JP2019147946A - エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを含む硬化性樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明の課題は、硬化性、塗膜の表面性、接着性、耐衝撃性に優れたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン、硬化性樹脂組成物並びに硬化物を提供することにある。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[14]に存する。
このような特長を有することから、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン、硬化性樹脂組成物及び硬化物は、電気・電子材料、FRP(繊維強化プラスチック)、接着剤及び塗料、歯科材料、2D/3Dプリンタ等に用途に代表されるインク等の分野において応用展開が可能である。とりわけ、エポキシ樹脂の硬化収縮が少なく硬化時に生じる内部応力が少ない点と、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを含む硬化物の塗膜表面性に優れる点から、厚みが大きい製品、例えば肉厚のFRPや、歯科材料、3Dプリンタにより製造される造形物等、対して好適に用いる事ができる。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし、エポキシ基を含有する重合体であり、例えば以下に示す一般組成式(1)で表される。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは好ましくは、全ケイ素に対するM単位の含有量が10mоl%以上、75mol%以下であり、全ケイ素に対するQ単位(SiO4/2)の含有量が3mol%以上であり、全ケイ素に対するD単位(R4R5O2/2)の含有量が10mol%以下であるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンである。
なお、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの各単位の含有量は、後述の実施例の項に記載の通り、29Si−NMR測定により分析することができる。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンにおいて、M単位(R1R2R3SiO1/2)が存在することが必須であり、全ケイ素に対するM単位(R1R2R3SiO1/2)の割合を意味する前記式(1)におけるaは0.1以上(即ち、全ケイ素に対するM単位(R1R2R3SiO1/2)の含有量が10mol%以上。以下括弧内のmol%は同様。)が好ましく、より好ましくは0.2以上(20mol%以上)、更に好ましくは0.5以上(50mol%以上)である。aを0.1以上とすること、即ちM単位の含有量を適当な下限値以上にすることにより、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの分子量の制御が容易となる。また、aは1未満(100mol%未満)、好ましくは0.9以下(90mol%以下)、より好ましくは0.75以下(75mol%以下)、更に好ましくは0.7以下(70mol%以下)である。aを上記範囲とすること、即ちM単位の含有量を適当な上限値以下にすることにより、分子量を小さすぎない適切な範囲にしやすくなり、低沸点成分の増加を抑えて引火点が低下することを防ぐことができて好ましい。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンにおいて、T単位(R6SiO3/2)の割合を意味する前記式(1)におけるcは0.8以下(即ち、全ケイ素に対するT単位(R6SiO3/2)の含有量が80mol%以下。以下、カッコ内のmol%は同様。)であり、好ましくは0.65以下(65mol%以下)である。一方、T単位(R6SiO3/2)の割合を示すcは通常0以上である。式(1)中、cが上記範囲であることで、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを硬化させた場合の硬化物に適度な剛性を持たせることができ、好ましい。特にcの値を0.8以下とすることで、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度を扱いやすい範囲に保つことが容易になり、かつ硬化物の脆さが改善されるため好ましい。なお、後述するQ単位を適切な範囲で含む場合にはT単位が上記の好ましい範囲になくても、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを硬化させた場合に適度な剛性を持たせることができる。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは(SiO4/2)で表されるQ単位を含み、即ち式(1)中、dは0より大きく、より好ましくは0.03以上(即ち、全ケイ素に対するQ単位(SiO4/2)の含有量が3mol%以上。以下、括弧内のmol%も同様)、特に好ましくは0.2以上(20mol%以上)である。一方、Q単位(SiO4/2)の割合を示すdは好ましくは0.7以下(70mol%以下)、より好ましくは0.5以下(50mol%以下)である。Q単位を含むことで耐熱性が向上し、式(1)中、dが上記範囲であることで、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度が高くなりすぎることを防ぎ、またエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを硬化させた場合の硬化物に適度な剛性を持たせることができ好ましい。また、式(1)中、dが0.7よりも大きい場合、他のエポキシ化合物やアクリル化合物と混合し、硬化させることで、硬化物の破断強度等の靱性を向上させることができる。
なお、前述したT単位を適切な範囲で含む場合にはQ単位が上記の好ましい範囲になくても、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを硬化させた場合に適度な剛性を持たせることができる。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは(R4R5O2/2)で表されるD単位を含み、即ち式(1)中、bは0より大きく、0.01以上(即ち、全ケイ素に対するD単位(R4R5O2/2)の含有量が1mol%以上。以下、括弧内のmol%も同様)が好ましい。また、bの上限は特に限定されないが、0.3以下(30mol%以下)が好ましく、より好ましくは0.1以下(10mol%以下)である。D単位(R4R5O2/2)をこのような範囲で含むことにより、硬化物の弾性率を高く保つことが容易になる。また、D単位(R4R5O2/2)の含有量を適当な下限値以上とすることで、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンがかご型構造をとりにくくなるため、粘度が高くなりすぎることを防ぎ、またエポキシ基含有オルガノシロキサンの硬化物が固くなりすぎることを防ぐことができるため好ましい。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの末端基を表す、前記式(1)における(O1/2R7)および(O1/2H)の量は特に限定されないが、通常は0≦e+f<4であり、好ましくは0≦e+f<2、より好ましくは0≦e+f<1、さらに好ましくは0≦e+f<0.5である。これらの末端基は、通常反応性を有するため、e+fの値が小さい場合には保管安定性が良い傾向があるため好ましい。また、水酸基以外の末端基を表す(O1/2R7)のR7は特に限定されないが、炭素数1から7の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることがさらに好ましい。R7が炭素数が比較的少ないこれらの基であることで、エポキシ基の導入反応や、生成したエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンの硬化反応を立体的に阻害しにくい傾向がある。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンが有するエポキシ基の種類は特に限定されないが、例えばグリシジル基に代表される末端にエチレンオキシド基を有するものや、末端にエチレンオキシドを有さずシクロヘキセンオキシド基等の脂環式エポキシ基を有するものに分けられ、所望する性能によって使い分けることができる。
また、異なる種類のエポキシ基を2種以上組み合わせて使用することもできる。その場合、後述するエポキシ基毎の特性を鑑みて、求める特性に合わせてその比率を制御することが好ましい。
前記式(1)におけるR1からR6のうちエポキシ基を含有しない基の構造は特に限定されないが、R1からR6は各々独立して水素原子、または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の一価の有機基である。具体的には、水素原子、炭素数1〜20の直鎖アルキル基、炭素数1〜20の分岐アルキル基、炭素数1〜20の環状構造を含むアルキル基、炭素数1〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜20の複素環基などが挙げられる。これらのうち、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基、カルバゾール基、フェネチル基などの芳香族性官能基、フラニル基、ポリエチレングリコール基などのエーテル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、フェニル基であることがさらに好ましい。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは、(SiO4/2)で表されるQ単位を有し、赤外吸収スペクトル分析において、波数1030〜1060cm−1の領域にSi−O伸縮振動の極大吸収波数を有するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンであることが好ましい。
なお、波数1070〜1150cm−1の領域に、Si−O以外の有機分子由来の特性吸収帯が存在してもよい。有機分子由来の特性吸収帯の例としては、ヒドロキシル基のC−O由来、エステルのC−O−C由来、酸無水物のC−O−C由来、エーテルのC−O−C由来、アミンのC−N由来、スルホン酸やスルホキシドのC−S由来、フッ素化合物のC−F由来、リン化合物のP=O又はP−O由来、無機塩SO4 2−又はClO4 −由来の特性吸収帯が挙げられる。これらとSi−O伸縮振動との帰属を取り違えないように注意しなければならない。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ当量は、好ましくは100g/当量以上、より好ましくは150g/当量以上、更に好ましくは200g/当量以上である。エポキシ当量が上記下限以上であることにより、硬化塗膜の表面性を良好にすることができ、また架橋密度を高くできるため塗膜強度や耐熱性を高くでき、特に塗膜の密着性を高くすることができる。
また、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ当量は、好ましくは5000g/当量以下、より好ましくは2000g/当量以下、更に好ましくは1000g/当量以下である。エポキシ当量が上記上限以下であると、良好な硬化性や接着性を維持しながら、硬化時の収縮が少なくなるため塗膜の表面性を向上させることができ、適切な架橋密度となることから耐衝撃性を高くすることができるため好ましい。
なお、本発明において「エポキシ当量」とは、「1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂(本発明ではエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン)の質量」と定義され、JIS K7236に準じて測定することができる。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、300以上が好ましく、500以上がより好ましく、700以上が硬化塗膜の表面性を良好にする点で特に好ましい。また、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量(Mw)は10000以下が好ましく、7500以下がより好ましく、5000以下が、ハンドリング性の観点から特に好ましい。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの数平均分子量(Mn)は特に限定されないが、150以上が好ましく、250以上がより好ましく、600以上が硬化塗膜の表面性の観点から特に好ましい。また、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの数平均分子量(Mn)は9000以下が好ましく、6500以下がより好ましく、4000以下が、ハンドリング性の観点から特に好ましい。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン中に含まれる低沸点成分の量は特段限定されないが、低沸点成分の量が少ない場合、引火点が高くなるため、運搬、貯蔵時の安全性を保ちやすくなるほか、熱硬化時や硬化物使用時の減肉やそれによる脆化が抑制できる。本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンに含まれる低沸点成分の量は、例えば圧力0.15torrの減圧下、110℃で2時間加熱した際の重量減少率として表すことができ、この重量減少率は10重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましく、5重量%以下が更に好ましい。
なお、ポリオルガノシロキサン以外の成分が10重量%以上含まれている場合、ポリオルガノシロキサン以外の成分の揮発により、内温が下がり、ポリオルガノシロキサンが揮発しにくくなるため、ポリオルガノシロキサン以外の成分が10重量%以上含有している場合は、温度60℃に加熱し、圧力10torrにて減圧して、ポリオルガノシロキサン以外の成分を1重量%未満に除去した上で実施することが好ましい。
本発明のポリオルガノシロキサンの製造方法は、前記式(1)で表されるポリオルガノシロキサンを得ることができれば特段限定されない。例えば、ジシロキサン化合物やジシラザン化合物およびそれらの加水分解物、アルコキシシラン化合物やその加水分解物、部分加水分解縮合物を一種類または複数種同時に縮合させる方法、クロロシラン化合物やその加水分解物、部分加水分解縮合物を縮合させる方法、環状シロキサン化合物を開環重合させる方法、アニオン重合を初めとする連鎖重合など、いずれの製造方法であってもよく、複数の製造方法を組み合わせて使用してもかまわない。また、エポキシ基の導入方法に関しても特段限定されず、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物、ジシロキサン化合物、ジシラザン化合物やこれらの加水分解物、部分加水分解縮合物を一種類または複数種同時に縮合させる方法、ポリオルガノシロキサンに導入されたエポキシ基以外の基を化学的手法によりエポキシ基へ変換する方法など、いずれの方法であってもよく、これらの方法を組み合わせて用いても良い。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを製造する際、溶媒を用いても用いなくてもよい。溶媒を用いる場合には水、および/又は有機溶媒を使用することができるが、特に有機溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、クロロホルム、ジクロロメタンがより好ましく、溶解性、除去の容易性、低環境有害性の観点から、テトラヒドロフラン、トルエン、メタノールがさらに好ましい。また、これらの溶媒は二種類以上組み合わせて使用しても良く、反応の工程によって溶媒種が異なっていてもよい。また、アルコキシシラン化合物やクロロシラン化合物などを加水分解縮合させることでポリオルガノシロキサン骨格を形成する場合には、水を適量添加して加水分解を促すことができる。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを製造する際の反応温度は特に限定されず、通常、−40℃から200℃であるが、−20℃から150℃がより好ましく、0℃から130℃がさらに好ましい。この温度範囲より低い温度では、目的とするポリオルガノシロキサン骨格を形成する反応、あるいはエポキシ基を導入する反応が進行しにくくなる場合がある。一方、この温度範囲より高い温度では、望まないエポキシ基の重合や他置換基との反応が進行する場合がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記のような本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(以下「エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)」と称す場合がある。)と硬化剤(B)を含むものである。
本発明の硬化性樹脂組成物に用いる硬化剤(B)は、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質である。なお、本発明においては通常、「硬化促進剤」と呼ばれるものであってもエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)のエポキシ基間の架橋反応及び/又は鎖長延長反応に寄与する物質であれば、硬化剤とみなすこととする。
以上挙げたアミン系化合物は、一種のみで用いても、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
これら有機ホスフィン類についても、一種のみで用いても、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
これらの硬化剤(B)は一種のみで用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)以外のエポキシ化合物(C)(以下、「他のエポキシ化合物(C)」と称す場合がある。)を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、以上に挙げた成分の他にその他の成分を含有することができる。その他の成分としては例えば、硬化促進剤(ただし、前記硬化剤に該当するものを除く。)、カップリング剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料、無機充填材、有機充填材等が挙げられる。以上に挙げたその他の成分は硬化性樹脂組成物の所望の物性により適宜組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。ここでいう「硬化」とは熱及び/又は光等によりエポキシ樹脂を意図的に硬化させることを意味するものであり、その硬化の程度は所望の物性、用途により制御すればよい。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは、硬化性に優れたものであり、表面性、接着性、耐衝撃性に優れた硬化物を与えるものである。このことから、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン、及びそれを配合した本発明の硬化性樹脂組成物は、塗料、電気・電子材料、接着剤、繊維強化樹脂(FRP)等の分野において好適に用いることができる。
以下の実施例及び比較例において用いた原料、触媒、溶媒等は以下の通りである。
ヘキサメチルジシロキサン(NuSil Technology社製、製品名:S−7205)
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(NuSil Technology社製)
メチルシリケートMS51(三菱ケミカル株式会社製)
1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(東京化成工業株式会社製)
アリルグリシジルエーテル(東京化成工業株式会社製)
テトラヒドロフラン(キシダ化学株式会社製)
トルエン(キシダ化学株式会社製)
メタノール(キシダ化学株式会社製)
ヘプタン(キシダ化学株式会社製)
1N塩酸(キシダ化学株式会社製)
白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体 キシレン溶液(アルドリッチ社製 白金濃度2重量%)
活性炭(大阪ガスケミカル株式会社製 精製白鷺)
シリカゲル(関東化学株式会社製 シリカゲル60N(球状、中性) 63−210μm)
WPI−116(和光純薬工業社製)
YX8000(三菱ケミカル株式会社製:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
jER828US(三菱ケミカル株式会社製:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
C2021P(ダイセル社製:脂環式エポキシ樹脂)
x−40−2670(信越化学工業社製:脂環式エポキシ基含有シリコーンオリゴマー)
以下の合成例、実施例及び比較例における評価方法は以下の通りである。
合成例で得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンについて、JIS K 7236に基づいてエポキシ当量を測定した。
合成例で得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。GPCの測定に用いた装置及び測定条件は以下の通りである。
装置:GPC
機種:HLC−8220GPC(東ソー製)
カラム:KF−G、KF−401HQ、KF−402HQ、KF−402.5HQ(昭和電工(株)製)
検出器:UV−8020(東ソー製)、254nm
溶離液:THF(0.3mL/分、40℃)
サンプル:1%テトラヒドロフラン溶液(10μインジェクション)
検量線:標準ポリスチレン(東ソー製)
合成例で得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンについて、下記装置及び測定条件にてATR法(Attenuated Total Reflection、全反射測定法)により測定した。
装置:Nicolet iN10+iZ10(Thermo Fisher Scientific株式会社製)及びGladi ATR(PIKE TECHNOLOGIES社製)
分解能:4cm−1
積算回数:64回
以下の装置、測定条件、試料の調製方法で測定した。
装置:日本電子株式会社製JNM−ECS400、TUNABLE(10)、Siフリー、AT10プローブ
測定条件:Relaxation Delay/15秒、SCAN回数/1024回、測定モード/非ゲーテッドデカップルパルス法(NNE)、スピン/なし、測定温度/25℃
試料の調製:重クロロホルムにトリス(2,4−ペンタジオナト)クロム(III)が0.5重量%になるよう添加し、29Si−NMR測定用溶媒を得た。測定対象のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを1.5g秤量し、上記29Si−NMR測定用溶媒を2.5ml入れて溶解し、10mmφテフロン(登録商標)製NMR試料管へ入れた。
まず、1H−NMRを測定し、有機溶媒等、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン以外の成分の重量を算出した。
ナス型フラスコに回転子を入れ、それらの重さを測定した後、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを該ナス型フラスコに入れ、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの重量を測定した。
オイルバスにてこのナス型フラスコを加熱し、マグネチックスターラにより回転子を回して液面が流動する程度に撹拌し、内温が110℃になるまで昇温し、オイル式真空ポンプにて減圧した。オイル式真空ポンプは、0.15torrの減圧度を達成できる能力を持つものを使用した。2時間後、室温まで冷却し、常圧に戻し、ナス型フラスコに付着したオイルを十分にふき取り、ナス型フラスコに入った状態のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの重量を測定し、先に測定していたナス型フラスコと回転子の重さを差引き、該操作により揮発した重量を算出した。該操作後のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの1H−NMRを測定し、有機溶媒等、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン以外の成分の重量を算出した。
揮発した重量からエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン以外の成分の量を差引き、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの重量減少率を算出した。
実施例及び比較例の硬化性樹脂組成物を、75μmのフィルムアプリケーターを用いて、JIS K5600−1−4に記載の下記の鋼板上に塗布し、以下条件でUV照射することにより硬化塗膜を作成した。
・鋼板:SPCC−SB PB−N144処理 0.3×50×200mm
・UV照射条件
ランプ:高圧水銀灯
エネルギー:100mJ/cm2、956mW/cm2
ベルトコンベアースピード:14.4m/min
距離:15cm
上記UV照射条件を1回とし、塗膜のタックが無くなるまでのUV照射回数をUV硬化性として評価した。
上記のUV硬化性の評価のために形成した硬化膜について、JIS K5600−5−6の方法でクロスカット剥離試験を行った。100マス中基材に残ったマス数で評価した。
上記のUV硬化性の評価のために形成した硬化膜について、JIS K5600−5−3の方法でおもり落下試験を行い、塗膜の状態を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
〇:割れ無し・剥がれ無し
△:割れ無し・剥がれ有
×:割れ有
上記のUV硬化性の評価のために形成した硬化膜について、硬化塗膜の表面を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
〇:しわ・縮み無し
×:しわ・縮み有り
<合成例1:エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン1の合成>
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン原料として、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン625重量部、ヘキサメチルジシロキサン504重量部、メチルシリケートMS51を422重量部、溶媒として、テトラヒドロフラン987重量部、触媒および水として、1N塩酸115重量部とメタノール115重量部の混合物を使用し、30℃で加水分解縮合した。ヘプタン938重量部を加え、脱塩水による洗浄で塩酸を除去した後、ローターリーエバポレーターを用い76℃、圧力15torrの減圧下で、目視にて溶媒の留出がなくなるまで溶媒を留去した。続いて、120℃、圧力0.15torrの減圧下で2時間加熱し、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン1’を768重量部得た。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン原料として、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン833重量部、ヘキサメチルジシロキサン252重量部、メチルシリケートMS51を422重量部、溶媒として、テトラヒドロフラン965重量部、触媒および水として、1N塩酸115重量部とメタノール115重量部の混合物を使用し、30℃で加水分解縮合した。ヘプタン938重量部を加え、脱塩水による洗浄で塩酸を除去した後、ローターリーエバポレーターを用い76℃、圧力15torrの減圧下で、目視にて溶媒の留出がなくなるまで溶媒を留去した。続いて、120℃、圧力0.15torrの減圧下で2時間加熱し、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン2’を744重量部得た。
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン原料として、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン1042重量部、メチルシリケートMS51を422重量部、溶媒として、テトラヒドロフラン943重量部、触媒および水として、1N塩酸115重量部とメタノール115重量部の混合物を使用し、30℃で加水分解縮合した。ヘプタン938重量部を加え、脱塩水による洗浄で塩酸を除去した後、ローターリーエバポレーターを用い76℃、圧力15torrの減圧下で、目視にて溶媒の留出がなくなるまで溶媒を留去した。続いて、120℃、圧力0.15torrの減圧下で2時間加熱し、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン3’を573重量部得た。
各成分を表2の通り配合して硬化性樹脂組成物を製造し、上述の通り硬化塗膜を作成した。その際のUV硬化性、密着性、耐おもり落下性、表面性を上述の方法によって評価し、結果を表2に示した。
表2から分かるように、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを含む実施例1〜12の硬化性樹脂組成物は、良好なUV硬化性、密着性、耐おもり落下性、表面性を有するものであった。
一方、比較例1の硬化性樹脂組成物ではUV硬化性が不十分であった。比較例2、3の硬化性樹脂組成物は硬化性、密着性、耐おもり落下性、表面性のすべてにおいて不十分であった。
Claims (14)
- M単位(R1R2R3SiO1/2)、D単位(R4R5O2/2)及びQ単位(SiO4/2)を有し、全ケイ素に対するT単位(R6SiO3/2)の含有量が80mоl%以下であるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
- 圧力0.15torrの減圧下、110℃で2時間加熱した際の重量減少率が5重量%以下である請求項1に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
- 全ケイ素に対するM単位(R1R2R3SiO1/2)の含有量が10mоl%以上、75mol%以下である請求項1又は2に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
- 全ケイ素に対するQ単位(SiO4/2)の含有量が3mol%以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
- 赤外吸収スペクトル分析において、波数1030〜1060cm−1の領域にSi−O伸縮振動の極大吸収波数を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
- 全ケイ素に対するD単位(R4R5O2/2)の含有量が10mol%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
- エポキシ当量が100g/当量〜5000g/当量である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)と硬化剤(B)を含む硬化性樹脂組成物。
- 硬化剤(B)がカチオン重合開始剤である請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
- 更に、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)とは異なるエポキシ化合物(C)を含む請求項8又は9に記載の硬化性樹脂組成物。
- エポキシ化合物(C)として脂肪族エポキシ化合物を含む請求項10に記載の硬化性樹脂組成物。
- エポキシ化合物(C)として水添ビスフェノール型ジグリシジルエーテル類を含む請求項11に記載の硬化性樹脂組成物。
- エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)とエポキシ化合物(C)との合計に占めるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A)の割合が0.1重量%以上80重量%以下である請求項10乃至12のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項8乃至13のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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