポンジャパン リミテッド)等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
熱可塑性ポリエステル樹脂は、典型的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させて得られる樹脂であるが、本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等が好ましく用いられる。このような熱可塑性ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名ユニチカポリエステル樹脂(ユニチカ(株))、ライナイト(デユポン ジャパンリミテッド)等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
ポリフェニレンオキシド樹脂は、典型的には、2,6−ジメチルフェノールを銅触媒の存在下に酸化カップリングさせることにより得られる樹脂であるが、この樹脂に他の樹脂をブレンドする等の手法により変成した変成ポリフェニレンオキシド樹脂も、本発明において用いることができる。本発明においては、スチレン系ポリマーのブレンド変成物が好ましい。このようなポリフェニレンオキシド樹脂は市販されており、例えば商品名ザイロン(旭化成工業(株))、ユピエース(三菱エンジニヤリングプラスチックス(株))等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
ポリイミド樹脂は、典型的には、テトラカルボン酸とジアミンとを重縮合させ、主骨格にイミド結合を生成させて得られる樹脂であるが、本発明においては、無水ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルから形成されるものが好ましい。このようなポリイミド樹脂は市販されており、例えば商品名ベスペル(デユポン ジャパン リミテッド)等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
ポリカーボネート樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とホスゲンとを反応することにより得られる樹脂であるが、本発明においては、ジエチレングリコールジアリルカーボネートが好ましい。このようなポリカーボネート樹脂は市販されており、例えば商品名NOVAREX(三菱化学(株))、パンライン(帝人化成(株))、レキサン(日本ジーイープラスチックス(株))等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
以上の樹脂(1)〜(7)は熱可塑性樹脂である。以下に説明する樹脂(8)〜(10)は熱硬化性樹脂であり、熱硬化前の状態のものにつき説明する。
エポキシ樹脂は、典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させることにより得られる樹脂であるが、本発明においては、エポキシ当量170〜5000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂は市販されており、例えば商品名エピクロン(大日本インキ化学工業(株))、スミエポキシ(住友化学工業(株))等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は、典型的には、脂肪族不飽和ジカルボン酸と脂肪族ジオールとをエステル化反応させることにより得られる樹脂であるが、本発明においては、マレイン酸やフマル酸等の不飽和ジカルボン酸と、エチレングリコールやジエチレングリコール等のジオールとをエステル化反応して得られる樹脂が好ましい。このような熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名リゴラック(昭和高分子(株))、スミコン(住友ベークライト(株))等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
フェノール樹脂は、本発明では、いわゆるノボラック型およびレゾール型いずれをも包含するが、ヘキサメチレンテトラミンで硬化させるノボラック型やジメチレンエーテル結合を主体とする固形レゾールが好ましい。このようなフェノール樹脂は市販されており、例えば商品名スミコンPM(住友ベークライト(株))、ニッカライン(日本合成化学工業(株))等を挙げることができ、本発明において好ましく用いることができる。
[評価方法]
下記実施例および比較例等において、エチレン・α−オレフィン共重合体の物性等は以下の方法で測定した。
日本分光社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−610またはFT/IR−6100を用い、長鎖メチレン基の横揺れ振動に基づく721cm-1付近の吸収とプロピレンの骨格振動に基づく1155cm-1付近の吸収との吸光度比(D1155cm-1/D721cm-1)を算出し、予め作成しておいた検量線(ASTM D3900での標準試料を使って作成)より質量基準のエチレン含有率(質量%)を求めた。次に、得られたエチレン含有率(質量%)を用い、下記式に従ってモル基準のエチレン含有率(mol%)を求めた。
分子量分布は、東ソー株式会社HLC−8320GPCを用いて以下のようにして測定した。分離カラムとして、TSKgel SuperMultiporeHZ−M(4本)を用い、カラム温度を40℃とし、移動相にはテトラヒドロフラン(和光純薬社製)を用い、展開速度を0.35ml/分とし、試料濃度を5.5g/Lとし、試料注入量を20マイクロリットルとし、検出器として示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、東ソー社製(PStQuick MP−M)のものを用いた。汎用校正の手順に従い、ポリスチレン分子量換算として重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を算出し、これらの値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
100℃における動粘度は、JIS K2283に記載の方法により、測定、算出した。
o−ジクロロベンゼン−d4を測定溶媒とし、測定温度120℃、スペクトル幅20ppm、パルス繰り返し時間7.0秒、かつパルス幅6.15μsec(45°パルス)の測定条件下にて、1H−NMRスペクトル(400 MHz、日本電子ECX400P)を測定した。ケミカルシフト基準には、溶媒ピーク(オルトジクロロベンゼン 7.1ppm)を用い、0〜3ppmに観測されるメインピークと、4〜6ppmに観測されるビニル、ビニリデン、二置換オレフィンおよび三置換オレフィンに由来するピークの積分値の比率より、炭素原子1000個当たりの不飽和結合量(個/1000C)を算出した。
得られた樹脂組成物の粒子をメタノール中に分散させ、超音波ホモジナイザーを用いて出力25Wにて5分間分散処理をした後、Microtrac社MT3300EX IIにてを用いてレーザー光回折散乱法により0.021〜1,408μmの測定範囲にて粒径分布を測定し、平均粒径を求めた。
マスターバッチ粒子の会合は、得られたマスターバッチ粒子の平均粒径が100μm〜1,000μmの範囲内にあるものに対し、複数の粒子が会合したものが全体量の30%を超える場合を会合「あり」とし、30%以下である場合を会合「なし」として評価した。
べたつきは、得られたマスターバッチ粒子の目視および触感評価にてオイル状物の析出がみられた場合をべたつき「あり」とし、オイル状物の析出がみられなかった場合をべたつき「なし」として評価した。
得られた成形体を大気下、オーブン中にてポリアミド樹脂成形体では120℃、熱可塑性ポリエステル樹脂成形体では100℃に加熱し、168時間保持した後の外観を評価した。結果の表記は以下の通りである。
○:表面外観の変化なし
×:成形体表面にオイル状物の析出あり
ISO−179に準拠して、ノッチ付き多目的試験片を用いてシャルピー衝撃強度を測定した。
摩擦係数および比摩耗量は、JIS K 7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠し、松原式摩擦摩耗試験機を使用して測定した。試験条件は、相手材:S45C、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:15kg(摩擦係数)または2.5kg(比摩耗量)、測定環境温度:23℃、150℃とした。摩耗により試験片が貫通した場合は、比摩耗量を>10,000×10-3mm3/kgf・kmと表記した。
限界PV値は、ステップワイズ法〔JIS K7218(SUSリング/樹脂シート)〕により評価した。具体的には、摺動速度:0.2m/s、試験荷重:0.25〜25MPa(0.25MPa毎ステップ)、試験温度:23℃として、試験荷重による樹脂の摩耗による融着、変形による摩擦係数上昇、発熱温度上昇までの試験荷重と摺動速度から限界PV値を算出した。
[(a)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物]
SEBS−1: ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体、(株)クラレ製セプトン(商標)8006(スチレン含有量:33重量%、MFR230℃:溶融せず、平均粒径:420μm)
SEPS: ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレンブロック共重合体、(株)クラレ製セプトン(商標)2005(スチレン含有量:20重量%、MFR230℃:溶融せず、平均粒径:400μm)
SEBS−2: ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロック共重合体、(株)クラレ製セプトン(商標)8007L(スチレン含有量:30重量%、MFR230℃=2g/10分、平均粒径約3mmのペレット)
[(b)エチレン・α−オレフィン共重合体の製造]
(b)エチレン・α−オレフィン共重合体は以下の方法で製造した。
〔合成例1〕
[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリドの合成
(i)6−メチル−6−フェニルフルベンの合成
窒素雰囲気下、200mL三口フラスコにリチウムシクロペンタジエン7.3g (101.6mmol)および脱水テトラヒドロフラン100mLを加えて攪拌した。溶液をアイスバスで冷却し、アセトフェノン15.0g(111.8mmol)を滴下した。その後、室温で20時間攪拌し、得られた溶液を希塩酸水溶液でクエンチした。ヘキサン100mLを加えて可溶分を抽出し、この有機層を水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、溶媒を留去し、得られた粘性液体をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で分離し、目的物である6−メチル−6−フェニルフルベン(赤色粘性液体)を得た。
窒素雰囲気下、100mL三口フラスコに2,7−ジ−t−ブチルフルオレン2.01g(7.20mmol)および脱水t−ブチルメチルエーテル50mLを添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.65M)4.60mL(7.59mmol)を徐々に添加し、室温で16時間攪拌した。6−メチル−6−フェニルフルベン1.66g(9.85mmol)を添加した後、加熱還流下で1時間攪拌した。氷浴で冷却しながら水50mLを徐々に添加し、得られた二層の溶液を200mL分液漏斗に移した。ジエチルエーテル50mLを加えて数回振った後水層を除き、有機層を水50mLで3回、飽和食塩水50mLで1回洗浄した。無水硫酸マグネシウムで30分間乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。少量のヘキサンを加えて得た溶液に超音波を当てたところ固体が析出したので、これを採取して少量のヘキサンで洗浄した。減圧下で乾燥し、白色固体としてメチル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)(フェニル)メタン2.83gを得た。
窒素雰囲気下、100mLシュレンク管にメチル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)(フェニル)メタン1.50g(3.36mmol)、脱水トルエン50mLおよびTHF 570μL(7.03mmol)を順次添加した。氷浴で冷却しながらn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.65M)4.20mL(6.93mmol)を徐々に添加し、45℃で5時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、脱水ジエチルエーテル40mLを添加して赤色溶液とした。メタノール/ドライアイス浴で冷却しながら四塩化ジルコニウム 728mg(3.12mmol)を添加し、室温まで徐々に昇温しながら16時間攪拌したところ、赤橙色スラリーが得られた。減圧下で溶媒を留去して得られた固体をグローブボックス内に持ち込み、ヘキサンで洗浄した後、ジクロロメタンで抽出した。減圧下で溶媒を留去して濃縮した後、少量のヘキサンを加え、−20℃で放置したところ赤橙色固体が析出した。この固体を少量のヘキサンで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、赤橙色固体として[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド1.20gを得た。
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブにヘプタン710mLおよびプロピレン145gを装入し、系内の温度を150℃に昇温した後、水素0.40MPa、エチレン0.27MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次にトリイソブチルアルミニウム0.4mmol、[メチルフェニルメチレン(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,7−ジ−t−ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド 0.0001mmolおよびN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.001mmolを窒素で圧入し、攪拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、150℃で5分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られたポリマー溶液を、0.2mol/Lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。
PA:ポリアミド樹脂、PA6、東レ(株)製アミランCM1007
PET:熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ユニチカ(株)製ユニチカポリエステル樹脂SA−1206(平均粒径約3mmのペレット)
[鉱物油]
パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−380,100℃動粘度:30mm2/s)
SEBS−1を100質量部に対し、重合体1を100質量部混合し、100℃に昇温した後、24時間静置し、マスターバッチ粒子(MB)を得た。
SEBS−1をSEPSに変えた以外は実施例1の方法に従って、マスターバッチ粒子を得た。
重合体1の配合量を140質量部に変えた以外は実施例1の方法に従って、マスターバッチ粒子を得た。
SEBS−1をSEBS−2に変えた以外は実施例1の方法に従って、マスターバッチ粒子を得た。
重合体1の配合量を170質量部に変えた以外は実施例1の方法に従って、マスターバッチ粒子を得た。
SEBS−1をPETに変えた以外は実施例1の方法に従って、マスターバッチ粒子を得た。
実施例1〜実施例3、および比較例1〜比較例3により得られたマスターバッチ粒子の平均粒径、会合の評価、べたつきの評価を表1に示す。
表1においてSEBS−1、SEPS、SEBS−2、PETおよび重合体1について示した数値は質量部を示す。
PETをマスターバッチ用基材樹脂とし、15mmφの二軸スクリュー押し出し機(L/D=45)を用いて280℃のシリンダー温度条件にて溶融させ、プランジャー型定量ポンプを用い100℃に加熱した重合体1を上記押し出し機のベント口より定量フィードすることにより、マスターバッチの作製を試みたが、PET100質量部に対し、重合体5質量部まではペレットが得られたものの、5質量部を超えると溶融ストランドの吐出量が不安定となり、ペレットは得られなかった。PET100質量部に対し、重合体1の添加量を5質量部として得られたペレットをMB−R1とした。
実施例1にて得られたマスターバッチ粒子(MB)をPAに表2に示す質量比率にて予め配合し、上述の押し出し機を用いてシリンダー温度240℃の条件において溶融混合し、PAペレットを作成した。得られたペレットを射出成形により成形片を作成し、得られた成形片に対し、外観(熱老化後外観)、機械物性(衝撃強度)、摺動性(摩擦係数)、および耐摩耗性(比摩耗量、限界PV値)を評価した。結果を表2に示す。
実施例1にて得られたマスターバッチ粒子(MB)をPETに表2に示す質量比率にて予め配合し、上述の押し出し機を用いてシリンダー温度280℃の条件において溶融混合し、PETペレットを作成した。得られたペレットを射出成形により成形片を作成し、得られた成形片に対し、外観(熱老化後外観)、機械物性(衝撃強度)、摺動性(摩擦係数)、および耐摩耗性(比摩耗量、限界PV値)を評価した。結果を表2に示す。
実施例1にて得られたマスターバッチ粒子(MB)を使用しなかったこと以外は実施例4と同様に行い、得られた成形片に対し、外観(熱老化後外観)、機械物性(衝撃強度)、摺動性(摩擦係数)、および耐摩耗性(比摩耗量、限界PV値)を評価した。結果を表3に示す。
実施例1にて得られたマスターバッチ粒子ペレット(MB)を使用しなかったこと以外は実施例6と同様に行い、得られた成形片に対し、外観(熱老化後外観)、機械物性(衝撃強度)、摺動性(摩擦係数)、および耐摩耗性(比摩耗量、限界PV値)を評価した。結果を表3に示す。
実施例1にて得られたマスターバッチ粒子(MB)3質量部の代わりにMB−R1を3質量部使用したこと以外は実施例6と同様に行い、得られた成形片に対し、外観(熱老化後外観)、機械物性(衝撃強度)、摺動性(摩擦係数)、および耐摩耗性(比摩耗量、限界PV値)を評価した。結果を表3に示す。
比較例7では、プランジャー型定量ポンプを用い100℃に加熱した重合体1およびPAを表3に示す質量比率にて、上記押し出し機のベント口より定量フィードすることにより、PAペレットを作製した。得られたペレットを射出成形により成形片を作成し、得られた成形体に対し、外観(熱老化後外観)、機械物性(衝撃強度)、摺動性(摩擦係数)、および耐摩耗性(比摩耗量、限界PV値)を評価した。結果を表3に示す。
重合体1 2質量部の代わりに鉱物油を2質量部使用したこと以外は比較例7と同様に行い、得られた成形片に対し、外観(熱老化後外観)、機械物性(衝撃強度)、摺動性(摩擦係数)、および耐摩耗性(比摩耗量、限界PV値)を評価した。結果を表3に示す。
表2、3においてPA、PET、MB、MB−R1、重合体1および鉱物油について示した数値は質量部を示す。
Claims (6)
- (a)ビニル芳香族化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロックおよび共役ジエン化合物から導かれる構造単位を主体とする重合体ブロックを含有するブロック共重合体又はその水素添加物と、該(a)成分100質量部に対し、以下の(b1)〜(b3)の特徴を有する(b)エチレン・α−オレフィン共重合体70〜150質量部とを含有する、平均粒径が100μm〜1,000μmであるマスターバッチ粒子。
(b1)100℃における動粘度が10〜5,000mm2/sであること
(b2)エチレンから導かれる構造単位の含有率が30〜85mol%の範囲にあること
(b3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算により得られた分子量において、分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であること - 前記(a)成分が、前記ブロック共重合体の水素添加物である請求項1に記載のマスターバッチ粒子。
- 前記(b)エチレン・α−オレフィン共重合体の100℃における動粘度が500〜3,000mm2/sである請求項1または請求項2に記載のマスターバッチ粒子。
- 前記(b)エチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンがプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載のマスターバッチ粒子。
- 前記共役ジエン化合物がブタジエンである請求項1〜4のいずれかに記載のマスターバッチ粒子。
- ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂およびポリカーボネート樹脂のいずれかの樹脂と、該樹脂100質量部に対し、請求項1〜5のいずれかに記載のマスターバッチ粒子0.5〜10質量部とを含んでなる成形体。
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