JP2019150012A - こんにゃく粉末及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】こんにゃく原料粉末に対して不溶性食物繊維の含有割合が増加しており、紛体の状態での食物繊維の直接摂取や食品への配合に有用な、こんにゃく粉末の製造方法を提供すること。【解決手段】こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液を、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子が粒子としての形態を維持した状態で混合して混合物を調製し、混合物中で、粉末粒子に供給したアルカリ金属溶液の作用により不溶性食物繊維を生成させて、こんにゃく粉末を得る。【選択図】なし

Description

本発明は、こんにゃく粉末に含まれる粉末粒子における水溶性食物繊維を不溶性食物繊維に転換し、これらの割合を変えたこんにゃく粉末の製造方法に関する。
こんにゃくは、乾燥こんにゃく芋を粉砕して精製したこんにゃく精粉を水に溶解してこんにゃく糊とし、一般的には消石灰(水酸化カルシウム粉末)を水に分散させた懸濁液をこんにゃく糊に添加混合して良く練り込んだ後に成型して加熱凝固させる方法により製造されている。
こんにゃくは、古くから日本を始め、中国や東南アジアの一部地域で食されてきたが、近年の健康食ブームで不溶性食物繊維含有食品として脚光を浴びている。
こんにゃく芋の主要成分は水溶性のグルコマンナンであり、水に溶解すると糊状のゾルとなるが、アルカリ条件下で加熱すると不溶性となりゲル化し、水を抱き込んでこんにゃくとなる。こんにゃく製造に使用されるアルカリ凝固剤は、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが主体である。この時の反応は、水溶性グルコマンナン(水溶性食物繊維)中のアセチル基が、アルカリ条件下で外れることによりゲル化(不溶性食物繊維への転換)が起こるとされている。
不溶性食物繊維の含有割合を高めたこんにゃく加工製品としては、こんにゃくを乾燥後製粉して得られるこんにゃくパウダーが知られている。特許文献1には、水分を含むこんにゃくを挽肉状に破砕後、水洗によるあく抜き、脱水を経て得られるこんにゃくペーストを、乾燥して、精粉機でパウダー化するこんにゃくパウダーの製造方法が開示されている。
特許文献2には、こんにゃく粒の膨潤を抑制した状態で、こんにゃく粉がアルカリ溶液とともに加熱処理されて改質された改質こんにゃく粉であって、水に分散して分散液とした後に加熱処理又は撹拌処理されるとゲル化するように調製されていることを特徴とする改質こんにゃく粉が開示されている。
特開平4−99453号公報 特開2011−72304号公報
特許文献1に代表される従来技術によるこんにゃくの不溶性食物繊維粉末は、不溶性食物繊維含有量が高く、水分を多く含むこんにゃくに比べて取扱い性が格段によく、不溶性食物繊維摂取用の食品として非常に優れた製品である。しかしながら、従来技術によるこんにゃく粉末に含まれる粉末粒子は吸水性が低く、或いは吸水性を持たず、そのまま摂取した際の食感が独特であり、用途が限定される場合があった。
特許文献1では、原料であるこんにゃく粉を水に溶解し(一般的に3質量%濃度)、所謂こんにゃく糊を調製した後にアルカリを加え、加熱してこんにゃくを得る。これを湿式で破砕し、水洗によるあく抜きと脱水を経て、得られるこんにゃくファイバー区分を乾燥後、粉砕してパウダー化する。これにより不溶性食物繊維の含有量の高いこんにゃくパウダーを得ることができる。しかしながら、特許文献1の方法では、製造工程数が増加し、また、製造工程も複雑となり、製造の効率化を図ることが難しい。
従って、従来技術によるこんにゃく粉末の製造では、水分を多量に含むこんにゃく糊の調製に始まり、アルカリ添加、成型、加熱、冷却、細断、脱水、乾燥及び粉末化の多くの工程が必須であり、また、こんにゃく糊に対するこんにゃく粉の収率(質量基準)も低く、こんにゃく粉末の製造効率を上げることには限界があった。
特許文献2には、原料であるこんにゃく粉にアルカリ溶液を加え、あるいは、アルカリ溶液とエタノール等の膨潤抑制剤を加えて加熱処理を施すことによる改質こんにゃく粉の製造方法が開示されている。この製造方法では、原料であるこんにゃく粉の紛体の状態を維持してアルカリ溶液での処理が行われる。この改質こんにゃく粉を水に分散させて加熱処理を行えば、そのままゲル化する。
特許文献2に開示される改質こんにゃく粉はゲル化能を有し、ゲル化剤として利用される。従って、この改質こんにゃく粉は不溶性食物繊維を含むこんにゃく粉を、ゲルを形成することなく紛体の状態で利用する用途に適した物性を有していない。
本発明の目的は、こんにゃく原料粉末に対して不溶性食物繊維の含有割合が飛躍的に増加しており、紛体の状態での水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の直接摂取や食品への配合に有用な、こんにゃく粉末の製造方法を提供することにある。
本発明にかかるこんにゃく粉末の製造方法は、
こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液を混合して、該こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子に該アルカリ金属溶液を供給する混合工程と、
前記アルカリ金属溶液が供給された粉末粒子において該アルカリ金属溶液の作用により不溶性食物繊維を形成してこんにゃく粉末を得る不溶性食物繊維形成工程と、を有し、
前記混合工程及び前記不溶性食物繊維形成工程が、前記粉末粒子の粒子としての形態が維持された状態で行われる
ことを特徴とする。
本発明によれば、原料であるこんにゃく粉に、アルカリ金属溶液を添加して、こんにゃく粉の粉末粒子の粒子としての形態を維持しつつ、これらを混合し、粉末粒子の表面及びその内部に供給されたアルカリ金属溶液の作用により生成する不溶性食物繊維の含有量を増加させたゲル化能を有していない粉末粒子を含むこんにゃく粉末を得ることができる。
こんにゃく粉末に含まれる水溶性食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合は、アルカリ金属溶液とこんにゃく原料粉末との反応条件を選択することによって制御することができる。
本発明の方法によれば、グルコマンナンからの不溶性食物繊維の形成によって、こんにゃく原料粉末が有していたゲル化能が失われる。すなわち、水溶性食物繊維として含まれるグルコマンナンの不溶性食物繊維への変換は、こんにゃく原料粉末が有していたゲル化能が消失するように行われる。こんにゃく粉末がゲル化能を消失したかどうか、すなわち非ゲル形成性となったかどうかについては、後述するこんにゃく粉末の分散液の粘度を測定する方法等によって確認することができる。
ゲル化能を持たないこんにゃく粉末の乾物当たりの全食物繊維に対する不溶性食物繊維の含量を50質量%以上とすることが好ましい。乾物当たりの不溶性食物繊維含量の上限は特に限定されないが、乾物当たりの全食物繊維に対する不溶性食物繊維含量は、100質量%未満、あるいは99質量%以下とすることができる。
更に、本発明にかかるこんにゃく粉末の製造方法では、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子の粒子形態を維持した状態で、アルカリ金属溶液を作用させて、目的とするこんにゃく粉末を直接得ることができる。従って、本発明にかかるこんにゃく粉末の製造方法では、従来技術における、こんにゃく糊を調製する工程、こんにゃく糊をアルカリ凝固剤の添加及び加熱によりゲル化する工程、水分を含むこんにゃく塊の細断、脱水、乾燥、粉末化を行う工程を省略して、極めて効率よく全食物繊維に対して不溶性食物繊維を50質量%以上含むこんにゃく粉末を製造することができる。
本発明にかかるこんにゃく粉末は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を含み、水に不溶性であり、かつ水への分散性、抱水性(膨潤性)に優れ、紛体の形態でのそのままでの利用や、あるいは飲料や食品中への添加による飲料や食品中での水溶性食物繊維と不溶性食物繊維混合形態としての利用が可能である。
先に述べた特許文献1に代表される従来技術によるこんにゃくの不溶性食物繊維粉末における技術課題を解決するために、本発明者らは、こんにゃく粉末の製造方法について鋭意検討した。その結果、こんにゃく原料粉末中のグルコマンナン(水溶性食物繊維)を水に溶解することなく、粉末粒子中に閉じ込めた状態を維持して、水溶性の食物繊維から不溶性の食物繊維を形成することが可能で、その割合を自由にコントロールできるのであれば、広範な用途に利用可能で、且つ製造効率の良いこんにゃく粉末を提供できるとの結論を得た。
すなわち、精粉こんにゃく中の食物繊維含量は、2015年版日本食品標準成分表(文部科学省、化学技術・学術審議会、資源調査分科会編集)によれば、水溶性食物繊維が0.1%、不溶性食物繊維が2.1%であるが、上記食品標準成分表によると、原料であるこんにゃく精粉では、水溶性食物繊維が73.3%、不溶性食物繊維が6.6%となっている。従って、こんにゃくの不溶性食物繊維をより積極的に、更には、これまで以上に幅広く活用するためには、不溶性食物繊維の含有率が2.1%のこんにゃくから不溶性食物繊維を取り出すのではなく、原料であるこんにゃく精粉中の水溶性食物繊維を、直接不溶性食物繊維に転換させることが肝要である。
一方、特許文献2には、こんにゃく粉をアルカリ溶液とともに加熱処理を施すことで改質し、これを水に分散させて加熱処理を行えば、そのままゲル化することが記載されている。特許文献2で目的とするところは、こんにゃく粉を水に分散させ、糊状とした後にアルカリを混合して加熱処理を行ってゲル化させるという通常の手順を踏むことなく、改質こんにゃく粉から簡単に加熱ゲルが得られるという点にある。しかしながら、特許文献2に開示される方法では、改質こんにゃく粉中の水溶性食物繊維であるグルコマンナンの一部が不溶性食物繊維へ転換している可能性はあるが、飽く迄も全体としてゲル化能を残しているということが、大前提となっている。
本発明者らの検討によれば、アルカリ剤で処理したこんにゃく粉末において、プロスキー変法により測定されるこんにゃく粉中の不溶性食物繊維の含量が、全食物繊維含量に対して40質量%以上となると、ゲル化能は無くなるということが明らかとなった。
すなわち、2015年版日本食品標準成分表によれば、こんにゃく精粉中には不溶性食物繊維が6.6%含有され、水溶性食物繊維が73.3%含有されるので、水溶性食物繊維の少なくとも35%以上を、直接的に不溶性食物繊維に変換させることで、こんにゃく精粉中の全食物繊維に対しての不溶性食物繊維の割合を40質量%以上とすることができ、ゲル化しないこんにゃく粉となるのである。従って、特許文献2では、原料であるこんにゃく粉中の水溶性のグルコマンナンの35質量%以上を、不溶性食物繊維とすることは想定されていないと言えるのである。
また、特許文献1及び2には、こんにゃくパウダーの各粒子に含まれる水溶性食物繊維と不溶性食物繊維との割合を制御する点についての記載や示唆は無い。
本発明者らは既に、糖水酸化カルシウム水溶液を用いて、水溶性こんにゃく粉を水に溶解して糊状とすること無く、粉末状態で不溶性こんにゃく粉に転換する新しい製造技術を開発した。この製造技術では、糖水酸化カルシウム水溶液をこんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子に直接吸収させて、粉末粒子中で水溶性食物繊維であるグルコマンナンの不溶化を行う。
糖水酸化カルシウム水溶液は、水溶性こんにゃく粉との反応が穏やかであると同時に、添加する水酸化カルシウム濃度を、低濃度から、水酸化カルシウム単独では達成し得ない高濃度まで容易にコントロールでき、不溶性食物繊維への転換において、定量的で再現性の高い反応が担保されるという大きなメリットを有している。
本発明者らは、こんにゃく原料粉末中の不溶性食物繊維の含有量を増加させるためのアルカリ剤として、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物ではなく、ナトリウム化合物、カリウム化合物等のアルカリ金属化合物を成分とする、より簡単な組成のアルカリ剤について検討を行った。その結果、ナトリウム化合物、カリウム化合物は水溶性食物繊維との反応性が極めて高く、原料であるこんにゃく粉末の純度が低い場合にも対応でき、幅広い応用が可能であるとの新たな知見が得られた。この様に、ナトリウム化合物、カリウム化合物等のアルカリ金属化合物を用いる方法もまた、水溶性こんにゃく粉を水に溶解して糊状とすること無く、粉末粒子の状態で、不溶性こんにゃく粉に転換するのに有効な方法であることが見出された。
特に、上述の日本食品標準成分表に記載されている、水溶性食物繊維を73.3%、不溶性食物繊維を6.6%含有するこんにゃく精粉を原料として、0.1M〜1.0Mの水酸化ナトリウム溶液や水酸化カリウム溶液を作用させることによって、全食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合が50質量%以上であるこんにゃく粉末を得ることができる点が確認された。
本発明は、上述した本発明者らによる新たな知見に基づいて成されたものである。
本発明にかかるこんにゃく粉末の製造方法の一形態は、
(A)こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液を混合して、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子にアルカリ金属溶液を供給する混合工程と、
(B)アルカリ金属溶液が供給された粉末粒子においてアルカリ金属溶液の作用により不溶性食物繊維を形成して、ゲル化能を有さないこんにゃく粉末を得る不溶性食物繊維形成工程と、
を有する。ここで目標とする好ましい不溶性食物繊維含量は、こんにゃく粉中の全食物繊維含量に対して50質量%以上である。
従って、上記の工程(A)及び(B)は、こんにゃく粉に含まれる粉末粒子の粒子としての形態が維持された状態で、こんにゃく粉末に含まれる全食物繊維(水溶性食物繊維と不溶性食物繊維との合計)に対する不溶性食物繊維の割合(質量基準)が、こんにゃく原料の有していたゲル化能が消失するように高くなるまで行われる。全食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合は、100質量%未満、あるいは99質量%以下とすることができる。
本発明において、こんにゃく原料粉末とは、こんにゃくの製造用として、或いは、こんにゃく製造用として利用し得る水溶性のグルコマンナンを含むこんにゃく粉であり、水に溶解する。一方、アルカリ剤で処理された本発明にかかるこんにゃく粉は、こんにゃく原料粉末を上記の工程によって処理して得られるこんにゃく粉であり、不溶性食物繊維の含有量がこんにゃく原料粉末に対して絶対的に多くなっていることにより、水に溶解することは無く、かつ、ゲル化能を有しておらず、こんにゃく原料粉末と明確に区別されるものである。従って、こんにゃく原料粉末はこんにゃくの製造に用いることができるが、本発明にかかるこんにゃく粉を用いてこんにゃくや、特許文献2におけるようにゲル状食品を製造することはできない。また、特許文献1に記載されるような従来のこんにゃくパウダーに対して、本発明にかかるこんにゃく粉は、水溶性食物繊維を含む点において明確に区別される。
本発明のこんにゃく粉末の製造方法においては、先ず、こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液との混合物が調製される。この混合物の調製には、こんにゃく原料粉末にアルカリ金属溶液を添加して、攪拌により混合する方法を好ましく用いることができる。こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液との混合には、公知の攪拌混合機を用いることができる。
更に、こんにゃく原料粉末へのアルカリ金属溶液の添加混合時において、粉末粒子の粒子としての形態を維持するには、アルカリ金属溶液を吸収して粒子と粒子が集まり結着して部分的に形成された硬い集合体を攪拌などによりほぐし、粒子をバラバラにする方法を好ましく用いることができる。さらには、原料こんにゃく粉に対して2倍量以上のアルカリ金属溶液を添加混合すると、強い攪拌などによってもほぐすことができず、集合体を形成したスポンジ様の状態が生ずるが、これを乾燥後に撹拌等により粒子をバラバラにしても良い。尚、集合体を形成した状態のまま、あるいは乾燥工程を経て、含水アルコールで洗浄、さらには、酸により中和して、脱水、乾燥後に強い攪拌などによって粒子をバラバラにすることも可能である。すなわち、アルカリ金属溶液が、こんにゃく原料粉末の一粒、一粒に均一に吸収される様にアルカリ金属溶液を添加混合することが好ましい。
本発明のポイントは、こんにゃく原料粉末中にアルカリ金属化合物を如何に浸透させるかにあり、原料粉末に添加したアルカリ金属溶液が、完全に吸収されて個々の粉末粒子をバラバラに離れた状態とすることが重要である。
こんにゃく原料粉末としては、アルカリ金属溶液を用いる処理によって目的とするこんにゃく粉末を得ることができるものであれば特に制限なく利用できる。こんにゃく原料粉末としては、例えば、通常用いられる特等粉、一等粉、或いは、ティマックマンナン(オリヒロ(株)製)等のこんにゃく精粉を用いることができる。
こんにゃく原料粉末に添加するアルカリ金属溶液に含まれるアルカリ金属化合物としては、ナトリウム化合物及びカリウム化合物が好ましく、これらの少なくとも1種を用いることができる。ナトリウム化合物としては、水酸化ナトリウム;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸ニナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等のナトリウムの無機塩;クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等のナトリウムの有機塩;などを挙げることができる。カリウム化合物としては、水酸化カリウム;炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、メタリン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸四カリウムなどのピロリン酸カリウム等のカリウムの無機塩;クエン酸三カリウム等のカリウムの有機塩;などを挙げることができる。
これらの中では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸ナトリウムが好ましく、これら化合物を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
アルカリ金属化合物の2種以上を組み合わせて用いる場合には、これらの2種以上を含む溶液を用意してこんにゃく原料粉末との混合工程に用いることができる。また、これらの2種以上のそれぞれの溶液を用意して、こんにゃく原料粉末との混合工程に用いることができる。
アルカリ金属溶液はアルカリ金属化合物とその溶解用の液媒体を含む。液媒体としては、食品製造用として利用し得る水を用いることができる。アルカリ金属溶液としては、アルカリ金属化合物の水溶液が好ましい。また、アルカリ金属溶液は、糖やアルコール等の成分を含まず、水とアルカリ金属化合物とからなり、アルカリ成分としてアルカリ金属化合物を単一成分とする、すなわちアルカリ成分がアルカリ金属化合物からなる水溶液が好ましい。
アルカリ金属溶液中のアルカリ金属化合物の濃度は特に限定されず、こんにゃく原料粉末に含まれる水溶性食物繊維の不溶性食物繊維への目的とする変換率が得られるように設定される。アルカリ金属溶液中のアルカリ金属化合物の濃度は、0.1M〜5.0Mの範囲から選択することが出来るが、0.2M〜3.0Mの範囲から選択することが好ましく、0.4M〜2.0Mの範囲から選択することがより好ましく、0.4M〜1.0Mの範囲から選択することが更に好ましい。
更に、アルカリ金属溶液のpHも、こんにゃく原料粉末に含まれる水溶性食物繊維の不溶性食物繊維への目的とする変換率が得られるように設定されれば特に限定されないが、例えば11.0〜14.0の範囲から選択することが好ましい。
こんにゃく原料粉末へのアルカリ金属溶液の添加量は、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子が粒子としての形態を維持することができ、かつ、こんにゃく原料粉末に含まれるグルコマンナンの不溶性食物繊維への目的とする変換割合が達成できる範囲から選択すればよい。
アルカリ金属溶液に含まれるアルカリ金属化合物の濃度や、アルカリ金属溶液からこんにゃく原料粉末に供給される水分量に基づいて、こんにゃく原料粉末へのアルカリ金属溶液の添加量を選択することが好ましい。
本発明者らが検討した結果、アルカリ金属溶液の添加を、こんにゃく原料粉末の量に対して好ましくは0.5〜10倍量、より好ましくは0.5〜5倍量、さらに好ましくは0.5〜1.5倍量(質量基準)とすることで、粉末粒子の形態を維持させつつアルカリ金属溶液を粉末粒子に吸収させることが可能であることが明らかとなった。
混合工程により得られた混合物を、必要に応じて撹拌しつつ、或いは静置により、不溶性食物繊維形成に必要な時間保持する不溶性食物繊維形成工程を行って、不溶性食物繊維の生成を進行させ、不溶性食物繊維の割合を増加させたこんにゃく粉末を得ることが好ましい。
不溶性食物繊維形成工程においては、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子にアルカリ金属溶液が供給され、粉末粒子内、すなわち、粉末粒子の表面及び内部の少なくとも一部において水溶性グルコマンナンから不溶性食物繊維が形成される。
混合工程と不溶性食物繊維形成工程は、一部を重複させて、あるいは同時に行うことができる。
混合工程において原料粉末にアルカリ金属化合物を添加吸収させる時に、適度に加温することはグルコマンナンの不溶性食物繊維への変換を促進する上で好ましい。加温を行う場合の温度は特に限定されないが、5℃〜80℃の範囲、好ましくは30℃〜60℃の範囲から選択することが好ましい。その後、室温、または5℃〜80℃程度の適度な加温をして数時間から数日間保持することによる不溶性食物繊維形成工程を行うことによって、不溶性食物繊維への変換を促進させてもよい。
粉末粒子の粒子としての形態の維持とは、先に記載した混合工程及び不溶性食物繊維形成工程(変換工程)を含む、アルカリ金属溶液での処理工程を通して、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子が、粒子の外形形状や大きさの変化の有無にかかわらず、その一次粒子の状態を維持していることを意味し、アルカリ金属溶液の粉末粒子内への浸透による粉末粒子の膨潤や、水分等の粉末粒子外への放出による粉末粒子の収縮、あるいは粒子外形や大きさの変化が生じる場合を含んでもよい。
本発明にかかる製造方法においては、こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液との混合工程及び粉末粒子内での不溶性食物繊維の形成工程において、こんにゃく原料粉末が粉末の状態で加工されてこんにゃく粉末となり、その間において粉末粒子の粒子としての形状が維持される。
グルコマンナンがアルカリ金属溶液と接触すると、アルカリ金属化合物の作用により糖鎖高分子が多数の架橋点を介して結合した水不溶性の構造、すなわち不溶性食物繊維を形成するものと推定される。この水不溶性の構造の形成は、アルカリ金属溶液の粉末粒子の表面から内部への浸透に伴って、粉末粒子の表層から中央部へ向かって進行するものと考えられる。従って、こんにゃく原料粉末にアルカリ金属溶液を作用させる際の条件を変更することによって、こんにゃく粉末粒子中に含まれる食物繊維における水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合を変更することができる。
また、最初に形成されると推定される粉末粒子の表層の網目状構造は、通水性を有し、表層に網目構造が形成された状態でも、アルカリ金属溶液の粉末粒子内への浸透が妨げられることがないと考えられる。更に、粉末粒子の表層に水不溶性の網目状構造が形成されることによって、アルカリ金属溶液を用いた処理工程全体を通して、各粉末粒子は独立して粒子形状を維持することが可能であり、例え各粒子間での粘着や癒着が一時的に起きたとしても、これを適宜ほぐして各粒子を夫々バラバラにすることによって、その後の各粒子間での粘着や癒着を抑えた、各粒子の分散性のよい粉末を得ることができる。
また、粉末粒子の表層及び内部にグルコマンナンの架橋ゲルからなる網目状の構造が形成されることによって、粉末粒子は吸水性を有し、かつ吸水した水を保持する保水性を有する。これにより粉末粒子に良好な食感を付与可能であり、また、飲料や食品に添加する際に飲料や食品と馴染みやすく、これらの食感や風味を損なうことがない。
目的とするグルコマンナンの不溶性食物繊維への変換が達成された段階で、不溶性食物繊維形成工程を終了する。目的とするこんにゃく粉末が得られたかどうかについては、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の含有量及びこれらの含有比の測定結果、粘度の測定値、水や温水での分散状態の観察等を用いて確認することができる。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の含有量比を用いて不溶性食物繊維形成工程の終了時期を設定する場合は、各種の処理条件で得られたこんにゃく粉の水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の含有量比を測定し、目的とする含有比を得ることができる処理条件を予め選択しておき、選択された処理条件でこんにゃく原料粉末を処理する方法を用いることができる。
アルカリ金属溶液での処理工程中のこんにゃく粉末から試験用の試料をサンプリングし、その水分散液の粘度を測定することにより、さらには水分散液中での分散状態を観察して、不溶性食物繊維形成工程の終了時期を確認することもできる。全食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合が増加してゲル化能が失われると、こんにゃく粉は水分散液中で溶解せずに粒子の状態を保持し、また、水分散液の粘度は一定で増加しない。例えば、後述する実験例及び実施例に示されるとおり、ゲル化能を持たないこんにゃく粉末の所定濃度の水分散液では、200mPa・s以下の低粘度の状態が維持される。このように、低粘度状態が維持されることをゲル化能の消失の指標として利用することができる。更に、ゲル化能の消失の指標に用いる全食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合としては、50質量%以上を好ましく用いることができる。
こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液の混合物は、アルカリ金属溶液での処理工程中及び終了時は湿潤粉末としての状態を維持する。こうして得られた湿潤粉末または湿潤粉末を乾燥して得られる乾燥粉末に対して、洗浄工程及び乾燥工程を必要に応じて追加してもよい。洗浄工程をアルカリ金属溶液の作用を停止させる工程終了用の工程として利用してもよい。また、洗浄工程、乾燥工程及び後述する中和工程の少なくも一つの工程中に、あるいは、これらの工程の少なくとも一つの工程後に、粉末粒子の分散性を向上させる、あるいは粉末粒子の粒径を下げる粉砕処理(微粉砕処理を含む)を追加してもよい。この粉砕処理は目的とする粉砕処理効果が得られる処理であれば特に限定されず、この粉砕処理には公知の粉砕処理方法を用いることができる。例えば、粉砕処理には、乾式粉砕処理、湿式粉砕処理及び湿式加圧処理の少なくとも1つ、或いは複数の方式を組み合わせて利用することができるが、最も重視すべきは最終的に抱水能を有するこんにゃく粉末とするために粒子径を調整することである。
原料粉末の粉末粒子の粒子としての形態が維持された状態で水溶性食物繊維の一部を不溶性食物繊維に変換して得られたこんにゃく粉末では、各粉末粒子の外殻部に主に不溶性食物繊維が含まれ、その内部に主に水溶性食物繊維が含まれていると考えられる。
この粉末粒子に対して粒径を下げる粉砕処理を行うと、粉末粒子にへき開に似たような破砕が生じ、半球状、薄片状、球形の一部が破壊された形状などの形状の粒径が減少した破砕物としての粒子が生じる。すなわち、粉末粒子の不溶性食物繊維を含む外殻部分が部分的に削られたり、分割されて粉末粒子粒径が小さくなる。このような粉砕処理による粉砕物、すなわちアルカリ剤でこんにゃく原料粉中の水溶性食物繊維の一部を、粉末の形状を維持しつつアルカリ剤により不溶性食物繊維に変換したこんにゃく粉の粉砕物では、粉砕前の粉末粒子内部にある水溶性食物繊維を含む部分が露出し易くなり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をより効果的に利用可能なこんにゃく粉末にすることができる、と考えられる。かかる粉砕処理を経た粉末粒子は、水溶性繊維と不溶性繊維の両方の性質や機能を利用する上で更に好ましい形態である。
かかる粉砕処理後のこんにゃく粉末では、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の機能を効果的に利用することで、吸水性による抱水能(膨潤性)と、水中で複数の粉末粒子が弱い結合力で会合する会合特性を獲得する。これらの性質は、粉砕前の紛体粒子にはみられない、あるいは粉砕前の紛体粒子よりも強いものであり、粒度分布に加えて、水中でのこれらの性質にかかる挙動を観察することによっても、粉砕前と粉砕後の粉末粒子を区別することができる。
粉砕処理前の粉末粒子の粒径は、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子の粒径に基づき、こんにゃく原料粉末の種類によって変わるが、通常、粒度分布の体積累積における中央値(D50値;メジアン径とも呼ばれ、d50とも標記される)は300μm〜400μmにある。上記の抱水能(膨潤性)と会合性を得るには、粉砕前の中央値を粉砕により小さくするように粉砕処理条件を設定する。
粉砕後の粉末の粒度分布における中央値としては、120μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、30μm以上100μm未満の範囲が更に好ましい。また、粉砕処理後のこんにゃく粉末は、粒径が1μm〜300μmの範囲にある粉末粒子を含むことが好ましいが、300μm以上の粒径のこんにゃく粉末が混入していても差支えない。
D50値は、紛体の粒度分布から算出され、紛体の粒度分布は公知の方法により求めることができる。上記のD50値は、レーザー回折・散乱法により得られた粒度分布から算出した。レーザー回折・散乱法による粒度分布の測定は、マイクロトラック・ベル社のMT3300シリーズ(LOW-WET)を用いた粒子径分布測定装置により行った。
本発明者の検討によれば、胃内の酸性条件を模倣した崩壊試験第1液(pH1.2)の酸水溶液中(35℃)において撹拌することによっても、前述した粉砕処理後の粉末粒子が膨潤して会合することによって抱水(保水)して体積膨張した塊を形成することが判明した。この塊は、強く振盪することによって適度に崩れて酸水溶液中に小塊となり、さらには各粉末粒子が分散することも判明した。更に、粒度分布の中央値が100μm以下となっている粉末粒子の酸水溶液中での会合状態を、食物繊維の代表である生キャベツを歯で噛み砕いて粉砕した場合の状態を模倣した生キャベツの磨砕ペースト(pH1.6に調整)と比較すると、キャベツの粉砕物の細胞の大きさに相当する粒径の粉末粒子が、キャベツの粉砕断片に見られる細胞集合体の構造に類似する形態で会合していることが判明した。
以上の新たな本発明者の知見から、粉砕処理後の粉末粒子の水溶性食物繊維と不溶性食物繊維との割合を、例えばキャベツに近い範囲(水溶性食物繊維0.4%に対して不溶性食物繊維1.4%;日本食品標準成分表2015年版参照)は元より、他の野菜と比較してそれぞれのレベルに近い範囲とすることで、生キャベツ等の食物繊維を含む野菜と同じ生理的機能、すなわち食物繊維本来の物理化学的特性である抱水能(water holding capacity)を有することが可能であるということが明確となった。従って、本発明にかかる粉末粒子によれば、野菜の食物繊維本来の生理的機能である便秘解消や便秘予防効果が得られることは明らかである(日本食品工業学会誌、Vol. 37, No. 11, 916〜933 (1990) 参照)、しかも、粉砕処理後の粉末の吸水性が向上しており、胃を含む消化器系内での水分の吸収による膨潤までの時間を短縮して、より短時間での生理的機能が発揮されることが期待できる。
更に、粉砕処理後のこんにゃく粉末においても、粉砕前のこんにゃく粉と同様に、粉末粒子中の全食物繊維の割合を、少なくとも80質量%以上、さらには90質量%以上に調整することができ、かつ、キャベツを含む繊維質野菜における割合を含む水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合に調整することによって、以下のような効果を得ることができる。
(1)生キャベツにおける水分及び食物繊維の含有割合は、日本食品標準成分表2015年版によれば、水分92.7%、水溶性食物繊維0.4%、不溶性食物繊維1.4%である。例えば、歯で噛み砕いた状態を模倣した生キャベツ60g分(食物繊維量1.1g)の粉砕物の体積と、同等の体積の水を抱き込んで膨潤した粉末の塊を得る上で必要とされる粉砕後のこんにゃく粉末の量を2g程度とすることができ、しかもこのような少量でも、1.8g程度の食物繊維の摂取が可能となる。
(2)一日当たりの食物繊維の摂取量を3〜8g前後に設定した場合、生キャベツは水分量が多く、この摂取量を達成するには、160g〜400gと比較的大量の生キャベツが必要となるが、粉砕後のこんにゃく粉末の食物繊維含有量は生キャベツと比較すると格段に高く、かかる摂取量を容易に達成することが可能となる。
(3)生キャベツの総食物繊維量に対しての水溶性食物繊維の割合は22%、不溶性食物繊維の割合は78%であるが、生野菜の水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合や、これらの合計の含有割合に関して変動もあり、安定した品質の野菜を常時入手することが難しい場合がある。これに対して、粉砕後のこんにゃく粉末では、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合や、これらの合計の含有割合が安定した製品とすることができ、定量的な食物繊維の摂取を保障することができる。例えば、カプセルタイプとして携帯すれば、常に食前に服用できるという大きなメリットを有することになるのである。
(4)生野菜は、常温における長期保存ができず、常に新鮮な生野菜を入手する必要がある。これに対して、粉砕後のこんにゃく粉末は、乾燥品であり、保存安定性も高く、長期保存や安定供給が可能となる。
以上の点から、定量的な食物繊維の摂取を日常的に継続する上で粉砕後のこんにゃく粉末は好ましい特性を有している。
上述した効果を得る上で、粉砕後のこんにゃく粉末の食物繊維の割合は、50質量%〜98質量%の範囲とすることが好ましい。更に、繊維質野菜と同等の水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合とするには、全食物繊維に対して水溶性食物繊維を1質量%〜60質量%の範囲とすることが好ましく、2質量%〜50質量%の範囲とすることがより好ましく、不溶性食物繊維を40質量%〜99質量%の範囲とすることが好ましく、50質量%〜98質量%とすることがより好ましい。
粉砕後のこんにゃく粉末は、吸水性が高く、膨潤して水中に分散し、容易に沈殿しないという特性を有し、食物繊維強化のための液体食品への添加や、液中での分散状態での食物繊維強化のための食品製造における使用において好適に利用することができる。更に、サプリメント等の機能性食品や特定保健用食品等の食品組成物の食物繊維成分として好適に利用することができる。
粉砕後のこんにゃく粉の膨潤性は、粉砕において目標とする粒度及び粒度分布やアルカリ剤の種類、アルカリ剤での処理条件等によって制御することができる。これらの点から、アルカリ剤としてカリウム化合物、好ましくは水酸化カリウムを用いることがより好ましい。また、アルカリ剤としてカリウム化合物を用いることで、食物繊維に加えてカリウム摂取用としてこんにゃく粉末を利用することもできる。
こんにゃく粉末の洗浄用の洗浄剤としては、グルコマンナンの不溶性食物繊維への変換に利用されなかった余りのアルカリ金属化合物をこんにゃく粉末から洗浄除去、すなわち脱アルカリ処理できる洗浄剤であれば、制限なく利用できる。洗浄剤としては、例えば、10〜50質量%のエタノール等の揮発性アルコールを含むアルコール含有水が好ましい。
洗浄工程中、または後に、酸を用いた中和工程を必要に応じて追加してもよい。中和に用いる酸としては、食品に使用される酸性化剤の酸成分として用いられているものが好ましい。このような酸としては、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸類、または、塩酸、リン酸、リン酸塩等の無機酸類等を挙げることができる。酸は、粉末や粒子状で洗浄液に添加するか、または水溶液として中和処理に用いることができ、酸の濃度は、目的とする中和効果が得られるように選択する。例えば、1〜10質量%の酸濃度の水溶液を好ましく用いることができる。
乾燥工程は、目的とするこんにゃく粉末の水分含量に応じた条件で行うことができ、公知の粉末乾燥装置を用いて行うことができる。乾燥工程後のこんにゃく粉末の水分含量は、例えば、10質量%以下、好ましくは2〜8質量%の範囲とすることができる。
洗浄工程及び乾燥工程を有する製造方法の一形態は以下の各工程を有することができる。
(A)こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液を混合して、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子にアルカリ金属溶液を供給する混合工程。
(B)アルカリ金属溶液が供給された粉末粒子においてアルカリ金属溶液の作用により不溶性食物繊維を形成してこんにゃく粉末を得る不溶性食物繊維形成工程。
(C)前記こんにゃく粉末を洗浄する洗浄工程。
(D)前記洗浄工程を経たこんにゃく粉末を乾燥する乾燥工程。
また、洗浄工程、中和工程及び乾燥工程を有する製造方法の一形態は以下の各工程を有することができる。
(A)こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液を混合して、こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子にアルカリ金属溶液を供給する混合工程。
(B)アルカリ金属溶液が供給された粉末粒子においてアルカリ金属溶液の作用により不溶性食物繊維を形成してこんにゃく粉末を得る不溶性食物繊維形成工程。
(C)前記こんにゃく粉末を洗浄する洗浄工程。
(C’)前記洗浄工程中に中和するか、或いは洗浄工程を経たこんにゃく粉末を中和する中和工程。
(D)前記中和工程を経たこんにゃく粉末を乾燥する乾燥工程。
上記の工程(A)及び(B)は、先に述べた通り、こんにゃく粉に含まれる粉末粒子の粒子としての形態が維持された状態で、こんにゃく原料粉末のゲル化能が消失するまで行われる。
こうして得られたこんにゃく粉末は、食品添加物原料、或いは、健康食品原料として使用することができる。
特に、本発明にかかるこんにゃく粉は、水を含む液体に対する分散性が向上しており、例えば、飲料水、清涼飲料水、各種ドリンク剤、各種スープ等の飲料、または液体食品へ添加した際に、不溶性食物繊維を主として含む粒子が飲料または液体食品中に速やかに広がり、かつ分散状態を長い時間保つことができる。更に、分散した不溶性食物繊維を主として含む粒子は飲料または液体食品の喉越しを阻害せず、むしろ喉越しを改善する効果を得ることができる。従って、こんにゃく粉は飲料や液体食品による水溶性繊維及び不溶性食物繊維の手軽な摂取に好適に利用でき、更には、菓子、パン、麺類等に混和させる場合にも好適である。
本発明にかかるこんにゃく粉の製造方法によれば、従来技術における、こんにゃく糊を調製する工程、こんにゃく糊をアルカリ凝固剤の添加及び加熱によりゲル化する工程、水分を含むこんにゃく塊の細断、乾燥、粉末化を行う工程を省略して、極めて効率よく、不溶性食物繊維の割合を増加させた、ゲル化能を有していないこんにゃく粉末を製造することができる。
水溶性食物繊維を不溶性食物繊維に変換することで、不溶性食物繊維の含有割合を増加させたこんにゃく粉末は、食物繊維強化食品そのものとして、或いは飲料や食品に対する食物繊維強化用の食品添加物や補助成分として極めて有用である。
本発明にかかる製造方法により得られるこんにゃく粉末は、サプリメント等の食物繊維強化用食品そのものとして、あるいは飲料や食品に対する食物繊維強化用の食品添加物や補助成分として極めて有用である。
本発明にかかるこんにゃく粉末を食物繊維強化用食品として利用する場合は、こんにゃく粉末をそのまま、あるいは、食品の成分として許容される担体、賦形剤、カプセル材等によって製剤化して利用することができる。こんにゃく粉末を利用した食物繊維強化用食品には、必要に応じて更に、ビタミン、タンパク質、糖質、ミネラル成分等の栄養補助成分を配合することができる。
飲料や食品に対する食品添加物や補助成分として利用する場合も、こんにゃく粉末をそのまま、あるいは、食品の成分として許容される担体、賦形剤、カプセル材等によって製剤化して利用することができる。
(実験例1)
こんにゃく精粉としては、オリヒロ(株)製、ティマックマンナン(商品名)(水分8.0質量%、食物繊維85.4質量%)を使用した。
水酸化ナトリウム(関東化学(株)製、食品添加物、純度95%)を用い、A:0.100M(pH13.0),B:0.125M(pH13.1)、C:0.150M(pH13.2)、D:0.200M(pH13.3)、E:0.300M(pH13.4)溶液の5種類を用意した。
ティマックマンナン10gに対して水酸化ナトリウム溶液15gを添加した後に、クッキングカッター(日立製作所製、型式FV−F3)を用いて均質化し、密封して60℃で30分間加温後、さらに、37℃で20時間加温した。この様にしてアルカリ濃度の異なる6種類の試験サンプルA〜Eについて、原料であるティマックマンナンを夫々200g用いて調製した。夫々原料に対して8倍量の30質量%のアルコールを加え、クエン酸溶液で中和後、脱水し、70℃で乾燥した。
夫々の乾燥粉末について、水分測定とプロスキー変法による水溶性食物繊維、不溶性食物繊維を測定した、さらに、1質量%の溶液濃度となる様に35℃の水に混合して混合物を調製し、各混合物の粘度を測定した。本粘度測定法は、こんにゃく粉(水溶性こんにゃく粉)の品質規格を定めるために一般的に採用されており、35℃の温浴中で撹拌しながら、2,3,4時間毎の粘度(東機産業株式会社製、B型粘度計)を測定し、このうちの最高値をもって判定する検査方法で、粘度が高い程良質のゲル化能を有するこんにゃく粉とするものであり、本測定法でのこんにゃく原料粉末の格付けが広く普及している。
この粘度によるこんにゃく原料粉末の品質の分類の一例では、本測定法での粘度が15,000mPa・s以上のものを特等粉、13,000mPa・s以上のものを1等粉として分類している。ティマックマンナンはこんにゃく臭であるトリメチルアミン臭を除くためのアルコール処理により、精製純度が高くなっており、こんにゃく製造用のこんにゃく粉の本測定法での粘度の規格値は16,000mPa・s以上としている。
結果を表1に示す。
Figure 2019150012
(実験例2)
原料としてティマックマンナン各100gに対して、水酸化カリウム(関東化学(株)製、食品添加物、純度85%)の0.2M溶液及び0.3M溶液を夫々個々に100g添加、混合し、クッキングカッターを用いて均質化し、2種類のアルカリ濃度の異なる試験サンプルを調整した。夫々密封して60℃で30分間加温後、さらに、25℃で20時間静置した後に75℃で水分含量10質量%以下となる様に乾燥した。これに30質量%含水アルコール800gを加え、夫々10質量%クエン酸溶液を添加してpH7.0に中和、脱水後、これを70℃で熱風乾燥した。乾燥物の水分量は0.2M水酸化カリウム溶液で調整したサンプルは4.5質量%、0.3M水酸化カリウム溶液で調整したサンプルは7.1質量%であった。
プロスキー変法による不溶性食物繊維量は、0.2M水酸化カリウム溶液で調整したサンプルが、不溶性食物繊維量は35.17質量%、水溶性食物繊維量は38.51質量%であり、全食物繊維量に対する不溶性食物繊維量は47.7質量%であった。0.3M水酸化カリウム溶液で調整したサンプルは、不溶性食物繊維量は80.0質量%、水溶性食物繊維量は7.1質量%であり、全食物繊維量に対する不溶性食物繊維量は91.8質量%であった。
尚、0.2M水酸化カリウム溶液で調整したサンプルの1質量%溶液の35℃、2,3,4時間毎の粘度を測定したところ、最高値は160.4mPa・sであった。また、0.3M水酸化カリウム溶液で調整したサンプルの1質量%溶液の35℃、2,3,4時間毎の粘度を測定したところ、最高値は4.0mPa・sであった。
(実験例3)
原料としてティマックマンナン10gに対して、無水炭酸ナトリウム(キシダ化学(株)製、食品添化物、純度99%以上)の1M溶液(pH11.7)10gを添加、混合し、クッキングカッターを用いて均質化した。密封して60℃で30分間加温後、さらに、35℃で20時間静置した。これに30質量%含水アルコール250gを加えたところ溶液のpHは10.7であった。これに10質量%クエン酸溶液を添加してpH7.0に中和し、以降は実験例1と全く同様の操作によって30質量%アルコールで洗浄、脱水後、75℃で乾燥した。乾燥物の水分量は6.5質量%、プロスキー変法による水溶性食物繊維量は3.3質量%、不溶性食物繊維量は89.7質量%であり、全食物繊維量に対する不溶性食物繊維量は96.5質量%となった。
(実験例4)
原料としてティマックマンナン10gに対して、水酸化カリウム(関東化学(株)製、食品添加物、純度85%)の0.4M溶液(pH13.7)15gを添加混合した後に、クッキングカッター(日立製作所製、型式FV−F3)を用いて均質化し、密封して60℃で30分間加温後、さらに、30℃で15時間加温した。この様にしてティマックマンナン200gを加工し、これに30質量%含水アルコール800gを加えたところ、溶液のpHは12.2であった。これに10質量%クエン酸溶液を添加してpH7.0に中和し、20分間撹拌後に静置して上澄みを廃棄した。さらに、800gの30質量%含水アルコールを加えて20分間の撹拌を行い、上澄みを廃棄する洗浄操作を2回行った後に濾布を用いて脱水し、これを70℃で熱風乾燥した。乾燥物の水分量は4.0質量%、プロスキー変法による不溶性食物繊維量は94.7質量%、水溶性食物繊維量は1.4質量%であり、全食物繊維量に対する不溶性食物繊維量は98.5質量%となった。
(実験例5)
原料としてこんにゃく粉・特等粉(オリヒロ(株)製)10gに対して水酸化ナトリウム(関東化学(株)製、食品添化物、純度95%)の0.4M溶液(pH13.5)15gを添加混合した後に、ミニスピードミル(ラボネクト(株)製、型式MS−05)を用いて均質化し、密封して60℃で30分間加温後、さらに、35℃で20時間加温した。この様にして特等粉200gを加工し、これに30質量%含水アルコール800gを加え、10質量%クエン酸溶液を添加してpH6.90とし、20分間撹拌後に静置して上澄みを廃棄した。さらに、800gの30質量%含水アルコールを加えて20分間の撹拌を行い、上澄みを廃棄した後に濾布を用いて脱水した。これを70℃で熱風乾燥し、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を、プロスキー変法により測定した。
その結果、原料である特等粉(水分8.0質量%)の水溶性食物繊維が75.6質量%、不溶性食物繊維が2.1質量%で、全食物繊維に対して不溶性食物繊維の割合が2.7質量%であるのに対して、0.4M水酸化ナトリウム溶液で処理した乾燥物(水分7.3質量%)では、水溶性食物繊維が2.7質量%、不溶性食物繊維が91.9質量%となり、全食物繊維に対して不溶性食物繊維の割合が97.1質量%となった。
本粉末は水に不溶性で、こんにゃく粉の品質の鑑定法である1質量%水分散液を用いた粘度の測定値(35℃の温浴中で撹拌しながら2,3、4時間毎の粘度をB型粘度計で測定し、この間の最高値を求める)は2.0mPa・sであった。
(実施例1)
原料としてティマックマンナン40kgをバーチカルグラニュレーター((株)パウレック製、FMVC−25型)に投入して160rpmで撹拌、品温40℃となった時点で、水酸化ナトリウム(関東化学(株)製、食品添化物)の0.4M溶液(pH13.5)40kgを40分間かけて添加混合した。品温65℃で取り出して密封、室温で20時間保持した。これを70〜80℃の雰囲気下で乾燥後、30質量%含水アルコール320kgを加えて20分間撹拌(pH10.1)後、クエン酸1,860gを添加溶解して湿式グラインダー処理を数回行った(この時点での上澄みのpHは6.98)。これを濾布濾過で脱水して75℃で熱風乾燥した後に、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を、プロスキー変法により測定した。その結果、水分含量8.0%で水溶性食物繊維が2.3質量%、不溶性食物繊維が89.7質量%で、全食物繊維に対して不溶性食物繊維の割合が97.5質量%であった。
本粉末は水に不溶性で、1質量%の水分散液を用いて35℃の温浴中で3時間撹拌した後のB型粘度計で測定した値は3.0mPa・sであった。本粉末の微粉砕処理(ホソカワミクロン(株)製、型式:ACM−15H)を行ったところ、最少粒径4μm、最大粒径296μmで、d50(メジアン径)が54μmであり、水分は4.5質量%、プロスキー変法での測定による水溶性食物繊維は15.0質量%、不溶性食物繊維は79.4質量%であった。この微粉末2gを35℃の崩壊試験第1液(0.29%塩酸溶液:pH1.2)58g中で15分間ゆっくりと撹拌したところ、水分を抱き込み会合し、56mlの容積を有する集合体となった。
(実施例2)
原料としてティマックマンナン40kgをバーチカルグラニュレーター((株)パウレック製、FMVC−25型)に投入して160rpmで撹拌、品温40℃となった時点で、水酸化カリウム(関東化学(株)製、食品添化物)の0.4M溶液(pH13.5)40kgを40分間かけて添加混合した。得られた混合物を品温65℃で取り出して密封、室温で20時間保持した後、70〜80℃の雰囲気下で乾燥し、38.9kgの乾燥物を得た。
この乾燥粉末の水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をプロスキー変法により測定したところ、水分7.3質量%、水溶性食物繊維3.6質量%、不溶性食物繊維82.1質量%であった。また、1質量%の水分散液を用いて35℃の温浴中で3時間撹拌した後のB型粘度計で測定した最大値は4.0mPa・sであった。
得られた乾燥粉末に30質量%含水アルコール320kgを加えて20分間撹拌後、クエン酸266gを添加溶解して湿式グラインダー処理を数回行った(この時点での上澄みのpHは7.2)。これを濾布濾過で脱水して75℃で熱風乾燥した。
この乾燥粉末の微粉砕処理(ホソカワミクロン(株)製、型式:ACM−15H)を行った。得られたこんにゃく粉末は、d50(メジアン径)が40μmであった。また、最少粒径は2.9μmで、最大粒径は230μmであった。この粉砕したこんにゃく粉末は水分4.1質量%、プロスキー変法での測定による水溶性食物繊維12.1質量%、不溶性食物繊維82.3質量%であった。また、1質量%の水分散液を用いて35℃の温浴中で3時間撹拌した後のB型粘度計で測定した最大値は17.5mPa・sであった。
この微粉末2gを35℃の崩壊試験第1液(0.29%塩酸溶液:pH1.2)58g中で15分間ゆっくりと撹拌したところ(60mlの容積)となった。この固形区分を実体顕微鏡で観察したところ、多数の抱水したこんにゃく粉末が会合した小塊が、さらに互いに会合して集合体が形成されており、強く振盪すると小塊となり、最終的には1個の抱水したこんにゃく粉単体となることが確認された。
この水を抱き込むことにより膨潤し、会合したこんにゃく粉の集合体から取り出した小塊(一例として長さ1100μm、幅750μmの立方体)を構成する、抱水(膨潤)した1個のこんにゃく粉粒子のサイズは、代表例ではあるが137×106μmであった。これに対して、生キャベツ(可食部)60gをフードカッター((株)チェリーテラス製bamix−M300)で、丹念にペースト状にした磨砕物の容積はほぼ60mlとなり、実体顕微鏡による磨砕ペーストの観察では、構成する細胞が立体的に配列されており、そのサイズはおおよそ均一で、長さ100〜130μm×幅100〜130μmの範囲にあった。以上の結果から、この微粉化されたこんにゃく粉は、水を吸収して生野菜の細胞に似た立体的な構造を示すことが確認された。
この微粉末は、冷水〜熱湯までの温度帯で抱水(膨潤)し、一個、一個の粉末粒子同士が会合するが、その抱水力は水温が高ければ大きく、会合に要する時間も短縮される。従って、2〜8gの本こんにゃく粉末を、毎食時温かい味噌汁、或いはスープ等に加えれば、素早く抱水して会合するので、野菜のペーストと同様の感覚で食することができる。即ち、野菜に近い水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の割合を持ち、抱水能を有した食物繊維ペーストを手軽に摂取できるのである。
また、本こんにゃく微粉末を70℃程度の液温で予め十分に抱水(膨潤)させ、果汁等の呈味と、フレーバリングを行った液状の状態とし、必要により増粘剤等で適度な粘性を持たせた後、一食当たり本こんにゃく微粉末4〜6g相当をスタンディングパウチ等の容器に詰めて殺菌することにより、何時でも野菜に近い水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の配合された食物繊維の摂取が可能となる。
本こんにゃく微粉末4gを、粉末状コーンスープ1食分(18g)に混合した後、熱湯150mlを注ぎ軽く撹拌したところ、こんにゃく粉末が抱水(膨潤)して会合し、本来1.0mm径の篩を100%通過するコーンスープが、60質量%以上が1.0mm径の篩上に残った。この結果、本来の飲むスープから食物繊維3.6g入りの食べるスープとなり、呈味もこんにゃく粉末無添加のものに比べて濃厚で、深みがあり好評であった。

Claims (18)

  1. こんにゃく粉末の製造方法であって、
    こんにゃく原料粉末とアルカリ金属溶液を混合して、該こんにゃく原料粉末に含まれる粉末粒子に該アルカリ金属溶液を供給する混合工程と、
    前記アルカリ金属溶液が供給された粉末粒子において該アルカリ金属溶液の作用により不溶性食物繊維を形成してこんにゃく粉末を得る不溶性食物繊維形成工程と、を有し、
    前記混合工程及び前記不溶性食物繊維形成工程が、前記粉末粒子の粒子としての形態が維持された状態で行われることを特徴とするこんにゃく粉末の製造方法。
  2. 前記不溶性食物繊維形成工程により得られるこんにゃく粉末に含まれる全食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合(質量基準)が50質量%以上である請求項1に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  3. 前記不溶性食物繊維形成工程により得られるこんにゃく粉末はゲル化能を有していない、請求項1または2に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  4. 前記アルカリ金属溶液が、0.1M〜5.0Mのアルカリ金属化合物を含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  5. 前記アルカリ金属溶液に含まれるアルカリ金属化合物が、ナトリウム化合物及びカリウム化合物の少なくとも1種である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  6. 前記アルカリ金属化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸ナトリウムの少なくとも1種である、請求項5に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  7. 前記こんにゃく原料粉末に対するアルカリ金属溶液の割合(質量基準)が、0.1〜10倍である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  8. 前記こんにゃく粉末が、全食物繊維に対して不溶性食物繊維を99質量%以下(乾物換算)含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  9. 前記混合工程と前記不溶性食物繊維形成工程が同時に行われる請求項1乃至8のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  10. 前記こんにゃく粉の洗浄工程を有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  11. 前記こんにゃく粉末の中和工程を有する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  12. 前記こんにゃく粉末の乾燥工程を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  13. 前記こんにゃく粉末の粉砕工程を有する、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の製造方法。
  14. 粉末粒子中で水溶性食物繊維の一部をアルカリ金属化合物により不溶性食物繊維に変換したこんにゃく粉末であって、全食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合が50質量%以上であることを特徴とするこんにゃく粉末。
  15. 前記アルカリ金属溶液に含まれるアルカリ金属化合物が、ナトリウム化合物及びカリウム化合物の少なくとも1種である、請求項14に記載のこんにゃく粉末。
  16. 前記アルカリ金属化合物が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び炭酸ナトリウムの少なくとも1種である、請求項15に記載のこんにゃく粉末。
  17. 全食物繊維に対する不溶性食物繊維の割合が99質量%以下である請求項14乃至16のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末。
  18. 請求項14乃至17のいずれか1項に記載のこんにゃく粉末の微粉砕物であって、粒度分布におけるD50が100μm以下であることを特徴とする微粉砕物。
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